第2章ビジネスの現場で役立つ「言葉」と「話し方」
信頼感と説得力が加わる(1)自分に聞こえている声と他人の聞いている声は恐ろしく違うことを知る(2)「単語の頭で息を吐く」だけで力強くなる(3)大事なことを言うときの「ハメタメ法」(4)吐く息の量を調整するだけで、聞き返されない大きい声が出る(5)説得力を増すための「Sの法則」}〜「させて」を改善する(6)稼ぐビジネスパーソンが必ずやっている声の使い方の共通点(7)下あごを下げるだけで明瞭な発音で話せる好印象・心地よく聞こえる方法(1)流暢に話すための「0・5秒ブレスの法則」(2)噛む言葉には法則がある。
噛まないための秘策とは?(3)あごを引くだけで何時間話してものどが疲れなくなる(4)注意しても絶対に相手に嫌われない声と話し方(5)愛想の悪い店員でも一瞬で変わる方法(6)魔法の言葉「ね」をつければコミュニケーションはうまくいく(7)クレーム対応で使える「だんだん弱く」伝わる声と話し方(1)メリハリをつけるための簡単な強弱のつけ方(2)はっきりと「NO」が言えない人が「NO」と言うには(3)聴衆の心をつかみたいときは、手を差し出す
NGワード「え―」「あ―」を言わないためには鼻から息を吸うだけ(5)顔で話せば伝わる!効果的な表情の使い方聴衆を魅きつける声のコントロール(1)「ドミソッソ体操」で高い声から低い声までを使いこなす(2)原稿をつくっておけば、抑揚も思いのまま(3)思わずあなたの話に聞き入る「間」の取り方(4)言葉に感情を込めやすくなる「しい」の使い方(5)息を吐けば吐くほど緊張がなくなる
信頼感と説得力が加わる———自分に聞こえている声と他人の聞いている声は恐ろしく違うことを知るみなさんは自分の声を録音して聞いてみたことがありますか?何らかの形で聞いたことがあるという人が多いと思います。
そして、「なんだか変な声だな」と感じたのではないでしょうか。
声が変に聞こえるのは正しい感覚です。
録音した声は外から耳に入ってくるのに対して、自分の発する声は、体内で頭蓋骨などを振動させながら耳に届くからです。
空気を振動させて外部から耳に届く声と、骨伝導で耳に届く声では音が違うために、自分の声に違和感を覚えてしまうわけです。
普段自分が聞いている自分自身の声と、他人が聞いている自分の声(録音して聞いた声)は、まるで違うということを、まず知ることが大切です。
「声が暗い」とクレームが来た女性事務員あるとき、私のスクールに20代の女性がやってきました。
会社の上司に話し方を直すように言われて、強制的に通うことになったとのこと。
その声は確かに暗くていい印象は受けません。
電話応対をしていて、「おたくの事務員は感じが悪い」とクレームが来ることもあったそうです。
しかし本人は、普通に話しているつもりなのに、なぜクレームが来るのかわからないと言います。
そこで彼女の声を録音して聞かせてみると、「え……」と絶句していました。
もちろんその後、トレーニングしてもらい、とても明るい声に変わってもらうことができました。
航空管制官の男性が相談に来たこともあります。
飛行機に指示を出すときの声が「聞き取りにくい」と言われたそうです。
やはり録音して聞かせたところ、「確かにこれは聞き取りにくいですね」と納得して、トレーニングを受けてくれました。
そういう私も、自分の声をよく理解していませんでした。
ボイストレーニングの仕事を始めたばかりの頃、張り切って30万円もする会議室を借りて無料セミナーを開催したことがあります。
たくさんの人を集めて話を聞いてもらったのですが、実際にお客様になってくれた人は……なんと「ゼロ」でした。
なんでだろうと受講者アンケートを見てみると、講師である私の声に対する意見が多数書かれていました。
ビジネス向けのボイストレーニングなのに、講師である私がキャピキャピとした声だったのです。
私も録画したセミナーの声を聞き返してみて、納得しました。
これでは受講しようという気にならないのも無理はありません。
それからは話し方を修正して、セミナーのときには落ち着いた低い声で話すようにしています。
また、講義の内容を録音して事前にチェックするようにもなりました。
嫌がっていてはいい声になれない。
まずは録音多くの人は、「自分に聞こえている声」と「他人が聞いている声」にかなりのギャップがあることに気づいていません。
大切なのは、「他人が聞いている声」を知り、悪いクセを直すことです。
そのためには自分の声を録音して確かめてみる必要があります。
「自分の声を聞きたくない」という人もいると思います。
でも、録音した声が、あなたの本当の声です。
この事実を受け止めなければ、いい声になることはできません。
特に「普段からよく聞き返される」「声が通らない」という人は、発声に何らかの問題があります。
一度録音して、どこに問題があるのかを考えてください。
最近ではスマホでも無料の録音アプリがありますから、面倒くさがらずに録音してみましょう。
もちろん、ボイスレコーダーやビデオカメラでも録音はできます。
録音する内容は「自己紹介」「今日1日の出来事」「自分の故郷の紹介」など、何でも構いません。
数十秒程度、ボイスレコーダーの前で話してみてください。
そして、その声を他人が聞いたら客観的にどういう印象を受けるか、聞き取りにくい部分はないか、早口すぎないか、語尾を伸ばすなどの変なクセがないかをチェックしてください。
自分のクセがわかったら、本書のトレーニング方法を参考に、意識して直すようにしましょう。
それだけでも、だいぶいい声に近づくことができるはずです。
信頼感と説得力が加わる———「」第1章で腹式呼吸の練習をしましたが、トレーニングとしての腹式呼吸はできていたとしても、普段話すときにはそれを忘れてしまいがちです。
いい声を出すうえで腹式呼吸は絶対に欠かせないものですから、いろいろな方法を駆使して、普段から腹式呼吸で会話できるようになっておくことが大切です。
実際に人と話すときに、腹式呼吸で発声しながら話せるようになる、とても簡単な方法があります。
「単語の頭で息を吐く」です。
ニュースを読むアナウンサーをよく観察してみると、読み始めから最後までほぼ一定の強さで声を出していることがわかります。
同じことをボイストレーニングをしていない人がやってみると、意味のないところで力んでしまったり、文章の最後のほうでは息が続かなくて弱くなったりと、なかなか安定して読めません。
長い文章を一気にしゃべろうとするから、意図しない部分で力んでしまったり途中で息切れしたりするのです。
文章を一定の強さで読むためには、一つひとつの単語もしくはフレーズを意識してはっきりと発音する必要があります。
そのためのポイントが、「単語(またはフレーズ)の頭で息を吐く」です。
単語というのは、だいたい2文字から6文字でできています。
その最初の文字で強く息を吐くことで、息のコントロールがしやすくなります。
自然と腹式呼吸になりやすく、一定の調子で文章を読めるようになるのです。
また、一つひとつの言葉が立って、相手の聴覚に届きやすい声になります。
噛みにくくなる効果もあります。
声がきれいなアナウンサーはみなさん、この発声を無意識のうちに行っています。
では実際に、単語の頭で息を吐くイメージで自己紹介をしてみましょう。
「かぶしきがいしゃビジヴォのあきたけともこです。
よろしくお願いします」読んでいるときに、口から0・5〜1センチくらい離したところに手を当ててみてください。
単語の頭を発声したときに、息が少しでも感じられるようであれば、腹式呼吸ができています。
息が感じられなかったら、胸式寄りになっているので、もう少し強めに息を吐くようにします。
次の文章でも同じようにやってみて、単語の頭で息を強く吐く練習をしてみましょう。
「いつもおせわになっております」「またぜひ、さんかさせてください」「ひさしぶりにお目にかかれて、とてもうれしいです」「わたくしのしゅみはびしょくですが、なんでも食べます」
この方法で話してみても、本人はさほど変わったように感じられないかもしれませんが、他人が聞いてみると大きな違いが感じられます。
スピーチやプレゼンテーションのときだけでなく、普段のあいさつや自己紹介のときでも、この方法は効果的です。
信頼感と説得力が加わる———大事なことを言うときの「」聞いている人に必ず理解してほしい、これだけは特に伝えたいというポイントを、相手の印象に残るように話すにはどうすればいいでしょうか。
「ハメタメ法」を使うのです。
「ハメる」というのは、単語の頭で息を吐くようにきっちりと発声すること。
これについては、前述した「単語の頭で息を吐く」を参考にしてください。
そして「タメる」は、大事な言葉を言う前に少し間を置くこと。
たとえば、次の文章を声に出して読んでみましょう。
「では明日の3時半に、原宿駅の竹下口でお待ちしております」これだけではサラッと聞き流されてしまい、大事なポイントが相手の記憶に残らない可能性もあります。
後から、「何時だったっけ?」「何口で待ち合わせだったかな?」などと問い合わせされてしまうかもしれません。
そこで、ハメタメ法です。
このようにして間を取り、重要な単語はハメて話すだけで、相手の印象に残りやすくなり、きちんと伝わります。
間はほんの少し、1秒程度で構いません。
つばを「ごっくん」と飲み込むくらいの時間で十分です。
たったそれだけのタメでも、相手にとっては印象に残る話し方になります。
普段の会話でハメタメ法を意識する必要はありません。
相手に対して、ここだけは理解してほしいというときに使うことで効果が増します。
また、スピーチやプレゼンなどで大勢の前で話すときには、タメを長く取るようにすると視線が集まるので、いいでしょう。
信頼感と説得力が加わる———吐く息の量を調整するだけで、聞き返されない大きい声が出る職場での会話や会議のなかで、やけに声が大きい人っていますよね。
そして声が大きい人の意見は、なぜか通りやすい。
同じような話をしていても、声が大きい人の話には魅きつけられてしまう。
そんなふうに感じた経験はないでしょうか。
であれば、小さい声を出している人はいつも損をしているかもしれません。
バカでかい声は迷惑ですが、ある程度は大きな声を発したほうが、ビジネスを有利に進められます。
とはいえ、そもそも日本人は声が小さい国民です。
それは、日本語がそういう構造になっているからです。
日本語は吐く息の量が少なくても話せる言語街中や電車のなかで会話している外国人同士を見て、「なんであんなに声が大きいんだろう」と不思議に思った経験がある人は多いと思います。
しかし彼らにとっては、自分たちが大きな声で話しているという感覚はありません。
彼らにしてみれば日本人こそ「声が小さい国民」なのです。
欧米人に比べるとアジア人は総じて声が小さいのですが、なかでも日本人の声の小ささは際立っています。
その理由は、控えめな国民性というのもありますが、日本語が独特な言語だからです。
日本語の最も大きな特徴は、ほとんど「無声音」がないこと。
言語には声帯を使う「有声音」と、声帯は使わずに息だけで発声する「無声音」がありますが、日本語は有声音が大半を占め、息を強く吐かなくても多くの言葉を発声できます。
そのため、自然と胸式呼吸になりやすいのです。
ただ日本のなかでも、声が大きい人たちはいます。
たとえば関西人。
関西弁は言葉に独特のアクセントがあるため、腹式呼吸になりやすく、声が大きくなる傾向にあります。
関西芸人の方なんて、ものすごく声が通りますよね。
反対に東北弁は、口の開きが小さく、声も小さくなりがちなのが特徴です。
では、どのようにすれば大きな声を出せるのでしょうか。
それは今までも何回か説明した通り、腹式呼吸で、強く息を吐くように発声することです。
練習方法としては、次のような英語の単語を発音してみてください。
「DOG」「FOX」「CAT」「PIG」
お腹に手を置いて、発声したときにお腹が少しへこんでいるかを確認しながら、強く息を吐いて発声してください。
何度か繰り返すと、腹式で発声する感覚がつかめます。
注意したいのは、大きな声を出そうとするあまり、大きく息を吸いすぎて、首や肩の周りに力が入ってしまわないようにすること。
力が入るとのどが締まり、いい声が出にくくなります。
声を出すときには肩や首、胸のあたりはリラックスさせることが大切です。
信頼感と説得力が加わる———説得力を増すための「Sの法則」〜「させて」を改善する営業マンがよく使う言葉に「〜させていただきます」があります。
「商品について説明させていただきます」「金曜日はお休みさせていただきます」など、何気なく使っている人も多いのではないでしょうか。
この「〜させていただく」は間違った日本語であるという説もありますが、文化庁の「敬語の指針」によれば、「相手側又は第三者の許可を受けて行い」「そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合」に使うのなら「適切な範囲」だということです。
たとえば「発表させていただきます」は、相手に時間をもらって、提案を聞いてもらうのですから、許可も恩恵も受けているということで、おかしくはない表現になります。
一方で、「私は○○高校を卒業させていただきまして……」などと言う場合は、相手とは関係なく成立する話なので、不適切な使い方となります。
日本語って難しいですね……。
単語を区切ってしっかり発音する敬語として正しいかどうかはさておき、この「〜させていただきます」はビジネスパーソンの日常会話に浸透している言葉です。
相手を立てて柔らかい印象を与えるので、仕事上、よく利用するのではないでしょうか。
利用機会が多い言葉ですが、口に出すと難しく、噛みやすいという難点があります。
「させていただきます」と言えずに、「さしぇていただきます」「さしていただきます」などと、おかしなことになっている人がよくいます。
自分ではそれほど気にならなくても、相手にとっては「たどたどしい」感じがして少し気になるものです。
噛みやすいのは、日本語のなかでも特に発音するのが難しい「サ行」が連続して2回も出てくるからです。
サ行は摩擦音といって、もともと言いにくい文字です。
そして年齢を経るにつれて、サ行の発音はどんどん難しくなります。
現役アナウンサーでさえ噛んでしまうサ行ですが、簡単にはっきりと言えるようになる方法があります。
それは、「単語を区切って強く息を吐き直す」こと。
「3時にお電話させていただきます」「ご提案させていただきます」「こちらも協力させてもらいます」「明日お伺いさせていただきます」「ぜひぜひ参加させてください」と一気に言おうとするのではなく、「3時に/お電話/させて/いただきます」「ご提案/させて/いただきます」「こちらも/協力/させて/もらいます」「明日/お伺い/させて/いただきます」「ぜひぜひ/参加/させて/ください」
というふうに、「/」のところでしっかりと区切り、一つひとつの単語をしっかりと発音することで噛まずに発音することができます。
なお、同じサ行でよく使う言葉に「そうですね」があります。
これは「させて」ほど言いにくくはありませんが、頻繁に利用することで信頼感や説得力が増す言葉といえます。
お客様の話を聞いているときに「はい」「はい」とだけ相づちを打っていては、ちょっとそっけない印象を与えてしまいます。
「そうですね」「それは大変でしたね」「そう思います」などと、「そ」で始まる相づちを多く使ったほうが、相手に対してより共感を示していることになり、相手の気分を高めることができます。
信頼感と説得力が加わる———稼ぐビジネスパーソンが必ずやっている声の使い方の共通点私の夫が生命保険に入る際に、何社もの保険会社の営業マンを呼んで、それぞれ提案をしてもらったことがあります。
私は横にいて、みなさんの話し方の違いを聞いていたのですが、「この人からは契約したくないな」と思わせる営業マンには二つのタイプがいることに気づきました。
一つは「口から生まれたかのように、とにかくペラペラとよくしゃべる人」。
商品説明はうまいかもしれませんが、なんだか軽薄な印象を受けてしまいます。
もう一つのタイプは、「話し方に覇気がなく、弱々しい感じの人」。
この人に任せていいんだろうかと不安にさせられます。
では、どういうタイプなら契約したくなるかというと、自分が話すよりも、お客であるこちらの話をよく聞いてくれる人です。
多くの営業本にも書かれているように、自分が話すよりも、お客様に話をさせることが営業で成功する秘訣です。
リフレクティングで共感を示すさて、相手の話をじっくり聞くときに使えるテクニックをいくつかご紹介しましょう。
まずは「リフレクティング」です。
相手の言った言葉をそのまま「オウム返し」する話法です。
たとえば、こんな感じに使います。
相手「勇気を出してスクールに来ました。
若い頃からずっと声に悩んできたんです」自分「ずっと悩んできたんですね。
具体的にはどのようなところを?」相手「人から聞き返されてしまうことが多いんです」自分「そうですか。
聞き返されることが多いんですね」単に相手の言葉を繰り返しているようにもとれますが、相手にとっては自分の気持ちに共感を示しているように感じられます。
このテクニックを使うことで、スムーズに会話が続きますし、相手との間に少しずつ信頼関係を築くことができます。
ポイントは、「〜ですね」「〜ですか」の語尾を上げること。
抑揚なくフラットに「聞き返されることが多いんですかー()」と言うと、冷たい印象を与えてしまいますが、「聞き返されることが多いんですか?()」と語尾をしっかりと上げれば、より親身になっている雰囲気を出せます。
ペーシングで一体感を醸成もう一つのテクニックが「ペーシング」です。
これは相手のペースに合わせて話すこと。
ゆっくりと話す人は、ゆっくりとしたペースで物事を考えているもの。
そんな人に対してこちらがマシンガントークで話しては、混乱させてしまいます。
また、早口でせわしなく話す人に対しては、こちらもある程度のスピードで話さなければイライラさせてしまいます。
早さだけでなく、声の大きさ、身振り手振りなど、相手に合わせた話し方をすることで、自分と相手との間に一体感が生まれて、相手は安心して自分のことを話してくれるようになります。
信頼感と説得力が加わる———下あごを下げるだけで明瞭な発音で話せるトークを中心にビジネスを進めていく人にとって、「暗い声」や「不明瞭な声」は致命的な欠点です。
いくらいい内容の話をしていたとしても、なんだか熱意を感じられず、頼りないように思えてしまいます。
また、たとえば商品説明をする際の話し方が不明瞭だと、聞き手の理解も不十分になってしまうのではないでしょうか。
ところが、特に男性にはこのタイプが結構多いんですよね。
その大きな原因は、口の周りの筋肉が動いていないことにあります。
口角が上がっていないし、上唇が下唇に張り付いているんじゃないかというくらい動かない。
口が動いていないということは、口の開きが小さく、口のなかにできる空間が狭いということ。
「体は楽器」と説明しましたが、口のなかの空間が狭いと、音が響きづらくなり、いい声が出ません。
また唇を使った細かい動きもしづらいので、言葉が不明瞭になってしまいます。
口の開きは大きすぎるのもよくありませんが、小さすぎるとちゃんとした声が出ないのです。
口角を上げて話せば自然と口が動くようになるのですが、口角を上げるのがつらい、あるいは恥ずかしいという人もいると思います。
また、口角を上げすぎると口の周りがガチガチに緊張してしまいます。
以前、コールセンターに勤める女性がレッスンに来たことがあります。
その方は長年「口角を上げて話しなさい」と徹底指導された結果、やはり口の筋肉が硬くなってしまい、発音が不明瞭になっていました。
言葉の出口である口や顔の筋肉は、力みすぎてもいけないのです。
そこでもっと簡単な方法が、「下あごを下げる」です。
口は横よりも縦のほうが開けやすく、かつ横に上げたときよりも口のなかの空間が広くなります。
話すときに下あごを下げることを少し意識するだけで、息が出しやすくなって、よく共鳴して、いい声が出せるようになります。
大事な商談のときなどは、下あごを下げることを意識してみましょう。
好印象・心地よく聞こえる方法———流暢に話すための「」たとえば会社説明会や展示会など、人前で何かを説明するとき、息つく暇もなく早口でしゃべってしまう人もいるのではないでしょうか。
噛まずによどみなくしゃべられるなら、それでもいいのかもしれませんが、ほとんどの人は、安定した話し方ができません。
出だしは強いのに、話していくにしたがってだんだん弱くなり、息継ぎをしてまた強く話し始める……という具合です。
そんな話し方では、1時間も続ければ、くたくたに疲れてしまいます。
大事なのは適切に息継ぎをすることです。
多くの人は息継ぎを無意識のうちにやっていますが、息継ぎにもコツがあります。
話している途中でほんの0・5秒だけ、鼻で「スッ」と息を吸うことです。
コソッとカンニングをするように息継ぎをするので、私は「0・5秒ブレス」または「カンニングブレス」と呼んでいます。
息を吸うポイントは、文章の句読点に当たるところ。
説明会などで話す際は原稿を読むことが多いと思いますが、原稿の句読点があるところで「スッ」と息を吸えば、少しくらい早口で説明していても、噛まずによどみなく話し続けることができます。
なぜ口ではなく鼻で吸うかというと、口で息を吸うと、のどや胸のあたりに一瞬力が入ってしまい、胸式寄りの呼吸になってしまうからです。
胸式呼吸でずっと話をしていると、だんだん息が苦しくなってしまいます。
また、これはマイクで話すケースに限りますが、口で息継ぎをすると「すーっ」という音をマイクが拾ってしまいます。
小さな音ですが、聞いている人にとっては耳障りなもの。
ところが鼻で息継ぎすれば、マイクは息継ぎの音を拾いません。
この0・5秒ブレス、カラオケのときにも役に立ちます。
歌を歌っていて途中で苦しくなるという人は、歌詞の切れ目ごとにこの息継ぎ方法を実践してみてください。
息切れすることなく最後まで歌いきれるはずですよ。
好印象・心地よく聞こえる方法———噛む言葉には法則がある。
噛まないための秘策とは?会話をしているときに、噛みやすい言葉があります。
サ行やラ行、マ行、パ行、タ行といった、舌先や唇をよく使う音が、繰り返し出てくる言葉です。
「させて」「られる」「取りざたされる」「もろもろ」など、たくさんあります。
サ行やラ行といった音は、息に瞬発力をつけて強く発声しなければ明瞭に発音できません。
それが連続するので、言いにくく感じてしまうわけです。
話している人があまりに噛みすぎると、聞いている人は「大丈夫かな?」「緊張しているのかな?」と心配になり、話の内容が頭に入りづらくなってしまいます。
また、対面で聞いているときはそれほど気にならなくても、電話で話しているときにたびたび噛まれると、雑音のように気になるものです。
また、話をしていて「あっ、今噛んだ」と気にしすぎると、さらに焦ってしまいます。
噛みそうな言葉を発音する前に体にグッと力が入ってしまい、また噛んでしまうのです。
噛まないようにする発音の仕方は、フレーズを細かく区切って、一つひとつの単語を立たせることです。
次の早口言葉を、句読点のところでしっかりと区切って声に出してみましょう。
「ブラジル人の、ミラクル、ビラ配り」「負傷者、続出」「マサチュー、セッツ、州」「もろもろの、ことが、取りざた、される」
言いにくい言葉でもこのように読めば、噛まなくなります。
「ビラ配り」「続出」がまだ言いにくいようであれば、さらに区切って「ビラ、配り」「ぞく、しゅつ」と言えばいいのです。
細かく区切ることで、一つひとつの単語をはっきりと発音できるようになり、早口言葉のようなフレーズでもつっかえることなく言うことができます。
自信を持って声を出せるようになり、相手にも好印象を与えられます。
好印象・心地よく聞こえる方法———あごを引くだけで何時間話してものどが疲れなくなる長い時間話し続けてのどが疲れたり、風邪をひいたりすると、声がかすれてしまうことがありませんか?かすれ声は聞いていて心地よいものではありません。
また、なんとなく軽薄で雑なイメージを与えてしまいます。
かすれる原因はいくつかありますが、その一つがあごのポジション。
あごを少し上に向けて話している人は、声がかすれやすくなります。
試しに、あごを上に向けて「こんにちは」と言ってみてください。
次に、あごを少し下に向けて「こんにちは」と言ってみてください。
のどの感じが少し違うのがわかると思います。
首には、のど元から耳の後ろにかけて「胸鎖乳突筋」という筋肉があり、首を曲げたり回転させたりする働きをしています。
この筋肉は、あごを上に向けたときに緊張し、あごを下に向けたときにはゆるんだ状態になります。
つまりあごを上に向けると、胸鎖乳突筋を中心に首の周りの筋肉が圧迫され、のどが少し締め付けられたような状態になる。
その状態で声を出そうとすれば、当然声帯に負担がかかることになります。
そして声帯を痛めてしまい、声がかすれるのです。
なぜあごを上に向けて話すのかは、人それぞれ。
単なるクセの人もいれば、老眼のため自然とそうなってしまった人もいます。
首を鍛えていて筋肉が多くついている人も、少し上向きになっていることがあります。
鏡を見てあごの角度をチェックさて、この問題に対する解決策は簡単です。
ズバリ「あごを少し引いてしゃべること」。
あごを少し引くだけで首の周りの筋肉がリラックスし、のどが開いた状態になり、無理なく声が出せるようになります。
仕事でマイクを使って話す機会が多い人にはぴったりです。
あごを下に向けると、声の出る方向とマイクの向きが一直線になり、マイクが声をよく拾うようになるからです。
また、あごを上に向けて話す人は少し「尊大」なイメージを与えてしまいますから、あごを少し引けば見た目の印象もよくなります。
もちろんあごを引くといっても、引きすぎはよくありません。
逆にのどが窮屈になってしまうからです。
立ったとき、あるいは座ったときに、つむじをまっすぐ上に引っ張られるようなイメージで姿勢を正すと、ちょうどよくあごが少しだけ下に向いた状態になるはずです。
自分が上向きに話しているのか、下向きに話しているのかわからない人は、鏡でチェックしてください。
鏡に向かって話してみたときに、まっすぐ正面を向いているつもりでも、あごの裏が少し見えているようであれば、あごが上がっている証拠です。
普段から下げ気味にして話すように気をつけてください。
事務やコールセンターなどで電話応対の仕事をしている人は、机の上に常に鏡を置いておくといいですね。
そして時々自分の様子をチェックして、少しあごを引き気味にして話すように気をつけていると、のどが疲れたりかすれたりすることなく、一日中しゃべることができるはずです。
好印象・心地よく聞こえる方法———注意しても絶対に相手に嫌われない声と話し方仕事のなかで、相手に意見を言ったり、間違いを指摘したり、依頼を断ったりする必要に迫られる場面があるかもしれません。
相手に注意するときの上手な言い方や声の使い方を考えてみましょう。
まず相手が上司や取引先など、自分より上の立場だった場合。
これはなかなか言いにくいですよね。
そんなときは、クッション言葉を上手に使いましょう。
クッション言葉とは、伝えたい言葉の前に入れて、表現を和らげるための言葉です。
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」「大変恐縮ですが」「考え違いだったらすみませんが」「申し上げにくいことなのですが」「失礼なことかもしれませんが」こういった言葉を頭に置いてから、本来伝えたい言葉を切り出すのです。
たとえば、「こちらの製品にお手を触れるのはご遠慮ください」だけではキツい印象を受けますが、クッション言葉をつけて「大変恐れ入りますが、こちらの製品にお手を触れるのはご遠慮ください」と伝えれば、印象はだいぶ柔らかくなります。
注意される側としても、発言を受け止める準備ができるので、その後に続く意見や注意についても耳を傾けやすくなります。
あくまでも口調は穏やかに、申し訳なさそうに言うところがポイントです。
また、事実を指摘するだけでなく、最後に解決策の提案もあわせて行えればベストですね。
目下の人に対しては「カキクケコ」で会社で部下や後輩を持っている人なら、叱ったり注意したりする場面は多いでしょう。
部下や後輩に対してはどのように言えばいいのでしょうか。
私もスクールを経営しているので、スタッフさんたちにはこの方法で注意をします。
この場合、「カキクケコ」に注意して話すようにしてください。
カ:カッ!とならないキ:気づかせるク:口調は穏やかにケ:けなさずにコ:今後どうするかつまり、カッとなっていきなり頭ごなしに叱るようなことをしてはダメ。
あくまでも口調は穏やかに、落ち着いた調子で話すことが大切です。
話を切り出す際には、「今、ちょっといい?」「言いにくいんだけど、聞いてくれるかな?」という前置きを置いてから、さらにクッション言葉を使って、「私の勘違いだったら申し訳ないんだけど」「一つだけ注意しておきたいんだけど」などと本題に入っていきます。
話をするときには、相手をけなしたりせずに事実を指摘することを意識します。
また、話す内容はクドクドと長くならないように、できるだけ簡潔にするといいでしょう。
ねちっこく話せば理解してくれるというものではありません。
そして最後は、今後どうするかを話し合って前向きに終わります。
このときには、明るいトーンで話すようにすると、相手は注意されたことを引きずらずにすみます。
途中、一方的にワーッとしゃべるのではなく、相手の話を聞いてあげることも大切です。
その際、ところどころ時間を取って、あえて沈黙するという方法も効果的です。
沈黙している間に、相手はこちらが言った言葉を反芻し、理解しようとしてくれます。
時には解決策を自分で見つけ出してくれることもあります。
好印象・心地よく聞こえる方法———愛想の悪い店員でも一瞬で変わる方法飲食店の店員さんで、言葉は丁寧なのに、なぜか愛想悪く感じる人っていませんか?またコールセンターなどへ電話したときも同様に、話し方に冷たい印象を受ける人がいます。
その理由を考えてみて、ある共通点に気づきました。
彼らが何か質問してくるときに、疑問系なのに語尾が上がっていなかったのです。
例を挙げるとこんな感じです。
「3名様でよろしいでしょうかー()」「ご注文は以上でおそろいですかー()」「少々お待ちいただけますかー()」大きな声で接客しているのですが、疲れているのか、それともマニュアルを繰り返しすぎて心が込められなくなっているのか……。
とにかく、普通ならば「ですか?()」「でしょうか?()」と語尾を上げなければならないところなのに、語尾を平坦に強く言ってしまっているために、きつい印象を受けるのです。
これでは話しかけられているお客様も、質問を受けているのかどうかわかりません。
場合によっては、喧嘩を売られているような気さえしてしまいます。
質問するときはきちんと語尾を上げる。
これだけでだいぶ印象は変わります。
接客をやっている人は特に注意するようにしましょう。
ただ、語尾を上げる度合いが激しすぎると、ちょっと軽い印象を与えてしまうので要注意。
威厳を示したい仕事をしているときには、語尾上げは控えめにするなど、自分で調整してみてください。
逆のテクニックとして、相手をイラッとさせたいとき、威圧感を与えたいときは、あえて疑問系なのに語尾を上げないという使い方もできます。
お行儀はいいとはいえないので、あまりオススメしませんが……。
好印象・心地よく聞こえる方法———魔法の言葉「ね」をつければコミュニケーションはうまくいく子供の教育では最近、「ほめて伸ばす」という考え方が主流になっているようです。
険しい顔で欠点やミスを指摘するよりも、長所をほめてやる気を引き出したほうが、伸び伸びと育ってくれるのでしょう。
職場でのコミュニケーションにおいても同様です。
叱られてばかりよりもほめられたほうが人は気持ちがいいですし、仕事の成果も出ます。
「ほめるなんて気恥ずかしい」「うちの部下はほめるところが見つからない」なんて人もいるかもしれませんが……。
「ほめて伸ばす」教育に慣れている最近の若者は、怒ってばかりの上司にはついてきません。
ほめたりおだてたりして部下のやる気を引き出していい仕事をしてもらったほうが、結果的には自分にとってプラスになって返ってきます。
さて、普段ほめ慣れていない人がいきなりほめようとしても、気恥ずかしくてなかなかうまい言葉が見つからないかもしれません。
具体的にはどのようにしてほめればいいのでしょうか。
「ね」の語尾を上げてほめるほめるときに効果を発揮する魔法の言葉、「ね」を使えばいいのです。
『ほめ言葉ハンドブック』(PHP文庫、本間正人・祐川京子著)から、いくつかほめ言葉の例を引用してみます。
「行動力があるね」「君は必ずやり遂げる人だね」「いいアドバイスしてくれるよね」「このレポート、説得力あるね」「好調だね」「いい時計しているね」「センスがいいね」これらの言葉について共通していえるのは、語尾に「ね」がついていること。
ほめ言葉には、「ね」がつくことが多いのです。
そして私が思うポイントは、「ね」のときに語尾をしっかりと上げること。
柔らかい感じで語尾に感情を込めて「〜だね」「〜ですね」と言うことで、自分が感心しているということが相手に伝わります。
ただし「ねっ!」と強く言いすぎると、逆に嫌みを言っているような冷たい感じに聞こえてしまうので要注意です。
上司や取引先のご機嫌を取りたいときも、この「ね」を使ってみてください。
心にもないような言葉であっても、感情を込めて言ったように聞こえます。
相手を気持ちよくさせてあげれば、お互いの信頼関係が高まって、自分の成績アップにつながるかもしれませんよ。
好印象・心地よく聞こえる方法———クレーム対応で使える「」私は、コールセンターの企業研修を任されることが多くあります。
そこでよく聞くのは、コールセンターへのクレームは、商品やサービスに対するものよりも、受付のオペレーターに対するものが多いということです。
つまり、「商品が壊れた」「配達が遅い」といったクレームよりも、「オペレーターの態度が悪い」というクレームを入れてくるお客様のほうが多数なのです。
といっても、オペレーター本人たちが実際にひどい態度で応対しているケースは少なく、普通の態度で応対しているのに、「態度が悪い」と思われてしまうことがほとんどのようです。
特によく聞くのが、「謝ったのに、謝り方がなっていない」というもの。
本人はしっかりと謝ったつもりでも、お客様のほうは、事務的に、淡々と謝っていたように感じてしまうというのです。
オペレーターに限らず、ビジネスの現場ではお客様からクレームを受けることはあると思います。
相手の言い分が正しい場合もあれば、なかには単なる言いがかりの場合もあります。
いずれにしても、多数のクレームに対して一つひとつ丁寧に接していかなければならないのですから、マニュアルに則った事務的な対応になるのも仕方がないことだと思います。
しかし、自分の感情がどうであったとしても、相手には関係ありません。
きちんと反省していることを、言葉と様子で伝えてほしいと思っているのです。
語尾を弱くして反省の気持ちを表すそこで謝罪のときに効果的な言い方があります。
音楽用語でいうディミヌエンド、「だんだん弱くする」です。
「このたびは私どもの不手際で配達が遅れてしまい、大変、申し訳ありませんでした」このようなフレーズを話すときに、一つひとつの語尾を飲み込むようにして発声し、文の終わりにかけてはだんだんと声を小さくしていきます。
謝罪のときにクレームになるのは、最後の音を無意識のうちに強く言ってしまっているから。
「大変申し訳ありませんでしたっ!」と元気よく言っても、相手をさらにイライラさせるだけ。
最後の音は聞こえなくなるくらいに小さくすることが重要なのです。
よく演歌歌手が歌い終わった後に、「ありがとうございます……」とほとんど聞き取れない声で言っていますが、イメージとしてはあんな感じですね。
電話応対のときはこれだけで構いませんが、対面での謝罪のときはさらに目もつぶります。
声をだんだん小さくしていくのと同時進行で、目を伏せていき、最後にはぎゅっと目をつぶってお辞儀する。
この究極の謝り方を実践すれば、相手の激しい怒りもかなり収まります。
機会があったら(あってほしくないですけど)ぜひ実践してみてください。
伝わる声と話し方———メリハリをつけるための簡単な強弱のつけ方「自分の主張や気持ちを相手にきちんと理解してもらいたい」そう思っていても、なかなか理解してもらえないなら、話し方にメリハリがないのかもしれません。
メリハリがないと、淡々と一定の強さで説明しているだけのように聞こえて、相手はがんばって聞かなければどこが重要なポイントかわかりません。
反対に、音の強弱や高低をつけてメリハリのある話し方をすれば、「ここは大切なポイントなんだな」「この人はこの部分をアピールしたいのか」とわかってもらえます。
お手本となるのが、テレビショッピングでお馴染みのジャパネットたかた・高田明前社長です。
高田さんといえば、甲高い声と独特のトークでよく知られていますよね。
高田さんの商品紹介トークはメリハリが利いています。
通常時はあの甲高い声で少し早口で話していますが、丁寧に説明する箇所になると、少しゆっくりと「これ、ものすごいんです。
1分間に3000回振動して……」と語りかけます。
そして最後には力強く、ひときわ甲高い声で「金利手数料はジャパネットたかたが負担いたします!」と締めくくる。
ちなみに地声は結構低い声のようです。
高田さんのメリハリあるトークは素晴らしいのですが、なかなかまねできるものではありません。
無理にメリハリをつけようとして、声が大きすぎたり小さすぎたりと、過剰になってしまうこともあります。
そんなメリハリ初心者にぜひ試してほしいのが、音量のレベルを決めておくことです。
たとえば商談の場を想定して、大・中・小の音量を自分のなかで設定してみるのです。
大……広い会議室で3メートル先の相手に話しかけるような音量。
中……相手の音量に合わせたノーマルな音量。
小……相手にささやく感じの音量。
このようにして、まず自分のなかで音量を設定し、次に用意した文章を読んで、メリハリをつける練習をします。
用意する文章は、会社案内でも商品パンフレットでも何でも構いません。
強調したい部分を四角で囲んで、その上に、大きく言うところには「大」、小さい声で魅きつけたいところには「小」のマークをつけておきます。
例を挙げてみましょう。
「私たちの会社は、大ビジネスパーソンのための、ボイストレーニングスクールです」「今日の商品、小ここだけの話なんですが、20%オフにさせていただきます」このようにして何度か練習してください。
ここでも大事なのは、恥ずかしがらずに少しオーバーにやること。
人が聞けばそれほどオーバーには聞こえませんから、自分のなかでは思いきってやりましょう。
感情を込めて文章を読むのは難しいのですが、声の大小なら誰でもできるはず。
そして大小の変化をつけるだけで、リズム感やメリハリが感じられる話し方になり、相手の理解度も高まります。
伝わる声と話し方———はっきりと「NO」が言えない人が「」商品の勧誘など相手からの誘いを断りたい、あるいは相手を拒絶したいと思っても、性格的に優しすぎて、はっきり「NO」と言えない人がいます。
言葉では「NO」と言っても、言い方が優しいので相手には伝わっていないこともあります。
そんな人にとって簡単な「NO」を伝える方法があります。
声にメリハリをつけないことです。
あえてメリハリをつけずに、徹底的に平坦な話し方をしてみましょう。
相手「明日空いてる?」自分「すみません。
予定が入っています」相手「では来週半ば頃はどう?」自分「あいにく、しばらく予定が立て込んでいるので時間が取れません」相手「なら、いつあいているの?」自分「まだ、先が見えません」こんな感じのことを淡々と冷静に言われたら、さすがに相手は「あれ?嫌われているかな?」と察してくれるのではないでしょうか。
冷静に、理論的に、淡々とした話し方で攻められると、自分が相手にされていないような感じがして結構ダメージを受けてしまいます。
対面で話している場合なら、無表情をキープし、相手の顔をしっかりと見据えて言えばより効果的。
言葉遣いはあえて丁寧にしたほうが、クールな感じがしてグッドですね。
ただ、この話し方は相手に対して印象がよくありません。
断ることが苦手だったり、いつも安請け合いして損をしたりする人に、効果的な手段です。
伝わる声と話し方———聴衆の心をつかみたいときは、手を差し出す大きな会議や研修会、発表会、講演会などで、大勢の前でスピーチをする機会がある人もいるでしょう。
スピーチで聴衆の心をつかみたいなら、これまでに説明したような、強弱・大小の「メリハリ」ある話し方をするのはもちろん、身振り手振りも大切になります。
壇上にただ突っ立ったまま、身動き一つせずに淡々としゃべっていたのでは、見ている聴衆はおもしろくありませんし、眠くなってしまいます。
スティーブ・ジョブズ氏しかりオバマ大統領しかり、スピーチの上手な人はみんなジェスチャーが大きいのが特徴。
普段話すときよりもオーバーにジェスチャーしたほうが、聴衆を魅きつけられます。
理想は自然体でジェスチャーが出ることですが、普段やり慣れていないと、なかなか自然にできるものではありません。
そこで一つ、簡単で効果的、かつ声にもメリットのあるジェスチャーをご紹介しましょう。
それは、「自分から相手に手を差し出すジェスチャー」です。
目の前にいる人を指名するような感じで、聴衆に向けて、指を揃えて手を向けます。
その際、腕を上から下にゆっくりと振り下ろすようにするとなおグッドです。
「とても大きな可能性を秘めていると思いませんか?」と語りかけるときはもちろん、「よく聞いてください。
ここが重要なポイントです」と強調するときも、手を差し出しながら言います。
このジェスチャーを一つ使うだけでも、全身を使って情熱的に、大きな自信を持ってしゃべっているように聴衆は感じます。
アメリカのジョン・F・ケネディ元大統領も、これと似た空手チョップ風のジェスチャーを頻繁に用いていました。
このジェスチャーのもう一つの利点は、腕を上から下に動かす動作によって、発声もしやすくなるということです。
第1章で「マーライオン」のトレーニングをしましたが、あれと同じ原理です。
ジェスチャーと一緒に発声することで、腹式呼吸のよく通る声を出すことができます。
ただ、10人程度の少人数の前でこのジェスチャーをやると、大げさに見えてしまうので、注意してください。
だいたい50人以上の前でスピーチやプレゼンをするなら、こんなジェスチャーをやっても大げさにはならず安心して見ていられます。
伝わる声と話し方———NGワード「え—」「あ—」を言わないためには鼻から息を吸うだけプレゼンやスピーチでは、どうしても緊張してしまいますよね。
そうなると出てくるのが「えー」「あー」といった、意味のないつなぎ言葉です。
話し慣れていない人のほとんどは「えー」「あー」を頻繁に使います。
しかも無意識のうちに。
次のような感じです。
【悪い例】「えー、本日はこのような流れで、お話を進めていきたいと思います」「えー、目的や企画内容に合わせて、気になるところはメモしてください」「えー、それでは本題に入ります」多少は仕方がないことだと思いますが、あまりにも連続して出てくるようだと、聞いている人は「この人は自信がないのか?」「迷っているのかな?」と感じてしまいますし、大雑把な印象を受けます。
中盤に行くにしたがって「えー」「あー」の回数が増えていく人もいれば、「え———」と3秒くらい伸ばしている人もいます。
こうなると信頼感どうこうよりも耳障りです。
特に、早口の人は「えー」「あー」を頻繁に挟む傾向にあります。
そんな人の話を聞くと、「『えー』とか『あー』を挟まないで、その分もっとゆっくりしゃべればいいのに……」と気になってしまいます。
「えー」「あー」を挟まないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
一つのフレーズを言いきったら必ず「鼻から軽く息を吸う」、このクセをつけることです。
フレーズとフレーズの間で鼻から息を吸えば、息が続いてよどみなく話せるようになりますし、ちょっと間が空くので頭のなかも整理できます。
聞いているほうとしても、ムダな雑音がなくなって話にきちんと集中できます。
先ほどと同じ文を、「鼻から息を吸う」を意識して読んでみてください。
【よい例】「(息を吸う)本日はこのような流れで、お話を進めていきたいと思います」「(息を吸う)目的や企画内容に合わせて、気になるところはメモしてください」「(息を吸う)それでは本題に入ります」
いかがでしたか?「えー」「あー」を挟むことなく、スムーズに読むことができたのではないでしょうか。
先ほどの悪い例と両方声に出してみれば、その差は歴然です。
聴衆が受ける印象はまるで違います。
「えー」「あー」の撲滅にぜひ取り組んでください。
伝わる声と話し方———顔で話せば伝わる!効果的な表情の使い方話すときに相手を魅きつける要素は、話し方やジェスチャーだけではありません。
表情も重要な要素の一つ。
元アップル日本法人の社長で、「日本で一番プレゼンがうまい」と言われている前刀禎明さんの講演を聞きに行ったことがあります。
彼が言っていたのは、「日本人は顔で話していない。
プレゼンでは顔で話すことが大事」ということ。
顔で話すというのはつまり、状況に合わせて表情を効果的に使うということです。
確かに、日本人のビジネスパーソンは表情の乏しい人が多いですよね。
表情が乏しいと、顔の筋肉があまり動きませんから、いい声も出にくくなります。
商品を説明するだけならそれでもいいのですが、聞いている人に共感を持ってもらいたいとか、商品の魅力をアピールしたいといった場合には、無表情での説明では伝わりにくいものがあります。
・大事なところでは眉をクッと上げて、大きな声で話す。
・楽しい内容を話すときには楽しそうな笑顔を見せる。
・厳しいことを話すときには、険しい顔をする。
ごくごく基本的なことのようですが、このように状況に合わせて表情をつくることで、聞いている人は魅きつけられるのです。
表情をつくることの効果は声にも表れます。
眉を上げたり、頬を上げたりすれば顔のなかに空間が生まれて、声が響きやすくなるからです。
試しに、プレーンな表情で「こんにちは」と声に出してください。
次に、眉を上げて「こんにちは」と声に出してください。
同じ言葉でも、音質が少し変わったはずです。
これはスピーチだけでなく、1対1の商談の場でも有効です。
大事な場面では眉を上げて、「当社の商品を購入するなら今しかありません!」と決めゼリフを口にしてみてください。
熱意がきっと伝わるはずですよ。
聴衆を魅きつける声のコントロール———「」人前で話すのが上手な人や、トークを武器にしている営業マンは、みなさん声の高低を上手にコントロールしています。
ついでにいえば音感がよく、カラオケが得意な人も多いですね。
彼らは、声の高さのコントロールを無意識のうちにやっています。
でもそれ以外の多くの人は、声のコントロールは上手にできていません。
何も意識せずに、地声をそのまま自然に出しているだけでしょう。
地声が心地よい声だったらいいのですが、あまりいい声でなかったら……。
または軽薄な印象の声、暗すぎる声だったら……。
声だけで損をしていることになります。
反対にちょっと声の高さを変えるだけで、見違えるほど信頼できる声になることもあります。
そこで、声の高さの調整に挑戦してみましょう。
自分の地声の高さを測定するまずは、自分の声の高さを把握することが大切です。
スマホやタブレットなどで、ピアノのアプリを用意してください。
無料のもので構いません。
そしてピアノの音を出し、声を出しながら、自分の声はどのあたりの音なのかを探っていきます。
一般的な地声は、女性ならピアノの鍵盤の中心である「ド」を含めた「ド・ミ・ソ」の音。
男性は女性の一オクターブ下の「ソ・シ・レ」あたりの音になっていることが多いでしょう。
そこで、たとえば男性なら「ソ」の音を出して、それに合わせた高さで「こんにちは」と言ってみます。
次に「シ」「レ」でも同じように、音に声の高さを合わせて「こんにちは」と言ってみます。
そのなかで、自分が一番無理なく発声できた高さが、自分の地声です。
そして次のステップとして、自分の地声に加えて、他の高さの声も出せるように訓練します。
たとえば地声が「シ」ならば、少し低い「ソ」でも声を出す感覚をつかむのです。
複数の高さの音が出せれば、高い声は「商談や電話応対の際の明るいイメージの話し方」、低い声は「会議やプレゼンなどで使う威厳のある話し方」というように、シーンに応じて使い分けることができます。
ちなみに理想的な高さは、男性なら「ソ」「シ」、女性なら「ド」「ミ」です。
男性の「レ」、女性の「ソ」は、ビジネスの現場では高すぎで、信頼できない軽薄な感じ、あるいは幼稚な感じに聞こえてしまいます。
時には耳障りにも思えるかもしれません。
声の高さを測定して地声が高かった人は、職場の騒音になっている可能性がありますので、もう少し低い声を普段から出すようにしましょう。
共鳴する場所を触って感覚をつかむさて、女性は「ド・ミ・ソ」、男性は「ソ・シ・レ」の声を出す感覚をつかむための「ドミソッソ体操」をしてみましょう。
「ド・ミ・ソ〜〜、ド・ミ・ソ〜〜」(あるいは「ソ・シ・レ〜〜、ソ・シ・レ〜〜」)と発声しながら、低い音を出すときには「胸」、中くらいの音を出すときには「こめかみ」、そして高い音を出すときには「頭の上」に手を持っていき、繰り返すという体操です。
それぞれの手を置く位置は、声を出したときに振動する場所を示しています。
低い音では胸、中くらいの音では頭が振動し、高い音ではどこも振動しません。
発声しながら手を置いたときに、そのポイントがきちんと響いているかチェックしてください。
聴衆を魅きつける声のコントロール———原稿をつくっておけば、抑揚も思いのまま話し方に抑揚のある人のスピーチには、自然に聞き入ってしまいます。
反対に、抑揚がないスピーチはとても退屈な印象を受けます。
あまりに抑揚がなさすぎると、「ダダダダダダーッ」という不快な工事の音のように、耳障りにさえ聞こえることもあります。
言葉は音楽と同じです。
音の高低や大小、リズムがある音は耳に心地よく聞こえ、そういった変化がない音はうるさく聞こえるのです。
さて、スピーチでの抑揚のつけ方について説明しましょう。
「スピーチ全体」と「個々の文章の読み方」の二つで抑揚をつける方法があります。
まず、すごく簡単な方法は「スピーチ全体」で抑揚をつける方法です。
スピーチの出だしは落ち着いたトーンで、中盤は声をやや大きくして感情を込めて話し、そして終盤にはまた落ち着いたトーンに戻って締めくくる。
これを意識するだけでも、印象はだいぶ変わります。
もう一つは、文章の一つひとつに対して細かく抑揚をつけていく方法です。
これまでも声の大小や息継ぎの方法について説明してきましたが、それらのテクニックをここでまとめて活用します。
まずは声に出す前に、スピーチのスクリプト(原稿)を用意し、そのポイントとなるところに次のようなマークを書き込んでください。
・単語の頭でしっかり息を吐くところは、○をつける・音量は、大小のマーク・強調したいところは、で囲む・ゆっくり話すところは、波線()・語尾を上げるところは(斜め矢印)・リズムをつけるところ、間を置くところは、V(ブレス)のマーク
スクリプトは音楽でいう楽譜と一緒。
事前にスクリプトに必要な要素を全部書いておけば、本番の際、イメージした通りに抑揚をつけたスピーチを行うことができます。
あとは練習をするのみです。
大統領だって大企業の社長だって、演説の前にはきちんと練習しています。
ぜひたくさん練習してから本番に臨んでください。
聴衆を魅きつける声のコントロール———思わずあなたの話に聞き入る「」先日、たくさんの企業の担当者が集まるセミナーに呼ばれて講演をする機会がありました。
しかし、公演直前にパソコンが壊れるというハプニングが発生!パワーポイントが使えないなかで、自分の手書きの図をスクリーンに映しながらの説明になってしまいました。
普段ほとんど緊張することのない私ですが、あのときは焦りもあってとても緊張しました……。
緊張はしたのですが、何度も繰り返してきたセミナーですし、一つだけ気をつければ大丈夫と自分に言い聞かせました。
その一つとは、「フレーズが途切れるところでしっかりと間を取る」です。
人はスピーチの際に緊張するとテンションが上がり、早口になってしまう傾向にあります。
早口になれば言葉を噛みやすくなりますし、「えー」「あー」といった余計な言葉を挟みやすくなります。
また、一本調子のマシンガントークでは、聞いている人は大事なポイントがどこかわからなくなります。
フレーズごとにきちんと間を取れば、たとえ緊張していても、早口にならず、また噛んだり言い間違えたりすることも少なくなります。
実際にそのときも、「ワンフレーズにひと間」を実践することで、心の焦りを抑えて話すことができました。
聴衆をよく観察する余裕も生まれ、聴衆の反応に合わせて、途中で話の組み立てを変えることもできました。
ワンフレーズに一つ「間」を取るフレーズが途切れるところで間を取るといっても、どれくらいの長さで間を取るかは、聴衆の人数によって異なります。
聴衆が10人〜数十人くらいの場合は、1秒程度でいいでしょう。
演台があるなら演台を「ポン」と指で1回たたくくらいの間隔です。
演台がない場合は自分の膝のあたりをたたけばいいでしょう。
このケースも先程と同様に、大きな会議や株主総会など、聴衆が100人を超えるような状況ならば、2秒くらいの間を取ってもおかしくはありません。
聴衆を魅きつける声のコントロール———言葉に感情を込めやすくなる「」冷静で抑揚のない口調で、言葉に感情がこもっていないように聞こえる人がいます。
あまりにも淡々としているために、話している言葉に対しても、「本心でそう思って言っているのかな?」と疑問に感じてしまうことも。
そのような人はたいていの場合、本当は冷たいわけでもウソをついているわけでもありません。
ただ単に、顔や声に表情が乏しいだけです。
感情表現の乏しい人が、少しでも感情豊かに話せるようになる、ちょっとしたテクニックをお教えしましょう。
「しい」を上手に使うことです。
「うれしい」「楽しい」「おかしい」「おいしい」「素晴らしい」「初々しい」など、「しい」がついてポジティブな言葉はたくさんあります。
これを頻繁に使うようにします。
発音ポイントは、最後の「しい()」のところで語尾をグッと上げ、少し伸ばし気味にすること。
その際、口角を上げながら「しい」と言えば、声のトーンも少し高くなるのでさらに効果的です。
イメージとしては、タレントのローラさんのしゃべり方です。
感情表現が下手な人は、この「しい」のつく言葉を平坦に発声してしまいがちで、それが相手に違和感を与えてしまいます。
「しい」の使い方一つで、相手が受ける印象が変わるんですからおもしろいですね。
ただし、この「しい」、とても簡単なようですが、レッスンで生徒さんにやってもらうと意外にうまくできません。
特に男性は恥ずかしがってしまい、右のようなポジティブな言葉を使わないのですが、使うべきです。
でも恥ずかしさを通り越してできるようになると、自分のなかになんだかポジティブな気持ちが芽生えてきて、メンタルが軽くなるという人もいますよ。
聴衆を魅きつける声のコントロール———息を吐けば吐くほど緊張がなくなる緊張してしまうと、いい声も出せなくなります。
体がこわばって肩や胸のあたりに余計な力が入り、胸式寄りの浅い呼吸になってしまうからです。
日本人は緊張しやすい人が多い気がします。
特に大きな会議やプレゼンなど、大勢の人の前で話すときには緊張してしまいますよね。
緊張を治す方法は簡単、「深く息を吐くこと」です。
その前に、脳の働きについて簡単にご説明します。
私たちが「緊張、不安、恐怖」を感じると、脳内にセロトニンという物質が分泌され、それらの感情を和らげる働きをしてくれます。
ところがセロトニンの分泌量が少ないと、「緊張、不安、恐怖」を感じやすくなってしまいます。
そこで「緊張、不安、恐怖」をコントロールするためには、セロトニン神経を刺激したり、セロトニン神経と密接な関係にあるオキシトシンを十分に分泌させたりすることが必要になってきます。
そのために大切なのは日頃の「運動、食事、睡眠」なのですが、緊急時に簡単にできるのが「呼吸」です。
ここで、脳生理学の権威である有田秀穂さんの著書から、セロトニン神経を活性化させる呼吸方法について引用します。
「簡単にできるのは、椅子に座ったままで、頭の中で呼吸の数を数えながら、意識的に吐く息を長くする呼吸をすることです。
緊張したときやカッとなったときなどは、大きく息を吐き出して、深呼吸をすると落ち着くものです。
これは、しばらく呼吸に意識を集中するとセロトニン神経が活性化され、気分が安定するためです。
とくに集中した状態で五分以上続ければより効果的です」『「脳の疲れ」がとれる生活術』(PHP文庫、有田秀穂著)つまり5分程度、深く吐くことを意識して呼吸するだけ。
深く吐けば、自然と吸うことになりますから、吸うことは意識しなくて構いません。
そして吐くときはお腹に手を当てながら、腹式呼吸になるように気をつけてください。
私もセミナーやテレビ出演の前はこの方法で深呼吸して、自分を落ち着かせています。
あがり症の人は一度試してみてください。
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