ルール①目標は高く、達成期日は前倒しで設定する
自ら目標を高く設定し、達成期日も前倒しして設定しておくことは、「スケジュールの組み方」を考える上で大前提となるルールです。すべてが予定通りに進むことはまずありません。
そこで、あらかじめ「バッファ」を設けておくことが重要です。
もともと、「バッファ」は「一時的に情報を保存する領域」という意味で使われていたIT用語ですが、近年、仕事の場面では、「余裕を持たせたスケジュール」のことを呼ぶようになりました。
あえて自ら厳しく設定した「目標」の達成に向けて、逆算して予定を入れることで、この「バッファ」を意図的に設けます。
やっていることが予定通りに遂行できなかったとしても、リカバリーできるようにリスクヘッジしておくのです。私は、腕時計の針をわざと5分間進めているのですが、発想はこれと同じです。また、この目標を周囲に公言することも重要です。
テレビ朝日系で放送されているテレビ番組『アメトーーク』の人気企画に、「勉強大好き芸人」という企画があります。
先日の特番でも、高学歴芸人がどのような「目的」と「目標」を持ち、どのような「戦略」「戦術」で受験勉強を行ってきたかが生々しく語られていました。
余談ですが、高校時代までの私もまさにこういうタイプでした。
その番組を観ていて、私の「仕事の進め方」や「時間の使い方」は、受験勉強によって培われたものだということに気づきました。
実際、効率的かつ効果的な「受験勉強の方法」と「仕事の進め方」は、「時間の使い方」という意味では原理原則が同じでした。
例えば、「勉強大好き芸人」の代表格であるオリエンタルラジオの中田敦彦さんは、友だちから志望校を聞かれたとき、「超難関大学しか受けない」と答えていたそうです。そのことによって自分を追い込み、不退転の決意に変えていったそうです。
「東京大学合格」を「目標」にして勉強していた人は、「早稲田大学」や「慶応大学」に入れる可能性もありますが、無難に「偏差値50の大学合格」を「目標」にしている人が、「東京大学」に入ることは絶対にありません。むしろ、「偏差値50の大学」すら合格できないかもしれません。これと原理は同じです。
思い返せば、営業マン時代の私も、周囲に「退職するまで表彰台に上がり続ける」という「目標」を周囲に公言していました。
そして自ら、会社から与えられた売上目標の1・5倍の数字を「目標」に掲げ、さらにそれを2週間早めて達成する「目標達成シナリオ」を描いていました。
自己管理に自信のない人は特に、自分を追い込んでみることも1つの方法として有効でしょう。
ルール②「戦略」と「戦術」を考え抜く時間を確保する
詳しくは第5章で説明しますが、「戦略」「戦術」を考え抜く時間は、期初の1週間に確保しておくようにします。
営業マン時代、上期(4月−9月)、下期(10月−翌年3月)の目標達成を目指していた私は、4月の1週目と10月の1週目をその時間に充てるようにし、外出が必要なアポイントはできる限り入れないようにしていました。
担当することになったクライアントの過去3年間の取引実績を徹底的に把握することに、時間を「投資」したのです。具体的には、クライアント別・月別・商品別の売上実績を徹底的に把握しました。
その上で、「どうやったら達成できるか」を徹底的に考え抜き、あとは実行するだけという状態をつくりました。
そうすることで、半年間、迷いなく立ち止まることなく駆け抜けることができ、結果的に前人未到の営業記録を打ち立てることができたのです。
これは、営業職以外の仕事でも同じです。
「考える前に動く」もしくは「考えながら動く」ことを推奨する考え方もありますが、それは普段から考えている人に許された特権だと思います。
成功している経営者は、遊んでいても仕事に結びつけて考えますし、売れる営業マンも常にアンテナを張り、常に仕事のことを考えているものです。
そのような人たちだからこそ、「考える前に動く」ことや「考えながら動く」ことがうまくいくだけで、大多数の人には「考え抜いてから動く」という「習慣」が必要だと考えています。
もちろん「考えるだけで何も行動に移さない」ことが、最もムダな「時間の使い方」であることは言うまでもありません。
考え抜いた「戦略」「戦術」を「行動」に移し、狙った通りの結果を生み出すという「狙って落とす」成功体験を積み上げることは、とても大切なプロセスです。
なぜなら、「狙って落とす」ことができるというプロセスは、あなたの「戦略」と「戦術」が効果性と再現性の高いものであることを証明し、あなたの自信になるからです。
イチロー選手は、過去にこのようなコメントをしています。
「どうやってヒットを打ったのかが問題です。たまたま出たヒットでは、何も得られません」「僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです」
結果を出し続けてきたイチロー選手は、ただがむしゃらに練習してきただけではありません。
誰よりも考え抜いた上で、誰よりも練習し、誰よりも自分を分析し、誰よりも改善し続けるという「習慣」をつくり上げたからこそ、誰にもできない結果を出すことができたのです。
ルール③8割の成果を生み出す2割の時間を確保する
さまざまな事象に対して経済学者がよく用いる「80対20の法則(パレートの法則)」は、「80%の結果は、20%の原因から生まれる」という法則です。
実際、営業部の売上の80%は、20%のクライアントから生み出されています。それはまた、「時間の使い方」にも当てはまります。あなたが仕事で結果を出す際に、最大の価値を生み出している20%の時間があるはずです。
それがどのようなことに「投資」した時間なのかを客観的に分析し、意識することが大切です。
営業マン時代の私は、担当することになったクライアントのことを期初に徹底的に調べ上げ、「戦略」を考え抜きました。当時の私の売上の8割も、やはり2割のクライアントにより構成されていました。
つまり、この2割のクライアントが、私の売上を支えてくれている優先すべきクライアントということになります。
そこで、「それらのお客様に加え、業種や規模をふまえ、その2割に入る見込みがあると判断したクライアントを優先して予定を入れていく」という戦略を立て実行していました。
私の行動量(顧客訪問件数)は営業部内でも最下位レベルだったのですが、常にトップクラスの成績を残し続けることができたのは、この「戦略」のおかげなのです。
『仕事ができる人の最高の時間術』という書籍の著者がこのようなことを書くのはどうかと思いますが、正直言って、これまでの仕事人生の中で、私のことを「仕事ができる人だ」と高く評価してくれている人は多くないかもしれません。
なぜなら私は、絶対に結果を出さなければならない20%の仕事でしか本気を出さないからです。残りの80%の業務については、いかに楽をするかということだけを考えて、仕事をしてきました。
ですから、「仕事ができる人」というより「要領の良い人」という印象のほうが強いかもしれません。
でも、それこそが最高の仕事術の秘訣だと思うのです。楽をすることは決して悪ではありません。あなたが本当に優先すべきことに時間を「投資」するための重要な「戦略」の1つなのです。
あなたの仕事において、結果に大きな影響を与える「顧客」や「仲間」は誰ですか。そして、結果に大きな影響を及ぼす「行動」は何ですか。
それらに対して優先的に時間を投資する「スケジュールの組み方」を選択することができれば、8割の成功は間違いありません。
ルール④1年間の予定を逆算して組む
前述した「勉強大好き芸人」のひとりでもあるロザンの宇治原さんは、高校生のときに「京都大学入学」という「目標」を掲げました。
実際には、「芸人になって売れること」が「目的」で、そのキャラを際立たせるための「戦略」として「京都大学入学」を選択したそうです。
高校3年生のとき、宇治原さんは、受験勉強について、次のような年間スケジュールを立てたそうです。
4月~6月暗記7月~8月基本問題9月~10月応用問題11月~過去問題4月から8月までは、暗記と基本問題にしか取り組んでいなかったので、夏場の模擬試験ではC~D判定しか出なかったそうです。
それでも焦らずに、暗記と基本問題を続けたところ、応用問題や過去問題に取り組み始めた9月以降、急激に成績が伸びたそうです。
このように小さな努力の積み重ねが、急激に大きな変化を生み出す分岐点のことを「ティッピング・ポイント」と言います。
多くの人は、この「ティッピング・ポイント」を迎える前に、「結果が出ない」「これをやっていても意味がない」とやめてしまいます。
ダイエットでも、最初は痩せにくかったのに、ある体重を下回った途端に、急激に体重が減り始めるということがありますが、それが「ティッピング・ポイント」です。
宇治原さんは、「目的」「目標」「戦略」が明確だったため、ブレずに「ティッピング・ポイント」を越えるまで継続することができたのでしょう。
営業マン時代の私の目標達成の考え方も、まさにこれと同じでした。前述の通り、期初の1週間で、徹底的に「戦略」を固めることに時間を「投資」しました。
例えば、「A社は12月決算だから、10月中に優先的に営業をしておこう」「B社は毎年4月に大規模な新人研修を任せてくれているから、年内に受注できるように10月から仕掛けておこう」という風に、過去の取引実績やクライアントの決算時期等をふまえて「戦略」を決めていきます。
その上で、【半年間→3ヶ月間→1ヶ月】という風に、逆算して予定を組んでいくようにしました。目の前のことを一生懸命やるのはアタリマエです。戦略的な「スケジュールの組み方」が結果に大きな違いを生むのです。
ルール⑤定例業務・恒例行事のスケジュールを確保する
1年間のスケジュール帳に、毎年、私が最初に書き込む予定があります。それは「家族と過ごす9日間の夏休み」です。
私のナンバー1パッションは、「家族といつも笑って過ごしている」ですので、最初にこれを実現するための予定を確保します。私の妻も仕事をしていますので、尚更、予定を確保しておく必要があります。
また、仕事上避けられない、会社に決められている定例業務・定例会議などがあれば、その予定も最初に入れてしまいましょう。これらは「制約条件」となります。
あなたが変更させることのできない予定であれば、それを前提にした「スケジュールの組み方」を選択するしかありません。最初に、最低半年分のこれらの予定をスケジュール帳に記入してしまいましょう。
ルール⑥心技体を磨く時間を確保する
次に、「心技体」を磨く時間を確保しましょう。「心技体」は次のように定義しています。
- 「心」を磨く……メンタルを鍛えること、気分をリフレッシュする行動
- 「技」を磨く……知識やスキルを身につける行動
- 「体」を磨く……美容・健康に気を遣う行動
「心技体」を磨くことは、あなたが仕事で結果を出す上での大前提の条件です。
これらは重要であるにもかかわらず後回しになりがちです。
「やれたら良いな」「時間ができたらやりたい」という考えでは、絶対に「行動」に移すことができません。そこで、「心技体」を磨くための時間を先に確保してしまうことが大切です。
例えば、私の場合は、「平日夜」と「休日」を「心技体」を磨く時間に充て、スケジュール帳には次のような予定を、最低半年分入れています。
「心」
- 週1回、子供と遊びに出掛ける予定
- 週1回、書道教室に行く予定
- 月1回、阪神タイガースの応援に行く予定
- 隔月1回、お笑いライブを観に行く予定
「技」
- ・週1冊、ビジネス書を読む予定
- ・週1回、ブログ・メルマガを書く予定
- ・月1回、外部研修を受講する予定
「体」
- 月2回、ストレッチジムに行く予定
- 月2回、エステに行く予定
- 3ヶ月に1回、歯医者に行く予定
- 年1回、人間ドックに行く予定
こういった「心技体」を磨く時間を確保した上で、仕事のための時間をやりくりして確保することが、効果的な「スケジュールの組み方」だと考えています。
一方、「心技体」を磨く時間は、必ずしもまとめて確保する必要はありません。
例えば、「ビジネス書を読む」「英語を勉強する」などは、「通勤時間」や「移動時間」などの「隙間時間」に行うこともできます。
前述した「勉強大好き芸人」のオリエンタルラジオの中田さんは、場所を選ばずちょこちょこ勉強することを推奨していました。
例えば、洗面所や風呂場に英単語や歴史年号など暗記科目の資料を貼っておき、「歯磨きや入浴の時間」には、それらを見ながら暗記勉強をしていたそうです。
また、「移動時間」にリスニング対策をしたり、「休み時間」に友達と小テストを出し合ったりなど、さまざまな「隙間時間」の活用法を紹介していました。これらはすべて「心技体」を磨くことにも応用できます。
「隙間時間」を活用することは、仕事ができるようになるために必要不可欠なポイントなのです。
一方、「心技体」を磨くことや「隙間時間」を活用することの対極にある「時間の使い方」が「喫煙時間」です。
1回のタバコ休憩の時間は、社内に喫煙ルームがある場合でも、移動時間を含めて20分前後と言われています。
勤務時間中に1日3本のタバコを吸うことを仮定すると、1日60分間のムダな時間が消費されていることになります。
1週間で300分間(5時間)、1ヶ月で1320分間(22時間)のムダな時間が消費されているのです。何より、タバコを吸うことによるメリットは、何1つありません。
実際、私は、これまで多くのトップセールスマンにお会いしてきましたが、ヘビースモーカーのトップセールスマンにお会いした記憶がありません。
「時間の使い方」や「命の使い方」に対する意識の高い人にヘビースモーカーなどいないのです。また、「技」を磨くためのインプットを行う際には、必ずアウトプットすることを前提に行いましょう。
『サイエンス』誌(2008年2月15日号)によると、米パデュー大学のカーピック博士が、「インプットを繰り返すよりも、アウトプットを繰り返すほうが、脳回路への情報の定着が良い」という研究結果を報告しています。
例えば、「ビジネス書を読んだら、その書評をSNSやブログに公開する」、「研修を受講したら、その要点を同僚や後輩に15分間で教える」など、アウトプットすることを前提にインプットするのです。
そうすることで、あなたの「ROT(時間生産性)」は何倍にもなるでしょう。
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