できない自分をつくるのは、思い込みという「メガネ」だったさあ、これからいよいよ具体的な自己分析に移っていくわけですが、本章では、前章で述べた4ステップのうち「本当の自己分析」を阻む脳内のマインドブロックをなくすを行っていきます。
まず初めにやることは、「自分を見るメガネ」を選び、磨き上げることです。
いわば「自己分析の下準備」ともいえるステップですが、とくに「自分にいいところがあるわけないし」「自己分析って苦手なんだよな」と思っている方には、ぜひじっくりと読んでいただきたいです。
「自分を見るメガネ」とは何かというと、「自分」を客観視する視点のこと。
なぜ、自分を見るのに「メガネ」なの?と思われるかもしれませんが、「自己分析」というのはつまり、自分自身で外側から「自分」を客観的に見る作業なのです。
メガネをかけて自分より外側にあるものを見るように、「自分」のことを客観視するのですね。
実は「自己分析が苦手です」と悩む方の多くは、この「自分を見るメガネ」が曇っているがゆえに自分の本当の価値観や強みに気づけない、という事態に陥ってしまっています。
言い換えると、「他人の考えや常識」が刷り込まれすぎて「自分の本音(価値観)」すらわからなくなっていたり、本当は「強みとなりうる特徴」を持っているのに、それが「強みになる」と気づけない、という状態です。
これが「自分がどうしたいのかわかりません」「自分には強みがありません」とおっしゃる方に起こっていることなのです。
そこで、誰もが自分の持つ「価値観」や「強み」に気がつけるようになるために、まずは皆さんに「自分を見るメガネ」を選び、ピカピカに磨き上げていただきます。
本章を読む前と、読んだ後とでは、「自分の見え方」がガラリと変わると思いますので、どうぞお楽しみに。
自分が見えなくなる「負のループ」の怖さわたしたちは普段、見えない「メガネ」をかけて世界を見ています。
ここでいう「メガネ」とは、自分が持っている「思い込み」や「固定観念」のことです。
中には、「はっきりと意識していること」だけではなく、「実は無意識に思っていること」なども含まれます。
わかりやすいように「思い込み」と表現しましたが、「事実」は1つでも、それに対して「どのように解釈するか」はすべて自分自身で決めているということです。
そしてこの「〝思い込み〟というメガネ」は、かけているだけでわたしたちの視界を晴れさせたり、曇らせたりします。
こんな経験はないでしょうか?●「月曜日は憂鬱だ」と思っていたら、毎週月曜日がくるたびに、仮にその日に嫌な出来事が起こっていなくても、ドヨーンと暗い気持ちになる●「あの上司は偉そうなやつだ」と思っていたら、毎日その上司に会うたびに偉そうな言動が目につき、ますます苦手意識が強くなる●リーズナブルなレストランでも「星付きの有名シェフの料理だ」と思うと、いつもより食事が美味しく感じ、満足度が上がる心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
どちらがよい・悪いという話ではありませんが、いずれにせよこのように、人はみんな何らかの「〝思い込み〟というメガネ」を通して物事を体験し、それにともなった感情や解釈が生まれています。
そして、これは自分に対しても同じです。
「自分」のことを客観視して自己分析をしよう!と思ったときも、あなたは普段と同じ「メガネ」を通して自分を見ることになります。
たとえば、あなたがもし「自分は平凡だから、強みなんてないだろう」「できないことばかりの自分が嫌いだ」という思い込みを持っていると、そういう「メガネ」をかけていることになります。
すると、とたんに視界が曇り、いくら探そうとも自分の強みや長所が見つからなくなってしまいます。
さらに恐ろしいことに、そのメガネを長年かけていればいるほど、自分のダメなところやできていないことしか見えなくなってしまうのです。
その結果、「やっぱり自分はダメだ」と落ち込み、うまく行動できず、さらに「どうせ自分は何をやってもダメ」という思い込みが色濃くなってしまう…。
こんな負のループになってしまうのも無理はありません。
もし今この本を読んでいて、「自分がどうしたいのかわからない…。
とりあえず誰かの意見に従おう」「自分の強みがわからない…。
強みなんてないんじゃないのかな?」などと思っている人は、自分がこの恐ろしいループにハマっていないか、ぜひ考えてみてください。
いつもうまくいく人が持っている「解釈」とは自分の強みがわからない人がいる一方で、いつどんなときも物事に前向きに取り組み、やったことのない「初めての挑戦」であっても、なんだかんだと着実に望む成果を手にする人がいます。
あなたの周りにも思い当たる人はいないでしょうか?彼らは何に挑戦するにしても、「どうすれば自分が輝けるのか」を知っています。
自分の「大事な価値観」や「強み」を知っているからです(ご本人は無自覚なパターンもありますが、潜在的に知って行動しているのでしょう)。
でも、同じ日本で同じ教育を受け、「自己分析」など本格的に学ぶ機会もないはずなのに、なぜ、彼らのように「自分の価値観や強みを知って活躍できる人」と、いつまでも「自分の価値観や強みがわからないと悩む人」とが生まれるのでしょうか?わたしは、その答えは自分に対する解釈の差にあると考えています。
一般的には「自己受容感」や「自己肯定感」などとも呼ばれるものです。
つまり、いつも「強みを活かして望む成果を手にできる人」は、「自分の価値観を大事に生きてよい」「自分にも強みがあるはずだ」「自分ならできる」など、自分に対してプラスの解釈を持っているのです。
自分に対して否定的な思い込みがほとんどない、ともいえます。
彼らは「自分にも強みがあるものだ」という思い込みのメガネをかけて、いつも自分のことを見ているわけですね。
生きているだけで成功体験が増えていく方法自分にも強みがあるというメガネをかけていると、何が起こるでしょうか?彼らは「自分にも強みがある」という前提で生きているので、自然と「今日できたこと」や「人から感謝されたこと」「褒められたこと」などに目が向くようになります。
そうなれば、もはや生きているだけで記憶の中には「成功体験」がどんどん増えていくことでしょう。
注意していただきたいのは、これは「能力の差」ではなく、「見ているポイントの違い」、つまりは「かけているメガネの違い」だということです。
実際、この現象を裏付けるような実験なども多数存在しています。
たとえば、「カクテルパーティー効果」と呼ばれるものをご存じでしょうか。
これは、カクテルパーティーなどのようにたくさんの人が雑多に会話をしている状況であっても、「自分の名前」を呼ばれたり、「自分の興味のある話題」が発せられると、無意識のうちにその声を拾う、という脳の傾向を明らかにしたものです。
ボーッと歩いていた帰り道に、好きなアーティストの曲が流れてきてつい反応した…なんて経験をしたことがある方も多いはず。
このように、「人間の脳は、強く意識した特定の情報が入ってくるようになる」ということがわかっています。
わたしたちは普段から「見たい情報を見て、聞きたい情報を聞いている」といえるわけです。
そしてこれは、「自分」に対しても同様だということ。
実際、自分の強みを活かして会社を経営し、今は自己分析を教えているわたし自身も、会社員時代は「こんな自分に強みなんてあるわけがない」と本気で思って生きてきました。
すると、●朝起きられず寝坊してしまった●提出した書類にミスがあった●仕事でクレームを受けてしまったこんなふうに「できなかったこと」「評価されなかったこと」ばかりに自然と目がいくようになり、どんどん自信をなくしてしまっていたのです。
でも今思えば、「できていること」や「得意なこと」もきちんとあったはず。
たとえば「寝坊しなかった日」「書類をミスなくつくれた日」「クレームを受けずに仕事をした日」などもあったのに、それを「できたこと」として認識はしていなかったのです。
また、人と話す機会が多い「営業の仕事」は苦手なことが多かったのですが、現在の仕事のように文章を書くのは苦手ではありませんでした。
それは子どもの頃から「本が好きだったから」なのですが、そのことに当時は気づく由もありませんでした。
このように、いくら自分の中に「強み」となりうる特徴があっても、「かけているメガネ」が曇っていては、決してその強みに気がつくことができないのです。
だからこそ、もし「自分の強みを見つけたい」と本気で思ったら、まずは「自分にも強みがある」という思い込みのメガネをかける必要があります。
そのメガネをかけて生活していれば、不思議と「自分の強み」がくっきりと見えてくるようになるからです。
今、どんなメガネをかけていますか?ここまで、「自分を見るメガネ」が曇っていると、「価値観」や「強み」を正しく見つけることができない。
そして、「自分にも強みがある」というメガネをかけていなければ、なかなか強みが見つからない、とお伝えしてきました。
そうは言っても、まだ具体的な強みが見つかっていない段階で、急に「自分にも強みがある」とはなかなか思い込めない…という方もいらっしゃるでしょう。
確かに、自分の中で確信が持てていないのに「思い込みのメガネ」を選ぶのは、少し勇気がいることかもしれません。
そんなときはどうするべきかというと、まずは今の自分が持っている思い込みを知る必要があります。
つまり、「今、自分はどんなメガネをかけて自分を見ているのか?」を知ることです。
それを把握した上で、次に、「これから先どんなメガネをかけるのか?」をあらためて選び直す、という順序がよいでしょう。
かけているメガネに気づくはずすぴかぴかに磨かれた新しいメガネを選んでかけるといったイメージです。
「思い込みのメガネ」に気づくために試してほしいことでは、どうすれば今自分がかけている「メガネ」に気づくことができるのでしょうか?もちろん意識的にかけているメガネがあれば、すんなりと答えが出てくるでしょう。
たとえば「周囲の人には感謝するべきだ」というメガネをかけている人は、「家族がやってくれたこと」などに敏感に反応でき、感謝を伝えることができると思います。
しかし、一方で、無意識にかけているメガネ(思い込み)には、なかなか気がつけないものです。
そんなときはどうすればよいかというと、「コンプレックス」や「イライラ・モヤモヤ」など、日常の中のネガティブな感情に着目することです。
「勉強ができず、学歴が低いことがコンプレックスだ」「恋愛経験が少なくて、人に知られるのが恥ずかしい」「会社でおかしいなと思うことがあっても、ベテランの上司に意見が言えない」「30歳なのに給料が全然上がっていなくて、友人に年収を知られたくない」「私は今仕事をしていないから、夫が稼いだお金を使うのは気が引ける」「子どもを0歳から保育園に入れて仕事しているけど、我が子との時間を最優先にしていないことに罪悪感を感じる」など、コンプレックスや自己否定感、イライラやモヤモヤを感じる瞬間は誰しもあると思います。
実はこういったネガティブな感情にこそ「思い込みのメガネ」が隠れているのです。
では、これらにどういう「思い込みのメガネ」があるのかというと…●「勉強ができず、学歴が低いことがコンプレックスだ」勉強ができたり、学歴が立派でなければいけない(高学歴の人には価値がある)●「恋愛経験が少なくて、人に知られるのが恥ずかしい」恋愛経験が少ない人には問題がある(恋愛経験豊富な人が偉い)●「会社でおかしいなと思うことがあっても、ベテランの上司に意見が言えない」年上の人には意見を言ってはいけない(ベテランの意見はすべて正しい)●「30歳なのに給料が全然上がっていなくて、友人に年収を知られたくない」給料が低いとカッコ悪い(給料が高い人は素晴らしい人だ)●「私は今仕事をしていないから、夫が稼いだお金を使うのは気が引ける」お金を稼ぐことより家事や子育てのほうが簡単で、誰にでもできる(お金を稼げている人のほうが偉い)●「子どもを0歳から保育園に入れて仕事しているけど、我が子との時間を最優先にしていないことに罪悪感を感じる」母親なら24時間できるだけ子どものそばにいるべきだ一例ではありますが、心の中に、多かれ少なかれこのような「思い込みのメガネ」があると考えられます。
どうでしょう、ドキッとした方もいるのではないでしょうか?
「メガネ」を選べると、世界は180度変わる先ほどのように考えてみると、わたしたちは他にもたくさんの「思い込み」を持って生きていることに気づきます。
たとえば、●30歳までに結婚できないとダメ●非正規雇用はダメ●転職回数が多いのはダメ●大企業こそが安定だ●子どもが不登校になったら親として恥ずかしいなどはよくある「思い込み」の例です。
これらの思い込みはもちろん、生まれた瞬間から持っているわけではありません。
生まれてから現在に至るまでの環境や経験、関わってきた人によってさまざまな「情報」や「他人の価値観」を浴びてきた結果、今の「思い込み」が出来上がっています。
もちろんどの思い込みも、一概によい・悪いということではありません。
ですが、意識的・無意識的にかかわらず、もしも先に挙げたような「思い込みのメガネ」をかけていると、自分に対しても同様に、思い込みを基準にして評価をするようになります。
すると、「30歳になって結婚していない自分はダメ」「大企業に勤めていない自分はダメ」「子どもが不登校だからダメな親」と心の中で自分を否定してしまい、「自分の強み」なんてとても見えなくなってしまうのです。
あげくのはてには「こんな自分には強みがないんだから、努力しなければいけないんだ」と考えて、自分を過度に追い込んでしまう人も後を絶ちません。
このような負のループから抜け出すために、まずは何より、今かけている「思い込みのメガネ」に気づくことが大切です。
かけるのも外すのも自分次第しかし、視力矯正用のメガネでも急激に度数を変えると、目が疲れてしまうように、思い込みのメガネにおいても「極端にポジティブなメガネ」に突然つけ替えようとする必要はありません。
まずは「今、自分はこんなメガネをかけているんだな」と認識した上で、「そのメガネをこれからもかけ続けたいのかどうか?」を自分の意思できちんと選び直すこと。
もちろん、「これからもそのメガネをかけて生きる」と選択することも自由です。
どのメガネにも、かける人の好みはあれど、絶対的なよい・悪いはないのですから。
そして、もし今までと違うメガネを選びたい場合は、「少しだけ違うメガネ」を選び、ちょっとずつ新しいメガネに慣れていくことがポイントです。
くり返しますが、思い込みのメガネを変えるには、これらのステップを丁寧に踏むことがとても重要です。
それでは実際に、「無意識のメガネ」も含めて、あなたが今どんなメガネをかけて自分を見ているのか?に気づく簡単なワークをやってみましょう。
さて、いかがだったでしょうか?自分に対してもいろいろな「思い込み」を持っているんだな、と気づけたのではないでしょうか。
「強みが見つからないと悩んでいた自分」や「他人と比べて過度に落ち込んでいた自分」は、「余計な思い込みを選んでいたせいだったんだ!」と、ストンと腑に落ちた方も多いことでしょう。
いったんここで、自分がかけ続けたいメガネ、外したいメガネを左のスペースを使って整理してみましょう。
まずは「思い込み」があることに気づけただけでも、先ほどまでのあなたからだいぶ進歩していますし、さらに自分にとって最適な「思い込み」を選び直せたら大進歩です!ともあれ、ネガティブな感情とじっくり向き合えた素晴らしい自分をたくさん褒めてあげてくださいね。
続く第3章からは、いよいよ自分の「価値観」や「強み」を見つける具体的なお話に移っていきます。
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