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第1章 生産性を爆速させる数字力―Speed is Power

はじめに「いまビジネスマンに必要なのは〝数字で考える力〟です」という話をすると、大半の方が「確かにそうだ」と同意されるのではないでしょうか。

特に経営者やマネジメント職にこの話をすると、大きくうなずいてくれます。

彼らは「数字で考える」習慣があるからです。

ですので、経験的に「数字で考える」重要性が分かっています。

あるいは、「部下が数字で考えない」と不満に思っているので、私の問いかけに大きくうなずいてくれるのです。

「数字で考える」と、どのように仕事に役立つのか、図1にまとめました。

1つは、経営者やマネジメント職と「数字」という共通言語で会話できるようになります。

具体的には、数字を使った資料を作成できるようになることで、「説得力」や「伝える力」が向上します。

結果、リーダーシップを発揮できます。

2つめは、数字の「意味」が読み取れるようになります。

つまり計数感覚が高まります。

結果、「儲けるセンス」がある人材になります。

最後の3つめは、常にインプット(時間やお金など)に対するアウトプット(成果)を意識するようになります。

これは一般的にはROI(ReturnonInvestment:投資対効果)と言います。

このROIを意識して仕事をするようになると、自然と「仕事のスピード」や「生産性」が向上します。

つまり、「数字で考える」と、利益につながる提案を高い説得力とともに行い、短時間で成果を出せる人になれる。

表現を変えるとこのような人材は、企業の利益を生み出す「黒字社員」というわけです。

当然、経営者やマネジメント職の方々は手放したくありません。

仕事の成果は、その仕事に必要な能力のうち「最も弱い能力(制約条件と言います)」に相関します。

要するに制約条件が、仕事の成果の足を引っ張るのです。

そして「数字で考える」ことが、制約条件である人がとても多い。

つまり、「数字で考える」ことが強化できれば、一気に結果を出せる可能性が高いのです。

「数字で考える力」は企業や業界を超えて役立つポータブルスキルです。

人生100年時代になってきました。

嬉しいことに健康寿命も延びています。

すなわち、働ける期間はどんどん長くなっています。

一方で、企業の寿命は短くなっています。

働ける期間はどんどん延び、企業の寿命は短くなっている。

つまり、1つの企業に定年まで勤めることはますます難しくなっています。

その結果、転職、起業、副業・複業など、変化することが当たり前になっていきます。

そのような環境変化が起きつつある現在、企業や業界を超えて役立つ「数字で考える力」は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルと言えるでしょう。

「四則演算」だけで、仕事がレベルアップ一方で「数字が仕事で役立つのは分かるけど、やっぱり苦手」という方も少なくありません。

実際、私の周りでも「数字が苦手」だと回答する方がたくさんいます。

特に、数字で考える=統計などの高度な数学が必要だという話になると、その割合が大きく増加します。

確かに統計の知識やスキルは重要です。

これらのスキルがあれば仕事で役立つケースもたくさんあります。

しかし、本書で扱う「数字」とは、統計の話ではありません。

もっとシンプルな数字活用法です。

具体的には、四則演算(+・-・×・÷)でできる「数字で考える力」なのです。

こう説明すると、大半の方が、「本当?」と疑いながらも「それならできるかも」という顔に変わります。

実際、四則演算を上手に使うだけで、驚くほど様々な仕事の場面で役立つのです。

これは、誇大広告でもなく、事実です。

本書の目的は、シンプルに数字を活用して、仕事のレベルを上げるノウハウを学んでもらうこと。

より正確に表現すると、義務教育で学んだ算数を上手に使うだけで、「数字で考える」を仕事の武器にしてもらう本なのです。

本書を読めば、四則演算だけで、あなたも「説得力」「伝える力」「儲けるセンス」があり、「仕事のスピード」と「生産性」もあるビジネスパーソンになれるのです。

リクルートでは、あらゆる仕事を数字で判断している少し私の昔話にお付き合いください。

私は1989年4月から2018年3月までの29年間、リクルートグループで勤務していました。

周囲の環境と上司、同僚に恵まれ、リクルート勤務時代に様々な経験をすることができました。

具体的には、技術職からスタートして営業、事業企画、営業企画、調査、研究、事業開発、マーケティング、管理会計、事業統合、事業監査、事業経営、企業経営などです。

本社機能であるホールディングスの仕事もしましたし、子会社の社長や事業会社の執行役員として急成長する新規事業開発も担当しました。

企業の採用を支援する営業や、その営業をサポートする営業企画の仕事も経験しました。

スーモカウンターとリクルートテクノロジーズの2組織では、数年間で数百名規模の採用と育成による急成長と低離職率の両立も実現しました。

もちろん、成功だけではありません。

2000年前後に中国への海外展開の起案をし、時期尚早と役員会で否決されたこともありました。

余談になりますが、それから約20年後、リクルートグループは、全売上の約半分を海外売上が占める、グローバル企業になりました。

当時の「海外展開は時期尚早」という判断から考えると、隔世の感があります。

私は、2018年3月にリクルートグループを退職しました。

リクルートグループ在職期間中も感じていたのですが、外から見ても、リクルートグループは、どの部署も、特に経営陣や管理職は「数字で判断」を行うことが得意です。

正確に表現すると大好きなのです。

現場は数字で起案し、経営は必ず数字で判断するという当たり前のことを実践しています。

たとえば、ある事業部門が、売上計画を20%アップする提案をしたとしましょう。

10%は営業担当の増員、10%は生産性向上により実現し、そのための投資が必要だと起案します。

経営陣は、その数字をベースに判断するのです。

増員については、採用の方法と採用期間、育成方法と育成期間とそれらの効率性について数字で質疑応答をしながら、その実現性とROI(投資対効果)を確認します。

生産性向上についても同様に、数字を使いながら確認します。

そして、それらの数字に整合性があり実現性が高いと判断できた場合に、起案を承認するのです。

「数字で判断」するためには、その前に「数字を理解」することが必要です。

つまり順番は「数字を理解」→「数字で判断」。

この「理解」と「判断」の間には大きな壁があるのです。

一般企業では、「数字を理解」したけれど、その「数字で判断」しないケースが少なくありません。

言ってしまえば、「数字を理解できる」というレベルで止まってしまうのです。

一例を挙げると調査報告などは、その最たるものです。

調査報告の内容は理解した。

しかし、その調査報告にある数字だけでは判断しないのです。

もっと詳細に調べたうえで、次回以降に決定を持ち越しするという話を聞いたことや見たことがあるのではないでしょうか。

日本の企業でよく聞こえてくる話です。

そして、次回の会議でさえ何も決めないこともあるのです。

私が29年間在籍していたリクルートグループは、その「数字を理解」し、その「数字で判断」する企業でした。

つまり、数字で判断し、実際に行動を起こすのです。

また、「数字を理解」と「数字で判断」の間隔も短い。

これが「数字で判断」するということです。

もちろん、きちんと考えていない数字で判断することはあり得ません。

当然ながら現場には、正しい数字を作成・提案する能力が求められていました。

私の「数字の読み方・考え方」講座が

11年間続いた理由リクルートグループには、「メディアの学校」という能力開発のためのコーポレートユニバーシティ(企業内大学)の仕組みがあります。

ここで従業員に保有してほしい様々なテーマやスキルを講座形式で提供します。

リクルートは「数字で判断」する会社なので、当然ながらこの数字についての講座が必要でした。

私はここで11年間、「数字の読み方・考え方」と「KPI(KeyPerformanceIndicator:重要業績評価指標)」という2つのテーマの講師をしていました。

講師といっても、講師だけを業務としている専属講師ではありません。

前述した多種多様な担当業務のかたわら、年に2回、1回あたり約50名、11年間で延べ1000名超のマネジャーやメンバーに講義をしていたのです。

講座が次回以降も継続するかどうかは、受講者のアンケートで決まる仕組みでした。

私は、「数字に関する講義が11年間続いた」と書きました。

つまり、自分でいうのもおこがましいですが、人気講座であり続けたわけです。

何度受講者アンケートがあったかというと、11年間、年2回講義をしていたので11年×(年2回)≒20回程度。

20回連続で受講者の満足度の高い講座を提供し続けたということです。

2018年6月に、「メディアの学校」で担当していた2つの講座のうちの一方の「KPI」の講座内容を『最高の結果を出すKPIマネジメント』(フォレスト出版)として上梓したところ、半年ほどで7刷になるほど好評を得ることができました。

であれば、もう一つの「数字の読み方・考え方」も読者のみなさんの役に立つのではないかと妄想をしていたころ、かんき出版の米田寛司さんから「数字の本を書きませんか?」とお声がけをいただきました。

私としては、うれしいお声がけでしたが、この本を書きながら、「柳の下に泥鰌は二匹いるのか?」とドキドキしています。

私が「数字の読み方・考え方」の講座の中で受講者に伝えていたのは、図2のように5つあります。

つまり、①「四則演算(+・-・×・÷)」を活用するだけで、仕事のレベルアップができ、効果的な分析や提案ができるのです。

また、これに加えて、②作業する前に「仮説」を立てて効率的に仕事をする。

上司や周囲に説明する際にグラフや絵を活用して、③「ビジュアル化」することで大きく伝わり方が向上します。

そして④定性情報。

与えられた数字だけではなく、過去の自分自身や周囲の方々の知識や経験をフル活用することが大事だと伝えていました。

④定性情報について補足しましょう。

大成功した人たちは、一見異なる分野のノウハウを紐付けることで大成功しています。

一例を挙げると、スティーブ・ジョブズ。

Connectingthedots.の話をご存知でしょうか。

カリグラフィー(文字をきれいに見せる表現)をMACのパソコン開発に活用して大成功したのです。

これなどは、自分の過去の知識や経験を総動員した好事例でしょう。

そして最後は、⑤比較。

必ずしも数字に限りませんが、分析する際に、分析する対象だけ見ていてもよく分からなくなることがあります。

そこで、比較対象を加えることで、様々な提案のリアリティ、実現可能性を高めるのです。

本書では、リクルートの「メディアの学校」での講座内容に加えて、オリジナルの内容を多く加えました。

ぜひ、本書を読んで、「数字で考える習慣」を身につけ、「説得力」や「伝える力」、「儲けるセンス」「仕事のスピード」「生産性」を身につけてください。

「四則演算だけで、こんなにパワフルな仕事ができるんだ」と、きっと驚かれることでしょう。

「数字で考える」は武器になる目次[はじめに]「四則演算」だけで、仕事がレベルアップリクルートでは、あらゆる仕事を数字で判断している私の「数字の読み方・考え方」講座が11年間続いた理由第1章生産性を爆速させる数字力──SpeedisPower長時間労働者が評価されるのは、正しいのか?爆速で終わらせる1因数分解ケース「忙しいところすまないが、3日間で資料をつくってくれないか?」できる人は、仕事を「工数」で考えている扱える荷物の大きさに分解する因数分解ができると、行動力も上がるコラム17%の法則爆速で終わらせる2ROI思考ケース「営業の人数を増やさずに、売上を5%アップできないか?」仕事はリターンと投資で考える日本全国の電柱の数を「フェルミ推定」で計算せよコラムフェルミ推定を使って、瞬時に判断した上司の話売上アップ5%は、利益何%に貢献するのか顧客数のヌケ・モレ・ダブリを防ぐにはコラム成果を出す人は「後ろから」考える爆速で終わらせる3仮説思考比較して課題点を見つけだす最終的なアクションをイメージする必要なデータを集めるには分かりやすく説明できると、聞き手は態度変容しやすくなる素早く報告できると、聞き手は態度変容しやすくなる作業を始める前に上司とコンセンサスを得ておく

第2章数字の裏を読む──世の中の2種類のバカの話

数字の裏読み1平均と分散「平均的な人」なんて存在しない数字の裏読み2想像力数字の偏りから事実を見抜く「売上が高くても利益がゼロ」を防ぐには数字の裏読み3選択肢を増やして絞り込む仮説力をアップさせる2ステップとはコラム今すぐできる!「数字で考える」トレーニング

第3章儲けるセンスを高める数字力──経営者の視点を意識する

儲けのセンス1損益分岐点のコントロールケース「カフェの値引きとトッピング無料、どちらが効果的なのか?」

経営者が、固定費より変動費を好む理由どれぐらい売れば黒字になるのか損益分岐点を下げる3つの方法勉強会で元は取れるのか?その費用は投資かコストか儲けのセンス22軸思考2つの軸で整理する顧客満足度とロイヤルティ2本線を引く売上高と利益率取引額順位と累計利益率年齢と給料儲けのセンス3数字のストックを増やす数字が読めれば、景気動向も見えてくる同業界の損益計算書を構成比で比較する「金持ち父さん」が勝つ理由コラムダイエットと数字

第4章人を動かすリーダーの数字力──自分の意思が伝わって初めて、いい仕事になる

人を動かす1タイムマネジメントSpeedisPowerで人は動くコラム異動時の10冊と3冊キャリアを数字で考えると人は動く人を動かす2対話力自己紹介に数字を入れると聞き手は動く伝える単位を変えるとチームは動く人を動かす3見える化お金に換算して説明すると経営者は動くデータを「見える化」すると顧客は動く「時間の使い方」を測定するとホワイトカラーは動く家事の見える化をすると夫婦は動く「人生最後の10年」の話を知ると人は歩き出す

第5章数字力を自在に操る7つのフレーム──あらゆる事象を整理できる「型」をご紹介

フレーム11つに絞るKPIの原則とはフレーム2二兎を追う者は一兎をも得ず。

ではなくアウフヘーベン対立するテーマを共に実現させるにはフレーム3「3つあります」コンサルタントの基本話法フレーム44P(マーケティングミクス)ヒット率を上げる拡販戦略フレーム55F(ファイブ・フォース)生き延びるための環境分析フレーム66Σ(シックス・シグマ)ミスゼロを目指す日本、ミスはある前提で考える諸外国

フレーム77つの習慣人生で大切なことにフォーカスせよ[おわりに]ブックデザイン小口翔平+喜來詩織+永井里実(tobufune)

SpeedisPower「仕事が速い」ことは人を感動させます。

想像してみてください。

メンバーに仕事を依頼しました。

「納期よりも前」に成果物を納品してくれました。

どのように感じますか?私は納品が早いと無条件に嬉しくなります。

もちろん、成果物の品質は重要です。

その成果物をチェックして、そのレベルが想定通りであれば、さらに嬉しくなります。

その人のことを「仕事ができる」と信頼するでしょう。

もし、その成果物のレベルが想定以上であれば、どうやって短時間で仕上げたのかと感動してしまいます。

私の性格からいうと、仕事の段取りを根掘り葉掘り聞くかもしれません。

一方、成果物のレベルが想定に達していなかったとしても問題ありません。

納品が早いので、まだ納期までに時間があるので修正する時間があるからです。

つまり「仕事が速い」というのは、周囲から「仕事ができる」と思われる、とても重要だけれど簡単な方法なのです。

私は、これをSpeedisPowerと呼んでいます。

SpeedisPowerは、図3のように①「同じ仕事を、より短い時間で実行する」、もしくは②「同じ時間で、より多くの仕事ができる」ということです。

先ほどの「納期よりも前」に成果物を納品してくれた話は①にあたります。

①と②の両方が生産性をアップさせる方法です。

「はじめに」で触れた生産性を表すROIで説明すると、①は分母であるIの値を小さくする。

②は分子であるRの値を大きくします。

①②の両方とも生産性(ROI)の値を大きくするのです。

「生産性」という言葉ではなく、わざわざSpeedisPowerという言葉を使っているのには意味があります。

この言葉は、私がリクルート住まいカンパニーに在籍していた当時、カンパニー長であった現リクルートホールディングスCEO峰岸真澄さんが主導していた同社の「労働時間削減」と「生産性向上」の同時実現を目指したプロジェクトのスローガンです(言葉自体はインサイトコミュニケーションズ社長の紫垣樹郎さんが考案)。

このプロジェクトは、大きな成果を上げ、リクルートは労働時間削減と生産性向上の両立に成功しました。

言葉はとても大事です。

「生産性を上げよう!」と現場に伝えて、皆が「そうだ!」という話になり、結果として実現できれば問題ありませんが、そうではないケースも散見されます。

どうしてでしょうか?生産性が上がって会社にメリットがあるのは分かります。

生産性が向上すると会社業績も向上します。

しかし、従業員にどのようなメリットがあるのか分かりにくい言葉なのです。

結果、生産性向上は、会社の号令だけに終わることが多いのです。

特にホワイトカラーと呼ばれる職種では、その傾向が強いように感じます。

ところが、本当は、生産性向上に取り組むプロセスの中で、一人ひとりも様々なスキルを身につけていけるのです。

つまり、私たちにも大きなメリットがある。

このことをリクルートのプロジェクト運営者は表現したいと思ったのです。

ところが、残念ながら「生産性向上」という手垢のついた言葉のままでは、伝わりにくいと感じたのです。

SpeedisPower、つまり「スピードを上げると、『あなたの仕事の力』になる」という方が分かりやすいのではないかと思うのです。

ということで、私は生産性を高める際に、このSpeedisPowerを使っています。

長時間労働者が評価されるのは、正しいのか?ところが、日本企業ではSpeedisPowerとは「反対」であることが多いのに驚きます。

具体的には、残業をしている人を評価する文化が根強く残っています。

「長時間労働をしている人=仕事をしている、頑張っている」と評価される傾向があるのです。

しかも長時間労働は、二重に評価されるケースもあります。

1つめは、長時間労働による残業代をもらうことで、長時間労働は評価されています。

2つめとして、期末業績評価時にも、「この人は(長時間)頑張っていた」と評価に加点する傾向があります。

これでは評価の二重取りです。

ですので、私が評価する際には、残業代のデータを準備していました。

期末評価時に、この残業代のデータも見ながら「長時間労働」が二重取りにならないか改めて確認していたのです。

これなども、数字を使って公平に評価を行う方法の1つですね。

安倍政権が提唱した「働き方改革」の議論でも、当初「労働時間を短くすることはできない」という声が多かったように感じています。

その理由は、労働時間を減らすと成果が小さくなり、業績が悪化するという論調でした。

本当でしょうか?もしも、「労働時間を減らすと成果が小さくなる」が正しいとするならば、この話にはある「前提」が隠されています。

それは、これらの会社の生産性は改善できない、つまり、すでに生産性の高さは限界で、これ以上アップできない、という前提です。

もちろん、そのような会社、職場もあるかもしれません。

しかし、大半の企業、職場の生産性が限界レベルまで高い、というのは疑問があります。

実際、国別の生産性の比較の議論になると、日本のブルーカラーの時間生産性は高いけれど、ホワイトカラーの時間生産性は低いと評価されています。

大人数が参加し、報告中心の会議などは、その生産性の低さの典型的な事例でしょう。

その他、営業担当に成果だけを追わせて、長時間労働を求めること、システム開発で生産性を測定せずに人員を投入すること、海外子会社や海外視察チームには何も権限を与えずに投資先候補のベンチャー企業を訪問し、相手を戸惑わせているのも低い生産性の典型例です。

一般的にホワイトカラーの生産性の測定は難しいと言われています。

しかし、その難しさを盾にして、生産性そのものを測定しようとしていないのです。

数字で記録を残すということが生産性向上の第一歩です。

しかし、それをしない会社や職場が大半ではないでしょうか。

それにもかかわらず、労働時間を減らすと業績が下がると言うのです。

何を根拠にそのように判断しているのか、不思議でなりません。

現状を数字で把握し、正しい方法で改善を行うことができれば、会社にとっては生産性の向上、そして従業員にとってはSpeedisPowerが実現できるのです。

では、どのような数字を把握すると良いのか、その具体的なメソッドをご紹介しましょう。

爆速で終わらせる1因数分解ケース「忙しいところすまないが、3日間で資料をつくってくれないか?」現在は火曜日の午後。

あなたは、いつも忙しそうに見える部下に資料作成の依頼をしました。

この資料は、その部下にしか作成できません。

あなたが依頼した時の部下の反応は、次のどれに近いでしょうか?あるいは、逆にあなたが上司から資料作成を依頼された際の反応はどれに近いでしょうか?ちなみに、今週のスケジュールは、かなり忙しくなる見込みです。

①今週は仕事が忙しいことを説明し、やんわりと断る②まず、資料作成を了解して、それからスケジュールを考える③内容と納期を確認し、対応を考える④内容と納期を確認し、現在の仕事の状況を伝え、優先順位を確認する⑤その他回答を①~⑤のうち近いものを選んでください。

⑤の場合は、具体的にどのような反応なのか書いてください。

あなたが上司で、部下に仕事を依頼した際の部下の反応は()に近いあなたが部下で、上司から仕事を依頼された際のあなたの反応は()に近いできる人は、仕事を「工数」で考えているこのケースで、どうすれば日々の仕事でSpeedisPowerを実現できるのかを解説します。

ここでは、部下の「いつも忙しそう」を前提にしています。

この場合、部下の典型的な対応は、①か②ではないでしょうか?①の変形として、「今週は忙しいので説明もせずに断る」というケースもあるかもしれません。

②は断っても結局受けざるを得ないので、残業を増やして対応するケースですね。

一方で、③と回答する人(内容と納期によって対応を考えるタイプ)は、相対的に仕事をきちんとこなすタイプです。

④と回答する人(内容と納期を確認し、現在の仕事全体から優先順位を再設計しようとするタイプ)は、さらに仕事の生産性が高いタイプと言えるでしょう。

つまり①②と回答する人と比較して、③④と回答する人は生産性が高いタイプの方が多いのです。

①②と③④は何が違うのでしょうか。

この違いを分けるキーワードが「納期を管理する」と「工数を管理する」です。

図4に「納期を管理する」と「工数を管理する」の違いを整理しました。

この違いを理解しているかどうかが、SpeedisPowerを実現するための必要条件なのです。

「納期」とは、いわゆる「締切り」です。

そのタスクをいつまでに実施しないといけないかという日時のことです。

今回のケーススタディでは、たとえば「金曜日13時までに資料を作成する」というもの。

一方の「工数」とは、タスクにかかる「見積もり時間」のことです。

今回のケーススタディでは、「資料作成に4時間かかる」というもの。

さらに実際の業務をイメージすると「設計1時間」「資料収集1時間」「ドラフト作成1時間」「レビュー30分」「修正・完成30分」などに細かく分解できます。

このように分解することを私は「因数分解」と表現しています。

後ほど詳しく説明しますが、「因数分解」はSpeedisPowerを実現するための効果的なスキルです。

まとめると、「納期を管理する」と「工数を管理する」の違いは、タスクを「締切り」で管理するのか「見積もり時間」で管理するのかという違いです。

みなさんはどちらで管理していますか?この点から今回のケーススタディの回答を納期で整理すると、図5のようになります。

つまり、①②のタイプは「納期だけを管理」しているのです。

一方、③④のタイプは「納期を管理」に加えて「工数も管理」しています。

たとえば同じタスクであってもシニアレベルのAさんだと1時間でできる仕事が、ジュニアレベルのBさんだと2時間かかるということが、経験的にも、彼らが所持しているデータ(見積もり工数と実際の工数)でも把握できています(Jira:〔アジャイルおよびソフトウェア開発プロジェクトの計画、追跡、管理を行うソフトウェア〕でタスク管理をしているので簡単に把握できます)。

それらのデータを参考にしながらタスクの量を変化させるのです。

見積もりで2時間かかるBさんのタスクに対しては、さらに細かく因数分解して1時間のタスク2つ、あるいはさらに細かい30分のタスク4つに分けて依頼します。

そうするとジュニアレベルのBさんは、30分単位、あるいは1時間単位で仕事の進捗を確認できるようになります。

Bさん本人にとっても自分のスピードを測定しやすくなるのです。

このリーダーに確認したところ「自分のコアコンピタンスは、課題を相手に合わせて適切な大きさにする因数分解である」と自覚していました。

このスキルにより、社内はもとより、海外のパートナー企業との協働など、多様で大きな仕事を生産性高く担当してくれています。

この「因数分解」というスキルは工数の見積もり以外でも、多くの場面で活用できるSpeedisPowerを実行する共通スキルです。

その一例を紹介しましょう。

因数分解ができると、行動力も上がる「その道の達人になるには1万時間が必要だ」という話が、マルコム・グラッドウェルさんの『OUTLIERS』というベストセラーに書かれています。

日本では『天才!成功する人々の法則』として勝間和代さんが和訳、解説されたので読んだ方も多いかもしれません。

「1万時間」というと1日に8時間学んだとしても5年かかります。

1日あたり4時間だとすると10年かかる計算になります。

昔の人は「石の上にも三年」と言いました。

それより長い期間です。

すべての人が、簡単に投資できる時間ではありません。

一方で、最近ではITや様々なサポートにより、何かを習熟するのに必要な時間が短くなっています。

そう考えると、本当に1万時間かかるのか疑問が残ります。

たとえば、私たちの子どものころ、自転車に乗ることは親にとっての一大イベントでした。

まず、自転車の後輪の両側に補助輪を装着し、自転車がどちらに傾いても倒れないようにします。

子どもが少し自転車で進めるようになると、片方の補助輪を取り外します。

子どもは、走りながら、こけそうになったら補助輪のある側に傾けて体勢を整えることを学びます。

それにも慣れたら最終段階。

残った補助輪を外します。

ところが、そこからが大変なのです。

親の登場です。

親は自転車と並走しながら、子どもがこけそうになったらサポートします。

これを数日続けると、ある瞬間、子どもは自由に自転車を操れるようになります。

かなり感動的な瞬間です。

しかし、それまでに子どもは何度も転び、親は中腰で自転車に並走し続けるので大変です。

運動神経が良い子どもでも1週間くらいはかかったのではないでしょうか。

ところが、今はこのような自転車の教え方はしません。

自転車に乗る=「自転車のバランスをとる」×「ペダルをこいで進む」と因数分解しています。

まずは自転車のペダルを外します。

いわゆるストライダーのような状態にします。

そして、足で地面を蹴りながらバランスをとり、思い通りに「進む」と「曲がる」を訓練するのです。

30分から1時間もすると、子どもたちはペダルを外した自転車を自由に操れるようになります。

この段階で彼らは地面から足を上げて自転車をコントロールする術を身につけています。

そして、次の段階であるペダルをつけて自転車を漕ぐステップに移行。

すでに足を上げて自転車のバランスをとることができていますので、ほんの30分から1時間もすると自由にペダルをこいで、自転車を乗りこなせるようになります。

昔のようにこけて足をすりむくこともありません。

練習法を変えるだけで、自転車を乗りこなせる時間が大幅に減るのです。

これは自転車に限ったことではありません。

飲食業では「ラーメン大学」や「すしアカデミー」のように数週間から1カ月で飲食店をオープンするノウハウを習得できる養成機関もあります。

必要なスキルを因数分解し、その中で必須なものに絞り、短時間で習得できるようにしているようです。

従来の飲食店の修業であれば、少なくとも1、2年の下積み期間が必要でした。

それはそれで、今でも重要かもしれません。

しかし、下積みが前提だとすると、会社に勤めている人は退職して下積みを選択するしかありません。

しかも、修業を始めてから、センスや才能がないと気づいても後の祭りです。

ところが数週間である程度まで習得できる選択肢があれば、長期休暇があればトライアルできます。

本気でその道を選ぶ前に、試しに学んでみるという選択の幅が増えるのです。

「一流を目指す」ことを因数分解して考えることもできます。

図6をご覧ください。

「100万人に1人」の人を超一流、「1000人に1人」の人を一流だと仮定しましょう。

100万人に1人、あるいは1000人に1人というと途方もない数字です。

100万に1人のミシュラン3つ星シェフ、1000人に1人の超繁盛店のオーナーシェフのようなイメージでしょうか。

この2つの数字を因数分解して、100万人=100×100×1001000人=10×10×10と因数分解したらどうでしょうか。

つまり「100人あるいは10人に1人」と言える専門性を3つ見つけるということです。

100人に1人、10人に1人であれば、努力してなれるのでは、と思えないでしょうか?

もちろん3つ見つけるのは、それはそれで大変です。

しかし、従来の超一流あるいは一流になるまでにかかった時間と比較すると、3つを見つける時間は圧倒的に短いはず。

私は、1万時間の話や一流になる方法が分からなくなって途方に暮れている同僚に次のように話をします。

「1つの分野で超一流になるのは素晴らしいが、限られた人しかなれない。

つまり我々が到達できる可能性が低い。

しかし、3つの分野に因数分解し、それぞれの専門家になれる可能性は高いはず」。

これを聞いた大半の同僚は、可能性を感じて動き出してくれます。

この一つひとつの専門性のことを私は「タグ」と呼んでいます。

自分のタグを増やす。

それがこれからの一流になる方法の一つです。

みなさんにはいくつタグが付けられますか?次のコラムでは10分の1には少し及びませんが、「6分の1のタグ」を付ける方法を紹介します。

コラム17%の法則あるタグを付ける方法を思いついたエピソードを紹介します。

私が「17%の法則」と呼んでいるものです。

17%、つまりおおよそ6分の1です。

2000年にリクルートワークス研究所で、1万3000人を対象とした調査の責任者をしたことがあります。

これは、現在、同研究所で約5万人規模の「就業実態パネル調査」という大規模調査を実施していますが、その源流にあたる「ワーキングパーソン調査」と呼んでいたものです。

その調査の中で「17%」という数字があり、あまりの少なさに衝撃を受けたのです。

この17%、つまり6分の1とは、何を表している数値だと思いますか?これは、過去1カ月に仕事に関する情報をインプット(本を読む、講演を聞く、専門家に聞くなど)した人の割合なのです。

直近の「就業実態パネル調査」でも、質問の仕方は異なりますが、学びの「習慣」がある人の割合は30%程度だとのレポートがありました。

どちらにしても日本の労働者は、あまり学ばないようなのです。

ちなみに、この17%を残りの83%と比較すると、同じ年齢なら役職が高く給料も高い、同じ役職なら給料が高く、同じ学歴なら給料が高い、という結果になりました。

定期的に仕事に関係するインプットをするだけ、たとえば関連する本を読むだけで「6人のうちのトップ」になれる可能性があるのです。

しかもそこのカテゴリーに入ることができると、給料も高くなる可能性が高い。

これは、なかなか効果的なタグです。

この手のインプットは、すぐに効果が表れないかもしれませんが、長期的には効果が出るのです。

私はそれを信じて、この数値を知って以降、年間100冊の本を読むことを自分に課しています。

年間100冊というと多く感じますか?しかし、私はこれを前述の自分が持てる荷物の大きさに因数分解しました。

年間100冊は月8冊強。

週あたりに換算すると2冊です。

できるのかどうか、まず「測定」してみました。

測定したのは2つです。

1つは本の平均ページ数。

もう1つは私の本を読むスピードです。

本の平均ページ数は、だいたい200~300ページの本が大半です。

私の本を読むスピードは、おおよそ1ページあたり1分であることが分かりました。

本1冊を250ページとすると、私が1冊の本を読むのに必要な時間は「250分≒4時間」だと分かります。

この2つの数値で、私が週に2冊本を読むために必要な時間が8時間(約500分)であることが分かりました。

私は横浜に住んでいて、40分かけて東京に通勤しています。

この時間を使えないかと考えました。

週に5日会社に通っていますから、往復で10回。

通勤の電車に乗っている時間は「40分×10回=400分」。

本を読むのに必要な500分のうち400分が通勤時間で賄えることが分かりました。

残りは100分、2時間弱です。

これならば週末2日のうちに十分消化できる量だと思えたのです。

このようなフェルミ推定を行ってから約20年間、毎年100冊の読書を継続しています。

都合2000冊以上。

これが私の仕事の基礎体力を高めています。

そして、中尾=本をたくさん読み続けている人=提案の信頼性が高いというタグを付けてもらっています。

これは私に限らず、誰にとっても投資対効果が高い方法です。

みなさんにもお勧めです。

本を読むスピードを測定することからスタートしてみてください。

爆速で終わらせる2ROI思考ケース「営業の人数を増やさずに、売上を5%アップできないか?」ここからは、別の角度からSpeedisPowerを実現するための簡単なケーススタディをしてみましょう。

キーワードは、「やるべき仕事の順番」です。

何度も触れているROIの視点から考えていきます。

あなたは営業組織の企画担当者です。

あなたの仕事は、営業組織の戦略や戦術を立案し、営業責任者の執行をサポートすることです。

ある日、営業責任者である上司から「5月は計画通り、営業担当35名で売上1億500万円、1人あたり売上300万円を実現できた。

大半の組織は目標達成できた。

とても良い状態だと思う。

この営業人数のままで5%売上アップする方法がないか提案してほしい」という要望を受けました。

図7が各組織の5月の営業結果です。

渡されたのは、このシンプルな表1枚。

営業組織の企画担当であるあなたはどのように分析し、提案しますか?これがケーススタディのお題です。

上司からの質問には迅速に回答することが求められます。

あなたは、どのように分析するでしょうか?そして、どんな提案をしますか?仕事はリターンと投資で考えるまずは一番大事なチェックポイントについて説明します。

それは、「この仕事は重要なのか」、つまり、あなた、あるいは会社として「やるべき仕事なのか」どうかの確認です。

上司から依頼された内容は、「現在の営業人数のままで売上5%をアップさせる」というもの。

上司から依頼された仕事は、すべて重要だという考え方もあります。

しかし、本当にそうでしょうか?上司も人の子、無駄な仕事を依頼する可能性もあります。

私自身の社会人生活30年を振り返ってみても思い当たることがあります。

後半の15年以上は経営者や管理職でしたが、メンバーに重要ではない仕事を依頼した経験が少なからずありました。

また、前半の15年、自分自身がメンバー時に、重要ではない仕事をした経験が思い起こされます。

重要でない仕事とは、簡単に表現するとROIが小さい仕事です。

図3でも述べましたが、ROI(ReturnOnInvestment)は分子のRがリターン(成果)を表し、分母のIがインベストメント(時間やお金)を表します。

ROIが小さいとは、この分数の値が小さいということです。

具体的には、分子であるReturnが小さい仕事、あるいは分子のRと比較して分母のInvestmentが大きな仕事です。

もしROIが小さい仕事、つまり重要な仕事ではないと分かれば、どうすれば良いでしょうか。

最善なのは、上司にやる必要がないと説明して、仕事自体をなくしてしまうことです。

しかし、それでもしないといけない(理不尽な)場合は、投資する時間を最小限にする、つまりROIの分子のIを小さくして、少しでもROIを大きくする必要があるということです。

与えられた仕事の重要性が低かったとしても、上司に止める提言をするなど無理で、理想論だと思う方がいるかもしれません。

しかし、売上20万部を突破した名著『イシューからはじめよ』では、100の仕事のうち、やるべき仕事は1、2個程度しかないと書いてあります。

人生は、重要な仕事をやり遂げるには短すぎる。

やるべき仕事を選別しなさい、とアドバイスしているのです。

私自身、仕事は選んで実施しているつもりでしたが、この本を読んで、まだまだ甘いと猛省したのを覚えています。

ぜひ、勇気を持って仕事を選別してください。

時間は有限です。

無駄な仕事をしている暇はありません。

「まず、この仕事をするべきかどうかを考える」というステップは、SpeedisPowerを実現するための有効な方法の1つです。

この、「仕事が重要なのかどうか」を判断するための有効なテクニックとして「フェルミ推定」という考え方があります。

日本全国の電柱の数を「フェルミ推定」で計算せよ最近ではコンサルタント業界の入社面接などで質問されることが多いので、「フェルミ推定」をすでにご存知の方も多いかもしれません。

フェルミ推定とは、「琵琶湖の水は何滴か?」「ウインブルドン・センターコートの芝生の本数は何本か?」「富士山をトラックで移動させるためには2トントラックが何台必要か」といった一見、荒唐無稽な設問を短時間で回答する方法論で、その実践者であるエンリコ・フェルミの名前が由来となっています。

それでは、実際にフェルミ推定のケーススタディの演習をしてみましょう。

紙と筆記用具をご準備ください。

お題は「日本全国の電柱の数を考える」です。

時間は5分。

計算に必要なのは四則演算だけです。

当然ですが、インターネットなどで調べるのはNGです。

回答の一例を図8にまとめました。

「一例」と書いたのは、いくつもの考え方があるからです。

ここで紹介するのは、「一定の面積あたり、何本の電柱があるのか」という視点から考える方法です。

ステップ1で日本の面積を推定します。

ステップ2では、電柱の数は日本国土中で一定の密度(何メートルに1本ずつあるのか)ではないと推定できるので、日本をいくつかのグループに分けます。

ステップ3では、グループごとの電柱の密度を推定します。

ステップ4で、ステップ2とステップ3の計算結果を統合して日本全国の電柱の数を推定します。

ここまで読まれた方は、お分かりだと思いますが、すぐに計算に入るのではなく、このように段取りを「因数分解」することが重要なのです。

ではステップごとに細かく見ていきましょう。

ステップ1:日本の面積を推定します。

もちろん日本の面積を地理の授業などで約38万と習っている方であれば、そのまま使ってもかまいません。

しかし、知らない方もいらっしゃるでしょう。

そこで、日本の面積を推定します。

日本の形を長方形だと仮定しましょう。

少し乱暴に感じるかもしれませんが、ざっくり把握したいので、計算しやすい形が良いわけです。

長方形の面積を計算するには長辺、短辺の長さが必要です。

まず、その2辺の長さを推定します。

長い方の1辺は、九州から北海道の長さです。

たとえば、東京─大阪間がおおよそ500㎞だという情報を知っていれば、全体の日本の長さをその4倍程度の500㎞×4=2000㎞程度だと推定できます。

もう一方の辺の長さも、同じく東京─大阪間の500㎞より短そうですから200㎞程度だと推定できます。

これで2辺の長さが推定できましたから、日本の概算の面積が計算できます。

長辺2000㎞×短辺200㎞=40万となります。

ステップ2:面積あたりの電柱の数を推定します。

面積あたりの電柱の数は、人口密集地の「都市部」とその他の地域(エリア部)では異なるだろうと想像できます。

そこで日本全体を「都市」と首都圏以外の「エリア」の2つのグループに分けることにします。

日本の都市部は、主に県庁所在地と大都市などのイメージでしょうか。

そうすると、都市部とエリア部の比率は20:80程度だと推定できます。

先ほど、日本全体の面積は40万と推定しましたので、それぞれ20%と80%を掛け算すると都市部の面積は40万×20%=8万。

エリア部の面積は40万×80%=32万であると推定できます。

ステップ3:どれくらいの距離ごとに電柱があるのかを推定します。

たとえば都市部は50mごとに1本程度、エリア部は200mごとに1本程度でしょうか。

これを前提に計算すると、都市部は1㎞あたり20本、エリア部は1㎞あたり5本の電柱があるということになります。

つまり1あたり都市部は20本×20本=400本。

エリア部は5本×5本=25本の電柱があると計算できます。

ステップ4:回答(日本の電柱の数)を推定します。

ステップ2で都市部とエリア部の面積を推定し、それぞれ8万と32万と推定しました。

ステップ3で都市部とエリア部の1あたりの電柱の本数をそれぞれ400本、25本と推定しました。

すると、都市部の電柱の本数:400本/×8万=3200万本エリア部の電柱の本数:25本/×32万=800万本と計算できます。

合計すると約4000万本と日本全国の電柱の数が把握できます。

フェルミ推定では、単に回答を見つけるのではなく、複数の回答シナリオから最適な方法を見つけることを推奨しています。

今回は一定の面積あたりの電柱をフェルミ推定する方法を解説しました。

これ以外にも推定する方法はたくさんあります。

実際、私が「メディアの学校」で担当していた「数字の読み方・考え方」でも、受講者はたくさんの電柱の数の推定方法を見つけてくれました。

一例を挙げると、電柱は家庭や企業に電気を送るものである。

ということは、企業数と家庭数から想定できるのではないかと仮定してフェルミ推定した人。

電柱はたいてい道路にあるのではないかと仮定して、道路の長さからフェルミ推定した人。

人口と相関性があると仮定してフェルミ推定した人など。

フェルミ推定は、どれが妥当解かというよりも、より多くのシナリオを考え、その中から精度が高く、簡単に計算できるものを短時間で見つける、いわばゲームです。

繰り返しになりますが、与えられた仕事のROIのReturnがどれくらいなのか?あるいは、実行にどれくらいのInvestが必要になるのか?それぞれフェルミ推定してみます。

これによってその仕事の優先順位が分かります。

ROIが高ければ、その仕事を最優先して行います。

ROIが低ければ、上司にその仕事をやらないことを提言する。

しかし、どうしてもしなければいけないのであれば、かける時間やコストを最小限にすれば良いのです。

コラムフェルミ推定を使って、瞬時に判断した上司の話リクルート時代、今から20年ほど前に広告制作の子会社に出向していた時のエピソードです。

その当時の上司とのやりとりで「フェルミ推定はすごい」と体感したことがありました。

この子会社では、たくさんのアルバイトを募集していました。

それと同時に、別の部署では仕事がなくなったのでアルバイトに辞めてもらうことも少なからずありました。

すると、ある部署でアルバイトの募集をしているのに、別の部署でアルバイトに辞めてもらっているということが起きていました。

全社という視点で考えると、何だか非効率に思えたのです。

私は、この子会社の本部組織にいたので、この事実に気づいていましたが、現場は自分たちの組織のことしか分からないので、気づいていません。

この非効率性を改善するために何かできないかと考えました。

それには、ある部署で辞めるアルバイトを、新たに募集が必要な部署に異動してもらえばよいのです。

それができれば、会社もアルバイト個人もメリットがあると考えたのです。

会社にとっては、採用コストも導入・教育コストも削減できます。

アルバイトも、途切れなく働けますし、新たに会社のことを知る時間を削減できるメリットがあります。

ただ、少し考えてみると分かるのですが、必要な職種によってアルバイトに求められるスキルが異なります。

また、ある部署でアルバイトが必要なタイミングと別の部署でアルバイトが辞めるタイミングが異なるケースが大半かもしれません。

つまり、職種とタイミングを合わせられるか、という課題は残りそうで

した。

ただ、そうだとしても、大量にアルバイトを採用していましたので、採用コストや教育コストなども考えると無駄にしているコストはかなりある、とフェルミ推定できました。

そこで当時の上司である子会社の社長に提案しました。

提案内容は次のようなものでした。

働いているアルバイトのスキルや経験、入社日や退職予定日をデータベースに登録しておき、これを全社で共有する。

それぞれの部署で新たにアルバイトを募集する際には、このデータベースを確認して、そこでマッチングしない場合のみ、新規のアルバイト募集を行う。

これによる採用コスト、教育コストが削減できる、というものでした。

実際、これで年間数百万円のコスト削減ができるとフェルミ推定できました。

そこで私は自信満々に上司へ提案を行いました。

この提案に対する私の上司であった子会社の社長の回答は、次のようなものでした。

「良い提案をありがとう。

確かにこの方法でこの問題は解決できる。

実際、昨年のデータでいうと数百万円のコスト削減ができる。

ただし実際は、作成するデータベースの維持・保守に想像以上にコストと労力がかかる。

特にアルバイトのデータ更新には少なくとも毎月1人分以上のコストが必要になる(とその場でフェルミ推定しました)。

これで年間数百万円はかかる。

特に働いているアルバイト社員の情報をデータ入力する部署と、そのデータにより採用コストを削減できる部署が異なるので、アルバイトの情報を入力するモチベーションも上がらない。

結果、新たなコストが発生するので、今回見積もった経済的な成果のすべては得られない。

今回のケースに限らず、問題を解決すると新たな問題が生まれることが大半。

今回のケースではデータの維持保守に想像以上のコストがかかるという問題が起きる。

だから放置しておこう」私の提案に対して、ものの数分でフェルミ推定して、「やらない」と回答したのです。

「問題を解決すると新たな問題が発生する。

その問題を解決するコストも含めて考えないといけない」というアドバイスとフェルミ推定のパワーをまざまざと感じた事例でした。

売上アップ5%は、利益何%に貢献するのかさて、今回のケースに戻りましょう。

お題は「現在の営業人数のままで売上を5%アップできないか」です。

月間売上1億500万円でしたので、5%ということは約500万円の売上アップです。

この500万円とはどのようなReturn(成果)なのでしょうか?たとえば次のように考えることができます。

売上に関しては5%アップですが、利益についてはどの程度の寄与があるでしょうか。

ざっくりとフェルミ推定してみましょう。

たとえば、今回の商品の原価率が30%、販売管理費率が60%だと仮定すると、結果としての営業利益率は100%−30%−60%ですので10%となります。

この情報をこの営業組織に当てはめると、売上高約1億円ですので、現在の営業利益は1億円×10%=1000万円と計算できます。

今回の施策では、営業人数は増やさないことが前提でしたので、少し都合が良いですが、極論ですが、販売管理費は変化しないと考えても良いかもしれません。

つまり、何らかの施策がうまくいき500万円の売上が増加した場合、原価率が30%ですので、500万円×30%=150万円の原価がかかります。

しかし、販売管理費はかからないと仮定すると、500−150=350万円の営業利益が増えることになります。

ということは、現在の営業利益が1000万円ですので、今回の施策により1000万円+350万円=1350万円と、利益は35%({13501000}−100%)増加すると推定できます。

販売管理費が全く増えないのは、さすがに都合が良すぎるので、販売管理費率である60%の半分の30%は増加すると仮定した場合も計算してみましょう。

500万円の売上が増加した場合、原価については先ほどの前提と同じなので500万円×30%=150万円の原価がかかります。

一方で、販管費は売上に対して30%だけかかると仮定したので、500×30%=150万円の販管費が増加することになります。

結果、500−150−150=200万円の利益が増えることになります。

ということは、現在の営業利益1000万円が、1000万円+200万円=1200万円と、利益は20%({12001000}−100%)増加すると推定できるのです。

今回の5%の売上アップ500万円の売上アップを今の営業パワーで実施するという施策は、成功すれば、利益が20%から35%程度と大幅に増える可能性がある施策だとフェルミ推定で分かりました。

すると、今回の施策は重要だと判断しても良いのではないでしょうか。

ただし一つだけ確認しておくことがあります。

つまり、ROIのI(時間やお金)です。

分子のRが大きくても、検討や施策にかかる時間やお金が膨大であったら意味がありません。

反対に、施策検討する時間が少なく、成果がきちんと出れば出るほどROIは高くなります。

この観点も忘れずにチェックするようにしましょう。

顧客数のヌケ・モレ・ダブリを防ぐには『爆速で終わらせる1因数分解』で仕事を「因数分解」することで、人が持てる程度の荷物の大きさにすることが重要だと述べました。

ここでは、ROIの分子(Return)にあたる売上を因数分解して、売上拡大のポイントを見つけてみましょう。

そうすることで、具体的な施策のイメージも湧きやすくなります。

その際のチェックポイントを見ておきます。

まず、売上を因数分解する際の基本的なポイントを押さえておきましょう。

図9を見てください。

売上=単価(Price)×数量(Quantity)と表現できます。

2項目に因数分解したわけです。

この数量(Quantity)を取り扱う際には、気を付けておかないといけないポイントがあります。

それは、この数量(Quantity)が「個数」の場合と「顧客数」の場合の違いです。

次のような「問題」で考えると、「個数」と「顧客数」の違いが明確になります。

ある商品Aを販売している会社があります。

問題①商品Aが4月に10個、5月に10個、6月に20個売れた場合、4月から6月の四半期での販売個数はいくつですか?正解は、4~6月の販売個数=10個+10個+20個=40個です。

簡単ですね。

問題②同じく商品Aを取引してくれた会社数は、4月10社、5月10社、6月20社の場合、4月から6月の四半期での取引顧客数は何社ですか?問題①と同じく4~6月の取引社数=10社+10社+20社=40社でしょうか?単純に取引社数を合計した「延べ社数」は40社になります。

しかし、商品Aの特性によりますが、商品Aは、顧客が複数回購入する性質の商品の場合もあります。

具体的には、ある会社が、4月に商品Aを購入し、再び翌月にも購入するというようなケースです。

すると、ある取引先会社が4月に1社、5月に1社カウントされていますので、実際の取引社数を計算する際には、4月と5月にダブルカウントしてしまう可能性があります。

そう考えると、問題②の正解は、現在の条件だけでは回答できないことが分かります。

そこで、問題②の取引社数を最大から最少の取引社数の幅で答えてみましょう。

取引社数が最も多い場合は、何社でしょうか?それは、4月の10社、5月の10社、6月の20社に1社もダブりがない場合です。

単純に3カ月分を足して40社になります。

それでは、逆に最も少ない社数の場合は何社になるのでしょうか?6月に20社取引があるので、この数字より小さい可能性はありません。

最も取引社数が少ないのは、この20社の企業のうちの10社がそれぞれ4月、5月に商品Aを購入した場合です。

よって、最も取引社数が少ない場合は20社になります。

つまり、問題②の現在の情報からの回答は「20社以上40社以下」になります。

営業戦略・戦術を考える際に、現在の取引社数が20社なのか、40社なのかは大違いです。

たとえば1社あたりの取引額を計算することを考えてみましょう。

1社あたりの取引額=「売上÷取引社数」となりますので、取引社数が20社と40社では、数値が2倍違います。

営業戦術を考える際も、現在20社の顧客基盤があるのと、倍の40社の顧客基盤があるのでは、前提が異なります。

つまり問題①のように販売できた商品個数を計算する場合は、単純に合算すればよいのですが、顧客数を計算する場合は、確認が必要なことを覚えておいてください。

どうしてわざわざこのようなことを強調しているのかというと、EXCELのような表計算ソフトの特徴に引っかからないようにしてほしいからです。

表計算ソフトで、単純に数値集計をすると、顧客数であっても商品個数同様に単純に合算してしまいます。

これが、後工程で問題になるケースがあるのだということを覚えておいてほしいのです。

因数分解をする際に、顧客数の計算には気をつけるという前提を理解したうえで、人が持てる荷物の大きさにするために、「何でも因数分解する」ことをしていきます。

数字は特に因数分解が容易です。

図9のように売上=単価(Price)×数量(Quantity)=新規売上+リピート売上=新規単価×新規数量+リピート単価×リピート数量となります。

分解すればするほど、荷物の大きさが小さくなり、具体的な施策検討がイメージしやすいのではないでしょうか?コラム成果を出す人は「後ろから」考える図7で挙げたケーススタディは、「数字」について様々な重要ポイントが学べる優れものです。

一例を挙げると、「自分自身の数字に対するタイプ」が分かるのと同時に、「数字を扱うときに気をつけてほしいこと」も分かり、さらに「SpeedisPower」の典型的な手順も学べます。

図7の表を見せたうえで、「5%売上アップする方法がないか提案してほしい」という問いを投げかけた時、過去の受講者は、次の4タイプに分かれます。

A「すぐに分析を始めるタイプ」B「まずデータが正確なのかを考えるタイプ」C「シナリオ(仮説)を考えるタイプ」D「どうしてよいかわからないタイプ」あなたはどのタイプに近いでしょうか?数字が比較的得意だと思っている方に多いのが、A「すぐに分析を始めるタイプ」です。

表や数値を見ると無条件に計算をし出すのです。

すぐに着手するのでスピード感もあります。

まさにSpeedisPowerを体現しているようです。

そう考えると、あまり問題がないように思えます。

しかし、本当に問題がないのでしょうか?他のB、Cのタイプと比較すると、このA「すぐに分析を始めるタイプ」の問題点が浮き彫りになってきます。

たとえばB「まずデータが正確なのかを考えるタイプ」。

Bタイプの人は、真っ先に与えられたデータが正確なのかを確認します。

具体的に確認するポイントをいくつか挙げてみましょう。

数字の桁数は妥当でしょうか?今回のデータで組織あたりの月間売上が1,120万円から3,900万円ですが、桁数は合っていますか。

特殊なケースかもしれませんが、リクルートは単位を億円、万円で表記することが多かったのです。

しかし、一般的には千円、百万円でカンマを入れます。

他社から転職してきた人は、これを勘違いして桁数を間違って表記するケースもありました。

今回、一営業組織の月間売上が千万単位というのは、実態の桁数と同じでしょうか?その正しさを確認してから分析に入る必要があるということです。

今回のケーススタディとは直接関係ありませんが、日本の平均年収のデータを使って分析する場合、渡された年収データの単位が「千万円単位」や「十万円単位」のデータであれば、それは間違っている可能性があります。

ちなみに日本の平均年収は、422万円(平成28年度)。

ざっくり400万円です。

このような数値を感覚的に知っていると、与えられたデータが正しいかどうかをチェックする際に役立ちます。

平均年収が422万円だということは、月収換算すると30万円~40万円程度。

それなのに月額100万円以上や10万円台の数値を渡されたら、データそのものに間違いがあるか、データに特定の偏りがあることが想定できます。

あるいは、構成比やシェアの数値に矛盾はないでしょうか?出所は確かでしょうか?これ以外にも、自分の経験や知識から考えて、おかしな数値はないのか、まずは確認します。

このようなほんの少しの事前チェックはとても重要です。

Bタイプの人は、正しくないデータを分析する無駄や間違いを良く知っています。

不確かなデータを分析した場合、その時間はまったく無駄になります。

ましてや、その分析結果で何らかの判断をすると大きな間違いを起こしてしまう可能性もあります。

ということで、「数字の読み方・考え方」講座の冒頭では、データを与えられたら、まずそのデータが正確なのか確認する習慣をつけることをアドバイスしていました。

「まずデータの正確性を確認」する。

とても大事なのですが実施しない方が多いのです。

これを機会にぜひデータが正しいかどうかを確認する習慣をつけてください。

それでは、Bタイプのようにデータの確からしさを確認しました。

その次に何をすれば良いのでしょうか?答えはC「シナリオ(仮説)を考えるタイプ」にあります。

A「すぐに分析を始めるタイプ」のようにやみくもに作業を始めるのではなく、Cタイプは、分析のシナリオを作成してから作業を行っています。

「シナリオ」とは、仮説、つまり現時点での確からしい答えのことです。

間違っていても構わないですが、検証もしくは反証(間違っていると検証)できるものです。

私は、何か仕事をする際に、「最高の未来」を妄想して、この仮説を考え出します。

イケテイルシナリオ(仮説)を思いつくとワクワクします。

仕事の成果の大半は、このシナリオ(仮説)を思いつけるかどうかの影響が大きいと感じています。

図10にAタイプとCタイプの作業のフローを比較しています。

私はAタイプのようにすぐに作業に取りかかるタイプを「前からやる」タイプと呼んでいます。

一方のCタイプのように、最終的な成果をイメージしてシナリオを作ってから作業に入るタイプを「後ろから考える」タイプと呼んでいます。

2つのタイプを比較すると、Aタイプは作業の着手は早いのですが、結局「手戻り」「追加作業」に加えて「無駄な作業」をしているので、全体の工数(かかる時間)が長くなりがちです。

結果、生産性が低くなるのです。

一方のCタイプは事前にシナリオを作っているので、そのシナリオに合わせて計画的に作業を行います。

結果、手戻りや作業のダブりなどが起きにくくなるのです。

今回の図7のようにシンプルな表からの分析であれば、タイプAもタイプCも差異は少なく、大きな問題にはならないでしょう。

しかし、これが少し複雑なデータ分析が必要な場合であれば、その差はてきめんに表れるのです。

「前からやる」と「後ろから考える」。

詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

https://www.businessinsider.jp/post108611最後のD「どうしてよいかわからないタイプ」の方は、この本を引き続き読んでください。

そしてぜひ、B「まずデータが正確なのかを確認」したうえで、C「シナリオ(仮説)を考える」習慣をつけてみてください。

この2つを意識するだけで、仕事の成果が上がります。

シナリオ(仮説)の作り方については、次ページから詳述します。

爆速で終わらせる3仮説思考比較して課題点を見つけだす数字を取り扱う際の前提である「因数分解」「フェルミ推定で仕事のROIをチェックする」を理解したうえで、次に「シナリオ(仮説)を作成」します。

シナリオ(仮説)とは、どのように分析をして、どのような結論を考えるのか手順を考えるということです。

シナリオを考える際にヒントになるのが「比較」です。

そのために、比較する対象物を探します。

それでは、再び「現在の営業人数のままで売上5%をアップさせる」ケース(図7)を題材に比較について考えてみましょう。

まず紙を準備します。

そして比較するものを上下あるいは左右に書いていきます。

思いついた順に書いていくのも良いのですが、いくつかの軸(カテゴリー)を想定してから、記入していくと、ヌケ・モレ・ダブリを防げます。

たとえば、「社内」「社外や市場」「時間」などの軸が挙げられます。

さらに細かく分類すると、「社内」では、同じような組織同士を比較する、営業担当の年齢や階層で比較する、エリアごとに比較する、商品やサービスごとに比較する、などが考えられます。

「社外や市場」では、市場の変化と比較する、同業と比較する。

「時間」では、前年業績と比較する、「月間」や「週」ごとの売上と比較する、などが考えられます。

比較する軸をたくさん考えることが、良いシナリオを考えることにつながります。

図11に比較表の例をまとめました。

①組織間の比較(首都圏、関西、東海、エリア)、②商品間の比較(商品A、商品B)、③商品企画の比較(基本企画、オプション企画)、④営業レベルの比較(ベテラン、若手)、⑤前年伸び率や⑥市場シェアの変化(本年5月、前年5月)などが考えられます。

⑤のデータがあれば、経年で伸びているのかどうかをチェックできます。

⑥のデータがあれば、同業他社との比較が可能になります。

今回はデータ入手が最もシンプルな①~④で分析しましょう。

最終的なアクションをイメージする具体的な作業に入る前に、最終的なアクションをイメージします。

最終的なアクションとは、今回のケースでは5月の営業組織の業績データの分析・考察を行い、上司から与えられたお題である「同一人数で5%の売上アップ」を実現する具体的な施策を提案することです。

そこで少しデータを眺めてみましょう。

図7を再掲します。

どのようなことが分かるでしょうか。

たとえば、表を見ると各組織の名前の横にが立っています。

これはリクルートでは、目標達成していることを表現しています。

つまり東海を除くすべての組織が目標達成しています。

この結果に上司も満足しているという話をしていました。

そこから想像すると、「営業組織全体」で課題、つまり売上5%アップの「伸びしろ」がある可能性は低いかもしれません。

ここまでは、容易に想像できます。

その中でもし課題=「伸びしろ」があるとすると、「全体」ではなく「部分」です。

たとえば、特定の営業担当群×特定の商品群に課題=「伸びしろ」がある(たとえば注力商品群があまり売れていない)というケースです。

もしもこれが正しい場合、どのような施策を実施すれば売上アップが見込めるのでしょうか?少しでも営業経験がある人であれば、「特定の営業担当群×特定の商品群についての勉強会をして営業力の底上げをする」ことが思いつくかもしれません。

では、勉強会を具体的に実行することをイメージしてみましょう。

把握すべき具体的な情報としては「誰に」「何を」「誰が」教えるのかということです。

勉強会の受講者となる、特定の営業担当群とは、どこのエリアのどのような人たちなのか?特定の商品群とは、どの商品のどのような企画なのか?これらの組み合わせの講師として誰が適切なのか?これらを把握できれば、勉強会の詳細を設計できます。

このようなシナリオを前提に考えると、①営業組織間の比較(首都圏、関西、東海、エリア)、②商品間の比較(商品A、商品B)、③商品企画の比較(基本企画、オプション企画)、④営業経験の比較(ベテラン、若手)の4つの比較の作業の順番がイメージしやすくなります。

これでシナリオの土台が作成できそうです。

まず①営業組織間の比較(首都圏、関西、東海、エリア)を行います。

これは、最終的な打ち手を「勉強会」とした場合、地域ごとに勉強会をすることができれば効率的だと考えられるからです。

ですので、まずはどのエリアに課題があるのか絞り込みます。

続いて、②商品間の比較(商品A、商品B)を行い、A、Bどちらの商品に問題があるのかを絞り込みます。

これも、前述したように勉強会をして営業力の底上げをする場合、商品A、商品Bのどちらの商品企画担当者を勉強会の講師として呼べばよいのか、目星をつけることができるからです。

さらに③商品企画の比較によってのどちらの商品に問題があるのかを絞り込むことができれば、営業ノウハウのどの部分を強化すれば良いのかが分かります。

今回の例では、基本企画とオプション企画とを分類しています。

基本部分が売れているのかどうか、基本企画にオプション企画を付加して売れているのかどうかにより、打ち手が異なるからです。

基本企画についての課題であれば商品全体の課題である可能性があります。

つまり、営業組織だけではなく、商品企画を巻き込んで課題解決の必要が出てきます。

一方で、基本企画は売れているけれど、オプション企画が売れていないケースではどうでしょうか。

もちろん、このケースでも、顧客が基本企画だけで十分満足できるので、「オプション企画に魅力がない」という商品側の問題であるケースもあり得ます。

一方で、営業組織の側がオプション企画を付加してのアップセリング(ランクの高い製品・サービスを販売する)能力が不足しているケースもあり得ます。

つまり、どちらのケースもあり得ます。

また、商品、営業の双方の問題がある場合も考えられるのです。

そこで最後の④営業経験の比較(ベテラン、若手)をすることで、営業年数に問題がありそうなのか、目星をつけるための分析を行います。

ここでは、営業担当者をベテラン(当社での営業経験が長い)と若手(当社での営業経験が短い)に分類して、両者を比較しています。

両者の営業成績に大きな差異がない場合、商品側の問題であると分かります。

両者の営業成績に差異があり、若手が販売できていないケースでは、オプション企画の営業にある程度のノウハウが必要であり、若手への勉強会を実施することで、底上げができる可能性が想定できます。

逆にベテランの販売ができていないケースであれば、ベテラン営業担当のオプション企画への意識の問題なども想定できます。

つまり①営業組織→②商品→③商品企画→④営業経験の順番に比較分析するだけで課題=「伸びしろ」が特定できるのです。

今回は営業組織内での話でしたので、①→②→③→④の順番でした。

同じ分析でも、たとえばこれが商品企画部門内での分析であれば、②商品→③商品企画→①営業組織→④営業経験の順番が適切です。

なぜなら、最終的な打ち手は、自組織内でコントロールしやすいことを優先した方が良いからです。

商品企画部門内であれば、商品、あるいは商品企画の何らかの改善が可能です。

ですので、分析も商品関連から考えるのが手順となります。

もちろん、商品側に大きな問題がなければ、特定の営業チャネルの問題ですから、後半で営業組織について分析を行うことになるというわけです。

必要なデータを集めるにはさて、これで分析に必要なシナリオはできました。

しかし、まだすぐに作業に入るのではなく、必要なデータが何で、これらをどうやって集めるのかを考えます。

今回の例では、営業担当を経験年数などでベテラン、若手(ジュニア)に分類することが必要ですが、実際の場面では、ベテラン、若手(ジュニア)を厳密に分ける定義はないかもしれません。

その場合は、営業経験年月のデータを入手し、営業担当順にその期間が長い順に並べた表を作るとよいでしょう。

そして、ちょうど人数や売上が半分になるところを基準にして、その上下でベテランと若手(ジュニア)に分類するのが1つの方法です。

ところが、営業経験のデータが入手しづらいケースも想定されます。

入社や職種変更のデータは人事が把握していて現場にデータが共有されていないようなケースです。

実際、最近はHRテックが叫ばれますが、分析に必要なデータが現場にない会社も少なくないようです。

その場合は、営業担当を売上順に並べて、累計の売上で半数になるところで、2つに分けることで「代替」します。

これは、実際はベテラン、若手ではなく、売れている営業担当をベテランと仮置きしているだけです。

実際には上位からベテランと若手(ジュニア)の合計売上がおおよそ同じになるように分類するのです。

どちらにしても、比較する2つの集団の人数や売上が大きく異なると分析に意味がなくなってしまいます。

今回は図12のように売上をベースに2つにグルーピングして話を続けることにしましょう。

分かりやすく説明できると、聞き手は態度変容しやすくなるこれ以降は、グラフを活用した上司への見せ方の工夫について説明します。

もし上司が数字に強くて、ローデータを見て理解できる方であれば、これ以降の部分は不要です。

ただ、必ずしもそのような人は多くないので、上司に説明する際の分かりやすいグラフの作り方を紹介します。

図13をご覧ください。

このグラフは①営業組織間の比較のグラフです。

比較する軸を個人あたりの平均売上で見ています(※)。

数字が必ずしも得意ではない上司に対して、上手に伝えるためのポイントは3つです。

1つめは、一番上の「タイトル部分に最も伝えたいこと」を書くことです。

今回の事例では、「Gごとに平均売上に差がある」と書きました。

これであなたが、このグラフで伝えたいことが明確になります。

ところが、タイトル部分を「Gごとの平均売上」などと表記すると、同じグラフなのに、上司は、グラフから何を読み取ればよいのか考え出すのです。

すると、その上司が数字に強くても弱くても、あなたが伝えたいことと別の解釈を行うかもしれません。

いったん別の解釈をした人の考えを修正するのは、手間がかかります。

一方、グラフに「Gごとに平均売上に差がある」というタイトルをつけると、上司は、グループ売上に差があるのだという前提で、グラフを見ます。

解釈の余地は、「差はどれくらいか?」という点に絞られます。

タイトルを一般的な表記から、「あなたが伝えたいこと」に変更するだけで、伝わり方に大きな差が生まれます。

2つめのポイントは「比較対象を分かりやすく表示している」ことです。

このグラフでは、「全国平均の売上額(横軸の右端)」を比較対象としています。

具体的には、全国平均の売上を示す棒グラフの上部から左右に線を伸ばし、この線を比較対象として想定していることを図示しています。

これで上司は、私が何と比較しているのが簡単に理解できます。

3つめのポイントは、見せ方の工夫。

全国平均の棒グラフの先から左右に棒線を加えていますが、その線と各エリアグラフの上下に矢印を加えて、差異を強調しています。

この2つめ、3つめのポイントにより一番伝えたい「Gごとに平均売上に差がある」ことが分かりやすく上司の頭に入っていきます。

図14をご覧ください。

これはオリジナルの図13を一部改良したものです。

具体的な違いは、縦軸の交点を0から250に変更したことです。

これにより、全国平均と比較対象の各エリアの差異が強調され、違いが分かりやすくなります。

ただし、これらはあくまでも分析するあなたが「強調したい」時に使うテクニックです。

何が言いたいかというと、実際は大して差異がないのに、差異を見せるために使うのは本末転倒だということです。

相手(今回でいうと上司)を見せ方でだますようなことをしてはいけません。

わざわざこのようなことを書いているのは、ときどき表計算ソフトが自動設定でこのような差異を強調するグラフを作りあげてしまうケースがあるからです。

そしてその結果、分析者自身が、そのグラフを見て、実際には差が小さいのに、差が大きいのだと勘違いしてしまうこともままあるのです。

これはグラフの見せ方による錯覚。

つまり軸を変更させる時は、「実際に差異があり、わかりやすくするために軸の変更を使用し強調する」程度に利用に歯止めをかけておいた方が良いでしょう。

(※)平均で数値を見るのはざっくり全体像をつかむには良いのですが、本当は拙いこともあります。

これについては「平均と分散」で触れますので、参考にしてください。

ここでは話を簡単にするために平均を扱っています。

次の図15は、「グループごとに平均売上に差がある」理由が商品Aにあるのか商品Bにあるのかをチェックしています。

商品A、Bを、先ほどの図14同様にエリアごとの平均の比較で表示し、伝えたい内容をグラフの上部にそれぞれタイトルとして書いています。

今回のケースでは、商品Aのグループごとの差異は小さいのですが、商品Bの売上の差異が大きいのが分かります。

この内容を強調するために、一番売れている組織と売れていない組織の平均値の差を「+60万円〜▲30万円」と強調しています。

これにより、グループごとの差異の問題は、商品B側にあるということを伝えられます。

図16は、基本企画とオプション企画のどちらに差異の原因があるのかを記しています。

念のために、先ほど図15で問題がないと確認した商品Aも比較対象としています。

これによると商品Bの問題は、基本企画の売上の差異が原因であることが分かりました。

さらに図17では、商品Bについて、ベテランと若手(ジュニア)での差異を分析しています。

同じく伝えたいことを強調しています。

このグラフを見ると、どうやらベテラン、若手の問題ではなく、関西とエリアで商品Bの基本企画の営業1人あたりの売上が低いことが原因であることが分かってきました。

ここまで分析できればしめたものです。

当初の仮説通り、上司に対して、関西とエリアの営業に対して商品Bの基礎知識と販促のポイントについての勉強会を実施することを解決策として提案できそうです。

ただし、商品全体の問題、つまり営業側だけではなく商品企画側の問題である可能性が残っています。

その場合も、この分析データを商品企画部門に提示することで協力も得やすくなると想定できます。

結果、商品企画担当に勉強会の講師を依頼することも容易になるでしょう。

素早く報告できると、聞き手は態度変容しやすくなるこれまでの分析結果について上司から依頼を受けた翌日、遅くとも2、3日後に報告できれば、上司もかなり満足してくれるのではないでしょうか。

今回の分析で時間がかかるのは、シナリオ作成とベテラン、若手に分類するためのデータの入手ですね。

基本企画とオプション企画のデータは当初のデータにはないですが、これは一般的には受注時に登録しているはずですので、入手は簡単なはずです。

そう考えると、翌日、あるいは2、3日後に分析結果を報告するリアリティも高まるはずです。

一般的に仕事の成果はQCDで評価されます。

Qは成果物の品質、Qualityです。

Cは投下したお金や時間などのコスト、Cost。

Dは納期、Deliveryです。

翌日、あるいは2、3日後というのはDが短い、早いということ。

納品が早いと人は感動します。

SpeedisPowerです。

反対に納期であるDが遅い、具体的には、今回のケースで報告が1週間後、あるいは2週間後だった場合をイメージしてみてください。

上司は、これだけ時間がかかったのだから、よほどの内容のレポートを上げてくるに違いない、と過剰に期待しているかもしれません。

期待値が上がっているわけです。

上司と「Q(成果物の品質)の期待値」にズレがある、これはできれば避けたいですよね。

どうすれば避けられるのか?案外簡単です。

納期が遅い大半の理由は、実は、時間がかかったのではなくて、着手が遅れただけだからです。

繰り返しになりますが、納期が早いことは人を感動させます。

作業を始める前に上司とコンセンサスを得ておく具体的な手を動かす作業をする前に、3つの準備をしました。

1つめは、上司からの指示が検討する価値があることの確認。

2つめは、全体のシナリオの作成。

具体的には、「特定の商品×営業群の問題点」を見つけて、その勉強会を行うことで、売上5%アップを現在の営業パワーで実現すること。

3つめは、このシナリオを作成するためのデータ入手や手順などの段取りの確認。

これらから全体のアウトプットを出すための工数も計算できます。

これらの準備に必要な時間は、慣れてくると数時間、おそらく1、2時間で可能になります。

上司から仕事の依頼があり、1、2時間後に、この3つの情報をアウトプットできたとすると上司はどう思うでしょうか?まさにSpeedisPower、あなたを「仕事ができる人」だと思ってくれるのではないでしょうか。

そう思ってもらえるポイントも3つあります。

1つめはこの事前の準備段階で報告できれば、単純に仕事が速い人だと思ってもらえます。

2つめは、上司の不安を払拭できます。

上司は、いつ報告が上がってくるのか気が気でないのです。

つまり、この段階で中間報告と工数に基づく納期を教えてもらえれば、安心できるのです。

これも「仕事ができる人」だと思ってもらえるポイントです。

3つめは、この準備段階で上司とあなたが考えた段取りの方向性が異なれば、早期に修正できます。

すると、あなたは無駄な作業を省けます。

上司も無駄な資料を見る必要がなくなります。

お互いに幸せなのです。

膨大な作業をしてから、それが無駄であったと分かるのは、お互いに不幸になります。

それを避けられるのです。

ここまでお読みになられて「因数分解」「ROI思考」「仮説思考」のポイントが理解できたのではないでしょうか。

本章の内容だけでも実践していただければ、十分に数字で考えられるようになっているはずです。

次章以降は応用編です。

実践できれば、さらに数字を自由自在に使えるようになります。

世の中の2種類のバカの話学生時代、私は若さゆえ「何でも数字で分かる」と思っているきらいがありました。

それは当時の若い理系学生にありがちな考えであったかもしれません。

そんな私たちに教授が戒めの言葉として教えてくれたのが、次の言葉でした。

「世の中には2種類のバカがいる。

『数字で何でも分かると思っているバカ』と『数字では何も分からないと思っているバカ』。

君たちはどちらのバカにもなってはいけない」最初は意味が良くわかりませんでした。

詳しく話を聞くと、教授が伝えたかったのは次のような話でした。

数字で何かを表すには、その表したい事象を「モデル」として取り扱います。

モデルというのはある意味、物事を理想の状態であると仮定し、あるいは単純化した場合に成立します。

ところが、私たちが実際に取り扱うのは、理想でも単純でもない実際の現象。

つまり、そもそも「モデル」と「実際」には誤差があるのです。

ということは、「理想化、単純化したモデルを前提に作成した数字で何でも分かる」というのは正しいわけがないのです。

しかし、一方、正しくモデルを作ると7割くらいの実態をつかめるというのも経験値から言えます。

要するに、「数字では何も分からない」というのも正しいわけがない。

恩師のアドバイスは、最高のモデルを作るという努力をする前提で、それは完全ではないという恐れを常に持ちなさいというメッセージだったのです。

そして、残りの3割については、経験や知恵を足して補いなさいということだったのです。

それを数字では表現できない、「定性情報」と表現しました。

教授の言葉を頭の片隅に置きながら、ビジネスの場面で、様々な方々を観察しました。

すると想像以上に2種類のバカ、すなわち「何でも数字で分かると思っているバカ」と「数字では何も分からないと思っているバカ」が多いのです。

そして、どちらのバカもビジネスをうまく運営できていませんでした。

みなさんもぜひ覚えておいてください。

正しく数字を使えば7割程度の真実を把握でき、残りの3割は定性情報で補うことができるのです。

決して、「数字でなんでも分かると思っているバカ」あるいは「数字では何も分からないと思っているバカ」、この2つのバカになってはいけません。

第2章では、数字に隠された「裏側」を読むためのポイントとして「平均と分散」「想像力」「選択肢を増やして絞り込む」をご紹介します。

 

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