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第1章「小さな気遣い」で仕事も人間関係もうまく回り出す

はじめに

突然ですが、「 CA(客室乗務員)」と聞くと、どんなイメージをお持ちになりますか? どこかに、「気遣いができる人」「気がきく人」というイメージがあるかもしれません。

でも、最初から備わっている人はほんのごくわずか。CAの仕事をする中で、磨かれていくものなのです。

小さい頃から「のんびりしてるね」と言われることが多かった私は、大人になってもその性格は変わらず、 CAになりたての頃は毎日のように失敗ばかりを繰り返していました。

先輩から叱られるたびに落ち込み、なんとか巻き返そうと一所懸命に先輩やお客様に気を遣う「努力」をしていました。でも、努力すればするほど空回り。

立ち居振る舞いは挙動不審になり、発する言葉は意味不明。しまいには、自分自身でも何をやっているのかよくわからなくなる始末。

そんな毎日に、私はいつしか疲れ果ててしまい、フライトの前日は夜も眠れない日々が続きました。

「なんで私はこんななんだろう……」「さりげなくスマートに気遣いできる人がうらやましい」「私はどうしたらいいんだろう……」 そんなことばかりを考えていました。

でも少しずつ仕事に慣れて、だんだんまわりの状況が見えるようになると、まわりの人がどんな気遣いをしているのか見えてくるようになったのです。

そこで私は、あることに気づきました。それは、相手にとって嬉しいと思う気遣いとは「ちょっとしたこと」だということです。

気合いを入れてやることでも、ものすごい大きな仕掛けや、高いお金をかけるものでもないのです。入念な準備もいりません。さりげない一言や些細な行動が、大きな気遣いになるということに気づいたのです。

今となっては「気遣い」とはそういうものだと思えますが、その当時の私にとっては目からウロコ。なんかスーッと気持ちが楽になっていく感覚がありました。

「なんだ、これなら私にもできるかもしれない!」 この感覚は、驚きであり、嬉しさでもありました。そして「ちょっとしたこと」を実際にやってみると、まわりの人がどんどん笑顔で返してくれるようになったのです。

振り返ってみてあらためて思います。

気遣いは、特別な人に備わっている先天的な資質や性格ではなく、後からいくらでも身につけられる簡単なスキル。相手のことを思い、ちょっとした言葉や態度でそれを伝える。

それを繰り返して習慣にしていく。

ほんのちょっと意識を変えるだけで、ほんのちょっとコツをつかむだけで、誰でも気遣いの達人になれるのです! 嘘だと思うかもしれませんが、こんな私がそうなれたのだから間違いありません! 本書では、そのエッセンスを余すところなく書かせていただきました。

上手な気遣いができなくて悩んでいる人はもちろん、仕事や人間関係で悩んでいる一人でも多くの人に届けられたら──それが私の思いです。

できるだけいろいろな切り口で、すぐに真似できるように、簡単なコツや事例をたくさん詰め込みました。

本書を読み終えた後、あなたの抱える悩みがスッキリ解消し、新しい自分に出会えることを願っています。

そんなあなたの笑顔が見られたら、これ以上に嬉しいことはありません。ぜひ、本書を楽しんで読んでいただけたら幸いです。

「小さな気遣い」で仕事も人間関係もうまく回り出す

目次

1 「気遣い」とは、相手の気持ちを少し想像すること

◆「遣」という字に込められた意味

気遣いや言葉遣いの「遣い」の漢字は、「使い」ではありません。

「遣」という漢字は、「思いを伝える」「心をはたらかせる」という意味があるそうです。

遣唐使の「遣」も、この漢字を書きますよね。

きっと遣唐使は、モノや情報、文化だけではなく、思いも一緒に伝えていたのかもしれません。

一方で「使」という漢字は、「ティッシュペーパーを使う」「ペンを使う」など、消費するものに対してよく使われます。

この漢字の意味の違いからもわかるように、気遣いは「思い」がもとになっているものなのです。

◆チーフパーサーが、笑顔を消して静かに挨拶するワケは?

CA時代、相手への思いが伝わる素敵な気遣いをしている先輩がいました。

CAは普段、出発時、搭乗口のドアの外に出て、お客様にお出迎えの挨拶をします。

あるとき、いつもなら明るく笑顔を交え、ハキハキした声で「いらっしゃいませ! おはようございます!」と言うチーフパーサー(その便の CAの最高責任者)が、急に声を落とし、笑顔を消して静かに挨拶をしました。

その様子が見える位置にいた私は、「あれ、どうしたのかな?」と不思議に思いました。

そして、お客様をよく見てみると、喪服を着た方々がちょうど搭乗されるところだったのです。

その方々が目の前を通りすぎるとき、チーフパーサーは悼む表情で静かに頭を下げて挨拶をしていました。

その頃の私はまだ新人で、右も左もわからず、ただ元気な挨拶をするだけが取り柄といった状態でした。

この光景を見て「私に、チーフパーサーのような咄嗟の気遣いができただろうか?」とハッとしたことを覚えています。

◆一瞬のやり取りに違いが出る

気遣いとは、〈相手の気持ちを想像し、思いを伝えること〉だと思います。

ただ入口で判を押したように挨拶をしていたら、相手の気持ちに寄り添った挨拶はできないでしょう。

「挨拶をする」のが目的ではなく、一人ひとりのお客様の気持ちに応えるために「挨拶」という手段をとっていたのです。

飛行機に乗ってくださる方は、もちろん楽しい旅行だけではなく、さまざまな理由でご利用されます。

「どんなご事情なのかな?」と深入りしなくても、様子を見て状況を察する力は大切です。

気を落とされている方に向かって、満面の笑みで「いらっしゃいませ! おはようございます!」と元気よく大きな声で挨拶をしたら、相手はどんな気持ちになるでしょうか? チーフパーサーのように、相手の心情に寄り添うことで、たとえ一瞬のやり取りであっても、自分の気持ちは相手に伝わるものです。

ほんの少しの気遣いが、人との関係性をつくっていくのです。

2 「気遣い」ができるだけで、今の状況が好転する!

◆仕事はできるのに人間関係でつまずく

私の友人で、頭の回転は速いのですが、思ったことを直球で相手にズバッと話してしまう人がいました。

裏表のない信用のおける人で、個人的には好きでしたが、いつも職場の人間関係に悩んでいました。

「はっきり言っちゃうからよく誤解されるんだよね。

長い付き合いの人はわかってくれるんだけど……」 ビジネスシーンにおいては、気長にじっくり付き合ってくれて、自分の良さを時間をかけて見極めてくれるなんてことは非常に稀です。

ときには、最初の印象だけで「この人は感じが悪い!」と見切られてしまう可能性だってあります。

ビジネスにおける評価は、とてもシビアなのです。

◆気遣いができないと、総合評価は「ゼロ」

私が尊敬する先輩に、「いくら仕事が速く正確にできても、感じが悪いと思われたら評価はゼロになる可能性がある」と言われたのを思い出します。

つまり、人間の評価は総合力。

各能力は、かけ算であって足し算ではない。

どこかが「ゼロ」だと、結果「ゼロ」になってしまうこともあるのです。

どんなに高い事務処理能力があったとしても、気遣いができないだけで「ゼロ」の評価を下されることだってあります。

仕事は一人で進めることはできません。

「感じが悪いから、あまり関わりたくない」と思われたら、まわりの協力を得られないだけでなく、いずれ孤立して、仕事が立ち行かなくなるでしょう。

でも、私は無理して感じを良くしろと言いたいわけではありません。

ほんのちょっとの気遣いで、「感じが良い」とまわりに信頼される人もいれば、ちょっとの気遣いができないばかりに「感じが悪い」と見放されてしまう人もいるということを知っておいてほしいのです。

◆まわりから好かれると、やりたい仕事ができる

「感じが良い」と思われると、どんな良いことがあるのでしょうか? たとえば、 ここぞというときに選ばれる。

大きな仕事を任される。

大変なときに協力してもらえる。

出会いが広がる。

情報が集まる。

まわりから好かれる……。

ほんのちょっとの気遣いができるだけで、まわりの状況は一変します。

あなたの人生も変わりはじめます。

これは大袈裟に聞こえるかもしれませんが、本当のことです。

冒頭で紹介した私の友人も、人間関係で悩んだ末、自分の「気遣い」のなさに気づき、言い方や振る舞いを少しずつ見直していったそうです。

最初はいつもの癖がなおらなかったようですが、少し経つと明らかにまわりの人たちが協力し、賛同してくれるようになったと言っていました。

今では「自分のやりたい仕事を、思いどおりに進めることができるようになった」と明るい表情で話します。

名だたる経営者が師と仰いだ実業家中村天風さんも、「他人に好かれる人になりなさい」という言葉を残しています。

まわりに好かれる大切さを説いているのです。

ほんのちょっとの気遣いで、まわりの人との関係は大きく変わります。

でも、それは何も難しいスキルではありません。

誰でもすぐにはじめられる簡単なワンアクション。

ぜひ、まわりの状況を、あなたの人生を、良い方向へと変えていきませんか?

3 性格や才能ではなく誰でも手に入れられるスキル

◆ CA時代は、失敗だらけの毎日

「気遣い」と言われると、すごく難しいことのように感じる方がいるかもしれません。

社会人として働きはじめた頃の私も、そう感じていました。

CAは気遣いができて当たり前。

お客様に喜んでいただけるサービスをリードして行わなければならない。

頭ではそうわかっているつもりでも、現実の私は、目の前のことをただ右から左に行うだけで精一杯な日々を過ごしていました。

たとえば、お客様にお水を頼まれて持っていこうとすると、その様子を見た先輩からこんな指摘がありました。

先輩「お客様はそのお水を何のために飲むの?」 私 「は……はい、何のためかは聞いていませんでした……」 先輩「お薬だったらお湯を入れたほうがいいよね。

風邪だったらのど飴を一緒に持っていくこともできるよね」 また、こんなこともありました。

先輩「三上さん、あのお子様にお声かけした?」 私 「は……はい?」 先輩「あちらにいるお子様、ジュースをたくさん飲ん

でいたよね。

もうすぐベルト着用サインが点灯するから、お手洗いのお声かけをしてきて!」 (私の心の声)そうか。

さっき機長から、あと 7分で飛行機が降下開始するから揺れが予想されるって情報がきたっけ……。

さらには、こんなことも。

飲み物サービスのとき、お客様がワゴンの飲み物を見渡して、「じゃあ……コーヒーで」 と言ったのに対して、そのままコーヒーをお渡しすると、そのやり取りを聞いていた先輩から指摘がありました。

「あのお客様の言い方は、まあコーヒーでいいか……っていうニュアンスだよね。

ワゴンに出てない飲み物もたくさんあるんだから、こちらから踏み込んで他も提案してみなきゃ」 万事こんな調子。

この仕事、私には向いてないのかもしれない……と本気で悩み、フライトが終わるたびに落ち込んでぐったりしていました。

◆どうしたら上手な気遣いができるようになる?

そんなとき、自信をなくしかけた私の様子に気づいた先輩が、こんなアドバイスをしてくれました。

「私の新人時代はもっとひどかったよ ~! まずは、しっかり基本業務に慣れるのが先。

その後に、『いいな!』と思った先輩のサービスを覚えておいて、真似してやってみるのが一番だよ」 確かに、先輩の言うとおり、特別なことをしようと力むと、考えすぎて何もできなくなる自分がいました。

まずは、自信を持って目の前の仕事をできるようになるのが先だと思い、一つひとつ目標を立てて基本を徹底的に身につけることに集中しました。

半年くらい経つと、確実にできることが増えていくのを実感でき、自信も少しずつ回復していきました。

基本の業務が自然にできるようになると、いつもと違う状況が発生したときにも、対応できる余力が生まれます。

また、気持ちに余裕ができ、今まで見えていなかった部分まで見渡せるようになりました。

逆に、基本ができていないのに小手先で先輩の真似だけをしようとすると、何か突発的なことが起きたときに大慌てしてしまうものです。

◆最初から器用にできなくていい

プロ野球選手とアマチュア選手の最も大きな違いは、「基本の素振りの量」と言われています。

超一流のメジャーリーガーも、「一番何を練習したか?」という質問に「素振り」と答えていました。

基本ができているからこそ、年々フォームを改良しても、対応できるのです。

スポーツであれ、仕事であれ、何事も基本を押さえた上で初めて応用ができるようになるということです。

まずはしっかり基本を身につけること。

その上で「こんな気遣い素敵だな!」というシーンを覚えておき、実際に真似していくと、どんどん引き出しが増えていきます。

すると、その場に合った「気遣い」が自然とできるようになっていくのです。

「最初から器用にやれる人ほど、ある時期から急に成長が止まってしまうものよ」と CA時代の教官に言われたことがあります。

コツコツ積み上げていく人ほど着実に年々成長していく。

「基本」と「真似」から、上手な「気遣い」を身につけていきましょう。

そしてそれは、決してもともと備わっている能力や性格ではなく、行動であり、習慣であり、意識して身につけることができるスキルなのです。

いくつかのコツを会得しながら、繰り返し、繰り返し実践することで誰でも自然とできるようになります。

必要性を感じて磨きをかけている人であれば、必ず身についていくものなのです。

4 ためらいすぎて、何も行動できないのは損

◆「声かけ」は、相手を知るための大事な手段

接客などで、最初に声をかける動作を「ファーストアクション」と言います。

実は、できる店員さんほどお客様へのファーストアクションが誰よりも早いという共通点があります。

ファーストアクションは何のために行うのかというと、「お客様の来店目的を見極めるため」のものです。

じっくり見たいのか、ただちょっと見たいだけなのか、自分用に買うのか、誰かへプレゼントする用に買うのか……など、お客様が求めていることを把握するため、言わば「相手を知るため」に行うものです。

では、なぜ早めに声をかける必要があるのでしょう。

それは、相手の気持ちを早めに察することが「気遣い」だからです。

早めに声をかければ、早めの判断ができ、あなたもお客様も有意義な時間を使うことができます。

ゆっくり選びたいときに、しつこく声をかけられてしまうと「自由に見たいのになあ……」と逃げ出したい気持ちになることがあります。

一方で、買う気満々でお店に来たのに、声をかけてくれる様子がないと「やっぱり買わなくてもいいかな……」と意気消沈してしまうこともあります。

商品のことを聞きたいのに聞けない、試着したいのに声をかけづらい……。

しつこくされるのは嫌だけど、必要なときはすぐに声

をかけてほしいというのがお客様の心理です。

◆「早めに声をかける」と「早めの判断」ができる

以前、なんとなくフラッと入ったお店の店員さんの対応に、やさしい気遣いを感じたことがありました。

挨拶をした後、私が見ている商品の説明を軽くしてくれたのですが、私の反応が鈍かったのを感じたのか、「お声をかけていただければすぐに飛んで来ますので、ゆっくりご覧くださいね」と言って、サッと引き下がってくれたのです。

その引き際に、「ゆっくり見て楽しんでほしい」という店員さんの気遣いを感じました。

その後、自分のペースでお店の中を見ることができた私は、結局予定外のものまで買ってしまいました。

「声をかけたらうっとうしいと思われるかな」と心配になる方がいるかもしれません。

でも、「買ってもらうため」ではなく「相手を知るため」に話しかけると思えば、躊躇なく行えるはずです。

お客様の目的を見極められず放っておいてしまうことは、早めに声をかけることの何倍もお客様をがっかりさせてしまうリスクがあります。

お客様が何を求めているのか、その「判断材料」を得るためにも、ファーストアクションは重要なのです。

そして、声をかけたときには、相手が「どんな表情をしたか」「どんな声のトーンになったか」をしっかりと観察すること。

このまま会話を続けて OKなのか、 NGなのかをそこで判断しましょう。

◆「無関心」にだけはならないで

マザー・テレサの名言「愛の反対は憎しみではなく無関心です」という言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるでしょう。

「無関心」というのは、とても冷たい言葉です。

CA時代の先輩で、お客様からも仲間からも絶大な人気があった Yさんは、いつも「どうした ~? なんか今日は元気なく見えるけど」と躊躇なく、まめに声をかけてくれる人でした。

声をかけてくれた後はサッと引いて放っておいてくれたり、つっこんで聞いてくれたり。

当時は「なんでこんなに気持ちに寄り添うコミュニケーションができるんだろう?」と不思議に思っていましたが、ためらうことなく声をかけることで、その後の私の一瞬の表情の変化を感じ取ってくれていたんだろうと、今では理解できます。

まずは、無関心にならず、声をかけてみること。

そして相手の反応を感じ取ること。

何より「早め」のアクションが、相手への一つの気遣いになることを覚えておきましょう。

5 「気遣い」が空回りするのはどうして?

◆「やっておきましょうか?」の一言で変わる

CAの仕事は、毎回フライトするメンバーが変わります。

メンバー次第で、自分がどのように動いたらいいかを考える必要があるので、メンバー発表はいつもドキドキでした。

特に先輩 CAでかつ初対面だと、どんなところをフォローすればいいのか、ガチガチに緊張しながら探ったものです。

余計なことをして怒らせてしまったことも数知れず……。

「私じゃなくてお客様に気を遣ってくれる?」と言われる始末。

できない人と思われたくない気持ちが強すぎて、 1歩先ではなく、考えすぎて 3歩先くらいを行ってしまっていたのです。

この頃の私は、組む相手が威圧的な雰囲気の人だと感じると、なるべく接触を減らしたいという心理がはたらき、「聞いて確認する」という大事なアクションを、無意識に省いてしまう癖がありました。

そのたびに怒られてばかりだった私は、苦手だと感じる人であればあるほど、意識して話しかけるほうがいいということに気づいたのです。

その一つの方法が、自分から「やっておきましょうか?」と提案することです。

すると、威圧的だと思っていた相手も「お願いね」や「それは今はやらなくていいから」と、きちんと教えてくれるようになったのです。

この一言で、スムーズに仕事を進められるようになり、結果、おかしな「空回り」が減っていきました。

◆本当の気遣いは自分も疲れない

私は、そもそも「褒められたい」「気づいてほしい」「好かれたい」という気持ちが強すぎて、気を遣っているのに褒められなかったり、気づかれなかったりすると、むなしさを感じて自分が疲れてしまうことがよくありました。

無意識に「相手をコントロールしたい」という気持ちがはたらいて、際限のない欲求をいつも持っていたのです。

でも、毎回のように見返りを求めていると、自分の心が疲れきっていくのがわかりました。

それは、自分の欲求が埋まらないと、そのたびに落ち込んでしまうからです。

小さなことで一喜一憂を繰り返していては心が持ちません。

そこで、「価値観は人それぞれだから、すべての人に好かれたいというのはあきらめよう」「どんなに頑張っても相性が合わなくて嫌われてしまうことも、ときにはある」「自分ではなく、相手を〈不安にさせないため〉の気遣いを心がけよう」 こんな風に思うようにしてみました。

すると、力みすぎていた肩の力がスッと抜けていくのを感じました。

◆「相手の不安を取り除く」ためのアクション

気遣いが空回りするわけは、「相手に気に入られたい」と力んでしまい、余計なことをしてしまうから。

気に入られようと先読みして勝手にやってしまう前に、まずは自分から提案してみる。

その目的は相手を「不安にさせないため」。

そう考えると独りよがりではない、本当に相手が求める気遣いに近づいていきます。

「不安」とは、この先何か悪いことが起こるのではないか、という未来の先取りにすぎません。

でも、人は想像力があるからこそ、いろいろな不安を感じ取ってしまうものです。

ビジネスでもプライベートでも、「大丈夫かな……」という不安要素がある人とは誰だって関わりたくないですよね。

だからこそ、あなたが、「相手を不安にさせないためにはどうすればいいか」を考え、行動することが大事なのです。

すると、相手がストレスを感じなくなるばかりか、あなた自身もストレスを感じることなく、まわりと関わることができるようになっていくでしょう。

6 「気遣い」は「ない」とすぐに気づかれる

◆いつの間にか「気がきかない人」になっている!?

本当の気遣いは、相手の心に負担にならないものなので、相手に気づかれにくいものかもしれません。

しかし一方で、気遣いが「ない」と「この人は気遣いが足りない」と気づかれてしまうものです。

誰しも、相手を不快にさせたいとは思っていませんので、「わざと気を遣わない」というよりは、「ついウッカリできない」ことのほうが多いのでしょう。

やっかいなことに、「この人は気遣いが足りないな」と思われても、本人の耳に届くことはほとんどありません。

大人になると、「言わない」のが普通になってしまうからです。

そして、いつの間にか、自分の気づかないところで「あの人は気がきかない」というレッテルを貼られてしまうのです。

◆自分のことで手一杯のときほど要注意

私は以前、たまたま自分の気遣いのなさを知らせてもらい、大いに勉強になったことがありました。

今思うと、これは本当に幸運でした。

なぜなら、もしこの指摘がなければ、私はいまだに自分の気遣いのなさに気づけずにいたかもしれないのです。

それは、 CA時代、新人の訓練指導をするインストラクターの仕事を任されたときのことです。

私自身、その期間はとても緊張していました。

無事、自分が担当している新人 CAが課題をクリアし、訓練は終了。

晴れて所属の班に配属されることになりました。

しかし、ホッとしたのも束の間、同期がこんなことを教えてくれたのです。

「ナナエちゃんが担当していた新人さん、訓練終了後、 Aさんの班に配属されること知ってたよね? Aさんが、そのことを事前に知らせてくれればいいのにって愚痴ってたよ。

Aさんは新人さんの名前を入れた歓迎メッセージを用意しておきたかったみたい」 私は、「あ ~やっちゃった」とすぐに思いました。

Aさんは面倒見がよく、情の厚い人で有名ですから、先に伝えておけば、 Aさんも新人の子も良いスタートを切れたはずです。

気がきくインストラクターは、配属先の班の上長にメモなどで先に知らせていたようです。

私は青くなって、すぐに Aさんにお詫びをしました。

Aさんは、「まあ知らせなきゃいけない義務はないけどね……」と渋い表情でした。

◆「気がきく連絡」を心がけよう

連絡には「漏れてはいけない連絡」と、自分で相手や内容を考えて「伝えたほうがいい連絡」があります。

そして、この「伝えたほうがいい連絡」こそ、「気がきく連絡」であり「気遣い」なのです。

自分のことで頭がいっぱいになっているときは、ついまわりの状況を見落としがちです。

特に、忙しいとき、疲れているときほど、気にかけないと「ついウッカリ」忘れてしまうことが多くあります。

私は、このことをきっかけに、視野を広くして「連絡漏れはないか」「万が一を考え、伝えておいたほうがいいことはないか」と一呼吸おいて、考える癖をつけるようにしています。

ときに「いちいち連絡して、うるさいと思われないかな?」と迷うこともありますが、その際には「念のためお知らせしますね」という便利な一言を使えば、相手に伝えやすくなります。

人は、「知る」ことで安心感を得ることができます。

誰かに指示されなくても、自分の頭で誰に何を伝えたほうがいいのかを考え、「気がきく連絡」を心がける。

それが、相手が最終的に困らず安心してもらえる、気遣いの第一歩になるのです。

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