はじめに
本書は、「時間を掛けずに結果を出す方法」について書いています。
こう述べると、「胡散臭い」「努力せずに結果を出そうなんて考えが甘い」という感情を抱く方も多いでしょう。ただ、私は、「楽して稼ぐ」ことを推奨しているわけではありません。
むしろ、そういう生き方は私の好みではなく、「努力した」人が報われる社会であってほしいと心から願っています。
でも、現実社会では、「一生懸命やっているのに結果が出ない」ことを悩みに感じている人が多いのではないでしょうか。本書を手に取ってくださったあなたも、そうかもしれません。
日本では、「一生懸命に努力すること」そのものが美徳とされてきましたが、あなたは結果が生まれない「一生懸命に努力すること」をこれからも続けることはできますか?私は堪えられそうにありません。
私はこれまで、営業マン、コンサルタント、講師として、20年ほど仕事をしてきました。
リクルートのグループ会社では、いまだに破られることのない連続営業MVP記録、連続営業表彰記録を樹立しました。
独立後は、全世界3000万部突破のベストセラー『7つの習慣』で知られるフランクリン・コヴィー・ジャパン社に声を掛けていただき、認定コンサルタントを務めています。
10年間で1万人以上の方に営業研修を行い、大手企業の営業顧問を務め、クライアントの業績向上に貢献してきました。ひとりの会社員・個人事業主としては、常に最高の結果を追求してきたと自負しています。
一方で40歳を目前に全財産を失い、倒産・自己破産寸前という憂き目も味わっています。
30代で起業、事業承継をしたのですが、数十名のリストラ、取引先の倒産、投資詐欺被害という派手な失敗をしでかしました。このような経験を持つ人もなかなかいないと思います。
おかげさまでここ数年は業績が回復し、複数の経営者団体の役員や主宰者として、年間1000名以上の経営者と交流させていただくようにもなりました。
このように私は紆余曲折のビジネスマン人生を歩んできましたが、その中で成長企業の経営者や大企業のトップセールスの方々と接する機会にも恵まれました。
そして彼らと話す中で、成功している人には3つの共通点があることが分かったのです。
それは、①一点集中で取り組んでいる②とにかく始めている③やり抜いているです。
私たちがもともと持っているエネルギーと与えられた時間には限りがあります。与えられている資源は全員平等です。
にもかかわらず、結果に違いが生まれるのは、限られた資源を、本当に重要なことに集中して「投資」している人と、分散させて「消費」してしまっている人が存在するからです。
彼らと出会い確信したことは、結果を出している人は、決して「才能」や「センス」に長けているとは限らないということです。そして残念ながら、「努力の量」が多いとも限りません。
成功している人とそうでない人の違いは、「時間の使い方」にあったのです。
これが、本書のテーマです。「限られた時間の中で、最高の結果を出す方法」をこれからご紹介していきます。いまさら、小手先の時短テクニックを書くつもりはありません。
私は、20年間の社会人人生の中で、1000冊以上のビジネス書を読み、100種類以上のセミナーに参加し、3000万円以上の「投資」を自分自身にしてきました。
ですから、小手先のテクニックが根本的な解決に繋がらないことは、誰よりも知っているつもりです。
本書では、①どの仕事にも共通していること(普遍性)②誰にでもできること(再現性)③必ず継続できること(継続性)の3つの観点を大切にしています。
年齢・性別・経験・職業問わず、誰でも必ず実践・継続できる「原理原則」だけを紹介していきます。
また、実践しやすくするために、あえて広く浅く書いていますので、自分の好みや持ち味に合うものを選択し、始めてみてください。
本文中のワークシートは、自分や部下の行動管理ツールとしても使えます。
さらに、仕事だけに限らず、勉強やダイエットなどにも応用できるメソッドなので、あなたの人生そのものを変化させることでしょう。
このタイミングで本書を手に取っていただいたことには、必ず意味があります。
本書を読んでいただくこと自体、あなたの貴重な時間を割いていただくわけですから、読み終えたときに、本書に「投資」いただいたお金と時間以上の価値をお返しすることをはじめにお約束したいと思います。
田路カズヤ
ステップ①「寿命時間」を計算するステップ②「人生時給」を設定するステップ③「パッション」を言語化するステップ④「ミッション」を言語化するステップ⑤「ビジョン」を言語化するステップ⑥「主体的な仕事の目標」に変換する
第1章時間に対する意識を変える
近代心理学の父と言われる米国の心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉に、「心(意識)が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる」というものがあります。
これは、多くの書籍や研修で用いられている大変有名な言葉ですので、ご存知の方も多いでしょう。つまり、人生や仕事を成功させるためには、まずは「意識」を変えれば良いと言っているわけです。
私もこの考え方に、何の異論もありません。そして、この考え方は「時間の使い方」という「習慣」を変える場合も同じです。「意識」を変え、「行動」を変え、「習慣」を変えるのです。
小手先の時短テクニックを紹介することは簡単なのですが、それによって変えることができることは、短期的な結果だけです。
継続的に結果を出すためには、小手先のテクニックだけでは限界があります。
あるパーソナルジムのCMに出演し、ダイエットに成功したタレントさんたちが、ことごとくリバウンドしていることが最近話題になりました。
なぜリバウンドしてしまうのか。それは、そのタレントさんの「意識」が変わっていないからです。
「CMのギャラのために痩せる」という「意識」でダイエットに取り組んだ人と、「幼い息子のために健康になる」という「意識」でダイエットに取り組んだ人とでは、どちらが継続的に結果を出すかは議論するまでもないでしょう。
では、「意識」を変えるというのは、具体的にどうすれば良いのでしょうか。この答えを見つけられなければ、結局、何も変えることができません。
「意識」を変えるために最も重要なことは、自分の本能に眠っている「パッション(情熱)」や「ミッション(使命感)」を自覚することです。
私たち人間は、本能に蓋をして、理性的に生きることを強いられてきました。
実際、自分の「心」の声と異なる生き方をしている人や、自分の「心」の声さえ自覚できていない人が多いように思えます。
そこで、あなたの「パッション(情熱)」や「ミッション(使命感)」を言語化することで、人生そのものの「目的」「目標」を明確にし、自分の「心」の声を自覚してみましょう。
これだけでも、あなたの「意識」は確実に変わります。
第1章では、その具体的な手順を紹介していきます。
とにかく時間管理テクニックだけをすぐに学びたいという人は、第2章からお読みください。
◎「意識」を変える6ステップステップ①「寿命時間」を計算するステップ②「人生時給」を設定するステップ③「パッション」を言語化するステップ④「ミッション」を言語化するステップ⑤「ビジョン」を言語化するステップ⑥「主体的な仕事の目標」に変換する
ステップ①「寿命時間」を計算する
以前、元タレントの島田紳助さんが、よしもとの芸人養成所NSCの生徒の前でこのようなことをおっしゃっていました。
「もし、若さが買えるなら1億円だって払う。だから、若いということは、ポケットに1億円持っているのと同じ。でも、使わないでいると、なくなってしまうお金なんだよ。だから、使わないと」お金は、貯めることもできますし、一気に増やせる可能性もあります。
ですが、時間が増えることは絶対にありません。そこで、まずは、自分に残された時間の量とその貴重さを認識することがとても大切です。
製造業には「寿命時間」という言葉があります。「寿命時間」とは、「装置、機器またはその部品を所定の条件で使用するとき、それらがある程度の能力を発揮することのできる期間」のことです。
当然ながら、人間にも「寿命時間」は存在します。
2045年には、平均寿命が100歳に到達すると言われていますが、その年齢まで自分の能力をフルに発揮することができるかというと甚だ疑問です。
そこで私は、80歳を1つの目安に考えることを推奨しています。仮に、あなたの年齢が30歳だとしましょう。(80歳−30歳)×365日×15時間=273、750時間これが、30歳の人に残された「寿命時間」です。
どんなに効率良く生きたとしても、「睡眠時間」と「生活時間(歯磨き・トイレ・身支度など)」で最低9時間は取られてしまうと考え、1日を残りの15時間で計算しています。では、あなたの「寿命時間」を計算してみましょう。
(80歳−現在の年齢)×365日×15時間=「寿命時間」これが、あなたに残された「寿命時間」です。
もともと私たちは、438、000の寿命時間を持って生まれてきました。すでに、意外と多くの時間を「消費」してきたことに気づかれたでしょう。
世界的に有名な経営コンサルタントの大前研一さんの言葉に、次のようなものがあります。
「人間が変わる方法は3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。どれか1つだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることが最も効果的だ」
あなたも自分の「寿命時間」を認識することで、残された「時間の使い方」を見直す機会にしてください。
「時間の使い方」を見直すということは、あなたの「命の使い方」、すなわち、あなたの「生き方」そのものを見直すことなのです。
最後に、アメリカ合衆国建国の父のひとりとして讃えられるベンジャミン・フランクリン氏の言葉を紹介します。
「人生を愛する者よ、時間を浪費してはならない。人生は時間そのものなのだから」
ステップ②「人生時給」を設定する
教育社会学者の舞田俊彦さんが、2014年の厚労省「賃金構造基本統計調査」をもとに、129の職業の時給を算出したところ、一番高い時給はパイロットの10399円でした。
東京都の最低賃金は時給932円ですので、実に約11倍の格差があることになります。時給ランキング上位の職業は、パイロットの他、大学教授、医師、弁護士など。
当たり前ですが、就職までに多くの努力が強いられ、多くのお金と時間の「投資」が必要な職業ばかりです。
さて、あなたの時給はいくらでしょうか。「現在の人生時給」を計算してみましょう。
「現在の人生時給」=「現在の年収」÷「現在の年間労働時間」私が会社員だった29歳のときには年収1000万円を超えていましたが、時給換算すると3000円たらずでした。
年齢の割に稼いでいるつもりでしたが、結局、自分の時間を提供することで対価を受けとっていたに過ぎなかったのです。
そこで、私は、独立当初から「時給1万円」の仕事をすることを目先の目標にし、今はそれ以上の「人生時給」を設定できるまでになりました。
「人生時給」は、自分で設定するものです。そして、自ら高く設定することが大切です。自分の時給を高めに設定することには、3つのメリットがあります。
まず1つ目は、その時給をいただくために自分が何をすべきか、常に意識するようになることです。「意識」が変わるので、「行動」を変えやすくなります。
2つ目は、優先順位が明確になることです。
例えば、私は家事代行サービスを利用していますが、それは、「時給1万円」であるべき私が、部屋の掃除や片づけに時間を費やすよりも、1時間3000円で掃除のプロに任せたほうが、はるかに効率的かつ効果的だと考えているからです。
自分が働き、その間に掃除をしてもらえば、7000円の収入があるのと同じです。このように考えることで、自分が何をするべきかの優先順位をつけることができます。
3つ目は、その時給に見合った人や仕事を引き寄せることができるようになることです。
「時給1万円」の仕事をする人に、「時給1000円」の事務仕事の依頼はきませんし、きたとしても躊躇することなく断ることができます。
また、私のようなコンサルタントや講師の間では、価格を高く設定したほうが、それに見合う良いクライアントがつきやすくなり、結果として良い仕事ができるというのは常識です。
近年、この「引き寄せの法則」については、脳科学の世界で立証されつつあります。
イタリア・ピサ大学の科学者であるH・Wマグンとジュゼッペ・モルッチは、人間の脳幹には「網様体賦活系」という、体の生命活動を維持する役割を担っている神経細胞(ニューロン)の集まりがあることを発見しました。
『自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング』(サンマーク出版)によると、「網様体賦活系」は「すべての情報をふるいわけ、その中からいつでも自分にとって大事なものだけを拾い上げるツール」の役割を果たしているのだそうです。
そして、「網様体賦活系」は、「私たちが信じること、考えることだけに注意を集中し、信じると決めた道へ向かうためだけの情報を集めて、それ以外の情報はすべて排除する」そうです。
つまり、「網様体賦活系」があなたにチャンスをもたらすかどうかは、あなたの「意識」次第なのです。
普段、あなたがよく接する人を5人思い浮かべてください。その5人の年収の平均があなたの年収ではありませんか。これは有名な「ミラーニューロンの法則」というものです。
「ミラーニューロン」は、1996年にイタリアの脳科学者が発見しました。サルから発見された脳神経細胞で、別名「モノマネ細胞」「共感細胞」と言われています。
サルが他の個体の行動を見ると、同じ行動を「鏡(ミラー)」に映っているかのごとく行うことから「ミラーニューロン」と名づけられました。
人間も、潜在的な意識レベルでは、周囲の人から影響を受けやすく、外見、動作、考え方などあらゆるものが似てきてしまいます。
そして、結果として年収まで同じレベルになるのです。逆手に取ると、あなたの「理想の人生時給」で仕事をしている人の近くで過ごすことが、あなたの「人生時給」を高める最も簡単な方法だと言えます。
では、あなたの「理想の人生時給」を設定してみましょう。
「理想の人生時給」=「理想の年収」÷「理想の年間労働時間」時間は「消費」するものだと思われがちですが、本来、時間は「投資」するものです。
限られた「時間」でいかに大きなリターンを得るかを考えることが大切です。これを測る指標を「ROT(ReturnonTime)」と呼びます。
投下した時間がどれだけの成果を生み出したのかを数値化したものです。日本語で表現すると「時間生産性」ということになります。
「ROT(時間生産性)」=「仕事の成果」÷「その仕事に投資した時間資本」また、「理想の人生時給」を「現在の人生時給」で割ると、「ROT(時間生産性)」を現在の何倍にしなければならないのかが明確になります。
まずは、「理想の人生時給」を設定できるように、自分自身の能力を磨き続けましょう。自分自身の「ROT(時間生産性)」を意識して高めていくことで、あなたの価値は最大化されます。
結果として、周囲から「仕事のできる人」という評価を獲得することができるのです。
ステップ③「パッション」を言語化する
世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米国ギャラップ社が、世界各国の企業を対象に実施した「従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査2016」によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないそうです。
世界平均の13%、米国の32%と比べて圧倒的に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスでした。
また、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達していました。この熱意の源泉が「パッション(情熱)」です。
自分の「パッション」に沿って生きている日本人が、いかに少ないかをご理解いただけたかと思います。ただ、私は、日本人に「パッション」が足りないとは思いません。
理性で抑えつけて、「心」の声を自覚しないようにしているだけだと思うのです。そこで、まずはあなたの「パッション」を言語化してみたいと思います。
その最適なツールとして、「パッションテスト」をご紹介します。
全米でベストセラーにもなった『心に響くことだけをやりなさい!』(フォレスト出版)の著者でもあるジャネット・アットウッド氏が開発したメソッドです。「パッション」を言語化するメリットは、3つあります。
1つ目は、自分のワクワクの源泉が明確になり、判断や行動に迷いがなくなること。
2つ目は、自分自身のモチベーション管理がしやすくなること。
そして3つ目は、必要な情報や仲間を引き寄せやすくなることです。
では、あなたの「パッションテスト」を実際にやってみましょう。
◎あなたの「パッション」を言語化する「パッションテスト」手順
①次の文章の空欄を埋めてください。
「理想の人生を生きているとき、私は()である」
空欄部分には、理想の人生を生きているときに、自分が「なっていること(Be)」「していること(Do)」「持っているもの(Have)」を10通り以上書いてください。
頭で考えるのではなく、あなたの心がワクワクするものだけを書き出します。他人からどう思われるかは関係ありません。
これまでのフロー体験(集中・没頭体験)や自分の得意なことを思い浮かべながら書き出してみてください。
このとき、短い文章で簡潔に書くことと、ポジティブな肯定文で書くことを心掛けてください。
(例)○家族といつも笑って過ごしている○若々しく健康的に生きている×好きなことをして暮らしている(←「好きなこと」を具体的に)×ストレスのない生活をしている(←ポジティブな表現に)手順②リストアップした10個以上の「パッション」を、自分にとって大切なものから順番に並び替えてください。
次の3つの手順で並び替えます。
(1)一番上と二番目の「パッション」を比較
まず、リストの一番上の「パッション」と、上から二番目の「パッション」を比較します。
その際、自分自身に対して次の質問をしてください。
「どちらのパッションを生きているほうが気持ちいいですか」「どちらかしか生きられないとしたら、どちらを選びますか」もちろん、実際の人生では両方の「パッション」を選ぶことも可能ですが、片方しか選べない設定にすることで、自分にとってより大切なものに気づきやすくなります。
(2)上から順番に「パッション」を比較
この手順で、リストの上から順番に「パッション」を比較していきます。
例えば、リストの一番上の「パッション①」と上から二番目の「パッション②」を比較して、②を選んだ場合、今度は、②と上から三番目の「パッション③」を比較します。
このときまた②を選んだ場合は、②と上から四番目の「パッション④」を比較します。このように、自分が選んだパッションと、リストの次のパッションを常に比較していきます。
リストの最後までいったら、自分が最終的に選んだ「パッション」に「ナンバー1」と記入してください。これが現在のあなたにとって一番大切な「パッション」です。
(3)「ナンバー1」の「パッション」を除外して比較
次は、二番目に大切な「パッション」を明確にするために、またリストの一番上から順番に比較していきます。今度は、先程、「ナンバー1」と記した「パッション」は除外して、比較するようにしてください。
リストの最後までいったら、最終的に選んだ「パッション」に「ナンバー2」と記入します。同様にして「ナンバー3」「ナンバー4」「ナンバー5」まで進めてください。
(例)
ナンバー1パッション家族といつも笑って過ごしている
ナンバー2パッション若々しく健康的に生きている
ナンバー3パッション毎年1冊の本を出版している
ナンバー4パッション講演・研修依頼が殺到している
ナンバー5パッション好きな場所(東京・福岡・ハワイ)で仕事している
ステップ④「ミッション」を言語化する
先日、テレビ番組で、共演者から不意に「夢ってあるんですか」と尋ねられたダウンタウンの松本人志さんが、次のように答えていました。
「ホント言って良いですか?死んだときに、お葬式にすっげぇいっぱい芸人にきてほしい。芸人というかタレントさんというか、芸能人の人たちに。あの人もこの人も。それを上から見て『ああ、あの人もきてくれた、あの人もきてくれた』って」
そして、その理由については、「ウチの娘とかに、『あ、パパって割とすごかったんや』って思われたいからだ」と答えていました。
また、2000年に放送されたドラマ『伝説の教師』では、生徒から「人間は何のために生きてるんですか」と尋ねられた先生役の松本さんは、このように答えています。
「笑うためや。人間に許された唯一の特権は笑うことや。笑いながら生きるというのが人間としての証なんや。笑いながら逝かれへんかったら何の意味もないんじゃ。そうやって眉間にシワ寄せて苦しみながら死にたかったら勝手にせえ!」
アドリブの多いドラマでしたので、このセリフも松本さんの本音が含まれているのではないかと思います。
このような「生き方に関する個人の信条」が「ミッション(使命感)」です。「命の使い道」と書いて「使命」ですので、「使命」とは「生き方」そのものとも言えます。
そして、その「ミッション」を明文化したものを「ミッション・ステートメント」と呼びます。
『7つの習慣成功には原則があった!』(キングベアー出版)の著者であるスティーブン・R・コヴィー博士は、「ミッション・ステートメント」について次のように述べています。
「目的を持って始める最も簡単で大きな効果をもたらす方法の1つは、『ミッション・ステートメント』を書くことである。その中で自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、そして、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにするのだ」
自分の「ミッション・ステートメント」を考える上では、「死生観」を持つことが非常に大きなヒントになります。「死生観」とは、死を通して、生き方、生き様を決める考え方のことです。
ここで「死生観」に基づき、自分の「ミッション」に生きた、アップル創業者スティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチを紹介します。
『私は17歳のとき、こんな感じの言葉を本で読みました。「毎日を人生最後の日だと思って生きてみなさい。そうすればいつかあなたが正しいと分かるはずです」
これには強烈な印象を受けました。それから33年間、毎朝私は鏡に映る自分に問い掛けてきました。
「もし今日が自分の人生最後の日だしたら、今日やる予定のことは、私が本当にやりたいことだろうか?」それに対する答えが「ノー」の日が何日も続くと、私は「何かを変える必要がある」と自覚するわけです』◎あなたの「ミッション」を言語化する「ミッションテスト」では、あなたの「ミッション」を言語化してみましょう。
私が独自に「ミッションテスト」と名づけた、次の3つの質問に回答してください。今のあなたの状況をふまえずに、あなたの『心』の声に従って回答するようにしてください。
ミッションテスト
質問①あなたのお葬式が行われることになりました。「誰に」きてもらい、「どのような言葉を」掛けられたいですか?
質問②あなたは、医師から余命1年の宣告を受けました。残りの1年間を「誰と」「どのように」過ごしますか?
質問③あなたは、10億円という想定外に大きな遺産を手に入れました。残りの人生の時間とお金を「誰のために」「どのように」使いますか?
最後に、この3つの質問に対する回答をヒントに、共通するキーワードをピックアップし、「私の使命は()である」という文章を作成してみてください。
(例)
- ○私の使命は、生き生きと働く大人をひとりでも多く増やすことである
- ○私の使命は、家族の幸せを最優先することである
- ×私の使命は、健康的に生きることである(←「誰かのために」という観点がなく、「パッション」と同じになるため)
ここで恥ずかしながら、私自身の「ミッション・ステートメント」ができるまでのストーリーをご紹介します。
私は、これまでに死にかけた経験があるため、幸か不幸か、「ミッション・ステートメント」は強固なものになっています。
自分の死の危機に直面したのは、29歳のときです。モルディブを旅行中、インド洋スマトラ沖地震による大津波に被災しました。突然、水上コテージごと高波に飲み込まれ、私は、1分近く呼吸ができない状態に陥りました。
海水の中で、これまでの人生の思い出が走馬灯のように駆け巡り、死を覚悟しました。
「自分はまだ何も成し遂げていない。やっぱり生きたい!」意識が薄れる中で、最後にそう我に返った私は、力を振り絞り、なんとか海面から顔を出すことができました。
そのあともさらに流され続けたのですが、さまざまな奇跡が重なり、最終的にはホテルのスタッフの方々が、命を張って手を差し伸べてくれたおかげで、私は生還することができました。
はっきりと覚えていることは、私を助けようとすることで、そのスタッフさんたちも津波に飲み込まれてもおかしくない状況だったということです。
ホテルのゲストとはいえ、見ず知らずの日本人のために、何の躊躇することなく命を投げ出すことができる彼らの生き様を目の当たりにして、私はそれまでの自分の生き方を恥ずかしく思うようになりました。
当時の私は、「32歳になったら起業独立したい」「コンサルタントとして有名になりたい」「とにかく成功したい」と、漠然とした夢を抱えていました。
ただ、この被災体験の少し前に、尊敬する当時の上司から「なぜ起業したいのか」と不意に尋ねられたとき、その質問にすら答えることのできない私がいました。
当時の私には「ミッション」がなかったのです。
ですが、モルディブでの被災体験により、「この生かされた命を自分の私利私欲のためだけに使うような人生は歩みたくない」と心から思うようになりました。
「私の仕事の成果が、巡り巡って、私を助けてくれたモルディブの人たちに還元されるような大きな仕事ができるビジネスパーソンになりたい」と、心から思うようになったのです。
でも、当時29歳だった私が、すぐに提供できる価値は限られます。考えた結果、当時の私が自信を持って提供できる価値は2つでした。
1つ目は「営業担当として、本当に価値あるモノだけをお客様に提供し、お客様のビジネスを成功させること」、2つ目は「自分の営業ノウハウを人に教えることで、営業という仕事に誇りを持ち、社会貢献できる営業を増やすこと」です。
そこで、「ミッション・ステートメント」には、このように書きました。
「私の使命は、日本社会に誇り高き営業を増やし、営業のプレゼンス(存在価値)を高めることである」
私は、この「ミッション」を自覚してから、営業としての姿勢・行動のすべてが変わりました。
「本当に価値あるモノしか提供しない」という営業姿勢でお客様と向き合うことが信頼の獲得に繋がり、お客様が勝手に別のお客様を紹介してくださるようになりました。
その結果として、前人未到の営業記録を打ち立てることができたのです。そして、その3年後、「株式会社プレゼンス」を設立しました。あなたがこの一度きりの人生で、成し遂げたいことは何ですか?
ステップ⑤「ビジョン」を言語化する
「パッション(情熱)」と「ミッション(使命感)」をもとに、あなたの人生の「未来イメージ」を具体的に描いてみましょう。この人生の「未来イメージ」のことを「ビジョン」と呼びます。
「ビジョン」は、「あなた自身の未来イメージ(MyVision)」と「あなたが影響を及ぼす家庭・会社・社会などの未来イメージ(OurVision)」の2つに分けて描くと、言語化しやすくなります。
大切なポイントは、頭で考えて「書く」のではなく、心でワクワクするものを「描く」というところです。
「ビジョン」は、「7年後」の「未来イメージ」を描いて言語化することをおススメしています。
「7年後」に設定している理由は、それほど遠い未来でもないので具体的にイメージしやすい上に、何かを成し遂げる上で十分な期間でもあるためです。
『思考は現実化する』の著者ナポレオン・ヒル博士は、アンドリュー・カーネギー、トーマス・エジソン、ヘンリー・フォードなど、アメリカの大富豪やトップクラスの経営者にインタビューし、成功者の原理原則を発見しました。それは、自分がイメージする未来を信じて疑わなかった、ということです。
「人間が想像できるものは、必ず実現できる」と言われるように、この100年間に、人間はイメージすることによって、それまでの人類の歴史の中で成し遂げてきた以上のものを実現してきました。
まずは具体的な「未来イメージ」を描き、「ビジョン」を自覚することが大切です。「どのように実現するか」はあとで考えれば良いのです。現時点での私の「ビジョン」は、次のように掲げています。
MyVision「好きなときに好きな場所で好きな仲間と一緒に好きな仕事を好きな顧客に対して好きなだけ行っている」OurVision「年収1200万円稼げる人材を100万人育成・輩出し、日本社会に貢献している」このように、あなたの「パッション(情熱)」をもとに「MyVison」を描き、「ミッション(使命感)」をもとに「OurVision」を描くことで、あなたのイメージがより具体的になったはずです。
これがあなたの「意識」を変える第一歩になるのです。これらを常に意識し続けられるよう、あなたの目に留まりやすい場所に掲示しましょう。
パソコンの壁紙やスマートフォンの待ち受け画面などに掲示し、いつでも読み返すことができる状態をつくることをおススメします。
「パッション」「ミッション」「ビジョン」を潜在意識にまで埋め込むことで、必要な「アクション(行動)」を選択し、継続実践することができるようになるのです。
「パッション」×「ミッション」×「ビジョン」→「アクション」
ステップ⑥「主体的な仕事の目標」に変換する
では最後に、あなたの現実の仕事に目を向けてみましょう。
現在のあなたは、「会社から与えられた仕事」の中で、「会社から課された目標」を追いかけている状態かもしれません。
でも、その状態が続くと、心身ともに疲弊し、「ROT(時間生産性)」を高める上で必ず障壁になります。このステップでは、その障壁を取り除くために必要な「心」の在り方をご紹介します。
それが、会社から課された「仕事の目標」を「主体的な仕事の目標」に変換する「ジョブ・クラフティング」の考え方です。
「ジョブ・クラフティング」とは、個々の従業員が、仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正し、再定義することです。
「退屈な仕事」や「やらされ仕事」と捉えていた仕事を「やりがいのある仕事」に変容させる手法です。
「ジョブ・クラフティング」の理論は、米イェール大学経営大学院で組織行動論を研究するエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授により提唱されました。
この理論を応用して、次の4つの手順で、あなたの仕事と目標に意味づけを行います。
(1)あなたの「仕事内容」と「仕事の目標」をリストアップします。
(2)その中で、あなたの「パッション」「ミッション」「ビジョン」の実現に繋がる「仕事の内容」・「仕事の目標」に星印(☆)をつけます。
(3)星印(☆)のつかなかった「仕事の内容」・「仕事の目標」について、仕事の範囲を広げたり、やり方を見直すことで、あなたの「パッション」「ミッション」「ビジョン」の実現に繋げられないか考えます。
(4)あなたの「仕事の内容」・「仕事の目標」に意味づけを行い、主体的な表現に書き換えます。
(例)「仕事の内容」を「主体的な仕事の内容」にする
「新規開拓営業」→「本当に価値のあるサービスとお客様を繋げて、お客様を成功させる仕事」
(例)「仕事の目標」を「主体的な仕事の目標」にする
「月間売上目標500万円」→「多くのお客様から感謝されていることを証明する目標」
経営学の第一人者として知られるピーター・ドラッカー博士による有名なたとえ話をご紹介します。
ある日、石工たちがレンガを積んでいる光景を目にしたドラッカー博士が、3人の石工に対して別々に「あなたは何をしているのですか」と尋ねました。
ひとり目の石工は「見れば分かるだろ。レンガを積んでいるんだよ」と答え、2人目は「大きな壁をつくる仕事をしているんだ」と答えましたが、3人目の石工は「国で一番の教会を建てているんだ」と答えました。
後日談として、4人目の石工は「私は、皆の心の拠り所をつくっているんだ」と答えたという話もあります。
同じ仕事に携わっていても、ただ「レンガを積んでいる」と思いながら仕事している人と、「皆の心の拠り所をつくる」という自分の「ミッション」を意識して仕事できている人とでは、どちらがより多くのやりがいや充実感を得ているかは明らかでしょう。
そして、仕事の成果もそれに比例することは間違いありません。
会社が「やりがいのある仕事」や「面白い仕事」を用意してくれることは絶対にありません。
そこにある真実は、あなたがその仕事を「やりがいがある」「面白い」と感じるかどうか次第だということだけなのです。
つまり、あなたの「意識」が変わらない限り、あなたが「やりがいのある」「面白い」仕事に巡り合うことはないのです。
「ミッション」や「ビジョン」については、志の高いことや影響力の大きなことを書かなければならないという強迫観念が湧くかもしれませんが、その必要はありません。
私自身、津波で被災し、救助されたあと、それを実感する出来事がありました。
モルディブの首都マレで3日間ほど避難生活を強いられたのですが、マレの人々がなぜか日本人である私に対して特別に親切にしてくれるように感じたのです。
ある日、「なぜ、私にそれほど親切にしてくれるのか」と尋ねると、彼らはこのように言いました。
「俺たちは、日本がつくってくれた防波堤に助けられたんだ。あの防波堤がなければ、マレも俺たちもダメだったかもしれない。だから日本人に親切にするのは当たり前なんだ」
マレ島は、海抜が1・5メートル程度で平坦な地形のため高波の被害を受けやすく、過去に浸水の被害を繰り返し受けていました。
島の3分の2が水に浸かりながらも、日本政府の援助(ODA)によりつくられた、島をぐるりと囲む防波堤のおかげで、ひとりの死者も出さずに済んだのでした。
この津波以降、日本政府はさらにモルディブへの復興支援に尽力しました。モルディブ国民の8割以上が日本のODAを認識し、感謝していると報告されています。
結果、2011年の東日本大震災で日本が被災した際には、官民挙げての募金・支援キャンペーンが行われ、多くの義捐金とツナ缶約69万個が被災地に届けられたのでした。
このように、あなたの仕事の本当の意味や価値は、巡り巡って後々分かるものかもしれません。大切なことは、自らそれを意味づけるということです。
あなたの「仕事内容」と「仕事の目標」を再定義し、主体的なものに変換してみましょう。
あなたの仕事の目標は「ノルマ」ではなく、あなたの「パッション」「ミッション」「ビジョン」を実現するための1つの手段なのです。
最後に、「意識」を変える6つのステップを振り返りながら、次ページの「目標達成コンパスシート」を埋めてみましょう。
あなたの現在地と目指す方向性を常に指し示す「心」のコンパス(方位磁針)となるよう、この名前にしました。
このシートを埋め終わったとき、あなたは「心」のコンパスを手に入れ、「ROT(時間生産性)」を高める旅の第一歩を踏み出すことができるのです。
本章では、あなたの「スケジュールの組み方」を変えることで、仕事のできる人の「習慣」に変える方法を紹介します。
「習慣」という言葉を辞書で引くと、「長い間繰り返し行われていて、そうすることが決まりのようになっている事柄。また、繰り返し行うこと」(三省堂大辞林)と定義されています。
私は、これをシンプルに「これまでの自分がつくった居心地の良い場所」という風に定義しています。
人は、この居心地の良い場所から離れて、変化することを恐れます。「習慣」を変えることに、抵抗感のない人はいないでしょう。ただ、1つ言えることは、居心地の悪いところにしか成長はないということです。
ここで、「1・01と0・99の法則」をご紹介します。
「1・01」は、「1」より僅かだけ大きい。「0・99」は「1」よりも僅かだけ小さい。その差はたった「0・02(2%)」しかありません。
でも、この2つをそれぞれ365回掛けると、1・01の365乗≒37・780・99の365乗≒0・026と、ここまで大きな差が生まれます。
これは、毎日101%の力で仕事をした人と、毎日99%の力で仕事をした人とでは、365日後(1年後)の成長や成果にとてつもなく大きな差が生まれる、ということを端的に表現したものです。
この法則は、楽天の三木谷社長の著書『成功のコンセプト』(幻冬舎)で紹介されたことでも有名になりました。
MLBで活躍するイチロー選手は、MLBシーズン最多安打記録を更新した際、「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただ1つの道だ」と語りました。
また、イチロー選手は、これまでの人生で一番誇れることとして、高校時代に毎日行った10分間の素振りを挙げています。
「1年365日、これを3年間続けたことで、たった10分間がすごい時間に感じられ、誰よりも継続したことで強い気持ちが持てるようになった」これがまさに、小さな「習慣」が生み出す大きな違いです。
習慣は、成果に違いを生み出すだけでなく、揺ぎない自信も生み出すのです。以前、タレントの武田鉄矢さんがテレビでこのようなことを言っていました。
「明日の自分を励ましてくれるのは、今日までの自分しかいない。頑張った過去が自信となって、苦しいときに自分のそばにいて励まし続けてくれる」自分に自信を持たせ、励まし続ける存在は、自分しかいません。
「習慣化」が自信を生み出し、自信が「習慣化」を助けるのです。この「習慣」を変えるためには、まず、あなたの「スケジュールの組み方」を変える必要があります。
具体的には、1年単位(もしくは最低でも半年単位)での「スケジュールの組み方」を変えることがその第一歩になります。
その上で、週単位や1日単位での「スケジュールの組み方」(第3章)と「時間の使い方」(第4章)を見直していきます。
あなたのスケジュール帳を開いてみてください。どれくらい先の予定まで記入されているでしょうか。私のスケジュール帳は、常に1年以上先まで記入されています。
これは経営者になってからの「習慣」ではなく、会社員時代からずっと継続している「習慣」です。自分の人生を自分の好きなように歩んでいくためには、必要不可欠な「習慣」だと思っています。
仕事ができる人の「スケジュールの組み方」には、押さえておきたいルールがあります。まずは、あなたの「スケジュールの組み方」について、一緒に見直してみましょう。
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