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第1章タスク管理に出会う前、何をストレスと感じていたか

はじめに

本書の内容は 2009年から GTD( 2― 1「 GTDについて」参照)をベースとしたタスク管理、生産性の向上に関して書き続けてきたブログ記事を整理したものです。

その記事を書くなかで試行錯誤を繰り返してきたのは次の 2点です。

1つ目は、ストレスフルな環境のなかで、いかにして気持ちを楽にして仕事をすることができるか。

そして、2つ目は仕事を一緒に進めるチームメンバーとの情報共有とコミュニケーションの円滑化による生産性の向上です。

その試行錯誤の努力が実ったのか、ここ数年に関してはどんなに仕事が立て込んでも、またタイトなスケジュールで仕事を進めている最中に別の仕事が割り込んでも焦ることなく淡々と処理することができるようになりました。

出勤中の電車のなかで不安に駆られ気分が悪くなることも、夜寝るときに仕事のことが頭から離れず悶々とするようなことも、お盆や正月の長い休み明けを憂鬱な気持ちで迎えることもなくなりました。

これは、タスク管理を実践することで、作業の効率化を実現できただけでなく、仕事に向き合う自分自身の気持ちを上手にコントロールできるようになったからに他なりません。

そのタスク管理の実践の場としているのは住宅団地の開発等に係る造成設計、私の本業です。区画整理などの事業手法と併せ、新しい街を一からつくるのが主な仕事です。

造成設計では最近ではそのような大規模な住宅団地の開発はめっきり少なくなりましたが、 3・ 11に発生した東日本大震災の復興事業に係る高台住宅の計画など、その需要がぐっと上がりました。

丘陵地の開発であれば山を削り、谷を埋めて宅地の基盤をつくります。

既存の幹線道路へアクセスする道路の新設、計画地内の細街路や公園の設計もおこない、目には見えませんが道路下の下水道、上水道、電力などのインフラ設計もおこなうなど、この造成設計の分野における検討項目は多岐にわたります。

検討する項目が広いと言うことは、それだけ、各分野のスペシャリストとの連携が要求され、他部門のスタッフと一緒に仕事をすることが多くなります。

また、検討項目の一部を自分の担当から切り離して社内・社外に依頼する場面も増えますので、担当者間の意思疎通、円滑なコミュニケーションが必須となります。

本書を執筆する際、特に力を入れたのは、その第4章の部分。

チームとしてタスク管理をおこなうにはどうすれば良いかです。仕事は1人ではできません。私のような仕事でなくても、あらゆる仕事は、人との関り合いのなかで進めていかねばなりません。

少人数で進めているときは容易だったタスク管理や担当者間の意思疎通も、案件が大きくなり関わる人数が増えると、そのハードルは一気に上ります。

仕事の本数が少ないときには把握していたタスクの全量も、その本数が増えるほどに見えにくくなり、誰が何をやっているのか、いないのかも把握しにくくなります。

担当者が別の事業所にいるなど、物理的に離れてしまうとさらに難しくなります。どんな職種、職場でも直面するこのような問題を、タスク管理を通してどのように解決していくか。

その最初のステップとして必要なものは、自分の意識を自分の手元からチームメンバー全員にまで広げるための心の余裕をもつこと。

次に必要となるのは、その活動を支える具体的なツールの活用です。

本書の構成は第 1章‥ タスク管理に出会う前、何をストレスと感じていたか第 2章‥ 何故 GTDがストレスフリーにつながるのか第 3章‥ どうすれば仕事の見通しが立つか第 4章‥ チームとしてのタスク管理の必要性とその実践第 5章‥ 仕事の炎上を防ぐためにはとなっています。

かつての私のように長時間労働のなか、身を粉にして働いていらっしゃる読者の方が、タスク管理に興味をもち、ストレスフリーな働き方をご自身だけでなく周りのチームメンバーまで広げることができる。

本書がそのようなきっかけになれば幸いです。

はじめに目次第 1章 タスク管理に出会う前、何をストレスと感じていたか 1― 1 ストレスの原因 1― 2 タスク管理を始めたきっかけ第 2章 何故 GTDがストレスフリーにつながるのか 2― 1 GTDについて 2― 2 図解で示すタスク管理の必要性 2― 3 GTDでストレスフリーになる第 3章 どうすれば仕事の見通しが立つか 3― 1 使っているツール 3― 2 日次レビュー 3― 3 気の重い仕事にとりかかるには 3― 4 クリティカルパスを意識する第 4章 チームとしてのタスク管理の必要性とその実践 4― 1 図解で示すタスク管理の必要性 4― 2 Nozbeを使ったタスクの共有 4― 3 アウトソーシングした仕事の進捗状況をブラックボックスにしない 4― 4 ブラックボックスを可視化する具体的な方法 4― 5 ブラックボックスを可視化することの目的 4― 6 クラウドツールのセキュリティー対策 4― 7 クラウドツール活用についてのインタビュー第 5章 仕事の炎上を防ぐためには 5― 1 大きな問題は小さな火種から 5― 2 もし炎上してしまったらおわりに著者紹介奥付

第 1章 タスク管理に出会う前、何をストレスと感じていたか

目次

1― 1 ストレスの原因

1― 1― 1 次々に頭に浮かぶ気になること

私がまだ GTDに出会う前、手帳や会社のパソコンのディスプレイに貼り付けた付箋を使ってタスク管理をしていた頃、朝の通勤電車のなかでは、今日やるべき仕事のリストが頭のなかをグルグル回り、気持ちが押しつぶされそうになっていたものです。

何か1つの仕事の段取りについて考え出すと、その段取りに必要となる作業や、そのための資料確認、まだ受け取っていない資料を思い出し、会社に着いたらメールしようと考えるなど、やるべきことの作業リストが頭のなかで連想ゲーム的に浮かび上がり、さらにはその連想が並行して進めている別の仕事まで広がってしまう。

そして、それらの作業を終わらせるのに必要な時間を考えると、帰宅は深夜になりそうだと分かり朝からどっと疲れる。そんな毎日だったのを覚えています。

1― 1― 2 そのモヤモヤはどうやって消せたのか?

私が通勤電車のなかで悶々と感じていたこのようなモヤモヤはどうやって消せたのか。その答えはあまりにも簡単で拍子抜けです。

それは、自分がやるべき具体的なタスクも含め、頭のなかにある気になることをすべて紙に書き出すことでした。

出社してパソコンの電源を入れ、メールチェックを終わらせ、「さて今日は何から始めようか」とのんびり考えられる環境なら、手帳への簡単なメモ書きや、モニターに貼る付箋で十分です。

しかし、仕事に追われて何から手を付ければ良いか分からない。

例えば、週末に提出する報告書作成にとりかかった瞬間、明日提出する見積書のことを思い出し、それを完成させるには、他部門の担当に作業のお願いをしなければならないことを思い出す。それも午前中に。

そうしている間も、発注者や社内から電話やメールが入り、追加の検討や確認依頼が入る。個人差はあると思いますが、やるべきことの総量が一定量を超えると、人の心は途端に余裕をなくします。

このような環境に置かれ、精神的に追い詰められ半分パニック状態に陥っている人が落ち着きを取り戻し、目の前の作業に集中するにはどうすれば良いのか。

それは、頭のなかで気になることのタスクリストを徹底的に書き出し、頭のなかから出してしまう。これが最初の一歩です。

人の脳はすべてのことを記憶しておくことはできません。どんなに重要なことであっても時間と共に忘れてしまいます。

それゆえ、重要なタスクや気になることが頭のなかに1つでもあると、「忘れてはいけない」と言う気持ちが沸き起こり、それがストレスの原因になるのです。

その忘れたくないことが数個であれば良いのですが、たくさんあるとどうでしょう?

1― 1― 3 忘れて良いと言う安心感

すべてのタスクを書き出しておけば、それらは自分の頭で覚えておく必要はなくなります。

何か気になることがあっても、そのリストさえ見れば思い出せる。

この安心感を得ることが通勤電車で感じていたストレスをなくす一番の特効薬でした。

GTDをベースとしたタスク管理を身に付けて分かったことは、仕事の全容が見えなければ見えないほどストレスを感じると言うこと。

自分のやることがすべてリスト化され客観視できれば、後はそれをどうやってこなしていくかと言う前向きな思考に転換できると言うことなのです。

1― 2 タスク管理を始めたきっかけ

記憶が曖昧で、明確にいつから始めたと言えませんが、学生時代は全くやってませんでしたね。やはり、社会人になり、 1日にやるべき作業量がぐっと増え、必要に迫られて始めたのでしょう。

最初に自分のタスクを管理していたのは、当時使っていたアイデア DBと言うメモ帳アプリでした。仕事やプライベートで覚えておきたい雑多なことをメモしていたようです。そして、その分類の1つとして自分の Todoリストを登録していました。

しかし、タスクの収集から処理・整理、レビュー、実行と言う体系的なタスクフローができていなかったためか、今感じているようなすっきり感はありませんでした。

 

1― 2― 1 GTDとの出会い

GTD( Getting Things Done)と言う情報整理術に出会ったのは、気になるブログ記事を読んだのがきっかけでした。

『ゆっくりと動きながら高速でこなす、一流の研究者の Doingリスト』 http:// lifehacking. jp/ 2008/ 03/ doing-list/ ―― Lifehacking. jpより この記事で紹介されている著名な研究者が、ゆっくりではあるが、着実にタスクをこなしている描写に「あれ? 今の自分と何か違う」と感じたのです。

その当時の私は抜けのある Todoリストを眺めながら、整理されていない頭で、思いついたタスクをその場しのぎに実行していくことを、複数の Todoをマルチタスクで処理できていると勘違いしていたのかもしれません。

その後は、お決まりの流れかもしれませんが、 GTDについてもっと知りたいと思い『はじめての GTDストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン著 二見書房 2008年)を購入し、きちんとした理論に沿ったタスク管理に挑戦し始めたのです。

幸いだったのが、ちょうどその頃使っていた携帯電話( WILLCOM 03)の端末が、 Outlookの ToDoリストやメモ帳とデータを同期することができたことでした。

通勤電車のなかや、歩いている途中、ふと思いついた雑多なタスクや気になることをその場で入力し、会社に着いたら USBケーブルでパソコンと接続してデータの同期をおこなうことができたのです。

それにより、頭のなかから気になること、自分がやろうとしていることのすべてを一掃し、 Outlookに集約することができたのです。

すべてのことはここを確認すれば確認できるので、それを自分の記憶に頼らなくて良い。自分のなかですっきり感を感じ始められたのはこのときからでした。

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