はじめに私は、「株式会社俺」という少々攻めすぎた名前の会社を経営しています。どんな事業をしているかというと、笑いの力で組織を変える「コメディケーション(※)」とお笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」という2つを展開しています。※コメディケーションとは、コメディとコミュニケーションを掛け合わせた造語です。本書では、主にコメディケーションについて触れていきます。そもそもなぜ私が、このような事業を展開しているのかというと、私が浅井企画という芸能事務所で6年間、お笑い芸人として活動後、転職して人事のコンサルタントになり営業成績ナンバーワンを達成し、ベンチャー企業での人事責任者を経て、今の会社を経営しているという不思議な経歴の持ち主だからです。そんな経歴の中で500社ほどの経営者・人事の方とお会いしました。話をする中で、組織の課題はコミュニケーション不足から起きていることが非常に多いと感じています。具体的には次のようなものです。「上司と部下が本音で話をしない」・1on1などの施策をするものの、本音を言う関係性ではないため無駄で苦痛な時間だけが過ぎてしまう・部下が何を考えているか分からない。また、部下も上司が何を考えているか分からない「若手の社員がすぐに会社を辞めてしまう」・職場の人間関係に馴染めず辞めてしまう・憧れる先輩や上司がおらず自分がここにいる理由がないと感じてしまう「会社としての一体感が生まれにくい」・イベントや飲み会などでパワハラまがいのイジリが行われている・互いの個性を尊重する文化がなくロイヤリティ(忠誠心)が高まらないこれらの課題は、弊社が提供する笑いのメカニズムを活用すれば解決することが可能です。一見、複雑な課題でも日々の少しの工夫で大きく変化を起こすことができます。例えば、若手の離職率が70%だった会社が20%以下になったという事例もあります。また本書では、営業でお困りの方にも非常に有効に活用いただける内容となっております。多くの営業の方とご一緒する中でお伺いする課題としては次のようなことをよく耳にします。「お客様との距離の詰め方が分からない」・お客様の懐にどのように入っていいか分からない・アイスブレイクをしても逆に場が固まってしまう「プレゼンで魅力的に伝えることができない」・面白い話をしたいが何を話していいか分からない・プレゼンで緊張してしまいグダグダで終わってしまう「お客様からニーズが引き出せない」・苦手なタイプのお客様が多い・何を質問していいか分からず会議がストップしてしまうそのような課題をお持ちの方々に、弊社の「研修を受けた営業担当」と「受けていない営業担当」で成約率に9・8ポイントの開きが出たりと、多くの成果を上げています。なぜ、弊社のノウハウで成果が上がるのかというと、私自身がお笑い芸人から転職後、営業として全く売れない期間を過ごしたからです。前述したような課題を感じ、一つずつ自身が培ったお笑いのノウハウを活用することで解決し、営業成績ナンバーワンを達成しました。だからこそ生きたノウハウとしてご紹介できると思っています。さらに本書では、皆様にただノウハウをお伝えするだけではなく活用イメージがより湧くようにストーリーでご紹介するスタイルを取りました。また、ストーリーの中で詳しく紹介できない部分に関しては、より分かりやすく解説をしております。登場人物は分かりやすく営業部所属としましたが、これからご紹介する笑いのメカニズムは営業部だけでなく、どこの部署に所属していても、もしくは経営者でも活用できる知識ですのでご安心ください。そして、え、こんなことしているの?と楽しんで読んでいただけると嬉しいです。主人公の営業部所属「深田敬」は、本書を手に取っていただく方であればイメージが湧くキャラクター設定になっています。会社もしくは、部署に必ず一人はいるであろう、お調子者で営業成績が振るわない人材。「自分もそうだな」「まるでアイツみたいだな」と楽しんでみてください。また、営業部の上司「川谷政成」の苦悩もよくあるリアルな悩みをストーリーとして展開しています。「川谷政成」のマネジメントスタイルは時代からズレてきており、マネジメントに適さない人材として評価を下げています。
「川谷政成」自身も上司から同じようにパワハラまがいのマネジメントを受けてきたからこそ、それが正しい、もしくはそれしか知らない状態に悩み苦しんでいる。そんな上司の現実もかいま見えるかと思います。さて、彼らが登場する会社は、弊社で担当した企業5社の課題を混ぜて作っています。5社は全て別のビジネスモデルですが、それぞれがコミュニケーションという切り口では同じような課題に悩まされていました。つまり主人公の「深田敬」や上司の「川谷政成」が取り組む本書の課題は、どの会社でも起こっている、解決すべきものであるということです。ぜひ、自社と照らし合わせながらお読みいただけますと幸いです。
目次はじめに第1章まずは自分をプロデュースしようお前と俺のプロローグ蘇った昨日の記憶営業担当らしい「営業」は売れない深田敬が働く会社とは心理的安全性がない会議まずは見た目を意識する笑いで相手の感情を操作する自分を思い通りに見せる自己プロデュース力「メラビアンの法則」で印象をコントロールする「3つの目」で自分を正しく認識する相手を予想し、リアクションを引き出す話が盛り上がらない人の3つの特徴ビジネスに必ず使える5つのリアクション
第2章リアクションを実践してみる
深田のうまくいかない訪問アイスブレイクの構造を理解するトークでPDCAを回すすべらない話の構造を理解するエピソードを詰め合わせ、笑いを倍増させる笑いを生むためには中心を押さえる必要がある枕詞を活用して相手の本音を引き出す自分大喜利であなただけのボケを考えよう短所で「愛される」自分を作ろう
第3章一歩踏み出す勇気を持とう
一世一代のアイスブレイク怒れる川谷部長川谷部長と恵比寿のプロローグ無力を学習するサーカスの象「すべらない話」に学ぶ出演者を尊重した仕組み爆笑は分解すると9つのステップになる生産性を高める「スカブラ」人は簡単に変われない?「詰めて」しまう会議の実態「経路依存性」という呪縛心理的安全性を生み出す笑顔の技術逆算思考で数字を勝ち取るまずは自分から「笑う」爆笑を練習してみる雑談すると生産性が上がるなぜ若手の離職率が0%になったのかバッドサイクルは断ち切れるのか自律の根幹は「好き」という気持ち
第4章人と人を繋ぐ〝イジる〟技術
「受信」と「発信」でコミュニケーションの基礎を鍛える一般的な〝イジる〟とお笑い芸人の〝イジる〟の違い人を魅了して離さない〝返し〟の技術一歩踏み出した勇気を受け入れる初めての誘い職場・会議を活性化させる〝イジる〟技術笑いが絶えない職場の作り方
人を傷つけない〝イジリ〟用語早見表〝イジる〟には伝える順番を押さえる人を成長させるピグマリオン効果特別な存在になる〝返し〟の技術呼び方を2回変えることで相手との心の距離を測る語り継がれる伝説の返し
第5章タイプ別に「刺さりやすい」言葉を押さえよう
石野の意外な本音マズローの欲求5段階説から見える「刺さる言葉」あなたと仕事がしたいと思える質問自分らしさを新たに作る成功体験思い出した仕事への情熱相手を見極めた「最高の褒め言葉」マズローの欲求で「刺さる」言葉は変わる質問で相手の価値観を特定するSNSを見れば「価値観」を簡単に確認できる
第6章一流は好かれるために何をやっているのか
布袋尊の最後の授業売れている芸人に学ぶメール術飲み会で相手の心はつかめるのか「またご飯を一緒に食べたい」と思わせる後輩スキル「社内営業」はなぜ重要なのか飲み会で相手の心をつかむ5つのスキル人生を楽しくするABC理論
第7章数字で見えなくなっていたチームの笑顔
「シネマワーク」で背景や価値観を共有しようパートナーの言葉に耳を傾けよう「本当に大切なもの」を取り戻そう上司と部下のコミュニケーションは相互関係である「褒める」ことで距離を縮める過去を振り返り、親しみや愛着を引き出すモチベーションを見える化し、「やりたい」を見出す
第8章チームを一つにまとめる
恵比寿の最後の授業「伝わる」は作れる声でメッセージを刻みつけるビジョンを伝えチームをまとめる「話し方」より気持ちが大切2人で行く初めての食事それから10年後ロイヤリティが高まる話し方とは?スピーチで場の空気を操る間を使いこなし感情を自由に伝えるコラム5ステップで幸せに元芸人の披露宴スピーチおわりに参考文献
第1章まずは自分をプロデュースしようお前と俺のプロローグ「おい!起きろ!」昨日飲みすぎたのだろうか。一人暮らしの部屋で誰か知らない人の声がした。二日酔いで鉛のように重い体を奮い立たせて起きる。声のする方へ目を向けると枕元に小指くらいの小さなおじさんが立っていた。太ったスキンヘッドでパンパンに膨れた袋を持ったおじさん。お世辞にも身なりがしっかりしているとはいえない、浴衣のようなものを羽織った小さなおじさん。寝起きの頭が空回りし思考の整理を邪魔している。これはどういうことだろう……。「やっと起きたか!そろそろ会社に行かなあかん時間ちゃうんか?」関西弁の小さいおじさんは、僕に会社に行く時間だと伝えてきた。「なるほど。これは夢だ。どう考えても夢だ。昨日はひどく酔ったからまだ夢の中にいるんだ」と思い、改めて眠ろうとした。「あっ!痛い!!痛い!痛い!!」僕の頬に衝撃的なほどの痛みが走った。「起きろって言ってるやろ!」大きな怒鳴り声と痛みで跳び起きた。小さいおじさんは小さな手で僕の頬を力いっぱい、ぎゅーっとつねっていた。「何するんだよ!」「これで夢じゃないことが分かったやろ」小さいおじさんは満足そうにニヤリと笑い僕を見ていた。受け入れざるをえない。この痛みが本当であるように小さいおじさんは本当にここに存在している。恐る恐る聞いてみる。「一体誰なんですか?」「誰ってお前ほんまに覚えてないんか?……というかな、お前がそもそも望んで俺が来てやってんのに。呆れるわ。俺は、ほんまに呆れてるぞ」そう言うとおじさんは、大きなため息をついた。「すみません。本当に、覚えてなくて」小さいおじさんの、仕方ないなという呆れた表情がより濃くなった。「ほんまに、しょうがないやつやで。俺や!俺!神セブンの!もう分かるやろ!?」「カミセブン?」こんな小さいおじさんがアイドルグループ的なのに所属しているわけもなく……。「七福神や。こっちの神様の業界ではそう言うんや。もうこれで分かるな?」「すみません」「勘が悪いやつやのう!布袋尊や。よくこんな特徴的な神様を忘れることができたな!びっくりや。俺は、びっくりしてるわ」布袋尊と聞いてハッとした。僕には、聞き覚えがあった。僕が中学生の頃だった。クラスで面白いと人気者だった僕は、お笑い芸人に憧れていた。ある日、修学旅行で一人行動をして七福神巡りをしていた。布袋尊は、〝笑う門には福来たる〟で有名な神様である。ご利益があるかもしれないと思い参っていた。布袋尊が祀られている薄暗く人気がない祠には、「ここに賽銭を置いてください」と書かれた看板があり、賽銭を置くと小指サイズの土でできた布袋尊の人形を持って帰ることができた。お笑い芸人の夢は、いつの頃からか現実的ではないと思い忘れてしまった。今の会社に営業マンとして就職することが決まり、何となく引っ越し先に持ってきていた布袋尊の人形。あの頃の夢はなくなってしまい、就職して鳴かず飛ばずの営業マンとして働いている。たまに輝いていた学生時代を思い出す。こんなはずじゃなかったのにな……。「やっと、思い出したか!?ほんまに帰ろうかと思ったわ。さぁ、やろうか?」。そう言うと布袋尊は、大きく手を叩いた。「やるって何をですか?」「は?決まってるやん!面白くなるトレーニングや!」布袋尊はまくし立てるように言った。「お前、面白くなりたいんやろ?昨日、ベロベロに酔って俺に、泣きついてきたやん。まぁ、俺も嬉しかったし一肌脱いだろうと思ったんや。山本さんやっけ?見返したらなあかんで!」山本さんという名前を聞いて急に胸が痛くなった。急激に記憶が蘇ってくる。蘇った昨日の記憶昨日は、僕が勤めている会社の営業部の「数字達成お祝い会」だった。僕は、いつも通り後輩の石野元をイジりながら場全体を盛り上げていた。石野元が話すたびに、「オチねーじゃねーかよ!」とか「すべってるぞー!」とつっこんでいた。石野元は、楽しくなさそうに苦笑いするが周りはクスクスと笑っていた。石野元は、僕の1年後輩にあたる。何でもそつなくこなし先輩の僕よりも営業数字を上げている。才能が違うのか、学歴が違うのか、ポテンシャルが違うのか。僕はもう分からなくなっている。もしかしたら、分からないのを言い訳に頑張ることを放棄しているのかもしれない。だから飲み会で盛り上げ役に徹して、みんなにこの場だけは少しでも楽しんでほしいという気持ちが強い。今の僕には、これくらいしかできない。僕は、学生時代から飲み会では人一倍元気になるタイプだった。毎年開催される「数字達成お祝い会」では、僕自身が入社してから一度も数字を達成していな
いこともあるが、盛り上げ役しかやることがなかった。というよりは盛り上げ役に回るしか自分の存在理由がなかったのだと思う。そんな中、事件は起こった。山本さつきだ。山本さつきは同期入社で、管理部門に所属している。柔らかな印象で、街で見かけたら二度見してしまうほど端正な顔立ち、何でも本気で取り組める姿勢、まさに学級委員長タイプという感じの女性だ。仕事ぶりを認められ3年目にもかかわらず、管理部門でリーダー職を任されている。今回、管理部門として営業部をフォローした功績を認められて飲み会に呼ばれていた。僕が石野元を笑い者にして場を盛り上げていると、ドン!っと大きな音がした。場が静まり音がした方へ視線が集まる。そこには、テーブルを叩いて立ち上がり、拳を握り締めフルフルと体を震わせた山本さつきの姿があった。端正な顔が鬼のような形相になっていた。僕は直感的に感じた。これはマズそうだ……。「深田くんもうやめない!?オチがないって何!?すべってるとかって何!?」山本の勢いに気圧されたが喉の奥から搾り出し何とか声を発した。「いやぁ……山本どうしたの?みんな楽しんでいるでしょ?」「みんなって誰?少なくとも私は楽しくない。オチがないって言っているけど、深田くんの話にだっていつもオチはないよ。今まで言わなかったけど、深田くんの方がすべってるよ。勢いでごまかしているだけ。そんな風に石野くんに接するのをやめてほしい」その勢いは止まらなかった。営業数字が出ないのも、上司に怒られているのも、飲み会だけよく喋るのも、などなど、深田がいつも気にしていることをここぞとばかりに言い続けた。勘弁してくれよ……。正直ぐうの音も出なかった。みんなのためではなく、石野元を落として自分が目立とうとしていた。人のためではなく自分のためにやっていたからだ。数字が出ないのも完全に僕が悪い。山本の剣幕に頭がもうろうとしてきた。いつもは厳しい部長の川谷政成が、苦虫をかみつぶしたような気まずい顔でみんなに声をかけた。「まぁ今日は祝いの席だから仕切り直そう。じゃあ、もう一度乾杯しよう」「乾杯~~~~!」と威勢の良い掛け声とともに、気まずい雰囲気を散らすかのように改めて酒を酌み交わし会が進んでいく。どんな顔をしてこの場にいていいか分からず、めちゃくちゃ飲んだ。バレないよう山本の方に目を向けると、石野元が山本の側に座り、小声で何かを話している。「どこまでもそつなくこなすやつめ!」と心の中で呟いた。すると、山本がこちらに目を向け睨みつけてきた。聞こえるはずもないのに、怖い……。山本に何も言い返せなかった。唯一の盛り上げ役も否定され、営業の数字も後輩に負け、俺には何が残っているんだろう。助けてほしい。こんなはずじゃなかったのに……。営業担当らしい「営業」は売れないどうやって家に帰ってきたか覚えてないほど、酔っ払っていたらしい。昨日、悔し泣きをしたらしく枕がビショビショになっていた。悔しさが込み上げてきた。山本を見返したい。石野元なんかに負けたくない。「布袋尊様、僕……」布袋尊が言葉を遮って言った。「様とか柄じゃないから、『布袋さん』でええよ。中国でみんなにそう親しまれてきたから」「布袋さん、面白くなりたいです!あんなつらい思いしたくないです!」布袋尊は、深呼吸をした。太っているお腹がさらに膨張し、パンパンになった。そして部屋が震えるほどの大きな声で言った。「こ・こ・ろ・え・た~~~~~~~~!!」空気がビリビリと震えるほどの声に、僕の心は高揚した。これで救われた気がした。でも、ある考えが頭をよぎった。面白くなったところで営業ができるようになるわけではない。結局、何の解決にもならない。救われたと思った心の高揚は、見る見るうちに冷静になっていく。僕の満面の笑みは、真顔へと変わっていった。すると布袋尊が改めて口を開いた。「お前、急に顔変わってしまったから先に言うとくけど、面白くなることは営業マンとしてだけでなくビジネスマンにとって非常に重要なことやで」「は?」。ハテナで頭の中がいっぱいになった。「面白くなることが営業マンとビジネスマンとして重要なこと?」。全く聞き覚えのないことを言われた。布袋尊が、待っていました!と言わんばかりに話し出した。「例えば俺が、営業マンで、お前がお客さんだとして礼儀正しいだけの人間から買うか?本当に買いたいのは『この人また会いたいな』と思える人からのはずや」また会いたい人、と言われてもピンとこなかった。普通に考えて、物は営業マンから買うものだ。また会いたい人から買うとは、一体どういうことなんだろう。「お前あれか?勘が悪いというか、お母さんのお腹の中に勘を忘れてきたんちゃうか?」布袋尊がため息をつきながら話を続けた。「しょうがないのう。ニッチな産業は違うにしても、大抵の商品に大きな差はない。そこで差別化されるのは販売している人間になる。商品が売れてもその後、何度も会うことが多い。長いお付き合いになるってことや。そしたら人間的な魅力があるやつから買うやろ?」「そう言われると、確かにそうですね」「そこで笑いの力や。面白くなることで人間的な魅力も自然と出すことができるんや。そうするとお前に商品としての価値も出てくるわけや。ビジネスにおいてここがすごく重要なんや」面白くなることで、人となりを出すことができる。どういうことなんだろう。まだ納得感がなく悩んでいると、「じゃあ、孫正義くん分かる?」「は、はい。あの?」「そうや。彼はな講演会の最初に場の空気を和ませようと、自分のハゲた頭を使って自虐(※)ネタを披露し、笑いを取ってから話を進めるんや。そうすること
で、場が和んで自分が話しやすい空気になる。そして、親しみやすい人柄であることを伝えているんや」※自虐:自分を下げて笑いを取ることをいう。布袋尊は続けた。「じゃあ、お前はどう見られたいの?」僕はどう見られたいんだろう……?悩んでいると「ジリリリリリリ」と携帯が鳴った。携帯を見ると画面には「スヌーズ」と出ている。いつも会社へ出勤している時間を大きく過ぎていた。布袋尊がのんきな声で言った。「1回目鳴ったとき、うるさかったから止めといたで~」「なんで!?」と思ったが、急いでスーツに袖を通し準備をした。部屋を出て走って駅に向かうとき、かすかに布袋尊の声で「お供え物買ってきてな~」と聞こえたが、気にとめていなかった。僕の頭の中は、「僕はどう見られたいんだろう?」という言葉が駆け巡っていた。煮え切らないまま会社へ向かった。今日は、苦手な営業会議がある日だ。深田敬が働く会社とは深田敬が働く会社は、企業に対して社員研修などのプログラムを販売している。新入社員研修から管理職研修などのいわゆる階層別研修を扱っている。会社の大切な社員の教育を預かる仕事だ。社員の平均年齢も30歳と若く、成果を出した者が役職を与えられる。主な部門は3つある。[営業部]深田や石野、川谷部長が所属している部門となる。営業数字を稼ぎ出すために、企業を訪問して研修を導入してもらう活動をしている。販売して終わりではなく、現場でいかに学んだスキルを使えるかをお客様と一緒に考える密着型営業が売りとなっており、プロとしての専門的な知識も必要となる。営業数字を伸ばし成長してきた会社であるため、数字には厳しく営業会議では「詰める」アプローチが横行している。深田は新卒から営業に配属され3年目となる。まだ一度も目標数字を達成したことがない。[開発部]企業研修のコンテンツを作成する部門となる。営業がお客様から受注してきた研修の案件を形にする。プロとして常に新しい人材育成のトレンドを把握し、新商品を開発するスキルが求められている。正解がない中で形にするためコンテンツ作成に非常に時間がかかる。パッケージを作成するのが仕事だが密着型営業が取ってくる案件は、要件が全て異なっておりカスタマイズが必要となる。必然的に労働時間が長くなる。[管理部]山本さつきが所属する部門となる。企業研修を提供しているため講師の調整や研修に使う備品・資料などを準備している。縁の下の力持ちでありこの部門なくして会社は成立しない。営業からはバックオフィスなどと呼ばれ、ちょっと下に見られている。自分たちは、会社のコストであるという意識があるため新たなことにチャレンジすることや部門だけで勝手な判断ができないのが正直なところである。心理的安全性がない会議深田は、会社の最寄り駅から全力で走り定時ギリギリに到着した。肩で息をしながらタイムカードに打刻していると後ろから声が聞こえた。「深田、社長出勤か?飲み会の次の日だからこそ、早く来いよ!」後ろには川谷部長が立っていた。怒ったときは、般若のような顔になる。形相だけでなく色も真っ赤になる。お面でもつけているのか、と思うほど怖い表情となるが、今朝は口元がニヤッとしていた。ただ、目だけが爛々としていた。川谷部長も寝不足なのか。何より安心したのは、今日はまだ怒っていないことだ。「すみません」と呟き会議室へと急いだ。川谷部長の一声で、会議が始まった。現状の数字報告、各個人の進捗、今後の方針の順に会議は進んでいく。特に恐れているのは「各個人の進捗」だ。ここで個人攻撃的に詰められる。昨日は「数字達成お祝い会」だったが、一夜あけた今日は、新たな数字目標が言い渡される。川谷部長から数字報告が行われ、進捗状況の報告が始まる。達成会あけの今日は、「なぜ、お前は数字が稼げないのか?」という僕に対しての質問から始まった。「おい!深田!お前は入社してから一回も数字達成してないな!どうしたらいいか言え!分かってんのか?」川谷部長の口調に尻込みしながら、自分が思い当たる理由を言ったが、あまり納得感がなかったようでさらに詰め寄られた。「すみません」。何を言われても、「すみません」と返してしまう。どんどん思考停止していく。「だからお前は」「ちゃんとやってんのか?」「考えてんのか?」「意見はないのか?」。川谷部長の声だけが会議室に響いている。会議室に重たく不穏な空気が充満してきた。息苦しい。いつもならこのまま会議が終わっていくのだが、急に川谷部長の様子が変わった。ハッとした顔になり言葉を発した。「まぁ、次回も頑張ろう。深田、誰かの営業の方法を勉強してみろ」川谷部長が人をかばう言葉を発したのを初めて聞いたかもしれない。昨日の「数字達成お祝い会」で、山本から一方的に言われていたのに気を使ったのだろうか。今後の方針が発表されていたが苦痛な時間が終わった安堵感から何も頭には入ってこなかった。そして営業会議は終わった。深田は飲み物でも買おうと思い、社内に設置された自動販売機へ向かった。疲れた顔で会社の廊下を歩いていると、向かい側から山本さつきが歩いてきた。気まずい。どんな表情をしたらいいか分からず半笑い的な何とも言えない表情で、意を決して自分から話しかけることにした。「山本~!昨日は大変だったよ。お前酔っていたのか?」山本は鋭い目で深田を見て、ため息をついた。「酔っているとかじゃないよ。本当にああいうのはやめてほしい。何となく冗談で済まそうとしているでしょ?気の抜けた顔で話しかけて。私は本気でダメだと思っているから」そう言うと足早に去っていった。気の抜けた顔じゃなく、気まずそうな顔だったんだけどな……伝えたいことは表情だけでは伝わらなかった。まずは見た目を意識する家に着くとテレビを見ながら布袋尊がくつろいでいた。「おかえり~」と言いながら小さいおじさんは僕の枕の上でゴロゴロしていた。「最近のバラエティはキャラが濃いやつが増えたな~」とブツブツ言いながらゲラゲラと笑っている。「君、お供え物買ってきてくれた?」「はい?お供え物?」布袋尊は苦笑いしながら言った。「いやいやいや、朝、君が出るときに『お供え物買ってきてな~』って伝えたやろ?」聞こえたような、聞こえてないような……。「ごめんなさい。忙しくて買ってないんです」「お前、本当に残念なやつやのう。俺はええけどバチ当たるから覚悟しておいた方がいいよ。自分のことばっかりのやつはバチ当たるわ」「バチって怖いこと言わないでくださいよ。ちょっと、忘れただけなのに」「今なんて言おうとこれだけは仕方ない。お前には、バチが当たる。なぜなら、俺は
神様やから。例えば、神社に行ってお賽銭も投げずに毎日、毎日、お願いごとだけしている人見たらどう思う?」「いや、それは、お賽銭くらい払えばいいのにって思いますけど」「全く同じことやん。君の家に住んでいる神様に毎日ありがたい話を聞かせてもらっているわけや。お願いごとして毎日叶っているのにお賽銭どころか、お供え物すら渡さない……」「そんなこと言われても……」「残念やけど、そろそろ来たみたいやわ」すると部屋の空気が一瞬冷たくなったような気がした。玄関の方からパンッという破裂音が聞こえた。深田の体がビクッと動いた。急いで玄関に向かうと普段履いているスニーカーの靴紐が真っ二つに切れていた。顔から血の気が引いていくのが分かった。布袋尊の声がする。「な?自分、これで分かったやろ?神様っていうもんは、大切にしなあかん。お供え物を買ってこないといかんわけや」僕は玄関のドアを開け、急いでコンビニに向かって走った。コンビニで、布袋尊に何を買えばいいか分からず、とりあえずレジ横のチョコを買って戻ってきた。「布袋さん、これでもうバチは当てないでください。チョコを買ってきました」と言いながら布袋尊がいる枕元にチョコを置いた。「分かればいいのよ。誰もないがしろにしてはダメだよ」と言いながら、じっとチョコを見つめて、自分が持っている袋の中へ入れた。「え?食べないんですか?」「当たり前やん。お供え物は見て終わりや」神様の常識って一体何なんだろう……チョコ、食べないんだ。見てもらうために全速力で走ってきたのか。「ほんで、会社どんな感じやったん?家に帰ってきたときの顔から察するに『今日も嫌なことがありました』って感じやったけど」「分かりますか?」「分かるも何も嫌なことあったような顔してたやん。話聞いてください、って顔に書いてあったで」布袋尊に促されるまま話をし出した。今日の会議のこと、山本さつきに言われたこと。そんなことを洗いざらい話した。もう後半は愚痴になっていた。「営業で売れないからってあんなに詰めなくてもいいと思うんですよね。そんなこと言われても何していいか分からないし。あの部長のやり方を変えないとダメだと思うんですよね。それに……」「はいはい、そこまで!」と言うと呆れた顔をして布袋尊が話をし出した。「もうただの愚痴になってるやん。部長のやり方は確かに変えないとあかんけど、そもそもお前が営業数字を達成しない限り対応は変わらへんわけやから」「でも、営業で成果を出すってそんな簡単じゃないじゃないですか!」「『でも』やない!簡単や。『お前はどう見られたいの?』この質問が最も大切なことなんや」朝に聞かれた問いだった。でも、僕の中で答えは出なかった。「うーん」と頭を抱えて考えてみる。「もうええわ。ポーズだけやないか!ペンと紙貸して」枕元にペンと紙を置いた。布袋尊は両手で大きなペンを抱え器用に全身をクネらせながら紙に絵を描き始めた(図1)。
「この図見たことあるか?就活してるときによう聞く話やと思うけど。メラビアンの法則って言うねん」「なんとなく耳にしたことはあります」「なんとなくってなんやねん。もうそれは、聞いてないのと一緒やん。ほな簡単に説明するわ。アルバート・メラビアンくんが1971年に提唱したんやけど、要するに、人物の第一印象は初めて会ったときの3~5秒で決まる。情報のほとんどを『視覚情報』から判断するってことやな。『視覚情報55%』『聴覚情報38%』『言語情報7%』こんな感じや」「なるほど。じゃあ、見た目が重要ってことですか?」「それでは半分正解や。ここで本質的に伝えたいことは、そうじゃないんや」と言うとペンでさらに描き加えた(図2)。「各情報を分解するとこんな要素が含まれてるんや。でや、要するにこの情報を全部意識的に自分で演出することができれば思い通りの自分を『自己プロデュース』することができるんや」「な、なるほど」「じゃあ例えばあれを見てみ」と言うとテレビを指さした。テレビには、バラエティ番組が映っており、ピンク色のベストを着てテクノカットをしている芸人さんが「トゥース!」などと言ってギャグを披露していた。布袋尊はさらに話をし出した。「あの芸人さんが、普段からピンク色のベストを着てると思うか?あれは自分をプロデュースしているんや。ちなみにな、俺もそうや」「布袋さんもそうなんですか?」「そうや。俺は、七福神の中で一人だけ人間から神様になっているわけなんやけど。どうしたら神様っぽく見えるのか、どうしたら神様に選ばれるのかを追究して今の衣装や話し方になってる。俺も、意識してないときはスーツにロン毛やったしな」布袋尊がスーツにロン毛?明らかに神様っぽくない。布袋尊のそんな姿を思い浮かべると少し笑えた。「お前な、売れる営業はどんな見た目で、どんな話し方で、どんな言葉を使っているんか、それをしっかりと理解しないとあかんわけや」「あんまり意識したことがないかもしれません」「そうやろ?ボサボサの髪で、ヨレヨレのシャツ、スーツもクタクタで。ほんで、さっき話聞いていたら愚痴ばっかり。そんなお前に誰が自社の大切な社員の教育を頼むんや」
笑いで相手の感情を操作する全く言い返せなかった。僕は、社会人になって見た目だけでなく、話す言葉にも意識を向けていなかった。「じゃあ、一番簡単な自分の印象を『自己プロデュース』する方法を教えたる。それはな、リアクションや」「リアクション?芸人さんがやっているようなやつですか?」「そうや、リアクションを取る必要があるんや。ビジネスで言うと営業が使っている『反応吸収』っていうやつやな」「反応吸収?何か吸収するんですか?」「無知やな~。ほんま無知やわ。もう可愛く見えてきたわ。『反応吸収』っていうんは相手の発言に対して相槌を打ったり、繰り返したり、笑ったりすることや」「あぁ~。なんか営業会議で聞いたことあります」「気の抜けたこと言うな!あんな、お前みたいに相手と話が盛り上がらない人の特徴が3つあるんや」布袋尊が枕をペンで、ドラムのようにバタバタと叩き出した。埃が舞い上がり、2人とも咳が出る。「ドドン!」という声とともに、3つを紹介した。①自分からリアクションを取らない②今まで笑いを取ったトークや表現をストックしていない③相手に質問することにブレーキをかけてしまう「この①は、すごく簡単にできるからやったらええ。相手が話すことに対して、相槌を打つ。そして、自分から笑うんや。そうすることで会話が盛り上がるんや。この『笑う』っていうのが重要なんや」「え?笑うことが、なんでそんなに重要なんですか?」「いい質問やな。それはな、人の感情の特性にある。人の感情というのは相手の感情に共鳴して同じ感情を引き出す特性があるんや。笑ってる人を見たら笑ってしまうし、イライラしている人を見たらイライラする。要するにや、お前が営業として訪問したときによく笑うと相手は必ず『楽しい、面白い』って感情が引き出されるんや」「なるほど……」。確かにそうかもしれない。満員電車でイライラした人を見て自分もイライラした経験がある。「お前、明日の予定はどうなってるんや?」「ちょっと待ってください」。携帯でスケジュールを確認した。「えー、初めてのお客様への訪問です」「いやいや、お前、明日の予定も即答できひんのか?事前準備もしてへんのとちゃうんか?会社のこと調べたり、仮説で課題を立てたり。そんなこともしないで訪問に行くなんて、戦場に竹槍で殴り込むようなもんやぞ」「すみません」「今すぐ調べて準備をしろ!」「はい!」明日に向けて企業を調べた。
自分を思い通りに見せる自己プロデュース力「メラビアンの法則」で印象をコントロールする「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?アメリカの心理学者アルバート・メラビアンという方が、自分の名前をそのまま大胆に法則名にしたものです。就職活動をしているときに耳にしたことがある人もいるかもしれません。人は他人について視覚情報、聴覚情報、言語情報の中で、「視覚情報」で50%以上判断するという法則です。ここで一番お伝えしたいのは、先ほどご紹介した要素を意図的に発信することができれば、自分の印象を思い通りに、周囲に演出することができるということです。さて、お笑い芸人の世界でも売れている芸人さんのほぼ半数が、衣装にこだわり、キャラクターを決め、キャラクターに沿った言葉を発しています。ピンクのベストを着たり、金髪のモヒカンにしたり、リーゼントにしたりと工夫を凝らし自分を意図的に演出しています。今売れている芸人さんの過去の写真を検索してみてください。明らかに努力を見ることができます。では、どのように自分をプロデュースするかというと、「3つの目」を使います。①自分から見た自分②相手から見た自分③将来のなりたい自分から見た自分この3つから見た自分を正しく認識することが必要となります。以下、詳しく説明していきます。「3つの目」で自分を正しく認識する①自分から見た自分正しく認識するためには、鏡を使って客観的に自分を見たり、どんな人物なのかを自分に質問したりしていく必要があります。②相手から見た自分「ジョハリの窓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?図3をご覧ください。相手から見た自分とは「自分は気づいていない」けれど「他人は知っている」すなわち、「盲点の窓」を指します。この窓を開ける方法は一つしかありません。それは、人から聞くことです。ぜひ、率直にどう思うかを聞いてください。ちなみに、笑いは「秘密の窓」と「盲点の窓」に隠れていることが多いです。特に、手っ取り早いのは「秘密の窓」を開いて笑いを取る手法です。ほとんどの芸人さんが失敗談や人に言いにくい話をして笑いを取っているように「秘密の窓」には笑いが隠れています。具体的には、「貧乏な話」「鬼嫁の話」「身内の話」などが多いです。芸人さんからすると「秘密の窓」は秘密ではなく笑いが取れるただのネタでしかありません。③将来のなりたい自分から見た自分改めて自己プロデュースする目的をセットする必要があります。入社動機や現在感じている自分への憤りをもとに描いていくといいと思います。なぜ、憤りをもとに描くかというと憤りとは自分への「問題意識」だからです。問題だと思うということはその背景に「こうなりたい」が必ず隠されています。
3つの目を正しく把握しきれず、どのように自己プロデュースしていいか分からない、演出する姿が思い浮かばないという方は、営業で成果を出している人を真似してください。私は、お笑い芸人からコンサルタントへ転身したものの、あまりに違う道すぎて思うように成果が上がりませんでした。試行錯誤した結果、営業で成果を出している人の「見た目」「営業トーク」「使っている言葉の表現」を完全にコピーすることにしました。真似するためについて回り、営業トークも録音して覚えました。録音を聞く中で、言葉の表現や間の取り方などの明らかな違いに気づきました。自分も営業トークを真似して修正していくと明らかに営業成績が上がり始めました。本当に効果があるのですが、面倒くさがってやらない人が多い方法です。また、この方法を実践すると棚からぼた餅的な副産物を手に入れることができます。それは、上司や先輩から可愛がられるという効果です。皆様も働く中で感じていると思いますが、社内営業は非常に重要です。上司や先輩に必死について回る後輩を可愛がらない人はいません。自然と社内営業もできてしまいます。相手を予想し、リアクションを引き出すちなみに現在、私がやっている自己プロデュースは、「白いシャツ」「紺ネクタイ」「スーツ」を身につけることです。なぜかというと、元お笑い芸人という肩書きがお客様から見ると「軽い」「ビジネスを知らない」などの印象を持たれてしまうので、印象を操作するためにビジネスマンらしい見た目を演出しています。ただ、それだけですと「あれ?真面目なだけ?」と思われてしまうので、名刺のサイズをiPadと同じ大きさにしています。だいたい、通常の名刺の9倍の大きさですね。これを出すことによって、お客様が「でか!」「大きいね」などのリアクションを取ってくれ、「元芸人さんだけあるな」と期待に応えることができます。さらに続けて、「実はこの名刺はマーケティングの一環なんです。弊社のビジネスは、全てお笑いをベースに作られているので、名刺を渡してリアクションがなかった場合は弊社のお客様になる可能性は限りなく低いと判断させてもらっています」というトークまで準備しています。このトークを聞くと大抵の相手は「本当に考えている人だな」と感心してくれます。そして最後に、「先ほど、大きいなど、リアクションを取っていただいたので、本日は良い商談になりそうです」と言ってニコッと笑い本題に入るようにしています。言うまでもなく商談は非常にスムーズに進みます。完全に余談ですが、今まで1000名以上の方に大きな名刺を渡してきました。ほとんどの方は、「でか!」「大きい!」「名刺のアプリに入らない」などのリアクションをします。その中でも印象的だったリアクションは、久米宏さんです。以前、久米宏さんのTBSラジオの番組にゲストでお呼びいただいた際に名刺を渡しました。受け取ったとき、久米宏さんは「そうきたか!?」というリアクションを取りました。「そうきたか!?」ということは、予め何か仕掛けてくると気を配っていたのだと思います。さすが一流の方は違うなと驚いたのを覚えています。話が盛り上がらない人の3つの特徴ストーリーの中で布袋尊が言っていた話が盛り上がらない人の3つの特徴を説明します。このストーリーを読み進める中でも、重要な事項となります。そもそも、なぜ話が盛り上がらないのでしょうか?①自分からリアクションを取らない面白い人とは「面白いことを言う人だ」と思われがちですが少しズレがあります。もちろん、面白いことも言うのですが、それ以上に、面白い人ほど人の話によく笑うということです。弊社の研修受講者の方に「お客様は別に面白いことを言わないけど、なぜ、笑わないといけないんですか?」と聞かれたことがあります。誰のために笑うのか、ということです。面白いから笑う時点で、その受講者の方は笑わせてもらうという受身的にその場に存在しています。自分が主体的に場
をデザインするのだという意識が低いことがうかがえます。場をデザインするために、自分から相槌を打ち、笑うことでどれだけ相手が話しやすい空気を作ることができるかが重要となります。②今まで笑いを取ったトークや表現をストックしていない必ず伝えることがあります。実は、「面白くなる」ことは誰にでも可能だということです。面白くなる行為は、「筋トレ」と全く同じです。例えば、正しいトレーニング、正しい栄養バランスを取りながら継続することで筋肉は誰にでもついていきます。それと同様に、面白くなる行為はトレーニングで身についていきます。筋肉は、自然と蓄積されていきますが、面白さを蓄積していくためには、笑いが取れたフレーズやトークを同じように記憶していく必要があります。そのために芸人はネタ帳を持ち歩きメモをしているのです。ただ、筋肉がつきにくい人がいるのと同様に、面白くなりにくい人がいます。それは、自分を正しく認識できていない人です。つまり「相手から見た自分を正しく認識してない人」です。そのため常に発言がズレ、笑いが起こらないことが多いです。③相手に質問することにブレーキをかけてしまう弊社の研修の受講者の方で「〇〇なんて聞いていいんですか?それは失礼にあたらないんですか?」など相手のことを聞くことへブレーキをかけてしまう人がいます。私が、いつも答えるのは「失礼かどうかは相手が決めること」ということです。当たり前ですが、嫌なら答えません。そして、もう一つ重要なことは聞く前に自分も同じ情報を開示することです。ただ聞き続けるだけでなく、同じ情報レベルまでしっかりと自己開示することにより相手も話しやすくなります。質問という一つのリスクを取ることであなたは特別な存在になれる可能性が高まります。ビジネスに必ず使える5つのリアクション最後に、明日から使える簡単なスキルをお伝えします。営業のスキルで「反応吸収」というものがあります。相手の話を繰り返したり、相槌を打ったりするスキルのことを言います。図4をご覧ください。図のように5つの相槌を、抑揚をつけて行ったり来たりしているだけで、「あぁ、この人分かってくれているな」と感じてもらえます。お笑いの世界では、このスキルをリアクションと言います。リアクションをしない芸人は、まずいないですよね。それほどお笑いの世界では、「基礎中の基礎」ということです。簡単にできるにもかかわらず高い効果を発揮します。ぜひ、実践してみてください。
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