MENU

第2章 カテゴリーの法則

あるカテゴリーで―番手になれない場合には、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ

大西洋を単独飛行で横断した三番手の人をご存じだろうか。 二番手がバート・ヒンクラーであることを知らない以上、二番手など分かりっこな いと思うかもしれない。ところがあなたには分かっている。その人の名はアメリア・ エアハートだ。 ところで、アメリアは大西洋を単独で横断した三番目の人として知られているのだ ろうか。それともそれに成功した最初の女性として知られているのだろうか。 オランダからの輸入ビール、 ハイネケンがアメリカで大きな成功を収めたとき、ア メリカ最大のビール会社アンホイザー・ブツシュ社の担当者たちは「われわれも輸入 ビールを手がけよう」と考えたとお思いだろうか。そうは考えなかったのである。彼 らは「高級輸入ビールの市場があるくらいだから、高級国産ビールの市場もあるに違 いない」と考えた。そして同社は国産初の高級ビール、ミケロブの販売に乗りだした。 このビールの販売実績は、いまでは二対一でハイネケンを上回っている(実をいうと、 アンホイザー・ブッシュ社もヨーロッパで大評判のカールスバーグというデンマーク 製ビールの輸入を始めた。しかし二番煎じのカールスバーグは、アメリカでは結局成功しなかった)。 ミラー・ライトは国産初のライトビールだった。ビールの輸入業者が「国産のライ トビールに市場があるのだから、輸入ライトビールの市場もあるはずだ」と思い付く までに五年かかった。その結果登場したのがアムステル・ライトで、輸入もので最大 の売れ筋となった。 たとえ顧客の心に最初に入り込まなかったとしても、希望を捨ててはいけない。 一 番手になれる新しいカテゴリーを見つければいいのだ。それは考えるほど難しいこと IBMがコンピュータで大きな成功をおさめるや、同業者がこぞってこの分野に飛 び込んできた。バロース、 コントロール・データ、ぞネラル・エレクトリック、 ハネ ウエル、NCR、RCA、スペリーの各社である。彼らは「白雪姫と七人の小人」と 呼ばれた。 これらの小人の中で、 一二万六〇〇〇人の従業員と一四〇億ドルの売上げを誇り、 「世界第二のコンピュータ会社」という呼称をもつ世界的大企業に成長を遂げたところはどこだったろうか。実はどこでもなかったのである。七〇年代から八〇年代にか けて最も成功を収め、IBMに次ぐ会社になったコンピュータ会社はデジタル・エク イップメント社(DEC)であった。IBMはコンピュータ業界の一番手であり、D ECはミニコンピュータの分野で一番手となったのである。 多くの他のコンピュータ会社(およびそのオーナーたち)は一つの単純な原則に従 うことによって、富を築き、名声を高めた。すなわち、あるカテゴリーで一番手にな れない時は、 一番手になれるカテゴリーをこしらえよ、という原則である。 タンデム社は無停止型コンピュータの一番手として、 一九億ドルの売上げを達成し た。そこで同業のストラタス社は一歩退いて、無停止型ミニコンピュータを開発した。 今日ストラタス社は五億ドル企業である。 マーケティングの法則とは難しい法則だろうか。いや、それはごく単純な法則であ る。しかし、その実行となると話は違ってくる。 クレイ・リサーチ社は初のスーパーコンピュータを開発して、その分野でトップに 立った。現在、クレイ社は八億ドル企業に成長している。これを見たコンベックス社は、あれこれ勘案したあげく、ミニスーパーコンピュータの開発に踏み切った。コン ベックス社はいまや二億ドル企業だ。 時として、私たちは新しいカテゴリーを発見することによって、落後者を勝者に変 えることができる。コモドール社は初のマルチメディアコンピュータであるアミガを 発売するまでは、パッとしない、家庭用パーソナルコンピュータメーカーの一社に過 ぎなかった。今日、 コモドール・アミガは大きな成功を収め、年間五億ドル以上の売 上げを記録している。 一番手になるためにはさまざまな方法が数多く存在する。デル・コンピュータ社は 電話セールスぞコンピュータを売り込むという初めての試みによって、同業社がひし めくパーソナルコンピュータの分野に参入した。いまではデル社の年間売上げは九億 ドルにのぼっている。

あなたが新製品を開発するとき、真っ先に問題にすべきことは「この新製品は競合商品よりどこが優れているかか」ではなくて、「どこが新しいか」ということである。言い替えれば、この新製品はどのカテゴソーで一番手かということだ。

先に述べたチャールズ・シュワブは他より優れた株式仲買業を始めたわけぞはない。 彼は最初の手形割引き仲買業を始めたのである。 「リアズ」は初の女性雑誌ではなかった。大人の女性のための初の雑誌であった(成 熟した女性のための雑誌なのである)。 これは、ブランド志向に立つ従来の伝統的なマーケティング思想(どうすれば人々 を自社のブランドに引き付けることができるか)には反する考え方である。ブランド のことは忘れて、カテゴリーについて考えてほしい。ブランドの話になると顧客は保 守的になる。だれもが自分のブランドがなぜ優れているかをしゃべりたてる。ところ がカテゴリーの話になると、顧客は心を開くのである。新しい物にはだれもが興味を 抱く。どこが優れているかに関心を寄せる人はほとんどいない。 あなたが新しいカテゴリーにおいて一番手である場合には、そのカテゴリーを売込 みなさい。つまり、この場合あなたには競争相手がいないのだから。DEC社は顧客 に対して、DECのミニコンピュータというよりも、そもそもなぜミニコンピュータ がお勧め品であるのかを説いたのだった。

かつてハーツ社はレンタカー・サービスを売り込んでいた。コカコーラはさわやか さを売っていた。両社のマーケティング計画は当時大いに効果を上げたものだ。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次