01おもしろい人は、必ず空気を読んでいる
コミュニケーションの土台は「空気を読む」こと普段の自分の様子を考えてみてください。Qあなたは、普段から空気を読もうとしているでしょうか?Q実際に、その場の空気が読めているでしょうか?Q読めたとして、その空気の流れに乗れているでしょうか?改めて問われると、すべてにきっぱりと「YES!」と言える人は、それほど多くないかもしれません。「空気を読む」こと。これこそがあらゆるコミュニケーションの基本中の基本です。空気が読めなければ、どれだけ本を読んでも、どんなテクニックを使ってもムダと言っても過言ではありません。なぜならコミュニケーションは基本的にアドリブだから。その場の空気にそぐわないタイミングの悪い発言は、どんなにしゃれたユーモアでも、ウィットにとんだジョークでも確実にスベってしまいます。バラエティ番組で求められるスキルとは?ちなみに、空気を読むのが重要なのは、私たちの会話だけではありません。芸人の方にとっても、テレビで人気者になるためには不可欠なスキルです。台本や演出ではカバーしきれない部分、つまり場の空気を瞬時に読んで、おもしろいことを話す。それが芸人の方に求められていることだからです。つまり、ユーモアセンス以前の問題として、空気が読めてこそ「笑いのプロ」なのです。もちろん、私たちがプロの芸人並みに、空気を読んで話す必要はありません。しかし、空気が読めると会話は驚くほどラクになります。空気を読めずに話をするのは、まったく知らない街をカーナビなしで運転するようなもの。前のめりになって必死でハンドルにしがみつくような緊張感を伴います。しかし、空気が読めれば、会話は走り慣れた道をリラックスして運転するように、とても気楽です。気楽でリラックスしている、つまり自然体でいる時ほど笑いが起きやすくなるというのはすでに紹介した通り。「空気を読む」という便利なスキルが身につけば、いまよりもっと伝え方がおもしろくなるはずですよ。POINT空気が読めなければ、どんな伝え方のスキルも意味がない!
02そもそも、空気を読むってどういうこと?
空気とは「流れ」のことであるそもそも会話の中で「空気を読む」とは、どういうことを指すのでしょうか?それは逆の状態、「空気が読めない人」を考えてみれば見えてきます。たとえば、こういう人、周りにいませんか?A「そうか・・・B、彼と別れたんだ」B「いいのよ、あんな浮気者」C「あんな奴、忘れて今日は飲みましょう(笑)」───一同笑いD「そうそう、私ね、ようやく彼からプロポーズされたんだ」A「そ、そう・・・。えーおめでとう・・・」これでは、一気に場がシラけてしまいますよね。こういう人には思わず言いたくなります。「おまえ、空気読めよ」と。こう言いたくなる人に共通するのは、それまでの「流れ」を一気に変えてしまう、あるいはせき止めてしまっていること。つまり会話における「空気」とは「流れ」のことなのです。もう少し詳しく説明すると「空気の流れ」とは、「どういう人たちが」、「なんのために」、「どこに向かっているのか」といった、目的や方向性のことです。先ほど例に挙げた女子会でいえば、「仲のいい仲間たちが」、「彼と別れたBを慰める」目的で、「気晴らしさせてあげる」方向に向かって、空気が流れていたわけです。ところがDは、その流れをまったく無視して、自分だけがハッピーな話を突然、ぶっこんできたのですから、場がシラけるのも当然です。どうやって「空気を読む」か?ではどうやって、その場の空気を読めばよいのでしょう?まずそこに集まっているのは、「どういう人たち」なのか。それを見極めましょう。それを知っておけば、その集団内では、どういう価値観が共有されているのか、どんなことが常識とされているのかが、わかります。ですから、その価値観や常識から外れたことを言うと「空気が読めない人」になります。わかりやすい例をあげると、巨人ファン同士の飲み会にいるのは言うまでもなく全員、巨人ファン。そこで「タイガース愛」を話しても相手にされることがないのと同じです。多くの場合、空気の流れは、その場でもっとも影響力のある人に配慮している多数派がつくり出しています。だれがどの程度の影響力をもっていて、それぞれの構成員がどんな役割を果たしているかを把握することで、空気の流れはかなり見えてきます。たとえば毎週日曜日のお昼頃にTBS系列で放送されている『アッコにおまかせ』。この番組では、芸能界の大御所、和田アキ子さんが言わずと知れた「もっとも影響力のある人」です。勝俣州和さんやサバンナの高橋茂雄さんといった〝空気読みの達人〟たちが、和田さんの気ままで言いたい放題(失礼!)の意見と世間の受け止め方の両方の空気を読みながら、笑いにもっていこうとする様子が、毎週くり広げられています。特にサバンナの高橋さんのリアクションや、目の動きなどに注目しながら番組をご覧ください。編集なしの生放送ですから、空気読みのとてもよい勉強になります。POINT空気を読むポイントは、「どういう人たちが」、「なんのために」、「どこに向かっているのか」
03観察力を鍛えれば空気は読める!
観察力を鍛えようこうして「空気」について考えていくと、空気を読むために、もっとも必要なことが少しずつ見えてきませんか?先に結論を言うと、それは「観察力」です。・今、話している相手はどういう人なのか?・なにを目的としているのか?・その話をどこにもっていこうとしているのか?それを察知するには、その場を観察するしかありません。相手の声のトーンや言葉の言い回し、どんなしぐさで、どんな表情をしているのか。それらを注意深く観察していれば、相手がどういう人で、なにを目的として、どういう展開にもっていこうとしているのかが読み取れます。観察のポイントでは、なにを観察すればいいのでしょうか。わかりやすい指標のひとつとしては、まばたきの回数が挙げられます。人は興味をもって話を聞いている時は、まばたきの回数が減るといいます。これはつまり、あなたの話を聞いている相手がしきりにまばたきをしていたら、それほど興味をもっていないということです。私が長年、台本を担当しているTBSの『世界ふしぎ発見!』にも何度かゲスト出演しているメンタリストDaiGoさんの本などによれば、ほかにも次のようなことが挙げられそうです。
こうしたサインを人は無意識のうちに発信しているものです。また、友人の落語家は、観客の姿勢で会場の雰囲気の善し悪しがわかると言います。たとえば、腕組みをしている客や高座に正対せず斜に構えた客が多い時は、なかなか笑いが起きないというのです。相手から発せられる情報は、ほかにもたくさんあるはずです。まずは相手を注意深く見ることから始めてみましょう。空気が読めない最大の理由空気が読めない人は、こうした観察ができていません。その最大の理由は、話をしている相手よりも、自分自身に注意が向いているからではないでしょうか。「自分は今、どう見られているのだろう」「こういうことを話して、頭のいい人だと思われたい」などと、だれかと話していても意識のベクトルが自分のほうを向いていたのでは、とうてい場の空気を読むことはできません。なぜなら、すべてのコミュニケーションにおいてもっとも大切なのは、「自分が相手にどう思われているか?」ではなく、「相手がどう思っているか?」だからです。話をする時に一番注意を向けなければいけないのは、相手の気持ちです。「自分がどう思われているだろうか」などと、余計なことを考える余裕があるならば、相手をしっかり観察しながら話してみてください。それまで自分に向けていた注意を、相手に向ける。たったそれだけで、同じ話をしても相手の反応がみるみる変わるはずです。POINT相手の表情、しぐさを観察してみよう!
04観察力が高まれば「話題」に困ることはない!
話がはずむちょっとしたコツ初対面の相手と話す時や、ひとつの話題が終わったあと、話のネタが思い浮かばなくて、気まずい思いをしたことはないでしょうか。空気を読むための観察力が高まれば、そんな心配は一切無用。どんな相手と話す時でも、話題に困ることはなくなります。相手をよく観察していくと、さまざまなことに気づくはずです。ファッション、アクセサリーや文房具といった持ち物や髪型など、相手がいつもと違うところ、またほかの人と違うところを話のネタにしてみましょう。「その時計、×××××の限定モデルじゃないですか?」「もしかしてネコを飼っています?あ、手の甲にちょっとしたひっかき傷が見えたものですから」「その付せん、半透明なんですね、文字が隠れなくていいですね」たとえばこんな具合です。その人のこだわりに気づき、話題にできれば、一気に会話が盛り上がるはずです。こうして相手の細かな部分にまで気づくことは、相手との距離を縮めるためにも有効です。なぜならば、人は自分に関心をもってくれる人に好意をもつからです。最初は些細なことから始めても構いませんので、相手を観察して、変化や違いに気づいてあげましょう。コミュニケーション上手は観察上手なのです。落語家の修業は「空気を読む」修業である少し話題は変わりますが、落語家が師匠に弟子入りして最初に教わることはなんだと思いますか?それは着物のたたみ方でも、「寿限無」といった前座噺でもありません。まず徹底的にたたき込まれるのは、「周囲に気を配ること」です。天才落語家と評された立川談志師匠は、新しく入門してきた弟子に「とにかく俺を快適にすることを考えろ」と話していたそうです。師匠である自分がなにを欲しているか、いちいち言葉にしなくても、弟子はそれを察して行動に移せと言っていたのです。あるテレビ番組で談志師匠の弟子である立川談笑さんが、お客さんとの会話が続かない若手営業担当者に、雑談力をつけるための指導をしている様子を見たことがあります。そこで、談笑さんが何度も口にしていたのが次のひと言です。「相手を観察して、気を配れ」かくいう私も、放送作家になる前は、六代目三遊亭円楽師匠の弟子として落語家の修業をしていました。当時の師匠は、「気を配れ!」ととにかく言い続けていました。「気を配る」とは、文字通り周囲を観察して〝気配〟を読むことにほかなりません。気を配って周囲を観察する。たとえば、寄席の楽屋でたばこをくわえようとしている師匠がいたら、すぐさま灰皿を持っていく。咳をしている師匠がいたら、のど飴を勧める。お茶を出すにしても、その人にとって最適な温度や濃さ、タイミングで出せるよう気配りするのです。そうした細やかな気配りができない人間は、落語家になれない、なれたとしても名人上手にはなれないのです。「気配り」はまさに相手の気持ちを考える修業です。そうして常に周囲に気を配ることができるようになれば、落語家にとって不可欠な資質、「空気を読む」ことができるようになると師匠は教えてくれていたのです。これは、ビジネスパーソンにとっても必要なことではないでしょうか。POINT気を配って周囲を観察すれば、どんな場面でも困らない!
05空気が読めれば、コントロールすることもできる!
会話は「聞くが8割」の理由コミュニケーション能力に自信がなかった私は、これまで多くの会話術の本を読んできました。そうした本に決まって書いてあるのは、「聞き上手になれ」、「自分が話すよりも相手の話を聞くことが大切」、「聞くが8割」といったこと。人はだれでも、「自分の話を聞いてもらいたい」、「自分の話を聞いてくれる人に好意をもつ」生き物です。その前提から考えると、心地いい会話をしようと思ったら、自分が「話す」よりも、相手の話を「聞く」ことに重きを置くのがよいのは当然です。ここで大事なのは、相手に話をさせながら、情報を引き出すこと。そして、相手の様子を観察することです。そうすることで、相手が「なんのために」、「どこに向かって」いるのか、空気の流れが見えてきます。空気が読めれば流れをコントロールすることもできるここまで読んできて、「空気を読んで、それに合わせて話すよりも、あくまで自分の意見を堂々と話したい」と考えた方もいるでしょう。それはもっともなこと。同調圧力とも言える周囲の空気に、ただただ従えばいいものではないことは、戦前の日本の過ちを振り返れば言うまでもありません。しかし、空気の流れが見えていなければ、自分の意見を効果的に言うことはできません。どんなに正論でも、空気に合っていなければスルーされてしまうのがオチだからです。また、空気の流れが見えていなければ、それを変えることもできません。全体の話の流れがよくない方向に向かっていて、それを変えたいと思うこともあるでしょう。たとえば、飲み会でその場にいない友人の悪口に発展しそうな空気を読み取った時。そのまま空気に合わせて心にもない悪口を言ってしまったら、あなたも共犯者になってしまいます。そんな時は、「じつはそういうところ、俺にもあってさ・・・」などのひと言を挟めば、目の前にいる人の悪口は言いにくいこともあり、その流れがせき止められます。「××さんは目立ちたがり屋だよね」「そうそう、スタンドプレーばっかり」こんな流れの時も、「目立ちたがり屋と言えば最近テレビによく出るようになったあのタレント、彼女のスキャンダルって、どう考えても売名目的だったよね」などと、関係ない芸能人の話題に流れをすり替えたりすることもできます。みんなの知っている話題の人物をネタにできれば、「そうそう、絶対あれって売名だよ。だって……」など、異なる話題で盛り上がるのではないでしょうか。これらは対象を変えることで流れを変えるテクニック。悪口を言いたくないのなら、「その点、△△くんっていつも控えめなのに言うべき時はちゃんと言うよね」などとポジティブな流れに変えることもできます。つまり、空気が読めてさえいれば、その場の空気にちょっと「水を差す」ことで流れは変えられるのです。流れを変える〝連結フレーズ〟ほかにも「××と言えば」、「××で思い出したんだけど」という連結フレーズを使って、話題をまったく別のものにすり替えてしまうこともできます。たとえば、遅ればせながらハマったのか、多くの参加者がまったく興味をもっていない一昔前の韓流ドラマの話を延々と聞かされている時。こういう時も、「そうそう、韓国で思い出したんだけど、会社の近くにすごくおいしい焼き肉屋さんができたの、知ってる?」などと別の話題にすり替えてしまうのです。同じように韓流ドラマの話にうんざりしている人がいれば、あなたが話題を変えようとしている空気を読んで「そうなの?どんな店?」と必ず乗ってくれるはずです。「××と言えば」「××で思い出したんだけど」こういった連結フレーズは線路における「分岐器(ポイント)」のようなもの。場の空気には、列車と同じく自動車でいうところの「ハンドル」がありませんから、行先はレールを分岐させるためのポイントによって決まります。ほかにも、話題をすり替える際には、別の話題にすり替えるだけでなく、「話は戻るけど」などと言って、少し前の話題に戻るのも効果的です。話の流れを切り替える、こうした連結フレーズは、会議で議論の出口が見えなくなった時や、飲み会で上司からやたらと長くてつまらない話を聞かされている時などにも使える便利なテクニックです。空気を読むコツとともに、こうしたフレーズも覚えておくと、いざという時にあなたを助けてくれるはずです。POINT「××と言えば」、「××で思い出したんだけど」、「話は戻るけど」の連結フレーズを使いこなせ!
Column2ユーモアがある人はデキる!ビジネスエリートの8割は「おもしろい人」だった!仕事がデキる人はユーモアがある──。雑誌「プレジデント」編集部の調査で、仕事の成果とユーモアの関連が明らかになりました。調査は、転職サイト「ビズリーチ」の協力を得て実施されたもので、年収1000万円以上のビジネスパーソン679人から回答を得た結果、次のようなことがわかったのです。調査によると商談の際、「初対面で笑いを誘って打ち解けた経験がある」と答えた人は、実に75・9%。また、職場では81・7%の人が「日頃から上司や同僚、部下と冗談を言い合う」習慣があり、プライベートでも72・5%が「友人、家族を笑わせるのが得意」と答えているのです。デキる営業は「おもしろい」みなさんの周囲でも、特に営業の仕事では、つまらない人より、おもしろい人のほうが活躍しているはずです。実際に「ユーモア学」を専門とする神奈川大学外国語学部教授の大島希巳江さんが、ある生命保険の営業担当者400人を対象に行った調査によれば、ユーモア度が高い人ほど営業成績が圧倒的によいとの結果が出たそうです。ユーモア度は「1+1=の答えをふたつ以上出すことができる」といった20項目からなるアンケートで測定したそうですが、こうした問題に遊び心をもって答えることができる人は営業も得意なのだそうです。大島教授は「商品の知識があることや時間を守るといったビジネスマンとしての基本を備えていることは大前提ですが、それにプラスして、相手を笑わせようとするサービス精神をもっていることが深く関係している」と結論づけていますが、まさにその通りでしょう。デキるリーダーも「おもしろい」リーダーと呼ばれる人もユーモアの持ち主です。ユーモアあふれるツイートでたびたび話題になるソフトバンクの孫正義さんや、ファーストリテイリングの柳井正さん、日本電産の永守重信さん、古くは松下幸之助さんや本田宗一郎さんなどは、ユーモアのセンスがある経営者として広く知られています。また、ロナルド・レーガン氏ら歴代のアメリカ大統領もユーモアセンスに長けていました。世界のビジネスエリート=成功者の多くもやはり、「おもしろい人」だったのです。みなさんの周りでも「あいつは仕事がデキる!」と思われている人は、話のおもしろい人が多いのではないでしょうか。自分だけではなく周囲も笑顔になり、仕事でも成果をあげることができる。まさにいいことづくめなのがユーモア。ビジネススキルのひとつとして身につけておくと、ライバルにも差をつけられます。
たったひとつの〝笑いの原理〟とは?すべてのコミュニケーションの土台となる「空気を読むこと」の大切さはご理解いただけたでしょうか。この第3章では、いよいよ「おもしろい伝え方」の中核ともいえるたったひとつの〝笑いの原理〟を紹介していきます。原理など知らなくていいという方もいるかもしれません。ただ法則、いわば笑いの本質を知ったうえで応用したほうが「おもしろい伝え方」はより身につくはずです。なぜならば、コミュニケーションはアドリブだから。定型のフレーズを覚えたとしても、それを使う機会がやってくるとは限らないのです。原理がわかっていれば応用も可能。ですから、どうぞしばらくお付き合いいただければ幸いです。
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