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第2章できるリーダーの「部下を覚醒させる任せ方」

第2章できるリーダーの「部下を覚醒させる任せ方」

01リーダーの「任せる覚悟」が、部下を覚醒させる⦿「裏切られても、かまわない」と腹をくくる⦿「人は必ず変わる」と信じてみる02リーダーは自らの経験を封印し、部下に「経験」させる⦿部下のノビシロに期待するなら、「できる」けど、やらない⦿経験を通じて「何を学んでほしいのか」を考える⦿任せる時は、部下の特性や成熟度をよく考える03こうすれば、新人にも仕事を任せられる⦿任されるのはイヤ、と思っている新人⦿新人には、「一緒に、丁寧に」のスタンスで任せていく04任せ上手なリーダーは、あえて「失敗談」を語る⦿「背中を見て覚えよ」は職場を地雷原にする⦿「上司の恥ずかしい失敗談」が、部下の主体性を引き出す05むしろ、「実績がないリーダー」をお手本にする⦿「経験のない人にかなわない」とはどういうことか

⦿「経験のないリーダー」の戦い方をマネする06トップダウンとボトムアップを使い分ける⦿民主的すぎるリーダーの落とし穴⦿「方針」はリーダーが決め、「方法」はメンバーが考える07「任せる」と「放任」の違いを理解しておく⦿任せていたはずの「優秀な部下」が、爆発する時⦿「任せる」と「放任」の違い

01リーダーの「任せる覚悟」が、部下を覚醒させる簡単な業務を任せるだけでは、「任せ上手」とは言い難い。

任せることで、部下を覚醒させる上司こそが「本当の任せ上手」。

そのためには、リーダーには「覚悟」が求められる。

⦿「裏切られても、かまわない」と腹をくくるある時、こんな話を喫茶店のオーナーから聞きました。

レジからお金をくすねるバイトがいたそうです。

でも、そのオーナーは、そのバイトにこう言ったそうです。

「やったことはアカンことや。

でも、アンタは見込みがある人や。

もうやらへんか?」そう叱った後、クビにするどころか、またレジを任せたというのです。

すると任されたバイトは、それ以来、くすねるどころか、今まで以上に精を出し、セカンド(店長補佐)を任せられるまでになったというのです。

まさに覚醒した瞬間です。

これは「任せる時、リーダーには覚悟が必要となる」ということを教えてくれるエピソードでしょう。

「この人の可能性にかける」という覚悟。

そして、「裏切られてしまったら、その時は自分が悪かったのだ」と受け入れる覚悟。

この話を、複数の経営者にしたところ、ほぼこういう反応が返ってきました。

「常に、裏切られるかもしれないという不安はある。

でも、任せないと何もできない」と。

⦿「人は必ず変わる」と信じてみるでも、結果をスグに期待してしまうと、任せられなくなります。

部下はミスもするし、最初は思った通りにはできないのが当たり前。

期待すべきは、スグの結果ではなく、その人のノビシロです。

NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』で紹介されていた、食品スーパー・成城石井の大久保恒夫社長(当時)のエピソードは、まさにそれでした。

大久保社長は小売り再建のエキスパートとして、ユニクロ、無印良品、デニーズ等の改革に携わった有名な方。

その番組では、苦境にあえぐ成城石井のある店長が、覚醒する瞬間が紹介されていました。

部下のハートをつかめない不器用で内気な店長。

店舗の重要モニタリング指標は最低点。

店の雰囲気も活気がなく、最悪の状態。

会社によっては降格になってもおかしくない状況です。

でも、大久保社長は、降格にするどころかこう語るのです。

「人は、必ず変わる。

だから、変わる〝きっかけ〟を与える。

私は、変わるまで待つ。

私は、人を信じている」後日、その店長に「勢いのある店」を見学するという〝きっかけ〟を作りました。

その店を見た店長は、自分のやり方との違いに愕然とします。

悩みぬいた末、店長は覚醒します。

店長は部下を集めて、堂々と語ったのです。

「笑顔でお客様と会話ができる店にする、これが私の目標です。

1人ではできません。

どうか、力を貸してください。

お願いします!」と。

その日を境に彼は部下に思いを語り続けるようになり、店に活力が戻った──そんなエピソードでした。

実は、この店長をよく知る方と話をする機会があり、「このエピソードは本当なのか?」と聞いてみました。

「人は本当にこんなにも変わるものなのか?」と。

本当でした。

大久保氏が着任する前の成城石井は活気がなかったそうです。

でも、大久保氏が着任してから、社内の雰囲気は一変し、業績も好調に。

この店長は10年後の今も立派に活躍されているそうです。

リーダーが「まだ、任せられない」という場合、業務遂行の視点でしか見ていないからかもしれません。

そうではなく、部下を覚醒させる「きっかけ作り」という視点で判断するのが正解です。

あなたにもパーフェクトでない部下もいるかもしれません。

でも、「信じて任せてみる」のは、いかがでしょうか。

それが、部下を覚醒させる、大きな一歩になるはずです。

Point「スグの結果」ではなく、その人の「ノビシロ」に期待する、と決めよう。

02リーダーは自らの経験を封印し、部下に「経験」させるリーダーが自らの経験を使ってうまくやっても、未来への投資にはならない。

部下のできることを増やし、自信を持たせることこそ、未来への投資。

根拠のある自信を育むためには、ひたすら経験をさせるしかない。

⦿部下のノビシロに期待するなら、「できる」けど、やらないリーダーに必要なことは、過去の「経験」でうまくやることではありません。

必要なことは、未来に対する「投資」です。

部下の育成も投資。

あなたが、過去の「経験」を使ってうまくやっても何の投資にもなりません。

部下に仕事を任せ、失敗してもいいので、経験をさせることこそが理想のリーダーなのです。

以前、会社員だった時、新規事業の責任者に任命されたことがありました。

しかし恥ずかしながら、スタートダッシュが悪く、初年度は想定以上の赤字だったのです。

すると本社から一通のメールで呼び出しがかかりました。

「副社長が話を聞きたいとおっしゃっています」と。

真っ青になりました。

私が言葉を間違えると、その事業が中止になってしまうかもしれなかったからです。

直属の上司が副社長と距離の近い方でしたので、「話をつけてもらえないか」と助けを乞いました。

上司同士で話をつけてくれたら、一瞬で決着するはずだったからです。

でも、返事は違いました。

こう返ってきたのです。

「(1人で)行ってこい」と。

青天の霹靂でした。

それでも、1人で本社に行き、事情を必死に説明した結果、応援をしてもらえることになりました。

そして、この経験が私の甘えを断ち切ることになり、責任感を強めることになったのです。

⦿経験を通じて「何を学んでほしいのか」を考える上司は、私に自覚を持たせようと考えたのでしょう。

当時の私が甘かったのだと思います。

なので、「行ってこい」とあえて突き放したのです。

口で教えるより、「経験」が一番の勉強だと、つくづく感じます。

ですから、あなたなら簡単にできることでも、部下に克服すべき課題があるなら、あえて部下に経験をさせてみてください。

もし、次のリーダーに育てたい部下なら、チーム全体をみる仕事の一部を任せていく。

挑戦心が低い部下なら、小さな挑戦をさせ、成功体験を通じて自信を持たせる。

自分勝手な孤高の部下には、後輩の面倒を見させ、失敗をさせることで、考えるきっかけを与える。

あなたの部下を見渡してください。

課題はないですか。

期待があれば、必ず課題はあるはずです。

さっそく、「一皮むける経験」をさせてあげるのはいかがでしょう。

⦿任せる時は、部下の特性や成熟度をよく考えるただし、部下の特性をよく見極めないと、部下をつぶしてしまうことにもなりかねません。

気にかけるべきは、部下の成熟度です。

新人には、細かくやり方を教えることが不可欠ですし、中堅には、自分で考えさせるといったことが重要です。

また、部下の段取りの良し悪しも見るべき点です。

任せたはいいものの、仕事が処理しきれず、残業が続くとなると本末転倒です。

段取りの悪い部下には、段取りの付け方も含めて関与しないと、つぶれてしまいます。

時には、先輩社員とペアでやってもらうといったサポートも必要でしょう。

そして、いかなる部下でも、任せる時にはひとこと伝えてほしい言葉があります。

「どう、できそうかな?」です。

意志を確認することで、部下に〝わがこと〟感を持ってもらいます。

この後、待ち受ける困難も、乗り越えてくれるようになるでしょう。

Point自分でやらず、失敗をしてもいいので、部下に挑戦させよう。

投資だと思って。

新人にも!

03こうすれば、新人にも仕事を任せられる「新人だから、任せるのはまだ早い」と思った瞬間、新人の成長は遅くなる。

新人にも仕事を任せられる上司こそが、新人の成長を加速させることができる。

ムリをさせることなく、丁寧に任せていく方法を習得しておきたい。

⦿任されるのはイヤ、と思っている新人リクルートマネジメントソリューションズの調査レポート「今年の新入社員は何を求めているのか?(2017年)」の中に注視すべき結果があります。

「仕事を任せること」を上司に期待している新人の割合は、約5%。

なんと20人に1人しかいないというのです。

だからといって、「じゃあ、任せるのは難しいな…」と躊躇するのは早計です。

そうじゃないのです。

甘くしたところで、「ココでは成長できない」と見切られるだけです。

第1章でも述べました。

新人の4年目以降の成長は、最初の3年の経験で決まる、と。

またそれは、彼らが「克服すべき険しい経験」ができるかどうかで決まるのだ、と。

だから、部下の成長を願うなら、最初の3年、つまり新人のうちから、少しずつ「チャレンジ」をさせておかねばならないのです。

ただ、無作為に任せると、新人はつぶれてしまいます。

良かれと思っても、次のような会話はダメ。

「ちょっと、わからなくて…。

どうしたらいいですか?」と聞いてきた部下に、「まずは、君が正しいと思うようにやってごらん」と答えてしまう…。

これでは部下を不安にさせるだけです。

では、どうすればいいのでしょうか。

⦿新人には、「一緒に、丁寧に」のスタンスで任せていくもちろん、新人に任せていいのです。

ただし、新人に任せる際のキーワードは、「一緒に、丁寧に」です。

先ほどの調査データで、「新人が上司に期待すること」の上位は次の2つでした。

1位:「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(47%)2位:「1人ひとりに対して丁寧に指導すること」(40・1%)任せる際にも、この要素を取り入れるのです。

まず、新人に仕事を任せる時は、次の5点をおさえてみてください。

【新人に仕事を任せていく方法】⑴リスクの低い「チーム(職場)の仕事」を積極的に任せていく。

⑵5W1Hの観点で「具体的な進め方」を伝える。

(なぜ任せるのか、何をするのか、どのように進めるのか、いつまでに仕上げ、途中経過報告をするのか、わからない時はどうするのか等)⑶伝えた後、「不安な点」「不明な点」がないかを確認する。

⑷念のため、本人に「やること」を復唱してもらう。

⑸その後、「できたかどうか」をお互いで確認し、良かった点をほめる。

こうすれば、新人に仕事を「任せる」ことができるばかりか、「耳を傾けてくれる」「丁寧に教えてくれる」と、むしろ感謝されます。

私もこの手法を覚えてからは、「資料作成」「お客様の声を収集する」といったリスクが低く、新人でもできそうなチームの仕事を、少しずつ任せられるようになりました。

きっと、あなたの職場にも低リスクな「やらざるを得ない仕事」があるのではないでしょうか。

それを任せればいいのです。

部下の成長のスピードが、まったく変わります。

1日でも早く「頼れる人材」になってもらうためにも、ぜひ少しずつトライしてみてください。

Point任せないのはお互いのためにならない。

「一緒に、丁寧に」で、任せていこう!

04任せ上手なリーダーは、あえて「失敗談」を語る「スキのないリーダー」では、部下の主体性を引き出すのは難しい。

できるリーダーは、丁寧さに加えて、自らの「失敗談」を語ることで、フェアウェイの広さを感じさせる。

フェアウェイが広いほうが、部下は思い切ってフルスイングできるのだ。

⦿「背中を見て覚えよ」は職場を地雷原にする先日、名古屋の駅前で入った食堂でのこと。

「オレの背中を見て覚えろ」と言わんばかりに、部下のことはそっちのけで、テキパキと動く店長が厨房を仕切っていました。

その姿は、まるで早回しのよう。

実際、店長がテキパキ動く後ろに、動いているバイトもいれば、ただ立っているだけのバイトもいました。

「何かをするべきなんだろうけど、勝手にやったら叱られそうだし…」あたかも、どこに地雷が埋まっているかわからない…そんな雰囲気。

早回し店長は、立っているだけのバイトに言い放ちます。

「ボサッとしちゃダメよ。

お客様、お待ちになっているでしょ」バイトは、どうしてよいのかわからず、キョロキョロとします。

早回し店長は、間髪入れずに言い放ちます。

「キョロキョロしても、意味ないよ。

今は、何をする時?」とりあえず、勇気を出して、皿を移動させようとするバイトの動きを横目でキャッチするや否や、地雷が爆発。

「そうじゃないでしょ。

今は、何をする時?」教育のつもりだとは思うのですが、これではバイトは続かないでしょう。

上司が、自分のやり方へのこだわりが強すぎ、その上「背中で見て覚えてよ」という態度では部下は恐怖しか感じません。

この早回し店長ほどでなくても、プレイヤーとして活躍していた人ほど、細かなところが気になるものです。

では、どうすればいいのでしょう。

⦿「上司の恥ずかしい失敗談」が、部下の主体性を引き出す部下のフルスイングを期待するなら、むしろ「フェアウェイ」の広さを感じさせなければなりません。

研修講師という仕事をしていると、多くの管理職の方々と接します。

離職率が低く、部下の主体性も高い、そんなできる管理職が決まってやっていることがあります。

彼らは、「あえて、失敗談を語っている」と言うのです。

「私の新人の時はさ、目標達成のプレッシャーで、お客様視点が消えていたんだよね。

お客様から叱られて、ようやく気づいた。

恥ずかしい経験だけど。

お客様視点を失わないようにしないとね」といった感じ。

これは、部下の主体性を引き出す絶大な効果があります。

部下たちは言います。

「今はすごい上司でも、昔はそうだったのか、と思うと安心できる」と。

これはまさに広いフェアウェイ。

この上司なら多少の失敗も許してくれると安心するのです。

また、部下の主体性を引き出す上司たちに一致しているもう1つのことは、わかっていることでも、わからないフリをして、教えてもらう姿勢をとるということです。

「新人に、どんな歓迎をしたらいいかな?」「そうですね。

全員でウェルカムメッセージを書くのはいかがでしょう」「なるほどね~。

その手があるか。

お任せできると嬉しいんだけど…どうかな?」「わかりました。

みんなで考えてみますね」わからないフリをすることで、部下が安心して自由に発言できることがわかります。

大事なことは、「自由に発言しても大丈夫という心理」です。

これを専門用語で心理的安全性と言います。

この心理的安全性を担保する手段として「失敗談」を語ったり、「わからないフリ」をしたりするのです。

「弱み」を見せてください。

そのほうが、部下の主体性は確実に高まります。

Point部下の主体性を引き出すために、あなたの「弱み」をうまく見せよう。

05むしろ、「実績がないリーダー」をお手本にする卓越した実績がないとリーダーは務まらないと考えるのは間違い。

やり方によっては、プレイヤーとしての実績や経験がないほうが有利になる。

実績、経験がある人こそ、実は気をつけなければならない。

⦿「経験のない人にかなわない」とはどういうことか先日、3人のジム経営者とこんな会話になりました。

1人は、元プロボクサー。

体はガチガチ。

もう1人は、現役ボディビルダー。

体はムキムキです。

そして、最後が、なんと元編集者。

そこで、話題になったのが、「〝経験がない〟は武器になる」ということ。

ここで、元編集者の方がおっしゃったのです。

「ジムのことは、まったくわからない。

なので、部下に聞きながらやるしかない。

任せてみると、想像もしていなかった提案が出てくる。

良さそうだと思ったら、まずはやってみる。

なんとか、部下のおかげで計画通りにはいっている」こう謙虚におっしゃっていましたが、コンディションを整えるジムという斬新なコンセプトで順調に成長されている、今や注目のジムなのです。

同様に多くの経営者から、「経験のない人や若い人にはかなわない時がある」と聞きます。

良いと思ったら、「禁じ手」を躊躇なく繰り広げる大胆さがある、と言うのです。

つまり、経験がないからこそ、現場を知る部下の意見を聞きながらやるしかなく、その提案が「禁じ手」であっても素直に取り入れてみる。

そんな大胆さが「任せ上手」につながるのです。

そして斬新な新商品・サービスといったものは、多くの場合「禁じ手」から生まれるものです。

先ほどのジム業界でも、食事制限中心のライザップだって、暗闇でエクササイズをするビーモンスターだって、従来型のジムに言わせれば「禁じ手」でしょう。

⦿「経験のないリーダー」の戦い方をマネするでは、経験のあるリーダーはどうすればいいのか。

「部下の意見を聞きながら、〝禁じ手〟と思われることも実験してみる」ことです。

どこまで、こだわりを捨てられるかが勝負どころ。

そして、やり方は、実にシンプルです。

【「任せ上手」になるアクション】・自らが出向き、部下、取引先の声を聴き、現状を知る。

・その際に、部下、取引先に、「3つの不(不満、不便、不安)」を教えてもらう。

・自分なりの「仮説」を立てる(こうすればいいのではないか?)。

・複数の部下から、意見を聞く。

・部下から提案をしてもらう(既成概念をとっぱらって)。

・まずは、小さく実験して、新たな「勝ち筋」を作る。

ここで、大事なことは「自分なりの仮説」は立てておくこと。

そうでないと、部下からの提案を鵜呑みにせざるを得なくなります。

決めるのは、みんなではなく、あくまでもリーダーと心得ておきましょう。

もし、この半年を振り返って、部下からの発案が少ない、もしくは主体性が足りないな、と感じることがあるなら、ボトムアップ型で提案を求めてみてはいかがでしょう。

あなたが感じている職場の問題、商品サービスの問題があるなら、絶好の機会です。

部下にどう思うのかを尋ねてみるといいでしょう。

もちろん、それ以外の問題があるかを話し合ってみるのもオススメです。

上司の経験、発想を超える「禁じ手」が生まれるかもしれません。

どうでしょうか。

例えば、この1カ月で「禁じ手」をスタートさせてみるのは。

その繰り返しが、あなたのリーダーシップスタイルを確固たるものにするでしょう。

Pointボトムアップで、部下の意見を聞きながら、〝禁じ手〟と思われることを実験しよう。

06トップダウンとボトムアップを使い分けるいくらボトムアップと言っても、さすがに「君(たち)が、やりたいようにやれ」は、禁句である。

部下から、無責任だと思われても仕方がない。

この場合、トップダウンとボトムアップの使い分けを覚えておくと、スッキリする。

⦿民主的すぎるリーダーの落とし穴最近、増えているリーダーのスタイルに「みんなで決めたい」というものがあります。

これ自体は、間違いではありません。

でも、「じゃ、みんなが言うならそうしよう」とか、「じゃ、君が言うならそうしよう」というのは、ダメです。

もし失敗したら「誰の責任なのだ」という展開になってしまうわけで、これでは、部下は「仕事を任された」のではなく、「責任まで任された」ことになってしまいます。

先日、こんなことがありました。

かつての会社で私が管理職だった時の新人が、その10年後、組織を率いるまでに成長し、嬉しいことに、研修講師として彼に手ほどきをする機会に恵まれたのです。

元部下でしたので、遠慮なくストレートに懇々と伝えたのがこのことでした。

彼は、「みんながこうしたいと言うので、これをすることに決めました」と言うのです。

私は遠慮なく、こう切り返しました。

「もちろん意見を聞くのは大事。

でも、コレは誰が決めたの?今の会話だと、部下がそうしたいと言うから、というように聞こえるけど?」「みんなで決めたんです」「じゃ、これが失敗したら誰が責任取るの?」「えっ…どうでしょう…そりゃ、私ですかね…」「そこまで考えていた?」「なるほど…そこまで、考えてなかったです」彼は一生懸命で、みんなの意見を大事にしたい気持ちは120点ですし、長年の付き合いですので、彼の最高の人柄も十分に知っています。

では、彼はどうすればよかったのでしょう。

⦿「方針」はリーダーが決め、「方法」はメンバーが考えるトップダウンとボトムアップの使い分けを知ることです。

その際のポイントが、これ。

やるべきこと(方針)はトップダウンで決め、やり方(方法)はボトムアップで任せる。

参考になるのは、車両清掃を請け負う「株式会社JR東日本テクノハートTESSEI」の元おもてなし創造部長・矢部輝夫氏のやり方。

矢部氏は車両清掃の仕事にホスピタリティを持ち込んだ第一人者と言われており、この会社の清掃の鮮やかさは、ハーバード・ビジネス・スクールのケーススタディにも登場するほどです。

今ではエクセレントカンパニーと言われる同社ですが、元々は従業員のモチベーションが低かったと言います。

「掃除をすればいいだけ」、そんな空気が蔓延していたのです。

そこで、矢部氏がリーダーとして方針を明確に打ち出します。

「清掃を通して、旅先の思い出を売るのだ」と。

その上で、みんなで考える機会を設けました。

駅のホームで駆けまわる子供は危ないものです。

そこで、じっと待てるように「ぬり絵」を作ったのもスタッフからの提案でした。

ほかにも「駅構内になかったベビー休憩室を設置」「新幹線は男女兼用のトイレしかなかったので、女性専用トイレを設置(JR東日本の新幹線のみ)」。

これらも部下からの提案で導入されたもの。

つまり、方針、やるべきことは、リーダーがトップダウンで決めるからこそ、部下のボトムアップを効果的に引き出せるわけです。

「みんなで決めた」と言うリーダーが増えていますが、決めるのはリーダーです。

ぜひ、「方針」「やるべきこと」はリーダーが決め、「方法」をみんなで考えるようにしてみてください。

そのほうが、部下はやりやすくなります。

Pointやるべきことは「トップダウン」。

やり方は「ボトムアップ」で!

07「任せる」と「放任」の違いを理解しておくせっかく「やり方」を任せているのに、なぜか「もっとかまってほしい」と部下は言う。

そう言ってくる部下はまだいい。

大半の部下は、上司には言えず我慢する。

そうやって部下の不満は大きくなり、ある時に爆発する。

様々な形で…。

⦿任せていたはずの「優秀な部下」が、爆発する時まず、私の恥ずかしい経験を吐露します。

リーダーになりたての頃、2人の部下から同じクレームを受けました。

いや、正直に言うと言い合いになりました。

「伊庭さんのために、ここまでやっているのに、もっとかまってほしい」と。

若かった私は、こともあろうに、こう言い返してしまったのです。

「信頼して任せているのに…!しかも、俺のためって、そりゃおかしい。

お客様のためやん!」と。

「もう伊庭さんの仕事はしたくないです!」無知とは恐ろしいもので、完全にリーダーとしての自覚が欠如していました。

プレイヤーの延長で、「仕事とはお互いがプロ意識を発揮するものだ」としか考えていなかったのです。

完全に、経験則の押しつけでした。

でも、これ、プレイヤー時代に自立して、サクサクと仕事をしていた人がリーダーになった時に起こりがちな出来事。

「さびしい」「不安だ」なんてことを仕事に持ちだすことなく、そんな負の感情は封印しながら闘ってきた、そんな人ほど要注意。

「かまってほしい」なんて感情を仕事で持ちだすことは選択肢にすらなかった私にとって、最初はまったく理解ができませんでした。

でも、これではリーダーは務まりません。

仕事を任せていく、一緒に仕事をしていくには、「負の感情」に寄り添うことは絶対の条件なのです。

そのためにリーダーが横にいる、と言ってもいいでしょう。

任せ上手な上司とは、この「負の感情」に寄り添うことを知っている人なのです。

⦿「任せる」と「放任」の違い第1章でも述べた、「任せる」と「放任」の違いをおさらいしておきましょう。

【放任ではなく、「任せている」の基準】・今、部下がやっている作業を具体的に言えること(その時点で)・今、部下が抱えている負の感情(不安、不便、不満)を把握していること・やったことに対してフィードバックを行うこと(感謝する)そもそも、任せられたほうは、「何か起こった時、どうしたらいいのか」という不安を抱えているものです。

ゆえに部下は、上司に現状を知っておいてもらいたいのです。

また、やったことに対して、「これで良かったのか」という不安も抱えています。

なので、うまくいっている時こそ、「フィードバック」が大事なのです。

「かなり、いいよ。

ありがとう」といったように。

それが「手ごたえ」となり、次も頑張ろう、となるわけです。

先ほどの部下にもこの3つを実践しました。

その後は、強い結束が生まれました。

加えてオススメの方法を紹介します。

1週間、もしくは2週間に1回は会話をする時間を持ってみてください。

立ち話ではなく、テーブルに座って。

メールではダメ。

フェイストゥフェイスが基本です。

こういうことは、「顔を見て話す」ことが大事なのです。

場所が離れているなら、FaceTimeやSkypeでもいいでしょう。

「今週もありがとう。

助かったよ。

何か、私のほうで知っておいたほうがいいことはある?」と聞きます。

数分でも構いません。

いや、場合によっては数十秒でもいいのです。

これだけでも、任されたほうは安心します。

Point部下の「負の感情」に寄り添えるようになろう。

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