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第1章 数を打つところから始まる―「行動量」の話

「仕事ができる人」の共通認識とは何か本書のゴールは、あなたが「仕事ができる人」になることです。

そのための思考法として、「数値化の鬼」という話をしていきます。

ただ、「仕事ができる人」という表現には注意が必要です。

なぜなら、「はじめに」でも述べたように、それは「数字」ではなく「言葉」だからです。

どんな人が「仕事ができる人」なのかは、人それぞれ定義が異なるでしょう。

試しに、周りの人に「仕事ができる人ってどんな人だと思う?」と聞いてみてください。

おそらく、 1人 1人、異なる答えが返ってくるでしょう。

そこで、まずは定義を揃えておく必要があります。

ここでいう「仕事ができる人」というのは、「評価者からの評価を得られる人」です。

一般企業の社員であれば、上司が評価者です。

経営者であれば、マーケットのお客さまが評価者です。

それを言うと、「上司の評価がすべてではないのでは?」「ちゃんと評価できない人が上司になった場合はどうするの?」という意見が飛んできます。

だからもっと詳しく言うと、「上司と部下の間で認識のズレのない評価を得られる人」です。

つまり、それが「数値化された評価」のことです。

受験のように、点数を取れて求められた数字をクリアできた人が合格をもらえるイメージです。

いくら頭がいいことをアピールしても東大に入れてもらえるわけではありませんからね。

ビジネスは「結果」ファーストでたとえ、上司が嫌いであっても、評価は勝ち取らないといけません。

ここでも学校のテストをイメージしてもらえばいいでしょう。

いくら授業中に寝ていようと、先生に目を付けられていようと、テストで 100点を取ってしまえば、評価せざるを得なくなります。

とはいえ学校であれば、「内申点」というものがあるので、テストだけが評価対象にはならなかったかもしれません。

しかし、社会は違います。

ビジネスの世界では、結果を出している人が勝つのです。

そんなに頑張っているように見えなくても、ちゃっかり大口の契約を取ってくる要領のいい人がまわりにいませんか。

ぜんぜん残業していないのに、大事な仕事ではなぜかうまくいく人もいないでしょうか。

もちろん、わざと不真面目にすることはありませんが、それでも「結果を出して評価されている」というのは「仕事ができる人」に間違いありません。

プロ野球選手でいえば、普段どれだけ派手に遊んでいようが、試合で活躍してくれればいいわけです。

そして、本書では、そういった要領の良さを身につけてほしいと思っています。

そのための思考法が、まさに「数値化の鬼」なのです。

やり方は人それぞれで「自由」識学の教えには、上司は部下の「プロセスを評価しない」という考えがあります。

これは、ゴールである「目標(数値化されたもの)」を設定したら、あとはどのように部下がそれを達成するか、その選択の権限を与えることを意味します。

つまり、目的地さえ決めてしまえば、そこまでの行き方は自由なのです。

電車を使っても、バスを使っても、自転車を使っても、自由です。

個人の能力によって試行錯誤してもらうことで、思わぬ近道を発見したり、自分にとって効率のいい交通手段を見つけることができるからです。

自分で業務内容を改善して、初めて人は成長するということです。

トークスキルが高いのであれば、それを磨いて目標を達成する道もあるでしょう。

逆に、トークが苦手なのであれば、ロジカルなメールで目標を達成する方法もあるかもしれません。

目標をクリアする方法はいくつもあります。

上司が決めたプロセスを押し付けることを、本書では否定しています。

とはいえ、「仕事ができる人」に共通する「型」があるのはたしかです。

どうしても避けることができない「考え方の考え方」について、さらに見ていきましょう。

数値化とは 「PDCA」を回すことであるすべてに共通する「型」とはなんでしょうか。

個人に与えられた「年間や半年の目標」を「 1日」に分解しました。

これは、「 PDCA」というフレームワークを使ってさらに説明することができます。

「PDCA」とは、次の4つの略です。

「P(プラン):計画」数値化された目標 →例「 400ページの本を読み切る」など 「D(ドゥ):行動」計画を基にした具体的なプロセスや行動 →例「 1日 20ページずつを読む」など 「C(チェック):評価」上司が与える評価、あるいは自らによる振り返り →例「 1日の終わりに、読んだページ数を確認する」など 「A(アクション):改善」評価を基にした反省と次の改善点 →例「明日はどうやって 20ページ読むかを決める」などここまで読んでくれたあなたなら、数値化を受け入れ、不足を満たすことと、「 PDCA」を考えることが通底していることに気づくでしょう。

この古典的なフレームワークを土台に、識学オリジナルの考え方を加えながら、体系的に説明していきましょう。

識学流 PDCAの考え方とは識学においては、「 P」に時間をかけないことが重要としています。

「PDCA」の「 P」は計画ですが、これに時間をかけるのはムダです。

人間は、「計画を立てるとき」がもっともテンションが上がります。

旅行の予定を考えたり、お小遣いの使い道を考えたり、夏休みの宿題の予定を考えたり……。

まだ何も実行していないときは、気持ちだけが上がります。

いわゆる「とらぬタヌキの皮算用」ですが、ここに落とし穴があります。

それは、計画を立てるだけで安心してしまうことです。

前の例で大事なのは、その最初の日に本当に 20ページを読むことです。

それなのに、計画を立てただけで満足し、「明日から頑張ろう」と思う人が多すぎます。

計画は、実際に行動が伴って初めて意味を持ちます。

計画での数字と、実際にやってみた数字。

それを比較し、素早く不足を埋めるアクションに移ることが何より大事です。

数値化は「なんとなく」を許さないある商品を週に 50個売ることを「 P(計画)」として考えてみましょう。

最初の週は 40個しか売れなかったとします。

10個が売れ残ったことを数値化しようとすれば、「店頭での見せ方が悪かったかもしれない」「商品について聞かれたときの説明がよくなかった可能性がある」など、問題点が見えてくるでしょう。

また、例年なら 100個が売れる時期に、ピタッと売れ行きが落ち、 30個しか売れなかったとします。

日々、数値化をしておけば、「今年は何か変化が起こっているぞ」という違和感にいち早く気づけます。

消費者の行動が変わったり、他の商品に人が流れていたりなど、原因を探る行動が取れるでしょう。

しかし、なんとなく感覚で売っていたら、この変化に気づくのに遅れます。

「先週より今週のほうがなんとなく売れ残っているな……」「そういえば今年は売れ行きが落ちている気がするな……」と、問題を放置してしまうと、とてつもなく大きな機会損失を生みます。

そうならないためには、 1日の売上を数値化して、週の目標の数字を把握しておくこと。

それを毎週、比較して「数字の変化」に気づけることが大事なのです。

「D」の回数を

「行動量」とする新入社員や若いプレーヤーに多く見られるのが、「 P(計画)」から「 D(行動)」へ移るときのタイムロスです。

この「 D」の回数こそが、第 1章の重要なキーワードとなる「行動量」という概念です。

行動量は、その名のとおり、「何回やったのか」「 1日に何時間できたのか」という「量」を表す数字です。

プレーヤーにとっては、行動量を極限まで上げていき、高いレベルで維持することが何より求められることです。

しかし、人は「量」より「質」を求める生き物です。

行動する前から「失敗したくない」という思いが強くあることでしょう。

特に、高学歴だったり、前職での成功体験がある人ほど、プライドが高くなり、失敗を恐れるようになります。

優秀であればあるほど、計画に時間をかけすぎて行動量が落ちてしまいます。

そこから脱するためには、まず「行動量」にフォーカスすることです。

日々の業務の中でやらなければいけないことを「何回やったのか」「 1日に何時間できたのか」と、行動量を増やすことだけを考えてください。

時間というフレームで考えるのは、残業してダラダラ長時間やるのでは意味がないからです。

それでも行動まで時間がかかるのは、3つの理由が考えられます。

1つ目は、「何をすればいいかが明確じゃないから」です。

これは、「 P」の数値化が甘いことが原因です。

計画や目標の中に数字がないから次に移れないのです。

2つ目は、「失敗したくないから」です。

これは、「 D」のあとのフォローが重要になってきます。

失敗することで、大きな罰を受けるのであれば、おのずと行動は減ります。

しかし、実際はそんなことはないはずです。

3つ目は、「上司やリーダーの言うことが納得できないから」です。

上の人の指示に疑問を持っている状態ですね。

もちろん、わからないことは聞いて解決することが一番です。

ただし、2つ目の理由ともつながってくるのですが、根本的な「理解」や「腹落ち」は遅れてやってくるものです。

実際にやってみて、「そういうことだったのか」と気づくのが正しい順番です。

その場合は、まずは「言われたとおりにやってみる」ことです。

やってみて、失敗やエラーが起こることは必要なのです。

それに対する責任や罰則なんて、プレーヤーレベルの仕事では存在しません。

大いにチャレンジして、大いに失敗すればいいのです。

「数をこなす」こそ基本中の基本著名なヒットメーカーや有名デザイナーも、話を聞いてみると、驚くほどの量をこなしていることがわかります。

そのうちのいくつかが圧倒的に成功すると、あたかも「それしかやっていない」ように見えます。

行動量は「見えない努力」だからです。

しかし、有名な作品を世に出している人ほど、圧倒的に多くの失敗作も生み出しています。

「あの人はうまくいってばかりだな」と、見かけにダマされないことです。

例え話ですが、ホームランを打ちたければ、誰よりも多くバットを振る回数を増やすしかありません。

仕事とスポーツは違うように思うかもしれませんが、構造は同じです。

さらに仕事では、スポーツのように「練習」がありません。

なので、より普段の行動量が大事になってくるのです。

ホームランを打てば、その日の三振のことは観客の誰もが忘れてしまうように、大きな成功を生み出すと、それまでの失敗は誰も覚えていないものです。

だから、まずは誰よりも数をこなす。

「行動量」を増やす。

PDCAの「 D」を増やす。

その後の「 C」と「 A」にやるべきことは、第 3章で後述します。

それを大前提として、さらに具体的な方法を紹介していきましょう。

「数をこなす」ためのすぐやる仕組み前項では、「行動量」の大事さを語りました。

プレーヤーは「 D」を増やすことが大事です。

とはいえ、行動の障壁になるものがあると思います。

「P(計画)」は、基本的には上司や会社から与えられます。

→「今月の売上 100万円」「新規事業の黒字化」「 30%の経費削減」など 「D(行動)」は、自分で考えて行動することです。

ここでよくある失敗が、次のようなものです。

「D」のダメな例 →「今月の売上目標 100万円を目指して頑張る」「新規事業に積極的に取り組む」「コストカットを意識する」など 「D」の中身が漠然としたままだと、行動量は減っていきます。

それを避けるのが、数値化の威力です。

目標のための目標、 「KPI」という概念 「KPI( Key Performance Indicator):目標を達成するための数値化された指標」という概念があります。

たとえば、目標が「英語を話せること」だとした場合、あまりに漠然としすぎています。

その場合、「(英語を話せるために)英単語を 1日 10個ずつ覚える」「(英語を話せるために)英会話学校に週 2回通う」などが「目標のための目標」、つまり「 KPI」になります。

「1日 10個ずつ」「週 2回」など、ここでも数字が入っているのに気づくと思います。

「KPI」は数値化されていないと意味がありません。

「英語を話せる」という目標のままだと、人によって「話せている、話せていない」にバラつきが出てしまいます。

しかし、正しく数値化ができると、誰が見てもズレがなく明らかです。

また、自分でコントロールすることができるのもポイントです。

「外国人と会話する」などの目標だと、相手がいるかどうかが左右してしまいます。

できるだけ、自分の行動だけで完結できるレベルに細かく設定できていることが大事です。

識学的には、日々の行動に迷いがないレベルにまで「 KPIに分解できていること」が重要です。

1年や半年の目標を、 1日ごとに分けたり、 1週間で振り返るだけですから、自分でできるようにするのがプレーヤーとしての成長です。

ちなみに、私の知り合いの保険営業の人は、できる人ほどプレーヤー時代の手帳は真っ黒でした。

例外はありません。

それは、アポの回数を増やすことを KPIにまで分解できている証拠です。

プレーヤー時代は、ここまで何度も述べているように、自分に対して甘くならないことです。

心を鬼にして、自分の不足を受け入れるのが大事です。

「行動制約」を明らかにするそれでも行動できないのであれば、おそらく、あれこれと考えて感情が絡んでいるのでしょう。

訪問先に苦手な人がいたり、営業で断られるたびに落ち込んだり、行動を止めるものは、人間関係が絡んでいることがほとんどです。

それを乗り越えるのも、数値化が役に立つので、それを説明しましょう。

漠然と悩んでいるときは、「ファクト(事実)」が何なのかを確認することです。

序章で述べたように、感情を数字に置き換えるのがポイントです。

たとえば、他人からいちいち嫌みを言ってこられるとします。

どんな単語にイラっとしたのか。

その回数を数えるのです。

「D」の行動量が減るのであれば、その回数を減らすための方策を練らないといけません。

少し話は逸れますが、近い将来、人工知能が発達していき、「機械が人間にアドバイスする時代がくる」と言われています。

現在でも、医者の言うアドバイスをそのまま実践すると、みるみる健康になります。

「早寝早起きをして食事はバランスよく食べて、週に何回か軽い運動をし、休みの日はしっかり休んでください」これをちゃんと実践すると、「医者が言うことは正しかったんだ」と再発見します。

いったん機械や医者の言うとおりにしてみる。

そんな「正直な人間」にこそ、今後は価値が残っていくのだと思います。

「意味」は遅れて理解できる今は、日本人全員が物事に「意味」を求めすぎています。

子どもでも「それって何か意味あるの?」と言います。

意味を教えずに行動を促すことは、現代ではかなり嫌われることです。

ただ、ここで言いたいのは、「自分の考えと違っても、言われたことをすべてやれ」ということではありません。

たとえば、あなたの好きな「歌」を思い出してください。

その歌の歌詞の意味をわざわざ調べたり考えたりしてから歌を覚えたでしょうか。

たぶん、違うでしょう。

先にメロディと一緒に歌詞を覚えてしまって、後から「どういう意味なんだろう?」と考えるという順番だと思います。

仕事においても、これと似たところがあります。

疑問に思うことを1つ1つ確かめている人より、与えられたことを素直にやる人のほうが仕事は上達します。

まずは、体に覚えさせてしまう。

そして、成長したあとに、それを疑ってみる。

その順番が、「 PDCA」でも求められます。

素直にやってみて、やりながらうまくいかない理由を考える。

そういう姿勢を身につけましょう。

「D」に素早く移れるマネジメント環境を整えるここまでの話をマネジャー目線で語りましょう。

上司は、基本的に部下のプロセスに口出しはしません。

しかし、入社 1年目の新人や、部署異動をしてきた人、あるいは、どうしても結果が出ない人がいるなら、やり方を変える必要があります。

こういう部下を持った場合は、最初のうちはプロセスを管理する必要があります。

結果の目標だけでなく、前項の「 KPI」を設定するのです。

そうすることで、「 D」に素早く移れる環境づくりが整います。

たとえば、企画に関する部署にいるとします。

入社して間もない部下に対して、 「1年以内に商品化を1つ実現させる」という、彼にとっては高い目標を与えるとします。

本来であれば、その目標だけを伝えて、部下には自分なりに頑張ってもらうしかありません。

しかし、どうしても難しそうであれば、その目標のための目標、つまり KPIを設定する必要があります。

「企画書を月4つ提出する」「毎週末に、新しい企画書を1つ仕上げる」と、「 P」の次の「 D」の中身を設定します。

そこまでやれば、部下の「 D」、つまり行動量が減ることは避けられます。

「やってればいいんでしょ」という安心材料は危険ここまで、大きな目標のための小さな目標、つまり「 KPI」を設定しました。

ただ、「 KPI」の扱い方には要注意です。

なぜなら、ここでも「手段」と「目的」が入れ替わってしまう危険性があるからです。

本来は、「 1年以内に商品化させること」が目的だったはずなのに、このままのマネジメントを長期間続けていると、次のような誤解を生み出します。

「毎週、言われたとおりに企画書を出しているじゃないですか」「毎月4つ企画書を仕上げるために、毎日残業して頑張っていますよ」そうです。

部下からすると、「 KPI」のほうが「大きな目標」であるかのように誤解してしまうのです。

これは、マネジメントの失敗例として、よく起こりがちです。

設定した KPIは、大きな目標の達成につながらないと意味がありません。

先ほどのプレーヤーは、企画書を提出したのであれば、それが商品開発につながるように、次なるステップを踏まないといけません。

「企画書を 1ヶ月以内に1つ通す」「試作段階にまで話を進める」など、大きな目標を達成するための行動を探す必要があります。

一度設定した「 KPI」にとらわれることなく、つねに「 P」に向かっている意識があるかどうかが試されるのです。

優秀なプレーヤーが犯す「伝え方」のミス優秀なプレーヤーは、出世して管理職になります。

ただし、前著『リーダーの仮面』でも書いたように、彼らが優秀なマネジャーになるとは限りません。

そこにも、数値化の問題が絡んできます。

優秀だったプレーヤーは、「伝え方」が上手ではないことが多いです。

どういうことでしょうか。

彼らは、部下や同僚に対して、平気で次のようなことを言ってしまいます。

「努力すれば道は開けるよ」「うまくやればいいんだよ」特に天才的にプレーヤー能力が高い人ほど、このような表現を使います。

おそらく、頭の中には成功法則があるのでしょうが、それを噛み砕いて再現性のあるような形で伝えることができないのです。

たとえば、「 1500-( 100 × 7 + 50 × 10)」という数式があるとします。

これを口頭で伝えられても、暗算で一瞬で「答えは 300です」と言えるでしょうか。

多くの人はできないと思います。

しかし、優秀だったプレーヤーが管理職になると、その想像力が足りなくなるのです。

自分自身は KPIへの分解ができていたのに、マネジャーになった瞬間に、そのことを伝えられなくなります。

優秀なマネジャーは「1つずつの式」にする逆に、マネジャーとして優秀な人は、先ほどの数式を分けて伝えることができます。

「100円のリンゴを7つ買いました。

50円のみかんを 10個買いました。

いま、 1500円、持っています。

残りはいくらですか?」と、要素に分けて考えれば、誰にでも「 300円です」と答えが出せます。

これは、ビジネスに置き換えても同じです。

「とにかく努力して利益を上げなさい」とだけ伝えることは、先ほどのような複雑な数式を暗算で計算させるようなものです。

そうではなく、 「Aという商品を安く仕入れる」 「Bという商品も安く仕入れる」「客単価を上げる」「顧客数を増やす」「その結果、利益を増やせ」など、行動すべきことを分解して、何が「 P(目標)」で、何が「 D(行動)」なのかを伝えられると、部下は動けます。

この分け方とフォーカスのポイントは、第 3章の「変数」で詳しく述べます。

以上、「 P」の段階でも「 D」の段階でも、数値化が重要であることは理解してもらえたでしょう。

計画を立てるだけで働いている気になっていないか。

心理的な問題で「行動量」が減っていないか。

1日ごと、 1週間ごとの数値化と見直しをしているかどうか。

ぜひ、マスターしてほしいと思います。

目標は「いつでも思い出せる数字」でないと意味がないここまで、 PDCAのフレームワークを用いながら、「行動量」という、プレーヤーにとって最重要の数字について見てきました。

プレーヤーにとって大きな目標を軸として持ち、それに向けて迷わないように動く。

そうして「行動量」を増やしていくことが求められます。

しかし、多くの日本企業の評価制度は、「行動量」につながらないような仕組みになってしまっています。

その問題について少し触れておきましょう。

目標とは「地図」である早速ですが、質問です。

あなたは会社から与えられた「評価項目」を瞬時に思い出せますか?どうでしょう。

もし、「確認しないと思い出せない」というのなら、かなりマズい状態です。

なぜなら、あなたにとって大事な目標が、新年の抱負と同じようになっているからです。

つまり、目標を立てた後 1〜 2週間は覚えていて、ひと月も経てば忘れるような状態と同じだからです。

そうやって失敗は繰り返されます。

「目標を覚えていないのに日々の仕事をしている」という状態は、地図を持たずに目的地に向かってウロウロしているようなものです。

では、なぜ、そうなってしまうのでしょうか。

それは、評価項目の数が多かったり、概念が曖昧だったりするからです。

一般的なコンピテンシー評価は、「積極性」「判断力」「協調性」「計画性」「創意工夫力」「コミュニケーション力」……などの項目が設定されていると思います。

それらを「 1〜 5」の 5段階で感覚的に選ぶような評価じゃないでしょうか。

しかし、考えてみてください。

積極性やコミュニケーション力といった曖昧なことを常日頃からすべて考えている人なんて、この世にいるのでしょうか。

「 力」という概念は、無理やり数字っぽく見せかけた不自然なものです。

会社が利益を上げることと直接的に関係があるかどうかも怪しいのです。

それなのに、私たちが見てきた 2700社以上の企業では、その曖昧な評価項目が 10項目や 20項目、中には 30項目を超える評価制度を用意しているところもあります。

おそらく、トップの経営者ですらも全項目を記憶していないでしょう。

1つの期が終わり、上司が評価を入力するタイミングでようやく、「ああ、そういえばこんな評価だったっけ」と思い出すのが関の山です。

はたして、こんなもので正しく評価し、次の行動につなげることができるのでしょうか。

識学流の目標は「5つ以内」私たちの考えでは、評価項目はシンプルに「 5項目以下」に絞ることを推奨しています。

ちなみに私の会社では、評価項目が「 2個だけ」という社員もいます。

しかも、すべて「売上」「回数」「タスクのポイント化」など、第三者が見ても明らかな数値だけです。

そうすることで、3つのメリットが得られます。

1つは、上司と部下の間で認識のズレが生じないこと。

ここまで述べてきた識学の特徴ですね。

2つ目に、多面評価の必要がなくなり、確定する時間を大きくカットできること。

評価の確定に 1〜 2ヶ月もの時間をかけている企業もありますが、私たちの考えでは期が終わった瞬間に評価を確定させることができます。

そして、3つ目が特に重要なのですが、社員全員が目標を記憶できること。

5つ以下の数値化された目標であれば、すぐに思い出すことができます。

目標が頭に入っていて、一瞬で思い出せる。

だから、すぐに「 D」に移ることができ、行動量が増えるのです。

本書を手に取っているプレーヤーのみなさんは、「今の会社だと評価項目が多すぎて、どうすればいいんでしょう?」と思うかもしれません。

その場合は、一度、上司と面談の時間をつくってみて、「私が達成すべき数値は何なのでしょうか」と確認してみてください。

あなたの仕事の中で、会社の利益に直接つながる項目が何なのかを、上司とのあいだですり合わせるべきです。

「会社の雰囲気を良くすることに貢献したら、回り回って利益につながるんじゃないか」などという考えは、いったん横に置いておきましょう。

数値化の鬼と化して、いったん会社の利益につながることが何かを考える。

そのクセをつけるようにしてください。

それでも「数値化」が難しいとき基本的に、社員の目標は上司が決めます。

そして、その目標は数値化されないといけない。

これは、営業部であれば「契約件数」、店舗の管理職であれば「売上」など、わかりやすく設定できると思います。

その一方で、総務や経理のような「管理部門(バックオフィス)」や、デザイナーや介護士のように、数値化がすべてじゃないような職種があります。

その場合は、どのように目標設定すればいいのでしょうか。

ある介護の派遣会社でも、同様の悩みを持っているそうです。

現場の介護スタッフは、目の前では介護を必要としている人への対応をしています。

そこでのやりがいまで数字にすべきなのか。

売上や満足度として高齢者や病院という現場を見るのか。

そういう疑問です。

本書では、まず、数字の重要性を説明したいので、これについての答えは終章であらためて述べます。

ここでは、総務や経理などの管理部門を例に、どうやって評価するのかを見ていきましょう。

これも、できる限り、数値化による「結果」で評価するようにします。

「ミスの回数は何回だったか」「業務改善数は何回あったか」「期限遵守率は何%だったか」「タスクをポイント化すると、合計で何ポイントになるか」というように、数字で測れる部分を見つけて、できるだけ数値化するようにします。

管理部門だから不可能と決めつけないことが大事です。

そして、一度決めたら変えないのではなく、「その数字に意味があるのか?」を考え、臨機応変に変えていくことが大事です。

ちなみに、私の会社では、管理部門や一般職の社員でも、給料を半年に一度は改定し、給料が上下する仕組みを採用しています。

金額は数千円くらいで振れ幅は小さいですが、それでも成長する機会を与えることが大事だからです。

「自分のこと」しかしなくなる?数値化による評価で、よく言われる批判があります。

それが、「みんなが自分のことしかしなくなるのではないか?」という疑問です。

営業の数字は上がるかもしれないが、全員が売上を追いかけると、「お客さんへのフォローがなくなる」「会社全体に助け合いの精神がなくなる」というネガティブな見方もできると思います。

ただ、これを解決するように目標を設定すれば、大丈夫です。

お客さんをフォローできた状態や助けた状態を定義して、それらも含めて結果で評価するというやり方をします。

たとえば、顧客フォローをしたら「案件継続率」という指標を設定するイメージです。

チーム内での助け合いも、「他部署へのトスアップを『何件』したか」という数値化ができるでしょう。

他にも、社内のプロジェクトに参加した回数をカウントするなど、事実ベースで「回数」をかぞえることができます。

先ほどの介護の派遣業の場合も、高齢者や病人の方々に「全員に毎回一度は話しかける」「クレーム処理に 100%取り組む」など、数字に置き換えられる部分は見つけられるはずです。

いかなるときも、いったん「数字による結果」で評価する姿勢が大事です。

「チームあっての個人」を徹底するまた、「個人が達成すればチームでは未達でもいいのか?」という批判もあります。

こうした問題も、評価制度でクリアできます。

識学では、個人は自分の数字だけを達成するのではなく、「あくまでチームや所属部署の成績を上げるために存在する」という意識を徹底します。

なので、それを評価にも組み込みます。

個人とチームの比重が「 80: 20」であれば、個人として 110%の達成をしても、チームとして目標の半分しか満たさなければ、 80 × 1. 1 + 20 × 0. 5で、合計で 98点となり、 100点にいかないこともあります。

チームあっての個人。

これは誰もが、受け入れないといけません。

また、管理職やマネジャーは、自分のチームだけの成績で評価されるようにします。

プレイングマネジャーを含む管理者は、個人とチームの比重が「 0: 10」になるようにします。

ここが識学の特徴かもしれません。

プレイングマネジャーであっても、個人の実績は評価せず、組織やチームの実績だけを評価するようにします。

その理由は、管理者の個人実績を評価すると、チーム目標の達成に対する意識が低下するからです。

個人ノルマを 150%達成できたとしても、チームとして目標を達成しなかったマネジャーがいるとします。

その場合、「チームはダメでしたが、私個人は頑張って達成しています」という言い訳ができてしまいます。

つまり、「自分の成績」と「部下の成績」を別のものとして考えてしまう。

これは会社にとって非常にマイナスな状態です。

「自分がやろうと部下がやろうと、売上は売上だ」と考えられる状態にしてしまえば、管理職は部下を指導して成長させることにメリットを感じることができます。

部下が稼いできてくれて、自分はどんどんヒマになる。

それがまさにマネジメントのゴールです。

ここまで述べてきた数値化に関する葛藤については、本書でさらに詳しく述べます。

まずは、本書のコンセプトでもある「いったん数字で考える」ことを覚えておくようにしましょう。

1章の実践 「PDCA」をやってみる 1章の復習に、具体的に「 PDCA」を実践してみましょう。

まず大前提として、「 PDCA」には、「大きなサイクル」と「小さなサイクル」があります。

「P(計画)」 →「半年で 12件の新規顧客を獲得する」という目標を考えてみます。

それを元に行動して、半年後に上司から評価を受けます。

これは、仕事における大きなサイクルですが、プレーヤーがやるべきことは、もっと小さなサイクルです。

この「 P」を 1日ごとに分解して、 「D(行動)」 →「 1日 4件のアポを入れる」という「 KPI」を設定し、それを毎日、自分で把握します。

「 3件のアポがあったから半分以上は達成できた」というような、曖昧な振り返りは NGです。

心を「鬼」にすることが大事です。

「 3件のアポしか入れられなかったから未達だ。

昼過ぎのタスクに 2時間かかったので午前中の 1時間で終わらせられるように時間管理する」と、数字によって自分をマネジメントします。

あるいは、上司に 1週間ごとに進捗を報告・確認することもあります。

これも、 PDCAのサイクルですね。

上司「半年で 12件の新規顧客の獲得が目標でしたが、今週でちょうどひと月が経ちました。

2件の契約は取れていますか?」部下「 1件の契約しか取れていません」上司「未達ですね。

来週はどのように改善しますか?」と、上司によって「 C(評価)」がおこなわれます。

部下「来週から気合いを入れ直します」というような、数字のない改善に意味はありません。

部下「社員数 10人未満のクライアントからのメール返信率が高いので、そこを重点的に、小企業へのアポを 1・ 5倍に増やします」と、数字の入った分析と改善ができて、初めて PDCAが意味をなします。

これなら、「小企業へのアポを 1・ 5倍に増やす」ので「行動量」も増えますね。

ここでもうひとつ重要なのは、「小企業へのアプローチ」が正解かどうかは判断しないということです。

まずは、行動してみて、そこから判断します。

「小企業にもっとアプローチしたほうがいい気がするけど、アポを増やしても契約が増えるかどうかわからないな……」と、「 P(計画)」の段階で考えすぎると、行動は止まります。

日々の業務の中で「 KPI」を設定したら、「何回やったのか」「期限内に何時間できたのか」と、行動量を増やすことだけを考えます。

そのためにも、「数値化」は必須の能力です。

日々の行動に迷いがなくなるレベルにまで「 KPIに分解できていること」が重要です。

そうやって、素早く「 D」に移り、「行動量」を増やせるプレーヤーになりましょう。

 

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