はじめに 「自社の商品やサービスが、以前のようには売れなくなってきた」 「これまでのマーケティング施策で成果をあげられない」 コンテンツコミュニケーション・ラボで普段接しているマーケター(マーケティング担当者)や営業担当者の皆様から、こういった悩みをよくお聞きします。 これまでのマーケティングのやり方では、うまくいかない。そんな中で注目を浴びているマーケティング手法の 1つが「コンテンツマーケティング」です。 コンテンツマーケティング──。 それは「顧客視点でのマーケティング」であり、私たちの今後のビジネスに無限の可能性を運んでくれるキーワードです。しかし関わる人によって様々な定義がされているため、「これが正解」というものはまだありません。 そこで本書は、「コンテンツマーケティングについて知りたい」「これから取り組みたい」と考えているマーケター、営業担当者、経営者に向けて、コンテンツマーケティングが生まれた背景や意義、そして具体的な実践方法を紹介します。 最初にコンテンツマーケティングとはどんなものか、これまでのマーケティングとどう違うのか、企業ではどういったコンテンツマーケティングの実施が可能なのかについて見ていきます。 また、コンテンツマーケティングを理解し実践するための教科書として、マーケティングに関する様々な専門用語の定義や考え方について丁寧に解説しました。 なお日経 BPコンサルティングでは、企業や大学の広報誌、会報誌、書籍などの企画・制作に携わっています。顧客ニーズに合わせて、紙メディアとともに Webサイトでのオウンドメディアやメールマガジンの制作も行っています。本書ではこれらのノウハウを特別に公開いたします。コンテンツの企画・編集・制作の具体的な進め方について詳しく触れています。 今回は特に、 BtoB( Business to Business)におけるコンテンツマーケティングをテーマに取りあげました。現在、コンテンツを生かして売上増やブランディングに成功している企業、あるいは取り組んでいる企業の、具体的な事例も紹介しています。 本書を羅針盤に、コンテンツマーケティングの大海原に漕ぎ出していきましょう。日経 BPコンサルティングコンテンツコミュニケーション・ラボコンテンツマーケティングの教科書 目次第 1章 コンテンツマーケティングを理解しよう 1-1 コンテンツマーケティングが注目されているわけ 1-2 こんな企業に向くコンテンツマーケティング 1-3 BtoBと BtoCのマーケティングの違い 1-4 コンテンツマーケティングで期待できる 6つの効果 1-5 BtoB企業こそ始めるべきコンテンツマーケティング 1-6 デジタルマーケティングとコンテンツマーケティング調査 1 従来のマーケ手法に限界?!営業担当者が危機感を示す取り組み事例 1 味の素 5000超の豊富なレシピを公開 BtoB向けサイトで信頼を醸成第 2章 コンテンツマーケティングを始めよう 2-1 コンテンツマーケティングの賢い進め方 2-2 コンテンツの目的と具体案を考える 2-3 コンテンツの見せ方や運用を戦略的に考える 2-4 BtoBマーケティングを成功させるには 2-5 コンテンツマーケティングの課題と解決法 2-6 社内リソース不足を解決する方法 2-7 コンテンツ戦略の欠如はこうして防ぐ 2-8 デジタルとアナログで顧客を絞り込もう取り組み事例 2 ユニアデックス 15年以上続くメルマガで認知度向上と見込み顧客獲得第 3章 BtoBの「顧客」を理解しよう 3-1 「顧客」「リード」の定義を明確にしよう 3-2 「ペルソナ」を設計して買い手を「見える化」する 3-3 カスタマージャーニーは顧客のコンテンツ体験 3-4 マーケティングで「創客」 営業で「増客」 3-5 有力な見込み顧客に最適化 ABMという戦略 3-6 チャネルの変化により顧客の行動も変化している取り組み事例 3 リコー 3 Dプリント関連事業を機にリードナーチャリングを開始第 4章 コンテンツについて理解しよう 4-1 コンテンツにはどんなものがあるのか 4-2 コンテンツの目標設定と効果測定のやり方 4-3 コンテンツの効果を最大化する 3つのポイント調査 2 オウンドメディアは成果あり KPIと KGIの設定が課題取り組み事例 4 三郷金属工業 脱・下請けを目指し Webを通じて新規受注拡大第 5章 コンテンツマーケティングを実施しよう 5-1 マーケティングファネルで顧客の動きを見る 5-2 コンテンツマーケティングを実践するプロセス 5-3 コンテンツマーケティングに必要なシステム取り組み事例 5 浜松ホトニクス Webサイトリニューアルで問い合わせ数 1. 6倍に第 6章 効果的なコンテンツを作ってみよう 6-1 失敗から学ぶコンテンツ作りのコツ 6-2 コンテンツ制作の実務を担う編集チームを立ち上げる 6-3 企画立案は「読者目線」で読み手に合わせて作り分け 6-4 スムーズな公開のために効率的なスケジュール管理を 6-5 読ませるためにはタイトルと構成がカギになる 6-6 公開がゴールではない継続して質と量の向上を 6-7 紙とデジタルをうまく組み合わせよう取り組み事例 6 サイボウズ 質の高いオウンドメディアで企業ブランド向上に成功取り組み事例 7 シックス・アパート オウンドメディア構築で絶大な信頼獲得に成功 Column日本企業の「 CMO」が急増中顧客の「体験」を向上させよう MQL、 SAL、 SQLコンテンツのマルチデバイス対応コンテンツ作成が容易な CMS著作権に気をつけよう Web版『コンテンツマーケティングの教科書』編著者紹介 1-1コンテンツマーケティングが注目されているわけコンテンツマーケティングが注目されています。実はマーケティング活動の中でコンテンツを利用することは、従来も行われていました。なぜ今、コンテンツマーケティングが必要なのでしょうか。以前からあったコンテンツマーケティング 最近、コンテンツマーケティングという言葉をよく耳にします。米国では 2010年ごろ、日本国内でも 2014年ごろから注目されるようになり、指南書や解説本も出てきています。 こういうと最新の難しい経営戦略のようですが、基本的な考え方自体は、決して新しいものではありません。マーケティングの中でコンテンツを活用することは、これまでも行われてきたからです。消費者の購買は「コンテンツ」ありき マーケティングを考えるときには、消費者が商品などを買うときの「購買プロセス」が重要になります。 マーケティング分野の世界的権威であるフィリップ・コトラー氏やケビン・レーン・ケラー氏は「購買プロセスは、消費者が問題やニーズを認識したときに始まる」としています。そして、ニーズの認識から購買までの 5つのステップを「消費者購買プロセスの 5段階モデル」と提唱しました(注 1)。 この図の「情報探索」の段階で、消費者が頼りにする主な情報源
情報源を次の 4つに分類しています。 ①個人的情報源:家族、友人、隣人、知人 ②商業的情報源:広告、 Webサイト、販売員、ディーラー、パッケージ、ディスプレイ ③公共的情報源:マスメディア、製品評価をする消費者団体 ④経験的情報源:製品の操作、検討、使用 ここでいう「情報源」が、「コンテンツ」です。 私たちの購買行動を振り返ると、友人・知人の口コミをはじめ、インターネット上のレビューサイトやブログ、企業の商品ページなど様々な情報源を見て、商品を購入するかどうか検討します。 企業も消費者に購入を検討してもらうため、商品の詳細を説明した Webサイトや広告を作ったり、カタログを提供したりします。 つまり、マーケティング活動の中で「売る側」が「買う側」にコンテンツを提供することは自然に行われていました。 後ほど詳しく説明しますが、展示会やセミナーの開催もコンテンツの 1つですし、 eBook(電子ブック)や動画などもコンテンツといえます。インターネットで閲覧できるコンテンツが増えた 消費者購買プロセスのモデルは、ほかにもいくつか提唱されています。有名なのは、 1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が著した『 Retail Advertising and Selling』にある「 AIDMA(アイドマ)」です。商品を知ってから購入にいたるまでの消費者の心の動きをモデル化したもので、この頭文字を取って「 AIDMA」といいます。 これに対し、ネットでの購買行動プロセスモデルとして電通が提唱しているのが「 AISAS(アイサスまたはエーサス)」です。ネットでの購買ならではの「検索」「共有」が含まれているのが特徴です。 インターネットの登場以前、買い手は自力で商品やサービスに関する情報を収集していました。売り手である企業も、店舗や展示会への訪問、カタログ希望や問い合わせがあったときに初めて情報を提示するのが一般的でした。 しかし購買プロセスは変わり、買い手は、売り手がインターネットで公開している商品やサービスの情報にアクセスして事前に詳細を知ったり、購入した人の口コミや評価を見て中身を検討できるようになりました。 様々な情報にアクセスできるチャネルが増えれば、そこに掲載する情報(コンテンツ)も増えます。買い手は多くのコンテンツに触れ、検討し、購入します。購入後は、商品の使用感や企業の対応などの経験をコンテンツとして発信し、それがまた次の買い手が接するコンテンツとなります。 こうした状況の中、企業は次のように考えるようになりました。「増え続けるコンテンツをどのように戦略的に活用すれば、購買をより促せるのか?」 昔からマーケティングで使われてきたコンテンツですが、その戦略的活用に注目が集まった理由は、インターネット技術によるチャネルの多様化、消費者行動の変化によるものなのです。(注 1) Philip Kotler, Kevin Lane Keller( 2006) Marketing Management 12 th Edition, Peaarson Education Inc.,恩藏直人(監)月谷真紀(訳)『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第 12版』( 2014年)、 p. 239-240 1-2こんな企業に向くコンテンツマーケティング企業の業種や商材によって、コンテンツマーケティングの行いやすさ、効果の出やすさに違いはあるのでしょうか。コンテンツ作成、集客などの点で見ていきましょう。コンテンツの作りやすさでは? まず、コンテンツの作りやすさの点で見てみましょう。 自社商品やサービスのカタログ制作を熱心に行っている企業は、コンテンツ制作のノウハウが蓄積されているため、コンテンツマーケティングに取り組みやすい可能性があります。ソーシャルメディアやブログで頻繁にコンテンツを更新している実績があれば、買い手との関係性を維持できているという利点もあります。集客のしやすさでは? 将来顧客になってくれるターゲット層にできるだけ多くアプローチできるか、集客しやすいかという点で見てみましょう。 インターネットでのコンテンツ拡散や注目度を高めるバズマーケティング(口コミなどで商品の特徴を広めること)の観点からは、 BtoCの商材の方が集客しやすいといえます。不特定多数に人気が出そうな「面白い」コンテンツで、商品への注目を促すことができるからです。 一方、取引先候補の業種や要件がある程度固まっている BtoBの方が、ターゲット層にアプローチするコンテンツをより供給しやすいともいえます。もちろんターゲット層に確実に訴求するには、 SEO対策( Search Engine Optimization:検索結果で Webサイトの露出を高める施策)も必要です。効果の出やすさでは? コンテンツマーケティングの効果が出やすいのは、次の場合
です。 ①商品やサービスの検討期間が長いこと ②商品やサービスが高額であること ③長期間継続する商品やサービスであること コンテンツマーケティングは、商品の特徴や機能、優位性を比較検討し、購買に時間が掛かる商材の方が適しています。買い手が商品について詳しく知りたいときに、コンテンツを必要とするからです。 BtoCの消費財なら、自動車や住宅・不動産、高級時計などの高額商品や、長期間にわたって契約を結ぶ生命保険や損害保険などの金融商品がこれに当たります。 検討期間の長さや価格、継続契約の点では、 BtoBの商材の大半が当てはまります。化学・素材系や金属、機械、電気などの原料メーカーやインフラ関連企業こそ、コンテンツマーケティングが向いているのです。 1-3 BtoBと BtoCのマーケティングの違い企業(組織)をターゲットとする BtoBと、不特定多数の個人をターゲットとする BtoCでは、意思決定をする人、購入までの検討期間などに違いがあります。意思決定や決裁を行う人が異なる 買い手の立場でいうと、 BtoCでは個人が意思決定者で決裁権を持っています。このため、意思決定者にダイレクトにアプローチしやすいという特徴があります。 一方 BtoBの場合、企業が商品やサービスを購入するときは、組織として合意を取っていることが条件となります。財務部門、購買部門、事業部門など多数の部署が関わり、ニーズ・予算・納期について経営的な合意が得られて初めて購入にいたります。外部からは誰が意思決定のキーパーソンなのか、決裁権は誰にあるのか見えないことも多いものです。検討期間や取引期間が違う BtoCは、商材にもよりますが、たいていの場合、個人がすぐに判断して購入にいたります。 BtoBでは検討期間は比較的長く、また一度取引があると長期にわたってその関係が続くことになります。特に機械やシステムなど設備投資に関する取引は、額も大きく減価償却期間も掛かるため、検討期間も取引期間も長期化します。業務であるため失敗は許されないという心理も働きます。ターゲット層の絞り込み方が異なる BtoCは、売り手から不特定多数の一般消費者に対するマーケティングがポイントになります。 一方で BtoBは、意思決定者という個人は特定できませんが、自社製品のターゲットとなる業種・業態はある程度絞り込めます。 こうした違いをまとめると、次の図のようになります。 1-4コンテンツマーケティングで期待できる 6つの効果 BtoBがコンテンツマーケティングに向いているといっても、すぐに取り組むべきか迷う人も多いでしょう。ここではコンテンツマーケティングによる効果を 6つ紹介します。買い手の多くが事前に商品を調べている ここで、ある調査結果を紹介しましょう。 BtoBマーケティング専門エージェンシーの 2 BCが行った「中小企業マーケットにおける IT製品の購買実態調査」によると、買い手が購買を検討しているときのインターネットの利用率は 95%に上り、その主な目的は「課題解決策の探索・製品群の概況調査」となっています(注 1)。「課題がある」 →「解決策は何か」 →「解決のための製品・サービスの詳細を調査する」という流れです。その調査の最初のステップは、ネットから始まるのです。 同調査によると、購買した商品について「購買検討を開始する以前から知っていた」という回答は 77%に上っています。つまり BtoBの購買行動では、買い手が事前に商品やサービスについて調べている、つまり水面下での事前調査を行う確率が極めて高いことが分かっています。 売り手の企業の、「ウチの会社には優秀な営業担当者がいるから、買い手が直接問い合わせてくれればいいのに」という論理は通用しません。むしろ水面下でネットを使って事前調査が行われるからこそ、確かなコンテンツを提供していくことで、大きなビジネス効果が期待できます。期待できる 6つのビジネス効果 BtoBコンテンツマーケティングで期待できるビジネス効果は、次の 6つです。
①営業活動の第一歩になる これまで BtoBの営業活動は、「展示会やセミナー、広告で多くの人を集める」「営業の電話への反応や問い合わせがあれば営業担当者が出向く」「対面で詳しい説明や見積もりを示し検討してもらう」という流れが一般的でした。 現在は買い手が Webサイトで様々なコンテンツを比較検討し、十分な知識を持ったうえで営業担当者に話を聞くスタイルがほとんどです。商品を知るきっかけが展示会や広告だとしても、購入前に Webサイトをチェックするのが当たり前になっています。 こうした買い手の行動変化に合わせて戦略的なコンテンツを提供すれば、営業活動の第一歩になります。戦略的なコンテンツマーケティングにより、買い手の情報収集段階で他社と差をつけられるのです。 ②人員不足の補強ができる コンテンツマーケティングは、中小・ベンチャー企業など、人的リソース不足に悩む企業の味方であることはもちろん、大企業でも商材ごとのセールスプロモーションを展開するうえでの強力な武器になると考えられます。これまでは営業担当者がいなければできなかった自社商品・サービスの情報提供を、デジタルコンテンツが担うからです。 認知度向上や顧客との関係性維持を実現できるほか、国や地域に関係なく自社の強みや商品の特徴を訴求できますし、コンテンツの更新を通じて長期的に顧客の関心を維持し続けられます。 ③取引先を拡大できる コンテンツを営業プロセスに組み入れることで、人的リソースでは行き届かない国や地域にまで、営業活動を展開できます。 例えば三郷金属工業では、 25年におよぶリチウム電池の端子レーザー溶接加工の実績を背景に、その技術力を動画やブログで公開することで販路を広げ、新規顧客の獲得を実現しています(取り組み事例 4 三郷金属工業参照)。 ④顧客との関係性を強化できる コンテンツマーケティングの活用により、短期的に売上に直結しなくても、自社へ関心を持つファンを増やすことができます。 企業オウンドメディア(自社で運営するメディア)に関するノウハウや知見をコンテンツとして提供しているシックス・アパートでは、同社のターゲット顧客である企業のマーケターやオウンドメディア担当者の悩みや課題に応え、関係性を維持・強化しています(取り組み事例 7 シックス・アパート参照)。 ⑤ブランドを強化できる 商品の特徴や仕様だけでなく、特定の専門分野ならではの知識やノウハウを公開することで、企業としての信頼性やブランドを強化できます。 例えば味の素では、居酒屋やレストランなどの外食産業のほか、給食事業者、病院や介護施設などに向けたコンテンツサイトで、同社が持つ 5000以上のレシピを基に低コストな栄養食のメニューや季節のおつまみなどを提案し、「業務の“困った”を解決できるパートナー」というブランディングを実践しています(取り組み事例 1 味の素参照)。 ⑥売上や収益を拡大できる コンテンツマーケティングによって認知や販路の拡大、ブランド強化などを実現することで、売上や収益の拡大が期待できます。(注 1) 2 BC 2014年 8月 22日ニュースリリース、 http:// www. 2 bc. in/ news/ 2014/ smb-it-buyer-report 1-5 BtoB企業こそ始めるべきコンテンツマーケティングここでは、 BtoB企業こそコンテンツマーケティングをやるべき理由をあげながら、マーケティングにおけるコンテンツ活用の必要性を見ていきます。コンテンツがなければチャンスすらない コンテンツマーケティングが注目されるようになった背景には、情報チャネルが増えたことがあるためと説明しました。 特に BtoBでは、先述したように買い手は商品の購入前にインターネットを使った事前調査をしっかり行うようになりました。新たな取引開始に当たり、製品の特徴や優位性を知りたいと思うのは当然です。 「多様化する情報チャネルに買い手が欲しいと思うコンテンツがなければ、購入候補に上るチャンスすらない」ことになります。 ビジネスの世界では当たり前ですが、現在の取引先と未来永劫取引があるとは限りません。常に新たな取引先を探し、新たな商材を提供してこそ企業は成長します。その候補に残るかどうか、それを決めるのがコンテンツなのです。営業の役目が変わってきている 買い手が Webサイトなどのコンテンツを通じて事前に情報を収集するようになったため、 BtoBでは営業担当者の役割も変わってきます。昔のように「商品の話を聞きたい」といきなり営業担当者を呼ぶ企業は減ってきています。これまで営業担当者が担ってきた「商品に関する詳細なコンテンツの提供」という役割は Webサイトに移行しつつあります。「人間が対面営業で行ってきたことを Webサイトで補完するものが、コンテンツマーケティング」といっても過言ではありません。 買い手が初めて接点を持つのは営業担当者ではなく、 Web
サイトなどの商品の詳細情報やレビューなどのコンテンツです。今や購買プロセスで、コンテンツが果たす役割はかつてなく大きなものとなっているのです。商品について買い手の方が詳しいことも リーディング・ソリューションが 2015年 10月に行った調査「 BtoB購買行動の調査結果レポート」によると、取引業者を選定する際に参考にしている情報源として「企業の Webサイト」をあげた回答が 65. 2%となりました。これは第 2位の「カタログ・パンフレット」( 55. 8%)、第 3位の「営業担当者による説明」( 55. 5%)をおさえてトップの情報源です(注 1)。 こうした買い手の情報収集行動を考えると、「 Webサイトにコンテンツがない」という状態は、ビジネスチャンスを逸するといっても過言ではありません。 自社にコンタクトがあった時点で、相手の情報収集はすでに終わっているともいえます。営業担当者よりもむしろ相手の購買担当者の方が、商品やサービスについて詳しいことさえあります。そんなとき、営業担当者が自社製品の説明を一から始めても、相手は「そんなことは分かっている」と思い、かえって購買意欲が削がれてしまうでしょう。営業プロセスと結びつけて戦略的に とはいえ、コンテンツマーケティングで営業担当者が不要になるわけではありません。コンテンツが自動的に見込み顧客を運んできて、登録や申し込みを促し、受注件数が上がるわけではないのです。 特に BtoBの場合、コンテンツマーケティング“だけ”で完結するのではなく、営業プロセスと結びつけて確実な受注を実現する戦略を考えなくてはなりません。 BtoBでは、デジタルだけで完結するケースは非常に少ないのです。 文房具や消耗品などの商材を除けば、 BtoBでは従来型の展示会やセミナーなどリアルな場でのスタッフによる説明や、営業担当者による営業活動、購入後のフォローも重要になってきます。 BtoBの購買は対企業の取引なので、購入にいたるまでのプロセスが長く、与信調査も必要です。また一度取引すると長期にわたって関係が続くという特徴もあります。 5年後、 10年後、今と同じ営業体制が保てるか コンテンツマーケティングに取り組むべき視点の 1つとして、この先、現状と同じ営業体制が組めるのか、という点があります。労働人口が減少に向かう今後、人が関わる必要性が高い営業の部分に人的リソースを集中投下し、見込み顧客を呼び込むという入口部分の営業はコンテンツに働いてもらうのが有効です。このため、今からコンテンツマーケティングに取り組むことは、 5年後、 10年後に優秀な営業として活躍するコンテンツを育て上げることになるのです。コンテンツを持たない企業は存在しない コンテンツマーケティングの重要性は分かっていても、なかなか本格的に進められない企業もあります。よく BtoB企業の担当者が「当社には、人に見せられるようなコンテンツはない」と口にします。 しかし、コンテンツを持っていない企業はありません。商品やサービスがあれば、「どんなときに役に立つのか」「他社にはない優位性は何か」「顧客からどんな評価をされているのか」など、語ることは山ほどあるはずです。 顧客に渡すカタログ、自社 Webサイトに掲載している情報、すべてがコンテンツといえます。営業担当者のトークをコンテンツにしてもよいでしょう。顧客からの疑問にどう答えているのか、悩みを解決するために最適な商品はどれで、どう勧めているのか。敏腕営業担当者の言葉だからこそ、将来の顧客の心に響くコンテンツが生まれるのです。(注 1)リーディング・ソリューション 2015年 10月調査「 BtoB購買行動の調査結果レポート」 p. 4 1-6デジタルマーケティングとコンテンツマーケティングデジタルマーケティング、 Webマーケティング、メールマーケティング……。様々な言葉がありますが、コンテンツマーケティングとはどう違うのでしょうか。デジタルマーケティングとは? コンテンツマーケティングというと、「デジタルマーケティングとどう違うのか」と聞かれることがあります。ここでは、様々な用語を整理してみましょう。 「デジタルマーケティングとは、 Webサイトやソーシャルメディア、モバイル、メール、デジタル広告、 CRM(第 5章 5-3コンテンツマーケティングに必要なシステム参照)などあらゆるデジタルを活用したマーケティング施策の総称」と定義できます。デジタルマーケティングとは、「マーケティング施策の中で、デジタルを活用した施策のこと」なのです。デジタルマーケティングの功績 デジタルマーケティングにより、これまで見えにくかったマーケティング施策の効果が数値として捉えやすくなりました。例えば「バナー広告をクリックした人は何人か」「どれだけの人が自社サイトを訪問したのか」「どのページを見てどこから離脱したのか」などの詳細は、ログを見ればすぐ分かります。さらに「その中から何人が問い合わせしたのか」「申し込み件数は何件だったのか」なども追跡できます。
このため、これまで顧客を獲得するために実施してきた展示会やセミナー、テレビ CMへの出稿といった従来のマーケティング施策の位置づけも変化してきました。 とりわけテレビや雑誌広告など費用対効果が分かりにくい施策に対しては、「費用対効果を数値化してしっかり検証しよう」という風潮が強まってきています。売上や受注にどの程度貢献しているか把握しにくいマーケティング施策より、反応を見ながらターゲットに届けられるデジタルマーケティングへの比重を置きつつ、デジタルやアナログでコンテンツを有効活用する戦略を考えた方が、効果が高まるからです。デジタルとアナログでマーケティングを最適化 ただし、デジタルではリーチできないターゲットも存在します。そこで、デジタルとアナログ両方を含め、購買プロセスに沿ってマーケティングを最適化するというトレンドが生まれました。この中で、コンテンツをどのチャネルにどのように提示し、活用していくかが問われるようになったのです。 また、コンテンツはデジタルだけとは限りません。戦略によっては、雑誌広告やテレビ広告もコンテンツですし、ダイレクトメールもメールマガジンもコンテンツの一種です。売る仕組みの中に Webテクノロジーが使われていれば「 Webマーケティング」ですし、その中でコンテンツとなるものは「コンテンツマーケティング」として戦略化します。 コンテンツマーケティングは、デジタルとアナログ両方のコンテンツについて、顧客の購買行動を踏まえて戦略的に活用するマーケティング手法です。 コンテンツマーケティングだからといってデジタルに限るのではなく、デジタルとアナログをどのように活用するかは、自社のビジネスモデルや顧客の特性によって異なってくるのです。調査 1従来のマーケ手法に限界?!営業担当者が危機感を示す従来のマーケティング手法に限界を感じているのは、マーケティング担当者よりもむしろ営業担当者──。ここでは日経 BPコンサルティングが行った調査による結果を紹介します。マーケティングに関する調査を実施 現在、企業はデジタルマーケティングやコンテンツマーケティングにどのように取り組んでいるのでしょうか。 日経 BPコンサルティングは 2015年 9月 28日〜 30日、マーケティング担当者、営業担当者などを対象に調査を行いました(注 1)。 このアンケート調査から、マーケティング職の担当者より営業担当者の方が従来のマーケティング手法に限界があると感じており、デジタルマーケティングの重要性が認識されていることが明らかになりました。 また回答者の約 3分の 2が、コンテンツマーケティングに「すでに取り組んでいる」「今後取り組む予定」「取り組むかどうか検討中」と回答し、具体的な動きを始めていることも分かりました。従来のマーケティング手法への疑問 まず、「あなたの勤務先で従来から実施してきたマーケティング手法は、現時点においても効果を発揮していると思いますか」という問いに対して、「効果を発揮している(とてもそう思う・ややそう思う)」という回答( 48. 0%)よりも、「効果を発揮していない(あまりそう思わない・まったくそう思わない)」という回答( 52. 0%)が 4. 0ポイント多くなっていました。 従来のマーケティング手法に対して疑問をいだく声は、予想外に大きいことが分かります。 また「効果を発揮していない」と考えている人が、「マーケティング職」よりも「非マーケティング職(経営系部門、営業系部門)」に多いことが分かりました。 つまりマーケティング担当者より営業担当者の方が、従来のマーケティング手法が効果を上げていないと感じているのです。重要性は認識しているが、取り組みはこれから コンテンツマーケティングについては、「すでに取り組んでいる」と「今後取り組む予定」が 34. 0%、「取り組むかどうか検討中」が 31. 3%で、約 3分の 2がコンテンツマーケティングについて具体的に動いていることが分かりました。 また、「勤務先でのコンテンツマーケティング活動を重要だと認識している」と回答したのは 57. 8%で、「重要とは思わない」( 42. 1%)を 15. 8ポイント上回りました。多くの人が、コンテンツマーケティングの重要性を認識していることが分かります。 一方、「社内で重要だと認識されているか」という質問に対しては、「とても認識されている」「やや認識されている」を合わせても 37. 6%でした。 「あまり認識されていない」「まったく認識されていない」の合計は 6割を超え、コンテンツマーケティングの重要性を社内で共有することが、目下の課題となっているようです。
(注 1)アンケート調査はマーケティング職、経営や営業、その他部門の勤務者を含むマーケティング活動の関与者を対象に、日経 BPコンサルティングが企画し実施したものです。 2015年 9月 28日〜 30日に、 700人から回答を得ました。取り組み事例 1味の素 5000超の豊富なレシピを公開 BtoB向けサイトで信頼を醸成パンフやチラシの効果に疑問 うま味調味料「味の素」や「 Cook Do」シリーズを販売する味の素。同社が、外食産業や中食産業向けに役立つコンテンツを掲載する Webサイトが「味の素 KK業務用商品サイト」(以下、業務用商品サイト)です。会員向けで、レシピやメニューアイデアなどすべてのコンテンツを閲覧するには登録が必要です。 業務用商品サイトのターゲットは、レストランや居酒屋などの外食産業、惣菜サービスなどの中食産業、病院や介護施設、給食センターなど専門栄養士がいる施設の 3つです。 通常、事業所向け商品は、専門の卸店を経由して各店舗や施設に納品されます。マーケティングの観点でいえば、商品の特徴や PRポイントを卸店経由で伝えなければなりません。味の素でも卸店向けのパンフレットやチラシ、ダイレクトメールを駆使して商品を訴求していました。 一方、卸店にとっては、味の素は数ある取引先の 1つです。せっかくパンフレットやチラシを作っても、本当に店舗や事業所で読んでもらえているのか分からないという課題がありました。情報を直接届けるために全面リニューアル このため 2013年、当時同社の外食デリカ事業部長であった執行役員が、 Webサイトを活用したマーケティング展開の必要性を主張。将来的に、 Webサイトを使った双方向コミュニケーションを確立させることを視野に、業務用商品サイトのリニューアルを始めました。 味の素食品事業本部外食デリカ事業部マーケティンググループ長中川浩二氏は、「卸店経由だけではなく、お客様にダイレクトに情報を届けたい。また『味の素は、業務の中で出てくる“困ったこと”を解決できるパートナー』というブランドを確立したい、というのが狙いでした」と説明します。エンドユーザーにも卸店にも役立つ 業務用商品サイトの最終目標は「サイトを見てもらい、味の素製品を購入してもらうこと」に尽きます。しかし、商品は卸店経由で納品するので、 Webサイトから商品が直接売れることはありません。 その代わり、「業務の“困った”を解決できるパートナー」として、 BtoBにおける味の素のブランドメッセージ強化を目標にしました。月間アクティブユーザー率やユニークユーザー(
ユーザー( UU)、登録者数、ページビュー( PV)などを基に認知度向上の効果を測っています。 Webサイトの特徴は、味の素が蓄積してきた 5000本にも及ぶ膨大なレシピ集。 3人の社内チームは、外部の編集プロダクションと協力し、毎月 1回の編集会議を行って記事の方針やコンテンツの内容、企画を確認しています。 先述のターゲットから求められているのは、顧客満足度を上げつつ、原価率を下げて、しかも季節感を感じるメニューです。例えば新じゃがの季節なら、じゃがいもをフル活用して様々なメニューを作るなどの工夫を紹介しています。また、居酒屋やレストランなどのオリジナルレシピのアイデアや、損益分岐点から見た献立の作り方など、外食産業の具体的な経営課題に切り込むコンテンツも豊富です。 レシピはダウンロードできます。直接エンドユーザーの役に立つだけでなく、卸店の担当者がレシピを持って客先に新しい商品を売り込めます。「卸店の方にとっても役立つコンテンツを目指しています」(中川氏)。 Webサイトの認知度向上が課題 Webサイトをリニューアルした後は、認知が課題となりました。食の現場にいる人は、ほぼ厨房に立っているため、 Webサイトをゆっくり閲覧できません。メールマガジンを送っても、読んでくれるとは限りません。 そのため当初は、 Webサイトを展開しながらパンフレットやチラシによる告知が中心でした。また、食品業界の展示会で、タブレットを使って業務用商品サイトを紹介するなど、地道な活動を続けました。こうして、現在は毎月数百人〜 1000人近くのペースで新規会員が増えているとのこと。会員数が約 5万人まで拡大する中、アナログの集客ではなく、飛躍的に会員が増える仕組み作りを模索しているそうです。コンテンツ作りの課題 当面の課題は、読者と双方向のコミュニケーションを取ることです。そのプランとして会員からの悩みを受け付ける体制作りを検討しています。読者には、小さな個人経営の居酒屋もあればチェーン店もあります。栄養士や板前、コックなど役割も業務課題も千差万別なので、その悩みを共通化すべきか、個別に応えるべきか、判断が難しいところです。登録会員に対しては、テスト的に商品サンプルを配布して感想をフィードバックしてもらい、そこから読者の悩みや課題を吸い上げる仕組みを構築し実施中です。 「十把一からげでコンテンツを展開するのは無理なので、例えば『居酒屋』関連のコンテンツでアクティブなユーザーに対し、メルマガで関連コンテンツを配信して声を吸い上げる仕組みが考えられます。どのように双方向を実現するかは検討中です」(中川氏)。 コンテンツを作るうえでの課題について、中川氏は「制作サイドが『これは役立つコンテンツだ』と思っても、滞在時間やアクセス数、 PVを見ると、それほどでもないということが多々あります。そのため、『企画は独りよがりではないか』という視点で事前のレビューを慎重に行っています」と語ります。 「こうしたコンテンツ作りにのめり込んでいくと、知らず知らず自己満足に陥りがちになります」と中川氏。常に主語は「お客様」であることを忘れずに、役立つコンテンツ作りを進めていくことは、コンテンツマーケティングに取り組んで数年経った今でも課題です。 コンテンツ改善においては、味の素の研究所スタッフと連携しながら、検索ワードの順番によって既存コンテンツのヒット確率を高めたり、どういうタイトルが読者登録に響いたのか、洗い出しています。経営層、営業部門との相互理解がカギ 営業部門との情報共有も進めています。中川氏および制作チームの 3人はすべて営業部門に所属していた経験があります。営業部門に人脈があり、営業のカルチャーも理解しているため、情報共有もスムーズだとのこと。マーケティングプロジェクトにありがちなマーケティング部門と営業部門の断絶は起こらないそうです。 取り組み継続のポイントについて、中川氏は「立ち上げ当初から経営層の理解があったからだと考えます。会社の業績にかかわらず投資を続け、ファンを増やしていかないと、将来の顧客獲得につながりません。経営層の理解を得るためにも、コンテンツ効果を測るデータをしっかり取得し、よりよいコンテンツを作り続ける体制を確立することが必要です」と述べました。お聞きした人食品事業本部外食デリカ事業部マーケティンググループ長中川浩二氏
2-1コンテンツマーケティングの賢い進め方ここからはコンテンツマーケティングの定義をしながら、賢い進め方を深掘りします。最終的な目標に向けて、コンテンツを有効活用する方法を見ていきましょう。買い手に合わせてコンテンツを提供しているか コンテンツマーケティングは、「買い手の状態に合わせ、有益で価値の高いコンテンツを提供し、ニーズの喚起・熟成、購入意欲を促すこと」です。 企業側が自社の伝えたいことをコンテンツにして、一方的に伝えても意味がありません。コンテンツの価値を判断するのは読者である買い手です。企業側が「買い手が情報を探索している段階で必要なコンテンツはこれだ」と考えてコンテンツを提供しても、必ずしも買い手がそう感じるとは限りません。 コンテンツマーケティングが進まない原因の 1つは、「買い手の購買行動プロセスに沿って最適なコンテンツを提供できていない」ことです。マーケティングの本質は売上への貢献 コンテンツマーケティングが注目される前までは、カタログや広告や Webサイトなどのコンテンツは、売り手のマーケティング予算やスケジュールに応じ、いわば場当たり的に制作・提供されていた部分があります。例えば「新商品が出るから広告とカタログを用意しよう」「セミナーがあるからリーフレットを作ろう」といった具合です。 しかし、マーケティングの本質を見失ってはいけません。マーケティングの目的は本来、事業の売上や受注に貢献することです。 これまではマーケティング施策が売上や受注にどれだけ貢献したか正確に分析することは難しく、マーケティング部門は成果を測れないまま、決まった施策の実行を繰り返してきました。 こうした状況を一変したのが、デジタルマーケティングです(第 1章 1-6デジタルマーケティングとコンテンツマーケティング参照)。数値で効果が測れるようになって初めて、マーケティング施策単体の成果が問われるようになったのです。コンテンツマーケティングを行う際も、最終的には売上や受注への貢献度が重要になります。 つまりコンテンツマーケティングは購買行動プロセスに沿ってコンテンツを提示することだけではなく、マーケティング成果をあげるためにコンテンツを活用することが最終目標になります。そして、目標を達成するのに最適なターゲットに対し、最適なコンテンツを最適なタイミングで提供することが、コンテンツマーケティングの肝なのです。買い手の状況によって欲しい情報は異なる では購買行動プロセスの各段階で、最適なコンテンツとはどういうものなのでしょうか。どの段階でどんなコンテンツを提供するかは、商材やビジネスモデル、ターゲット層の特徴によって変わります。同じ業界で同等の規模の企業でも、一方の企業でうまくいったコンテンツマーケティングが、もう一方で成功するとは限りません。 例えば買い手が ITシステムを導入する場合、導入企業一覧を見たい場合もあれば、成功事例をじっくり読みたい場合もあるでしょう。 BtoBの場合、同じ会社の中でも立場によって必要な情報が異なります。 ニーズが固まって稟議に上げる段階になると、複数の製品を比較検討するための比較表、仕様一覧が必要になります。自社の要件に合わせると購買価格がいくらになるか、シミュレーションできればなおよいでしょう。 誰がどの段階でどんな情報を欲しがるか事前に分からないからこそ、コンテンツの目的を明確にして戦略的に活用する必要があります。コンテンツの目的を数値化する コンテンツの目的が明確になったら、次は目的を達成するゴールを数値化します。ターゲット層を数多く引き寄せる目的のコンテンツなら、目標とするアクセス数や次のアクションへの誘導率などの数値目標達成がゴールになるでしょう。 次のように、最終的な目標から逆算して数値化します。買い手の行動プロセスに合わせてコンテンツを作る では、買い手の購買行動プロセスを考えることは無意味なのかといえば、決してそうではありません。ただし汎用的な購買行動プロセスを基準にするのではなく、顧客ごとの購買行動プロセスを洗い出すことが必要です。 例えば業務システムのクラウドサービスを提供する企業の場合、クラウドサービスは長期継続を前提としているので、新規顧客を勧誘すると同時に既存顧客にも継続利用を促さなくてはなりません。従ってコンテンツも「未利用の顧客向け」と「既存顧客向け」の 2種類が必要になります。 既存顧客にも、毎月使っているヘビーユーザー、利用が活発でない休眠ユーザー、退会しそうなユーザーなど様々なレベルが存在します。退会しそうなユーザーや休眠ユーザーはメールマガジンに目を通す確率は少ないので、別の接触手段が必要になります。 こうしてターゲット層をグループ化して行動プロセスを具体化し、それぞれに訴求できるコンテンツ内容やアプローチ方法を検討します。目的に応じた施策を立案する マーケティングの目的が「ユーザーの維持」ならば、開発中の新規機能や便利機能を紹介する、お得なキャンペーン情報に誘導するという戦略が考えられます。コンテンツを効果的に訴求するためには、ターゲット層の現在位置を把握しておく必要があるのです。 「このフェーズにいる人にこういうコンテンツを提供しよう」と単一的に設計するのではなく、目的に応じた施策を立案しましょう。検証と改善を繰り返すことが大事 コンテンツマーケティングを進める中で重要なのが、検証の作業です。 コンテンツマーケティングに取り組む企業の中には、最初の集客に注力するあまり、コンテンツのアクセス数や問い合わせ件数ばかりを重視する傾向にあります。しかしコンテンツの読者がコンテンツをどう評価したのか、目的に合うコンテンツだったのかを総合的に評価する必要があります。 そこでよく使われる手法が「 A/ Bテスト」です。 A/ Bテストとは、複数の選択肢の中からどちらがよいかを選ぶテストです。色やデザイン、記事の書き方などの 1部分が違う 2パターンのコンテンツを用意し、アクセス数や次のアクションへの誘導
誘導率などの結果を確認すれば、読者に訴求しやすいキーワードやデザイン、ストーリーの傾向を把握でき、次の改善につなげられます。 2-2コンテンツの目的と具体案を考えるコンテンツマーケティングに着手する際、多くの方が悩むのは「コンテンツとは何だろう」ということでしょう。「これがコンテンツのあるべき姿」という決まりはありません。「コンテンツをどうしたらよいのか?」という疑問が多い コンテンツマーケティングに関して、必ずといっていいほど寄せられる疑問に、次のようなものがあります。 結論をいえば、コンテンツに「こうでなくてはならない」という決まりはありません。 その前に考えるべきは「そのコンテンツによって、誰に、何を伝えて、どんな効果を期待するのか」ということです。その目的に合う内容と表現を検討した後に、作るべきコンテンツの具体案が見えてきます。購入を促すコンテンツを検討しよう マーケティングの目的である「売上に貢献する」という観点からいえば、コンテンツの最終目的は「購入を促す」ことになります。しかし、「買わせたい」意図が明らかなコンテンツを展開すると押しつけがましく、逆に読者が離れていってしまうでしょう。 無理なく購入に導くためには、購入に関して課題を抱えている人の悩みを解決するような有益な情報を提示して読者を引きつけ、ニーズの熟成を待たなくてはいけません。 つまり、次のようなコンテンツを検討する必要があります。 ■購入に導くためのコンテンツとは? ①多くのターゲット層を引き寄せるための高付加価値情報 ②関心を持った人たちのニーズを掘り起こし、「詳しく知りたい」に応える情報 ③購買意欲を促進し、「買いたい」気持ちに応える有益な情報 例えば、従来扱っていた製品とまったく別のジャンルの製品を扱うことになった場合は、自社の Webサイトにすべてのコンテンツを集約するのがよいとも限りません。新しいジャンルの製品のみの専門 Webサイトを作れば、高付加価値な情報を提供していることが、より明確に読者に伝えられます。 Webサイトの切り分けが有効な場合もあるのです。手段や表現に頼るコンサルタントに注意しよう コンテンツマーケティングのコンサルタントの中には、ブログや動画の制作を始めることを勧める人がいます。しかし大切なのは、どういう内容なら目的を達成できるかであり、ブログや動画といった手段や表現が成果を左右するわけではありません。 ターゲット層の多くがブログや動画を好むのなら、こうしたコンテンツを掲載すればよいのですが、日々更新する必要性が薄いなら、ブログシステムを導入しなくても Webページの制作で済ませる方がベターです。コンテンツの目的や内容に合わない仕組みは無駄になるだけです。 手段や表現だけを提案するコンサルタントより、マーケティングのゴールを考えてコンテンツ設計をするコンサルタントを選びましょう。 以下に、コンテンツの目的と表現方法、掲載と拡散の手段についてまとめます。
Column 1日本企業の「 CMO」が急増中 CMO設置率は 4割以上に マーケティング業務や専門家を重用する米国に比べ、日本はマーケティング後進国といわれています。米国企業と日本企業の違いを表す指標の 1つとして、 CMO( Chief Marketing Officer)の設置率があります。 CMOとは企業内のマーケティングの最高責任者のことで、経営の観点からマーケティングに携わる幹部役員です。 CMOを設置する目的は、マーケティングによって成果を上げることです。昨今の CMOには、デジタル活用とデータ分析の知見が求められています。変化する顧客の状況を迅速に把握し、マーケティング戦略を立案、実行するのが CMOの役割です。 マーケティングを重視している米国企業は CMOが当たり前のように存在していますが、「いいモノを作れば売れる」という「プロダクトアウト」の発想が長かった日本では、 CMOの設置率は著しく低いといわれていました。そんな状況に、少し変化の兆しが見え始めています。 IT調査会社の IDC Japanが 2015年 11月に発表した「国内マーケティング部門 IT利用実態調査」の結果によると、 CMO設置率は 43. 0%まで躍進しています(注 1)。 近年では、マーケティングの推進役とデジタルデータ活用の重要性を認識する日本企業が増え、 CMO設置率が上昇したと考えられます。前述の 2015年調査結果でも、「関連する全社横断的な管理部門の設置率も 45%前後」と、マーケティングへの取り組みが着実に進んでいるようです。日本がマーケティング後進国と呼ばれなくなる日は近いかもしれません。(注 1) IDC Japanプレスリリース「 2015年国内マーケティング部門 IT利用実態調査結果を発表」( 2015年 11月 5日) 2-3コンテンツの見せ方や運用を戦略的に考えるコンテンツマーケティングが従来のマーケティング手法と決定的に異なる点は「商品・サービスの認知から購買までの過程で、コンテンツの見せ方や運用を戦略的に行う」ことです。ブログやランディングページを作るだけではダメ コンテンツマーケティングのコンサルタントの中には「企業の特徴や専門知識を伝えるために、ブログを始めましょう」「抱えている課題で検索してきたユーザーの興味を引くために、検索キーワードに関連する広告を表示するリスティング広告を出しましょう」「このリスティング広告から、特別に用意したランディングページ(広告などのリンク先となる、商品単体を紹介するページ)に誘導して購買を促しましょう」といった提案をする人もいます。 ブログや広告、ランディングページは、コンテンツマーケティングの重要な手段ですが、これらの制作 =コンテンツマーケティングではありません。 「ブログを作ったのに効果が出ない」「ブログを書くことの意味が分からない」と悩む場合、そもそもブログやランディングページによる効果設定を事前にしていないことがほとんどです。問い合わせや申し込みにつながっていないことも ブログの読者が増えても問い合わせや申し込みが増えていないなら、必要な仕掛けが不足している可能性があります。 ランディングページから問い合わせや申し込みがないのは、訪問した人のニーズがそこまで固まっていないのかもしれません。 とにかくコンテンツを作ればよいわけではなく、売上アップなど最終的なゴールに向けて、「どこにどんなコンテンツを掲載し、どう見せれば自然にニーズが醸成されるか」という戦略を考えるべきなのです。 ブログやランディングページを制作することだけを「コンテンツマーケティング」としている事例もあります。コンテンツを作って、ニーズを持つ潜在顧客を集めるという目的は分かりますが、顧客を集めてからどんなプロセスで購入の意思を決定させるか描かれていなければ、厳密にはコンテンツマーケティングといえません。 ブログやランディングページを有用なコンテンツにするには、次のような施策が必要です。 場当たり的にコンテンツを制作するのではなく、商談まで熟成させるプロセスの中でコンテンツを戦略的に配置していくことが、コンテンツマーケティングの基本です。営業部門と連携しよう これまで、毎年同じマーケティング施策を繰り返していただけという企業は、コンテンツをマーケティングで戦略的に活用するということを理解しづらいかもしれません。 なぜなら、コンテンツはマーケティングや営業施策の副次的なツールとして使われることが多かったからです。以前は、展示会なら開催することが最重要課題で、そこで芽生えた来場者の興味や関心を維持するためにコンテンツを使うという発想は主流ではありませんでした。 これに対しコンテンツマーケティングは、売上アップに貢献するために、コンテンツを戦略的に活用して購入希望者の興味と関心を維持しつつ、自然とニーズが熟成するように促すマーケティングです。 買い手が自発的に申し込みをするか、営業担当者がタイミングを計って訪問するかは各企業の営業スタイルによりますが、いずれにせよ最終的に受注に誘導するための“一押し”が必要です。そのため、コンテンツマーケティングを進めるうえでは営業部門と密に連携を取らなくてはなりません。 コンテンツマーケティングにおけるコンテンツと、従来のマーケティングにおけるコンテンツとは役割が異なるということができます。 PR部門と連携しよう 中には、認知度やブランドの向上に関しては PR(パブリック・リレーション)・広報部門が担当している企業もあるでしょう。コンテンツマーケティングにおける認知度やブランド向上と、 PRとしての認知度・ブランド向上とでは、ターゲット層や目的に違いがありますが、重なる部分も多いのが実情です。 コンテンツを活用し、認知度やブランド向上までを志向した総合的なマーケティングを目指すなら、 PR部門との連携は欠かせません。潜在顧客や既存顧客に対する情報提供だけでなく、いかに自社やブランドのファンとなってもらえるかは、ブランド戦略に掛かっています。 こうしたシーンでは、 PR・広報部門と連携を取りながら、メディア向けと顧客向け両方のコンテンツを矛盾なく作っていくことが必要です。 例えばブランドとして「信頼性」や「先進性」をあげているなら、コンテンツも信頼を損なわずかつ先進的なものでなくてはなりません。 上記を表現するには、仮にリコールなどの不祥事を起こしたときに、製品ページにその情報や対応策がすぐに示せるか、先進
先進性を演出するためには動画や洗練されたイラストを使うか、などが考えられます。情報の質や更新スピード、表現も含めた戦略を考えるのも、コンテンツマーケティングのポイントです。 2-4 BtoBマーケティングを成功させるには前述したように、 BtoBと BtoCではコンテンツ戦略が異なります。 BtoBマーケティングを成功させるためにはどうしたらよいか、ポイントを押さえていきましょう。 BtoBでは不特定多数の集客を狙わない コンテンツマーケティングに着手すると、不特定多数の読者にアプローチしたくなるものです。多くの人に見てもらい、認知度をあげたいと思うあまり、面白くて派手なコンテンツを掲載する BtoB企業も存在します。 しかしこれでは、自社の強みや専門性を訴求できるか疑問です。顧客になる見込みのない読者にアピールするより、自社の強みや先進性をターゲット層に確実に伝えるコンテンツを届けることに注力しましょう。デジタルとアナログを共存させ、信頼できるコンテンツを BtoBの場合、購買までの検討期間が長いという特徴があります。買い手は、セミナーや展示会に参加して実物に触れたり、営業担当者と情報交換するなど、デジタルとアナログのコンテンツを総合的に検討して購入を決定するケースがほとんどです。 このため、コンテンツのすべてをデジタルにするのではなく、デジタルとアナログを共存させる戦略を考えなくてはなりません。 BtoCでは人目を引きつけ消費意欲を刺激するため、コンテンツもデザインや写真、イラスト、動画などの表現手法を重視する傾向にあります。しかし BtoBの場合は表現も重要ですが、それ以上に「コンテンツが見る人に安心感や信頼感を与えるか」という点を重視する必要があります。 取引金額が大きいため、「購入先の選定に失敗したくない」と考える購買担当者が、安心と信頼を寄せられるような内容でなくてはなりません。出せる情報、出せない情報をコントロールする BtoBの商材には、コンテンツでは公開できない情報があります。経営コンサルティング企業なら自社のノウハウや事例を詳細に掲載できませんし、 IT企業は要件によって価格が変動するので、一律的に明示できません。 ノウハウや事例を公開し過ぎると競合他社にも情報が流出するため、公開するコンテンツに対して統制をかける必要があります。コンテンツにアクセスするために、登録制を導入する方法もあります。 専門性や信頼性を訴求するか、ビジネス上のリスクを避けるかのバランス感覚が重視されるのも、 BtoBコンテンツマーケティングの特徴です。 2-5コンテンツマーケティングの課題と解決法注目されているコンテンツマーケティングですが、実際に進めるに当たって担当者が突き当たる壁もあります。ここではコンテンツマーケティングの課題とその解決策を見ていきます。マーケターが直面するコンテンツマーケティングの壁 米 eMarketerが 2015年 3月に掲載した“ How to Overcome Content Marketing Struggles”(「コンテンツマーケティングの課題を克服するには」)という記事によると、コンテンツマーケティングに取り組むマーケターが必ず突き当たる壁があります(注 1)。 この記事は米 Ascend 2が世界中のマーケターに向けて実施したコンテンツマーケティングに関するアンケートの調査結果を基にしています。これによるとコンテンツマーケティングの課題として、次の項目があげられています。 1位は「コンテンツ制作に関する社内リソース不足」で、 2位は「効果的なコンテンツマーケティング戦略の欠如」です。 2位の戦略の欠如については、マーケティング専門家や識者が指摘する課題としてもよくあげられます。その詳細は以下になります。
①購入希望者を集めるだけ集めて、次のプロセスが用意されていない ②集めた購入希望者の情報をどのように絞り込むのか定まっていない ③コストや時間が掛かりすぎ、効果が見えにくい 課題をまとめると、「コンテンツで読者を集めるだけ集めても、その後どうするのかの戦略がない。効果測定の基準もない」ということです。“コンテンツ”だけ作り、その後のプロセスが続かない……。コンテンツ戦略の欠如で陥りがちなパターンです。 これらの課題と解決策について、順を追って見ていきましょう。(注 1) eMarketer 2015年 3月 23日 “How to Overcome Content Marketing Struggles” http:// www. emarketer. com/ Article/ How-Overcome-Content-Marketing-Struggles/ 1012255 2-6社内リソース不足を解決する方法コンテンツマーケティングの課題の 1つが、制作に関する社内リソース不足。せっかくのコンテンツも継続して更新しないと効果が出ません。解決策を見ていきましょう。コンテンツ制作を始めてすぐ挫折する例も コンテンツマーケティングに取り組もうと意気込み、オウンドメディアの運営やブログを始めても、 3カ月以内に記事の更新をストップさせてしまう企業が多くあります。 「 3カ月経ってもアクセスが増えない」「効果が目に見えない」というのがその理由です。しかし、どんな人気サイトでも 3カ月程度で読者が定着、増加したわけではないのです。半年から数年かけて大きなサイトに育てていったのです。コンテンツの公開は継続しないと効果が実感できないのに、その前に更新をやめてしまうケースが大半を占めるのです。制作を継続できない理由がある 「効果が分かりにくいからやめる」というのはよくあるパターンですが、実は「記事を書いたり作ったりするのが面倒」「専任の担当者がいない」という理由もあります。 そもそも定期的にブログや SNSを更新している人を除き、多くのビジネスパーソンは文章を書くことにあまり慣れていません。コンテンツマーケティングの指南書には、社員をコンテンツクリエイターにすることを勧めるものもありますが、コンテンツ制作に慣れていないと、息切れして継続するのは難しいものです。 シックス・アパートはオウンドメディアを運営したい企業向けのブログを運営しており、社内にはブロガーとして定期的に記事を書く社員が多くいます(取り組み事例 7 シックス・アパート参照)。このように常時コンテンツを作る経験がないと、社内の人材だけでコンテンツ制作を続けるのは難しいといえます。 継続していれば話題になっていたかもしれないのに、社内リソース不足で頓挫してしまったオウンドメディアも数多くあります。外部の力を借りてコンテンツを作る こうした空中分解を防ぐには、外部の編集・制作会社やプロに補ってもらうとよいでしょう。 自社のカタログや Webサイトを制作したとき、プロのデザイナーやライターに依頼したはずですから、定期的にコンテンツを更新し続けるためには、こういった専門家の力を借りた方が早くて確実です。 ただ、外部にコンテンツ制作を頼むとコストが掛かります。その分売上に貢献するかの目標設定と試算をしたうえで、委託するかどうかの検討を始めましょう。 2-7コンテンツ戦略の欠如はこうして防ぐ「読者を集めるだけ集めて、その後どうするのか戦略がない、効果測定の基準もない」。コンテンツ戦略の欠如で陥りがちな失敗パターンを防ぐ方法を紹介します。ゴールや目標値が設定されていない コンテンツマーケティングの課題としてあげられる、コンテンツ戦略の欠如。まずは、コンテンツに対するゴールや目標値が設定されていないことが問題といえます。 ブログやオウンドメディアを始めても、アクセス数を狙うのか、ソーシャルメディアでの拡散を狙うのか、目標を定めないと意味がありません。 まずは、ゴールとそれに合った目標値を設定しましょう。アクセス数はあるのにソーシャルメディアでの拡散や反応がないなら、読者の中のソーシャルメディアのアクティブなユーザー率は低いと考えられるので、別の指標が必要です。また、ソーシャルメディアは自社の業態に合わないということもあるでしょう。 あるいは、既存顧客から何も反応やコメントがない場合は、納得してもらえるコンテンツを出せていないのかもしれません。集客した後のプロセスが設計されていない もしブログやオウンドメディアのアクセス数が多く、人気が
あるにもかかわらず売上に結びついていない場合、「集客した後のプロセスが設計されていない」というパターンが考えられます。 例えば問い合わせをしてきた人の連絡先情報を収集し、あとはメールマガジンやダイレクトメールを送るだけで何もしないというパターン。ブログやオウンドメディアも同じで、閲覧した人に対して次のアクションを促す仕掛けが何もなければ、売上には結びつきません。 原因としては、コンテンツ制作に主眼を置いて、後の設計が後回しになっていることが考えられます。限られたリソースをコンテンツ制作に投資するあまり、その後を考えないプロジェクトに陥りがちな失敗です。「オウンドメディアやブログは、自社の社員が記事を書いてこそ伝わるもの」という思い込みが強いと、このパターンにはまってしまいます。 コンテンツ制作に注力するあまり、肝心の「売るプロセス」が確立されなければ元も子もありません。思い切って制作や更新は外部に任せ、読者の反応を見ながらプロセスを作るようにする方が効果を早く実感できます。 2-8デジタルとアナログで顧客を絞り込もうコンテンツに導かれて自社サイトにやってきた人すべてが将来の顧客になるかといえば、そういうわけではありません。確実に購入に導くためには、どうしたらよいでしょうか。コンテンツの閲覧者が皆購入するとは限らない 例えば新商品の特設サイトに数万人のアクセス数を集めたとしても、その中から実際に購入してくれる人はわずかです。 ■特設サイトを見に来た読者はこんな人 ▶間違えて訪問した人 ▶リサーチ中の競合他社社員 ▶リサーチ中のコンサルタントや業界記者、代理店 ▶その商品の分野に興味はあるが、今は購入するつもりはない人 ▶その商品の分野に興味があり、いつかは購入するつもりだが時期が決まっていない人 ▶その商品の分野に興味があり、 1年以内に購入する予定がある人 サイトの訪問者がいろいろといる中で、「その商品の分野に興味があり、 1年以内に購入する予定がある人」を見つけ出すのは非常に難しい作業です。コンテンツを閲覧した人の中から、本当にニーズを持っている顧客候補をどうやって見つけ出せばよいのでしょうか? 一般的なコンテンツマーケティングのセオリーでは、そこで「事例やホワイトペーパーなど、ニーズを引き出すコンテンツを提示する」という施策になりますが、それだけで引き合いが来るわけではありません。 また売り手の方も、買い手の与信調査や本社・拠点の所在地、相手企業の資金力など、取引を始める上で確認すべきことが多くあります。「人の手」による営業をかける コンテンツだけで自社に最適な見込み顧客を特定できれば、それに越したことはありません。しかしコンテンツのみでのマーケティングには限界があるといえるでしょう。読者を顧客に変えるためには、どこかのタイミングでテレセールスや営業などの「人の手」を活用するとよいのです。 前述の、コンテンツマーケティングの集客後のプロセスが確立されていない原因は、コンテンツマーケティングだけで営業プロセスを完了しようとするからです。人が関わらないようにすると、営業するタイミングがつかめません。 集客した中から購買確度の高いデータを引き出すには、どこかで「人の手」を入れた方が早く、確実に効果が出ます。「購入予定時期」「長期間におよぶ関係性」「情報交換(資料をダウンロードしてもらって提供する対価として、個人情報を登録してもらう =等価交換)の有無」をチェックし、個別に電話またはメールでプレ営業をかけていくのです。 ここでいうプレ営業とは、「展示会での説明」でも「営業担当者が相手先を訪問」でもかまいません。要はデジタルのプロセスだけでなく、人による営業活動を組み込むタイミングを計るため、実際に「会うか会わないか」を検討するのです。 「人による営業」をいつ組み込むかに関しては、企業の考え方や状況によって異なります。営業担当者が少なくすべての候補先に回れないなら、買い手から連絡があるまで待つのも 1つの方法です。反対に、買い手のニーズがどこまで熟成しているか分からないなら、購入希望時期・長期間におよぶ関係性・情報交換の有無によって、プッシュ型の営業を組み入れるとよいでしょう。 こうして相手のニーズの成熟度や購入可能性を探ると、より高い成果が得られます。 コンテンツマーケティングの限界を打開するには、このように人の手を介するアカウントベースドマーケティング( ABM)が有効なのです(第 3章 3-5有力な見込み顧客に最適化 ABMという戦略参照)。コンテンツマーケティングのメリット BtoBの場合、広く集客してもなかなか取引に結びつかなかったり、収集した買い手のデータを絞り込むにはテレマーケティングやメール営業のプロセスが必要であることは確かです。 一方、特にデジタルを使ったコンテンツマーケティングのメリットは、ターゲットがある程度分かっていれば、見せるコンテンツの出し分けをしやすいという点です。 例えば展示会の参加者には会の内容を補完するデモサイトや試用版を見せたり、バナー広告からサイトを訪問した人には類似製品との比較表を見せるなど、相手に合わせてコンテンツをコントロールできます。 Webサイトにアクセスしたログデータを解析すれば、訪問者の地域や企業の属性を類推できるので、よりきめ細かいコンテンツの出し分けもできます。コンテンツマーケティングの段階で顧客をある程度絞り込むことは、やはり重要です。そうして集めた訪問者の中から、プレ営業部隊の手を借りて成約を目指すのです。
取り組み事例 2ユニアデックス 15年以上続くメルマガで認知度向上と見込み顧客獲得メルマガで会社の認知度向上 日本ユニシスのグループ会社であるユニアデックスが月 2回以上配信しているメールマガジン「 NexTalk」。記事 URLをクリックすると NexTalkの Webサイトに飛び、同社ソリューションや事例紹介のほか、営業トークに役立つ知識を得たり、著名人のインタビューを楽しむことができます。 NexTalkのスタートは、同社が設立された 1997年ごろ。当時メルマガを発行する企業はほとんどありませんでした。 NexTalkを担当しているユニアデックス企画部経営企画室広報&マーコムグループグループリーダー齊藤克彦氏は「始めた当初は、とにかく社名を覚えてもらうという認知度向上が最大の目的でした」と説明します。 齊藤氏は 2002年から 13年近く、ほぼ 1人で NexTalkの編集を担当してきました。現在は齊藤氏を含めて 2人が運営責任者となり、編集方針を立てて企画の方向性を決め、実際の制作作業は外部の制作会社に委託しています。コンテンツの効果は、メルマガの開封率や記事クリック率、アクセス数、ソーシャルボタンの反応などで測定しています。見込み顧客情報を有効活用 認知度拡大のほかに、現在設定している目標の 1つが、「見込み顧客情報の有効活用」。展示会などで名刺を交換しても、何もしなければ見込み顧客に忘れられてしまいます。このような見込み顧客にメルマガを配信します。「毎回 NexTalkにアクセスしてくれなくても、セミナー情報を配信したときに興味を持っていただき、来場してくれる効果があります」(齊藤氏)。 なお、 NexTalkの会員数は、ここ 10年ほど 6000人前後で安定しているとのこと。購読者の約 3割は同社の既存ユーザーならびにパートナーで、残りの 7割は見込み顧客といえます。コラムを増やし開封率回復 10年ほど前まで「 NexTalk」は 8%超の開封率を誇っていましたが、多くの企業がメルマガを発行し始めるようになると、開封率が 1%台にまで激減しました。そこで、配信コンテンツについて抜本的な見直しをしたのです。 それまでは、営業部門や技術部門の社員に最新ソリューションの概要や技術解説などを執筆してもらったり、シンクタンクの研究員に取材して、注目技術をまとめたりしていました。しかしこの手法では、取材・執筆する社員にも編集担当者にも負荷が掛かります。また「気負った記事」が中心だったので、「読者が気軽に読めないのでは」という危惧もありました。 編集体制、読者の興味・関心度の観点から、解説記事中心のコンテンツをコラム中心へシフトすることに決定。これに合わせ、プロの書き手や有識者に執筆を依頼し、外部の編集プロフェッショナルと連携することにしました。基本的な編集方針は齊藤氏が決定し、企画・取材や編集、制作は外部の制作会社と連携して進めます。負荷を軽減しながらバラエティー豊かなコンテンツ作りができるようになりました。 コンテンツの見直しに当たり、もう 1つ志向したのは自社の方向性を“直球”ではなく“カーブ”で届けること。「例えば『エクセレントサービスを届けたい』という当社のコンセプトを伝える際に、これまでは『ユニアデックスが考えるエクセレントサービスとは』という記事を作っていました。そうではなく、エクセレントサービスを別の角度から読者に考えていただくため、その道で経験豊富な方々に執筆していただくなど、コンセプトを“変化球”で届けることにしたのです」と齊藤氏。この結果、一時低迷していたメルマガの開封率は約 1. 5倍に回復しました。課題は数値目標の設計 現在、 NexTalkのキャッチフレーズは「ふれる・楽しむ・明日の ICT」です。メルマガを始めた当初はキャッチフレーズがなかったので、齊藤氏は「これができたというだけでも、大きな変化です」と語ります。 あらゆる企業がオウンドメディアやコンテンツマーケティングに着手する中、 NexTalkもさらなる飛躍が必要です。齊藤氏は、 3つの点で改善が必要と述べます。 第 1に、目標設定です。従来からの「認知度向上」「有益な情報の提供」「見込み顧客情報の有効活用」のほかに、プラスする目標として「企業としての多面性訴求」を打ち出しました。軽めのコンテンツを増やし、「固い」という画一化した企業イメージから脱却を図ります。 第 2に、具体的な数値目標を持つことです。経営層を納得させるだけの目標数値の実現が現在の課題となっています。今は
アクセス数やクリック数、獲得した「いいね!」の数を評価していますが、今後はよりコンバージョン(第 6章 6-6公開がゴールではない継続して質と量の向上を参照)を重視する必要があり、何をコンバージョンとすべきか、検討中です。 第 3に、自然に読者を増やす方策です。例えば Facebookで記事更新を告知すると「いいね!」の数が増えるものの、それ以外にアクセス数と「いいね!」の数を増やす方法が確立されておらず、どうすれば読者に気づいてもらえるかが課題となっています。これから始める際のポイント 齊藤氏がほぼ 1人で NexTalkの編集を行ってきた支えになったのは、「高い開封率を誇る優れたコンテンツを自分がつぶすわけにはいかない」というプライドでした。方針転換をしたときも、参考になるあらゆる Webサイトを 1人でモニタリングして、人気コンテンツの傾向を探っていったそうです。 そうした経験から、齊藤氏はこれからコンテンツマーケティングを始める人に対し「肩ひじを張らず、カジュアルな編集方針でよい」とアドバイスします。「それよりも、サイト構築に必要なインフラ投資に重点を置くべきでしょう。基盤さえしっかりしていれば、ビジネス環境の変化に合わせ、柔軟に編集方針を変えて対処できます。またコンテンツの作り方が分からなくなっても、この世界には先人が多数いて企業や業界の垣根を超えた情報交換が盛んなので、相談もしやすい。悩んでいるのなら、まずは始めてみてはいかがでしょうか」と齊藤氏はアドバイスします。 NexTalkは現在、リニューアルの取り組みを進めており、 CMS( Cokumn 5 コンテンツ作成が容易な CMS参照)を活用した効率的なコンテンツ配信の基盤を作成中です。気軽に NexTalkにアクセスしてもらうため、キャッチフレーズを“ふれる、楽しむ、くつろぎ系 ICT情報”に変え、「さくっと読める短いコンテンツ」(齊藤氏)も増やす予定です。お聞きした人企画部経営企画室広報&マーコムグループグループリーダー齊藤克彦氏 3-1「顧客」「リード」の定義を明確にしようマーケティングで使われる「顧客」や「リード( lead)」。これらには明確な定義がなく、どのような状態の顧客を指すのかあいまいなことも多いので、整理してみましょう。「リード」「見込み顧客」とは何のこと? マーケティングの世界では、まだ取引が始まっていない相手を「リード」「見込み顧客」などと呼びます。 「見込み」がどの程度なのかは状況によって変わりますが、見込みの度合いが高い順に、ホットリード、ウォームリード、コールドリードと呼ぶことがあります。 一方、将来的に顧客になる可能性はありますが、まだニーズが顕在化していない顧客を「潜在顧客」と呼びます。 なお本書では「リード」と「見込み顧客」をほぼ同じ意味で使用します。 ■見込みの程度によるリードの分類例 ▶ホットリード 一般に数カ月以内に商談に結びつきそうな潜在顧客 ▶ウォームリード 一般に 1年前後のうちに商談に結びつきそうな潜在顧客 ▶コールドリード 時期は未定だが、将来商談に結びつきそうな潜在顧客リードを生み出し、育て、選び出す リードを生み出し顧客とするまでのプロセスを表す言葉もあります。リードを生み出すことを「リードジェネレーション」( lead generation)、生み出したリードを育てることを「リードナーチャリング」( lead nurturing)、取引に結びつきそうなリードを選ぶことを「リードクオリフィケーション」(
リードクオリフィケーション」( lead qualification)と呼ぶことがあります。 「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の 3つの一連のプロセスを「デマンドジェネレーション」と呼びます。「デマンド」とは顧客からの要求、要望という意味です。リードの定義を共有しよう 注意が必要なのは、マーケティング部門と営業部門が考えるリードのレベルに差がある場合です。 例えばマーケティング部門は、展示会・セミナーで集めた名刺や、問い合わせメールの送信元アドレスなどをリードと考えますが、この中には、情報収集のために来場したアナリストや業界誌記者、情報収集はしているが購入自体はまだ先というコールドリードも混じっているかもしれません。 一方、営業部門が考えるリードは、購買の見込みがある人のリストであって、アナリストや記者、コールドリードなどをリードとは呼びません。 重要なのは、マーケティング部門と営業部門でこうしたリードの定義を共有することです。「顧客」にもいろいろある 「顧客」という言葉も定義が難しく、マーケティングと営業の間で共有できていないケースが見られます。 例えば、以前は取引があったが今は取引がない顧客をどう定義するか、部門によって考え方はまちまちです。営業部門では「以前取引をしていて、その後取引がなくなって 3年たつが、担当者レベルで年賀状交換はしている」という客を「休眠顧客」と考えるでしょうし、マーケティング部門は「 3年も取引がないなら、新規顧客と同じ」と考えるかもしれません。 潜在顧客、見込み顧客、新規顧客、休眠顧客──。これらの位置づけが部門ごとに共有できていない企業も多いかもしれません。 コンテンツマーケティングを進めるには、企業の中でこれらの定義をしっかり共有する必要があります。「顧客」は時間軸を基準に定義する あいまいになりがちなこれらの言葉の定義ですが、明確化するには時間軸を基準にしましょう。 例えば「新規顧客」とは、契約を締結し明日から本格的に取引が始まる取引先を指します。「イベントの企画立案を任された」「備品のレンタルを依頼された」といった一過性の取引である場合、こういった新規顧客をリピート顧客に引き上げていくことがポイントになります。 BtoBの場合、クラウドサービスなど ITのインフラ系の商材を扱っていれば、リピートしてもらうこと、つまり継続取引が基本になります。この場合、「昨日契約が切れた」という相手は「休眠顧客」と定義して問題ありません。 ただ、いつまでを「休眠」とするかが問題です。次の取引までの時間が短いと思われる場合は「休眠顧客」と考え、長期にわたる場合は(相手企業の担当者も変わっている可能性もあるので)、次の取引を「新規」と定義するとよいでしょう。 3-2「ペルソナ」を設計して買い手を「見える化」するマーケティング戦略を立てるとき、「ペルソナ」という言葉を使うことがあります。ここではペルソナについて解説し、その必要性を見ていきましょう。「ペルソナ」とはどんなもの? マーケティング戦略を立てるときは、ターゲットである買い手の姿を明確にすることが重要です。そこで使われる手法に、「ペルソナ( Persona)」の設計があります。 ペルソナとはユーザーモデルとも呼ばれ、商品を買ってほしい相手の特徴(年齢、職業、趣味、関心など)のことです。 コンテンツマーケティングでは、コンテンツを受け取る買い手のペルソナを設計することで、効果的なコンテンツ制作が可能になります。 BtoBではペルソナは不要 コンテンツ作成に当たりペルソナが必要と書きましたが、これはどちらかといえば BtoCの分野に当てはまります。 BtoCでは購入の意思決定者が個人なので、その人の属性を細かく分析したペルソナを設計したうえで、それに合ったコンテンツを作ることが有効です。 しかし BtoBの場合、買い手が企業という組織体になります。意思決定をするのは購入の担当者だけでなく、何人かの上長に稟議を通す必要があります。購入担当者が異動になったり役職が変わったりすることもあるので、個人のペルソナを設計する意味があまりありません。 BtoBではペルソナを設計するよりも、稟議にあげやすいコンテンツや、他者と比較検討しやすいコンテンツの立案に注力した方が効果的なのです。
3-3カスタマージャーニーは顧客のコンテンツ体験最近、カスタマージャーニーという言葉をよく聞くようになりました。ここではその意味と意義、コンテンツマーケティングとの関係について見ていきましょう。商品を巡る「顧客の旅」 コンテンツマーケティングでは、買い手、つまり顧客の様々な状態に合わせて、どのようなコミュニケーションを図るかが重要になってきます。 顧客が商品やサービスを知って興味を持ち、最終的に購買にいたるまでの行動や心理状態を「旅(ジャーニー)」にたとえてモデル化したものを「カスタマージャーニー」と呼びます。商品を巡る「顧客の旅」ということで、この様子を可視化したものが「カスタマージャーニーマップ」です。 購買した後に商品を気に入って取引を継続したり、他者に推薦したりするのも「旅」の一部といえます。 カスタマージャーニーマップは、第 1章 1-1コンテンツマーケティングが注目されているわけの「消費者購買プロセスの 5段階モデル」と似ています。ただし今のカスタマージャーニーが 5段階モデルと異なる点は、買い手が購買にいたるまでの行動が複雑で多岐にわたっていることです。 以前は買い手が商品やサービスに接触するチャネルは、新聞やテレビ、雑誌広告で商品を認知し、 BtoBの場合は展示会やセミナー、ショールームに行き、予算に応じて検討し、購買にいたるというものでした。 現在は Webサイトをはじめとして、買い手が商品を認知し関心を持つまでのチャネルが増えています。 商品の検討段階でも、 Webサイトに掲載されている製品導入事例、報告書などのホワイトペーパー、他社製品との比較など、参考にすべき情報は山のようにあります。カスタマージャーニーマップを描いてみよう このように顧客の行動が複雑化する中で、商品やサービスに関してカスタマージャーニーを描くことはとても重要になってきています。 前述のようにカスタマージャーニーは買い手が購買にいたるまでの行動や心理状態を図式化したものですが、購買後のアフターサービスやリピートのプロセスもカスタマージャーニーに含める場合もあります。 特に BtoBの場合は、 BtoCの消費財と比較して高額の商品を購買し継続して使うことが多いため、購買後の買い手の行動も重要になってきます。 次の、カスタマージャーニーマップの例を見てみましょう。 下に、カスタマージャーニーマップを示します。買い手がどんなチャネルやコンテンツによって商品を認知し、興味を持ち、購買にいたるかを整理していきます。 カスタマージャーニーに沿ってチャネルを整理し、各チャネルで提供できるコンテンツを検討することで、コンテンツの種類の過不足や掲載すべき内容を整理できます。カスタマージャーニーはどこまで設計できるか? カスタマージャーニーマップを作成する最大の目的は、顧客がたどる道筋を把握し、ジャーニー内のチャネルに最適なコンテンツを配置することです。 カスタマージャーニーの設計に当たっては、既存顧客へのヒアリングや調査を通じて、購買にいたった経路を確認する必要があります。 しかし BtoB企業がカスタマージャーニーを設計するときに失敗しやすいのは、次のような理由によります。 実際にカスタマージャーニーが例示されているものは、 BtoCの小売業である ECサイトや、消費財が商品である場合が多く見られます。 前の図で分かるように、商品の購買までに多くの人が関わる BtoBの場合、カスタマージャーニーを描くのが難しいのも事実です。 BtoBのカスタマージャーニー設計の正解は? しかし、だからといって BtoBではカスタマージャーニーは無意味というわけではありません。 BtoBでカスタマージャーニーを描くには、顧客の売上額や企業規模に関してモデルケースを洗い出すという方法があります。 実際に 3つのモデルケースを見てみましょう。 ■ 3つのモデルケースを基にカスタマージャーニーを描く ①平均的な顧客企業をモデルケースにする 自社の中で最も層が厚い顧客をモデルに、カスタマージャーニーを描く。ただしモデルケースを選ぶに当たって、何をもって「平均」と位置づけるかが難しいところ ②売上額で上位の企業をモデルケースにする 売上高の大きな企業をモデルケースとし、同様の売上が見込める顧客のカスタマージャーニーを描く ③ 1年以内に取引を始めた新規顧客企業をモデルケースにする 新しい取引先が、どのようなチャネルで自社製品の購買にいたったのかを洗い出し、最新のカスタマージャーニーを描く
BtoBでは顧客企業の売上高や規模、取引開始時期などによって、上のようなモデルケースを基にカスタマージャーニーを描くことができます。 3つのモデルケースを紹介しましたが、 ③とは逆に、古くからの顧客企業をモデルケースとし、リピートにいたるカスタマージャーニーを分析する方法もあります。ただしどのモデルを選んでも「これが一般的」というカスタマージャーニーはありません。カスタマージャーニーは、あくまで顧客が接するチャネルとコンテンツの配置の戦略を考えるたたき台です。 あとはコンテンツマーケティングを実践しながら微調整を繰り返し、最適なカスタマージャーニーを設計できるよう努力することが必要です。 Column 2顧客の「体験」を向上させようカスタマーエクスペリエンスとユーザーエクスペリエンス( UX) 第 3章 3-3カスタマージャーニーは顧客のコンテンツ体験では、顧客が商品やサービスを知ってから購買にいたるまでの行動や心理状態を旅にたとえ、「カスタマージャーニー」と説明しました。 このほかに、「カスタマーエクスペリエンス」または「ユーザーエクスペリエンス( UX)」という言葉を聞いたことがあるでしょう。どちらも「顧客の体験」と訳され、商品やサービスを購入したり利用したりすることを通じて顧客が経験する感動、驚き、満足などを総称しています。 企業は、顧客が期待している以上の商品やサービスを提供することで、カスタマーエクスペリエンスやユーザーエクスペリエンスが向上することを目指しています。 カスタマーエクスペリエンスやユーザーエクスペリエンスを向上させるために、第 3章 3-2「ペルソナ」を設計して買い手を「見える化」するで紹介したペルソナを設計する場合もあります。 ただし注意が必要なのは、同じ商品やサービスでも購入/利用した人によって得られる体験が異なるということ。このためカスタマーエクスペリエンスやユーザーエクスペリエンスを考えるときは、まずターゲット層をはっきりさせる必要があります。 また「マインドプロセス」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。顧客が商品やサービスを知ってから購買にいたるまでの検討段階のことです。顧客のアクション(行動)ではなくマインド(意識)を中心とした考え方で、外から見えづらいため、マインドプロセスは簡単に描くことができません。顧客にヒヤリングなどをしながらプロセスを整理していきます。 マインドプロセスは、マーケティングの中でもコンサルティングの要素の強い考え方といえるでしょう。 3-4マーケティングで「創客」営業で「増客」この章では顧客の定義や顧客の態度変容について見てきました。ここでは顧客に対するマーケティング部門の役割と営業部門の役割を、それぞれ整理してみましょう。マーケティングは顧客を「創る」活動 コンテンツマーケティングの成果をあげるには、マーケティングと営業との連携が不可欠です。 第 3章 3-1「顧客」「リード」の定義を明確にしようで「リードジェネレーション(リードを生み出す)」「リードナーチャリング(リードを育てる)」「リードクオリフィケーション(リードを選び出す)」のプロセスを紹介しました。これを、マーケティング部門と営業部門の立場から整理してみましょう。 コンテンツマーケティングを含め、あらゆるマーケティング活動の目的は、「顧客を創ること」つまり「創客」と考えられます。そのためにはまず「集客」し、「接客」することが必要です。そしてこの間に行われる見込み顧客の「ナーチャリング」と「クオリフィケーション」を、本書では「探客」と呼ぶことにします。 マーケティング部門ではこうして購買の可能性の高い顧客を育成し、そのリストを営業部門に渡し(これを「送客」といいます)、営業部門はマーケティング部門が探してきた顧客を増やし(「増客」といいます)、売上を伸ばすことが望まれます。集客から増客までの流れと戦術 次の図に、顧客に対するマーケティング部門と営業部門の業務、そして顧客のそれぞれの状態でのポイントをまとめました。
まず、自社に興味を持ってくれそうなターゲット層にコンテンツを提供して集客します。その顧客に接客するのも、コンテンツの大切な役割です。 例えばある IT企業で自社製品の成功事例集を活用して自社 Webサイトに集客し、ホワイトペーパーと引き換えに、顧客のメールアドレスを取得したとします。次段階として取得したアドレス宛てにメールマガジンを送り、さらに詳しい情報に誘導します。このメルマガと誘導先のコンテンツが「接客」に相当するわけです。 メールを受け取った顧客が誘導先コンテンツを閲覧したり、さらに Webサイト内を回遊すれば、そのログが残ります。滞在時間が長かったり、費用や問い合わせ先などの情報も見ているなら、商品購買へのニーズは相当高いと考えてよいでしょう。 こうして購買見込み確度の高い顧客を、営業部門に「送客」します。ここまでがマーケティング部門の役割になります。 営業は受け取った顧客のリストを使って営業をかけ、クロスセルやアップセル(第 5章 5-1マーケティングで顧客の動きを見る参照)などの「増客」に努めます。 増客までのプロセス中に求められる成果は、実は売上ではありません。「顧客を探す/見極める」こと、つまり「探客」をいかに効率よく進めるかがポイントなのです。最大のポイントは「探客」にあり マーケティング活動で最大のポイントとなるのは、見込み顧客を探し、コミュニケーションを取りながら育成し(ナーチャリング)、本当に購買してくれる顧客を選ぶ(クオリフィケーション)という「探客」です。 このときのポイントは、「ターゲットにいかに効率よくアプローチするか」「いかに効率よく伝えたい内容を響かせるか」「購買してくれる顧客かどうかを効率よく見抜けるか」ということになります。 次に、集客から増客までの間にどのような戦術を基にコンテンツを提供すべきか、考えてみましょう。 見込み顧客の状態に応じて、「ターゲットが集まる『場』を作る」「ターゲットに響くコンテンツを作る」「真のターゲットか見極めるための情報を把握する」の 3つの戦術の下、それぞれに適したコンテンツを提供します。 先ほどの図にこれらの戦術と必要なコンテンツを加えると、次の図のようになります。 なお、 3つめの「真のターゲットか見極めるための情報」を「 BANT情報」と呼びます。 これは顧客の Budget(予算)、 Authority(役職・権限)、 Needs(ニーズ)、 Timeframe(購買時期)に関する情報のことで、これを把握することで顧客が自社商品にどの程度の関心を持っているのか、購買してくれそうかなどの目安になります。 3-5有力な見込み顧客に最適化 ABMという戦略マーケティング部門と営業部門を連携し、成果を高める戦略として期待されるのが ABM( Account Based Marketing)です。この考え方と成功のポイントを見ていきましょう。 ABMの考え方 マーケティング部門が集めた顧客のリストからクオリフィケーション(見込み顧客を選び出す)をする手段として注目を集めているのが、「 ABM」( Account Based Marketing)と呼ばれる戦術です。 マーケティング部門と営業部門が連携し、マーケティング施策の成果を高める戦略として期待されています。その考え方と成功のポイントを見ていきましょう。 欧米のマーケティング専門サイトに ABMという言葉が頻出し始めたのはここ数年ではありますが、実はこの概念自体は 10年以上前から存在していました。 最初に提唱した ITSMA( IT Services Marketing Association)の定義によると、 ABMとは「有力な見込み顧客に最適化されたマーケティング活動を行う」という考え方です。 ABMを行うメリットは 3つあります。まずは、効率よいマーケティング活動が期待できること、次にマーケティング部門と営業部門の連携がスムーズになること、そして増客に結びつきやすいことです。 ■ ABMを行う 3つのメリット ①効率よいマーケティング活動が期待できる 「売上の 8割は、 2割の上位顧客によって生み出される」という「パレートの法則」に基づいてターゲットを選定することで、効率のよいマーケティング活動が期待できる点。ターゲットを絞りやすい BtoB
向きといえる ②営業部門の目標とより密に連携できる 営業部門が狙っているポイントをマーケティング部門が的確にフォローすることで、成約の確度をあげられる。確度の高いマーケティング活動にできる ③増客に結びつきやすい ABMでは、 1つのターゲットアカウントに対して部門間で連携しながらマーケティングと営業活動を行うため、クロスセルやアップセルといった増客に結びつきやすい日本企業の営業活動にマッチした ABM 「今までの営業活動と何が違うのか」という疑問が出るかもしれません。 実は ABMは、日本企業ではかなり古くから行われてきた手法なのです。 ただし従来の営業と ABMとは明確に異なる点があります。デジタルマーケティングの力を借り、より効率よく展開できるという点です。デジタルマーケティングが営業活動を後押し 第 1章 1-6デジタルマーケティングとコンテンツマーケティングでも触れたように、デジタルマーケティングが普及したおかげで、見込み顧客の行動を基に、その人がどんな情報を求めているのか推測がしやすくなりました。 次の図のように、 B社のメールマガジンを熱心に読んでくれる A社の社長がいたとします。 A社長はメルマガの誘導ページのほか、様々なページを見て情報を収集しているようですが、中でも「マイナンバー対応ソリューション」に関心があるらしく、説明ページや問い合わせページを何度も見た形跡がログから分かりました。 マーケティング部門でこのような A社長の行動を把握していれば、営業部門と連携することで、営業担当者がより A社長のニーズに合った提案をすることができるようになります。これまではこういったニーズを把握する活動は営業担当者の力量にかかっていましたが、コンテンツマーケティング施策と連携することで、営業活動を効率化できるのです。 このように、ターゲットとする層に対し効果的な営業活動を展開できるのが、デジタルを活用した ABMの最大のポイントです。 ABMを成功に導くための条件 とはいえ、 ABMを成功させるには次のような条件があります。 ①部門間の連携が必要 部門間の連携がしやすい雰囲気を社内に作る必要があります。 ABMは、マーケティングだけで完結するものではないので、営業部門にメリットを訴求して巻き込んでいかなくてはなりません。 そのため、営業とマーケティングの 2つの部門を横断して統括する責任者を置くといった人事的な対策も必要になるでしょう。 ②長期プランで戦略を練る コンテンツマーケティングと同様、 ABMもすぐに成果が出る戦略ではありません。 特に BtoBの場合、場合によっては顧客の事業戦略を年単位で考え、フォローしなくてはならないでしょう。長期プランで戦略を練っていくことも必要です。 ③すべての見込み顧客を網羅 デジタルのメリットを生かし、直近の売上になる顧客だけでなく将来顧客にしたい層や、今回は取引に結びつかなかったが来期はぜひ取引したい、といったすべての顧客を網羅することです。 直接的に取引がない企業や、契約更新がなかった企業など、営業担当者が訪問できないケースはかなりあります。 そうした企業もすべてターゲットとし、コンテンツを活用しながら探客することで、より効果を最大化できるのです。 ABMの KPI設定の方法 ABMを進めるに当たり、次のような KPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。 ABMとコンテンツマーケティングを結びつければ、効果が高いと期待できるターゲット層に対してコンテンツで訴求していくことができます。 例えば新規のターゲット層に対しても、メルマガの反応がよかった人に直接電話をかけるテレマーケティングを行うというのも ABMの一種です。 ■ ABMを確実に推進するための KPI項目 ①ターゲット企業との接点を網羅しているか? ターゲットとした企業の中で、製品の購買に決定力を持つと思われる接点(例えば、技術責任者や購買担当者、 CEOなど)を網羅しているかを判定します。それぞれの接点のどのようなコンタクト情報を取得しているかを確認します ②どのくらいターゲットの興味を引いているのか? 実行しているマーケティング施策が、的確にターゲット企業の興味を引いているかを判定します。メールマガジンの開封率や、誘導用 URLのクリック率など、アクセス元の IPアドレスのデータを活用してアクセス分析を行います ③案件が進んだか? マーケティング施策によって、購買意思に変化があったのかを判定します。 ①で可視化した接点ごとに、購買意思の強さを濃淡で表したヒートマップで変化を確認します ④施策は ABMに沿っているか? マーケティング施策が ABMで定義したターゲット企業に即した活動となっているかを判定します。各施策への参加者のうちどのくらいがターゲット企業からの参加かを見ることで、施策が効率的な投資になっているかを確認します ⑤ ABMが営業活動に役立っているか? 「 ABMを導入することで、これまで 90日掛かっていた成約までの期間が 30日に短縮された」など、案件に掛かった期間、費用、訪問回数などを数値化して効果を判定します
Column 3 MQL、 SAL、 SQL売り手にとっての見込み顧客のフェーズ リード(見込み顧客)に関して、 MQL、 SAL、 SQLという言葉を聞いたことがあると思います。 MQLとは Marketing Qualified Leadのことで、マーケティングが絞り込んだ(選び出した)リードのこと。マーケティング部門の担当者が「営業をかけるのに適切である」と判断して、営業部門に渡す見込み顧客を指します。 一方で SALとは Sales Accepted Leadのことで、直訳すると「営業が受け入れたリード」となります。これは、営業部門の担当者が「購買してくれる確度が高いだろう」と判断した見込み顧客を指します。 さらに SQL( Sales Qualified Lead)とは、営業が絞り込んだ(選び出した)リードということになります。 第 3章 3-4マーケティングで「創客」営業で「増客」で紹介した言葉を使って説明すると、 ◎マーケティング部門は まずは集客し、接客しながら探客して「 MQL」となるように育成する ◎営業部門は マーケティング部門が育成した「 MQL」を「 SAL」として受け取り、「 SQL」にしていき、最終的には成約─購買にいたる顧客に変える という流れになります。 コンテンツを提供していく場合は、 MQL、 SAL、 SQLそれぞれの段階に合わせて作り分け、出し分けをしていくことが望まれます。これにより MQLから SQLにいたるまでの営業時間を短縮し、成約の確率を高めていくことが、コンテンツマーケティングの戦略となるわけです。 3-6チャネルの変化により顧客の行動も変化している以前と比べ、購買にいたるまでの顧客行動は変化しているといわれています。顧客行動が変化したきっかけは、チャネルの拡大とコンテンツの増加にあります。チャネルの変化とコンテンツの増加 以前と比べて顧客行動は確かに変化していますが、その理由はチャネルの変化とコンテンツの増加にあります。 BtoBの場合、かつて買い手が商品情報を得るチャネルは展示会やセミナー、カタログ、広告、業界誌、営業担当者といったものでした。 しかしインターネットの普及により、情報にアクセスするチャネルが一気に広がったのです。まずは Webサイトというチャネルですが、企業の公式サイトやブログ、 Web広告、動画など、様々なコンテンツが含まれるようになりました。メールマガジンもチャネルの 1つです。 情報にアクセスするデバイスも、 PCやスマートフォン、タブレット端末など、様々な機器が普及しました。このため買い手は、時間や場所にとらわれずに、いつでもどこでも情報にアクセスできるようになりました。 BtoBの購買であっても、商品やサービスの情報収集をするのは、オフィスのデスクからだけでなく、通勤途中などの移動時間にスマホから情報収集が可能になっています。 このようなチャネルの変化により、買い手が情報に接する行動が必然的に変わったのです。自社の「強いチャネル」を見つけよう コンテンツ戦略を立てるには、このようなメディアやデバイスの多様化、チャネルの変化を踏まえる必要があります。長くビジネスを続けてきた企業なら、自社が強いチャネルを持っているはずです。 例えばある町工場で、カタログやダイレクトメールだけでは商品の訴求ができなくても、展示会や工場で実物や技術者の様子を見てもらえば契約率が高まる、ということがあるかもしれません。カタログの文字や写真では伝わらない「何か」が、もし技術者の真摯な姿勢や人柄だとしたら、それを訴求するために工場で撮影した動画コンテンツを掲載するという方法もあります。 またはある企業にとっては、展示会やセミナーが自社の強みを訴求する重要な場となるかもしれません。 このように自社にとって強いチャネルを知り、それを補完するコンテンツを検討して作成することがコンテンツ戦略となります。取り組み事例 3リコー 3 Dプリント関連事業を機にリードナーチャリングを開始 3 Dプリント事業参入が契機に オフィス向け画像機器、プロダクションプリントソリューションズ、ドキュメントマネジメントシステム、 ITサービスなどを提供するリコーと国内販売を担うリコージャパン。両社がマーケティング活動として見込み顧客を創出するデマンドジェネレーションに取り組み始めたのは、 2014年です。そして同年 9月、 3 Dプリント関連事業参入を契機に、見込み顧客との関係性を育てていくリードナーチャリングの取り組みを始めました。
リコービジネスソリューションズ事業本部事業統括センターマーケティングプロセス革新室デマンドジェネレーション推進 Gリーダーの井上克彦氏は、「訪問営業担当者が、普段接点のない設計・開発のキーパーソンの方に提案していくには、これまでの営業アプローチと異なる新たな施策が必要でした」と語ります。 2014年当時、海外拠点ではすでにマーケティングオートメーション( MA)ツール(第 5章 5-3コンテンツマーケティングに必要なシステム参照)を活用したデマンドジェネレーション活動を実施していました。しかし日本では、それまでリードナーチャリングの必要性を感じてはいたものの、取り組みとしてはメールマーケティング程度にとどまっていました。そこで、 3 Dプリント関連事業参入を契機に、商品マーケティング部門と連携し、 MAツールを活用したリードナーチャリングの実験的な取り組みを開始することにしました。これまでの訪問営業の活動量が限界に 同社が日本でのデマンドジェネレーションの取り組みを始めた理由は、 3つあります。 まずは、新規ビジネスではこれまで接点のない営業先が顧客ターゲットになること、 2つめはデジタルテクノロジーの革新により、顧客の購買行動が変化したこと、 3つめは訪問営業 1人当たりの担当顧客が増加したことです。 従来の訪問営業先は、コピー機などの販売先である情報システム部門や総務部門でした。しかし、 3 Dプリンターの購買ターゲットになるのは、設計・開発部門です。そのため、新たな営業先を開拓しなければならなくなりました。 また、顧客自らがインターネットで情報収集し、購買検討を進められるようになってきていたことから、 Webサイトを通じて、購買見込みのある顧客を確保し、購買へと結びつける施策立案の必要性が高まっていました。 あわせて、顧客との接点を作り出す最初の段階は Webに担わせることで、営業担当者を成約近くまで購入意欲が高まっている営業先へのフォローに集中させられると考えたのです。 施策立案に際しては、コンサルタントの支援を受け、 Webコンテンツを利用したコンテンツマーケティングのプロセスを作りあげました。顧客のニーズに応えるコンテンツを展開することで、継続的なコミュニケーションを取り、将来の顧客を育てていくやり方(ナーチャリング)を志向したのです。 そして、問い合わせや受注データを精査することで、購買意欲の温度感を見極め、営業への送客を実施する、効率的なプロセス構築を目指しました。マインドプロセスに沿ってコンテンツを整理 取り組みの最終的な目標は、購買に結びつけることでした。そのためには、顧客自ら 3 Dプリンター導入の検討を進め、 Webサイトを通じて問い合わせいただけるように、 Webサイトを構成しなくてはなりません。「まずは商品マーケティング担当が実施したヒアリング調査内容の解読から始めました。ヒアリング調査では、ターゲットになりそうなお客様を訪問し、 3 Dプリンターの導入状況、導入検討における課題、リコーとして強化していくべき点を把握しました。その結果を踏まえて、ターゲットユーザー像を設定し、その方たちに向けたコンテンツの準備に入りました。コンテンツは、 3 Dプリンター導入までの心理状態(マインドプロセス)を整理し、それぞれの段階に合わせてどのようなコンテンツをそろえるかを検討し、制作を進めました」(井上氏)。 こうして立ち上げたのが、 3 Dプリンターサイト「 RICOH 3 D PRINT ONLINE」です。 ここでは、試作したい造形物の目的や要件によって、最適な 3 Dプリンターを選ぶノウハウを掲載。各メーカーの 3 Dプリンターを容易に比較できるようにすることで、問い合わせや申し込みなど、次の行動へと促すようにしました。 3 Dプリンターの運用や活用に関して、リコーの 20年以上の実績を生かし、蓄積した知見をコンテンツにして、専門性と高品質なサービスを訴求したのです。グローバルで組織的に取り組む 今回もう 1つ特徴的なのは、組織的にコンテンツマーケティングに取り組んだことです。 「販売会社であるリコージャパンでは『デジタルマーケティングセンター』という専門部署を新設し、新たな営業プロセスの確立に向けて本格的に取り組んでいます。リコーでは『マーケティングプロセス革新室』として、グローバル 4極(日・米・欧・ APC)と連携しながら、デジタルマーケティング基盤の確立を目指しています」(井上氏)。 「日本極」は、リコージャパンのデジタルマーケティングセンターが商品マーケティング、営業区と連携し、顧客との“つながり”を強化しながら、価値提供活動の量と質を上げ、さらなる実績を作り出す仕組みを構築していくそうです。 「海外極」との連携も強化。早くからデジタルマーケティングに取り組んできた「欧米極」と情報交換し、施策展開の定着化・加速化を進める方針です。顧客に寄り添った取り組みを試行錯誤中 「マーケティング活動で獲得した案件数は、今年度の目標はクリアしています」と井上氏。問い合わせ数は、従来の Webサイトのソリューション全体が獲得していた数の 2倍になりました。営業担当者がアプローチしていなかった企業からも、 Webサイト経由で問い合わせが得られています。 ただし、課題もあります。 3 D PRINT ONLINEへの来訪頻度が少ない顧客との関係構築と、その顧客がどのようなマインドにあるかの把握です。これまでは、見積もり依頼や問い合わせのあった方など、相談・購入段階の行動を示した方を中心にフォローを行ってきました。「今後は、検討初期の顧客向けのコンテンツを充実させることで、 3 Dプリンターへの理解を深めていただき、購入検討段階の時点で、まずリコーのサイトを訪れてもらえるようにしたい」と井上氏はいいます。 また、施策に連続性を持たせることにも取り組んでいます。
顧客のマインドプロセスを把握し、状態に合わせて施策を継続的に行うことで、顧客との関係性を深めていくことです。「こうしたナーチャリング実践における課題について、海外拠点を含めて組織的に検討していきます」(井上氏)。 3 Dプリンターのような高額商品は、購買までの検討期間が半年ほど掛かることが一般的で、問い合わせ後に即受注とはならないケースが大半です。「お客様のマインドに対する理解を深め、それぞれのお客様に寄り添った取り組みを行い、コンテンツやデジタルを活用したマーケティングを洗練させていきたい」と井上氏は語りました。お聞きした人ビジネスソリューションズ事業本部事業統括センターマーケティングプロセス革新室デマンドジェネレーション推進 Gリーダー井上克彦氏 4-1コンテンツにはどんなものがあるのかコンテンツ( content)とは「中身、内容物」を意味しますが、コンテンツマーケティングにおけるコンテンツには、どんなものがあるのか、見ていきましょう。様々なコンテンツを理解しよう Webサイトやカタログ、音声や動画など、読んだり視聴したりできるパッケージ化された内容物はすべてコンテンツです。 一口に Webサイトといっても商品紹介のページや導入事例などがありますし、ブログや SNSに掲載した記事やそれに対する読者のコメントもコンテンツといえます。 コンテンツの形態もテキスト、インフォグラフィックス(情報をイラストなどで視覚的に表現したもの)、音楽、動画など実に様々です。 ここ最近は、オウンドメディアもマーケティングに有効なコンテンツとして注目されています。オウンドメディアとは企業などが自ら所有するメディアのことで、自社の Webサイト、メールマガジン、ブログのほかに広報誌や冊子などの紙メディアも総称する用語です。また、展示会やセミナーなどのリアルなイベントも、コンテンツの一種です。 要は顧客を引きつける情報、顧客にとって役に立つ情報は、すべてコンテンツということができるのです。
コンテンツマーケティングのプロジェクトを進める際は、「自社にとってのコンテンツとは何か、それを誰に向けてどのように発信していくか」をチーム内で確認し、共有する必要があります。この共有をおろそかにすると、サイト制作やカタログ作成など「パッケージ化すること」だけが目的になってしまいます。 コンテンツマーケティングで重要なのは、「コンテンツの効果を最大化させること」。そのためには、やみくもにコンテンツを作るのではなく、戦略的に発信していく必要があります。 4-2コンテンツの目標設定と効果測定のやり方コンテンツマーケティングの課題の 1つに「効果の測り方が分からない」というものがあります。コンテンツの目標設定と効果測定について見ていきましょう。コンテンツの効果が分からない理由 コンテンツマーケティングに関する調査で、マーケターが直面する課題として「効果計測ができない」という回答が 33%に上ったことを紹介しました(第 2章 2-5コンテンツマーケティングの課題と解決法参照)。 効果測定ができない理由は 2つあります。 ①そもそも効果を測るための目標値や基準を設定していない、設定の仕方が分からない ②データ分析のやり方が分からない ②については専門のデータ分析者を交えて PDCAサイクルを回す体制を作る必要がありますが、これはむしろプロジェクトマネジメントやチーム作りのうえで考えるべきことです。 ここでは ①の対処法を見ていきましょう。コンテンツの目標設定は売上へのつなげ方 コンテンツの目標値の設定方法は、最終ゴールである売上や収益にどうつなげるかを考える必要があります。 最終ゴールにたどりつくには、ゴールまでの道筋の中で小さな目標を設定しなくてはなりません。登山のとき、頂上にたどりつくまでの道筋を見ながら 1日の目標を立てていくのに似ています。 マーケティングの最終ゴールまでの道筋を顧客視点で描いたものがカスタマージャーニー(第 3章 3-3カスタマージャーニーは顧客のコンテンツ体験参照)ですが、これは購買にいたるまでの顧客の行動プロセスや心理変化をモデル化したものなので、売り手である企業から見た最終ゴールとは必ずしも一致しません。 同じプロセスを企業側の視点で描くモデルが、「マーケティングファネル」です。ファネル(じょうご)の図の上の方が大きな入口になっていて、ここで集まった見込み顧客が、最終的に購買する顧客となっていくプロセスを示したものです。ファネルを見ると各フェーズの目標が見える ファネルの図を見ると、商品やサービスに対して注意を向けたり興味を持ったりする見込み顧客が「探す、調べる」「他社と比較、検討する」といった段階を踏みながら、最終的に購買にいたる顧客に絞り込まれていくことが分かります。 このとき購買にいたる客数、受注案件数、売上などの目標をファネルの最終出口の数値として設定すれば、各フェーズで達成すべき目標数値が見えてきます。 このような最終ゴールを KGI( Key Goal Indicator:重要目標達成指標)、各フェーズの細分化した目標を KPI( Key Performance Indicator:重要業績評価指標)と呼びます。数値に置き換えにくい目標の場合 KGIや KPIを設定しにくい場合もあります。例えばブランディング向上、認知度向上、品質向上のように数値に置き換えにくい目標の場合どうすればよいでしょう。 このような場合は、何をしたら最終目標が達成されるのかというキーメトリクスを設定します。 メトリクスとは、数値化しにくい目標を数値化できる要素に分解したもののことです。その中で最も重要な要素がキーメトリクスです。指標がたくさんある中で何がキーメトリクスなのかを洗い出すのは大変なことのようにも思えますが、落ち着いて考えればそれほど難しくはありません。 例えば品質向上を目指す場合は、品質向上そのものの数値化は難しいですが、「故障や修理に関するクレーム件数や問い合わせ件数を ◯%減らす」とすれば数値化できます。 ブランディングや認知度向上は、「何をもってブランディングや認知度が向上できたと判断できるのか」と考えます。例えばブランディングは「市場からのよい評価」が基準になるので、ブランディング向上の目標数値を「取材記事本数」に設定することができます。 プレスリリースで取材に結びつけたり、 Webサイトやブログの記事で取材を促したりするのなら、それぞれのコンテンツ
で記者から問い合わせを受けるべき目標値が見えてきます。 初期はブログや Webサイトの記事更新数、頻度、プレスリリースの送信頻度などを KPIとして設定してもよいでしょう。目標設定に使える代表的な KPI一覧 マーケティングを支援するツールであるマーケティングオートメーション( MA)ツール(第 5章 5-3コンテンツマーケティングに必要なシステム)の中には、各ステップで持つべきゴールがあらかじめ設定されているものもあるので、そうしたツールを活用するのもよいでしょう。以下に、目標設定に使える代表的な KPIをあげてみます。 Column 4コンテンツのマルチデバイス対応 BtoBでは対応率が低いのが現状 スマートフォンやタブレット端末などの業務活用が進み、ビジネスでも PC主流の時代とはいえなくなってきました。そこで対策を迫られているのが、 Webサイトのコンテンツをマルチデバイスに対応するかどうかです。 マルチデバイス対応とは、 PCやスマホ、タブレット端末など、読者がどんなデバイス(機器)で閲覧しても読みやすいように、 Webサイトのレイアウトやデザインを自動的に調整することをいいます。 国内主要企業の Webサイトのマルチデバイス対応について、あとらす二十一が 2015年 6月に調査結果を発表しました(注 1)。これによれば、食品業界や自動車業界、エネルギー業界では 70%台後半〜 100%ほどマルチデバイス対応が進んでいますが、化学・素材業界(対応率 27%)や機械業界( 44%)では対応率がやや低いという結果が出ています。 BtoB分野で Webサイトのマルチデバイス対応が遅れている理由は、「ビジネス現場では、 PCの利用頻度が高いから」と考えられます。 Webサイトで情報収集をするときも、 BtoCでは個人がスマホを利用する場合が多いですが、 BtoBではオフィスの PCで、というケースが多いためでしょう。 ただ企業によっては、購買担当者が個人所有のスマホで情報を検索していることもあるようです。 BtoB分野でもスマホやタブレット端末などを業務に活用する企業が増えています。今後これらのモバイル端末のビジネス活用がさらに進んだときに、マルチデバイスに対応していない Webサイトでは、見込み顧客を逃してしまう危険性も増えてくるかもしれません。(注 1)あとらす二十一「国内主要企業サイトマルチデバイス対応調査 2015年 5月版」、 2015年 6月 4日プレスリリース、 http:// at 21. jp/ web/ topic/ topic 20. html 4-3コンテンツの効果を最大化する 3つのポイントコンテンツの種類と効果測定の方法について見てきましたが、ここではコンテンツマーケティングにおけるコンテンツ作成の際のポイントについて紹介しましょう。コンテンツ作成の際のポイント これまでに何度も触れてきましたが、コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの効果を最大化するポイントは、次の通りです。 具体的なコンテンツの作り方については第 6章で詳しく説明しますが、まずは上記の ①〜 ③について詳しく見ていきましょう。 ■コンテンツ作成の際の 3つのポイント ①ターゲットを明確にする ターゲット層や、その状態を明らかにすることが大事 ②ターゲットに合わせたコンテンツを用意する ターゲット層やその状態に合わせて、コンテンツを作り分けることが必要 ③ターゲットに合わせてコンテンツを出し分ける ターゲット層やその状態に合わせて、コンテンツを出し分けることが必要ターゲットを明確にする コンテンツマーケティングで対象となる顧客は、潜在顧客から見込み顧客、購買した顧客にいたるまで、すべての購買プロセスに関わります。 それぞれのプロセスで、顧客の状態と売り手の企業の思惑がどのように変化していくかまとめてみましょう。 次の図が、顧客の状態と売り手の企業の思惑の変化をまとめたものです。 コンテンツの効果を高めるには、どのターゲット層の顧客とどのようにコミュニケーションを図るかが重要になってきます。ターゲットに合わせたコンテンツを用意する 次に必要なのは、ターゲットに合わせたコンテンツを用意することです。このために、次の点を確認しましょう。 ■コンテンツ作成前に確認すべきこと ①読者を意識しているか 顧客の知りたい内容や状態に合わせて、伝えるべきコンテンツは十分に用意されているか? 「商品やサービスありき」の発想にならないよう注意する ②コンテンツの体験設計は適切か 読者である顧客のニーズ、特に「もっと知りたい」という気持ちに応えるコンテンツになっているか? Webサイトのユーザビリティー(読者にとっての使い勝手)を重視するのも大切だが、コンテンツの文脈や内容に顧客のニーズとのギャップがないか確認する ③タイミングは適切か 顧客にとって心地よく、自然なタイミングでコミュニケーションを取るように注意する コンテンツを用意する際には、上記の点をしっかり確認しましょう。 第 5章 5-3コンテンツマーケティングに必要なシステムで紹介する MAツールでも、作成したコンテンツを顧客の状態に
合わせて自動配信することは可能です。 しかし大事なのは、提供するコンテンツの内容や顧客の「体験」( Column 2 顧客の「体験」を向上させよう参照)を設計し、コンテンツから顧客のニーズを探ること。これはコンテンツマーケティング推進チーム自ら、努力する必要があります。ターゲットに合わせてコンテンツを出し分ける マーケティングの最終ゴールは、自社の売上や事業に貢献することです。コンテンツマーケティングに組織ごとに取り組むときは、それぞれの業務がゴールにつながっているかどうか、常に確認しましょう。 次の図のように広報、マーケティング、営業、 CS(カスタマーサービス)という部門ごとに業務を確認し、ゴールである事業目標から逆算してそれぞれのプロセスに評価基準を設けましょう。 また、具体的な「コンテンツストーリー(顧客の共感を呼ぶコンテンツの物語)」を検討し、顧客の状態に合わせて最適なタイミングでコンテンツを出し分けしていきましょう。調査 2オウンドメディアは成果あり KPIと KGIの設定が課題 Webサイトを運営することでマーケティングの成果が上がるのか、他社の動向も気になるところです。調査 1 従来のマーケ手法に限界?!営業担当者が危機感を示すに続き、日経 BPコンサルティングが行った調査から読み解きます。オウンドメディアはマーケティング効果あり ほとんどの企業が自社の Webサイトを持っていますが、戦略的なオウンドメディアとして運営している企業はどのくらいあるのでしょうか。 日経 BPコンサルティングが 2015年 9月 28日〜 30日に行った調査(注 1)によると、自社の Webサイトによるオウンドメディアを「すでに持っている」と回答したのは 33. 6%でした。 Webサイトのオウンドメディアをすでに持っている企業にさらに聞いたところ、 69. 4%が「大きな成果を上げている」「ある程度の成果を上げている」と回答しました。 KPIと KGIを見直す傾向に 調査結果によると、現在すでにデジタルマーケティングに取り組んでいる企業では、 69. 3%が、 KPI(重要業績評価指標)や KGI(重要目標達成指標)を設定していました。 興味深いのは、現在の指標と今後の指標の比較です(図)。今後設定したい KPI、 KGIでは、指標として設定されることが多いページビュー( PV)やユニークブラウザー数が減少しています。逆に今後の指標として増えているのは、 MQLと SQL( Column 3 MQL、 SAL、 SQL参照)です。 ちなみにデジタルマーケティングを「検討中」の企業では、 PVやユニークブラウザー数が KPIと KGI設定希望の第 2位で、重要指標の 1つとなっています。 取り組みを進めるにつれて指標の設定が変わっていくのは当然ですが、この調査結果を参考に、より効果的な指標を検討するとよいでしょう。(注 1)アンケート調査はマーケティング職、経営や営業、その他部門の勤務者を含むマーケティング活動の関与者を対象に、日経 BPコンサルティングが企画し実施したものです。 2015年 9月 28日〜 30日に、 700人から回答を得ました。取り組み事例 4三郷金属工業脱・下請けを目指し Webを通じて新規受注拡大大手企業頼みからの脱却を図る 1946年に創業した三郷金属工業(大阪府守口市)は、レーザー溶接技術を駆使した金属加工を業務とする、従業員数約 120人の中小企業です。同社は長年大手メーカー 1社との取引が中心だったため、 Webサイトを開設しておらず、営業担当者も不在でした。
しかし取引先メーカーが生産拠点を海外に移したことにより、事業存続への危機感を持ったのが、 3代目の代表取締役社長児島貴仁氏です。児島社長は従来の 1社依存から脱却すべく、 Webサイトによる新規受注の活性化に取り組む決意をしました。 Webサイト構築に着手したのは 2011年、製造業のサイト制作に経験豊富な Webコンサルタントの協力のもと、事例紹介ページなどを制作しました。課題解決型のコンテンツを掲載 2012年、 Webサイトからの受注増を目指し、 Web制作経験がある専任担当者を採用します。それが、三郷金属工業経営企画グループグループリーダー村上郁氏でした。 「当社のような中小企業は、大手企業と異なり人・モノ・金が潤沢にあるわけではありません。また自社製品を持たないため Webサイトに掲載できる製品もありません。そこで訴求ポイントを当社の特徴である技術力に絞って、具体的に伝わるような工夫をしました」と村上氏は語ります。 自社の強みを訴えるために、トップページには「レーザー溶接」「抵抗溶接」「異種金属」などの得意分野のキーワードを掲げました。また「 0. 2 mmの薄板レーザー溶接」などと具体的な数字を用いることで、技術力の高さが読者にイメージしやすくなっています。 同社の Webサイトの中核ともいえるのが「溶接問題解決ブログ」です。加工技法や素材など、溶接に関する様々な問題点や解決法を解説しています。ここでは約 70の事例を「タブ端子」「精密部品」「溶接治具」のようにキーワードで分類しています。サイト開設当初は事例紹介として写真を掲載していただけでしたが、課題を抱えている顧客が知りたいテーマのキーワードで簡単に検索できるよう、改善を重ねたのです。 顧客とのやり取りを通じて見えてきた自社の強みもあります。「当社がお客様に選ばれた理由は何か、社内にいるとなかなか見えませんが、実際にお客様を訪問する中で分かってくることがありました」と村上氏。トップページにある「三郷金属工業の 5つの強み(高品質、実績、柔軟な対応、課題解決、コストダウン)」は、 Webサイト開設後、 3年たって見えてきた同社の特徴を掲載したものです。「お客様に提供する価値」が重要 制作を進めるに当たり、 Webサイトの設計方針や見せ方は、コンサルタントの協力を得て決定しています。アクセス解析ツールを利用してアクセスが多いコンテンツ、閲覧者がアクセスする際の検索キーワードなどを分析し、コンテンツの改善をしていきます。 「製造業関係者に向けた BtoBのサイトなので、デザインやキャッチコピーは一般消費者に向けるものとは異なります。どのような伝え方をしたら効果的なのかといったノウハウは、外部の Webコンサルタントに頼るところが大きいですね」(村上氏)。 一方、ブログなどに掲載するような具体的なコンテンツのネタは、社内の意見を参考にしています。開発部門や製造部門からの提案や、村上氏が製造現場に出向いてヒアリングすることもあるといいます。そこで得られたアイデアを基に、社長やチームリーダー、営業担当者が週に 1度集まり議論をして掲載するコンテンツを決定します。 「 Webサイトの運営方針にしていることはただ 1つ、お客様に提供する価値を常に振り返ることです」と村上氏は強調します。マーケから営業へのプロセスを確立 Webサイトの認知度を向上するための取り組みとして、 Facebookを開設し、コンテンツの拡散を促しています。このほかにも自社の Webサイトへの誘導のために、製造業向けの受発注サイト、エンジニア向けの技術情報サイト、大阪府のビジネスマッチングサイトにも登録しました。 こうした取り組みを充実させた結果、 2014年には 80件、 2015年は上半期だけで 70〜 80件の問い合わせがありました。 しかし現在同社の営業担当者は 1人だけ。 Webサイトへの問い合わせにすべて対応するのは困難です。そのため Webサイトから来た案件に関しては、規模や相手会社の所在地、確度などをマーケティング担当者がチェックし、優先順位をつけて営業担当に渡すようにしています。 こうして Webサイト経由の新規受注件数は着実に増加し、その結果、取引先も同社の中心拠点だった関西から全国へと広がりました。 「以前は大企業 1社の下請けでしたが、現在では案件数の約 30%が新規開拓の顧客になりました。将来的にはこの比率を 50%まで上げていくことを目指しています」と村上氏は語ります。デジタルとアナログを連携 コンテンツマーケティングの効果をあげるために必要なこととして村上氏は、「とにかくコンテンツの更新を続けること。当社は経営層が Webサイト制作をリードすることで、社員も積極的に関わるようになり、いいサイクルが生まれました」と振り返ります。 ちなみに同社が展開しているコンテンツは Webサイトだけではありません。児島社長は著書を電子書籍として提供しているほか、顧客企業には広報紙を郵送してコミュニケーションを図っています。 特に児島社長の著書は、中小製造業の経営者を対象に Webサイトの構築など様々な取り組みを紹介したもので、この書籍を通じて自社の強みや特徴をうまく広報しています。 また同社の近況や社員の日常をコラム的に紹介した記事を掲載した広報誌は顧客にも好評で、客先を訪問するときの会話のネタになっているそうです。 このように三郷金属工業は、アナログとデジタルを連携させて自社のアピールに取り組んでいます。 自社製品を持たない中小企業でも、 Webコンテンツや紙媒体などの活用によって、自社の強みを適切に顧客に訴求すれば、大きな成果につなげることができるのです。
お聞きした人経営企画グループグループリーダー村上郁氏 5-1マーケティングファネルで顧客の動きを見るマーケティングを考えるうえでよく見るモデルが、マーケティングファネル。 BtoBでは、既存顧客に対するマーケティング活動を含めたダブルファネルの考え方が使われます。マーケティングファネルの 3つの段階 ここでは、商品やサービスを多くの見込み顧客に認知してもらい、最後には購買にいたるまで顧客を絞り込んでいく過程を説明します。 このファネル(じょうご)は、 TOFU( Top of the Funnel:じょうごの上部)、 MOFU( Middle of the Funnel:じょうごの中部)、 BOFU( Bottom of the Funnel:じょうごの底部)の 3つに分けて考えることができます。 マーケティングファネルの図の中で、 TOFUとは顧客が最初にコンテンツなどに接触して商品やサービスを認知する機会で、このときはまだ見込み顧客です。 MOFUは次の段階でコンテンツに接触する機会となり、商品の購買に向けて検討が始まっている段階といえます。 こうして見込み顧客が様々なコンテンツによって TOFU → MOFUと育成(ナーチャリング)されていき、最後の BOFUで購買にいたります。 コンテンツマーケティングにおいては、見込み顧客の態度を TOFU → MOFU → BOFUと変容させていくために、売り手はコンテンツを作り分け、出し分けていく必要があるのです。ダブルファネルで、購入後も継続して取引を さてコンテンツマーケティングを考えるとき、ファネルを逆さにして 2つをつなげた「ダブルファネル」というモデルを描くことがあります。 通常は、「ファネルの底部の BOFUで顧客が購買にいたればゴール」となります。 しかし BtoBの場合は、購買後も引き続き売り手企業のファンになってもらい、商品やサービスを継続して購買してもらったり、ほかの人に推薦してもらえることが望まれます。 この様子を図にすると、次のようになります。 図のように、購買後に継続して取引してもらうだけでなく、アップセル(顧客が当初希望した商品より上位/高額の商品を薦めて販売すること)やクロスセル(顧客が当初希望した商品に関連商品も併せて薦めて販売すること)などの獲得も期待でき
できます。 BtoBの商品は、 BtoCのような一般の消費財と異なるので、一過性の取引を数多く増やすことが目的ではありません。むしろ長期取引を続けられる見込み顧客をいかに獲得するか、一度顧客になってくれた企業をどのようにリピーターにしていくかが重要です。 こうした前提がある BtoB企業にとって、ダブルファネルの概念はマーケティング戦略を考える基本となります。 なお、ダブルファネルの上のファネルは底部にいくに従って顧客の人数が絞られていきますが、下のファネルでは下に向かって売上金額が増えていく様子を表しています。段階に合わせてコンテンツを出し分ける コンテンツマーケティングでは、ダブルファネルの考え方に基づいて、顧客の段階に応じてコンテンツを作り分け、出し分けていくことが必要になります。 例えば次の図のように、掲載したり配信したりするコンテンツを検討します。三角形ではないファネルもある ファネルは、マーケティングのプロセスに沿って適したコンテンツに適切な目標を設定する際に有効なモデルです。しかし、ファネルの形が実際のビジネスプロセスと異なることもあるでしょう。 例えば特殊機械製造メーカーの場合、ニッチな市場なのでターゲット層も限られ、そもそも最初の段階で「絞り込んでいく」というほど多くの集客は必要ないかもしれません。古くからの成熟した業界では、新たな見込み顧客を集客するより、限られた市場を奪い合うという状況が実際のところでしょう。 ファネルの形は、あくまでイメージを具体化したものにすぎません。このため、 TOFUの部分で「多くの人を集客する」のではなく、「ターゲットとなる層に確実に届ける」ことが目的になるケースもあり得ます。 特にニッチで市場が限られているのならば、ターゲットになる企業は見えているので、企業データベースを活用してターゲット企業をリストアップして確実にコンテンツを訴求し、ニーズの成熟を促すというやり方もコンテンツマーケティングの戦略になります。 Column 5コンテンツ作成が容易な CMS無料ソフトから高額システムまで様々 CMS( Content Management System:コンテンツ管理システム)は、その名前の通りコンテンツを管理するツールです。 Webサイトのコンテンツを制作するときに、原稿のテキストや画像、レイアウトの情報などを管理するので、 Webサイトの作成や編集が容易になります。代表的な CMSには、「 WordPress」や「 Movable Type」などがあります。 通常、 Webサイトの制作には、 HTML( Hyper Text Markup Language)という専門の言語を使う必要があります。しかし CMSがあれば HTMLの専門知識がなくてもコンテンツが作れるので、ブログなどを作成するときによく利用されています。 例えばコンテンツを作成するときは、決まったテンプレートに原稿や写真を流し込むだけで、まるでワープロソフトを使っているように簡単に作れます。また、スケジュール設定に合わせてコンテンツを自動で更新したり、「いいね!」ボタンをつけたりと、コンテンツの目的に合わせて様々な機能が利用できます。 CMSのもう 1つの特徴は、 PCとスマートフォンのそれぞれに最適化したデザインが簡単にできること。このため、読者がどんなデバイス(機器)で Webサイトを閲覧しても読みやすいような「マルチデバイス対応」が実現できます。 現在 CMSには、目的や使用場面に応じて様々なものがあります。個人向けの無料ソフトや、大規模なデータベースと連携した高価なシステムなどがあるので、 CMSを導入するときはサイトの規模や提供する情報を考え、最適なツールを選ぶようにしましょう。 5-2コンテンツマーケティングを実践するプロセスここでは、コンテンツマーケティングを実践するプロセスを紹介していきます。通常のマーケティングのプロセスと、どのように異なるのでしょうか。コンテンツマーケティングを進めるには コンテンツマーケティングを実践するプロセスは、基本的に通常のマーケティングのプロセスと変わりません。異なるのは、コンテンツ制作が不可欠という点です。プロジェクト体制を整える コンテンツマーケティングの実行に当たり、最初にやるべきことはプロジェクト体制を整えることです。マーケティング部門、営業部門両方にまたがってコンテンツマーケティングを推進するチームを作ります。 具体的には、 ①プロジェクトリーダー、 ②コンテンツ戦略立案者、 ③編集者、 ④コンテンツ制作担当者、 ⑤データ分析担当者、 ⑥営業担当者というメンバーを決めましょう。 場合によっては、複数の役割を 1人で兼務することもあります。
コンテンツマーケティングには編集者が必要 さて ③編集者とは、次の 3つのスキルを持ったメンバーのことをいいます。 ▶マーケティングの目的を理解している ▶それを達成するコンテンツを制作するクリエイティブ力がある ▶コンテンツの成果を受けて、改善策を立案できる コンテンツマーケティングでは、顧客の行動が必ずしも売り手企業の狙い通りになるとは限りません。 例えば、これまで自社を認知してこなかった新規のターゲット層に向けたコンテンツを作ったのに、新規の登録や申し込みはゼロで、既存顧客にしか響かなかったということもあります。そうした結果を見ながら、「ではキャッチコピーを変えてみよう」「デザインを変更してみよう」というクリエイティブな判断を下し、微調整しながら効果を上げていくのが編集者の仕事です。そのため、目標に沿って最適なコンテンツを制作し続けるチームメンバーが必要になるのです。 従って編集者は、プロジェクトリーダーやコンテンツ戦略立案者と緊密なラインを確立しなくてはなりません。マーケティングセンスに優れていれば、編集者がコンテンツ戦略立案者を兼務することも可能です。 自社内で人員が足りない場合は、自社マーケターがプロジェクトリーダーとなり、外部の専門企業にコンテンツ戦略立案と編集を一任すると、コンテンツ戦略から制作までの動きが速くなるでしょう。データ分析者が PDCAサイクルを迅速化 コンテンツ戦略立案から制作までの動きを加速するのが編集者なら、 PDCAサイクルを加速させる役目はデータ分析者にあります。 マーケティング施策は実施した後の評価・検証・改善がポイントですが、実際に評価・検証をしっかりできている企業は、実は意外なほど少ないのです。その理由は、主に次の 2つです。 ▶マーケティング施策と売上貢献の因果関係が分かりにくい ▶前年度のやり方を踏襲すればよいという風潮がある 例えば展示会で多数の人と名刺交換し、その中から実際に取引が始まったとしても、展示会がその売上にどれだけ貢献したのかは分かりません。このように貢献度がどれくらいか見えないため、前年度のやり方を踏襲すればよいという風潮が強くなっていったのです。 検証・改善せずにコンテンツをただ公開し続けても、効果は見えません。コンテンツの効果を最大化するには、データによる分析と検証があってこそ。常にデータの分析をし、 PDCAサイクルを迅速化することが必要になります。顧客を明確化しよう 体制作りの次は、顧客の明確化に着手しましょう。 BtoBはそもそもペルソナが設計しづらいので、企業データベースを活用して顧客にしたいターゲット層を洗い出します。資本金や人数、所在地、事業分野や得意先などを含め、ターゲットとなる層を具体的に描いていきましょう。 ターゲット層が明らかになれば、その層が普段から接触している情報チャネルや商品購入のポイントが見えてきます。 IT企業ならば Webコンテンツの検索やソーシャルメディアでの情報収集を行う率は高いのですが、建設業だと Webに常時接しているのは管理部門が多くなります。 そうした特徴をつかみながら、コンテンツの配置や内容、パッケージについて戦略を練っていきます。買い手の検討プロセスに応じたコンテンツを準備 TOFU(第 5章 5-1マーケティングファネルで顧客の動きを見る参照)には、見込み顧客の興味や関心を引くために読み物のコンテンツを用意することがあります。 しかし BtoBの場合は、次の段階のコンテンツの準備が重要です。 MOFU、つまり見込み顧客が商品の検討段階に入ってきたら、他社商品と比較したり稟議に上げたりするために、製品カタログやパンフレットを印刷機能とともに掲載したり、結果を PDF化できる見積もり機能を掲載しましょう。 また必要なときに顧客がすぐに問い合わせできるようなフォームや FAQの装備も必要になります。事例であってもフェーズによって書き分ける 事例のコンテンツを掲載する場合、買い手である担当者のフェーズによって複数必要になることがあります。 例えば、ダウンロードできる事例コンテンツを掲載する場合も、ケースによって 3種類くらい用意するのがベストでしょう。小さな成功体験を積み上げよう コンテンツマーケティングを試したくても、上層部の理解が得られない企業もあるでしょう。大々的にコンテンツマーケティングを始めるには営業スタイルやマーケティング予算の見直しも必要なので、ハードルは高くなります。 または、マーケティング部門は乗り気でも、営業部門の理解が得られないケースもあるかもしれません。 こういう場合、多くの企業が選択するのは、小さな成功体験を積み上げる戦略です。結果として数値が改善したら、上層部もプロジェクトの価値を認めるはずです。 例えば新商品リリースのタイミングでコンテンツマーケティングを小さく始め、見込み顧客の育成をテストで行ってみるなど、実績値を見せながら、現場から全社プロジェクトとして上に上げていくと、大きな改革プロジェクトになる可能性が高まります。
5-3コンテンツマーケティングに必要なシステムコンテンツマーケティングを支援するために、様々なマーケティングシステムやツールが開発、利用されています。ここでは代表的なツールとその機能を紹介します。代表的なシステム、 CRMと SFA 営業部門やマーケティング部門がマーケティングに利用するシステムとして以前から知られているのは、 CRM( Customer Relationship Management)と SFA( Sales Force Automation)でしょう。 それぞれ次のような機能を持っています。 CRMは主に既存顧客を管理するシステムで、 SFAはその前段階の顧客への営業を支援するシステムです。ただ、 BtoBでは既存顧客に営業をかけることもあるので、 CRMに SFAの機能を追加したり、 SFAに CRMの機能を付加することも多くなっています。 このほか、キャンペーン管理システム(キャンペーンの設計や、顧客の反応率を蓄積、管理)、ソーシャルマーケティングシステム( Facebookや Twitter、 Google +、 LinkedInなどの企業ソーシャルアカウントを管理。記事の投稿や反応、拡散効果をモニタリング)、 Webログ解析ツール(自社 Webサイトの訪問者数やページビュー( PV)、滞在時間、アクセス元などを分析、可視化)、 Business Intelligenceツール(ビッグデータを分析)などがあり、 CRMと連携して利用することもあります。営業案件を創出するマーケティングオートメーションツール これらに加えて最近注目されているのがマーケティングオートメーション( MA)ツールです。マーケティングオートメーション( MA)とは見込み顧客を育成するプロセスを自動化するシステムで、その強みは 2つあります。 MAツールの強みの 1つはターゲティング。メールマガジンを送り、見込み顧客の開封率や反応を見ながらニーズの成熟度を測ってターゲティングしていきます。 もう 1つはシナリオ設計と実行です。ターゲットに送るコンテンツやタイミングを設定し、自動的にコンテンツの出し分けができます。 MA、 SFA、 CRMの関係を図に示すと次のようになります。代表的な MAツール 代表的な MAツールには、次のようなものがあります。 ▶ Marketo(マルケト) 高機能で A/ Bテストなどの機能も持っています。 CRMとの連携も可能です。 海外発の MAツールの中でいち早く日本語対応されました。 2013年に日本法人も設立されています。 http:// jp. marketo. com/ ▶ Oracle Marketing Cloud エンタープライズでの実績が多かった MAツール「 Eloqua(エロクア)」をオラクルが買収。現在は「 Oracle Marketing Cloud」に統合されています。 外部システムとの親和性が高く高機能です。 https:// www. oracle. com/ jp/ marketingcloud/ ▶ HubSpot(ハブスポット) TOFU、 MOFU、 BOFUの概念を提唱した米国ハブスポットの製品です。 オウンドメディアを利用してマーケティングを行いたい中小企業にも使いやすい MAツールです。 http:// www. hubspot. jp/ ▶ Adobe Marketing Cloud Adobeが得意なクリエイティブの分野のツールと連携できるのが特徴の MAツールです。 様々なマーケティングチャネルにおいて、マーティングチームとクリエイティブチームを連携させることを提唱しています。 http:// www. adobe. com/ jp/ marketing-cloud. html MAツールの特徴と注意点 MAツールは、最適なターゲットに最適なコンテンツをちょうどよいタイミングで自動的に提示できるシステムです。 とはいえ、 MAツールは決して「魔法の杖」ではありません。導入すれば自然に見込み顧客が増えたり売上が伸びるわけではありません。実際の運用では、顧客の反応を見ながらシナリオを微調整し続けなくてはならないという課題もあります。 コンテンツマーケティングのシナリオは完全に自動化できるものではないので、 MAツールを導入しても専任の担当者を置いて戦略的に利用し続けることが必要です。 また、 MAツールの導入には数百万円、仕様によっては 2000万〜 3000万円の初期投資が必要になってきます。取り組み事例 5浜松ホトニクス Webサイトリニューアルで問い合わせ数 1. 6倍に新規顧客獲得に Webを活用 光関連の電子部品メーカーとして世界的に有名な浜松ホトニクス。 2002年、 2015年のノーベル物理学賞で話題になったスーパーカミオカンデの光電子増倍管の開発でも知られ、そのシェアは世界約 90%。欧州、米国、中国にも拠点を広げています。一般には光電子増倍管が有名ですが、それ以外にも光センサーや光学デバイスなど、多数の製品を製造しています。
同社は 1997年に公式 Webサイトをオープンしましたが、当時は営業や販売活動に積極的に活用しようという意図はありませんでした。「 Webサイトを販売活動に活用しようと取り組み始めたのは 2010年、欧米拠点からの要望があったためです」と語るのは浜松ホトニクス社長室情報ネットワーク室の河西良浩氏です。 開設当時 Webサイトに掲載していたのは、標準型の電子部品のカタログ情報でした。しかし浜松ホトニクスの主力製品は取引先の要求に合わせてカスタマイズが必要な OEM(相手先ブランド製造)で供給するタイプのものがほとんどです。 国内では営業担当者が取引先に出向いて製品の詳細を説明できますが、欧米をはじめとした海外では担当地域も広く、営業担当者も少ないため、客先に訪問するのが難しかったといいます。このため欧米の拠点から「現在の Webサイトでは、閲覧者に商品の内容を適切に訴求できていない。製品の使い方に関する情報を Webで公開してほしい」という指摘がありました。 また Webサイトの管理が日本と欧米拠点で別々で、海外では日本のサイトに掲載した最新情報がすぐに反映されないという問題もありました。製品カタログとコンテンツを連携 国内でも別の問題がありました。主力商品である OEMのデバイスは、取引先から仕様や要件を細かく設定されるため、営業担当者のフォローが欠かせません。そのため既存顧客への対応に追われ、新規顧客への営業に回れる担当者の数が不足しがちでした。そこで、新規顧客の獲得を Webサイトで狙うことを考えました。 3年かけて Webサイトを改良し、 2013年にリニューアルオープンしました。リニューアルの最中は「ダブル・ザ・リード」(顧客の獲得数を倍増する)を合言葉にしていたそうです。 Webサイトでは扱っている製品のうち、標準品の 2400点を掲載しています。例えば光センサーでは検出波長領域やゲイン特性のグラフ、製品の仕様一覧表、寸法図などを公開、 PDFでデータシートがダウンロードできるようにしてあります。 気になった製品をお気に入りとして登録する機能や、製品ごとにお問い合わせボタンを配置するなどユーザビリティーにも配慮しています。 「 Webサイトから問い合わせができるようになり、問い合わせ数を分析した結果、海外からは 1. 6倍に増加しました」と同社社長室情報ネットワーク室の横田亮氏は効果を語ってくれました。 「このリニューアルで重視したのは顧客目線での設計であり、目的の商品にたどりつくまでのクリック数を減らすこと」だと、同社営業本部企画開発部の小林克広氏は説明します。今後の目標は、製品の探しやすさをさらに追求したいといいます。「製品の種類が多いため紹介ページの階層が深くなってしまいます。そのため閲覧者が目的のページに到達するまでに離脱してしまうことがあります。また検索したときに、不要な製品が多数表示されてしまう問題もあります。製品について適切な用途説明をするなど、検索の精度を高めていくことが目標です」(小林氏)。自社内でオウンドメディアの制作も さらに同社は、 2015年 7月にオウンドメディア「 Photonてらす」をスタートしました。光に関する科学や技術について解説する Webサイトで、 CSRの一環として始めた取り組みです。光に関する知識を多くの読者に伝えると同時に、浜松ホトニクスのブランドイメージを広めていくことも目的の 1つです。 「 Photonてらす」はアクセス数や顧客の獲得数などの目標数値は設定していません。「欧米拠点からはリソースの観点からオウンドメディアへの投資に疑問を呈されたこともありましたが、セールスのためでなくブランディングのために必要なサイトである、ということをまず説明しました」と同社営業本部企画開発部 ADグループの内藤智美氏は語ります。 「 Photonてらす」は現在社員 2人で企画や編集を担当しています。「当社のカルチャーや信念、方向性を整理したうえで、発信したいメッセージに沿ったコンテンツを作ろうと試行錯誤しています」と内藤氏。
「 Photonてらす」のコンテンツに関して、社外からの問い合わせも増えました。 2015年、東京大学宇宙線研究所長梶田隆章教授がノーベル物理学賞を受賞した後は、光技術やスーパーカミオカンデに関する質問が多く寄せられたとのこと。「 Photonてらす」によって、浜松ホトニクスの“ファン”も増えつつあります。 今後は社内で編集に関わるリソースを増員し、コンテンツの充実を図りつつ更新頻度を上げることに注力したいとのことです。 同社営業本部企画開発部 ADグループの柴木貨雄氏は、「当社は現在『浜松市を光の尖端都市にする』という構想に向けた取り組みを進めています。それに向けて『 Photonてらす』というオウンドメディアのプラットフォームができたことは、 1つの成果といえるでしょう」と語りました。お聞きした人社長室情報ネットワーク室河西良浩氏、横田亮氏営業本部企画開発部小林克広氏営業本部企画開発部 ADグループ柴木貨雄氏、内藤智美氏 6-1失敗から学ぶコンテンツ作りのコツ実際にコンテンツの制作を始めると、品質、体制、スケジュールなど様々な課題が生じます。コンテンツ作りの際に陥りやすい失敗例と防止策を紹介します。こんなやり方では失敗する コンテンツ作りにおいては、企画、取材依頼、執筆、編集、デザインなど、様々なタスクを上手にこなさなければなりません。 しかもコンテンツマーケティングの考え方にのっとって、効果的なコンテンツを作り続けなければ意味がありません。 ここでは Webサイトのコンテンツ制作のシーンを例にあげて、「こんなやり方では失敗する」という取り組み方とその防止策を紹介します。読者不在──誰も読まないコンテンツ <シーン 1 > 「これからは当社もコンテンツを積極的に作ろう」。経営層からコンテンツ制作担当に指名され、営業企画部の南野さんは張り切っています。 まずは、てこ入れが必要な A製品の Webページとリーフレットを作るため、 A製品の技術担当者に連絡し、製品のセールスポイントについての原稿を依頼しました。忙しいといいつつ引き受け
引き受けてくれた技術担当者から、南野さんは 1週間後に原稿をもらう約束を取りつけました。 1週間後、技術担当者から原稿が上がってきました。 南野さんは入社 5年目で、自社製品のことはかなり理解しています。しかし原稿には専門用語がずらりと並び、ほとんど意味不明。文字数を指定せずに頼んだため、ワード形式で 10ページもあります。ある機能が飛躍的に向上したと書いてあるようですが、途中で読むのが嫌になってしまいました。 執筆を依頼した技術担当者はベテラン社員で、南野さんが指示できるような関係ではありません。この原稿をどうすればよいものか、南野さんは途方に暮れてしまいました……。 3カ月で息切れ──コンテンツが続かない <シーン 2 > 「 Webサイトのリニューアルを機に、顧客が注目する分野のテーマサイトを作ろう」。 Web担当者の池上さんは CMS(コンテンツ管理システム、 Column 5 コンテンツ作成が容易な CMS参照)を導入し、社員が自分たちでコンテンツをアップできる仕組みを整えました。 社内で顔が広い池上さんは、全国の営業所など様々な部署の知り合いに声を掛け、充実した Webサイトにしようと張り切っています。「お客さんの役に立ちそうなネタはないですか?」。メールや電話で各所から情報を集めて、自分で原稿を書きました。努力が実り、テーマサイト公開時には多くの記事をアップすることができ、イントラネットでも大々的に告知。ますますやる気の出た池上さんは、毎週記事を更新していきました。 3カ月後。 3日後に迫ったサイト更新に向けて、池上さんは焦っていました。作りためていたコンテンツはすべて公開してしまい、新たなネタが必要です。これまで協力してくれた社内の知り合いに連絡しましたが、「今すごく忙しいんだ。悪いけど今回はパス」「そんなにいつも新しいネタはないよ」とつれない返事。せっぱつまった池上さんは、いざとなったらネットニュースの記事をコピペしようと考え始めました……。 コンテンツ制作の際は、 <シーン 1 >や <シーン 2 >のような失敗に陥らないよう、最初の体制作りや進め方に注意しましょう。 6-2コンテンツ制作の実務を担う編集チームを立ち上げるコンテンツ制作に取り組むには、制作体制を整える必要があります。ここでは Webサイトのコンテンツ制作を例に、編集チームとその業務について見ていきます。編集チームを結成する コンテンツマーケティングを行うには、推進チームが必要なことを第 5章 5-2コンテンツマーケティングを実践するプロセスで述べました。 ここでは特に、編集チームとその業務内容を紹介しましょう。企画立案から記事の確認まで、コンテンツ制作の流れは次の図の通りです。
企画内容によって、この図の中の作業のいくつかをスキップすることもあります。しかし、 1つのコンテンツを作るに当たって多くのタスクが必要なこと、そのすべてに編集者が関わっていることが分かるでしょう。 編集チームの人数が多い場合は編集長を 1人立て、企画や進行の責任を負うこともあります。 取材や執筆、撮影、デザインを外部のライター、フォトグラファー、 Webデザイナーに外注するのが一般的なので、コンテンツのターゲットやテーマを共有するために、綿密な打ち合わせをすることが必要です。 状況によっては編集チームの中で取材、執筆、撮影をする場合もあります。 Webデザインをするスタッフが社内にいることも考えられます。 6-3企画立案は「読者目線」で読み手に合わせて作り分け読者の職位や所属部署、業務によって必要な情報は変わります。相手の仕事上の課題を知りそのソリューションを提供することが、コンテンツ作成のポイントです。「読者の課題解決」を念頭にコンテンツを作る コンテンツの企画を立てるには、「読者の課題を解決する」という視点が必要です。 BtoBでは企業内でも立場によって必要とする情報が変わるので、それぞれに合ったコンテンツを提供することを検討しましょう。 営業、販売、経営企画、マーケティング、経理、総務などの部署や、経営層、ミドル層、現場担当者など、コンテンツを届けるターゲットを設定します。 例えば、 Webサイトに製品の導入事例を掲載する場合を考えてみます。ターゲットが現場担当者ならば製品の使い勝手などを知りたいでしょうし、部長クラスならコスト感などに注目するかもしれません。 このように、ターゲットとなる読者の立場に応じて、課題を解決できるコンテンツを検討しましょう。読者の態度変容を促すコンテンツを検討 自社製品の購買につなげるには、読者に製品への興味から理解、購入検討へと、フェーズを進んでもらう必要があります。そのためには、相手の検討のプロセスに合わせてコンテンツを出し分けるのも重要です。 最初は Webサイトで商品を知ってもらい、購入検討段階では見積もりのシミュレーションや他社との比較、導入事例をダウンロードしてもらう、といった方法も検討しましょう。自社の強みをコンテンツ作りに役立てる このように読者の態度変容を促すには、自社の強みをコンテンツに生かすことが重要です。 自社の強みを認識するには、既存顧客が自社製品を買ってくれた理由を探ると見えてきます。また、営業担当者のトークが参考になるでしょう。製品への評価を様々な立場の人にヒアリングすると、多様な視点から製品の優位性を把握でき、そこへとひもづく企画を立てられます。 次の図で、自社の強みを把握してみましょう。トレンド =市場の需要に合致する切り口 読者の立場と自社の強みを把握したら、ターゲットのフェーズごとに企画をマッピングしていきましょう。また、普遍的なテーマや時事性の高いテーマをからめることで、企画のバリエーションを増やしていきます。 様々な切り口のコンテンツを掲載することで閲覧時間を増やすことは、読者との絆を深めることにつながります。 次のように、コンテンツのマッピングをしてみます。横軸に読者のフェーズ、縦軸にコンテンツとなる記事の訴求ポイントを取って、コンテンツに入れる内容を検討します。
6-4スムーズな公開のために効率的なスケジュール管理をコンテンツの公開日を決め、逆算して制作スケジュールを組んでいきます。全体を俯瞰するスケジュール表を用意し、スムーズな公開にこぎつけましょう。コンテンツ制作の全工程を洗い出す 無理のないスケジュール作成は、コンテンツ制作における重要事項です。時間に追われると心理的に圧迫され、ミスを起こしやすくなります。 特にコンテンツ制作には、社内だけでなく外部も含め、関わるスタッフが多いので、皆の予定を把握しながら無理のない計画を立てましょう。 制作に関わるスタッフ全員でスケジュールを共有し、安定した進行を目指すことは、長期的にコンテンツ制作を続けるためにも重要です。進行上の現在位置を把握できていれば、遅れが見られた際にも早めに手を打てます。 無理のないスケジュール作りのために、まずは全工程を洗い出すことから始めます。これは、編集チームの主な業務内容(第 6章 6-2コンテンツ制作の実務を担う編集チームを立ち上げる)とほぼ同様です 。スケジュールは無理なく緩みなく コンテンツの公開日から逆算してスタート時期を把握しましょう。制作が初めての場合は、想定外の事態に陥ることもあるでしょう。全体の作業を「見える化」するために、関わるスタッフ同士で事前に工程の確認をし、用意すべき要素の漏れを防いだり、担当者の負担を把握します。 社内や取材先への内容確認などに、予想外に時間が掛かることがあります。編集チーム以外の、スケジュールを把握しきれない相手のチェック時間などは長めに見積もっておきましょう。また、こうした相手には常に早めに依頼の連絡を入れることが重要です。 内容の確認後、大幅な修正が必要な場合もあります。それぞれの工程でスケジュールを確認し、ときには修正しながら進めていきましょう。 各工程に締切を設け、無駄に時間を費やさない工夫も必要です。 1つの工程にどのくらいの期間を要したのか記しておくと、次回に生かせます。遅れる原因は悩んで手が止まること 理想的なスケジュールを組んでいるはずなのに、なぜか作業が遅れてしまう……。その理由は「悩んだ挙句、どうするのがよいのか分からなくなって作業が止まってしまう」ことにあるのではないでしょうか。 こういった場合には、無理にでも手を動かすことが有効です。例えば、原稿で悩んでいる部分は飛ばしてでも先に進めると、答えがそのうち見えてきたりするものです。 また、コンテンツ制作はチームで取り組む場合が多いので、悩んでいるポイントについて発言すると、協力を得られることもあるでしょう。協業の相乗効果を上げることになります。 Webのコンテンツは読者の反応を見ながら改編できるのがよい点なので、実験的に進めるのも、読者の心をつかむポイントを把握するための経験になります。 Column 6著作権に気をつけよう二次利用時の転載や改変は要注意 締切に追われるとネタ探しに困り、すでにあるコンテンツを利用できないかと考えることも少なくありません。コンテンツを作る際に、安易に他者が作成したコンテンツを無断で転載したり改変したりすると、著作権を侵すことになります。 他者が作成したテキストや写真、イラスト、音楽、音声、映像などを利用するときには、ほとんどのケースにおいて許諾が必要になると考えておいた方が安全です。著作権法で認められた「引用」に当たる場合は著作者の許可が不要ですが、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。 注意が必要なのは、過去の自社コンテンツを利用して新しいコンテンツを作る場合です。他社に制作を委託したコンテンツの著作権は基本的に委託先に帰属します。過去のコンテンツを改変する場合や、違う媒体で二次利用する場合は気をつけましょう。 ■著作権・著作者人格権の侵害となる可能性が高い例 ▶雑誌の記事の全文を無断で自社ホームページに転載した × ▶雑誌の記事の一部分を原文のまま引用し、出典を明記した △(注 1) ▶他社の広報誌のエピソードに感動したので部分的に表現を変えて掲載した × ▶個人ブログの風景写真が素敵だったので無断で借用して掲載した × ▶ CDを数枚並べて撮影し、許可なく掲載した × ▶ 1年限りの契約で利用したイラストを、数年後に再掲載した ×(注 1)引用の条件をすべて満たす必要があります。
6-5読ませるためにはタイトルと構成がカギになるマーケティング戦略をどんなに緻密に設計しても、コンテンツの質が悪いとターゲットとなる読者は逃げていきます。ここでは、効果的な記事の作り方を紹介します。読まれるかどうかはタイトルで決まる Webコンテンツを読むとき、読者は Webサイトのトップページやメールマガジンなどから、タイトルをクリックしてコンテンツにたどりつきます。このとき読者がクリックしてコンテンツを読むかどうかは、タイトルに大きく左右されます。 忙しい読者は、山のように送られてくるメルマガの記事に一つひとつ目を通している時間はないかもしれません。そこで読者の目を引き、読まれるタイトルのつけ方を見ていきましょう。 ■タイトルをつけるときに重視すること ①キーワード タイトルに、読者の興味を引くキーワード、ニーズに合ったキーワードが入っているか ②長さ タイトルが長すぎないか ③意外性 タイトルに、意外性が含まれているか それではここで、 IT企業である A社が作成したコンテンツのタイトルを紹介しましょう。 ■あるコンテンツのタイトルの例 “A社が世界に誇るソリューション 短期間で導入できる IoT活用の機器故障予測” 皆さんがコンテンツの読者だとして、このタイトルを見たときクリックして詳細を読みたいと思うでしょうか? おそらく、そう感じることは少ないと思います。 どんな点が問題なのか、先ほどの 3つのポイントに照らして見ていきましょう。キーワードが前半に来ていない このコンテンツで最も伝えたいこと、そしてトレンドを表すキーワードは、「 IoT( Internet of Things:モノをインターネットにつないでそのデータを活用すること)」です。 しかしこのキーワードがタイトルの後半に来ているので、読者の目を引きません。 SEO(検索エンジン最適化)対策のためにも、キーワードを前半に入れておきましょう。タイトルが長すぎる 次の問題点は、タイトルの長さです。長すぎるタイトルは、 CMS(コンテンツ管理システム)で省略されてしまうことがあります。 またタイトルの最初に「 A社が世界に誇る」とありますが、そもそも A社に関心がない読者にとっては、響きません。「自社の商品やサービスありき」になってしまっている失敗例です。意外性がない また、このタイトルには 3つめのポイントである意外性が欠けています。コンテンツのテイストに合わせて、読者の興味を引く表現に変えてみましょう。 以上のことを考慮して、キーワードを意識し、長すぎず、意外性を含んだタイトルの例をあげてみます。 ■読みたくなるタイトルの例 ▶安くてすぐ使える「 IoT」で、機器故障を予測 ▶ IoTはすでにコモディティー? 機器故障予測が身近に ▶もう機械は壊れない! 「 IoT」で故障を予測 なお、 BtoBのコンテンツのタイトルに入れると効果的なキーワードをいくつか紹介しましょう。 ■効果的なキーワードをタイトルに ▶先進的なイメージを加えるキーワード 最先端、最前線、未来像、変革、挑戦、突破、革命、破壊 ▶他社商品と差異化を図るキーワード 課題解決、成果拡大、スピード、加速、浸透、コスト削減、落とし穴 ▶コモディティー商品に価値を与えるキーワード 再生、復活、復権、使える、生き残る、脱、あえて、限界コンテンツのよしあしは構成で決まる 商品のメリットは十分盛り込まれているのに、商品のよさが伝わりきらないコンテンツを読んだことはありませんか。文章自体がこなれていなくて読みにくい場合もありますが、内容がすっきりと頭に入ってこないときは、内容が論理的に構成されていない場合が多いのです。 読者が読みやすいと感じるコンテンツを作るには、構成をきちんとすることが大事。ポイントは、その商品が必要になる背景や課題、そして課題の解決方法を入れることです。 例えば「自社の商品紹介 →実績紹介 →展望」といった構成はよくありますが、「自社の商品ありき」になってしまい、読者に響きません。 そこで、次のような構成を検討しましょう。 このような構成にすることで、読者は興味を持ち、商品の魅力や価値を知り、購買の検討段階に進むようになります。
6-6公開がゴールではない継続して質と量の向上をコンテンツマーケティングはコンテンツを公開して終わりではありません。常に読者の反応を見ながら、質の高いコンテンツを多く提供できる取り組みを続けましょう。まずは半年継続することを目標に コンテンツマーケティングに取り組んでも、結果が出るまでには時間が掛かります。最初のうち読者の反応が少なかったりアクセス数が伸びなかったりすると、「本当に効果があるのだろうか」と不安に思うかもしれませんが、まずは半年間コンテンツを作り続けてみましょう。 読者の反応はコンテンツの質や量に比例します。効果が見込めるようになるには、コンテンツ数が 20〜 30本程度必要といわれます。 1カ月に 3〜 4本コンテンツをアップしていれば、半年も経たないうちに効果が表れるかもしれません。 それでもアクセス数が伸びないときは、コンテンツの内容を見直します。読者にとって役立つ情報なのか、読みやすい文章・デザインか、ターゲットに合わせてタイミングよく提供しているかなどをチェックしましょう。解析結果を基にコンテンツの質を高める Webサイトではページビュー( PV)、ユニークユーザー( UU)、滞在時間、流入元などを測定しています。これらのアクセス解析結果を基に、顧客が求めるコンテンツを考えてみましょう。 PVの多いコンテンツ、コンバージョン( Webサイトの訪問者数のうち、問い合わせや購買などの成果に結びついた割合)の高いコンテンツに注目します。 ただ、 PVが少なくても問い合わせ数が多いものは購入につながる可能性が高いといえます。 BtoBでは、 PVだけでは成果が判断できないこともあります。コンテンツ分類で自社の強みや顧客ニーズを分析 読者の反応がよかったコンテンツを調べるには、コンテンツを内容で分類します。まずはテーマで分類するとよいでしょう。専門的な内容か一般的な内容か、感情に訴えるものか論理的なものかなどの分類方法もあります。 コンテンツの本数が増えてきたら、製品や業務内容ごとに細かく分類してみましょう。よく読まれるのはどんなコンテンツか分析することで、自社の強みや顧客のニーズが見えてきます。 6-7紙とデジタルをうまく組み合わせようデジタルマーケティングの浸透で、 PR誌や会員誌の効果に疑問を持ち紙メディアを廃止する企業もあります。紙メディアは本当に不要なのでしょうか。紙メディアの持つデメリットとメリット すでに述べたように、デジタルマーケティングの普及でコンテンツの投資対効果が測りやすくなりました。デジタルならマーケティングのプロジェクトごとに成果が見えやすくなりますし、コンテンツを改善しやすいというメリットがあります。 一方で PR誌や会員誌など紙のメディアは効果が測りにくく、改善のサイクルが中長期になりがちで、コストが掛かります。 しかし紙メディアが不要かというと、決してそうではありません。 例えば Webサイトでオウンドメディアを展開すると同時に、紙の PR誌も発行している企業があります。 この企業では、 Webサイトのコンテンツで広いターゲット層に訴求しながら、紙メディアは経営層に向けて制作しているのです。企業の中で決裁権限のある経営層は紙に親しみがある世代も多く、デジタルのコンテンツよりも紙の情報を信頼する傾向があります。 高級感のある PR誌を経営層に届けることで、決裁権限者に直接リーチするという手法です。 デジタルメディアと紙メディアの特性を、次にまとめてみました。デジタルと紙を組み合わせよう デジタルか紙か──。二者択一で考えがちですが、カスタマーエクスペリエンスを考えて、デジタルと紙の最適な組み合わせを模索している企業もあります。 紙と AR(拡張現実)を組み合わせた企業の例もあります。紙のカタログに ARマーカーを掲載し、スマートフォンでそのマークを読み取ると商品を撮影した動画が始まります。紙の一覧性と動画の情報量の多さを組み合わせたのです。 多くの企業がデジタルに注力しています。しかし顧客の心を本当につかむためには、デジタルと紙の双方の特性を理解して最適な組み合わせ方を見つけ出すことが重要です。
取り組み事例 6サイボウズ質の高いオウンドメディアで企業ブランド向上に成功広告宣伝の限界を痛感 サイボウズが運営する Webサイト「サイボウズ式」は、オウンドメディアの代表格との呼び声が高い人気メディアです。サイボウズ式では、同社が提供するグループウェアである「サイボウズ Office」「サイボウズ Garoon」や、業務アプリ開発クラウド基盤「 kintone」の宣伝はしていません。サイボウズビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部サイボウズ式編集長藤村能光氏は「サイボウズ式には、ページビュー( PV)やアクセス数などの数値目標はありません」といいます。 サイボウズ式がスタートしたのは、 2012年 5月。同社はこの直前の 5年間ほど、売上の横ばいが続いていました。「それまではグループウェア導入を検討する情報システム部門向けの広告を多数打っていましたが売上は頭打ちに。広告だけのコミュニケーションには限界があると気づいたのです」(藤村氏)。 この経営課題を解くカギとして、オウンドメディアを使ったコミュニケーションをスタート。より広い対象にリーチする施策として運用することになったのです。ターゲットとして、今後社会人となる学生、アルバイトや ITソリューションの導入が遅れている NPOや NGOなども視野に入れ、サイボウズを広く認知してもらうことを目指しました。サイボウズ式のコンセプトを大事に 「サイボウズ式のコンセプトは、『“新しい価値を生み出すチーム”のための、コラボレーションと ITの情報サイト』です。新しい価値、コラボレーション、 IT、ワークスタイルなど、サイトのコンセプトを反映したコンテンツ作りが揺らいではいけません。そのため、サイボウズ式というブランドで提供すべきコンテンツかどうか、企画は吟味します」(藤村氏)といいます。 「参考にしたのは『ほぼ日刊イトイ新聞』(以下『ほぼ日』)です。ほぼ日は、いろいろな人が楽しめるコンテンツがそろっていますが、その根底にある“ほぼ日らしさ”が、ブランドになっています。サイボウズ式も様々なテーマの記事がありながら、一環して“サイボウズ式らしさ”を醸し出すコンテンツを志向しています」(藤村氏)。
新たなバリューを創造する サイボウズ式の編集は専任の藤村氏のほか、兼務の社員が 3〜 4人と学生インターンシップの 7人。 編集会議の企画書は、次の 5点で構成されています。 ①なぜ、そのテーマをやりたいのかという「理由」 ②そのコンテンツを一言で言い表す「コンセプト」 ③誰に伝えたいのかという「ターゲット」 ④そのコンテンツが生み出す「バリュー」 ⑤なぜそれをサイボウズ式でやるのかという「コンテクスト」 これらがしっかり構築されていなければ、サイボウズ式のコンテンツになることはありません。 BtoB企業ながら BtoC志向 サイボウズは BtoBビジネスの推進企業でありながら、サイト自体は BtoCを志向しています。ターゲットを「 20〜 30代前半のリーダーになり得るビジネスパーソン」と想定し、彼らが「面白い、役立つ」と興味を持つようなコンテンツ作りを標榜しています。 ターゲットを若手に広げたのは、読者が将来、企業の中でシステム導入の意思決定者やキーパーソンになったときにサイボウズを思い出してもらうため。また学生には、「サイボウズって面白いことをやってる会社だよね」と就職先の候補にしてもらうため。「今時点で顧客になると想定する層だけをターゲティングするのでは、売上が頭打ちになります。より多くの層に知ってもらうことで、将来のビジネスチャンスにつなげたいのです。長い目でブランドを定着させるため、数値目標は設定せず、質の高いコンテンツ作りを続けます」と藤村氏は語ります。新たな市場ニーズの発掘に貢献 サイボウズ式により、社内外からの評価に変化が見えてきました。 社外からの評価は「グループウェアのサイボウズ」だけでなく「チームワークや働き方のサイボウズ」に変わり、社名の認知度も向上しています。 社内向けインナーブランディングにも効果が表れています。その好例が、『赤字って本当にいけないことですか?』と題するコンテンツ。創業以来 17期連続で黒字だった同社が、 2014年 6月に初の赤字決算予想となったときに出した記事です。赤字決算を出すタイミングで、現状の冷静な把握と長期的展望を共有するために、「企業の価値とは何か」「企業の評価はどのようにされるべきなのか」を真正面から見据えた記事を作成したのです。コンテンツが社内の意識共有にも有効に働き、コンテンツの価値を感じた社員は積極的に拡散しました。 藤村氏は「サイボウズ式を見て入社を希望した学生が増えました。 2015年に入社した新入社員の数人が、自社を知ったきっかけにサイボウズ式をあげました。目指している成果が表れてきているのを感じます。また、『 PTAの IT化』という記事を出した際、大きな反響があり、 PTAにも IT化ニーズがあることが分かりました。潜在需要の把握に寄与したのです」と説明します。 企業価値の向上と、社業への貢献度もじわじわと高まってきているようです。成否は編集力がカギ サイボウズ式の編集をしていく中で藤村氏が発見した「コンテンツマーケティングに欠かせない要素」は、「編集者としてのスキル──読者の共感を呼び、伝えたいことを届ける企画力」だそうです。 「広報やマーケティング出身者は、どうしても自社商品のよさを直球で訴えてしまいがちなようです。しかし編集者は、読者に共感や感動を呼び起こすにはどうすればいいかと企画を練るものです。企業がコンテンツマーケティングに取り組む際には、この編集者スキルが肝になります」(藤村氏)。 藤村氏は、大手 Webメディア「 ITmedia」での編集者経験があるため、そのほかの社員や学生インターンの編集スキルの向上に努めています。 例えば、ある編集部員は、サイボウズ製品を使ったコラボレーションやコミュニケーションの便利さを伝えるために、「社内恋愛を円滑に進める方法」という切り口で記事を企画しました。社内恋愛というシチュエーションをかませたことで、読者の興味を引きつつサイボウズ製品のよさを訴求できる内容に仕立てています。 サイボウズ式は、ユニークユーザー( UU) 3万人、月間 20万 PV。数字だけ見れば多くはありませんが、コンテンツ内容のユニークさが評価されており、根強いファンも多く、着実にブランド力向上の効果が表れてきています。お聞きした人ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部サイボウズ式編集長藤村能光氏
取り組み事例 7シックス・アパートオウンドメディア構築で絶大な信頼獲得に成功 0. 5人/月の負担でブランディングに成功 「 Six Apartブログ」は、 Webを利用してマーケティング活動を行うための実践的なノウハウを学べるオウンドメディアとして人気が高まっており、メルマガ登録者数が増加しています。 シックス・アパートが提供する Webサイトの運用・管理を行うための CMSプラットフォーム「 Movable Type」が誕生したのは、 2001年 10月。この 1カ月前に、全米同時多発テロ 9. 11が起こりました。事件を機に、事件や事象を取材するフリージャーナリストが世界中で急増、 Movable Typeはフリージャーナリストのコンテンツ配信活動を支えるプラットフォームとして活用されてきました。現在も様々なメディアや企業に採用され、各社のオリジナルコンテンツ運用・管理に貢献しています。 「 Six Apartブログ」はシックス・アパートが運営するネットマーケターを読者としたオウンドメディアで、ブログの編集長はシックス・アパート広報マネジャーの壽かおり氏。編集部は壽氏を含めた 2人で、専任ではありません。稼働実数は 0. 5人/月程度とのこと。更新頻度は週 1〜 2回と多くはありません。 壽氏は月 1回で「オウンドメディア勉強会」を開いており、参加者は全員「 Six Apartブログを読んで参加した」といいます。勉強会の人数は伸び続けており、「勉強会で共有したマーケターの課題をブログの記事にしたり、ブログの記事をテーマに、マーケター同士で議論するなど、 Webとリアルの双方が有益に活用されています」(壽氏)。 勉強会での生の声を通じて知り得た、真にマーケターに有効なノウハウを厳選して掲載することで、「シックス・アパートといえば、オウンドメディア構築」というブランディングに成功しているのです。ブログの目的設計から着手 壽氏は当初、ブログパーツ「 Zenback」のプロダクトマネジャーでした。しかし 2014年に製品が別会社に移管されることになり、広報マネジャーに異動になります。そこで担当業務を見直し、 Six Apartブログで、自社のブランディングを強化しようと考えたのです。 まずはブログの目的を定めました。同社の Movable Typeは、プロの Webメディア、企業サイトや特設サイト、オウンドメディアの構築プラットフォームとして、世界的に定評があります。そこでブログは「オウンドメディア運営のためのオウンドメディア」と位置づけました。 ターゲット設定は、「これからオウンドメディアに取り組む企業のマーケター、オウンドメディアを運用中のマーケター」としました。 「通常の Webサイトは『自分たちが伝えたいこと』を伝える手段ですが、私たちのブログでは『読者が知りたいこと』にフォーカスしています。自社が伝えたいことは自社の Webサイトで告知することで、それぞれの役割が明確になりました。 PRも製品情報も読み物も……と混在しているあいまいな Webサイトにならないように気をつけました」と壽氏は振り返ります。 次は目標の設定です。第 1は、「オウンドメディア構築といえばシックス・アパート」というブランドを確立すること。「読者がオウンドメディアをやりたくなったとき、シックス・アパートや Movable Typeを思い出してもらえるように」(壽氏)としました。 第 2には「自社の専門性の認知度向上、ファンの拡大」とし、「ブログを読んだ人のメルマガ登録数」を指標にしました。長く続けるために無理のない運営体制を確立 Six Apartブログは社内で制作しており、編集部員だけでなく、ほかの社員もコンテンツ制作に協力しています。自社製品を主軸としたノウハウがあるため、コンテンツ内容に、社内に蓄積した知見を生かしました。 「個人でブログをやっていたり、 Webで文章を書くことに慣れている社員が多かったため、皆、抵抗なく書いてくれます。 Webサイトの運用・管理を行うための CMSプラットフォームを提供する会社ならではでしょうか」(壽氏)。 オウンドメディア成功のポイントは、できるだけ長く続けること。だからこそ、社内リソースを有効活用し、無理のない運営を続けているのです。 1つの記事を使い倒して効果を最大化 コンテンツの更新頻度は少ないものの、 1つの記事を最大限活用することにはこだわりました。公式 SNSでのフォローを始め、壽氏個人の SNSアカウントでもフォローや拡散を積極的に行っています。 インターネットニュース「ハフィントン・ポスト」ではブロガーとして Six Apartブログを登録し、コンテンツの露出を増やしています。 Six Apartブログの認知度が上がるにつれ、壽氏自身の露出も増えてきました。広報やマーケター向けのイベントで、オウンドメディア運営のノウハウを語ったり、専門メディアで記事を執筆する機会も激増。「露出を増やすことで、ブランド力強化につなげています」(壽氏)といいます。 「オウンドメディア勉強会での議論から読者ニーズを探りつつ、社内外にあるノウハウを引き続き発信していきたい」と壽
氏は展望を語りました。お聞きした人広報マネジャー/ Six Apartブログ編集長壽かおり氏本書掲載の会社名、製品名、そのほかの事実関係は、 2016年 2月時点のものです。
コンテンツコミュニケーション・ラボ( CCL)とは── CCLは、日経 BPコンサルティングが設立した、企業・団体・大学のコンテンツマーケティングを支援する専門集団です。 日経 BPコンサルティングが提供する、調査・コンサルティング、コンテンツ制作、カスタム出版、 Webサイト構築支援・運用、セミナー開催を通じて培った知見とノウハウを活用し、皆さまのマーケティング活動推進のベストパートナーとなるべく設立されました。 マーケティング指針・戦略策定から、創客・増客のためのプラン策定、 Webサイトの最適化まで、日経 BPグループのブランドと実績に基づいた提案力と解決力で企業・団体・大学のマーケティング活動を強力にサポートします。【問い合わせ先】コンテンツコミュニケーション・ラボ TEL. 03-6811-8308 https:// consult. nikkeibp. co. jp/コンテンツマーケティングの教科書“売れる秘訣”はコンテンツにある!電子書籍版データ作成日 2016年4月 29日第 1版著編 日経 BPコンサルティング コンテンツコミュニケーション・ラボ発行者 戸田雅博発行 日経 BPコンサルティング( https:// consult. nikkeibp. co. jp/ )発売 日経 BPマーケティング 〒 108-8646東京都港区白金 1-17-3 [編集] TEL: 03-6811-8308(日経 BPコンサルティング) [販売] TEL: 03-6811-8200(日経 BPマーケティング) http:// ec. nikkeibp. co. jp/執筆協力 岩崎史絵装丁 デジカル本文デザイン 日経 BPコンサルティング © Nikkei BP Consulting, Inc. 2016 Printed in Japan ●この電子書籍は、印刷物として刊行された『コンテンツマーケティングの教科書 “売れる秘訣”はコンテンツにある!』( 2016年4月 12日初版 1刷発行)に基づき制作しました。文章中の固有名詞などは掲載当時のものです。また、掲載時の誌面とは一部異なる場合があります。《電子書籍版について》 ●おことわり 本作品を電子書籍版として収録するにあたり、技術上の制約により一部の漢字を簡易慣用字体で表したり、カナ表記としている場合があります。 ご覧になる端末機器や、著作権の制約上、写真や図表、一部の項目をやむなく割愛させていただいている場合があります。また、端末機器の機種により、表示に差が認められることがあります。あらかじめご了承ください。 ●ご注意 本作品の全部または一部を著作権者ならびに株式会社日経BPに無断で複製(コピー)、転載、公衆送信することを禁止します。改ざん、改変などの行為も禁止します。また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。
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