はじめにいまこそ女性の育成は待ったなし2015年8月、女性活躍推進法が成立しました。
従業員301人以上の企業は女性登用について数値目標を含む行動計画の作成と公表が課せられます。
これによってほとんどの金融機関にとって女性リーダーの育成は必須の課題となりました。
金融機関はこれまでも経営計画に「女性の育成」を掲げ女性の活躍推進を後押ししてきましたが、さらに加速することが予想されます。
昨今は仕事に真剣に向き合い頑張る女性はますます増えています。
金融機関においても、子育てをしながら働いたり、管理職や融資業務などにチャレンジしたりする女性が珍しくなくなりました。
その一方で、現場は環境の変化に必ずしも対応できているとはいえません。
産休、育休、時短など女性が働き続けられるインフラは以前と比べ格段に整ってきているものの、実際の運用に関しては課題が多いようです。
人繰りなど物理的な要因もありますが、根底にあるのは意識の変化が追いついていないことにあります。
大部分の人が、多様化する顧客ニーズに応えていくには男性の知恵だけで立ちゆかないことや、労働人口を考えても男性だけでは組織の重要な役割を背負いきれないことを頭では理解しているものの、心の底から「女性の活躍」を願っているかというと、まだその段階には至っていないのではないでしょうか。
なぜなら、実現のために超えなければならないハードルが多々あります。
たとえば、男性と女性の違いがもたらす課題も発生します。
それを解消する億劫さが、変革を妨げています。
つまり、組織全体の意識が「女性がもっと活躍してほしい」という方向に進化していかなければ、女性活躍推進施策と現場との間にひずみが生じる可能性があります。
つまり、表面的に女性管理職の比率を高めていくだけでは、現場にはコンフリクトが発生し、決してよい結果にはつながらないのです。
現場からも、「女性をどうマネジメントしたらよいかわからない」「女性部下がそこまで頑張りたくないようだ」という上司の声があったり、「役席になるほどの責任を負いたくない」「頑張れと言われても何をしたらいいのかわからない」という部下の声があったりと、解決すべき課題は明確になってきています。
望ましいかたちで女性が活躍できる組織をつくっていくためには、女性が目にみえる結果を出していくことが必至です。
現場における困難を克服して真に仕事のできる女性をいかに育成していけるかが、企業が存続できるかどうかの分かれ目といってもよいでしょう。
金融機関は、これまで女性を育成してこなかったわけではありません。
1986年の男女雇用機会均等法の施行に伴い総合職を導入、1990年代に入って「ダイバーシティ」が提唱されてからは専門部署を設けて取り組んだ組織も多く、一定の効果をあげてきました。
女性のお客様向けの商品開発をする女性だけの部署が発足したり、女性支店長が徐々に増加したりしています。
また、現場の管理職(男女とも)も、女性を育てたいと工夫しているケースが増えました。
しかしながら、経済環境が悪くなったことや組織風土の改革に至らなかったことで、活躍度合いは今一歩といったところです。
ウーマノミクスから女性活躍推進法へという国の動きは何度目かの正直です。
もしかしたら組織が変わる最後のチャンスかもしれません。
男女ともが生き生きと働く組織をつくるために、いまここで女性の真の育成をしていきましょう。
2015年12月前田典子
目次
第1章女性の育成5つのとまどい
1「リーダーシップ」では伝わらない?2せっかくのチャンスなのに……3なぜ仕事に感情を持ち込むのか?4女性の嫉妬は恐ろしい……5女性上司なら大丈夫だと思ったのに
第1章女性の育成5つのとまどい
期待されている女性職員山本さんがリーダー研修に参加しました。
研修では「リーダーシップ」について学んできたようです。
しかし、現場に戻ると待っているのはいつもの業務。
研修で学んだことをどのように活かせばよいのかわかりません。
上司の「研修に出たからリーダーシップを発揮してくれるだろう」という思惑どおりにはなかなかならず、山本さんも戸惑っています。
「女性部下に期待したいこと」というと、一番にあげられるのがリーダーシップの発揮です。
しかし、そう伝えてもいつまでも変わってくれない部下、いないでしょうか?そうなると、「女性はだからダメなんだ」と思ってしまいがちですが、原因は伝える側にあるのです。
「ダメ」と思う前に、どうしたら伝わるのか、考えてみましょう。
ココを読んでみよう!第2章1「リーダーシップ」をブレイクダウン2リーダーシップがない人はいない第3章2あなたのリーダーシップスタイルを押しつけないで!8曖昧な指示はリーダーを育てない
営業店で活躍している部下、営業成績もよさそうです。
女性活躍推進施策のなか、こういう人には管理職になってほしいと思うのは当然です。
声をかけたら、部下が喜んでくれると思いましたが……実際は堅く辞退。
上司は驚いています。
上司にとって、女性職員を育てることは大切な仕事です。
ですから、頑張っている部下に挑戦してもらいたいものですが、管理職登用までいかなくても、ステップアップした役割にとせっかく声をかけたのにイラストのように辞退されたことはないでしょうか。
謙虚さとは種類の異なる辞退の仕方、男性の上司には理解しにくいことかもしれません。
ここには女性特有の理由が存在するのです。
ココを読んでみよう!第2章3「一歩出たくない」は確かに存在する4強化するのは「業務力」でなく「仕事力」5雌鳥型を卒業させよう第3章3チームのよい関係性が部下の背中を押す10ロールモデル候補をつぶさない
リーダーの女性が後輩の華原さんの様子を気にしています。
華原さんは思うように目標数字が達成できておらず落ち込んでいます。
そのことを上司に伝えたのですが、上司には取り合ってもらえそうにありません。
一緒に働いている人の心の状態を気にかける女性職員はいませんか?男性上司のなかには「仕事と感情は別」と考え、その職員のことを理解できない人もいるのではないでしょうか?実は女性には「仕事」と「感情」を分けられない特性があるのです。
そして、これは決してネガティブなことではなく女性の強みを活かしたリーダーシップにつながるのです。
ココを読んでみよう!第2章7「女性脳」は神様からのギフト9帽子の被りかえ方を伝授しよう
工藤さんは優秀な営業担当者のようです。
上司としては褒めたいと考えるのは当然です。
そして、皆のロールモデルとなってもらいたいという気持ちもあるでしょう。
そこで、その願いをそのまま伝えてしまいました。
すると……他の女性職員と工藤さんとの関係性がおかしくなってしまったようです。
頑張った部下を褒めることはよいことですし、その人の成長を促します。
しかし、こと女性の多いチームにおいてはどのように伝えるか、配慮が必要です。
それがないと、チームのなかに無用なあつれきを生み出し、褒めた職員だけでなく、周囲もダメにしてしまうことになりかねません。
ココを読んでみよう!第3章3チームのよい関係性が部下の背中を押す5両立支援は個人の課題ではない6子どものいない女性を忘れるな10ロールモデル候補をつぶさない第4章2関係性を育てるコミュニケーション
女性管理職がテキパキと部下に指示を出しています。
彼女は部下の小田さんを成長させたいという気持ちがあるのでしょう。
昔自分自身が上司に鍛えられたときの経験を思い出して接していました。
ところが、小田さんは自分ができないという気持ちになって退職届を出してきてしまいました。
最近の女性活躍推進施策以前に管理職になった女性の方から「女性同士の育成やマネジメントは難しい」というお悩みを聞くことがあります。
彼女たちは女性の管理職登用のハードルがいまよりもずっと高かった時代の人です。
そこで管理職になっている方は男性のなかでかなり揉まれてきたはずです。
しかし、昨今は考え方が変わっています。
女性管理職だからこそ、配慮しておきたいことがあるのです。
ココを読んでみよう!第3章11女性上司の落とし穴第4章2関係性を育てるコミュニケーション3「女性だから」の思い込みをはずそう~DiSCを知る
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