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第1章無敵の筋トレは食事に始まり食事に終わる

はじめに

戦略的食事のインパクトは、筋トレを凌駕する成功する肉体改造の第一歩は、自分を「信じる」強い気持ちみなさん、こんにちは。

「バズーカ岡田」こと、岡田隆です。

このところ、さまざまな「食事術」が話題を呼んでいます。

インターネットで検索をかけてみると「脳が若返る」「疲れに効く」「病気にならない」など、多種多様な目的に応じて「最強」の食事術を紹介する書籍が、次々目に飛び込んできます。

そのなかで、私が本書でお届けするのは「人生最高のボディメイク」を実現に導くため、筋トレの効果を最大限にするための無敵の食事術。

幅広い層の方にお手にとっていただきたい気持ちはもちろんあるのですが、特に「届けたい」のは、くすぶりかけている筋トレ経験者のみなさんです。

トレーニング開始から2~3年が経過し、ある程度のトレーニングスキルは身につけたものの、カラダの変化が停滞し始めている方。

ボディビル系コンテストに興味はあるけれど、筋肉を増やしながら脂肪を削ぎ落とすための食事がわからない方。

純粋にもっとカラダを大きくするため、あるいは脂肪を落として絞るために食事を見直したい方。

過去、ボディメイクやダイエットに挫折をした経験がある方、さらには現在進行形でお悩みの方にも、お伝えしたいことが山ほどあります。

もちろん、まさにこれから筋トレやカラダ作りを始めようとする方々にも基本的な知識として覚えてほしいですし、すでに自身のボディメイクに自信をお持ちの方にとっても、さらなる「高み」を目指すうえで、必ず役立つ内容になっています。

本書にたどり着くまでの経緯やこれから目指していくところは、人それぞれでしょう。

しかし、この1冊とめぐり合った「今」のタイミングは同じです。

この事実が示すのは、あなたが今、取り組んでいるボディメイクやダイエットを人生最高のものとするためには、食事に対する意識改革が絶対に必要だということ。

本気の肉体改造は、心の在り方を変えるところから始まるのです。

本題に入る前に、根本的な部分の思考を切り替えていきましょう。

それは、自分は絶対にボディメイク成功者になれる、と強く自分を信じることです。

カラダについた脂肪は、必ず削ぎ落とすことができます。

盛れない筋肉も取れない脂肪も、どこにも存在しません。

肉体改造に成功しない人など、誰一人としていないのです。

うまくいかなかったのは、正しい導きを得られなかっただけ。

過去のしくじりに引っ張られて「自分には無理だ」とあきらめたり、自分への言い訳を用意するかのように半信半疑で取り組んだりするのは、この本と出会う前の昨日で終わりです。

固定観念は、今すぐに捨ててください。

捨てた人から、次に進みましょう。

1日3回、1週間で21回の食事数を筋トレ数が上回ることは、まず無理!はじめに押さえておきたいことは、脂肪を削ぎ落とすにしても、筋肉を盛るにしても、カラダに大きな変化を与えてくれるのは、食事だということです。

私たちは平均的に1日3回、食事を摂ります。

1週間で21回。

1ヶ月(31日)なら93回。

このペースのまま、これまでも、これからも、おそらく一生続けていきます。

トレーニングに置き換えようとすると……まず、無理ですよね。

社会人であれ学生であれ、1日に3回分の筋トレ時間を捻出するのは難しいですし、普通は1回のトレーニングで全部の力を出しきるわけですから、そもそも3回もできてしまうトレーニングって何なんだ?という、内容に対する疑問が湧いてきます。

ものすごく頑張っても1日に1~2回、1週間で7~14回です。

それでも同じペースで一生続けられるか?というと、やっぱり難しいと答えざるを得ません。

たとえできたとしても、カラダの回復が追いつかず、1回ごとの質の低下が目に見えています。

食事であれば、回数を増やそうと思えばまだまだ増やすことができますし、1食ごとの質をコントロールして水準を高めることも、豊富な経験と多くの知識と緻密なスキルを必要とする筋トレと比べたら、容易です。

また「筋トレとは、(筋肉という)ティッシュを1枚ずつ重ね続けるような行為」といわれるように、筋肥大にはかなりの時間と労力を要します。

1年365日、真剣に取り組んだとしても、筋肉の成長は推定1~2キログラム。

対して、食事管理による減量(除脂肪)は、たった数ヶ月で、別人レベルのカラダを作り出す驚きの効果を発揮します。

当然、個人差はありますが、平均3~4ヶ月で10キロ減、半年間で30キロ近く落とすボディビルダーもいます。

私はこれまで研究者、理学療法士、フィジカルトレーナー、ボディビルダーとして、また柔道日本代表サポートの仕事やボディビルの指導者の取り組みを通じて、さまざまな角度からカラダの発達と向き合ってきました。

そこからわかったことは、肉体改造に必要なのは「1回の強い衝撃」に限らない、ということ。

食事のように「毎日続ける低強度の刺激」でも、カラダは十分変わっていきます。

つまりは、トレーニングをして筋肉に刺激を与えるよりも、食事内容を調整して体脂肪をコントロールするほうが、カラダに与える「インパクト」は大きいということ。

だからこそ、特にくすぶりかけているみなさんやこれからの「伸びしろ」がある初心者の方々には、改めて食事を見直していただきたいのです。

一定の経験、正しい知識、信じる心……。

「レディネス」こそが肉体改造を制するなかには「自分は体脂肪はこのままでもいいから、とにかく筋肉をデカくしたい!」という局面の方もいるでしょう。

そのような場合においても、きちんと内容を考えた食事を計画的に摂らなければ、筋肉の発達をうまく促すことができません。

どのような方向性のボディメイクであっても、共通していえることがあります。

それは「レディネス」こそが、肉体改造を制するということです。

レディネスとは、物事を成し遂げるために必要な「前提となる知識や経験」「心身の準備性」などを意味する言葉で、主に教育の現場で使われている心理学用語のひとつです。

ここでいうレディネスは、ある程度のトレーニング経験と食事に関する正しい知識、そして「成功者になれる」と信じる心。

経験に関しては各自にゆだねるところですが、未経験あるいは初心者の方は、本を読むのと同時進行でトレーニングと食事管理に着手していただければと思います。

「信じる心」については、冒頭を読み終えた時点で手に入れていますよね?というわけで、ここから先、私からみなさんにお伝えしていくのは「正しい知識」ということになります。

ただし「正しい知識」とはいうものの、スポーツ栄養学の基本的な話をダラダラとしていくつもりは、一切ございません。

そういった類の知識が必要ということでしたら、どうぞ、ほかに教科書をお探しください。

骨格筋研究者として、長きにわたり広めてきた見聞。

トレーナーとして、世界で戦うアスリートたちへの指導を通じて得た学び。

そして、ボディビル競技者として、普通の物差しでは測れないような肉体をもつトップビルダーたちとせめぎ合うために、命を削って積み重ねてきたトライ&エラー。

これらをもとに導き出した実践的応用力を含む、食事に関する正しい知識を記していく所存です。

私、岡田隆の「今」がすべて詰まっているといっても、過言ではありません。

本気でボディメイクを完遂させたいと願っている人のレディネスを、全力でアシストするための1冊です。

もしも、本能の赴くままに「普通においしく楽しく食べたいなぁ……」と考えているようならば、もうこの本はここで閉じてください。

トレーニングが甘い人はいない。

差別化を狙うなら、食事術!私たちは、生まれたときから何かを口にすることで命をつなげてきています。

ゆえに「食べる」という行為があまりに日常的で、何のために、どのようなものを、いかにして食べるのか、ということに対して無頓着になりすぎていると感じます。

ボディメイクを成功させるにあたって何よりも先に御膳にのせるべきは、どこかでいわれたがままの鶏むね肉でもブロッコリーでもありません(もちろん、鶏むね肉もブロッコリーもカラダを仕上げるためには適した食材です)。

「自分はこうなりたいから、これを選んだ」という揺るぎない意図です。

だからこそ、誰かと食事を共にする際、テーブルに並んだ皿の上にその人の想いが見てとれると、すごくうれしい気持ちになります。

食べることは、一生。

ボディメイクも、本質的には同じです。

無闇に「制限」をかけて、自分自身に「我慢」を強いるようなやり方では、必然的に無理が生じますよね。

続けられなければ、意味をなさない。

そこで、続けるために必要になってくるのが、「我慢」をしなくていい「工夫」なのです。

SNSの普及・発展が進み、誰でも簡単に発信・受信ができるようになった昨今。

若者を中心にフィットネスがブームを呼んでいることもあり、カラダ作りに関しても、これまで以上に情報があふれるようになりました。

少し前までは、自らとりにいかなければ目や耳に入ってこなかったような内容も、あらかじめ「フォロー」ボタンをクリックしておけば、空き時間にスマホを眺めているだけで届く──。

このような仕組みが確立されて以降、都市部と地方との間にあった情報量の差が埋まり、今はまさに、ボディメイク群雄割拠の時代というわけです。

そのなかにおいて、自分自身の目的を果たすためにも、手段を工夫する術をもっていることは、かなりの強みになってくるといえるでしょう。

そして、すでにお伝えしている通り、カラダを変える「決めの一手」は食事にあります。

真剣にボディメイクに取り組んでいるのなら「トレーニングが甘い」ということは、まず起こり得ません。

なのに、カラダが変わっていかないと嘆く人がとても多いのは、トレーニングと比べて、食事に

対する認識が圧倒的に甘いからです。

さあ、時は来たれり。

今こそ、一生続く、「無敵の筋トレ食」を、あなたに。

無敵の筋トレ食目次はじめに戦略的食事のインパクトは、筋トレを凌駕する序章知識もある。

トレーニングもしている。

しかし、なぜ肉体改造に失敗するのか「手段」と「目的」とを履き違えるから失敗する継続は力になる。

が、それだけにとらわれすぎるとしくじりを生む先入観が肉体改造におよぼす悪影響は、計り知れないもつべきは、確固たる目的と対応力に富んだ柔軟な思考第1章無敵の筋トレは食事に始まり食事に終わる私の「トレーニング」は、食事に始まり食事に終わる「バランスをとる食事」こそ無敵の食事管理術であるハードゲイナーは、まず栄養を仕入れろボディタイプ・マトリックスで現状を可視化する筋肥大の働きを最大限確保して、体脂肪をそこそこ管理する「塩抜き」「水抜き」のキャッチーさに惚れるな筋肉とプロテインの関係性を正しく理解しているかサプリで得られるものは「安心感」とわきまえる野菜と穀物の存在なくして、人生最高のカラダには到達しない無敵の筋トレ食には、人生を底上げする力がある

第2章食べて絞る!栄養で筋肉を仕上げる食事改革

「PFCバランス」の最適解をグラム単位で考える第1のルール[タンパク質摂取]P=20グラム以上をキープ第2のルール[脂質摂取]F=10グラム、多くて20グラム第3のルール[炭水化物摂取]C=摂取カロリーの55~65%が目安カロリー収支の落とし穴アウトカムを、見つめろ!1日2キロの鶏むね肉チャレンジ長きにわたる「いい食事」が成長を最大化するサプリメントは、あくまで「栄養補助食品」サプリメントを選ぶときの基準は「五大栄養素の補強」としてのP・V・M代謝にかかわる「水」は第6の栄養素考えて食べる炭水化物は太らない「質」を選んで、効率的に食物繊維を摂取する不要な脂は抜いていけ、必要な脂を取りにいけここまでの知識を総ざらい!トレーニング前後の食事管理術

第3章筋肉を「盛る」、脂肪を「削る」ベスト食材

私の減量を変えた12グラムの「スーパー大麦」いまやコンビニは除脂肪食の訓練所であるそば屋しかないからとあきらめるのは、まだ早いサラダチキン世代に届け!サバ缶・ツナ缶のすすめ鶏むね肉がボディメイクにとって「最強の食材」である所以調理のしやすさ、という面で「ささみ肉」も見逃せない「アミノ酸スコア」は、いろいろ食べて100にする鶏むね肉セットを彩るお気に入りの野菜たち朝食、そして間食にグレープフルーツは減量期の救世主野菜と果物以外の甘味なら和菓子を選ぶべし食欲が爆発してしまうのは「選んだ我慢」が合わないだけ肉体改造における間食のあり方取り返せる範囲において減量中でも、酒は嗜むたどり着いた厳選サプリメント第4章超実践的!無敵の筋トレ食ボディビルダー岡田隆の食遍歴11年目の挑戦、2年目の模索ボディビルダー岡田隆の食遍歴23年目の切り替え、4年目の変革バズーカ岡田的ベスト献立2018「外食で太る」は収支バランスが悪いだけ最高なのは、ホッケ、サバなどの焼き魚定食考え方によっては「ラーメン」もNGではない食べ順は、①食物繊維②タンパク質③炭水化物私が卵、大豆、乳製品に対して積極的でない理由チート不要!「普段の食事」を愛せるようになる

第5章それでもカラダが変わらない人へ

減量期の前段階「増量期」に何を食べているか?「何を食べたら、パフォーマンスがどう変わるか」を観察する消化吸収の第一歩「咀嚼」を見直せ上手な「オフ」が努力による成果を伸ばす364/365のトレーニングと18/24の食事で見えたものストレッチやほぐしを取り入れ体脂肪内の「血流」を改善パーツを定めた除脂肪スキルをもて普通のことを積み上げてこそとんでもない景色が見える高精度のトレーニングとは「筋肉と脂肪へのピンポイント攻撃」トレ中のサプリ摂取を再考すると直後の食事が、最高に旨くなる「0か100」かの勝負より「1でも2でも稼ぐ」精神を今、すべきなのは除脂肪か筋肥大か

第6章食事で変わる筋トレと人生の質

食事が整うと心と腸が、自然に整うエネルギーと時間が管理できるようになるしっくりいかない生活サイクル、改善の入り口は「睡眠」ピンチをチャンスに変換するポジティブ思考が育つ人間的な「総合力」が想像以上に底上げされるおわりに参考文献『筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典』(ナツメ社、岡田隆・竹並恵里監修)※本書における情報は2018年12月現在のものです。

※栄養素などの値は、特別な注釈がない限り「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を参考にしています。

装丁◎山之口正和(tobufune)イラスト◎コルシカ本文デザイン◎二ノ宮匡図版デザイン◎村田江美(mintdesign)編集協力◎鈴木彩乃料理・レシピ制作◎細井美波静物写真◎原幹和(『無敵の筋トレ食01~06』)人物写真◎岡部みつる(『無敵の筋トレ食レシピ&フード扉』)、今林真澄(『無敵の筋トレ食05』)校正◎東京出版サービスセンター

「手段」と「目的」とを履き違えるから失敗するボディメイクを始めるきっかけは、自由。

純粋なカッコよさ・美しさを求めている人もいれば、何かのスポーツにおけるパフォーマンスアップを求めている人もいます。

幼少期にあこがれたヒーローのような強靭さを手に入れたい、という人もいるでしょうし、アンチエイジング的な考えによる人もいるでしょう。

異性にモテたくて取り組む人、最近では、ボディビルのコンテストで勝つために取り組んでいる人も増えています。

かくいう私も、5年前からそのうちの一人です。

いずれにせよ、誰しもが目的としているのは「いいカラダになること」です。

しかしながら、「いいカラダ」って、実はとっても漠然とした言葉ですよね。

判断基準を考えてみても、結局は「人の目」以外にないのですから。

ただ、自分の現状を把握するための目安は、いくつかあります。

たとえば、体重や体脂肪率、それから食事による摂取カロリー。

それら3つのデータをとって変化を見れば、客観的に分析することが可能となります。

そういったデータを参考にすること自体は、決して悪いことではありません。

しかし、「人の目」という曖昧な判断基準に対して「数値」という絶対的な数量データのほうが明確すぎるからか、いつしか「いい数値を出すこと」が目的に成り代わってしまうという珍現象が、しばしば起こります。

本来ならいいカラダになるための体重管理、体脂肪チェック、カロリー調整のはず。

なのに、いいカラダになるかどうかを理解しない・考えないまま摂取カロリーを無駄に抑え、ただ痩せ細ったカラダになってしまう。

このような失敗例は、かなり多いです。

また、他者から得たアドバイスを忠実に守ることが、目的に成り代わってしまうパターンも非常に多いです。

たとえば、ジムでトレーニングをしていると「何を食べたらいいですか?」と、相談をもちかけられることがあります。

そして、「玄米にしてみたらどうですか?」などと答えると、いいカラダになるための手段のひとつにすぎなかった「玄米を食べること」が、果たすべき目的になってしまうのです。

無敵ポイントそれをする目的は何なのか。

「自分だけの筋トレ」を探れ

継続は力になる。

が、それだけにとらわれすぎるとしくじりを生むトレーニングのやり方以上に、食事にはそれぞれのカラダに合う・合わないがあります。

白米を玄米に変えてしばらく経っても、カラダにいい変化が見てとれないのなら、自分には合わない可能性が高いと判断し、ほかの手段に切り替えるべきなのです。

にもかかわらず、数ヶ月後「玄米を食べているのですが、全然ダメなんです」と、わざわざ現状を報告してくださる。

ダメならば、変えればいいだけのことなのに……。

同じように、毎日体重計に乗り続けて、数値の変化に一喜一憂するのも履き違えだということに気づいてください。

たとえば、10キロある余分な体脂肪を1ヶ月につき1キロ落としていくペースで取り組むとしましょう。

9ヶ月後、落とすべき体脂肪は1キロになっているはずです。

その「残り1キロ」を最初の「10キロあるうちの1キロ」とまったく同じペースで落とせると思いますか?少し冷静になって考えてみれば、誰にでもわかること。

なのに、実際に減量期の渦中に身をおいて、目的と手段を履き違えてしまっていることにも気づけずにいると、最初に設定したペースになぜか固執してしまうのです。

最近では、ボディビルに限らず、ボディメイク系のコンテストが国内外で数多く開催されています。

ハイシーズンである夏から秋前には、インスタグラムなどのSNSを覗くたびに、必ず体重計を写した減量の進捗を記録・報告する投稿を見かけました。

私も競技者の端くれです。

大会が近づくにつれ、何かしらの絶対的指標がないと不安になってしまう気持ちは、とてもよくわかります。

でも、そのような不安に押しつぶされそうになり、単なる数字を弾き出すだけの機械にすがってしまうようでは、一生かけても理想のカラダにはたどり着けないでしょう。

繰り返しになりますが、「いいカラダ」の判断基準は「見た目がいい」こと以外にありません。

そこにある曖昧さを払拭するためにできることは、自分の目をしっかりもつことです。

不安に負けそうになったときに頼るべきなのは、本来、機械ではなく自分自身なのです。

「自分の目をしっかりもつ」とは、「自分のカラダに対する認識を深める」といい換えることができます。

胸のカタチをよくしたくて始めたはずのベンチプレスが、次第にただのルーティンとなってしまう。

体脂肪を燃やすために、トレッドミルなどの有酸素運動をメニューに組み込んだはずが、続けるうちに「ただ、習慣になっているから走る」ようになってしまう。

最悪、義務感から継続していることさえあるでしょう。

このように食事以外でも、目的と手段の入れ替わりは頻繁に起こるのです。

トレーニングは、ある種の中毒性をもっていますから、続けるうちに「続けること自体が楽しい」と感じるようになるのは、よくあること。

無理なく続けられるようになるのは、健康・フィットネスの観点からすればとても素晴らしいことですし、継続という証は、揺るぎない自信にもつながります。

人の心に強い力をもたらします。

しかしながら、殊にカラダのカタチを変えるということに関しては、継続だけにとらわれてしまうと、しくじりを生みます。

ボディメイクの世界では「反応が悪い」という事実を真っ向から受け止めて、種目という手段を即座に切り替える判断ができる人、つまりは自分のカラダに対する認識が深く柔軟に対応できる人だけが、成功を手にすることができるのです。

無敵ポイント自分の目を信じること。

ただの「習慣」になったら〝終わり〟だ

先入観が肉体改造におよぼす悪影響は、計り知れないトレーニングに関する話が続きますが、ボディメイクを成功させるための基本スタンスとなる部分なので、食事管理術をお伝えする前にもう少しだけお話しします。

トレーニング業界では、いつの時代にも「ベンチプレス」「デッドリフト」「スクワット」の3種目をやらずして、肉体改造など成功するわけがない!といった「ビッグ3」の絶対説を唱える人たちがあらわれます。

「ビッグ3」と呼ばれる3つは得られる恩恵が多いのはたしかですし、指導現場でも、私自身のトレーニングでも、積極的に取り組むことで成長を促してきました。

ただ、私たちはパワーリフティング競技(ビッグ3の挙上重量で争う競技)でいい成績を出すことを目的として、カラダ作りに勤しんでいるわけではありません。

あくまで、いいカラダになるためにウエイトを担ぎ挙げ、食事を管理しています。

なので、いいカラダになるために「ビッグ3」から得られる恩恵を受け尽くしたと感じたら、もうそれ以上、無理に続ける必要はないのです。

どうして今、このような話をしたのかというと「ボディメイクにデッドリフトは必要か否か」というようなプチ論争が、周期的に勃発するからです。

不要派の人たちも、デッドリフトそのものを否定してはいません。

カラダを強くするためには、とてもいい効果が得られる反面、カラダをデザインするというボディメイクにおいては、あまり効果的ではないのでは?と訴えかけているのです。

けれども、そのような提言をした途端「不要だなんてあり得ない!」と、ビッグ3信者から猛反発を食らう。

提言する側も、天下のビッグ3を相手取って「不要」といい切るほどの自信はなく、毎回、決着がつかないまま議論は終息してしまうのでしょう。

さあ、このなかにカラダが劇的に変わる可能性の芽を摘む「先入観」が存在していることに、もうみなさんお気づきですね。

ビッグ3というトレーニング種目の中毒になっている、あるいは「ビッグ3は絶対」というすり込み的な情報により「やめてはいけないのでは」という恐怖心にとらわれてしまうことによる悪影響は、計り知れません。

悪影響の最たる例が「ベンチ豚」の出現でしょうか。

ベンチ豚とは、トレーニング界におけるネットスラングのようなもの。

ボディメイクの一環として取り組んでいたはずのベンチプレスに傾倒し、いいカラダから遠のいてしまった人を揶揄する言葉です。

ベンチプレスを愛するがゆえに、それ以外の種目には手を出さなくなります。

全身の運動量が落ちて全体的にムチッとしていくのですが、それも厭わない。

なぜなら、体重が増えると挙上重量も挙がりやすくなるからです。

もしもベンチプレス競技にチャレンジするというのならば、目的と手段とにズレはありません。

誰も揶揄なんてしませんし、心から応援をしたくなります。

しかし、ほとんどの場合、本人は引き続きボディメイクに勤しんでいると思い込んでいるのです。

勘違いしやすいのですが、「強い胸筋」=「カッコいい胸筋」という図式は、必ずしも成り立つわけではありません。

ものすごい重量を挙げることができたとしても、大胸筋のカタチが決まっていなければ、いいカラダとは呼べません。

さらにいうと、同じベンチプレスでも強い胸を作る挙げ方と、カッコいい胸を作る挙げ方とがあるのですが、先入観が邪魔をすると、そういった物事の側面にも気づきにくくなってしまうものなのです。

無敵ポイント絶対的な情報だとしても、ときには疑う勇気を胸に

対する認識が圧倒的に甘いからです。

さあ、時は来たれり。

今こそ、一生続く、「無敵の筋トレ食」を、あなたに。

無敵の筋トレ食目次はじめに戦略的食事のインパクトは、筋トレを凌駕する序章知識もある。

トレーニングもしている。

しかし、なぜ肉体改造に失敗するのか「手段」と「目的」とを履き違えるから失敗する継続は力になる。

が、それだけにとらわれすぎるとしくじりを生む先入観が肉体改造におよぼす悪影響は、計り知れないもつべきは、確固たる目的と対応力に富んだ柔軟な思考第1章無敵の筋トレは食事に始まり食事に終わる私の「トレーニング」は、食事に始まり食事に終わる「バランスをとる食事」こそ無敵の食事管理術であるハードゲイナーは、まず栄養を仕入れろボディタイプ・マトリックスで現状を可視化する筋肥大の働きを最大限確保して、体脂肪をそこそこ管理する「塩抜き」「水抜き」のキャッチーさに惚れるな筋肉とプロテインの関係性を正しく理解しているかサプリで得られるものは「安心感」とわきまえる野菜と穀物の存在なくして、人生最高のカラダには到達しない無敵の筋トレ食には、人生を底上げする力がある

第2章食べて絞る!栄養で筋肉を仕上げる食事改革

「PFCバランス」の最適解をグラム単位で考える第1のルール[タンパク質摂取]P=20グラム以上をキープ第2のルール[脂質摂取]F=10グラム、多くて20グラム第3のルール[炭水化物摂取]C=摂取カロリーの55~65%が目安カロリー収支の落とし穴アウトカムを、見つめろ!1日2キロの鶏むね肉チャレンジ長きにわたる「いい食事」が成長を最大化するサプリメントは、あくまで「栄養補助食品」サプリメントを選ぶときの基準は「五大栄養素の補強」としてのP・V・M代謝にかかわる「水」は第6の栄養素考えて食べる炭水化物は太らない「質」を選んで、効率的に食物繊維を摂取する不要な脂は抜いていけ、必要な脂を取りにいけここまでの知識を総ざらい!トレーニング前後の食事管理術

第3章筋肉を「盛る」、脂肪を「削る」ベスト食材

私の減量を変えた12グラムの「スーパー大麦」いまやコンビニは除脂肪食の訓練所であるそば屋しかないからとあきらめるのは、まだ早いサラダチキン世代に届け!サバ缶・ツナ缶のすすめ鶏むね肉がボディメイクにとって「最強の食材」である所以調理のしやすさ、という面で「ささみ肉」も見逃せない「アミノ酸スコア」は、いろいろ食べて100にする鶏むね肉セットを彩るお気に入りの野菜たち朝食、そして間食にグレープフルーツは減量期の救世主野菜と果物以外の甘味なら和菓子を選ぶべし食欲が爆発してしまうのは「選んだ我慢」が合わないだけ肉体改造における間食のあり方取り返せる範囲において減量中でも、酒は嗜むたどり着いた厳選サプリメント第4章超実践的!無敵の筋トレ食ボディビルダー岡田隆の食遍歴11年目の挑戦、2年目の模索ボディビルダー岡田隆の食遍歴23年目の切り替え、4年目の変革バズーカ岡田的ベスト献立2018「外食で太る」は収支バランスが悪いだけ最高なのは、ホッケ、サバなどの焼き魚定食考え方によっては「ラーメン」もNGではない食べ順は、①食物繊維②タンパク質③炭水化物私が卵、大豆、乳製品に対して積極的でない理由チート不要!「普段の食事」を愛せるようになる

第5章それでもカラダが変わらない人へ

減量期の前段階「増量期」に何を食べているか?「何を食べたら、パフォーマンスがどう変わるか」を観察する消化吸収の第一歩「咀嚼」を見直せ上手な「オフ」が努力による成果を伸ばす364/365のトレーニングと18/24の食事で見えたものストレッチやほぐしを取り入れ体脂肪内の「血流」を改善パーツを定めた除脂肪スキルをもて普通のことを積み上げてこそとんでもない景色が見える高精度のトレーニングとは「筋肉と脂肪へのピンポイント攻撃」トレ中のサプリ摂取を再考すると直後の食事が、最高に旨くなる「0か100」かの勝負より「1でも2でも稼ぐ」精神を今、すべきなのは除脂肪か筋肥大か

第6章食事で変わる筋トレと人生の質

食事が整うと心と腸が、自然に整うエネルギーと時間が管理できるようになるしっくりいかない生活サイクル、改善の入り口は「睡眠」ピンチをチャンスに変換するポジティブ思考が育つ人間的な「総合力」が想像以上に底上げされるおわりに参考文献『筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典』(ナツメ社、岡田隆・竹並恵里監修)※本書における情報は2018年12月現在のものです。

※栄養素などの値は、特別な注釈がない限り「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を参考にしています。

装丁◎山之口正和(tobufune)イラスト◎コルシカ本文デザイン◎二ノ宮匡図版デザイン◎村田江美(mintdesign)編集協力◎鈴木彩乃料理・レシピ制作◎細井美波静物写真◎原幹和(『無敵の筋トレ食01~06』)人物写真◎岡部みつる(『無敵の筋トレ食レシピ&フード扉』)、今林真澄(『無敵の筋トレ食05』)校正◎東京出版サービスセンター

「手段」と「目的」とを履き違えるから失敗するボディメイクを始めるきっかけは、自由。

純粋なカッコよさ・美しさを求めている人もいれば、何かのスポーツにおけるパフォーマンスアップを求めている人もいます。

幼少期にあこがれたヒーローのような強靭さを手に入れたい、という人もいるでしょうし、アンチエイジング的な考えによる人もいるでしょう。

異性にモテたくて取り組む人、最近では、ボディビルのコンテストで勝つために取り組んでいる人も増えています。

かくいう私も、5年前からそのうちの一人です。

いずれにせよ、誰しもが目的としているのは「いいカラダになること」です。

しかしながら、「いいカラダ」って、実はとっても漠然とした言葉ですよね。

判断基準を考えてみても、結局は「人の目」以外にないのですから。

ただ、自分の現状を把握するための目安は、いくつかあります。

たとえば、体重や体脂肪率、それから食事による摂取カロリー。

それら3つのデータをとって変化を見れば、客観的に分析することが可能となります。

そういったデータを参考にすること自体は、決して悪いことではありません。

しかし、「人の目」という曖昧な判断基準に対して「数値」という絶対的な数量データのほうが明確すぎるからか、いつしか「いい数値を出すこと」が目的に成り代わってしまうという珍現象が、しばしば起こります。

本来ならいいカラダになるための体重管理、体脂肪チェック、カロリー調整のはず。

なのに、いいカラダになるかどうかを理解しない・考えないまま摂取カロリーを無駄に抑え、ただ痩せ細ったカラダになってしまう。

このような失敗例は、かなり多いです。

また、他者から得たアドバイスを忠実に守ることが、目的に成り代わってしまうパターンも非常に多いです。

たとえば、ジムでトレーニングをしていると「何を食べたらいいですか?」と、相談をもちかけられることがあります。

そして、「玄米にしてみたらどうですか?」などと答えると、いいカラダになるための手段のひとつにすぎなかった「玄米を食べること」が、果たすべき目的になってしまうのです。

無敵ポイントそれをする目的は何なのか。

「自分だけの筋トレ」を探れ

継続は力になる。

が、それだけにとらわれすぎるとしくじりを生むトレーニングのやり方以上に、食事にはそれぞれのカラダに合う・合わないがあります。

白米を玄米に変えてしばらく経っても、カラダにいい変化が見てとれないのなら、自分には合わない可能性が高いと判断し、ほかの手段に切り替えるべきなのです。

にもかかわらず、数ヶ月後「玄米を食べているのですが、全然ダメなんです」と、わざわざ現状を報告してくださる。

ダメならば、変えればいいだけのことなのに……。

同じように、毎日体重計に乗り続けて、数値の変化に一喜一憂するのも履き違えだということに気づいてください。

たとえば、10キロある余分な体脂肪を1ヶ月につき1キロ落としていくペースで取り組むとしましょう。

9ヶ月後、落とすべき体脂肪は1キロになっているはずです。

その「残り1キロ」を最初の「10キロあるうちの1キロ」とまったく同じペースで落とせると思いますか?少し冷静になって考えてみれば、誰にでもわかること。

なのに、実際に減量期の渦中に身をおいて、目的と手段を履き違えてしまっていることにも気づけずにいると、最初に設定したペースになぜか固執してしまうのです。

最近では、ボディビルに限らず、ボディメイク系のコンテストが国内外で数多く開催されています。

ハイシーズンである夏から秋前には、インスタグラムなどのSNSを覗くたびに、必ず体重計を写した減量の進捗を記録・報告する投稿を見かけました。

私も競技者の端くれです。

大会が近づくにつれ、何かしらの絶対的指標がないと不安になってしまう気持ちは、とてもよくわかります。

でも、そのような不安に押しつぶされそうになり、単なる数字を弾き出すだけの機械にすがってしまうようでは、一生かけても理想のカラダにはたどり着けないでしょう。

繰り返しになりますが、「いいカラダ」の判断基準は「見た目がいい」こと以外にありません。

そこにある曖昧さを払拭するためにできることは、自分の目をしっかりもつことです。

不安に負けそうになったときに頼るべきなのは、本来、機械ではなく自分自身なのです。

「自分の目をしっかりもつ」とは、「自分のカラダに対する認識を深める」といい換えることができます。

胸のカタチをよくしたくて始めたはずのベンチプレスが、次第にただのルーティンとなってしまう。

体脂肪を燃やすために、トレッドミルなどの有酸素運動をメニューに組み込んだはずが、続けるうちに「ただ、習慣になっているから走る」ようになってしまう。

最悪、義務感から継続していることさえあるでしょう。

このように食事以外でも、目的と手段の入れ替わりは頻繁に起こるのです。

トレーニングは、ある種の中毒性をもっていますから、続けるうちに「続けること自体が楽しい」と感じるようになるのは、よくあること。

無理なく続けられるようになるのは、健康・フィットネスの観点からすればとても素晴らしいことですし、継続という証は、揺るぎない自信にもつながります。

人の心に強い力をもたらします。

しかしながら、殊にカラダのカタチを変えるということに関しては、継続だけにとらわれてしまうと、しくじりを生みます。

ボディメイクの世界では「反応が悪い」という事実を真っ向から受け止めて、種目という手段を即座に切り替える判断ができる人、つまりは自分のカラダに対する認識が深く柔軟に対応できる人だけが、成功を手にすることができるのです。

無敵ポイント自分の目を信じること。

ただの「習慣」になったら〝終わり〟だ

もつべきは、確固たる目的と対応力に富んだ柔軟な思考数値にばかり頼ってしまうことによる混乱、継続にこだわりすぎることによる混乱、そして、絶対的な理論に対する先入観による混乱。

「目的と手段の履き違え」に目を向けるだけでも、ボディメイクにはこんなにもたくさんの落とし穴があるのです。

ここで起こる混乱とは、長く話をしているうちに落としどころ=到達地点を見失っていくときの感覚に、すごく近いような気がしています。

となると、大切になってくるのは、やはり最初に設定する「目的」を確固たるものにしておくこと、ではないでしょうか。

目的を達成するための手段を選ぶ際には、対応力に富んだ柔軟な思考が生きてきます。

なぜなら、ボディメイクにはアートの側面と科学の側面があり、科学の側面から見ると、同じように食事を整えて、同じように鍛えたからといって、取り組んだ全員が同じように発達するとは、限らないからです。

私は、トップボディビルダーの合戸孝二さんを心から尊敬しています。

ありがたいことにトレーニングをご一緒する機会をいただき、そのたびに合戸さんの執念を燃やし尽くすような姿を目に、耳に、脳裏に、魂に、焼きつけています。

そのときには、さまざまな助言もいただくわけですが……私からしたら神に近しい存在である合戸さんから「ベンチプレスは絶対!」といわれたら、自分にはあまりフィットしない感覚があったとしても、メッセージ性が強すぎてやらざるを得ません。

しかし、頭では合戸さんと自分は別物だという認識ができているので「〝ベンチプレスは絶対〟の本質がどこにあるのか」を探りにいく、という柔軟な対応ができるわけです。

ただ、もしも私がトレーニングの初心者で、自分で考える力がまだないような状態であれば、信じられる人のいうことを盲信しても構わないと思っています。

結果が出るまで愚直にやり続け、自分のなかで理解が深まり手段の選択肢が広がったタイミングで「守・破・離」を進めていけばいいだけのこと。

知識もある。

トレーニングもした。

なのに、どうして私たちは肉体改造に失敗するのか。

ここまでで、何となく見えてきたのではないでしょうか。

無敵ポイント他者からのアドバイスに惑わされるな。

その先にある本質を見ろ

私の「トレーニング」は、食事に始まり食事に終わる前提として、私たちのカラダには、エネルギーを必要としているところに優先的に血を流し、栄養素を送り込もうとする特性があります。

そのため、トレーニングをして筋肉をたくさん動かすと、カラダは筋肉に対し優先的に血を流します。

軽く刺激を入れるとパンプアップしてくるのは、このためです。

この間は、胃腸は届く血の量が減るため不活性化しますが、トレーニングを終えると今度は回復に力を注ぐために、栄養を取り入れる窓口である胃腸に優先的に血を流します。

つまりは、消化吸収能力が高まるということ。

運動をすると空腹を感じるのは、このためです。

ところが、みなさんも経験があると思いますが、運動した直後はなかなか食べる気が起こりませんよね。

実際に「運動後1時間は食欲が湧かない」といったデータもあるくらいです。

だからといって、時間をおいてしまうと空腹感が強くなりすぎて、過剰に食べたくなってしまう……。

一見、やっかいなことのように思えますが、ボディメイク時の利点としてとらえることもできます。

トレーニング後の食事をなるべく早い段階で摂るようにすると、摂取量を抑えることができます。

つまり、あえてトレーニング直後~1時間以内に食事を摂ることで、筋肉に迅速に栄養を送り、成長を効率的に促すことができると同時に、減量期には避けたい「食べすぎ」を起こさないための予防策を講じることができる、というわけです。

トレーニングにかかわる栄養摂取といえば、非常によくいわれるのが「トレ後30分がプロテイン摂取のゴールデンタイム」というフレーズです。

言葉に嘘はありませんが、それさえ押さえておけば完璧!というわけではありません。

トレ後のゴールデンタイムだけに着目してしまうと、1時間のトレーニングをする場合に、1種目の1レップ目から1時間30分後に栄養が摂取される計算になります。

でも、それだけでは開始直後から終わるまでずっと、筋繊維は飢餓状態にさらされることに……。

成長どころの騒ぎではありませんね。

ここで目を向けたいのが、トレーニング前の食事。

車を動かすにはガソリンが必要なのと同じで、カラダを動かすにはエネルギーが必要です。

事前にしっかり栄養を取り入れておくことで、開始直後から最後まで筋肉に材料を送り込み続けることができるようになりますし、カラダが元気な状態にあるとトレーニングの質も自然と上がるものです。

そして、1時間をかけてエネルギーを使い切ったら、回復および成長に必要な材料を、トレ後の食事でなるべく早く補給する──。

トレ前の食事、トレーニング、トレ後の食事。

この3つをセットにして考えて、整えて、行動に移して、ようやく「いいトレーニング」が成り立つのです。

カラダ作りにおいて、食事がどれだけ強い力をもっているかについては「はじめに」でも書き連ねましたが、「食べたい気持ちが強くてコントロールが利かない」と頭を悩ませる人もかなり多いと思います。

行き詰まりを感じてしまうのは、おそらく「食べてはいけない」という思い込みがあるからではないでしょうか。

もちろん「食べすぎ」は避けるべきですが、ここでお伝えしたようにトレ前後の食事では、むしろきっちり食べるべきです。

私はしっかり「食べられる」こともひとつの才能だと、考えています。

筋肉を大きく育てるためには、まず材料が必要です。

その材料を十二分に取り込める器があることは、カラダ作りには有利です。

容量たっぷりの器があれば、あとは知識をもって、どれだけの量を入れるか、タイミングに応じて調整していけばいいだけのこと。

むしろ入れられない、食べられない人のほうがその先の苦労は多いと思います。

同じ180センチの身長の柔道選手でも、81キロ級から100キロ超級の選手までがいます。

下手したら体重が2倍にもなるくらいの幅が、そこにはあるわけです。

骨格が同じということは、胃腸のサイズもそこまで変わらないはず。

では、何が体重を左右するのかというと、おそらく胃腸のキャパシティ。

胃腸の才能が、カラダのサイズ感に与える影響はものすごく大きいということです。

今回は、ボディメイクという名のもとに筋肉を大きくして、脂肪を適度に削ることでいいカラダに仕上げることを目的としていますが、100キロ超えのカラダに純粋にあこがれる気持ちも私のなかにはあります。

動物の強さが質量で示されることを考えても、プロレスラーやラグビー選手のような「単純にデカい」というのも、かっこいいカラダの方向性のひとつになりますよね。

無敵ポイント「食べられる」は、ひとつの才能である

「バランスをとる食事」こそ無敵の食事管理術である減量を目的とした食事術には、いつの時代も糖質や脂質といった特定の栄養素を敵視して除外しようとする風潮がついてまわります。

方法論のひとつとして決められた短い期間のなかで実践する分には、特に問題はないと考えています。

しかし長期的な取り組みとなると、疑問を呈さずにはいられません。

カラダ作りに大切な栄養素は「三大栄養素」あるいは「五大栄養素」と呼ばれるように3つ、あるいは5つしかありません。

多くても片手に収まるほどだというのに、そこから特定のものを除いてしまうことのリスクを、どうして考えないのでしょうか。

車を動かすためには、エンジンとオイルが必要です。

あなたはガソリンスタンドに行って「オイルはいりません」といいますか?大げさなたとえだ、と笑われるかもしれませんが、要は同じこと。

はっきりいいます。

三大(五大)栄養素を軽視するなど、愚の骨頂です。

ここ数年間、ダイエッターたちから敬遠され続けている糖質。

詳しくは後述しますが、糖質はカラダを作る最も重要な栄養素として定められている「三大栄養素」のなかの炭水化物を構成するひとつです。

これを排除するとなると、残るふたつの栄養素(タンパク質と脂質)を駆使してカラダを作っていくことになります。

食事において、選択肢が狭くなりすぎると「食べるのが怖い」という恐怖心や「ほかのものを食べたら終わる」といった罪悪感が芽生えやすくなります。

続けるうちに「何を食べたらいいのかわからない」という混乱に陥りやすくもなりますし、結局のところ、我慢というストレスを抱えてしまうから、長く続けるのが難しくなるのです。

そして、我慢を積み重ねた反動からリバウンドを起こしやすくなる。

待っているのは悪循環というわけです。

大前提として、何も特定の栄養素を悪者扱いして排除をしなくとも、食事量と運動量のバランスさえとれていれば、糖質を摂ろうと、脂質を摂ろうと、何を摂ろうと太りません。

行き着くところはカロリー収支であり、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスをコントロールすることが、カラダに最も大きな影響を与えるのです。

それがあったうえでの栄養素の調整。

あくまで「二の次」だということを、しっかり認識しておきましょう。

では確認問題をこなすような感覚で、次を読み進めてください。

たとえば昼食に、炭水化物のそばを食べたとします。

糖質、塩分、水分を一気に摂取するため一時的に体水分量が増え、当然カラダは重くなります……が、一喜一憂する必要はありませんよね?体重が増えたといっても「太った」わけではないのですから。

そもそも、みなさんは首から体重を書いた紙を下げていつも街を歩いているのでしょうか。

違いますよね。

ここで思い出しましょう。

体重は、あくまで目安。

目を向けるべきは、見た目にいいカラダに近づいているかどうか、でした。

つまりは、減量の最中だからといって、食事をするたびに「これを食べたら、太る」という、罪悪感を抱く必要などないのです。

むしろ、自分のボディメイクために命を落としてくれた動植物の存在に、心からの感謝を込めて召し上がってください。

そして、その気持ちをトレーニング時のモチベーションに昇華させ、よりよい状態にカラダを仕上げていきましょう。

いいカラダに向かっている私たちが抱くべきなのは、罪悪感なんかよりも、そういった想いなのではないでしょうか。

では、実際には何を選び、どのような食事をすればボディメイクが成功するのでしょうか。

話を進めます。

私自身、これまでのボディビルの競技生活のなかでいろいろな食事を試してきました。

詳しくは、第4章で1年ごとの取り組みを紹介していきますが、ざっくりお伝えすると、御多分にもれず、ストイックに糖質を制限した時期もありましたし、鶏むね肉をひたすらに食べ続けた時期もありました。

野菜不要説を唱えて、積極的には摂取しなかった時期もあります。

しかし、結果的にたどり着いたのは、一周まわって「バランスをとる」という答えです。

「無敵の筋トレ食」と尖ったことをいっておきながら、結局は昔から各家庭でいわれ続けているような結論に至ってしまったのは、自分でも意外です。

この年になって、ようやく気づく「お母さんの作るごはん」のありがたみ、のひとつかもしれません。

「バランスをとる」だなんて、バズーカ岡田の書籍としてキャッチーさに欠けることも、重々承知のうえです。

いや、しかし、たとえインパクトに欠けたとしても、本質的なボディメイクに挑むなら「バランスをとる食事」に代わるものは存在しないということを、あえて今の世の中に、声を大にしてお伝えしていきたいのです。

もちろん「バランスをとる食事」といっても、いわゆる「健康のための全網羅的、かつ教科書的」な食事などではありません。

脂肪を削り、筋肉を盛るために必要な、最適な栄養摂取の黄金則であり、食材の正しい取捨選択の仕方をお伝えしていきます。

あるのは、向かっていきたいカラダに対する「バランスのとれた食事」であり、なおかつ、何かだけを徹底的に排除したりも、逆に何かだけを極端に増やしたりもしない、長い時間をかけて取り組めるあなたにとって「バランスのいい食事」です。

そこには、無理も我慢も一切ありません。

ストレス&ギルトフリーで楽しみながら減量を進めることができる──。

やはり、本当の意味で、「バランスのいい食事」こそが「無敵の食事管理術」であるといわざるを得ません。

無敵ポイント三大栄養素を無視しては、カラダは仕上がらない

ハードゲイナーは、まず栄養を仕入れろ筋肉が発達しやすい人を「イージーゲイナー」、筋肉が発達しにくい人を「ハードゲイナー」と呼びます。

これらは生まれもった素質・才能です。

特にハードゲイナーはボディメイクに悩みがちですが、残念ながら努力でどうにかできるものではありません。

ただし、ひとついえることは筋肉は、無尽蔵に大きくなればいいというわけではない、ということです。

何に「美しい」と感じるかは、人によって異なります。

「いいカラダ」に基準がないのも、そのためです。

もし、ボディビル競技の審査などではなく、広く肉体に対して評価をするとなったら、私は必ずしも大きな筋肉だけをよしとする必要はないと思っています。

なぜかというと、筋肉は小さくてもデザインが決まり、体脂肪をうまく剥ぎ取ることができれば、とてもいいカラダになれるからです。

ボディメイクにおいて、実際にはイージーゲインもハードゲインも関係ない。

これは、私だけの個人的な意見というわけでもありません。

なぜなら、無差別級で開催される日本のトップビルダーを決める「男子日本ボディビル選手権大会」で、優勝する選手は重量級に限らないからです。

2010年以降、9連覇を成し遂げ、世界の舞台でも高い評価を得ている鈴木雅さんは、階級でいえば80キロ級の選手です。

その上には85キロ級、90キロ級というふたつのクラスがあるにもかかわらず、日本のトップに君臨しています。

なお、既出の合戸さんも70キロ級ですが、過去、同大会での3連覇を含む4回もの優勝を成し遂げています。

「いいカラダ」には、筋肉の重量(体重)だけでは片づけられない別の評価軸があることが、この厳しい競技の世界でも証明されているのです。

なので、筋肉が発達しにくいハードゲイナーだからといって、ボディメイクをあきらめる必要はないのです。

そうはいっても現実には「発達しやすいことの強み」も「発達しにくいことの弱み」もあるわけで、当人からしたら、どのように進めていけばいいのか悩むところです。

結論からいうと、それぞれの特性に合わせて程度を探っていけばいい。

筋肉がつきやすいならトレーニングを、筋肉がつきにくいなら食事も含めて工夫していきましょう。

ふたつのタイプ、それぞれについて取り組み方を記しておきます。

筋肉がつきやすい=イージーゲイナーの場合一般的な取り組み方をしているだけでも、個人の美的感覚を逸脱するような筋肉量に達してしまう場合があります。

そのようなときには「成長を止める(維持)」アプローチを取り入れましょう。

自分が求めるレベルにたどり着いたと感じたら、トレーニングのレベルを落とすのです。

完全オフにして筋肉を失ってしまうのはもったいないので、頃合いを見て少しラクなトレーニングに移行しましょう。

種目を変えたり、回数や頻度を抑えたり、重量を求めないようにすることで、現状維持につとめます。

筋肉がつきにくい=ハードゲイナーの場合筋肉がつきにくい人ほど、真面目に真摯にトレーニングに取り組んでいるもの。

むしろ、頑張りすぎてしまうくらいの人が大半ですから、トレーニングが甘いから筋肉がつかない、という安直な考えはここでは当てはまりません。

反対に、摂取できるエネルギーに対して、トレーニングで消費するエネルギーが多すぎる可能性もあるので、トレーニング時間を減らすという盲点を突く選択が奏功することもあります。

見直していきたいのは、食事です。

十分な材料がなければ、工夫を凝らした料理ができないのと同じように、カラダのなかに十分な栄養素がなければ、必要最低限以上の筋肉は作れないのです。

筋肉を作るための材料を取り入れるという話をするときによくあるのが、男性に多い「プロテインサプリメントを積極的に飲めばいい」といった誤解、あるいは女性に多い「プロテインを飲むと太ってしまう」という思い込みです。

どちらも、大きく間違っています。

ハードゲイナーの食事は、1日3食をきっちり摂ることがスタートラインです。

週21回の食事の精度を高めたうえで、補食をプラスします。

4食、5食、6食……と増やして、はじめてプロテインを飲むという選択肢を手に入れることができるのです。

無敵ポイント筋肉がつきにくいなら、トレーニングを減らすのも一手

ボディタイプ・マトリックスで現状を可視化する「ハードゲイナー」と一括りにしてはいますが、そのなかでもタイプはさまざまです。

たとえば「筋肉も体脂肪もつきにくい人」もいれば「筋肉はつきにくいけれど体脂肪はつきやすい人」もいます。

あるいは「食事をあまり食べられない人」と「食事をたくさん食べられる人」もいて、そのなかでも「油ものが食べられず摂取カロリーが稼げない人」と「油ものが食べられて摂取カロリーを稼ぎやすい人」というように、細かなところでタイプがわかれていくのです。

まず、イージーゲインなのかハードゲインなのか、という基本のボディタイプ・マトリックスを作り、自分がどのタイプに属しているのかを確認するのもおすすめです。

なぜなら現状を可視化することで、ここから目指すべきところ、その過程で歩むべき道が見えやすくなるからです。

もしもこの先、筋肉がつきやすかったのにつきにくくなってしまうなど、カラダに変化が起きたときにも、このマトリックスに立ち戻ることで冷静に対応しやすくなる、という利点もあります。

体脂肪がつきにくい人は、「食べる」という行為が、いいカラダを遠ざけることにはならないので、あまり神経質にならず、しっかり栄養のあるものを食べましょう。

反対に、体脂肪がつきやすい人は、減量に際し「体脂肪が減っているかどうか」をモニタリングする必要があります。

体脂肪率を参考にしてもいいのですが、見た目を重要視して継続的にチェックしましょう。

食事については第2章以降を参考にして、自分に合ったやり方を見つけ出していただきたいです。

体脂肪がつきやすい人というのは、当然ただ食べるだけでは太ってしまうわけですから、有酸素運動がマストです。

しっかり食べて筋肉に十分な栄養を送ったうえで、余剰分は有酸素運動で削るというテクニックを取り入れましょう。

ただし、有酸素運動には筋肉をつきにくくしてしまう働きもあるため、筋トレとは時間をおいて実践していくことが望ましいです。

どれくらいの時間をおいたらいいのかというと、目安は6~8時間です。

たとえば、平日仕事終わりの夜にトレーニングをするのなら、出勤時ひと駅歩く。

仕事に出る前の朝にトレーニングをするならば、夜にジョギングをする。

経験上、有酸素運動は飽きやすく継続しないことが多いです。

そのため、いかにして生活のなかに組み込むかが大きなポイントになってきます。

スーパーに寄って夕飯の買い出しをすることで歩く時間と距離を稼いだり、夫婦共働きで小さなお子さんがいる人であれば、保育園の送り迎えを担当する際に自転車などを降りて歩くというのもいいかもしれません。

ひとつ、注意を加えるとすれば、その日に鍛えた部位とは異なる筋肉を使った有酸素運動を入れていきたいということです。

胸や背中など上半身を鍛える日にウォーキングやランニング入れて、脚の日はきっぱり休みにする。

脚の日にもやりたい!ということであれば、環境が整うのなら水泳やロープトレーニングで上半身を中心とした有酸素運動を行います。

それこそ先ほどの話の続きで小さなお子さんがいるのなら、休日などは公園で一緒にうんていをするのもいいかもしれません。

生活にうまく組み込めればベストです。

無敵ポイント体脂肪がつきやすければ、筋トレと離れた時間に有酸素運動を

筋肥大の働きを最大限確保して、体脂肪をそこそこ管理する一般的に、脂肪を効率的に落とす目的であれば「筋トレの後に有酸素運動をする」ことが推奨されています。

理論としては、間違っていません。

それでも、本書ではハードゲイナーで体脂肪がつきやすい人の場合に限り、筋トレから6~8時間ほど空けて有酸素運動を行うことをおすすめしています。

理由を説明しましょう。

筋肉を育てるには、狙った箇所に豊富な栄養を届ける必要があります。

そのために私たちのようなボディビルダーは1日あたりに鍛える部位を絞り、ハードなトレーニングをして狙った筋肉を十分に疲労させて、血流を届けられるような環境を整えているのです。

ハードゲイナーは、ただでさえ筋肉が発達しにくいのだから、まず取り組むべきはこうした環境設定に尽力することです。

ここで、体脂肪も落としたいという想いを、前述の一般論に託してしまうとどうなるか。

せっかく整えた環境から逸脱し、血流が全身に回ってしまうのです。

筋肉が大きく成長しようとするのは、トレーニングから48時間以内といわれています。

効果の〝ヤマ〟は、当然トレーニング直後がもっとも高いわけですから、その間は筋肉の成長を見守る時間に当てたほうが、効果的ですよね。

もちろん有酸素運動による体脂肪除去効率は落ちます。

しかし、何を優先すべきかというと「筋肉がつきにくい」という弱点をカバーすることではないでしょうか。

筋肉が大きく育とうとする働きを最大限、確保する。

そのうえで、体脂肪をそこそこ管理する。

「筋肉がつきにくい」とか「体脂肪がつきやすい」とかを抜きにしても、よく「有酸素運動は筋トレの後がいいですか?」「有酸素運動はプロテインを飲んでからですか?」と聞かれるのですが、それに対する明確な答えはありません。

あなたがどういう肉体改造をしたいのかによって、選択すべき手段は変わってくるのです。

同時に、100点のことばかりはできないということも、事前に理解しておきましょう。

朝歩く時間がない人はトレーニング後に歩くしかありません。

100点を出すことに注力しすぎると、それができなかったときにネガティブになってしまいます。

無敵ポイント効率のよさがすべてではない。

道草しても、到達するところは同じだ

「塩抜き」「水抜き」のキャッチーさに惚れるなつい先日「ボディビルダーは、いつも塩分を抜いているんですか?」と聞かれました。

そういう人がいたとしても極めて少数であり、大抵の人はバランスのとれた食事を心がけています、と話したうえで、質問の意図をたずねました。

返ってきたのは「テレビで女性が『味をつけたものは一切食べない』といっていたので……」という答え。

平成も終わりを迎えようとしている今、そんなにも前時代的な取り組みをしているトレーニーがいるのか!という驚きもありましたが、同時に、ボディビルとは世間に間違ったイメージを植えつけられやすい分野であると、改めて実感しました。

メディアは、良くも悪くも発信力の強さを求めています。

そのため目的に対する手段として多少の偏りがあるものを、好んで取り上げる傾向にあります。

実際のところ「塩抜き」「水抜き」というのは、大会直前の追い込み段階で、手を伸ばすかどうかの瀬戸際にある最終手段です。

食事から塩分を抜けば、カラダからは水が抜けていき、当然体重は軽くなり、見た目にも多少の締まり感が出てきます。

よく知らない人が聞くと、たった数日で結果が出て効率がいいように感じるのかもしれません。

ただし、いずれも一瞬の効果であって、本質的な肉体改善ではないのです。

締まり感が出てくるのは、筋肉と皮膚との間にある水が抜けていくから。

体水分量が減ることによって起こる現象にすぎず、それはつまり血管内の水も同じように減っていく=ドロドロの血液になっていくことを暗に示しているのです。

血液がドロドロになることのリスクは、すでにご存じでしょう。

心臓や腎臓、脳血管に与える影響がとても大きく、カラダにダメージを与えてしまいます。

いいカラダになるために、健康を損なっては元も子もありません。

そんな「塩抜き」「水抜き」に、長期的に取り組むというのは、私には考えられません。

大会出場を明日に控えて調整が間に合わず、藁をもつかむ思いで取り組むのならまだしも、ただ「塩抜き」「水抜き」というキャッチーな言葉の「それっぽさ」に惚れて気軽に試すというようなことは、決して行ってほしくはありません。

無敵ポイント「塩抜き」「水抜き」は、本質的な肉体改造にあらず!

筋肉とプロテインの関係性を正しく理解しているか食事を見直すにあたり「筋肉の材料」というものを、改めて学び直す機会を得てもいいかもしれません。

というのも、あらゆるところで筋肉にまつわる活動を続けるなかで「タンパク質」「プロテイン」「アミノ酸」に対する誤解が根深いことを感じますし、それぞれのつながりを理解していない人があまりにも多すぎるからです。

筋肉=タンパク質(だけではありませんが)という認識は、かなり広まってきているように思います。

けれど、一度「プロテイン」という言葉を出すと拒否反応を示しがちなのはなぜでしょうか。

プロテイン=タンパク質です。

タンパク質を摂りやすくするために、パウダー状にしたサプリメントが「プロテインパウダー(いわゆるプロテイン)」というだけの話です。

プロテインパウダーにも種類はいろいろありますが、最も一般的な「ホエイ」と名のつくプロテインパウダーの原材料は、牛乳です。

いってみれば、ヨーグルトからタンパク質以外のものを抜き取ったものと同じ。

形状がパウダーになったからといって、突然「異質なもの」として眉をひそめるのは、いかがなものでしょうか。

なお、栄養摂取の基本は食品から、という考えが私のなかにあります。

タンパク質を多く含む代表的な食品は、肉、魚、卵、大豆、乳製品。

高タンパク質低脂質の食材を見抜き[図3主な食材のタンパク質含有量参照]、それらを積極的に食事に盛り込み、バランスよく摂取することを私自身、実践していますし、この本でも推奨していきます。

ですので、プロテインパウダーを栄養摂取のメインに据えることはありません。

食品を口に入れた後、どのようなプロセスを経てカラダに取り込まれ、筋肉の材料となっていくのか、考えたことはあるでしょうか。

口のなかで咀嚼され、胃腸に流れ込みます。

胃腸で消化される際にタンパク質は「ペプチド」と「アミノ酸」に分解されます。

バラバラの状態で小腸から体内に取り込まれて血流に乗り、細胞に吸収される。

血液に乗って筋肉の細胞をはじめとする必要な各所にデリバリーされているのです。

これが、栄養補給の実態です。

タンパク質含有量の高い食品の摂取量が足りていなければ、当然、材料不足の状態になります。

材料が不足すると、筋肉の成長は滞ります。

そのため1日あたりのトータル量は確保していたとしても「夜以外はあまり食べない」ということになると、朝から夕方までは材料不足の状態に陥って、その間に筋肉は小さくなろうとするのです。

1回につき、どれだけのペプチドやアミノ酸を筋肉が取り込めるのかについては議論が残りますが、上限なく取り込めるわけではないことだけは、わかっています。

つまり、1回の食事で1日の充分量を取ろうとすると、余剰分は体脂肪となって蓄えられてしまうか、排泄されてしまうのです。

1日あたりのタンパク質摂取量の目安は、一般には「体重1キログラムあたり1グラム」、カラダを変えようとしている人は「除脂肪体重1キログラムあたり2~3グラム」で算出します(除脂肪体重については『第2章「PFCバランス」の最適解をグラム単位で考える』で詳しく説明します)。

除脂肪体重60キログラムなら、1日あたり120~180グラム。

夕食だけで賄おうとすると朝から夕方までが欠乏状態に陥るため、最低でも朝・昼・夜の3回にわけて摂っていきます。

肉に含まれるタンパク質は、平均して総量の20~25%。

1食あたり40~60グラムのタンパク質を摂るためには、約200~300グラムの肉を食べなくてはならないのです。

肉のすべてがタンパク質と勘違いしていた方も多いでしょう。

もちろん肉や魚といった主菜だけでなく、小鉢などの副菜を工夫して大豆や乳製品などを摂り、食事全体のなかで組み合わせて総計40グラムを確保できればいいのですが、毎日、毎食、管理していると、ときにはうまくいかないこともあるでしょう。

そういった場合に有効なのが、プロテインパウダー。

水に溶かすだけなので何より手軽ですし、肉や魚といった食品とは異なり脂質を含まないため余計なカロリーを摂ることなく、より純度の高いタンパク質を摂取することができます。

ここを誤解なきようしっかり理解していると、かなりうまく活用できるようになるのではないでしょうか。

無敵ポイント「プロテイン=タンパク質」。

1日3回以上にわけて摂るのが、基本中の基本

サプリで得られるものは「安心感」とわきまえる「とりあえずプロテイン・サプリメントを摂っておこう」という人が、あまりにも多いように感じています。

おそらく筋肉をつけるためにはプロテイン(パウダー)、そしてサプリメントの摂取がマストと認識しているのでしょう。

ショーン・レイという伝説のボディビルダーをご存じでしょうか。

とても美しい筋肉で、90年代に活躍をした選手です。

彼はビデオのなかで「お金を手に入れたなら、握りしめてスーパーに行け」といった内容のコメントを残しています。

意訳すると、細分化が進んだ高額サプリメントを買い揃える余裕があるのなら、それで良質な肉を買い、3食しっかり食べろという意味です。

同時に、自分の筋肉を育てたのは、サプリメントではなく管理された食事だということも伝えているのでしょう。

サプリメントに手が伸びるのは、食事で補いきれていない栄養素があるかもしれない、という不安があるからです。

つまり、そこから得られるものは安心感なのです。

空腹が満たされるとか、おいしさに幸せを感じるといった類の充足感はほとんどありません。

となると、必然的に継続性は低くなります。

だったら、サプリメントにお金を費やすよりも1日3食をおいしく賢く紡いでいくために、よりよい食材=いい肉を手に入れたほうがよっぽどスマートです。

実際問題、いい肉は旨い。

肉自体が旨ければ、余計な調理を加える必要がなくなるため手間が減りますし、何より素材の味を楽しめる「いい舌」も育ちます。

いい舌こそ、ボディメイクにおける最大の武器。

体脂肪を徹底的に削る場合、必然的に食べられるものが限定されます。

そうなったとき、素材の味で満足できる舌をもっていると、かなりラクに過ごせます。

これは、私自身の経験に基づいた理論でもあります。

過去、ボディビルの減量末期で肉や野菜の素材の味に気づいた瞬間がありました。

同時に、普段の生活でどれだけ調味料に逃げているのかということもわかり、食材そのものに質のよさを求めることの必要性、ショーン・レイの言葉の意味を、実体験をもって知ったのです。

無敵ポイントサプリに頼るくらいなら、食材の「質」に目を向けろ

野菜と穀物の存在なくして、人生最高のカラダには到達しないボディメイクに目覚め、食事に気をつかうようになると、大抵の人がタンパク質摂取量や糖質・脂質の制限に気をとられてしまい、野菜という大事な存在が意識のなかから抜け落ちてしまいます。

かつての私もそうでした。

痛いほどわかります。

野菜がもつ主な役割は、ビタミン・ミネラル、食物繊維の補給です。

ビタミン・ミネラルは、ダイレクトにカラダを作るわけではありませんが、三大栄養素の代謝をよくするため、生理機能を正常化するために必要になってきます。

食物繊維も第6の栄養素といわれるほど大切なもの。

重要性は頭では理解しているつもりなのですが……。

強靭な肉食動物たちはひたすら肉を食らうことで、強くたくましくなっていくというのに「葉っぱ」を食べて本当に強くなれるのか?限りある大切な胃のスペースを、「草」に埋められてしまうほど非効率的なことはない!と、どうしても肉食を優先する方向に考えてしまうのだと思います(違いますか?)。

でも、考えてみてください。

私たち生命の源は、地球です。

地球に育まれた大地の恩恵を排除して、心地よく生きていくことが本当にできるのでしょうか。

この雄大な仕組みに気づいたとき、それまで狭小化した視野で「野菜ほぼ不要説」を唱えていたことが恥ずかしくなりました。

詳しくは第3章にてお伝えしますが、ボディメイクするにあたって鶏むね肉が最強食材であることに間違いはありません。

だからといって、鶏むね肉だけを摂っていれば素晴らしい肉体に仕上がるのかというと……足りないものが出てくるのです。

その足りないものというのは、動物以外の食物。

地球から養分を吸い上げて成長をしていく野菜であり、穀物であり、つまりは「大地のめぐみ」いや「地球そのもの」であるというわけです。

野菜も穀物も、肉と同じく質のいいものを選び、味覚を磨いていきたいところ。

旬のものを選べると、なおいいですね。

旬のものは、そのときに一番おいしい状態にあるという点でもおすすめですし、含まれる栄養素も豊富であり、カラダの機能を引き出す力を兼ね備えているからです。

現状、野菜に対してどうにも気持ちが高まらないという人も、ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。

私が「野菜ほぼ不要説」を払拭したのは、減量期間中に野菜を口にして、その瑞々しさや甘さといったおいしさに、感動を覚えたからでした。

食事に野菜をプラスすることで、カサ増しできることにも気がつきました。

カロリーは抑えられ、なのに満腹感を高めることができる。

食物繊維も摂れるから、便通もよくなるし、減量を進めるにあたりプラスの変化ばかりが、立て続けに起こったのです。

調理自体は肉だけの場合よりも当然工程が多くなり、若干面倒なことは否めません。

しかし、逆にいえばネックとなるのはそこだけ。

それ以外には、受けられる恩恵が大きすぎるがゆえ、食べない理由が見つからなくなってしまいました。

私的ベストな摂取法は、野菜の水分と旨味を活かした自作の弁当です[『無敵の筋トレ食01』参照]。

そうはいっても、何も難しいことはしていません。

茹でた鶏むね肉の上に、蒸し焼きした野菜をかぶせて蓋をするだけ。

柔らかく茹でたとしても時間の経過とともに固くなるむね肉が、野菜の水分によって蒸らされて、しっとりとした食感が持続するのです。

食感だけでなく、味の面でもプラスに働きます。

鶏むね肉はどのように調理をしても塊の状態で深部まで味を染み渡らせることが難しいのですが、野菜の旨味と一緒に食べれば、それだけで食べにくさが解消されます。

むね肉がパサパサしていたとしてもカバーできます。

また、野菜と同じく忘れてはいけない存在といえば、穀物。

穀物といえば、米や麦に代表されるように炭水化物の含有量が多い食材です。

ただ、穀物も〝地球(大地)にささって〟育つため、本来は養分をたっぷり吸い上げビタミンもミネラルも食物繊維も豊富なはず。

しかし、たとえば米なら白米に精製される段階で、そういった栄養素はほとんど削ぎ落とされてしまいます。

だから、ボディメイクや健康を考えたときには白米より玄米、小麦なら全粒粉を選ぶようすすめるわけです。

穀物の素晴らしい点は、野菜よりも食物繊維を豊富に摂れるところです。

野菜を食べないと食物繊維が不足する、とよく思われがちですが、そうでもありません。

野菜をあまり食べない人が、さらに穀物=炭水化物も制限してしまうと食物繊維不足に陥り便秘などを発症するのです。

実際、現代の日本は穀物から摂取する食物繊維が減っていて(1955年に比べるとなんと三分の一程度に)、野菜など穀物以外から摂取する食物繊維はあまり減っていないのです。

現代の日本では「炭水化物=糖質」と思い込んでいる人が非常に多いのですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」であり、炭水化物を選ぶときには食物繊維を豊富に含んでいるかどうかを考えることが大切です。

今の日本人の食卓に上がる穀物のメインは、食物繊維が取り除かれた白米や精製された小麦なので、「日頃よく食べる炭水化物=ほぼ糖質」という認識はあながち誤解ではないともいえます。

しかし「炭水化物=太る」という図式は根本的には間違っているので要注意です。

ここから先、炭水化物との具体的な付き合い方については、第2章以降でお伝えしたいと思います。

無敵ポイント侮るなかれ「野菜と穀物」。

合言葉は「地球を喰らえ!」

無敵の筋トレ食には、人生を底上げする力がある食事とは、栄養をカラダに取り込む行為です。

直前の行動で消費した分を補給し、回復を促す意味もありますが、より強い影響を与えるのはその後の行動に対してです。

トレーニング前の食事は、トレーニングの良し悪しを左右します。

競技練習の前の食事は、練習において精度の高い動きができるか、また粘ることができるかどうか、モチベーションが上がるかどうかを決めます。

仕事の前の食事は、多種多様なタスク処理に向けて集中力を保てるかどうかに関係してきます。

1回1回の食事を、その後に続く行動のためのガソリンとして認識しておくと、毎日の生活をロジカルに意義をもって組み立てていくことができるようになるのです。

たとえば、最近は取材を受けるときには、できる限り「午後2時」を設定するようにしています。

取材までの1日の流れは、次のような感じです(減量期ではない場合)。

朝起きて食事をし、トレーニングに行く。

2回目の食事を摂ってから、大学での授業や仕事をこなし、周囲の環境を落ち着かせる。

するとちょうど午後2時を迎えます。

「話す」という行為は、意外と集中力やエネルギーを要するもの。

それを賄うのが、トレ後の食事です。

カラダを動かし消費した分を補給しつつ、これから「話す」分のエネルギーも、ここでしっかり確保しておくのです。

これが午後2時より遅く、夕方に近い時間帯になってしまうと、トレ後の食事から時間が経過しすぎてしまい、「話す」行為に使えるエネルギー量が減ってしまう。

つまり、頭の回転が鈍り、思うような対話ができなくなってしまうのです。

会話の着地点が見出せなくなったり、話をまとめるのが難しいと感じたりします。

また、朝にトレーニングをすると「午前中の仕事に、運動の疲れが出てしまうのでは……」と不安に思う人も多いと聞きます。

実践者の意見としては、トレ後の食事でエネルギーを補給するので、その後の仕事のパフォーマンスはむしろ最高。

その代わり夕方以降は、いま説明をした通りエネルギーが切れがちです。

あまり頭を使わなくてすむような、ルーティンワークなどに時間を当てて、バランスをとるようにしているのです。

このように1日をプログラミングしていくと、減量をスムーズに進めながらもボディメイク以外に取り組むべきこと──たとえば、仕事の現場でエネルギー切れなどという支障をきたす恐れが、消えてなくなります。

本書における「無敵の筋トレ食」には、あなたのボディメイクを後押しするだけでなく、生活のすべてを底上げする力がある、といえるのではないでしょうか。

さて、確認の意味も込めて、繰り返します。

トレーニングとは、使った部位の血流を増やすための環境整備です。

それはつまり、狙いを定めた筋肉に、このあとの食事から栄養を受け取る準備を促す行為ともとらえることができます。

では第1章の締めくくりとして、このシステムを逆手にとった「使えるテクニック」をひとつ、ご紹介しましょう。

ボディメイクを続けていると、時々、無性に「量」を食べたくなるときがあると思います。

そういったときに強い気持ちで我慢をして、気持ちを抑えることができるのなら何も問題はありませんが、ふと湧いて出てきた感情を閉じ込めるのには、多少なりともストレスを感じるものです。

ストレスこそ減量の最大の敵。

なので、そういうときには無理に我慢をしなくてもいいのです。

「今日は、いつもより多く食べたい」と思ったのなら、仕方がないと割り切って、思い切って食べてしまいましょう!そうはいっても、食事から得た栄養素のデリバリー先が脂肪になってしまっては、これまでの努力が水の泡です。

では、どうしたらよいのかというと……より成長を促すべき弱点部位のトレーニング日にしてしまえばいいのです(トレーニング後にしっかり栄養を摂る)。

そうすることで、筋肉をもっとつけたいという欲求も、もっと食べたいという欲求も満たしながら、ボディメイクを進めることができるようになります。

食べたいときは、弱点部位をトレーニングする。

いつもよりも少なくてもいいんです。

ゼロでなければ、後退ではありません。

食べたい欲に襲われがちな人は、減量期の標語として目につくところに貼っておいてもいいかもしれません。

というのも、ルールに縛られすぎると反発心が芽生えやすくなるのと反対に、抑制ばかりではなく許しが得られるとわかっていると案外欲が芽生えないということも、往往にしてあるからです。

無敵ポイント食べたい欲は、弱点部位のトレーニングで解消する

 

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