はじめに──気遣いがうまくなれば、あなたの毎日は楽しくなる!この本を手にとってくださりありがとうございます。人材育成講師の三上ナナエです。私はさまざまな企業で気遣いやビジネスコミュニケーションをテーマに年間約100回ほど研修を行っています。そんな研修の中でこんな質問を多く受けます。「人に気を遣うと疲れるんですが、どうすれば疲れずに気遣いができたりコミュニケーションが取れたりできるようになりますか」いつもこの質問を聞くと、私も深く共感して自分ごとのようにその解決策を一緒に考えていきます。私自身もかつては「人に気を遣いすぎて疲れる」という悩みに向き合ってきたからです。気遣いとは相手のためのものです。ですから私は自分を抑えていい人になることが正しいと思っていたころがありました。相手にいやな思いをされるくらいなら、自分が我慢してしまおうとしていたのです……。いまでこそ、そういった考えのままでは自分自身が疲れ果ててしまうことがわかります。気遣いのために気遣いができなくなってしまう。しかし本来「気遣い」は楽しいものです。相手が嬉しくなって、自分も少しだけ幸せになれるものです。それはプライベートであってもビジネスの場であっても何も変わりません。「この気遣いはおせっかいではないだろうか」「気遣いをしても、どうせ裏目に出るから……」その他、さまざまな気遣いに対する「怖れ」があると思います。そして、その多くが、「人からどう思われるかが怖い」といったものからくるように思うのです。そうした原因が気疲れにつながっていたりします。私はマナーに関する仕事に携わることでわかったことが一つあります。そういった気遣いへの「怖れ」のほとんどは、過去の体験から、知らずしらずのうちに自分の中に蓄積していった無自覚な「思い込み」であるということを。ですから「怖れ」によって生み出した幻想、物の見方を手放して、「勇気」をもって進んでみたときに、あなたの気遣いは変わるのだということも実感しています。・思い切って言ってみたら、取り越し苦労だった・思い切って言ってみたら、望む反応はなかったけれど、状況が好転しはじめた・思い切ってやってみたら、思う以上に素晴らしい体験ができたもちろん、相手を不快にさせないための基本的なマナーはとても重要です。ただ自分の思いを伝え、自分がしたいと思う気遣いをやってみる。気遣いの基本はそんなところにあると思います。この本には相手も自分も気疲れがしないための気遣いを31のポイントにわけてご紹介しています。私は幸運なことに恩師から指導を受けたり、さまざまな試行錯誤をし、自分も相手も大事にする考え方、それを表現するスキルを徐々に身につけていきました。本書を手に取ってくださったあなたに、気遣いの「勇気」をちょっと後押しできるような、ヒントになるような考え方や見方、実践法をたくさんご紹介しています。本の構成は全部で4つの章にわかれています。第1章では自然に気遣いできるようになるマナーの習慣を、第2章ではおもにコミュニケーションについての実践的な気遣いの方法をご紹介しています。第3章では自分も相手も疲れない気遣いの方法や具体的例を、第4章では気遣いがもっと楽しくなるための心がまえについてご紹介しました。ぜひ、肩肘はらずに、気楽に、考えすぎずに、自分の中にある思い込みをヒョイっと手放してみるかのような感覚で気遣いを楽しんでみてください。この本があなたの心を少しでも軽くし、疲れることなく周りの人とうまくコミュニケーションを取れるきっかけになりますように。三上ナナエ
相手も自分も疲れないほんとうの気遣いのコツContentsはじめに第1章自然と気遣いできるすてきな習慣No.01「無理をしない」と「具体的に」があなたを変える■目に見える変化でやる気もアップ■もう一つのコツは、気長に構えることNo.02よい関係を保つには「Iメッセージ」■どうしたらうまく伝えられる?トレーニングメッセージは「私」を主体にNo.03「小さな幸せ」づくりは気遣いのビタミン剤■明日の楽しみが安心感につながるNo.04褒められたら自分の気持ちを一言添えて返そう■褒め言葉は「驚き」で受け止めよう■負担になる褒め言葉には「ちょっと本音」No.05コミュニケーション上手はアウェイ好き■意思疎通のために一歩踏み出してみる■どんな場所でもコミュニケーション・レッスンNo.06緊張は3つの思い込みが原因■聞いている人たちがじゃがいもと思えないのは……トレーニング身だしなみの大切さとポイントを伝えたい、という場合■伝わるためには結論でサンドイッチNo.07すてきな人の振る舞いをまねてみる■私に合う、合わない心配りを見つける■トライ&アレンジでもっとすてきな振る舞い第2章場が和むコミュニケーションのコツNo.08ちょっとした会話は最高の心配り■声がけは一言だけでもいいトレーニング声がけに大事な3つのポイントNo.09聞き上手は「怒り」を「違い」と受け取めるトレーニング3つの順序で余計な一言を言わない■怒りから「求めているもの」を知ろうNo.10胸をはって「ごめんなさい」を言おう■すがすがしく謝る人の共通点トレーニングどうしても謝れないなと思ったときNo.11ひとり言が場を和ませる■ポジティブワードを空中に投げかける■ひとり言で自分も落ち着かせようNo.12正解が不正解になる間違った気遣い■大事なことは「その場の目的」を考えること■起こりうる未来に共感しましょうNo.13「肯定も否定もしない」が一番のアドバイス■相手の言葉を使えば共感が生まれるトレーニング誰も傷つけない、共感の仕方No.14車間距離のような適切な言葉遣いのポイントトレーニングよい距離感を保つための言葉の使い分け方■言葉以上に伝わる敬意第3章自分も相手も疲れない気遣いの方法No.15相手にやめてほしいことも無理なく伝わる■気遣いは相手の基準から■心配りは事実にのせて伝えましょうNo.16お願い事を断る勇気とコツ
■「断ること」は次につながるメッセージトレーニング敬う気持ちを伝える3つのポイントNo.17最高のおもてなしに必要な資質■「ありがとう」は気遣いのゴールではありません■「淡々」と行う、至高の心遣いNo.18「ありがとう」は「言うもの」と心得よう■「褒める力」を上手に使おう■気配りの大敵「……はずなのに」No.19メールは少しの工夫を加えるだけトレーニング返信がすぐ欲しいときのちょっとしたコツ■プライベートだからこそ大切にしたい一言No.20「ウケる」より「笑える」場づくり■自分も相手もリラックスできる場に■自然と笑いが起こる工夫をNo.21アドバイスの2つの鉄則■アドバイスはあなたを育む愛の肥料■なんでも一度受け取ってみようトレーニング「」第4章気遣いで疲れないための心がまえNo.22今ここに集中する■何に「心の焦点」をあてるのかトレーニング今ここ集中スイッチを入れようNo.23自分の機嫌を、自分でとる■不機嫌ポイントを探してみましょう■誰が一番損をするかというと……No.24気遣いに100点はない■あなたの求める気遣いの水準は?■点数を「気づき」に変えていこうNo.25一番大切なことは「誠心誠意」であることトレーニングあなたはどちらのタイプでしょう?■苦手なことが大好きになった瞬間No.26その心配りがネガティブになってしまうワケ■ネガティブも大切な要素No.27「どう感じるか」は気遣いの本質■その感情に名前をつけましょうトレーニング感情を伝えるときは「ちょっとだけ」No.28気遣い疲れを軽減する感情整理トレーニング自分の気持ちの落ち着かせ方■心配りに直結する「感情のとらえ直し」No.29相手をイメージできる余白をつくろう■想像力は相手への配慮■グレーゾーンこそ気遣いの余裕No.30失敗した気遣いを次に生かそう■なぜ気疲れはエスカレートするのかトレーニング自分を「親友」のように扱うNo.31ときにはゆる~りとおわりにColumn習慣化に伴う人間の習性松下幸之助は声がけの達人誰のための助言となっているかありがとうがお金にかわる?自分を過大評価してる?最後は楽しんだもの勝ち夢を持たなくたって素晴らしい感情に左右されない「反芻思考」に陥ったら
第1章自然と気遣いできるすてきな習慣
No.01「無理をしない」と「具体的に」があなたを変えるこれから本の中で紹介することや、ささいなことでもいままでやっていないことを習慣にするのは大変です。ストレスを感じたり、面倒くさくなってやめてしまう。これは誰にでもあることです。そんな自分へのダメだしは、自己肯定感を下げて、何かを習慣化する意欲を奪ってしまう。悪循環ですね。では上手に習慣化するにはどうすればいいのでしょうか。習慣化するコツ、またはいつものパターンを変えるコツ。それは「無理をしない」と「具体的に」です。無理のない計画、そしてその可否がわかりやすいような具体的な表現を使うことが大切なのです。目に見える変化でやる気もアップまず小さな一歩から始めることです。いきなり大きな目標を掲げて、そこを目指していくとあまりにも現状との開きが大きく挫折してしまいやすいもの。まずは小さなステップをつくって、それを積み重ねていくことで息切れをせずに続けやすくなります。例:いつでも完璧なご挨拶をしよう今週はお辞儀をした後、お客様の目をしっかりみよう「具体的に」のポイントは、目標の表現を、「できたかできなかったかで判断できるもの」にすることです。例:電話応対を完璧に行おう!「お電話ありがとうございました」と言ってから切ろう「電話応対を完璧に行おう!」という目標では漠然としていてどこまでをできたと判断するか難しいですよね。具体的に的を絞ることが大事です。そして、こういう目標を設定したら、今日一日で何回中何回言えたのかチェックをするのです。達成感を味わうことは、習慣化するのにはとても大切な要素です。達成していくと、次の目標を立てるのも楽しくなっていきます。たったこれだけでみるみる変化を感じますもう一つのコツは、気長に構えること克服して習慣化することが難しいものの一つに、「言葉遣いのクセ」があります。これは簡単なようで克服するのはなかなか大変。私は接客中、「さようでございますか」をつい「そうですか」と言っていることに気づきました。それをなおすために私は「そうですか↓さようでございますか」と付箋で貼って、意識しなくても言えるように習慣化しましたが、やっぱり10日かかりました。簡単なようで体にしみこませるのは大変です。ですからすぐにできないことに落ち込まず、気長に構えてほしいのです。筋肉をつけることと同じで、少しきついことをしばらく続けて乗り越えないと自分のものにはなりません。中々できずイライラするかもしれません。でも行動し続けることが大事。無理せず、具体的に、気長に構える。そうやって、一つひとつ「よい習慣」をつくっていってくださいね。何事も継続というのはすぐに身につかないからこそです
Columu習慣化に伴う人間の習性人間にはもともと「ホメオスタシス」(恒常性)という性質があります。ホメオスタシスとは、「いつものパターン」に戻そうとする力・調整機能です。これは体温や血圧の維持で生命が保たれるように、ある一定を自然に保とうとしてくれる大事な働きです。いままでと違う状況になると、それを生命維持にとって「危険な状況である」と脳が察知して元に引き戻してくれるのです。生理機能の調節以外でも、普段の行動や思考を変えようとすると、元に戻そうと反動が出てしまうという説があります。・節約しようとコツコツ切り詰め始めるとしばらくしてストレスがたまりお金を一気に使ってしまった・今度こそはとダイエットに臨むも、しばらくして挫折、反動で食べ過ぎてしまいリバウンドしてしまったこういった例はたくさんあります。そして、そんな「挫折した自分」をせめることになってしまいます。
02よい関係を保つには「Iメッセージ」2つの共通点のあるエピソードをお伝えしたいと思います。1つめは、友人が会社を設立する準備をしているときの話です。私はその友人と会うたびに会社への期待を話題にしていました。「設立後は楽しみだね」「こんなふうに成長したらいいね」「こういうアイデアもあっていいんじゃない」など、私は本当に成功を願って、励ましの意味も込めて、起業する彼女を応援していたつもりでした。ところが、私のかけた言葉に対して友人は、「私、そう言われるとプレッシャーに感じてしまう人なんだよねー」とポツリとつぶやきました。そう言われてはじめて私は彼女の思いに気づきます。そして、伝えてくれたおかげで、それ以上余計なことを言わずにすみました。2つめは、学生時代のときの話。ある学校の行事が終わって解散したら、私はいつも一緒にいた仲良し3人の友人と、おいしいものを食べに行こうと考えていました。ところが、そのうちの友人のひとりが彼と一緒にいたので、その子に気を遣って声をかけずに、2人だけでケーキを食べに行きました。後日、誘われなかった友人が「あのとき、みんなと一緒に食べに行きたかったからさびしかったよ」と伝えてくれました。友人の彼は用事があって、すぐに帰ったことを、そのときに知り、今後は勝手に判断せず声だけはかけようと思ったのです。さて、いかがでしたでしょうか?この2つのエピソードが共通して示していることは、自分の思い、気持ちをその場で相手に伝えているということ。裏を返せば自分の思い、気持ちを押し殺していると、その場は波風はたたないかもしれないけれど、不満が積もりやがて関係性は悪化してしまうかもしれないということです。そして、もう1つ、「自分の思い、気持ちを伝えるということは思いのほか難しい」ということです。特に自分が望ましくない、そうしてほしくないという思いや気持ちを伝えることは難しいのです。どうしたらうまく伝えられる?じつは伝えるコツというものがあります。それが「Iメッセージ」です。メッセージは「私」を主体にIメッセージとは、「私はこう思うんだ」「こう感じる」という、私が感じたことを伝えるというものです。何かしてほしくないことがあったとして、「あなたはこうしている!」「こうするべき!」と言うのは「YOUメッセージ」といいます。そうではなく、「それを私はこう感じる」という自分が感じる(感じた)ことを伝えるのがIメッセージです。あえて伝えないこともありますが、基本的にはきちんと伝えたほうが心の安定が増し、それが相手にも伝わり、結果的にはよい関係をずっと保つことができるのです。それぞれのエピソードでもIメッセージが届いたかどうかで本人と相手との関係に差がありますね。たとえば最初のエピソードの彼女の言い方はIメッセージで、とても受け取りやすいものでした。「プレッシャーをかけないで」だと、私はちょっと非難されたような気持ちになったかもしれませんが、「私、プレッシャーに感じるの」と自分の思いを伝えてくれたことで、責められているように感じません。また2つめのエピソードでも、私があのとき素直に「ごめんね」と言えたのは「なんで誘ってくれなかったの?」ではなく「行きたかった」「さびしかった」という友人の思いから出た言葉があったからです。人と長くよい関係を保てる人に共通するのは、相手を責めず、自分の思いも伝えなくてはいけないときにしっかり伝えられる人です。そのときに、「相手にこうするべき」でなく、「私はこう感じるんだ」というIメッセージをうまく使いながら伝えてみてはいかがでしょう。もしこれまでまったく意識してなかったとすればやってみる価値はありますよ!自分の気持ちを伝えれば、いい関係を保つこともできるはずです
03「小さな幸せ」づくりは気遣いのビタミン剤昔、私は腫瘍ができ、癌かどうかは、手術をしてみないとわからないと診断されました。見た感じは〝ちょっと怪しい〟と言われ、手術を勧められましたが、早くても手術の予約が取れるのは1ヶ月以上先とのこと。手術し、細胞検査の結果が出るまで、ずっとこの不安な気持ちが続くと思うと、胃のあたりにズンと大きな鉛の塊が居すわってしまったかのような、なんとも言えぬ、つらく苦しく重たい感覚になりました。ネットでいろんな情報を調べては、同じ状況の人のブログなどを見たりして一喜一憂する毎日。結果が出て対処が必要とわかれば、まだ腹もくくれるのですが、どちらかわからないという状態が、これほどストレスのかかるものなんだと実感しました。ずっとこんな気持ちでは、結果が出る前に、心も体もまいってしまう……。そこで、その不安な思いから離れる工夫をしてみることにしました。そのきっかけは、ある方の闘病記で「定期的にお気に入りのカフェに行くことが何よりの楽しみでその日のために頑張る」というようなことが書いてあるのを目にしたことでした。その記事をヒントに、私も自分にとっての「癒し」や「好き」など「小さな幸せ」をたくさん集めてみることにしました。パン屋さんに行く川沿いを散歩する小さな瓶にお花を生ける窓ガラスを拭く好きなコーヒーの飲み比べをするたい焼きを買う無心に塗り絵をする美術館に行く行ったことがない駅で降りてみる手作りのお菓子を作るいつもと違った時間に起きてウォーキングするプレゼントする絵本を探す旅行雑誌を買う部屋に飾るポストカードを選ぶストレッチをするアロマキャンドルを焚く凝ったカレーを作るYouTubeでお笑いを観る面白いブログを見つけるちょっと高級な石けんを買って使うお気に入りのカフェのスコーンを食べるリラックマの4クママンガを見るミントの葉を買い、ミントジュレップというカクテルを作るなど書き出してみると意外にたくさんあることに気づきます。そして、新しく見つけたらまた足していったりして。私はすべてやってみました。書き出して自分の目で見つめると、普段意識しなかった、たくさんの「好き」があったんだな……と気づきます。「明日はこれをやろう」と小さな計画を立てるだけで、その瞬間、ふっと心配が消えるような感覚があります。人は、未来のことを想像することができる生き物です。それは素晴らしいことであり、その想像力がビジョンとなって、素晴らしい現実をつくっていくことができます。小さな楽しみが増えるとなんでも楽しめるようになりますよ明日の楽しみが安心感につながるしかし、一方で、想像が悪いイメージをかき立てて、不安と心配にかられてしまうこともあります。まだ起きていないことをもんもんと考えて、そこに心を奪われると「今」を生きることができなくなります。でも、どうしてもそこから抜け出せなくなってしまうことはあります。そんなときは、「明日の楽しみのことだけ考えてみる」ことです。その後、検査結果が出て、腫瘍は良性だったことがわかりました。しかし、検査結果が出る頃には、私は、もう検査直後に感じていた不安な気持ちをだいぶ上手に緩和できるようになっていました。そしてこの習慣は、その後
も日々ちょっとしたストレスに対処していく方法を意識するきっかけをもたらしてくれました。大きな気分転換、たとえば旅行などは、たしかに心ワクワクする体験をもたらしてくれ、あっという間に違う世界に連れて行ってくれたりしますが、でもそんなにすぐには実現できなかったりもします。「小さな幸せ」を思い浮かべて書き出し、やってみる。するとちょっとした心のビタミン剤になって、安心感と、今を生きる楽しさを思い出させてくれます。「小さな幸せ」リストとその実行が、毎日をリフレッシュさせてくれ、私たちをサポートしてくれます。自分セラピーの簡単なアプローチ、ぜひ試してみてくださいね。毎日をリフレッシュする、簡単で効果抜群の方法です
04褒められたら自分の気持ちを一言添えて返そうあなたは、人から褒められるとどんな気持ちになりますか。研修でお互いに相手の魅力、すてきだと思うことを伝え合うワークをすると、多くの人が「なんだかこそばゆい」「どう反応していいかわからない」という状態になるのが見受けられます。嬉し恥ずかし、という感覚なのかもしれませんね。そしてついつい、「そんなことないですよ~」と相手の言葉をなぜか否定してしまったりします。私の友人に、褒めるといつも「わあ!ありがとう!!」と受け取ってくれる人がいます。それに対して私も「受け取ってくれてありがとう」という気持ちになります。あるとき、いつも褒め言葉を受け取ってくれるその人に「そんなことないよ」って言わずに「ありがとう」って言ってくれるから嬉しいということを伝えると、「じつは前は全力でそんなことないよ~って言うのがクセだったの。でもある人にそんなことないよって言われるとなんだか残念な気持ちになるって言われてから意識してありがとうって言うようになったんだ」と教えてくれました。照れや気恥ずかしさから、相手の褒め言葉を、無自覚に否定してしまう。特に自己肯定感が低かったりすると、思いっきり否定してみたり。でもよく考えてみると、それは言ってくれた相手の言葉を受け取らず、相手の思いを否定していることでもあります。もし素直に受け取らないことが、無自覚に習慣になっていたとしたら、それはとってももったいないことなんですよね。どうしたら受け取れるようになるのでしょう?「謙遜」が「拒否」と受け取られてしまうことも……褒め言葉は「驚き」で受け止めようまずは、褒められたら、そのとき、感じている気持ちをそのまま言葉にすることからスタートしてみましょう。そんなことを言われてびっくりしたということを私は伝えることが多いです。「ちょっと照れるんですけど!」「え~~!嬉しいなあ」「わあ、本気にしていい?」「そうなの?なんだか嬉しいなあ」「どうだろうと思ってたから、よかったあ!」などこんな調子です。私も褒められたとき、ついつい「いえいえ、自分の力ではないですよ」と言ったことがあります。これも謙遜しているようで、相手の言葉を受け取れていません。もちろん、本当に私の力じゃないから、と思うことだってあると思います。こんなときは、言ってくれたことに対して「お礼」で返してみましょう。「ありがとうございます!さんにそう言われてホッとしました。じつはたくさんの人にアドバイスをもらいました」「わあ!ありがとうございます!いろいろ経験させてもらったおかげです」自分のことに関心を持ってくれたこと、そして自分に対して肯定的な見方をしてくれていること。これは本当に素晴らしくありがたいことです。ではそんな相手にすることはなんでしょう?それは、しっかりと受け取って、感謝の気持ちを言葉にすることです。負担になる褒め言葉には「ちょっと本音」しかし、どうしても、褒め言葉をプレッシャーに感じてしまうということがあるかもしれません。相手はよかれと思っていても、自分がそれを肯定的に受け取れないとき、たとえば「さんはいつもまじめですよね」と言われ、心の中で「まじめって言われると、かたいイメージがするし、ずっとそうしなきゃいけないと負担を感じちゃう……」って思ったとしたら……。そんなとき、もし相手が自分の気持ちを受け止めてくれそうな人だったら、思い切って本当の気持ちを言ってみましょう。「ありがとう。でもね、じつはまじめって言われると、いつもまじめにしなきゃいけないって、プレッシャーに感じることもあるんだよねえ……。まじめって面白くないのかな?とも思っちゃったり……」
自己開示をしてみることで、自分のことをわかってもらえるきっかけが生まれるかもしれません。言葉にすることで、ずっと抱えていたモヤモヤから解放される感覚も生まれます。それによって、自分のとらわれていたものがスッとラクになって、相手の褒め言葉を素直に受け止められるようになることだってあります。褒められたときは、・感じていることを表現する・お礼を伝える・もしプレッシャーに感じていたらその気持ちを(相手を選びながら)素直に開示してみるそうすると、褒め言葉を上手に受け取れるようになっていきます。褒め言葉を素直に受け取れるようになると、自己肯定感はどんどん高まっていきます。そうすると自分も周りもハッピーにできる雰囲気を持った人になって、ますますものごとがうまく回っていくものです。ぜひ受け取り上手になってくださいね。自己開示が、褒め言葉を自信に変えてくれるんです
05コミュニケーション上手はアウェイ好きコミュニケーション上手な人は、その力を磨くため環境をうまく利用しています。具体的にいうと「アウェイに行く」ことです。アウェイとは自分の普段慣れ親しんだところではない環境です。よくサッカーの国際試合で、自国をホームというのに対して、相手国はアウェイといったりしますよね。アウェイでは、文化も習慣も違います。自分の常識が常識でなかったりすることはあたり前のようにあります。違う国とまではいかなくとも、自分のことを知っている人がいない場所は、アウェイといえると思います。アウェイでは、自分の思い、要望、感情をいろんな方法で発信しないと周囲にはそれがなかなか伝わりません。そのままでいると何も物事が進まない、おたがい被害をこうむるなんてことにもなりかねません。そんな環境ではどんな人でも試行錯誤して必死にコミュニケーションするので、結果としてその力を向上させていくのです。とはいえ、アウェイはストレスをともなうものです。そういう私も講師かけ出しのときはアウェイと思う場で講師をするのはいやなものでした。ちなみに私が講義を行うときのアウェイな状況とは、たとえば仕事上しょうがなく参加しているけど、あまり乗り気ではないような心持ちの人が多いときです。だいたいこういう場合、まず会場に入ると空気が重いです……。今の気持ちを色であらわすと?と質問すると、「グレー」という答えが多く返ってきます。ちょっとでもわからなかったり、聞く価値がないと思ってしまうと、とたんに心のシャッターが下りてしまいます。ですから私も必死です。少しでも、「聞く価値がある」という気持ちになってもらえるよう、たくさんの情報のストックを持ち、状況によって出すものを選び、出し方も即座に変えるよう心がけます。しかし、これが、講師としてのコミュニケーション力、伝達力を格段に飛躍させてくれるんです。意思疎通のために一歩踏み出してみる自分から誰かに「私のコミュニケーションの仕方で直したほうがいいところを1つあげるとすると、どこですか」と訊いてみることも有効です。ちょっと勇気がいるかもしれませんが、自分ではなかなか気づけない部分が見えてきます。以前、60代の専業主婦の方が、私のところに「話し方」のマンツーマンレッスンを受けに来られました。これからの人生、残りの大切な時間を、大切な人たちとよりよいコミュニケーションをとって過ごしたい、との思いで申し込んだとおっしゃっていました。私は、その方のためと思い、厳しいコメントもしていたのですが、しっかり受け止めてくれました(じつは指摘された瞬間はとてもショックだったと後日お話ししてくれましたが……)。そのかいあってか、後日、「誤解されがちだった周りの人との関係もちょっとずつ改善し、違うことにも挑戦する勇気を持てた」とご連絡くださいました。年齢を重ねてこのようなチャレンジはとても勇気のいることだと思います。しかし、自分では気づかないクセを、こういった形で克服することで、結果としてコミュニケーションに自信が持てるようになったことはとても大きなことだと思います。試行錯誤の数だけ伝達力は上がりますどんな場所でもコミュニケーション・レッスン環境を変えて、いつものパターンを見直してみる。最初は慣れずに違和感があっても次第に自分の考え方やコミュニケーションの仕方のバリエーションが広がっていくのです。コミュニケーションを磨く環境は、意識をすれば、つくることができます。たとえば、・お店などでこちらから店員さんに雑談してみる・だれも知り合いのいない勉強会に参加する・同じ年代の人がいないカルチャー教室に体験で行く・一人旅をするなど慣れない環境に身を置くことは、最初の一歩にちょっと勇気がいるかもしれません。でも踏み出してみると、意外と解放感があったり、そこで工夫をしたことがうまくいくと自信も出てきます。そうすると、もっとやってみようと意欲がわいてくるものなのです。ちょっと尻込みする場所が意思疎通の幅を広げてくれます
No.06緊張は3つの思い込みが原因あなたは、スピーチに自信がありますか?伝えたいことを伝わるように伝えられる人は、やはりそれだけで、周囲からは一目置かれますよね。しかし、そうした話し方に自信があるという人は意外に少ないように思います。私も、いまでこそ講師として人前でたくさん話をしていますが、かつては本当に苦手意識を持っていました。おしゃべりは好きでも、いざきちんと話さなければならない場面ではまったくうまく話せませんでした。理路整然と話をしている人に憧れたり、自分の考えが正確に伝えられないコンプレックスをずっと抱えていたんです。聞いている人たちがじゃがいもと思えないのは……私もどうしたら緊張しないようになるのかをいろいろ試してみました。手の平に「人」の字を書いてみたり、聞いている人は全員じゃがいもと唱えてみたり……(笑)。しかしやったところで結果は変わりませんでした。何かきちんと話をしなければならない場面、たとえば何かの会で締めの挨拶だったりたくさんの人の前だったり、立場が上の人に説明したり。そんなときに緊張してしまうのは、・緊張してはいけない・流暢に話さなくてはいけない・相手にできる人と思われなくてはいけないという思いにとらわれているからです。しかし、自分の思いとは裏腹に、相手は、もっと流暢に話してほしいとか、そんなことをあまり、期待してはいません。言葉が流暢でも、深い意味や想いがあまり込められてない長い話を聞いていて、もうそろそろ終わらないかなあと思ったことはありますが……(笑)。たいていは、「こんな風に思われたらどうしよう……」という自分でつくっている勝手な思い込みが緊張を生むのです。なので、まずは「うまく話せなくても、相手に嫌な感じを与えることはない」ということをいつでも思い出してください。「うまく話せたら儲けもの」くらいの感覚でいいんです。とはいえ、立場上、明快に伝えることを求められる場面もあります。うまく伝えなければならない場面では、事前に「話の筋」を準備しておきます。効果的な手法の1つに、ホールパート法というものがあります。ホールパート法とは、伝える内容を、まずホール(全体)で話し、その後パート(部分)を話し、最後にもう一度ホール(全体)で締めるという説明方法です。①Whole(全体)結論②Part(部分)詳細③Whole(全体)結論ということです。身だしなみの大切さとポイントを伝えたい、という場合1Whole(全体)=結論「身だしなみは相手を不安にさせないための思いやりです。人は相手のどこを無意識に見て、身だしなみがいい悪いを判断しているかお話しします」2Part(部分)=詳細人が見ている3つのポイントをお伝えします。「ポイントの1つ目は清潔感です。清潔感とは実際に清潔であってもそう見えないと意味がありません。たとえば……。ポイントの2つ目は違和感がないことです。違和感とは目がある1点に釘づけにならないこと。たとえば……。ポイントの3つ目は機能的であること。機能的とは……」3Whole(全体)=結論「身だしなみを整えるポイントをご紹介しました。身だしなみは他者評価。おしゃれは自己満足。相手目線で整え、不安にさせないことが大切です」
まず、何が一番言いたいこと・伝えたいことなのか考え、その具体的な中身を詳細に分けて、書き出してみましょう。こうやって、ちょっと前もって準備するだけでもそれだけで話が整理され、何が伝えたいかはっきりしてきます。こう言われると、とても簡単なことのように思えてきませんか?そう、そんなに難しいことではないんです。緊張しないためにもホールパート法は役立ちます伝わるためには結論でサンドイッチでも普段これを意識していないと、ついいつものクセが出てしまうんです。多いのは、時系列でダラダラと話してしまっているパターン。カフェなどで聞こえてくる話も、この話はどこに行き着くの?と思いながら聞くことが多いです。たとえば、こんな風に話されたらあなたはどう思うでしょうか?「この前、Aさんと、営業先のに行ったんだけど、夕ご飯を食べようということになって、ネットに頼らず、直感でおいしい店を見つけてみようということになって、Aさんもこだわりがあるから意見はことごとく違ってさ、結局じゃんけんで私の直感で決めようってことになったんだけど、私がお店で入りたいなと思うポイントはなんだよね。でも、Aさんはこだわりポイントが全然違ってさ……」聞いているほうは、この話は、・お店探しのこだわりポイントの話・Aさんと自分の違いを言いたい話・そのお店を教えてくれる話そのどれなのか終わりまで聞かないとわからないのです。思いついたまま話すおしゃべりも解放感があって楽しいのですが、伝えたいことを伝わるように伝えるにはこれではアウトです。なので、ホールパート法のような、話の筋を整理することが大切です。ホールパート法で話すことを意識してくり返していると、だんだん慣れてきて、突然話を振られても、スッと話ができるようになります。何を言いたいのか結論で話をサンドイッチすると、相手も話の要点がわかり、ずっと集中していなくても理解がしやすいので、ラクなのです。話の結論=一番伝えたいことを意識しましょう。さきほどの例でも、・にネットには紹介されていないおいしくて、めちゃめちゃ雰囲気のいい店を見つけた話・人がお店を選ぶポイントっていろいろ違うんだな、と思った話・Aさんのこと、ちょっと気になってたんだけど、食の好みがだいぶ違うって気づいた話そのどれなのかを明確にして、最初に伝えると、本当に話が伝わるようになっていくのです。そして、これは練習すればするほど、うまくなっていきます。こういった型になれていくとだんだん安心して話ができるようになり、いつしかこの型を使わなくても、もっと自由に伝わる話ができるようになっていきます。そのためのステップとして、まずは自分の話し方を「型」を使いながら、磨いていってくださいね。とはいえ雑談ですから神経質にならないでくださいね自由の中に型があると自信が持てるようになりますよ
07すてきな人の振る舞いをまねてみるこの人に会ったあとは、なんだか清々しい気持ちになるなあという人っていませんか?そういった人の行動をまねてみると、自分とは違うその人の考えや視点に気づいたり、まるでその人が乗りうつったかのように、気持ちが整えられるような心地よさを体験できることがあります。私がまねてみたことがある行動は、たとえばこんな感じです。・カフェなどで立ち去り際、テーブルの水滴などをナプキンで軽く拭く・出入り口などで向かいにいる人を先に通す・お店の人に自分から少し話しかけてみる・カバンの中身を整理整頓してみる・靴をきれいに磨く・靴を脱いだとき、隣の人の乱れた靴もそっと揃える・待ち合わせに背筋を伸ばし、機嫌のよさそうな表情で待ってみる・質のよさそうなハンカチを持つ・ちょっとした悩みを相談したあとは「聞いてくれてありがとうね」と言う・相手が質問してくれたとき、「そういう質問してくれて、嬉しい」と言う一つひとつはとても小さなことで、まねるハードルもそれほど高くないのでやってみようかなと思えることをチョイスするのがポイントです。すてきな新習慣は、すてきな側面を教えてくれます私に合う、合わない心配りを見つけるやってみて、相手の反応がいつもと違ったり、自分の気持ちがよかったり、いつもは気づかないところに目が届いたり、本当にいろいろな発見があります。もちろん、やってみて、何か自分らしくなかったり、ちょっと違和感を覚える場合もあります。それも、また気づきです。違和感があるなあ……と思ったら無理してやり続けなくてもいいのです。もし自分だったらこうするかなとか、違う表現の仕方にしてみようとか、アレンジして工夫してみたりするのもいいかもしれませんね。以前、ある方が和風のすてきな手書きの絵手紙をくれました。出会うことができたことに感謝の気持ちを込めて、ということでくださったんですね。すてきだな~と、とても感動して、私もまねしてみようと思い、絵手紙教室に行き、少し習ってみました。しかし私が実際に絵手紙を送ってみると、相手からは「すてきですね」という反応ではなく、「ちょっと驚きました!」という感じで受け取られることが多かったんですね。やってみるととても楽しかったのですが、なんとなく自分の「らしさ」じゃない気がして、しばらくやって、やめてしまいました。しかし、その人の世界観や思いなどをちょっと体験できたことはとてもよかったと思っています。そしてやってみて、自分の個性というものを自覚するきっかけにもなりました。トライ&アレンジでもっとすてきな振る舞いそのあと、私は絵手紙ではなく、次に会ったときは前に相手が教えてくれた情報を実際やってみたらどうだった!ということを伝えたりするほうが自分らしいかなと思い、やるようにしてみました。相手は、驚きとともにとても喜んでくれましたし、私もやっぱりそちらのほうが嬉しいし楽しかったです。いずれにしても、すてきだなと思うことは、まねてみる。そして自分のものにするもよし、アレンジして自分らしいやり方を編み出すもよし。そうやってトライ&アレンジの繰り返しが、あなたをますますすてきにしてくれます。すてきな振る舞いをしている人も、意外と完全なオリジナルではなく、誰かに影響されていたり、まねをするところから身につけていたりするものです。ぜひ、積極的に、「すてき」をまねてみてくださいね。小さな「すてき」を積み重ねましょう
第2章場が和むコミュニケーションのコツ
08ちょっとした会話は最高の心配りたとえば、上司という立場の人は、自分の気がつかないうちに、部下に対して「気軽に話しかけるなオーラ」を放っているケースが多いようです。上司はそんな気はなくても、部下がそんなオーラを感じ取っているなんてことをよく耳にします。部下からすると上司はいつも忙しく見え、声をかけたら申し訳ないと感じさせます。解決の手立ては、上司のほうから声をかけることでしょう。ちょっとした会話を上司のほうから振ると、部下も声をかけやすくなるものです。とはいえ、上司の立場である人は実際に非常に忙しくてとても部下全員に声をかける時間なんてないよ、と思うことも多そうですね。しかし、この状況が続くのは、部下にとっても上司にとっても、そしてその組織にとってもよくありません。なぜなら情報が共有できずに大きなミスを犯すかもしれないからです。本来は緊急性の高いことであっても、部下は「でも状況がはっきりしていないし、ちゃんとまとめて話さなければ上司に叱られそうだ。そもそも忙しそうでとても耳を傾ける余裕なんてなさそうだ」と思ってしまう。結果、大きなミスが発生してしまうなんてこともあるでしょう。それ以上に好ましくないことがあります。それは、メンバーがその組織に対して愛着が持てなくなっていくということです。それとともに自己重要感も持てなくなっていくということなんです。自己重要感とは「自分のことを大事に思える気持ち」です。これは、誰かの役にたてているという実感や、誰かに認めてもらえているということを感じると高まっていくものでもあります。大きな問題の原因は、小さなところからだったりします声がけは一言だけでもいい「声をかけてもらえる」と人は「自分の存在を認めてもらえている」と感じます。「自分自身が必要とされているのか?」「ここにいてもいいのか?」そんな不安を抱えている人はたくさんいます。でもそんなときに話しかけてもらうことで、「自分はここにいていいんだ」と思うわけです。自分の行動に対して、褒められたり、感謝されたり、ときには叱られることでさえ、何かコメントをされることで「自分は必要とされている」と思うようになっていくわけです。これは上司が部下に対してだけではなく、どんな人間関係であっても同じことが言えます。声をかけるというのは相手の自己重要感を高め、お互いの新密度を活性化することにおいて、とっても大事なことなんです。とはいうものの、意外にどう声をかけていいかわからないなんて方も多いんじゃないでしょうか?じつは3つのことを心がけるだけで全然違うのです。声がけに大事な3つのポイント声がけするときに大事なポイントが3つあります。それは、「関心を持つ」「本心でする」「こまめに」です。相手に関心を持つと実はいろんなことが見えてきます。表情の変化、見た目の変化、声の調子の変化、今何に取り組んでいるか、何に関心があり何に困っているのか、など。そしてそこで感じたことを言葉にするんです。なんか元気なさそうだと感じたら、「なんか心配ごとがあるの?」と声をかけてみる。なんか嬉しそうだと感じたら、「なんかいいことあった?」と声をかけてみる。取組みの様子を見て、そのちょっとした変化にコメントをするのです。ただ声をかければいいというものでもありません。別に思ってもいないことを言っていたら、ただ調子のいい人です。思っていることと言葉が連動していないと、言ったことをすぐ忘れて、しばらくしてまた同じ質問をしてしまい「それ、前にも言いましたよ!」なんて言われてしまうかもしれません。本心からすることが大事。そしてこまめにすること。声がけをすると相手の「ここにいていいんだ」「自分は関心を持ってもらえているんだ」という気持ちが高まります。何も言われないでいると不安になります。そう考えると折に触れてちょこちょこ言うことのほうが、あるときにまとめて言うよりもいいことは言うまでもありませんね。この3つに加えて、もう1つあげるとすれば、「メモをする」のもお勧めです。声がけを「関心を持って」「本心で」「こまめに」する。メモを使って相手の話を覚えておく工夫をする。そういった習慣をプラスするだけで周りの人は大事にされていることを感じ、あなたとの関係がいい方向に大きく変わっていくでしょう。「」
Columu松下幸之助は声がけの達人松下幸之助は、廊下ですれ違った新入社員にも気軽に声をかけ、新入社員が話した内容をすぐにメモにとっていたそうです。新入社員にとってはあの松下さんがぼくの話を聞いてメモにまでとってくれた!と感激し、みな大ファンになる、そんな話を聞いたことがあります。相手の目の前でメモしにくい内容もありますが、ちょっと気になったことを後で書き残すと記憶に残りやすくなります。次回の雑談のネタになりますし、相手は嬉しくなってしまいます。以前、リピートやご紹介の多い美容サロンの経営者の方が教えてくれたことですが、施術中にした雑談は必ずお客様がお帰りになった後、カルテに記入しているそうです。そして次回いらっしゃる前にメモを見返しそのお話をするそうです。大事なご家族やペットのお話、プチお悩みなど、覚えていると喜んでくださり会話も盛り上がるとのこと。「あなたは特別な方です」というのが伝わる。つまり「相手の自己重要感」が高まり、「ここにいていいんだ」という気持ちが生まれ、リピーターになってくださるのです。
No.09聞き上手は「怒り」を「違い」と受け取めるある外国の方とコミュニケーションを取ったとき、私が常識と思っていることとまったく違う反応をされて、コミュニケーションがうまく取れず戸惑ったことがありました。最初は「一体どうしたんだろう?」と思いましたが、でも「まあ文化が違うし、そういうものなんだね……」と、とくに腹を立てるでもなく、その場は終わりました。しかしこれが日本人同士だと、「まあしょうがないね」とはなかなか思えなかったりします。身近な人だとなおさら、怒りがわいてきてしまったり……。この違いはなんでしょうか?それは、外国人であれば「考え方・見方・文化・風習」などが違うと思えるが、同じ日本人であれば、「普通こういうものでしょ」と思ってしまう。相手が違う考え方や見方をしているということを思わない(または思いにくい)からだと思います。よく考えてみると、同じ日本人であっても、それぞれの考え方、経験、気質などが違います。むしろ考え方も全く一緒で何のストレスもなくコミュニケーションができる人と出会えるほうがラッキーなのかもしれません。とはいえ、それがわかっても、怒りがわくのを止めることは難しいものです。怒りはとても強いエネルギーなので、そのままストレートに出してしまうと、相手を傷つけてしまいます。また抑えてしまえば自分が傷つきます。それは相手との関係悪化を招いていきます。怒りを持った状態で相手を見ると、相手のいいところも見えなくなって、相手を自分勝手な人、非常識な人など、レッテルを貼ってしまいます。そしてそのレッテルで相手を見るので、ますます関係が悪化していく……。悪循環ですね。3つの順序で余計な一言を言わない相手にぶつけず、かといって溜め込まずに、うまく感情に対処するためには?そんなときは、この順序を知っておくと、自分の怒りをいい方向に向かわせやすくなります。怒っている自分と対話をするような感覚でやってみてください。1怒りを認める「今、私、怒ってるね」と心の中で呟く。2頭に血が上っているのを下げる呼吸も浅く、速くなっているので、「深呼吸」で体の反応を落ち着かせます。100から7を引き続けるなど「頭を別のことに使う」のもいいと思います。また怒りの度合いが強ければ、化粧室に行くなど「場所を変える」のもお勧めです。3なぜ腹が立ったかを言葉にしてみる「軽く扱われたと思って腹が立ったんだね」「自分を大切にされたかったんだね」と声に出してみたりする。感情は身体感覚ですから、そうやって、まずは感情を自覚して、体の反応をクールダウンしていきます。怒りで得られるものは悪循環だけです怒りから「求めているもの」を知ろうちょっと気持ちが落ち着いたら、今度は相手に伝えてみます。怒りを伝えるのではなく、自分の求めていることを伝えるのです。怒りに限らず、特にネガティブな感情は、その奥に「本当はこうしてほしい」「本当はこういうことを求めている」という自分のニーズがあります。そのニーズと起きていることの〝ズレ〟が感情を引き起こすのです。ですから、その感情によって気づいた自分のニーズを伝えるのです。・勝手に自分のせいにされて怒った↓「事実を確認してから伝えて欲しい」↓「私の言い分もきちんと聞いて欲しい」・自分の人格を否定されるようなことを言われ怒った
↓「もう少し受け取れるような言葉で言って欲しい」↓「決めつけられてしまうことが嫌だった」言い方は、相手が受け取れるように、断定的に言うのではなく「自分はこう感じている」というように伝えていくとより受け取りやすいものです。これは1章でご紹介したIメッセージですね。「私は~感じている」「私は~思っている」という具合で伝えます。できれば、黙っていても自分のニーズを正しく察してくれたら、ラクだし嬉しいです。しかし、黙っていてもそう簡単に正しく察してもらえるものではありません。ですから本当のニーズを上手に伝えることが大事になってくるのです。自分のルールと相手のルールは基本的に違います。しかしその渦中にいると、頭では理解できても気持ちがなかなかついていかないものです。決して、自分のほうが間違っているなどと思う必要はありません。ただ相手も間違っているわけではない。あくまでも「違い」があるということ。「私はと思っていて、それは私にとっては正しいこと。でも私と相手とは違うルールを持っていて見方が違うんだ」というように言葉にしたり、紙に書いてみると、意外に冷静に「そうだよな」って思えたりもします。感情の中でも大きなエネルギーを持つ、怒りを上手に扱っていく。そして、その奥にあるニーズを、言葉を選んで上手に伝える。同じように相手の怒りの部分は、その人のもっともあなたに知ってほしいことでもあります。相手との関係性を上手につくっている人というのは、こういったメカニズムを知って、対応している可能性が高いです。そして上手に対応できる人は結果的に、仲良くなったり、味方が増えたりしていきます。感情も人も味方につけていく術を、ぜひぜひ身につけていってくださいね。怒りの部分はその人の一番伝えたい部分なんですね
10胸をはって「ごめんなさい」を言おうあなたは、明らかに自分が悪いなと思ったときにすぐに「ごめんなさい」「申し訳ないです」が言えるほうでしょうか。友人と会話しているときに、「明らかに相手がお詫びしていい場面なのに色々な言い訳を言って謝らない人って結構いるよね」という話になったことがあります。そんな会話をしながら、「私自身、素直にすぐにお詫びの言葉が出ているだろうか?」と自分のことを少し振り返りました。「できていないかもしれない……」。そう思いました。どうしてすぐに謝ることができないのでしょうか。それは、「謝ることは自分の非を認めること」という意識がそこに生まれやすいからなんです。謝ることで相手が上、自分が下という位置づけになると無意識に思ってしまったり、非を認めたら自分の価値が下がってしまうという心理になってしまったり。そう考えると、どうやら「謝れない=自分に対して自信がない」ということなんじゃないかって思うのです。自分に自信がない、でも自信を持ちたい。いつもこういう感覚でいると、「謝る」ことでもっともっと自信をなくしてしまう。または、やっぱり自分は価値がないと思ってしまう……。ありがとうは言えるのに、ごめんなさいが言えない。その裏には無意識にこんな心理が働いて、謝ることに対して、強い抵抗感が生まれているのではないでしょうか。すがすがしく謝る人の共通点逆にスッと自然に謝れる人ってこんな共通点が見えてきました。・自信に満ちた態度、振る舞いをしている・堂々としている・わかりやすい話し方をしている・感情がいつも安定している・人によって態度を変えない・予想外のことがあっても慌てない・人の話をよく聴くなど自分が悪いと思ったらすぐに、言い訳せず、言葉でもメールでもお詫びをしてくれるような人たちは、こんな特徴があります。何か責められたときに逆ギレしてしまう人は、これ以上自分のことを無価値だと認めることは耐えられない!という強く自分を守る反応が現れているのかもしれません。とはいえ、謝らない自分のままでいるとどうなってしまうでしょう?・待ち合わせに遅れてしまった・約束していたことを忘れていた・傷つけるようなことを言ってしまった・伝えた情報が間違っていた・紹介したものがよくなかった・やると言ったのにやらなかった・やらないでと言われたのにやってしまったなどこんなときに、謝ると抵抗感が生まれるからといって、そのままにしていたら。まあこのくらいは謝らなくてもいいか……と小さな「謝りのがし」を積み重ねていたら……。自分が、前記のようなことを相手にされたとして、相手は言い訳ばかりで謝らなかったとしたら、どんな気持ちになるでしょう。逆に誤りを認めて、気持ちよく謝ってくれたらどう思うでしょうか。その一言が言えないばかりに大きな信頼を失うこともあるのです。どうしても謝れないなと思ったときもしどうしても謝ることがすぐには難しければ、まずは心の中で、その人を思い浮かべて「ごめんなさい」と言ってみてください。それを続けていくと実際に徐々に口に出して相手に謝れるようになってきます。私も、身近な人にやってみました。「ごめんね」を言えたとき、自分のかたくなった心が解放されるような感覚がありました。
1つ、確実に言えることがあります。それは「気持ちよく謝れる」ことは自分の価値を上げこそすれ、下げることは絶対にありません。あなたが謝ることに抵抗があるとしたら、まずこのことは絶対に覚えておいてほしいのです。逆にあなたの周りに、なかなか謝れない人がいたとしたら、少し優しい眼差しを向けてみてください。実は謝れなくて苦しい思いをしているかもしれません。葛藤しているかもしれません。逆に、謝れない人に対しては、「謝るべき!」ではなく、優しい気持ちで「苦しいんだろうな」「怖いのかもしれない」と思ってみる心の余裕。そんなあなたの寛容さに多くの人があなたへの信頼と好感を持ち、あなた自身の価値をさらに高めてくれると思いますよ。謝ったほうがいいことは日常の中に沢山あります
11ひとり言が場を和ませるなんか言って変な雰囲気になるくらいなら黙っていよう。そんなふうに、面と向かって相手に何かを伝えることを躊躇してしまうことってありませんか。または、ちょっと場の雰囲気が気まずくなったときに「どうにかしなきゃ」って思うのにうまく気のきいた言葉が出てこないなんてことありませんか。やっぱり相手に言葉を投げかけるって、意外と難しいものですよね。でも考えすぎて何も言わないことがくせになってしまうと、だんだん自分の考えを押し殺すことが習慣になってしまって、あなたらしさを見失ってしまうなんてことにもなりかねません。そんな、自分の考えを押し殺しがちな人は、ぜひ「ひとり言」を活用してみてほしいのです。ポジティブワードを空中に投げかける私の仕事仲間にKさんという方がいます。Kさんは本音もしっかり言うけれど気遣いの達人で、いつもまわりにたくさんの人が集まる方。でも決して雄弁というわけでもない。ものすごく社交的でもない。でもなぜかKさんのいる場はいつも心地よい雰囲気になる。Kさんは、人と接していて、自分の感じたことを口に出します。「かっこいい~」「さすが……!」「わかりやすい~」などなど。具体的な褒め言葉ではないかもしれませんが、誰かに向けてではなく、つぶやくように言っているんです。ひとり言で思わず心の声が出てしまったような感じで。決してお世辞を言っているように聞こえないのです。Kさんがすごいのは、かたまった空気をひとり言で和らげてしまえるところです。ほぼ初対面の食事会で実年齢より若く見えるAさんという女性がいました。そこでAさんの年齢を当ててみよう!という話になりました。Aさんは実年齢よりも10歳くらい若く見えます。みな、10歳くらい若く予想し答えていました。しかしその中の1人が、皆と同じような答えではつまらないと思ったのでしょう。実年齢を当てにいったんですね(笑)。その人が年齢を言った瞬間、Aさんはショックな顔になり、その場の空気も固まりました。そのとき、すかさずKさんが「それはないよ~」と高い声のトーンでまた宙に向かってひとり言を言ったのです。当てにいった方に向かって非難するわけでもなく、Aさんに向けて慰めを言うわけでもなく、なんとなく〝合いの手〟みたいな感じで。その瞬間かたまった空気が和らぐのを感じました。私は、誰かにショックな対応や言葉を言われたとき、黙り込んで、後から「何かちょっとでも自分の気持ちを言えばよかった……」と後悔するときがあります。溜め込んでしまって自分が苦しくなったり、相手の方への嫌悪感が増してしまったりもします。ひとり言は、誰かにあてたメッセージではありませんひとり言で自分も落ち着かせようかといって理路整然と反論すればケンカを売ることにもなりますから、面と向かって言うことはやっぱり躊躇してしまう。そんなときにクッションの役割としてひとり言で心の声を言うと自分の心も落ち着いてきます。「え~……」「わあショック……」「そんな~」そんな言葉でもショックを受けた心のガス抜きになっていくのです。ひとり言は誰かに向かって言っているわけではないので誰も拾ってくれなくてもいいものです。思わず出た心の声。「わぁ、すごーい」などもひとり言で表現できますし、目上の人を上から目線にならず褒めることにもつながります。まずは誰かとお店に行ったときなどに、「すてき~」「おしゃれ~」「おいしい~」などひとり言の練習をしてみてはいかがでしょう。相手に面と向かって言うのが難しかったり、恥ずかしかったりしたときに心の声を「ひとり言」にしてみる。自分の感情を味わう。ぜひトライしてみてください。それは自分らしさを殺すことなく、場を和ませたり、相手に自分の思いを届けることはもちろん、自分の感情を溜め込まずに上手に解放する、ガス抜きをすることにもつながるんですよ。ひとり言は適度なガス抜きにもなります
12正解が不正解になる間違った気遣い「しなくてもよい指摘」というのがあります。その指摘をしても、しなくても、誰が困るわけでも何かが滞るわけでもない場面での指摘がそれにあたります。以前、職場で、内輪のメンバーの間だけで閲覧する手書きの資料の漢字が間違っているのを発見しました。私は資料を作成した男性にその間違いの指摘をしたところ、普段は温和で優しいその男性が、顔をこわばらせて「えっ……なんでそんなこと言うの?」といまにも言いだしそうな感じになってしまいました。私は言って後悔しました。会社の外に出る公の書類でもないし、当人が恥をかくことにつながるわけでもないし、それで意味が通じないということでもない……。わざわざ言うことによって、恥ずかしい気持ちにさせてしまったと……。あらためて、間違いはいついかなるときも指摘すればいいってものでもないんだなとそのときに思いました。大事なことは「その場の目的」を考えること間違いを指摘するべきかしないべきか。その場で言うべきか言わないべきか。それは、「その場の目的に照らしてみる」ということで判断すればいいのではないかと私は考えています。2つの例をお話ししたいと思います。どう思うか少し考えてみてください。あるフランス料理のお店で、男性が気になる女性を誘って食事中、ワインの知識を女性に話していました。すぐそばにいたソムリエが、たまたまその会話を耳にして、その男性がちょっと間違った知識を言っていることに気がつきました。そのソムリエは男性に「いえお客様、これは……」と会話に割って入り、間違いを指摘しました。もう1つは、私の友人が教えてくれた話です。夜、家の近所のコンビニで買い物をしていたら、若い男性がいきなり近づいてきました。そして耳元でこうささやかれたそうです。「ズボンのファスナーが開いてます」と。友人は恥ずかしさと驚きのあまり、買うものも買わずに、コンビニから飛び出し逃げるように家に帰ったそうです。いかがですか。1つめの例では、ソムリエはたしかに「正しい知識」を伝えることで、男性の「間違い」を指摘し、そのおかげでその男性も女性も「正しい知識」を得ることができました。でもこの場面のお客様の目的はワインの正しい知識を得ることではありません。一緒にいる女性に、「かっこいい自分、頼りになる自分」だと感じてもらうことです。そう考えると、ソムリエの指摘は、この場面においては、適切ではないと思います。もう1つの例、こちらは少し判断に迷うところですね。私の想像ですが、この男性は迷いながらもちょっと勇気を出して声をかけたのではないでしょうか。きっと誰かにファスナーが開いているのを見られたらかわいそうだと、親切心からそう思って声をかけたのではないかと思います。そういう意味では、この男性がささやいたことは、間違いとは言い切れないような気もします。しかし、私の友人はその話をしながらこんな風にぼやいていました。夜だし、コンビニから家までの帰り道だし、ファスナーが開いていようが閉まっていようが見えないんだから言わなくてもいいのに……と。友人にしてみれば、そこで、言われなくてもたいして支障はなかったのに、指摘されたことによって恥ずかしくてコンビニにいられなくなってしまいました。結局買い物できなくなってしまったことが不満になってしまったわけです。起こりうる未来に共感しましょうまじめで正義感の強い人ほど間違ったことをそのままにできないのかもしれません。ついつい指摘をしてしまいます。指摘をすること自体は悪いことではありません。そもそも、気遣いに正解はありません。でもここで忘れてはいけないのは、その場面で指摘をしたらどういうことになるのか、指摘をしなかったらどういうことになるのか、という「指摘をすることによって起こりうる1歩先のこと」を想像することです。ある意味では共感する力ともいえます。そして、指摘をしなくても何も支障がない、もしくは指摘しなければ何か支障が起きそうだと思ったら、指摘の仕方を考えるということが大事なのです。指摘が正しくとも状況次第で間違いになってしまいます
13「肯定も否定もしない」が一番のアドバイス人が悩みを打ち明けてくれたとき、自分に相談してくれたことに対してとても嬉しいような、誇らしいような気持ちになることはありませんか。しかし、一生懸命、その相談内容に対して自分の意見を言えば言うほど、相手がもっと神妙な表情になり、そしてなかなか自分のアドバイスを受け入れてくれない様子に無力感がつのり、焦ってますます、さまざまなアドバイスをしてしまう。そんなときは、少しペースダウンして、相手の話をじっくり聴くことです。相手のタイプ、状況、悩みの深さによっても関わり方を変える必要はあると思いますが、相手の日常の中の悩みであれば、まず「そうなんだね」と否定も肯定もしないで受け止めるだけでも相手は「聴いてくれた」という気持ちになります。まずは、相手が「話したいことを安心して話せるように聞く」ことです。相手の話を聞くこともそこそこに、「そういう場合はね……」なんて言ってしまったら、相手はそれこそ悩みを吐き出す機会を逃してしまいます。もし認識がずれていたら、言われれば言われるほど、どんどん、むなしい気持ちになっていきます。まずはとことん「聴く」の姿勢です。「そうなんだね」と一度受け止めてあげましょう相手の言葉を使えば共感が生まれる相談された際によく「気持ちはわかるよ」という言葉を発する人がいます。この言葉は、内容によっては「そう簡単に私の気持ちをわかるはずがないじゃないか」と思われたりします。そのときの「気持ちはわかるよ」は、相手の話に対して、自分の中の似た体験を当てはめて、そのときに自分が感じた気持ちを言っているだけなんです。本当の相手の気持ちは、わからないはずです。相手ではないのですから。たとえば「それはつらいね」という言葉。もし相手が「つらい」と言っていたならばまだいいのですが、この言葉も客観的にその事柄=つらいことであると、あなたの基準でそう思っているだけなんです。つまり「つらいね」はあなたが下した判断です。こういうときは、相手の気持ちに寄り添いながら、相手の言葉を使います。ほんの少しの言葉の違いもナーバスになっている人にとっては大きく受け取り方は変わります。誰も傷つけない、共感の仕方たとえば、相手が「ってことがあって、もうどうしていいかわからなくて…」と言えば「そっか、どうしていいかわからないんだね」と言って、その気持ちに寄り添ってあげる。専門的に言えば、これは「オウム返し」と言います。勝手に自分の言葉に変えずに、相手の言葉をそのまま使って、返してあげる。そうすると相手はその返された言葉を聴いて、「話を聴いてくれている」という気持ちになります。そしてまた話を継ぐことができます。心にあることを出していきやすくなります。さきほどの例でいえば、相手の話に対して「つらいね」ではなく、「つらいんだね」とオウム返しをすることであなたのジャッジが入らない受け止めになります。心理カウンセラーでもない限り、素人判断で私が「どうにかしよう!」とすることはかえって逆効果なことも多く相手のためにもなりません。絶対役に立とうと力まず、です。しっかり聞いた上で受け止める。無言で寄り添って無言で一緒にいてあげる。自分の感じたことがあれば、アドバイスではなく、「私はこう感じたよ」と伝えてあげましょう。相手のために頑張ってアドバイスすることが相手にとっていいこととは限らない。あくまでその悩みはあなたのものではなく、相手のもの。本当の意味でそれを解決できるのは、その人でしかないのです。そう心に留めて相談に乗ると、アドバイスを重ねるよりも、意外に相手はスッキリしてくれたりするものです。ただ隣に人がいるだけでも安心できたりしますね
Columu誰のための助言となっているか相談されたとき、あなたは「誰のため」に話しているのでしょうか?深層心理として、相手を助けたいと思ってやっていることでも、じつは役に立っている自分を確認したい、満足したいという気持ちが元になってやっていることがあります。それを、メサイアコンプレックス(救世主願望)と言ったりします。これは人の役に立つことで自分が役に立つ存在であることを確認したい、という強い気持ちが働いている状態のこと。自分の存在に確固たる自信がないために、過剰に相手からの承認を求める、相手が自分を必要としてくれることで自分の存在を確認しようとするのです。「まさか、自分はそんなことない」と思いますか?しかし、じつはこれは特別なことではなく、誰しも多かれ少なかれあるものです。もし相談に乗った相手が変わらないことに対してイライラしたりすることがあるとしたら、相手の気持ちは置き去りになっていて、自分が相手にとって役に立つ存在、必要な存在と思われたいという気持ちが強く出ているかもしれません。
14車間距離のような適切な言葉遣いのポイントある大学の職員の方にマナー研修を行いました。その際、マナーに関して職員の方からこのような質問を受けました。「学生と話をするときに、言葉遣いは丁寧すぎても距離ができて事務的に聞こえるし、砕けすぎて友達のようになってもどうかと思う。どんな言葉遣いが適切ですか」たしかにこういった場面での言葉選びというのは難しいものです。言うなれば、言葉遣いは「車間距離」のようなものなんですよね。近づきすぎるとちょっとしたことでぶつかってしまう。離れすぎると見失ってしまう。常に相手に合わせながら適度な距離感を保つことが大事になってくる。この職員の方の質問に重ねると、あまり近すぎると厳しく受け止めてほしいことがなあなあになってしまったり、依存心が強まりすぎてしまいます。また特定の学生と友達言葉でやり取りをしているのを第三者が聞いたときに「あの人だけ特別扱いされているんじゃないか」と不公平感を与えてしまうこともあります。かといって事務的にばかり対応していると、学生が「いろいろ相談してみよう」という気持ちにならず、打ちとけていかない。学生との心の距離が離れて、何を望んでいるのかが見えなくなってしまう。人間関係なので、車間距離のように、このくらいが適正だと言い切れない部分はあります。言葉遣い1つで、まわりに誤解されることがあるのですよい距離感を保つための言葉の使い分け方たとえば、・「感情」のやり取りはやや崩す・「事務連絡」などのやり取りは「です・ます」の敬体にするこのようにするのも1つの手です。感情のやり取りの例を挙げてみましょう。学生:「就職内定もらえました!」職員:「わあーよかったー」「嬉しいね!!」など学生:「転んで怪我しちゃったんですよ」職員:「あら~痛そう」「大丈夫~」など自分の感情を思わず口にしたという感じです。一方、事務連絡の場合は、学生:「記入の仕方がわからないんです」職員:「こちらに記入してもらえますか」学生:「申請書の受付はいつまでですか?」職員:「月日まで受付けています」といった要領で使い分けることで、適度な距離感を保つことができます。トレーニングはあくまで一例です。こうすればうまくいくかというとそうではないことも多々あります。人間関係と言葉遣いの距離感は難しいのです。こんな場面に遭遇しました。病院で職員の方が、「こっちきて~」「ここ座って~」「だめだよー」といった感じでご年配の患者さんに接していました。2人の間には信頼関係があって、話す側は砕けた口調にすることで親しみを表現しているのだと思いますが、もし私がご年配の方の立場だったら子供扱いされているようでちょっとショックかもしれないって思ったんです。
またCAのころにこんなことがありました。中学生の男の子が1人で飛行機に乗っていたので、私はいろいろ世話を焼き、友達口調で話しかけていました。「これわかる~?これはこうするんだよ~」「ジュース飲む?」「今学校で何が流行ってるの~?」とこんな調子で話しかけていました。すると、その中学生の男の子に「すいません、普通の言葉遣いでお願いします」と言われてしまいました。あなたは、この2つの事例を読んでどう感じ、どう考えますか。やっぱり人間関係と言葉遣いの距離感は難しい。ただこの距離感を考えるとき、言葉遣いを考えるとき、とっても大事なことがあるんです。それは、「相手への敬意」なのです。相手への敬意は、言葉よりも伝わるものです言葉以上に伝わる敬意年配の患者さんに対して、人生の先輩としての敬意を持って接したら、中学生の男の子も一人の大切なお客様として敬意を持って接したら、きっと言葉遣いもおのずと変わってくるんじゃないかって思うんです。その結果、砕けた表現になることもあるし、丁寧な表現になることもある。人は自分の存在を認めてほしいもの。敬意を持って接してほしいと思っています。そしてそうされると、相手にも敬意をはらって接しようとするものです。中には敬意をはらってもらえることがあたり前だというような態度をとる人がいるかもしれません。でもそれに合わせて自分も敬意をはらわなかったら、相手と同じになってしまいます。相手に対して敬意を持って接する。そうすれば、自ずと相手との関係はよくなっていく。言葉遣いもそれに応じて自然とよい感じのものになっていく。何も丁寧すぎる言葉遣いをする必要はありません。そこに敬意があれば、「です」「ます」といった言い回しでも、きちんと尊敬の念は伝わります。敬意をはらって接することで、よい人間関係をつくりやすくなるし、結果としてあなた自身の評判もどんどんよくなっていくんです。つまり敬意は相手のためだけではなく自分のためでもあるのです。・言葉が崩れると関係も崩れやすい・言葉遣いは車間距離と同じ相手への敬意を持って、車間距離のように適度な距離を保つよう言葉遣いを選ぶ。それは自分を守ることにもつながるのです。言葉遣いは人と人をつなぐ大切なかけ橋と考えましょう
3章自分も相手も疲れない気遣いの方法
No.15相手にやめてほしいことも無理なく伝わる人間関係の中で、相手の態度や言動、行動がいやだなと思うことってよくあると思います。そんなとき、あなたはどうしますか?言わずに我慢しますか?それともはっきり言いますか?我慢すれば、その場は平穏かもしれませんが、あなたの心の中にモヤモヤが残りますよね。かといって、勇気を出して相手にやめて欲しいことをはっきりと言ったら、相手にぜんぜん響かないどころか相手はムッとしてなんかギクシャク……。この状況での、前提は「相手が悪い、だから直してほしい」になっているんですよね。無意識に相手を「責めるモード」というものです。責めるモードのとき、無意識に、相手への非難や、ダメだしが表情や言動に出ていたりします。でも自分の表情や言動や態度は気づかないもの。ちょっと想像してみてください。あなたは普段、人と話しているときどんな表情をしていますか?どうでしょう、明確にイメージできますか?役を演じるときの俳優でもないかぎり、イメージできている人はほとんどいないと思います。相手は、それを敏感に察知します。そしてそれに応じて反応します。さて、こんなときどうしたらいいのでしょうか?気遣いは相手の基準から鍵は、この責めるモードをどう変えていくか?というところにあります。相手の態度や言動、行動がいやだなと思うとき、それは自分の中にある「こういうものだ」という基準と、相手の態度・言動・行動にズレが生じているときです。知人Aさんがこんなことをぼやいていました。「友人が、いつも待ち合わせ時間に遅れるんですよ。『もう遅いよ~!』とか『いつも遅れるんだから!』って言うんだけどぜんぜん直らなくて毎回疲れちゃう」Aさんには、「待ち合わせ時間に遅れることは悪いこと」「時間を守らないのは不誠実」「待ち合わせ時間に遅れるのは、自分のことを軽く見ている」というような基準が自分の中にありそうです。そして、その基準とズレた行動をした友人を「悪い、不誠実、自分を軽んじている」と見るわけです。でも、もしかしたら、その友人は、待ち合わせ時間に遅れることに対して、そこまで悪いことだと思っていないかもしれません。友人には友人の基準があるわけです。この状態で、Aさんが、友人を「責めるモード」でとらえると、関係が悪くなっていきます。まず、大事なのは、それぞれの基準の違いがある可能性を考えることです。その上でどんなアプローチができるか、考えてみましょう。「責めるモード」は無意識ですからとても怖いです心配りは事実にのせて伝えましょう第一段階として事実を伝えるというアプローチがあります。「20分待ったよ」「この前も遅れたよ」「約束は時だよ」もし、勘のいい人なら、そこで「あっ、相手は遅れることがいやなことなんだ」ということに気づきます。そして、反省の態度を見せてくれたり、次回から気をつけてくれるようになるかもしれません。もしそれで気づかないとき、第二段階として相手に対して、自分が感じていることや思いを具体的に話してみましょう。Aさんと友人の例で言うと、「私は約束の時間を大事に思っているんだ。だから守ってほしいって思っている」「私、もしかしたら軽く思われてるのかなって、勝手な想像なんだけどちょっと辛くなる」相手の行動を評価するのではなく、自分が「待ち合わせ時間に遅れる」ということに対してどういう思いを持っているのかということを伝えるイメージです。こんな風に自分は考えている、こんな感情になっている、というふうに伝えていく。自分の思いを発しているので、相手も受け取ってくれる可能性が高くなります。「あなたのほうがおかしい」というような責めるモードだと、こんな風に言いがちです。「時間を守るのが誠実な人だよ」「そのうち信頼されなくなるよ」「待たされる人の気持ちも考えたほうがいいよ」このような一般論やその人の価値を決めてしまうような言い方をすると、相手は逃げ道がなくなったり、人として否定されたような気持ちになります。それは、反発や、関係性の悪化につながっていきやすいものです。もちろん、「責めるモード」にならずに、相手に伝えたからといって、相手はすぐ変わらないかもしれません。
しかし、大切なのは、自分の思いをしっかり伝えるということなのです。これができるだけで、心のモヤモヤは解消されていきます。自分にも相手にも、それぞれの「基準」があることを理解する。その上で自分の思いを伝える。相手がどうするかはその人の選択。そういう心で、接することが大切なことだと思います。「なぜ責めるのか」を考えてみると随分と違いますそれぞれの基準の違いが理解の深さになりますね
16お願い事を断る勇気とコツお願い事を断ることに苦手意識を持っている人は、意外に多いのではないかと思います。私も断るのはとっても苦手でした。お願い事を断ろうとするときに、心の中にこんな思いがよぎります。・断ったときの相手の出す嫌な空気に耐えられない・断ったら相手と関係が悪くなるのではないか?・断るのは自分のことしか考えてないから。そんな自分勝手ではいけない・気乗りしないけど、断ったら相手からわがままな人間だと思われてしまうなどそして、結局断れずに受けてしまう。そんな状況に陥って、時間的にも物理的にも余裕がなくなったり、本当に自分がやりたいことに時間が割けなくなってしまう。このとき、こんな悪循環が起きています。●ノーと言えない←●「相手は私のことを何でも引き受けてくれる人だと思う」と考える←●無理して引き受け続けたあげく、相手のことも負担に思うようになる←●関わりを遠ざけるこれでは、お互いにハッピーではありません。では、どうしたら、上手にお願い事を断ることができるのでしょうか?断わりたいときに断われないこと、ありますよね「断ること」は次につながるメッセージ私の知人でAさんという方がいます。Aさんは、独立してファッション関係の仕事をしています。あるとき、私の友人が「独立してファッション関係の仕事ってどんな感じなんだろう?私も憧れる、ぜひ話を聞きたい」とAさんに引き合わせてくれるように私に頼んできたことがありました。私はAさんにお仕事についてどんなふうに仕事をしているのか聞きたいという人がいるんだけど一緒にランチでもどうかなと尋ねると、「ごめんね、大事なお友達かもしれないのに申し訳ないんだけど、お話だけだと時間をとるのは難しいかも。私の個人も受けられるサービスをお客様として受けてほしいな!そのほうが具体的に何をしているかわかるだろうし、私も嬉しいの」応えたいという気持ちはある。でも話だけというのは負担に感じてしまう。だからこうしてもらえると嬉しい。Aさんの返答は、恐縮の気持ちは伝えつつも、しかし変にごまかさない、そしてわかりやすかったので、私はとても納得して、断られてもまったく嫌な気持ちがありませんでした。正直に言ってくれたからこそ、その後もAさんとは連絡を普通に取れます。Aさんの対応から学べることは、きちんと相手が受け取れるよう、敬意を表しながらでも、自分の素直な思いを伝えることの大切さ。とはいえ、断ったことで相手の態度が変わったらそれはそこまでの関係と割り切ることも必要です。敬う気持ちを伝える3つのポイント「敬意が伝わる言い方のコツ」というものがあります。さきほどの例にあわせると、・大事なお友達かもしれないけど(配慮)・これだと難しいけど、これならできる(代替案)・私はこうしてくれたほうが嬉しい(自分の考え、感情)こういったことを言葉にすることは、自分が相手に対し誠実に向き合っていることがしっかり伝わります。また、変に取り繕わず、自分の素直な気持ちを伝えることも誠実さが伝わりやすいということがあります。・これだと、自分が納得できなくて無理をしてしまうのがよくないと思うから
・今はに時間を使いたいから・他の人にはなのに、誰かを特別にしてはその方々にも申し訳ない・~は得意だけど、~は自信がないから今回は断ってもいいかな・実はちょっとについてはプレッシャーを感じているんだ……などもちろん、なんでもかんでも素直に言えばいいというものでもありません。自分を取り繕うのではなく、相手を大事に思うがゆえの思いやりとして言い方を変えるということが大切です。たとえば、みんなが一生懸命取り組んでいることをサポートしてほしいというとき、自分はそこまで興味が持てなかったとします。「興味が持てないので……」と言うことは、相手への敬意を感じません。ただ自分の気持ちを伝えただけになってしまいます。「とっても素晴らしい取り組みですね。でも今、時間的余裕がないので、違う形で応援させてもらってもいいですか」こういった伝え方をすることで、相手が一生懸命取り組んでいることに対し敬意も伝わるというものです。大切なのは、相手、そしてその依頼に対し、敬意を払うということ。そこを伝えた上で、断るという、このスタンスなんです。最後にもう一つ。上手に断る術を身につけつつ、でもときには「あえて受けてみる」ことです。お願い事は、ギフトです。あなたを評価してくれているがゆえのお願いです。気乗りしなかったり、自信がないものでも、やってみることで、自分の新たな一面に気がついたり、成長したり、信頼関係がより深まったりするチャンスでもあります。一方で、お願い事を、なんでもかんでも引き受けることは、負担につながります。それが繰り返されると関係悪化してしまうことも確かにあります。やりたいという気持ちはとても大事。そのポジティブな気持ちを大切にするためにも、できないことがあることもしっかりと理解しておきましょう。そんなお願い事と上手に付き合ってみてくださいね。お願いは信頼の証です。何を相手にしてあげられるかがとても大切ですね
17最高のおもてなしに必要な資質あるとき車椅子のお客様に対して、担当した数人のCAが、きちんと配慮して、お客様にとって満足のいく接遇を心がけました。その後のミーティングで、いいサービスができたよねと皆で振り返りました。後日、その車椅子のお客様からお手紙が届きました。そこで私たちは「えっ?!」となりました。そのお手紙は、「(サービスを受けて)あまり嬉しくなかった」「ちょっと負担に感じました」といった趣旨だったのです。私たちはありがとうを言ってもらえるものだとばかり思っていました。お客様への押しつけになって負担に感じないよう、最大限に配慮したつもりでいたのに、結果は予想とは違っていたのです……。なおさら担当したメンバー一同、ガックリ肩を落とし、落ち込んだのでした。「ありがとう」は気遣いのゴールではありません何がいけなかったのでしょうか。私たちは誠心誠意の接遇ができ、「ありがとう」をいただけるはずと思っていたのです。でもそこが少し違っていたのです。私たちがショックを受けたのは、見返りを期待したため。しかし私たちメンバー一同の行動の目的は本来別のところにあったはずです。「ありがとう」は結果の一つであって目的ではない。、、、、。、。もちろん、やったほうがいいと判断した配慮やサービスは躊躇しないで行うことも大切です。しかし、勝手に「これはいいはずだ!」と判断してやってしまわずお伺いするなど、提案してから行うほうがいいこともあると学びました。まずは「誰かのため」に見返りを求めないところから始めてみましょう。そうした姿勢こそが自分を大切に、他人を傷つけない第一歩なのです。結果がどうであっても、誰かのために一生懸命になった姿勢は何と言おうと大切なことだと思います。ただ誰かから評価された〝ありがとう〟の数にだけ目を向けると、本当に大切なことが見落とされてしまうのではないかと思ってしまうのです。自分の行動の結果を相手に求めると不満になったりします「淡々」と行う、至高の心遣い私の友人がお客様相談室に勤めていて、お客様から商品に不安があるという相談をいただきました。品質について詳しく調べないといけない案件でしたが、そのお客様はひとしきり話すと「ああ、すっきりした。聞いてもらって安心したのでもう調べなくていいです」と言って電話を切ったそうです。しかし、友人はそれで終わらせませんでした。お客様は心配したからこそ電話をかけてきたわけです。品質についてきちんと説明しなくてはと自分なりに考えました。そして問い合わせの内容について時間をかけて調査をし、お客様にメールで詳しく結果を報告したそうです。結果、お客様からは返信はありませんでした。そのことに対して感謝の気持ちはいただくことがなかったのですが、自分の仕事への誇りとして調査したことであり、すがすがしさを感じたと話してくれました。友人はお礼の言葉が目的ではなく、あくまで自分の使命を果たすことを目的にし、それをやり抜いたのです。こちらがよかれと思ってやったことでも、感謝どころか、ときには迷惑に思われる可能性だってあります。しかし、それを恐れ、何もしなければ、やがて全てのことに無関心になってしまいます。最善を尽くしたつもりでも、結果は予想外のこともあるでしょう。相手のためにいいと思ったことには見返りを期待せず、自分の使命を、自分のあり方として、〝淡々と〟実行していく。そしてその結果として仮に思うようにならなかったとしても、落ち込んだり、後悔したりする必要はないのです。これこそ最上級の心遣いだと思います。自分の満足する部分がやっぱり大切だったりしますよ
Columuありがとうがお金にかわる?ある飲食店がサービス向上の一環として、お客様から「ありがとう」を集めようと企画しました。ホールスタッフが一生懸命に接客をして「ありがとう」と一言もらえれば、メールで会社に報告をし、その内容を(数店舗の)全従業員と共有する仕組みです。もちろん、たくさん「ありがとう」をもらったスタッフの評価は上がり、何らかのインセンティブが付与されたと聞いています。よいサービスを共有化する仕組み自体はすてきだなと感じます。しかし一方で、・「ありがとう」が少なかったらどうなのだろう?・その行為は意味のないことだととらえられないだろうか?・ありがとうをもらうことが目的化して、逆にもらえなかったらモチベーションが落ちたりしてはいないだろうか?とちょっと心配してしまいます。感謝をもらうことに一所懸命になって、お客様や相手が置きざりにならないように、常に考えておきたいですね。
18「ありがとう」は「言うもの」と心得よう信頼を寄せている仲間、自分を支えてくれる家族。こんな大切な人たちとも、気まずくなることがあります。原因はなんだろう?と考えてみると、本当の原因の多くは、実は相手に対して自分がしている「過剰な期待」なんです。・せっかく時間をかけてこれをしたんだから喜んでもらえると思ったのに・彼女には絶対に役に立つと思って紹介した勉強会なのにスルーされた・チームのために、これだけ努力したのに、みんな私を気にかけてくれない・前回の食事会は私が声を掛けたのだから、今回は向こうから連絡して欲しい私たちは相手にしたぶん、無意識に相手に対して何らかの期待をしています。そして、その期待どおりに物事が進めば、満足したり、嬉しい気持ちになります。しかし、あたり前ですが、相手の言動は自分にはコントロールできません。それは相手が決めることです。自分がよかれと思ってやったのに、相手が期待どおりの反応を示してくれないと、怒ったり、悲しくなったりします。それを態度や言葉に表すと、ケンカになったりするんです。相手との関係が近しいほど、無意識の期待が強くて、こういった状態になります。「褒める力」を上手に使おう〝効力感〟という言葉があります。「誰か」や「何か」に対して自分は役に立つことができるという感覚です。何かをやることによって、好ましい反応を返してもらえると、効力感は高まります。そして人は効力感を覚えると積極的に行動するようになります。「褒めることが大切」というのは、褒めると人は嬉しくなってその行動を積極的にやろうとするので、結果、人は成長するということです。しかし、この効力感というのは、気をつけなければならない面もあります。それは、効力感によって動いていると、褒められたり、喜んだりしてくれる相手の反応が目的になってしまう可能性があるということなんです。たとえばCAの仕事であればその使命は、お客様の安全であり満足であって、お客様から感謝の言葉をもらうことではありません。お客様からの感謝の言葉がなければ、私たちの仕事が意味のないものになってしまうということになるからです。お客様の感じ方はさまざまです。同じことをしても、その方の状況や考え方によって変わります。これは仕事だけでなく、家族や仲間、関わる人、事に対しても言えることではないでしょうか。相手が喜びを表現したり、感謝してくれることで自分を評価するのではなく、相手のためを思って最善を尽くしている自分を、自分で評価をすることが大切です。「自分自身がやっていて気持ちがいいから実践したまで。もし喜んでもらえたらそれはラッキー」といったくらいの感覚がいいのです。相手にも自分にとってもよいと思って行動したことはうまく褒められるといいですね。最善を尽くした自分の成果でどう満足するかが大切だと思います気配りの大敵「……はずなのに」自分の能力に対して過大な期待を抱きすぎていると、満足にできないと感じる度に苦しくなって、つらくなってしまいます。これでは疲れ切ってしまいます。落ち込みやすかった私の思考は、「相手に影響を与えられるはずなのに……、相手の意識が変わるはずなのに……、認められて当然なはずなのに……」といつもこんな調子で、逆に期待どおりの反応が得られると、嬉しくて舞い上がる。常に一喜一憂し、その落差に気分が乱高下し、心がよく疲れていました。気遣いで心が疲れやすい人は、自分や他人に対して、いろいろと期待をしすぎます。そして期待どおりにならずに落ち込んでしまう。言い換えれば、無意識のうちに、誰かに自分の機嫌をとって欲しいと期待して、自分の機嫌を自分でコントロールできなくなっているのです。ですから過度な期待を自分にはせず、でも自分なりに「ここまでいきたい」というハードルは掲げながら、全てはできなくともそこに近づくステップを踏めている自分を認めてあげる。そうやって自分の「過剰な期待」つまり「……はずなのに」思考をやめると、逆に嬉しいことやありがたいなと感じることが増えてきて、結果として、相手の反応も、自分の意識も、より望ましいものになっていくのです。期待しないぶん、予想外のことが起きたりもするんですよ
Columu自分を過大評価してる?タレントの明石家さんまさんが、こんな名言を残しています。「俺は、絶対に落ち込まないのよ。落ち込む人っていうのは、自分のこと、過大評価し過ぎやねん。過大評価しているから、うまくいかなくて落ち込むのよ。人間なんて、今日できたこと、やったことが全てやねん」(大山くまお著、『「がんばれ!」でがんばれない人のための〝意外〟な名言集』ワニブックス)自分の行いに過剰な期待はせず、本当に大切だと思うことをただやる。そして相手の反応ではなく、大切なことを、きちんとしようとしている自分を認めてあげる。さんまさんほどの、芸能界で長く生き抜いてきた、たしかな実力も人気もある人でも(だからこそかもしれません)自分には過度な期待をしないように心がけているのですね。以前、「三上さんの仕事(CA)のやりがいってなに?」と先輩から訊かれたときに、私は「お客様に感謝されたり、ありがとうって言われたりすると嬉しいですね」と答えたことがありました。すると先輩は「それは何か違うと私は思うんだ」と私に言うのです。そのとき私は「どうして、『ありがとう』をやりがいにしてはいけないの?」と疑問に思いました。今では感謝をいただくことが目的ではないとわかります。さんまさんのような姿勢は気遣いに通ずるところがあると思います。
No.19メールは少しの工夫を加えるだけ自分の送ったメールの返事がなかなか来ないとき、あなたはどんなことを想像しますか?私は以前メールの返事がなかなか来ないとき、「あれ?何か私の送ったメールでおかしいところあったかな?」「誤解させてしまう表現だった?失礼な文面だった?」と考えて、勝手に不安になってしまうことがよくありました。よくよく考えてみれば、自分だって忙しくてすぐに返事できなかったり、たまたま遅れることだってあるのに、相手からの返事が来ないといらぬ心配をあれこれしてしまう。メールのやり取りは、相手が見えないだけに自分の期待と相手の都合に温度差があるときに疑心暗鬼になりイライラしてしまいがちです。直接話したりすればなんでもないことも、見えない相手に色々と自分の勝手な妄想が広がったりしやすいものです。そんなときは、ひと呼吸おいて、「まあ、気長にね」と一言心の中でつぶやいてみましょう。一休さんのアニメが放映されているのをご覧になったことはありますか?(たぶん30代後半以上の方は覚えがあると思いますが(笑))そこで一休さんが、「あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ」と言うシーンがあります。まずはそんな心持ちで、ゆったりかまえましょう。とはいえ、ビジネス上ではずっと待っている間、仕事が進められないということもあります。返信がすぐ欲しいときのちょっとしたコツビジネスメールでそういうケースを防ぐには、まずあらかじめ、最初のメールで、「おそれいります、こちらの都合で恐縮ですが日までにお返事をいただけると助かります」とお願いしておくのがいいでしょう。日付を入れるだけで気持ちはとてもラクになります。それでも返事が来ないときは迷惑メールとして処理されて届いていない、ということも少なくないので再送します。その際、「月日に~の件についてのメールをお送りしましたが、届いていないかもしれないと思いまして、再送いたしました」「もしかしたらお返事いただいているかもしれませんが、こちらで確認できませんでしたので再度ご連絡いたしました」など、伝えながら、一言添えていつまでに返事が欲しいかを伝えておくといいでしょう。また、自分が送ったつもりで下書きに入ったままということもあります。チェックも忘れずに。一休さんのようにゆったりとかまえましょうプライベートだからこそ大切にしたい一言プライベートでは、LINEなどを使うことも多いと思います。既読マークがついているのに、返事が来ない、いわゆる「既読スルー」になっていると、心がザワザワしてくることもあるでしょう。そこでも、「まあ、気長にね」の気持ちが大事。返事がないことが返事なんだな、と思うくらいの寛容さも大事です。「既読スルー」のときは、大半があなたのせいではなく、相手の気持ちに余裕がなかったり、さまざまな都合によるものです。私自身、今思い返してもほんとに失礼なことをしたなと思うことがあります。ある知人からのお願い事のメールに対して、慌ただしいことを理由に、そして自分の都合の調整を色々と考えてしまい、1週間くらい返事ができなかったことがあります。相手からしたら1週間も「既読スルー」状態です……。しかしその知人は返事を催促せず、ずっと待っていてくれていました。嫌な思いをさせてしまったと反省しつつ、遅れて返事をしたときも「お返事ありがとうね!」と明るい文面で返してくれ、その大人の対応に、私も見習いたい……と思いました。今でもあの返信は印象に残っています。もちろんプライベートであっても返事をもらわないと自分の都合にも影響があるような用件ではビジネスと同じような対応の流れで催促してよいと思います。
急がなければならない場合には、遠慮なく、でも配慮しながら催促を。そうでなければ「まあ、気長にね」のスタンスで余裕を持って。あなたが気に病む必要は全くありません。そんな余裕のスタンスが、あなたの好感度をぐんとアップしてくれますよ。「お返事ありがとうね!」その一言を今でも覚えています
No.20「ウケる」より「笑える」場づくり「もうちょっと笑いが起こるように話したら?」これは私が講師の仕事をし始めて間もないころ、先輩講師に言われた一言です。ちょうど、ある研修が終わったときに言われたのですが、その日は終始かたい雰囲気で研修が進んでいったこともあり、雰囲気を和らげるためにジョークなども織り交ぜたほうがいいんじゃないかという趣旨でいただいたアドバイスでした。しかし、私はそう言われてもどうしていいか見当もつきません。そんなに軽妙なトークができるわけでもなく、笑いのツボを心得ているわけでもなく何をどうしたら笑いが起きるのか全くわかりません。とはいえ、やはり研修のクオリティを高めていくためには、確かに「場」が和やかな雰囲気になることは大事なことです。そこで私なりにいろいろ研究してみました。それこそ、お笑いライブに行ったり、「ウケる話し方」と題した本を読んだりして、これだったら研修の中でもできそうだというものを見つけて、実際にやってみました。そんな試行錯誤の中であらためて気づいたことがありました。全く同じことを言っても、笑いが起きる日と起きない日があるのです。この「笑い」というのと密接に関係しているのが、どうやら「リラックス」というキーワードのようなのです。笑いのためにリラックスできないでは意味がありません自分も相手もリラックスできる場にいかにリラックスした状態をつくるのか?いかに安心させることができるのか?そういう環境を整えることで結果として笑いが起きやすくなるのです。たとえば、私は研修講師をするときは、・受講者に自分から明るい挨拶をする+気遣いの言葉をかける・研修を始める前にBGMでリラックスしてもらう・早めに受講生同士がコミュニケーションを取れるワークをする・研修の冒頭で「間違えてもいきなり怒鳴ったりしませんから安心してくださいね」「ここは評価の場所ではないですので、考えすぎず自由に質問もお願いします」などと声をかける・(内容、場所によっては)お菓子に手を伸ばせるようにするなどをして、その場に安心感や過度の緊張感を生まないような工夫をしています。また、自分がリラックスすることも大事です。こちらに肩の力が入っていると聞く側も緊張がうつってくるような感覚になります。そういった空気では笑いは起きにくいもの。まずは自分がリラックスしていることで相手も緊張が解けていきます。リラックスするためには深呼吸する、鏡の前で表情トレーニングをする、発声練習をするなど自分なりの儀式があるといいですね。自然と笑いが起こる工夫をそして、できれば笑ってもらいたいなという準備したトークについては、・やってみるけど結果を求めない・誰かを中傷するようなことは冗談でも絶対言わない・ウケたからと調子に乗ってその場の目的を見失わないそういったことを忘れないようにしています。お笑い芸人でもない限り、ウケることより大切なのは参加してくれる人、話を聞いてくれる人が満足することです。場を和ませて話を聞きやすくするための手段です。笑いの腕を磨くより、場の目的に合わせた環境をつくる、いかに聞いている方々が和やかでリラックスした状態になれるのかを考えることのほうがとっても大事。そうすれば自然と笑いが起こりやすい状態になって場はさらに活性化され意見も出やすくなっていきます。自分も相手もリラックスできる環境が一番です
No.21アドバイスの2つの鉄則私は、マナー講師を養成する講座を担当しています。これまで500人くらいの人が受講しました。その中でも活躍している人には共通点があることに気づきます。その共通点とはたった2つです。・アドバイスをまず受け入れる・そのアドバイスをメモに取るアドバイスはもちろんその人の考えにそぐわない場合もあるでしょう。ともすると「自分を否定された」と感じる場合もあります。私もアドバイスされると反射的に自己防衛から言い訳が頭に浮かんだりもします。ある方が、私に「もしこれをやるときには、ここは気をつけたほうがいいよ」とアドバイスをくれたことがありました。しかし、私はそのとき反射的に、「それは、今のところやる予定はないので大丈夫です」と答えてしまったことがありました。とても後悔したことを覚えています。他にも、たとえば「研修のレポートは帰りの新幹線の中で仕上げるといいよ。忘れないし、スピーディーに対応できるから」なんて親切心にあふれたアドバイスをもらったときでさえ「日帰り出張では、肩こりの原因になるから荷物はなるべく軽くしたいんだよな……」そんなことが浮かんできたりします。言葉にはせずとも、アドバイスを、「否定的」に受け止めていることは、相手に伝わります。それを繰り返しているといつしか人は自分にアドバイスをくれなくなっていきます。アドバイスは批判とはちがいますアドバイスはあなたを育む愛の肥料それは本当にもったいないのです。さきほどの2つの例からもわかるとおり、人からのアドバイスを、「自分のことを思ってくれている」と受け取ることによって、大きな差が生まれるんですよね。アドバイスの受け取り上手は、まず内容がどうあれ、アドバイスをくれたことに感謝をして、「アドバイスは愛」と相手の心を受け取っています。受け止めてみると、その時はピンと来なくても、後から「そういうことだったのか!」と気づけたり、考えが発展することだってあるのです。私もさきほどの研修のレポートについてのアドバイスをきっかけに「よし、軽量PCを買ってみよう。この際Macにしちゃおう」ということになりました。たぶん言われなければ買っていなかったと思います。そして、結果的に業務効率も大幅に改善され、本当にありがたいな~と思いました。なんでも一度受け取ってみよう私が講師駆け出しのころ、厳しく指導する先輩講師がいました。その厳しさに音を上げて、友人に、その方の愚痴をこぼすと、「指導やアドバイスは相手の財産を無料でもらっているようなものだよ」と言ってくれ、目が覚めたことがあります。もちろん、アドバイスのすべてが自分にとってよいものではないと思います。しかし、一度受け取ってみる。そして自分で改良したり、他の情報とくっつけて加工したり、それでも、今の自分には必要ないと思えば、横においておいてもいいわけです。最初から拒否するのは、もったいないのです。「アドバイスを受け取るサイクル」をつくろうまずは、自己チェックしてみましょう。相手のアドバイスに反射的に拒否していないだろうか、もし攻撃されたと自分が思ってしまい拒否していることに気づいたら、ちょっと深呼吸して、こんなふうにしてみてはどうでしょうか?ちょっと納得いかないアドバイスがある↓「私を否定しているわけではない」と気持ちを切り替え、その人の気持ち(心)を受け取る(感謝を伝える)↓言われている内容を整理し、紙に書いて保留これを徐々に習慣化してみましょう。アドバイスを受け取ることが習慣になってくると、反射的な拒否の態度、言葉が改善されてきます。そしていろんな人が「あなたのために」言葉をかけてくれ
るようになります。アドバイスもさることながら、そういう方がたくさんいてくれることは、本当に大きな財産なのです。予想外のことをするきっかけになるのもアドバイスのよさです
第4章気遣いで疲れないための心がまえ
No.22今ここに集中する他者からの評価が、とっても気になるという人は多いと思います。私が、講師修行中、研修の一部を担当させてもらう機会がありました。先輩講師がそのときに私の講義の様子を後ろに座ってチェックします。わずか20分くらいでしたが、ものすごく緊張したのを覚えています。なんとか終わり、自分としては精一杯やった!という感覚にひたっていたところ、先輩から、「いつもの三上さんらしくなくてちょっと不自然なところを感じたよ」と言われてしまったのです。正直、私は緊張していて、何も覚えていなかったくらいだったのですが、それでも自分なりに精一杯やったつもりだったので、ショックです。「もしかしたら私の評価を気にしすぎてるんじゃない?……」先輩は違和感を感じた理由を話してくれました。よくよく振り返ってみると、たしかに、受講生よりも先輩の評価が気になっていた自分がいました。先輩が首をかしげると「何?どこか変?」とソワソワした気持ちになり、アピール的な振る舞いになっていました。目の前にいた受講生に届けるという気持ちは置き去りになって、先輩からの評価に意識が向いている自分をあらためて自覚します。他者からの評価を意識する場面は、ビジネスであれ、学校であれ、また日常の人間関係においてもたくさんあると思います。評価されることで成長していく側面もたしかにあると思います。でも評価されること自体が目的になってしまい、相手の目を気にしすぎることは、その場で本来しなければならないこと、心を向けるべきことから遠ざかることになります。その後、またその先輩の講師にチェックしてもらえる機会があり、「三上さんが受講生にとっていいと思うことを自由にやったらいいよ」と、研修が始まる前に声をかけてもらえました。その研修では力まず、目の前の受講生に集中でき、先輩の評価も、結果的にはよいものでした。今に集中できていればおのずと未来は望む結果になっていくんですね。今に集中できないと未来も揺らいでしまいます何に「心の焦点」をあてるのか目の前の、今この瞬間に集中する。この壁になるものは、評価を気にすることだけでなく、たとえば、未来を心配したり、過去の失敗を思い出したり……。そんなことも障害になったりします。過去から学んだり、未来のことに思いをはせるのは決して悪いことではありません。しかしそれがいきすぎて、未来の心配や、過去の失敗体験からの恐怖になると、心は今ここにない状態になってしまいます。とはいえ、とらわれてはいけないとわかっていても、そうなってしまうものですよね……。どうしたらよいのでしょう?そんなときは、スイッチを入れる自分なりの儀式を持つことをお勧めします。そう「今ここ集中スイッチ」です。今ここ集中スイッチを入れようたとえば、深呼吸したり、体を少し動かしたり、「言葉のお守り」のようなものを持っていてもよいでしょう。私はあるとき、尊敬するAさんに「座右の銘はなんですか」と訊きました。すると「人事を尽くして天命を待つ」ですよ、と教えてくれました。辞書をひくと、「人間として出来るかぎりのことをして、その上は天命に任せて心を労しない(広辞苑)」と書いてあります。自分にできる最大限のことをするのみ。結果は自分ではコントロールできない要素もたくさんある。だからあれこれ考えて、そこに意識のエネルギーを奪われるのはもったいない。まさに、とらわれを捨てて、今ここに集中するには、もってこいの言葉だと思います。私は、ここ一番の仕事などでは、朝、この言葉を口に出してから出かけるようにしています。私にとっての「今ここ集中スイッチ」です。自分が直接手を下せるのは、過去でも未来でもなく、「今この瞬間」だけです。人の評価は、あくまでその人の基準で評価するのであって、そこに一喜一憂してもしょうがない。今自分が一番自分の心を向けなければいけないのは何で、誰か?自分のエネルギーを向けるのはそこなんですよね。もし、自分なりの「今ここ集中スイッチ」を見つけるのが難しかったら、ぜひ「今ここ集中、ただそれだけ」と唱えてみてくださいね。シンプルだけど意外と効きますよ。「今ここ集中、ただそれだけ」そう唱えて集中力をあげましょう
No.23自分の機嫌を、自分でとる常に機嫌がよくて、とっても接しやすい人っていますよね。どうしたら、そういう状態でいられるんでしょうか?機嫌が悪い状態だと、人とのコミュニケーションもすれ違い、誤解が起こりがち。同じことが起きてもマイナスにとらえてしまうこともあります。できればいい状態でいたいのに、どうもうまく自分の状態をコントロールできない……。私の友人のSさんは、いつも朗らかで、一緒にいてとても心地よい方です。「いつもSさんは爽やかで、疲れてるところを見たことがないですね、ストレスとか溜まらないんですか」と訊いてみました。そうすると、「じつはいろいろと自分の精神衛生を保つように工夫してるのよ。あまり行きたくない集まりだけどどうしても行かなくちゃならないときには2時間までと決めて参加したりしているの。あとは2次会はあっても行かないとか」「どれくらいなら疲れずにその場にいられるか自分を観察してみたら2時間くらいだったのよね。あと、ずっと話を聞かされる人とは、自分が体力のある元気なときに会うようにするとか」そんな答えが返ってきました。また別の友人のYさんは、「なんか最近、人に対してイライラしがちだって気づいたんだけど、多分その理由は、2ヶ月くらい大好きな映画館に行ってないからだって思うんだよね」と自分を分析していました。2人に共通しているのは、自分の「不機嫌になるポイント」を理解しているんですね。そしてうまく調整しているのです。自分といい距離感で付き合っていきましょう不機嫌ポイントを探してみましょうあなたはどんなことに、またはどんな状態のときにイライラしたり、機嫌が悪くなったりしますか。こう問われると、じつはわかっているようで、よくわかっていなかったりするものです。また、わかっていても特にそこに対処していないことがほとんど。自分が不機嫌な状態になる前に、うまく自分を癒したり、解放してくれることに対して時間をとったりすることはとっても大切なこと。でもそういう時間はどうしても後回しにしがちですよね。気がつくと、どんどん予定が埋まり結局自分のための時間が使えなかったり……。優しい人や責任感がある人は、どうしても自分のことは後回しで、相手に合わせてしまいやすいものです。また相手との関係性の中で、どうしても相手を優先せざるを得ないときもあったりします。それでも、いつも機嫌よく見える人や、忙しいはずなのにどこかに余裕を感じさせる人は自分に対して優先的に自分の時間のためのアポイントを取るなど、時間を確保しています。先に自分の時間を確保した上で、やらなければならないことをする。可能なかぎりそうする意識を持つことが大切なんですね。私の友人のHさんは、時間ができたら旅行に行こうと思ってもなかなか難しいので、1年前から計画を立てているそうです。実際はいろんな都合で行けないこともあるけれど、計画を立てていろんなことを調べるのが楽しいし、気分転換になると言っていました。私はといえば週に一度は、お気に入りのカフェで1時間くらい外を眺めてひたすら放心することが欠かせません。自分だけの時間のつくり方は人それぞれです誰が一番損をするかというと……機嫌が悪くなると、その矛先を相手に向けがちです。「あの人がああ言ったから」とか、「どうしてこれをやってくれないの」「自分ばっかり……」など。自分の機嫌が悪いのは、あの人のせいだと思えば思うほど、ますます機嫌が悪くなり、余裕もなくなってきます。そして、結果的に、一番損しているのは自分という状態に陥っているのです。でも、だいじょうぶ。今日から、機嫌のよい人になるための習慣を自分の日常に取り入れましょう。まず、紙に自分の機嫌が悪くなりやすくなる要因、その対処法を書いてみてください。自分の取り扱い説明書みたいなものです。そして、その対処法(=ストレス解消法)のための時間を優先的にとるように努力してみてください。あなたの機嫌がよくなることは、ひいては周りの人にもいい影響をもたらします。ただし、そのための時間を絶対に確保しようとすると、それはそれでストレスになったりもします。「例外」もときにはOKにしてあげましょう。それぐらい楽な気持ちでいることもまた、機嫌よくいられるためには大切ですから。「ストレス解消法すらストレス」は避けましょう
No.24気遣いに100点はないまじめな人ほど、100点満点でなければならないと考えがちです。完璧でなければならない。そうではない自分はダメなんだと。私も、以前は完璧でありたいという気持ちが強いほうでした。セミナー講師として年間100回以上の研修を実施していますが、毎回全力で臨んでも、結果は相手の満足度にもよりますし、自己採点をしても100点というわけにはいきません。「ここは違う言い方ができた」「あそこはもっと強調できた」など改善点は常に浮かびます。研修後の(受講生への)アンケートに、1つでもマイナス要素があると、もうそれが気になってしまい、しばらくは頭から離れません。もちろん、内容に関する意見や批判は、真摯に受け止めます。しかし、落ち込んでばかりでは先に進みません。こういうときは割り切るほうがいいと思います。準備では100点を目指してやりますが、「今日は自分の採点で70点は超えるようにしよう」と1日の研修が終わったら、自己採点をしてみます。「結果は75点くらい……でもいいじゃない!今日は予想より5点も上回っているよ!」そんな風に心の中で、もうひとりの自分と会話します。あなたの求める気遣いの水準は?「自分の合格基準点」は人によって異なります。以前、私の合格基準点は100点でした。100点でなければ0点と同じ。満点を取らなければ意味がないと考えていました。しかし、そんな高い水準を自分に求め続けるといつも足りない自分と付き合うことになります。そうするとダメな自分にしか意識が向かなくなっていきます。いつもダメな自分というところからスタートするので、不安と苦しさでいっぱいです。もちろん100点を取らなくてはいけない仕事も中にはあるでしょう。CAでいえば、お客様の安全に関わる業務です。運行に際しては危険な兆候を見逃してはいけません。場合によっては離陸を止める判断もしなくてはいけません。お客様の命に関わることですから当然です。しかし、そもそも結果に100点を求めること自体に無理がある仕事が大半です。そこに相手が介在すること、たとえばお客様への接遇や、新人クルーへの指導、チーム全体の管理など、毎度の100点はありえません。大切なことはどこで100点を取るかを考えるということですね。完璧じゃない自分は「ダメな自分」ではありません点数を「気づき」に変えていこう人間にはいい部分も悪い部分もあります。いろんな人がいるわけですから、いいときも悪いときもあります。同じことを言ってもAさんにとってはよくて、Bさんにとっては悪いということも普通です。できたこともできなかったことも、うまくいったこともそうでなかったことも、すべては発見と気づきのプロセスなんです。だから、70点を超えれば、今日はOK!次回はできなかったところを少しでもよくしていこう。それでいいんです。「できたか、できなかったか?」を問うのではなく、「今日は何を気づき学ぶことができたのか?」を問うてみましょう。できないことはダメじゃない。うまくいかないことはダメじゃない。すべては自分を成長させてくれる素晴らしいギフト。そしてこうしてはいけないなんてこともない。ときにはラクしたって、迂回したっていいのです。100点という指標では仕事や人間関係は測れません
Columu最後は楽しんだもの勝ちフィギュアスケートのある選手が、インタビューを求められ、こう答えていました。「明日のフリースタイルで完璧な演技を目指します」1つのミスも許されない世界。そこで勝負をしているアスリートにはタフな精神が備わっているのでしょう。でも、私たちの多くは、オリンピックで国を背負うわけではありません。100点を目指してばかりでは毎日毎日がとてもつらい日々に見えてしまいます。選手はこうも言っていました。「こんな舞台で演技できること自体が素晴らしいこと。そのことに感謝をして思い切り楽しみたい」すべての経験には、意味があって、そしてそれらは全てあなたに贈られた贈りもの。そういう視点を持って、もっとラクに構えてください。楽しんでください。そんな気楽さから、今できる自分のベストを考える。そうすればあなたにもっと余裕が生まれ、結果としていろんなことが、うまく回るようになっていくのです。
No.25一番大切なことは「誠心誠意」であること「あなたは、どんな夢をかなえたいの?」CAを辞めたとき、特に何がしたいかも決めていませんでした。あらためて知人にそう聞かれたとき、私は明確に答えられずにとても焦ったことを覚えています。しかし、それで立ち止まっているわけにはいかず、とにかくたくさん動きました。少しでも興味が持てるセミナーや会合には積極的に参加したり、たくさん迷惑をかけながら、いろいろなアルバイトも経験しました。その中で、レストランで働いた時期がありました。CAの仕事にリピーターはほぼありません。一期一会です。でも、レストランだったら「また来たよ~」とリピートしていただけます。お客様との継続的な関係に対して憧れがあったのです。しかし、実際にやってみると、お店の厳しさは予想以上でした。体力的にも自分には厳しく、長く続けることは難しいなと実感。当時は、少しでもできそうだと思ったら、一生懸命やってみる。でももう無理だぁ~と思ったら見切りもつけていました。でも、そんなふうに、いろいろ経験するうちに、これはできそう、これは難しい、がわかってきます。私は今、研修講師をやっていますが、それもそのプロセスの中で見出だしていったことでした。近年は〝夢を持たなくてはいけない〟といった風潮が、少し強いのかなと感じます。もしそれが苦しさの原因であったなら〝そう思わなくてもいいんじゃない〟と私は自分の経験から伝えたいのです。焦らなくてもいい、無理に決めてかかるより、やってみたいことをやってみて、違ったみたい……と思ってもいいと思います。自分が何をしたいのかわからなかったら、まずは目の前の課題だけに集中して取り組んでいくことを、私はお勧めします。あなたはどちらのタイプでしょう?人には、高い目標を設定しそれを目指すほうが楽しい!と感じるタイプの人もいます。急峻な山々を見上げ、頂上に向けて力強く歩を進めるタイプ(じつはこんなタイプはかっこいいなあ~と私は憧れたりもしています)です。高い目標を設定すると、達成できるかできないかの2つに1つです。ですから力を集中して、実現に力強く進んでいきます。しかし、ときに達成すること自体が目的になって、自分の思いが置き去りになり、他に大きな可能性やチャンスがあってもそれに目が向かなくなるという面もあります。一方で、「こういうことを大事にして、日常を過ごし生きていたい」というような「在り方」を大切にするタイプの人もいます(私はこちらのタイプです)。今置かれている環境で努力し縁を大切にしながら川をくだっていくようなタイプです。明確な目標がなく、力を分散させてしまっているように感じられますが、一方で、自分の思いや感覚に敏感で柔軟に変化の波をとらえられるという面もあります。あなたはどちらのタイプでしょうか。それがわかるだけでもちょっとした迷いなんかがふっ切れてスッキリしますし、自分にとって大切なことが見えてくると思います。やりたいことでもやってみて違うと感じることはよくあります苦手なことが大好きになった瞬間ここでお伝えしたいのは、どちらがいいか?ということではありません。どちらであってもいいのです。私がセミナー講師になったのは、セミナー講師になるという目標を定めたわけではありません。勉強をしたり、伝え方や声の出し方を学んだりすることに興味があって、講師養成講座を受講したことが1つのきっかけでした。もともと人前で話すことに苦手意識があり、1分間の自己紹介でも真っ赤になって、しどろもどろ。講師の方から「大丈夫ですか」と心配されるくらいでした。講師の修業を続けた当初は、スキルが上がるのがゆっくりでした。「私は向いていないのでしょうか」と先輩講師に相談すると、「上手にできていなくても、やり続けられるのはすごい」(褒められたのか、呆れられたのか、よくわからない評価ですよね(笑))と慰められ、「粘り強さはあるのかも」と自分を励ましました。最初は1時間の研修でも2週間は準備に時間をかけました。3年経つと、仕事が順調に回り出し、5年目になりセミナー講師で一本立ちできるようになりました。講師になってみて感じる感覚があります。それは過去に勉強したこと、経験したこと、いろいろなことがリンクして、前進してきた感覚です。レストランやさまざまなアルバイト経験は、CAだけではわからない接客の知識も得られたし、企業への派遣業務を経験したことも、会社によってのカラーの違いを考えるきっかけにもなりました。すべてのことがつながって、自分の大切なものを育ててきた今があるように思います。
だからまずは動いてみてはどうでしょう。合わずに続かなかったら周りからの評価が下がるとか、時間を無駄にしてしまうことになるとか、そんなことはまったく思う必要はありません。夢や目標がない自分はダメだなんて思う必要もありません。そして、動いていくプロセスの中で、自分を知ってください。そのプロセスの中で、やがて点と点がつながり、夢が見つかったり、これがしたい!というものが見つかれば、それはとても素敵なことです。体験をしながら少しずつ少しずつ、それを見つけていってみましょう。仕事でなくても、好きなことを見つけるのには、いつもと違う環境に身を置いてみてください。計画を立てず一人旅に出て、その土地の人と話したり、そこならではの風習にひたったりするのもいいかもしれません。そして、またさらにたくさん素晴らしい体験を積んでいってください。人生は、体験そのものが素晴らしいのですから。新しい自分を見つけて点と点をつないでいきましょう
Columu夢を持たなくたって素晴らしいSNSなどでもよく知られている話ではありますが、アップルの創業者のひとり、スティーブ・ジョブズは、こんなことを言っています。「未来に先回りして点と点をつなげることはできない。君たちにできるのは過去を振り返ってつなげることだけなんだ。だから点と点がいつか何らかのかたちでつながると信じなければならない」夢を持つことは素晴らしいことです。でも夢が今持てなくても、それもまた素晴らしいことなんです。いろんな可能性にチャレンジできるわけですから。今何がしたいかわからなかったら、ちょっとでも興味の持てることをいろいろやってみてください。途中で挫折しても、根性がないからだと自分を追い込まないでください。やりながら、自分は「何がしたいか」と同時に「何がしたくないか」も把握してみてください。経験を重ねると、自分のよさが発揮できない領域が見えてきます。やりたい仕事がすぐに見つからなければ、これは避けようという考えもOKです。私の仲間には、そうやって食べものとお酒の組み合わせに興味を持ち、ソムリエや利き酒師になった人もいます。
No.26その心配りがネガティブになってしまうワケ会話や日常生活の中でネガティブな感情がわいてきたら、あなたはどうしますか?以前の私は、「こんな風に思っちゃいけない……」と考えて、思考でその感情を抑えることが大事だと思っていました。それこそが大人な対応だ!と信じて疑いませんでした。たとえば、あるパーティーに自分だけ呼ばれていないということがひょんなことからわかったとします。そんなときは、怒りとか悲しみとか、みじめさがわいてきます。でもそんな感情を思考で抑えます。「仮に誘われたとしても、忙しいから、ちょうどよかった」「今回、たまたま声をかけられなかっただけだから気にしすぎることはない」一生懸命、自分が悲しくならない、寂しくならないように考えて感情がわいてくるのを封じ込めようとします。自分をコントロールして、ポジティブに考えようとすることは、決して悪いことではないとは思います。そう思考することで、確かにそうだなと思えれば、感情が浄化され納得することもあると思います。しかし、すべてそんな調子で自分の感情を抑えてばかりいるとどうなるんでしょう。思考で抑えつけられ、ふたをした感情はどこに行くのでしょうか?ネガティブも大切な要素まずは自分の中に生まれるネガティブな感情を感じ切ってみます。人は感情がある生き物です。そしてどんな感情にも役目があります。ネガティブな感情には、あなたにとって大切な、必要なものを気づかせてくれる役目があるのです。感じ切らないで抑えているとまた違う形で私たちに何かを気づかせるために、なんども顔を出してきます。そんなネガティブな感情を大切なものとして受け容れることができると、自分を否定することなく、愛することにつながる、そんな風に私は思うのです。よく「自分を好きになりましょう」「自分を愛しましょう」という言葉を聞くと、いきなりそう言われてもどうやって?それはちょっと難しい……と感じてしまうかもしれません。感情を感じ切り、受け入れることは、「自分を好きになる」「自分を愛する」ための大きな力となるのです。それも私の一部!そんなふうに思えたらいいですね
No.27「どう感じるか」は気遣いの本質抑えられたものはときに暴走します。どこかで爆発するのかもしれません。たとえば、誘ってくれなかったリーダーの人に対してちょっと距離を取ろうとしたり、逆にこちらが誘わなかったり、抑え続けていたものが積もりつもって、何かのきっかけで相手に対してものすごく逆上したり……。ビジネスシーンでもプライベートでも「どう考えますか?」「どう思いますか?」と問われることはあると思います。しかし、相手にも、ましてや自分にも「どう感じますか?」という問いは意外としないものです。思考には注意を払っても、感情には注意を払わない。あまり意識をしないことが常態化しているかもしれません。そして、特にマイナスの感情については、よくないものとしていろんな場面で教えられてきているかもしれません。でも、本当はそれらの感情をしっかりと認識し、消化することが大切なんです。寂しい、悲しい、恥ずかしい、腹がたつ、不安、嫉妬……。今どう感じているか自分ではっきり認識してつかむことで、それが留まらずに消化されていくのです。感情を感じて理解することはとても大切ですその感情に名前をつけましょう感情とは身体的反応に名前をつけたものだという考え方があります。つまり、感情とは身体感覚のことだというとらえ方です。胸がざわざわする胃のあたりが重くなるのどが渇く感じがする胸が締め付けられるようになる顔が熱くなる……などもし、自分の感情がよくわからないというときには、自分の体の感覚を認識してみてください。今どんな体の変化を感じる?と観察してみましょう。自分の感情をしっかりと認識して感じ切ると、それは私たちにいろんなことを知らせてくれます。感情によって、自分は何が大切なのか?何が必要なのか?何が欲しいのか?を教えてくれます。感情を認識しながら、「本当は私にとって何が大切なのかな」「何が欲しかったのかな」と問いかけると、どんな思い込みがあったのかに気づいたりもします。誰かに対して怒りの感情を持っていてその人のことを嫌だとか、苦手と思っていたとします。しかし感情を感じ切り、認識すると、実は自分が大切にしていることに敬意を払ってもらいたいと思っていたことに気づき、そして自分がその相手に対して敬意を払っていなかったことに気づいたりもするのです。感情をしっかりと認識することに慣れていないうちは、難しく思うこともあるでしょう。まずはふたをしないで体の感覚を受け取ることから始めてみましょう。すると相手に対してどう接するかもわかってきます。感情を伝えるときは「ちょっとだけ」自分がネガティブな感情を感じたとき、それを相手に全て伝えることが正しいとは限りません。感じ切ることと、それを表に出すこととは別ものです。抑えないというのは、溜め込まずに感情を相手にぶつけなさいということではありません。あくまで「なかったことにする」のではなく、きちんと感じ切り認識するということです。その上で、自分が大切だと思っていること、必要としていること、欲していることを理解してそれを伝えるのです。相手に対して怒りを感じたとき、「ふざけないでよ!」「いい加減にしろ!」と伝えても、自分が必要としていることは手には入りません。「本当は敬意を払ってもらいたいのに、そうしてもらっていないように感じて悲しい気持ちでいる」ということを伝えていけば、あなたが必要としていることが満たされる可能性が生まれるのです。赤ちゃんは感情を表すことで世話をしてもらいます。しかし大人はそれではコミュニケーションが成り立ちません。どちらかが我慢するか、ぶつかりあうか、離れていくか、いずれにしてもよい結果にはつながりません。もちろん、時に感情をぶつけることも大切なことはあります。そうすることで相手に強く印象づけたり気づかせたりすることが必要なときもあります。感じた感情を、そのまま表に出すか出さないかは、その場面で、自分でしっかり選んでみましょう。
No.28気遣い疲れを軽減する感情整理外からの刺激に感情が左右されやすいと、ちょっとした人の振る舞いに怒ったり、恨んだり、落ち込んだりしてしまいます。相手の言葉に過剰に反応して、事あるごとに一喜一憂する、そんな自分に疲れてしまったときに、どう回復をしたらよいのか、私自身が実践した方法の一つを紹介します。自分の気持ちの落ち着かせ方STEP1今どういった感情を感じているんだろう?と考えてみる恐らく、もやもやっとした、いろいろと入り混じった、言い表せない感情に覆われているのではないでしょうか。感情を表す「六情」という言葉があります。この六とは、楽・喜・怒・憎・哀・愛の6つのことです。また、オランダの哲学者スピノザは48の感情があるとも定義しています。感情の数については諸説ありますが、ここでは、自分がどの感情に置かれているのか可視化していきましょう。感情を探し出すことで気持ちを少し落ち着かせ、その感情の解釈を少し変えることで心を軽くすることができます。たとえば「怒り」だったとすれば、たしかにネガティブな感情ではありますが「『絶望』なんかよりは、『怒り』のほうがパワフルでいいよね」と感情に対して客観視して解説を加えてみたりする。そうすると、怒りを少し軽くできたりします。STEP2どんな出来事に感情が生まれているかを、どんどん紙に書き出すたとえば「劣等感」に気持ちが支配されているとします。その要因を書き出していくと仕事で成功を収めた同期入社の人物に行きあたるなんてこともあるでしょう。「嫉妬」も少しあったでしょう。その感情はじつは自分の向上心や、自分の仕事への強いこだわりがあるからこそ出ているなんてことにも気づいたりします。感情を違う方向にスライドできると、少しだけ体がラクな感じになれます。感情を言葉に置き換えて、もやもや感から少し離れます。ちょっとふかんして物事を見る「メタ思考」のように、自分の感情からいったん離れてみて、監督のように自分にアドバイスするような感覚です。疲れたときこそ、そのもやもや感を明確にすることで新しい自分への気づきが得られますよ。心配りに直結する「感情のとらえ直し」アメリカの臨床心理学者、アルバート・エリスが提唱している、ABC理論というものがあります。これは簡単にいえば、感情とは出来事ではなく、自分の信念や考え方、見方が引き起こしているという理論です。それに照らせば、仮にあなたの行動や言動で、相手が怒ったように見えても、それはあなたのせいではなく、相手の問題なのです。そう考えると、自分を責めることなく、でも相手の感情に対して、「なぜその感情が生まれたんだろう?」と見ることができるようになります。そしてあなた自身が普段から感情を可視化して認識することをしていると、相手の感情の背景を想像することがより上手にできるようになり、結果的に相手のことをより深く理解できるようになったりもするのです。感情に左右され相手と険悪な間柄になるのか、感情を見つめて深く理解できるのか、この違いは本当に大きいと思います。
Columu感情に左右されない前述の哲学者スピノザは、次のように述べています。「感情のままに左右される人間は、自分自身の主人ではなく、偶然の力に左右される」感情を可視化することで、それを認識していくと、わけもわからず暴発するのを防ぐことができるようになります。そうなると、たとえば、嫌いな相手に対しても、違った接し方ができるようになります。自分が嫌いなのは、「その人」そのものなのか、その人が嫌いなのではなく、たまたま、その人の今の感情に自分が反応しているだけなのか、少し想像してみる余裕が生まれます。自分の感情を認識できると、相手の感情や、それが生まれている理由や背景を想像することができるようになってきます。そうすると、「実は相手も人間味のある人なんだよね」といった具合に、相手に対しての見方が変わります。相手の言ったことに対して、同じ土俵に立たないで、接していくということ。その際、相手のネガティブな一面は、その背景にその人なりの理由があり、それはその人の問題であって自分の問題ではないととらえること。相手を気遣うことにはとても大切なことです。
29相手をイメージできる余白をつくろう自分に対して、ものすごく期待の高い人は、相手に対しても、同じように高い期待をかけて見てしまいがちです。そしてやっかいなのは、相手が満点を返してくれなければ、0点と見なしてしまうことです。0か100かと相手を見てしまう人はまた、人間関係においても、白か黒か、一点の曇りもないのか、嘘偽りだらけなのか、はっきりさせようと躍起になります。でも、その人間関係における気遣いについては案外、白でもなく、黒でもなく、真ん中のグレーゾーンであることが大切だったりします。相手に対して、白か黒かを求めてしまう人は、几帳面だったり、責任感が強かったり、ある意味、完璧主義者だったりします。融通が利かないと揶揄されることもあるでしょう。私は決してその人たちを全否定するつもりはありません。社会や会社の中にも几帳面さや強い責任感が必要なポジションはあるはずです。でもコミュニケーションにおいては、しんどい生き方になってしまうのだとも思います。それで大丈夫と過ごしていてもストレスが自ずと溜まっていく思考なのです。なぜそんな風に思うのか。私の2つのエピソードをご紹介します。学生のころ、私の友人がある1つの嘘をつきました。実害のない嘘だったのですが、許すことができず、「あなたが、こう言ったと、さんも言ってたし、辻褄があわないよ」と詰問してしまいました。もう1つの話は、私が社会人になって上司からの大事な仕事を忘れたことがありました。上司は帰りがけに「先週お願いした仕事は進んでいるの?」と私に訊いてきました。そのときは全くの手つかず状態で思わずあいまいなイエスを反射的に返してしまったのです。焦っている様子の私に上司は一瞬怪訝な表情をします。しかし、それ以上の追及はなく「じゃあ、お願いね」と一言残して部屋を出ていきました。余裕がないとき、エピソードのような思考になりやすいのです想像力は相手への配慮2つのお話には何があって、何がなかったのでしょうか?友人のあのときの立場を想像すると、今でも胸が苦しくなります。「確かに私が嘘をついたのは悪かったかもしれない。でも何の権利があってあなたはそこまで私を追い詰めるの?」、そんな思いがふつふつとわいてきていたと思います。あるいは恐怖すら感じたことでしょう。そうやった先にあったのは、その嘘を相手に認めさせたということと、その人との関係が壊れてしまったということでした。一方、私の上司は、きっとここで問い詰めても、余計に私がごまかしと言い訳の上塗りをしてしまうだけだと感じたのでしょう。おそらく問い詰められたらそうなっていたと思います。むしろそれ以上問い詰めないことで私に逃げ道をつくってくれて、私自身が「やらなきゃ!」となることを期待したんだと思います。この2つのエピソードにあるものとないものとは、相手への想像力という点だったのです。白か黒か、では相手への想像力をなくしてしまうのですグレーゾーンこそ気遣いの余裕人間関係にはグレーゾーンが必要です。グレーゾーンを認めることは、言い方を変えれば、相手の心情に配慮しながら、致命的ではないことには目をつむる寛容さです。あえて問い詰めないことで相手の変化を促すこともその考え方のひとつです。それを言われたり、されたりした相手は、どんな風に感じるだろう?という想像力こそ、配慮であり気遣いの基本でもあるのです。人はずっと、白か黒でいるわけではありません。ちょっとしたことで白にも黒にもなる。やる気もそうです。一生懸命がんばろうと思っていて、でもミスをして、それを問い詰められるあまり、やる気を失ったり、相手に対して逆恨みをしたりなんてことはよくあります。ずっとやる気があっても疲れてしまいますしね。気遣いは、自分と他者との相互作用でできていきます。そこに余白がないと、関係性を分断したり、自分自身を窮屈にして、追い詰めていくことにもつながります。相手のことにも思いを馳せ、理解をしながら、自分の期待も伝えていく。そういった気遣いがよい関係をつくり、目的を果たしていくことができるのです。「そういうこともあるよね」と、白でもない、黒でもない、そんなあいまいさを抱えて生きていくことも味わいがあると思える人のもとに、人は集まります。決してものごとをあいまいで中途半端にしようということではありません。
一生懸命やっても、そうならないこともある。自分の思いに反して、過ちを犯してしまうこともある。そんな人間らしさを許容して、その人が変わる可能性を信じてあげようということです。人から好かれたり、なんかうまくいっているなと思う人を見ていると、ほとんどの人が、少なからずこの感覚を持っているなと感じます。「そういうこともある」と考える。疲れない気遣いの基本です
No.30失敗した気遣いを次に生かそう私たちは体の不調にはとても敏感です。風邪を引きかけたら、体を温めたり、薬を飲んだり、診察を受けたりします。擦り傷を負ったら、消毒をしたり、軟こうを塗ったり、絆創こうを貼ったりします。でも、心が傷ついたとき、その傷をどう治していいのか、実は多くの人はわかっていません。自然に癒されるだろうと放置しています。CA時代に、安全上の注意をお客様に伝えたら、「うるさいなぁ」と、むっとした態度で返されたことがありました。もちろん安全事項は第一優先ですので、お客様に対して躊躇してはいけないのですが、もう少しお客様が受けとりやすい伝え方はあったのではないか?自分はなんでそういうことができないんだ、なんて自分は配慮がないんだ、もっとああすれば、もっとこうすれば……と自己否定と自己嫌悪の反芻が止まらなくなりました。次回からこうやってみよう、改めよう、と反省し改善する分にはいいと思うのですが、ひたすら反芻して何回も繰り返して思い出すのは、心がどんどん疲弊していきます。なぜ気疲れはエスカレートするのか実はこれを反芻思考というんですね。反芻思考とは、不安や怒り、嫌悪などネガティブな思考を「繰り返す」傾向をいいます。せっかくの気遣いが疲れてしまう原因の一つです。気遣いで疲弊してくると、仕事や生活への意欲が減退したり、人間関係に支障をきたしたり、ひどくなれば、体の不調を引き起こしたりします。早い段階から何かしらのケアをすることが大事です。あなたは大切な親友に対し、失敗をしたときにどうするでしょうか?きっとひどい言葉を浴びせるようなことはしないでしょう。もちろん、愛を持って厳しく接する局面があるかもしれません。しかし、その上ではげましたり、いいところを認めてあげたり、そんな風にするのではないでしょうか?ニューヨークの人気セラピストであり、心理学者のガイ・ウィンチさんは、前向きになれる方法を紹介してくれています。心が疲弊している……そう感じたときはこちらを試してみてください。自分を「親友」のように扱う「自分を、親友のように扱うこと」この言葉はさきの心理学者ガイ・ウィンチさんの言葉です。自分が失敗したときに、ひどい言葉を自分に浴びせる人がいます。「いつもダメだよね」「ずる賢いよね」「人に嫉妬して醜いよね」などなど、自分の悪いところを、殊更にあげつらい、増幅させて責め続けるのです。自分に厳しいといえば聞こえがいいかもしれませんが、実はこれ、心が傷つき、どんどん疲弊していきます。自己嫌悪が大きくなっていき、自分に自信が持てなくなっていきます。しかし本来あなたの一番の理解者はあなた自身のはずです。いいところも悪いところも知っている。でもなぜか自分に対して、悪いところは見えてもいいところは見えなくなる。だからそんなときこそ、親友に接するかのように、自分で自分に接してあげるのです。他にもいろいろありますが、まず私自身が、自分の心のケアにとっても有効だと感じた、ガイ・ウィンチさんが提唱しているこの方法を、みなさんにも自信を持ってお勧めします。
Columu「反芻思考」に陥ったら反芻思考では辛い場面を心の中から何度も取り出して、自分を痛めつけているのです。ネガティブな感情がわいてきて、それを繰り返す兆候が見られたとき、ガイ・ウィンチさんは、2分間は強制的に他の興味に集中することを提唱しています。気を紛らわすことにより、反芻衝動から解放されるというのです。「あ!?いま反芻しそうになっている」と自覚したら、・スマホでゲームやクロスワードパズルをする・週末旅行の計画を立てる(結局は行かないのですが、その時間は楽しい!)・YouTubeでお笑いを見る・読みかけの小説を手に取る……などなどいつでもできるように用意しておきます。簡単なことで問題ないです!でもこれで反芻のループから抜け出せるので、お勧めです。
No.31ときにはゆる~りとあなたは、スケジュール帳に空いている部分があると不安に感じるほうですか?私は、とにかくスケジュールを何かしらで埋めないと不安になってしまうタイプでした。特に個人事業主として仕事をするようになったとき、予定が入っていないと充実していないような気がして、取り残されているような気持ちになり、何かしらで時間を埋めるということを無意識に行なっていたように思います。もちろん自然に予定が埋まってそれが楽しい!と思う人は問題ないと思います。しかし予定を自らすきまなく入れて、どこまで入れても心は落ち着かない……。焦燥感がつのっていくという状態だったとすると、いつしか心身ともに疲れ果ててしまいます。そんなことをある人に相談すると、「本当はゆっくりしたいという気持ちがあるのかな?」と言われました。たしかに、私は本当はのんびりするのが大好きなんです。でも、その欲求や自分の気持ちにふたをして、そして自分の疲労度も意識できない状態でいた自分に気がつきました。自分が我慢してやっていると、相手に対しても厳しい見方をするようになります。たとえば、仕事相手に、「私は寝る時間を削って頑張っているのに、相手はのんびりして、なんか手を抜いているんじゃないか」と思ったりし始めます。人は自分自身との関わり方が、そのまま相手との関わり方にも投影されていきます。相手にも、「そんなことやって当然」「我慢して当然」「そんなこともできないなんて」……など。これでは自分だけではなく、周りの人も疲弊していきます。もしあなたがチームのマネージャーだったとしたら、そのチームのメンバーはそうじて疲れているはずです。友人があるとき、そんな私にこんなアドバイスをしてくれました。「私はなんにもしない!なんにも予定を入れない日を10日に1度でもいいし、定期的につくっているよ。そして、公園とかなるべく自然を感じるところに行ったり、空がきれいに見えるカフェに行って、ずっと眺めていたりもお勧め」実際にやってみると、解放感やじんわり体が温かくなるような感覚があったり、その時間が頭や心をスッキリさせてくれるのを感じました。一つひとつ試していくと、私はスケジュールに空きがあって、のんびりする時間を取れたほうが安定するタイプのようでした。それなのに「みんなはもっと頑張ってる!」「まわりに比べてやってない」という思い込みがあって、焦って背伸びして、頑張りすぎていたんですね。こうして自分自身に対して「何もしない予約」を取っていくことでバランスが取れやすくなったのです。「まわりがこうだから」「普通そういうものだから」「そうしなければならないから」「そうしなければダメなんだ」という考え方から行動して、自分に無理を感じていたとしたら、一度立ち止まってみてください。そして、本当の自分は、どういうペースが自分らしくいられるんだろうということを、自分と対話してしっかりと確認してみましょう。あなた自身のマネジメントはあなたにしかできません。まずは自分の体質を見極め、本当の気持ちを抑えつけず、自分をケアしてみてください。無理をすることも大事なときはあります。成長するときは、自分の限界を超えるような経験がそれを促してくれることだってあります。でも、それが常態化してしまっては、心も体もボロボロになってしまいます。偏ったら、あなたの心地よい状態に戻してあげること。遠慮なんていりません。ときにはゆる~りといきましょう。これがラクっていう感覚を大切にしましょう
おわりに「気を遣いすぎて疲れてしまうあなたへ」人は、「こうでなければならない」というプレッシャーの中でつねに生きていると思います。一人では生きてはいけないので、社会をつくり、人との関係性の中で生きています。その関係性の中で、自分にたくさんの枷をはめていきます。「自分は引っ込み思案だから、気遣いもできないし、人に受け入れてもらえない」「私は気配りがうまくなかったから、これくらい我慢すればいいんだ」「相手が不機嫌なのは、きっと自分がうまく心配りできなかったから」その枷は、・だから頑張ろう・だからもっと自分を高めよう・だからできるようになろうそんな風に自分を成長させてくれるものであったりもします。でも一方で、その枷によって、自分を苦しめたり、自信を持つことをためらわせたり、我慢を自分に強いてしまうこともします。でも本当は自分にはできることはいっぱいあります。気遣いができなかったことに悩んで、いつも気を張って、今度は気を遣いすぎて、気疲れしてしまう。体も疲れて、何かをすることに消極的になってしまうのはとてももったいないです。この本を通じてお伝えしたかったことは「気遣いは楽しいもの」ということです。相手を通じて自分も幸せになれるものです。ですからこの本を一番届けたい相手は、過去の私かもしれません。もっといえば、過去の私と同じように悩んでいるあなたです。本当に気づいてほしいと思っています。気遣いはとても楽しいものだと。もっと力を抜いてラクになっていいんだよということをそばで寄り添って言ってあげたいなって。もしあなたが今、「過去の私」が感じたようなことを感じ、気を遣いすぎて、疲れてしまっているとしたら、この本が届いてほしいと思います。最後に、この本に関わっていただいた方々にあらためてお礼を申し上げたいと思います。本書の中で登場してくださいました、私の師匠や友人、その他多くのご協力いただいた方、本当にありがとうございます。ページをめくるたびに、みなさんの明日が、今よりも希望に満ちて、明るく、ラクになることを願って。2017年3月三上ナナエ
[スペシャルサンクス]大和書房編集長谷川勝也さまミラクカンパニー代表鵜川洋明さま梅澤聡さま
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