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第2章 プラス言葉とマイナス言葉

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マイナス言葉に反応する力ラダ

ここで最初の実験を思い出してください。 「はじめに」で紹介した実験です。そう、小泉首相の言葉を使いました。 「感動した!」という言葉には力が入ったけれど「ぶつ壊す!」には力が入り ませんでしたね。 これは、その言葉のニュアンスに無意識のうちに脳が反応した結果だという ことはおわかりいただいたと思います。 さて、このような好ましい言葉と不快な言葉は、ほかにどんなものがあるで しょうか。また、すこし実験してみましょう。

﹇実験4﹈ 要領はこれまでと同じですが、今度は被験者が言葉を口にするのではなく、 協力者が被験者に向かって言葉を投げかけてみましょう。 Oリングをつくった被験者に次の言葉を言うのです。 一つは「平和、豊か、元気」です。 さあ、リングは解けるでしょうか? そして続いては、「戦争、飢餓、死ぬ」です。 これでOリングが聞くかどうか試してみてください。

どうですか?明らかに、後者の言葉には力が入らないはずです。前者はい いイメージの言葉ばかり。後者には惑いイメージの言葉が並びました。この結 果は、その悪いイメージに脳が不快な反応を示しているということなのです。 これは、ポジティブな言葉「プラス言葉」と、ネガティブな言葉「マイナス 言葉」と言い換えることもできるでしょう。 ほかに「プラス言葉」としては、青空、お天気、未来、夢、幸福、寝顔、健やか、笑顔、音楽、お散歩、成就、 仲間、家族、合格、豊穣、愉快、希望、誕生、花々:::。 などなどがあります。言葉を並べているだけでつい微笑みたくなるような気 分になってきますね。 一方、「マイナス言葉」には、 災害、事故、危険、戦い、争い、犯罪、殺人、殺裁、詐欺、テ口、欝々、利 己主義、嫉妬、敵、苦境、別離、死別、悪天候、遭難、復讐、恨み、仕返し、 喧陣、倣慢:::。 とまあ、書いているのがうんざりしてくるような言葉ばかり。これらの言葉 もOリングで試してみましょう。明らかな違いが出てきますよ。 第二諮 毎日のように、テレビのニュースや新聞の記事には、こうした「マイナス言 葉」が踊っています。そんな意味でも、私たちは常に無意識のうちに強いスト レスの渦に放り込まれているわけなんです。 また、「マイナス言葉」とは、こうした単語だけではありません。 たとえば若者がよく使う「うざい」、「ムカつく」。

耳にしただけで、背中がぞくっとするような不快な言葉ですね。 そこで、こんな実験も試してみてください。ただし、これはたとえ親しい間 柄でもちゃんと断ってからやらないと大変なことになるのでご用心。 「わたしは、あなたに対して好意を持っているし、まったく何の悪意も感じて いません。でも、実験のためにすごく不愉快なことを口にしますが、決してわ たしの本意ではないことを理解してください」 このくらい説明してからはじめてください。 ﹇実験5﹈ 実験4と同じように被験者に向かって言います。 今度はマイナスな言葉から言ってみましょう。 「アンタなんか嫌い。うざい。ムカつく。死ね!」 あl、やだやだ。でも実験ですから、しばし我慢を。 リングは聞いてしまいませんか? どうでしょう? 続いてプラスな言葉。

「あなたは、みんなから好かれている。優しくてきれいだし」 ね、リングは閉じられたまま。おもしろいでしょう? 人間はなんて単純な生き物なんでしょうね。 脳はプラスの言葉を聞くと、特定の筋力が即座に強まり、反対に、マイナス の言葉を聞くと、その筋力は一瞬のうちに弱くなります。私たちの脳は、プラ スの言葉を聞くと活性化され、それがやる気や元気、幸福感などにつながるも のなのです。 ですから、プラスの言葉を人から言われたり、自分で口にすると、それだけ で、あなたの心と体は良い方向に動きます。 たとえば、「美しい」「キラキラ輝いている」「華やか」「生き生き」「健康」 「優しい」「おおらか」「穏やか」「柔和」「温厚」などの言葉は、脳にとって心 地よいプラスの言葉です。 一方、「醜い」「うざい」「悲しい」「頭にきた」「馬鹿」「だらしない」「貧し い」などの言葉は、マイナスの言葉になるのです。

「関係ね|よ!」は「関係ある」のです

先日、ある小学校で「言葉のパワl」の話をしたところ、先生方が「なるほど」と領いていました。

「一人の児童が悪い言葉ばかりを使ってしゃべっていると、周りの児童が影響を受けるのを確かに感じる」というのです。こういうことは見落とされがちですが、実はとても大切なことなんです。他 人はどうであれ、自分さえきちんとしていればいいll。一見正しそうな理屈 ですが、実際のところはまったくそうではないのです。

こどもたち、いえ近頃はいい大人になってもそういう人がいますが、皆まる で口癖のようによく「関係ねlよ」と言いますよね。 「キタナイ言葉、不快な言葉は使うのをやめましょうね」 「関係ね1よ!」 「もっと機嫌よく挨拶しましょうね」「関係ねlよ!」 果たして、ほんとうに「関係ない」のでしょうか。

いえいえ、それは大いに「関係がある」ことなのです。 「関係ね1よ!」という突き放した乱暴な言葉を発した時点で、もっと言えば 不機嫌な表情をしただけで、その「不快」は伝染してゆくのです。 「関係ね1よ!」と発した人の「不機嫌」は、その人だけの問題ではなくて、 周りの人たちにとって、「迷惑」になってしまうのです。それはまったく「関 係ない」で済まされる話ではありません。 ある人は、「えっ、だって私はどんな嫌なこと言われたって、別に何とも思 わないけど:::」と言います。 実は、それも大間違いです。 思考していることHこう感じていると思い込んでいることと、脳が本当に感 じていることとは、実は違うのです。 何気ない言葉にも「嫌な言葉」と「好きな言葉」はまぎれ込んでいます。

話力総合研究所というところが行なった、二七歳から六二歳までを対象にし たアンケート調査によると、 「嫌な言葉」として、

関係ないでしょわかんない大先生jしちゃいかん無気力無関係無 能むかつくへえ|どうせ私はあんた私は嫌われているおやつれに なったーのほう(コンビニーなどのお釣りの渡し方などで)変わってるねそん なこと言ったって腹黒い私じゃありませんから鈍臭いとろい何もし てないのにだれのおかげでそんなことも解らないのかじじいばぱあ どうでもいい頼りにならない馬鹿は馬鹿なり1のせいでダメ不潔 老人最低鈍感戦争せこいドジなどが挙げられ、 「好きな言葉」としては、 おかげさまでお疲れさま気をつけて恐れ入ります有り難うございます お帰りなさいおはようございますごめんなさいお互い様お預がりする 申し訳ございませんお手数在おかけしました良かったですねあなたなら できるお出かけだったでしょうさようならうるわしい経験豊かな人 大切な人生き生きまたねふくよかさわやか明るいやさしい などが挙げられています(話力総合研究所飯島猛氏まとめ)。

何となくわかりますね。同じようなことを伝えるにしても言葉の選び方ひとつで相手に伝わるイメージが大きく変わるということが。

プラス言葉で前向きな会話に

マイナスの言葉はできるだけ「聞かない」、できるだけ「使わない」に越し たことはありません。でも、残念なことに街にはマイナス言葉が溢れかえって います。 歩いているとき、電車に乗っているとき、学校や会社の休み時間:::、何気 なく聞こえてくる言葉の中にも、なんとマイナス言葉が多いことでしょう。 エチケットとして良いか悪いかは別として、いっそのことヘッドホンステレ オでずっと耳をふさいでいられたら、と思うこともあります。ただしその場合、 聴く音楽も選ばなければなりません。歌詞がマイナスの言葉のオンパレードで は、かえって逆効果ですから。 それはさておき、あなた自身がマイナスの言葉を使わないように努力するこ とは可能です。まず、あなたの普段の一日を思い浮かべてみてください。 朝起きたら、家族に「おはよう」と声をかけますか?

一人暮らしのあなたの場合だったら、どうですか?大好きな彼の写真に向 かって、「おはよう」と挨拶しているかもしれませんね。 また、朝食のときは、どんな会話をしていますか?出かけるときの「行っ てらっしゃい」「行ってきます」の挨拶はありますか?会社や学校での挨拶、 会話、電話の応対などはどんなふうですか? 日常生活でのさまざまなシlンをじっくり思い出してみると、自分の話し方 の癖のようなものが見えてくるはずです。 もし、マイナスの言葉が多いなら、それをプラスの言葉に置き換えることを 今日からはじめましょう。

「プラスの言葉とマイナスの言葉の見分けがつかない」 という方がいますが、それは、そんなに難しいことではありません。 プラスの言葉は、肯定的で、明るい響きを持つ言葉、マイナスの言葉は、否 定的で、後ろ向きの感じゃ暗い響きを持つ言葉だと思えば、ほぼ間違いはあり ません。では、次の会話をちょっと聞いてみてください。よくある会社の光景です。

A課長さっき提出してくれた企画書だけど、だめだ、全然なってないよ。会 議は明日の九時半からだから、今日中にやり直してくれたまえ。 日子え、でも、課長の指示どおりに書いたつもりなんですけど、どこがダ メなんですか?それに、今日中なんて、とても無理ですよ。 A課長 11 どうですか?お互いに嫌な気持ちばかりが増幅されて、とても 「いい仕事」など、できそうもありませんよね。マイナスの言葉ばかりを使っ ていると、何だか憂欝になってしまうでしょ。 では、こんなふうに言ってみたらどうでしょう。 これでは、 A課長さっき提出してくれた企画書だけど、ここがちょっとわかりにくかっ たな。すこし手を加えるともっとよくなるはずだから、やってみて。会議は明 日の九時半からだから、今日中に何とかね。 日子はい。アドバイスありがとうございます。今日中ですね、やってみま す。

A課長そうしてくれるか。君ならやれるよ。 ほら、プラスの言葉を多用すると、こんなにも違うものでしょ。 今度は、友だちどうしのこんな会話です。 A子B子、C子にあんなこと言って彼女ムカついてんじゃない?

B美 関係ねlよ。どうせ私が悪者になればいいんでしょ。 A子 変わってるね、あんた。嫌われるよ。 B美 どうだつていいよ。

何か、取りつく島もない、といった会話ですね。 これでは、人間関係はギスギスするばかり。同じことでも、すこし思いやり をもてば、中味までもがだいぶ変わってきます。

A子 B子、C子にあんなふうな言い万って彼女おもしろくないかもね?

B美そうかな。誰かが言ってあげなければいけないことだし。

A

優しいんだね。でも誤解は解いたほうがいいよ。

美 そうかもしれないね。

どちらの会話が好ましいですか? 当然、後者ですよね。 悪口や愚痴、失敗談、苦労話などは、もっとも避けたいマイナス言葉の代表 です。 よく、居酒屋さんなどで、サラリーマンが話しているのを聞いていると、そ の場にいない上司や同僚の悪目だったりしますよね。女性どうしの飲み会や食 事会でもそういうことはあるはずです。 通勤電車の中などでも、時おり陰口で盛り上がっている人たちを見かけます。 こういう場合、陰口を言っている人たちが正しくて、言われている人が悪い ということに、相場は決まっているようです。また、人の欠点や恵まれない状 況をことさらとりあげ、楽しんでいる人もいますよね。彼らは、ちょっぴり優 越感に浸って、しばし幸せな気分になっているのかもしれませんが、その人た ひと ちの脳は、決して本当には幸せを感じていません。「他人の不幸は蜜の味」な

どと言ったりしますが、冗談でもそんなことは言つてはいけません。 あなたも経験したことがあるかもしれません。実際に延々と人の悪口や中傷 が続くと、普通の人はだんだん気分が重くなって、嫌な感じに襲われるもので す。

夫婦間一嘩で血がドロド口に!

アメリカのユタ大学の研究者、ティム・スミス氏らの研究で「夫婦喧嘩での のしり合うことは、お互いの気持ちだけではなく、体にも負担をかけている可 能性が高い」という報告がなされています。これは、アメリカの有名な新聞 『USATODAY』に掲載された記事にありました。 スミス氏らは、一五O組の夫婦を対象に、連れ子や家計、家事、といった か火のつきやすい話題。で六分間話をしてもらい、言い争いの程度をビデオで 判定。同時にCTスキャンによる検査で、夫婦の血管の詰まり具合を調べたそ うです。その結果、たいへんおもしろいことがわかりました。

夫に向かって敵対的な発言をする妻は、そうでない妻に比べると、血管の詰 まる割合がなんと二倍になるのです。また、それに対して反撃する夫を持つ妻 は、さらに悪い状態だったというのです。 さらに、妻にののしられる夫の血管は、そうでない夫の一・五倍詰まりゃす いこともわかりました。 なんと、夫婦喧嘩で血がドロドロになっちゃうってことなんですよ。 敵対的な発言の応酬で高まった血圧はしばらく収まらないため、血管に負担 をかけ、これは下手をすれば動脈閉塞につながることまであると警告している のです。 「なんてパカな人なのかしら!」 「おれの言うことのどこがいけないんだ!」 こんな発言は、気分だけでなく、体の危険まで伴うということ。 怖いですねえ。 また記事は、 「暗一嘩になりやすい話題でも、静かに話す技術を身につける必要がある」とい う、デュ1ク大学行動医学研究センターのレッドフォード・ウィリアムズ所長

のこんな言葉で締めくくられていました。 確かに、穏やかに話せばすこしはいいのでしょうが、それでも使われた言葉 が「マイナス言葉」だったら、それなりの悪影響が出ることは間違いありませ ん。

怖い話が出たついでに、もう一つ恐ろしいお話を||。 それは||、言葉で人を殺せるということなんです。 そんなパカな、いくら何でも言葉にそんな力があるわけない! まあまあ、聞いてください。 オフィスや学校など、閉鎖された場所でだったら、起こりうることなんです。 ある特定の人ひとりに向かって、その場所にいる他の人全員が、 「お前、死ねよ」と毎日毎日言い続けたらどうなると思います。 その人は、最初は理不尽な言葉に対して、 「どうしてそんなことを言うんだ?」と反抗するでしょう。

でも、そんあことを一切無視して、ただみんなで「お前、死ねよ」と耳元で囁き続ける、、、。

まず、だいたいはノイローゼか神経症のような状態になるのは間違いないで しょう。そこで、ほとんどの人は出社拒否とか登校拒否になる。 そして「俺は死んだほうがいいのか」と自分でも思い込みはじめる。 会社や学校でのイジメを苦に自殺に至ってしまうケlスのほとんどが、実は こうした言葉によるものなんです。 人は、意外にも簡単に操られるものなんですね。 朝の会議や朝礼に決まって遅れてくる人に、聞こえよがしにみんなで、 つぶや 「何だよ。信じられないよ」などと咳いたとしたらどうでしょう、それも毎向。 間違いなく、その人は来なくなります。そういうものですよね。 これは、逆もまた然りでもあります。 「君がいると会社が楽しくなるよ」と言われ続けたら、言われた本人だって会 社に行くことが楽しくなるでしょう。 つまり言葉ひとつで、相手を救うことも殺すこともできるということなので すね。

だから、人を非難、中傷するようなマイナスの言葉が口をついて出そうにな ったら、意識的に「待て!」の信号を自ら発信して、なんとかプラスの言葉に 置き換える努力をしてみましょう。プラスの言葉は幸せを呼びますが、マイナ スの言葉は「百害あって一利なし」ということをくれぐれも肝に銘じておくこ とです。 そして、次は、あなたの友だちゃ仲間が使っている言葉を点検してみましょ つ。

もし、マイナスの言葉ばかりを使っているようなら、要注意です。あなたも それによって悪い影響を受けてしまいまずから、極力プラスの言葉を使うこと を「提案」してみましょう。きっと、それが変わっただけで、毎日がとても楽 しく感じられるようになるはずですよ。

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