はじめに「読んでも忘れてしまう読書」はやめなさい
「本を読んでも、すぐに内容を忘れてしまう」「せっかく読書をしても、記憶に残っていない」「凄くおもしろかったのに、少し時間がたつと内容が思い出せない」 あなたも、こんなふうに思っていませんか?
今まで 18冊の本を執筆してきた私は、「樺沢さんの本を読ませていただきました」という読者の方と、よくお会いします。大変うれしいことです。
そこで、「本のどこが良かったですか?」「どの辺が役に立ちましたか?」と内容について質問すると、冒頭の声と同じように「読んだのは少し前なので、細かいところは忘れてしまいました」「ずいぶん前に読んだので、感想は言えません」という答えが返ってくるのです。
せっかく読んだのに覚えていない、と……。このように、「本を読んでも忘れてしまう」という人は思いのほか多いようです。
一般的な本であればおそらく、読書をするために 1時間以上は時間をかけたはずです。
読んでいる最中も、「なるほど〜」と思わず相槌を打ってしまいたくなるような文章に出会ったり、実生活の場で活かせるノウハウを発見したりしていたかもしれません。
それなのに、その内容を覚えていないだなんて、これほどもったいない話はありません。
覚えていない、つまり「記憶」に残っていないということは、それは「知識」としてあなたの中に定着していないということ。
もっといってしまえば、その読書は何の役にも立っていない、ということと同じなのです。
厳しいようですが、そんな「読んでも忘れてしまう読書」で年に 100冊読んだとしても、ザルで水をすくうようなもので、時間の無駄です。記憶に残らない読書は当然、仕事や生活の場で役に立つことはありません。
本を読んですぐに実行できそうなノウハウに出会ったとしても、覚えていないのであれば実践しようもないからです。
それでは「自己成長」に結びつくはずもなく、ただの「読んだつもり」になっているだけの「自己満足読書」にすぎないのです。
では、本をじっくり、丁寧に精読すれば記憶に残るのか、時間をかけて本を読めば内容を忘れないようになるのか、というと、残念ながらそれだけでは記憶に残りません。
「読んだつもりにならない読書」、つまり「読んだら忘れない本物の読書」をするためには、コツが必要なのです。
それを、本書で解き明かしていきます。圧倒的なインプットがあってこそ圧倒的なアウトプットができる 少し、自己紹介をさせてください。私は著者として、年に約 3冊のペースで本を書いています。
また、累計約 40万人の読者がいるインターネット媒体( Facebookページの「いいね!」数 14万、 Twitterフォロワー 12万人、メルマガ発行部数 15万部など)を使って、専門分野である精神医学、心理学をわかりやすくお伝えしています。
具体的には、 2500文字前後のメルマガを毎日発行し、 3分ほどの YouTube動画を毎日欠かさずに更新、 Facebookにも日々投稿しています。
この話をお伝えすると、必ず次のような質問をされます。
「それだけの情報をどこで手に入れるのですか?」「ネタ切れにならないのですか?」「そのパワフルな執筆や情報発信のエネルギーは、どこから来るのですか?」 その秘訣を一言でいえば、「圧倒的なインプット」ということになります。
圧倒的な量の情報を日々自分の頭に入力しているからこそ、毎日原稿用紙で 10〜 20枚程度、多い日で約 30枚分ものアウトプットが可能になるのです。
「圧倒的なインプット」があって、はじめて「圧倒的なアウトプット」ができるということです。そのインプットの軸となるものが「読書」です。私は月 20〜 30冊の読書を 30年以上、これも欠かさず続けています。
私のアウトプット( =執筆)を支えているのが、月に 20〜 30冊の読書というインプット。そしてアウトプットするからには、インプットした本の内容を忘れずに記憶に残さなければいけません。
そして、それを咀嚼し、自分の知識として定着させていくのです。つまり記憶に残る読書をしてこそ、執筆というアウトプットが可能になるということです。
アウトプットとは、本の執筆をすることだけにとどまりません。
企業に勤めるビジネスマンの方は、プレゼンテーションや企画提案などの機会があると思います。
こういった場で、これまでの読書で得た知識や発見をアウトプットし、それが結果に結びつけば、その読書は本当にあなたの血となり肉となった、「本物の読書」だったといえるのです。
自己成長につながらない読書は意味がない「圧倒的なインプット」というのは、食事をすることに似ています。ごはんを食べずに圧倒的な運動量は生まれてきません。
また、栄養のバランスが偏っていても、高いパフォーマンスで運動をこなすことはできません。第一線で活躍しているアスリートは、「食事」に細心の注意を払っています。同じように、脳に情報・知識という栄養を与えると、脳はそれをアウトプットしたくなるのです。
「インプット」をして「アウトプット」をする。
このように「インプット」と「アウトプット」のサイクルをバランス良く回していくことで、頭の回転はドンドン速くなっていきます。
そして、インプットとアウトプットの繰り返しで頭の回転が速くなることで、猛烈に自己成長していきます。思考力もつき、判断も早くなり、文章を書くスピードも速くなる。結果として時間を有効活用できるようにもなるのです。
「記憶に残る読書術」とは、言い換えると「自己成長につながる読書術」であり、「人生を変える読書術」です。
北海道、札幌に住む映画オタクの学生だった私が、今では東京で毎月講演をし、年 3冊も本を出版し続けている。これは、今まで積み重ねてきた「読書」と、そこから得られた膨大な知識の蓄積なしでは考えられません。
そして、蓄積された知識を使いこなしているからこそ本の執筆ができるのであり、それを支えているのは「記憶に残る読書」「読んだら忘れない読書」というインプットに他なりません。
このように、今の私の仕事の基礎となっているのが「読書」です。
「記憶に残る本物の読書」とは、単なる読書術ではなく、時間術、文章術、集中力、といったありとあらゆる仕事術やスキルと深く結びつくのです。
「精神科医」 ×「 SNSの超プロ」が教える「読んだら忘れない読書術」本書では、精神科医としての観点から、脳科学的な裏付けのある「読んだら忘れない読書術」をはじめて公開したいと思います。
キーワードは、「アウトプット」と「スキマ時間」。
なぜ、この2つがあれば「読んだら忘れない読書」ができるようになるのか、さらに、脳内物質をうまくコントロールし効率良く記憶に残す方法などについてお話しします。
また先述したように、私はソーシャルメディア上で累計約 40万人の読者に向かって毎日情報発信をしています。
「 SNSの超プロ」としての立場からも、ソーシャルメディアを使いこなし、読書で得た知識をアウトプットする方法、人とシェアする方法などもお伝えしていきます。
せっかく素晴らしい本と出会い、せっかく時間を使って読んだというのに、それを忘れてしまうなんて、もったいない! 是非本書を通じて「読んだら忘れない読書術」を手に入れてみてください。
そして、あなたの人生がより充実した、豊かなものになれば、著者としてこれほどうれしいことはありません。
第 1章なぜ、読書は必要なのか?読書によって得られる8つのこと
本によって得られる本当のメリットとは?【読書によって得られること 1】結晶化された知識〜「デパ地下の試食理論」ネット情報はいわば「デパ地下の試食」である「情報」と「知識」はどう違う?【読書によって得られること 2】時間〜「時間購入理論」「時間」があれば幸福になれる本 1冊で毎日 30分を節約できる他人の経験はお金で買える読書で 1日を「 72時間」に増やすことができる【読書によって得られること 3】仕事力〜「料理の鉄人理論」なぜ、ライバルはいつも準備ができているのか?読書でライバルに圧倒的な差をつける文章力をつけたければ、本を読めネット時代とは文章力が試される時代であるたった 2行で起こった「プレゼンテーション革命」【読書によって得られること 4】健康〜「ストレス緩和理論」本を読めば、ストレスと不安から解放される解決法を知るだけでストレスは軽減する言語情報が不安を消し去ってくれる 6分間の読書でストレスが 3分の 2以上軽減する【読書によって得られること 5】頭が良くなる〜「読書脳活性化理論」読書をすると頭が良くなる!人間の脳は一生成長し続ける【読書によって得られること 6】人生における変化〜「運命の 1冊理論」読書はあなたの人生をも変えてくれる「樺沢さんは、なぜ精神科医になったのですか?」私の人生を変えた「運命の 1冊」あなたにとっての「運命の 1冊」を探そう選択肢は多いほうがいい〜「二択より四択理論」お金と成功も読書で手に入る読書量と収入は比例する成功している経営者の共通点とは?【読書によって得られること 7】成長〜「自己成長加速理論」「自己成長」と「行動の変化」が最終目的【読書によって得られること 8】喜び〜「読書エンタメ理論」結局、楽しければいいじゃないか!楽しむ読書でなければ自己成長は得られない「読書嫌い」だった私が、大の「読書好き」に変わった瞬間
■読書は人生に大切なもの
全てを与えてくれる本によって得られる本当のメリットとは? 読書の重要性をネットに書くと必ず「読書なんか必要ない」という書き込みをされます。
でも、「読書の習慣のない人」は、読書の本当のメリットを知らないはずです。あなたの人生で大切なものは何でしょう。
「健康」「お金」「時間」「人(つながり)」「自己成長・自己実現」……。読書はこれら全てを与えてくれます。
私の読書術について具体的に説明する前に、なぜ私がこれほど読書に魅了されているのかという経験も含めて、「読書によって得られるもの」について考えてみたいと思います。
【読書によって得られること 1】
■結晶化された知識〜「デパ地下の試食理論」
ネット情報はいわば「デパ地下の試食」である「今は、インターネットの時代。ありとあらゆる情報がネット上にあふれているから、検索すれば何でもわかる」と言う人がいます。
極端な人は、「ネット情報があるから、本なんかいらない」と言います。私は、これは全くナンセンスだと思います。デパ地下に行くと、たくさんの試食品が食べられますね。何個かつまんで食べてみると、どれもおいしい。
でも、試食だけでお腹いっぱいになるでしょうか? ネット情報というのは、デパ地下の試食のようなものです。
有料で販売している商品を小さく切って食べさせてくれますから、1つ1つはとてもおいしいものです。しかし、これをいくつかつまんだとしても、お腹いっぱいにはなりません。ネット情報は、「断片化」されています。つまり、体系化されていないということです。
知識の一部分だけを知ることはできても、「本」のように物事の全体像を、順を追って体系的に学ぶことはなかなかできません。
「情報」と「知識」はどう違う?
1年前の新聞を取り出して読んでください。凄く役に立つことが書かれていますか? おそらく、あまり実生活の役には立たないでしょう。それは、新聞がほとんど「情報」で占められているからです。
今度は、 10年前に買った本を本棚から取り出して読み返してください。
「なるほど。古くなっていない。昔読んだときと違う新しい発見があった」と思う本がたくさんあるのではないでしょうか? 1年たって古くなるのが「情報」、 10年たっても古くならないのが「知識」です。
ネット、テレビ、新聞、雑誌、週刊誌などで得られる内容は大部分が「情報」で、体系だった本から得られるのが「知識」です。
「情報」とは、「事実」であり「結果」であり「事象」です。「知識」とは、事実、結果、事象の積み重ねから吸い上げられた「エッセンス」です。
もちろん、ネット上のサイトやブログで得られる「知識」もあります。
逆に「情報」しか載っていない「本」もありますが、ザックリまとめるとネットは「情報」を得るもので、本は「知識」を得るものといえるでしょう。
英語でいうならば、「情報」は〝 information〟(インフォメーション)ですが、ここでいう「知識」は 〝intelligence〟(インテリジェンス)のイメージです。
「単なる知識」ではなく「結晶化された知識」。
単なる羅列された文字情報ではなく、実践可能、応用可能で行動につながり、 10年たっても風化することのない「結晶化された知識」を得られるのが「本」なのです。
「情報」とは、いうなれば「断片化された知識」です。
その情報を集め、分析し、整理し、理解し、記憶し、体系化し、熟成して、はじめて自分の生活、ビジネス、人生に役立てられる「結晶化された知識」にすることができます。
「本」では、既に著者が情報を分析し、整理し、体系化してくれています。
そこには最初から「知識」が書かれていますから、「本」から直接「知識」を吸収するほうが、一から学ぶよりも 100倍楽であり、効率的です。
もちろん、「情報」も大切です。
最新のニュースを視覚情報で得られるテレビ、一瞬で知りたいことを検索できて、多くの人の意見も見られるネット……。
これらから必要な「情報」を得ながらも、自分でさまざまな内容の本を読み、「情報」と「知識」のバランスをとっていくことが必要なのです。
【読書によって得られること 2】 ■時間〜「時間購入理論」「時間」があれば幸福になれる
私は、世の中で大切なものが5つあると思っています。「お金」「時間」「情報・知識」「人(つながり)」「健康」の5つです。
あなたはこの 5項目の中で、何が最も重要だと思いますか? 人によって価値観は違うでしょうが、私にとっては「時間」が最も大切です。
時間がなければ他の4つを手に入れることは不可能だからです。睡眠時間がとれなければ、病気になってしまいます。時間があれば、家族や友人と過ごして人間関係を深めることができます。時間を使って働けば、お金を得ることができます。
「時間」に余裕があれば、全てを手に入れることができ、間違いなく「幸福」になれるのです。しかし、 1日の時間は 24時間と決まっています。時間だけは平等です。
ですから、時間の使い方をどうするかで、私たちが成功できるか、幸福になれるかが全て決まってしまうということです。
本 1冊で毎日 30分を節約できる 先日、従業員 3名の小さな建設会社を訪れました。すると朝、仕事を開始するやいなや、事務員の 1人が、パソコンに向かってせっせと機械的な作業を始めたのです。
「何をしているのですか?」と尋ねると、「毎日、迷惑メールがたくさん届くので、削除しています。毎日 30分くらいかかりますが、しようがないですね」と言ったのです。
私は驚きました。「今どき、何十通もの迷惑メールを毎日毎日、手作業で削除している人がいるのか!」と。その作業時間、 1日 30分。年間 300日で 150時間の損失です。実は、少し前はそうした状況はどこにでもありました。
しかし、 Googleのメールサービス、 Gmailが登場、普及してから、 Gmailのユーザーはスパムメールの処理に 1日 10秒も使わないで済むようになったのです。
自分に送られてくる全てのメールを一度 Gmailに送り、 Gmailのスパムフィルターを通すと、 99・ 9%の精度でスパムメールを仕分けしてくれるので、迷惑メールが受信箱に入ることはほとんどなくなります。
そんな Gmailの使い方をまとめた本が、私の『メールの超プロが教える Gmail仕事術』(サンマーク出版)です。この本は Gmailに関するバイブルとして、長く読まれ続けています。
先ほどの事務員の方は、年間 150時間を無駄にしているのですが、私の『 Gmail仕事術』をお読みいただき、 30分ほどで Gmailの設定を済ませば、その瞬間にスパムメールの処理から解放されるのです。
たった 1冊の本が、毎日 30分、年間 150時間も節約してくれる。知っているかいないかで、一生で何百時間も違ってきます。
その大幅な時間を節約する知識が書かれているのが「本」なのです。そして、その何百時間を節約するために必要な経費は、本の価格、約 1500円にすぎないのです。
他人の経験はお金で買える
例えば、これから Facebookを始めたいという人。そういう人は、まず何をするでしょうか? 自分で Facebookのアカウントを作り、自力で試行錯誤しながら、 Facebookを使い始める。
あれこれいろいろと試しながら、何とか使い方を学習して、 3ヶ月くらいしてようやくひと通りの機能が使いこなせるようになります。
1日 1時間だとしても 90時間。だいたい 100時間程度の試行錯誤をすれば、自力で Facebookを使えるようになるでしょう。でも、もっと簡単な方法があります。
Facebookを始めようと思ったら、まず Facebookについての本を 1冊読んでみるのです。本を読んで基本をきちんと学んでから Facebookを使い始めれば、 100時間かかる試行錯誤が 10時間に短縮できるかもしれません。
たった 1500円の本を数時間かけて読むだけで、 90時間節約できるのです。あなたの時給が 1200円だとしたら、 10万円以上の節約です。
新しいことを始める場合、ゼロから試行錯誤する必要はないのです。何百時間も試行錯誤してくれている先人がいて、本にまとめてくれているのですから、その先人から試行錯誤の結果を学べば良いのです。
これは、決して「試行錯誤は必要ない」ということではありません。試行錯誤は重要です。成長や成功のためには、試行錯誤は絶対に必要です。
私も Facebookや YouTubeを始めるにあたって、膨大な時間をかけて試行錯誤をしています。しかし、最初に本を 1冊読むだけで、「基本操作や基本的な使い方」にかける試行錯誤をショートカットすることができます。いきなり高レベルな試行錯誤からスタートできるわけです。
それは、マラソンにおいて、いきなり 10キロメートル地点からスタートするのと同じくらい有利な話です。本を 1冊読むだけで、そんなセーフティーリードがもらえるのです。
本には、何千人もの成功体験と何千人もの失敗体験が載っています。
ありとあらゆる成功事例と失敗事例の集大成が、本といえます。
あなたがこれから何か新しいことを始める場合、完全にゼロからスタートするのと、「 1000人の成功体験と 1000人の失敗体験」を本で勉強してからスタートするのとでは、どちらが有利でしょうか。
もちろん他人の体験がそのまま全て自分に当てはまるとは限りませんが、他人の体験を参考にすることで、自分でゼロから行う無駄な試行錯誤を全て省略できます。
読書によって誰もが陥りやすいありがちなパターンでの失敗を回避し、成功の道筋を最短で見つけ出すことができるでしょう。
読書で 1日を「 72時間」に増やすことができる
「樺沢さんは何時間寝ていますか?」とよく質問されます。あるいは、「全部、樺沢さん 1人でやっているのですか?」とも質問されます。毎日の Facebookでの発信。毎日更新される YouTubeの動画。
年 3冊の本を執筆し、病院での診療もして、さらに月に 30冊読書をして、月 10本以上も劇場で映画を見て、年 2回は長期旅行にも出かける……。こんな姿を見ると、他の人の 3倍仕事をして、睡眠時間もとっていないように見えるそうです。
しかし、私は毎日必ず 6時間以上睡眠をとっていますし、社員もゼロで、ほぼ全ての作業を自分 1人で行っています。
他の人には「超人」だと思われるようですが、私が他人の 3倍、つまり 1日に 72時間分くらいの活動ができるのは、全て本から学んだ知識を徹底的に活用して、時間短縮・時間効率を高める方法を究極のレベルで実践しているからに他なりません。
ほとんどの人の仕事、生活は、無駄だらけです。無駄なことをやり、無駄なことをして疲れ、無駄なストレスを抱えて病気になる。そういう「無駄」を避け、膨大な時間を節約する方法がたった 1500円の「本」に書かれています。それを知るのか、知らないのか。
本を読めば、大幅な時間短縮が可能です。私のように、他の人の 3倍仕事をこなしているのに、余暇時間を 2倍とることも可能になります。
【読書によって得られること 3】 ■仕事力〜「料理の鉄人理論」なぜ、ライバルはいつも準備ができているのか?
職場で、あなたがライバルだと意識する人はいませんか? 上司が「この書類、明日までにまとめてくれる人はいないか?」と言うと、ライバルはさっと手をあげます。
いきなり任されたその仕事を明日までに終わらせるには、資料の読み込みや事前の情報収集が必要なはず。あなたは一瞬躊躇しましたが、ライバルはすぐに反応します。
職場で要領良く仕事をこなす「できる奴」というのは、なぜかいつも「準備」ができていて、チャンスが訪れると物凄いスピードでかっさらっていくものです。
ライバルはいつも「準備」ができているのに、なぜあなたは「準備」ができていないのでしょう。
それは、ライバルは頭の中に、自分だけの「キッチンスタジアム」を持っているからです。
昔、「料理の鉄人」というテレビ番組がありました。
キッチンスタジアムを舞台に、道場六三郎、陳建一などの料理の鉄人に毎回、挑戦者が挑み、審判がジャッジ、勝敗を決めます。
最初に「本日のテーマ食材」が発表されます。キッチンスタジアムには、テーマ食材の他、たくさんの食材が用意されています。
テーマ食材が発表された直後に開始のドラが鳴り、鉄人と挑戦者は瞬時に料理の構成を組み立て、食材を持ってきて、すぐに調理スタート。
制限時間は、わずか 60分です。そのたったの 60分で、鉄人と挑戦者は 4〜 5品にも及ぶ素晴らしい料理を完成させるのです。鉄人と挑戦者の調理の手際の良さ。時間制限による緊迫感あふれる展開。
実況中継のおもしろさなどがあいまって深夜の放送にもかかわらず人気番組となっていました。
さて、質問です。
なぜ鉄人たちは、「たったの 60分」で、審査員をうならせる素晴らしい料理を作ることができたのでしょうか? 1つには、もちろん料理人の腕があります。そしてもう1つは、新鮮で質の良い肉、魚介、野菜が、既にキッチンスタジアムに並んでいたからです。
当然ではありますが、キッチンスタジアムに食材が並んでいなければ、「買い出し」から始めなければいけないので、 60分で料理を完成させることはまず不可能です。
ここで話を戻しましょう。
あなたは上司から急に「この書類、明日までにまとめてくれる人はいないか?」と言われる。でもその書類をまとめるには、関連資料や関連書籍を調べて読み込む必要があります。上司に言われてから、必要な資料や情報を集める。足りない分は関連書籍を注文する。
そんなことをしていては、明日の締め切りに間に合うはずがありません。つまりあなたの頭の中には、普段からいわば「キッチンスタジアム」を作っておかなくてはならないということです。
そこには自分の仕事や専門に関する大量の知識・情報がわかりやすく整理されて、陳列されている……。この知識・情報をもたらしてくれるのが、まさに「本」なのです。
読書によって頭の中に「キッチンスタジアム」を事前に作っておけば、「明日までに資料をまとめてくれ」と急に言われても焦る必要はありません。
頭の中から取り出すだけなので、 1秒もあれば「高級食材」も「新鮮な魚介」も用意できる。その「上質な食材」を使って、すぐに調理にとりかかることができるのです。
つまり、開始のドラが鳴った直後から「資料をまとめる」というアウトプットの作業に集中できるということ。ここで頭の中にキッチンスタジアムがない人は、仕事を依頼されてから、資料や本を集めて、そこから読み始める。
開始のドラが鳴ってからインプットを始めるわけですから、実際に「資料を作る」ためのアウトプット時間はわずかしか残りません。
要領良く仕事をこなしている「できる奴」というのは、日頃から読書をして、頭の中に「キッチンスタジアム」を構築している。
だから、急な仕事の依頼にも対応できる、「準備」ができているのです。
読書でライバルに圧倒的な差をつける
日本人の年間の読書量は 12・ 3冊といいます。1ヶ月に、たったの 1冊です。さらに、驚愕のデータがあります。
文化庁の「国語に関する世論調査」( 2013年度)での「 1か月に大体何冊くらい本を読んでいるか」(雑誌や漫画をのぞく)という質問に対して、本を 1冊も「読まない」と答えた人が、全体の 47・ 5%にものぼっています。
驚くことに、日本人の半数近くが本を読む習慣がないのです。
「1、 2冊」と答えた人が 34・ 5%。「 3、 4冊」が 10・ 9%。「 5、 6冊」が 3・ 4%。「 7冊以上」が 3・ 6%です。つまり、月に 7冊読むだけで、あなたは読書量において日本人の上位 4%に入ることができるのです。
月に 7冊といえばとても多いように思えますが、 4日に 1冊のペースで読めばいいだけです。東京都内のサラリーマンの平均通勤時間は約 60分(片道)といいますから、 4日間の通勤時間は合計で約 8時間。
その時間を読書に充てれば、本を読むのが遅い人でも、通勤時間だけで 4日に 1冊くらいは読めるでしょう。
良質のインプットが、良質のアウトプットを呼び、自己成長を加速していく。あなたが会社のライバルを抜き去りたいのであれば、とりあえずインプットの量と質で勝たなくてはなりません。
その目安としては、月 7冊。
もしあなたのライバルが、月 3冊しか読んでいないとすれば、月 4冊、年間で 50冊の差はつきますから、あなたはインプット量において、そしておそらくは「自己成長」の速度においても、ライバルに圧倒的な差をつけられるはずです。
「インプット量」で勝ち、「アウトプット量」で勝ち、自己成長のスピードで勝てば、あなたはライバルに圧倒的に差をつけることができるのです。
その第一歩が、「インプット量」を増やすこと。そのために一番簡単なのは、読書量を増やすことです。
また、日本人で月 10冊読む人は、約 2%という数字も出ています。つまり月 10冊の読書をすれば、日本人の上位 2%に入れるということになります。
本書では、あなたに「月 10冊」を記憶に残しながらコンスタントに読み、圧倒的に自己成長する方法をお伝えしていきます。
文章力をつけたければ、本を読め 先述しましたが私は、だいたい年に 3冊のペースで本を出版しています。さらに、毎日、 Facebookに記事を投稿し、メルマガも発行しています。毎日、原稿用紙で 10枚から 20枚、多い日で 30枚以上の文章を書いていることになります。
私はよく、「どうしてそんなにたくさん文章を書けるのですか?」「どうしてそんなに速く文章を書けるのですか?」と聞かれます。
答えは簡単です。たくさん本を読んでいるからです。本を読む人と読まない人の決定的な違いは、「文章力」があるかどうかに表れます。
本を読んでいれば、たくさんの「文章」と接するわけで、当然「文章」に関する知識と直感も磨かれます。
『キャリー』(永井淳訳、新潮社)、『シャイニング』(深町眞理子訳、文藝春秋)、『グリーン・マイル』(白石朗訳、小学館)などのヒット作で知られるアメリカの小説家スティーヴン・キング。
彼は自らの小説作法についてまとめた『書くことについて』(田村義進訳、小学館)の中で、次のように述べています。
「作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない」
『書くことについて』は、小説家に限らず、プロの物書きになりたい人、また文章がうまくなりたい人は必読の 1冊です。より良い文章を書くためにキングが行っているありとあらゆる工夫が詳しく紹介されています。
この本は 400ページを超える凄いボリュームがありますが、最も重要な部分は、この 3文でしょう。
文章を上達させたければ、たくさん読んで、たくさん書くしかない。
現代アメリカを代表する小説家の結論が、これなのです。そんなキングは、 1年間で何冊本を読むのかというと、 70冊から 80冊とのこと。少ないようにも思えますが、アメリカの小説は分厚いペーパーバックがほとんどです。
日本の本と比べると 2倍近いボリュームがあります。つまり、日本の本に置き換えると 150冊くらいでしょうか。
月 10冊以上の読書をしていれば、文章力も磨かれる。それは作家にもなれる読書量だといえるのです。
ネット時代とは文章力が試される時代である「文章力」というのは、実はインターネットの時代となった現在、極めて重要になっています。
会社の通達やお知らせもメールで来るし、日報や報告書もパソコンで文書にしないといけない。
一昔前であれば、直接話し、直接伝えていたのが、最近では「文章」を通じた「書く」「読む」ことによってコミュニケーションをする割合が飛躍的に増えています。
仕事に限らず、友達との交流や恋愛、さらに夫婦や親子の交流、連絡も「メール」「メッセージ」なしでは考えられません。
つまり、自分の考えを文章で的確に表現できる人は、仕事で成功する。
また、自分の思い、気持ちを文章で的確に表現できる人は、友人や恋人、家族と上手にコミュニケーションができ、友情と愛情に包まれた生活が送れるのです。
インターネットの時代では、「文章力」は絶対に不可欠な「仕事力」だといえます。
そして、「文章力」を鍛えるほとんど唯一の方法は、キングの言うように「たくさん読んで、たくさん書く」ことしかないのです。
本を読まない。文章も書かない。それでいて、文章力を鍛えることは不可能です。
言い換えると文章力を鍛える方法とは、インプットとアウトプットを繰り返すことです。アウトプットを前提にインプットを行い、インプットをしたらアウトプットをする。それをフィードバックして、また別のインプットをしていく。
本書でお勧めする「アウトプット読書術」を実践するだけで、文章力は確実に鍛えられます。
インターネットに文章を書きながらそれを繰り返していくと、ブログ、 Facebook、メルマガなどで人気を博すこともできますし、本を出版することも夢ではありません。
本をたくさん読んで、ネットにたくさん文章を書く。
私が、ここ 15年毎日やっていることを一言でいうとそうなります。
たった 2行で起こった「プレゼンテーション革命」 読書によって仕事力がアップする。
その具体例として「文章力」をあげましたが、他にどのような仕事力をアップできるのでしょうか? 仕事力にもいろいろあります。
営業力、コミュニケーション力、決断力、問題解決力、時間管理力、プレゼンテーション力、指導力、リーダーシップ……。
実は「本」を読むことで、これらの仕事力全てをアップさせることができます! なぜならば、これらのスキルをアップさせる本は書店に行けば、それぞれ 10冊以上並んでいるからです。
本というのは、ありとあらゆる仕事力をアップさせることができる。でも、なぜか多くの人は、本を読まないし、読んでもあまり実行しない。本のノウハウをもっと徹底的に実行・実践していけば、いくらでも仕事力を伸ばせるというのに、残念な話です。
実際に私の例をお伝えしましょう。
私は、正直にいうと、話すのは苦手です。特にたくさんの人の前で話すのは苦手。
ですから、 1対 1で会話を進めていくことを商売とする精神科医を選んだわけです。しかしながら、どんな職業を選んでも、「人前で話す」という場面は絶対に訪れます。
発表やプレゼンテーションの機会はいくらでもあります。
医者の世界では、「学会発表」というものがあって、 100名以上を前にして話をしなければいけない状況に追い込まれます。
どうせやるのなら上手にやりたい、ということで「プレゼンテーション」の本を読む。カッコ良いスライドを作りたい、ということで「パワーポイント」の本を読んで勉強する。このように、少しずつプレゼンテーションの技術を向上させてきました。
今では、「講演」が私の重要な仕事になるほど、毎月、講演会やセミナーを開催し、 100人の参加者の前でも、堂々と話せるようになりました。
私のプレゼンテーション力を飛躍的に向上させた本があります。それは、『プレゼンテーション Zen』(ガー・レイノルズ著、熊谷小百合訳、ピアソン桐原)です。
この本では、プレゼンテーションのアイデアの練り方から、インパクトのあるスライドのデザイン、さらにプレゼンテーションの技術まで詳しく解説され、全てのページに新しい発見があるのですが、私がインパクトを受けたのは、デヴィッド・ S・ローズによる次の 2行です。
「スライドをそのまま印刷したものを配ることは、絶対に避けるべきだ。まして、プレゼンテーションの前に配布するのはもってのほかである」 この 2行を読んだ瞬間に、雷に打たれたような衝撃にとらわれました。
スライドを印刷したものをプレゼンテーションの前に配る。まさに、私がやっていたこと、そのものだったからです。資料があったほうが、後ろに座った人もスライドが見づらくても便利だろうし、メモもとりやすいだろう。
「資料前渡し」がプレゼンテーションの常識。参加者に対するベストのサービスだと思っていた。その常識が完全に間違っていたのです。
早速、次回のセミナーから、資料を後で渡すスタイルに変えました。そうすると、驚くべきことが起こったのです! まず、参加者の目の輝きが違う。よく見ると、参加者全員が話をしている自分のほうを見ているではありませんか。これは、「資料前渡し」をしていたときには、絶対にあり得なかったことです。
どんなに熱弁をふるっていても、資料のほうを見ている人は必ずいるし、参加者が熱心なほど、資料の余白にメモしたりするわけですから。
「資料後渡し」にすることで、参加者は講師に注目せざるを得なくなり、参加者の集中力が何倍にも高まります。そうすると、参加者が講演、セミナーの内容を、何倍も吸収できるようになります。セミナー後のアンケートも大好評で、いつもよりはるかに満足度が高かったのです。
「資料後渡し」方式にしてから、私のセミナー参加者が急増しました。
30人集めるのも大変だったのが、毎回必ず 50人は集まるようになり、気づくと 100人の会場が満席になるようになっていました。
一度セミナーに参加した人が、圧倒的な満足感からリピーターになって、何度も通うようになったからです。
たった 1冊の本、それもたった「 2行」のアドバイスを実行しただけで、私は参加者が 100人集まる人気講師に変身できたのです。たった 1冊の本を読んだだけで、私の「プレゼンテーション力」に革命が起きた。本は、私たちの「仕事力」をアップさせてくれる! これは間違いないことです。
【読書によって得られること 4】 ■健康〜「ストレス緩和理論」
本を読めば、ストレスと不安から解放される 本を上手に活用できる人は、ストレスが緩和され、「悩み事」でクヨクヨすることから解放されます。しかし、この事実は、ほとんどの人が知りません。
なぜなら、読書家は問題や悩み事に直面しても、「本」を参考にして、早期のうちに解決してしまうので、大きなストレスや厄介な悩み事に煩わされること自体がないからです。
一方で、滅多に本を読まない人は、「悩み事」を抱えたとしても、「本を読んで問題解決をしよう」とは思いません。過大なストレスに支配され、大きな「悩み事」を抱えたとき、人は「視野狭窄」に陥ります。
目先のことしか考えられなくなり、頭に思いつく選択肢が減っていくのです。普段から本を読む習慣がない人は、「本を読んで問題解決しよう」という発想すら浮かばないということです。
人間の悩み事というのは、だいたい共通しているものです。人間関係の悩み、仕事上の悩み、恋愛の悩み、金銭のトラブル、子供の教育、成長の悩み、病気や健康に関する心配や悩み……。
こうした悩みに対する解決法は、ほとんど全て既刊の本に書かれています。本に書かれている通りの方法を忠実に実践すれば、ほとんどの場合、悩みは解決するか、少なくとも軽減するはずです。
しかし不思議なことに、悩みの渦中にいる人は、問題解決のために本を読もうとしません。悩みの渦中にいる人が本を読まない大きな理由は、「それどころ」ではないから。
「悩み」や「ストレス」を抱えた場合、心理的に余裕がなくなってしまいます。普段から滅多に本を読まない人が、そんな心理状況で本を読めるかというと、読めないのです。
精神科の患者さんは、自分の病気について山ほど質問を投げかけてきます。
精神科の外来には、いくつかの病気ごとに「患者さん向けにわかりやすく書かれた Q& A集」が置かれているので、ある程度口頭で説明した上で、「詳しくは、こちらをお読みください」とその小冊子を渡します。
次回、「小冊子は読みましたか?」と聞くと、多くの方は「読んでいません」と言います。「なぜ読まなかったのですか?」と聞くと「それどころじゃなかったからです」と。
それで結局また、小冊子に書いてあることと同じ質問を、何度も繰り返し聞いてきます。
自分の病気について心配があれば、 1冊本を読むだけで、その疑問のほとんどは解決しますし、病気に対する不安や心配もとりのぞかれます。
しかし、自分から書店に行って病気の本を買って読んで勉強する、という人は非常に少ない。それどころか、小冊子を渡しても読まないのです。
普段から本を買う習慣、本を読む習慣のない人が、病気になり切羽詰まった状態で本を読めるはずがないのです。解決法を知るだけでストレスは軽減する この話をすると、次のように反論する人が必ずいます。
「いくら解決法を学んでも、実際に問題が解決されないと意味がないし、ストレスも減らないじゃないか」 悩み事の解決法がわかっても、悩み自体が解決しなければストレスは続く。
この考え方が間違っていることは、脳科学的に証明されています。おもしろい動物実験があります。
2つのゲージ( Aと Bとする)にそれぞれ 1匹のマウスを入れて、そのマウスに電気ショックを与えます。Aのゲージにだけ、電気ショックを止めるレバーがついています。そのレバーを踏むと、両方の電気ショックが止まる仕組みになっています。
したがって、電気ショックを受ける回数、時間は、 Aと Bのマウスは全く同じになります。何度か電気ショックを与えると、 Aのゲージのマウスは、電気ショックを止める方法を学習します。
レバーを踏んで自分で電気ショックを制御できるマウス( A)と、何もできなくて、ただ電気ショックにおびえるマウス( B)では、どちらがストレスの影響を受けるでしょうか? 結果は、電気ショックを受ける回数や時間は全く同じであったにもかかわらず、何もできない Bのマウスのほうは、ストレスによって猛烈な早さで衰弱し、よりストレスの影響を受けたのです。
ストレス(電気ショック)を受けた時間、回数は全く同じです。しかし、苦痛を制御する方法を知っただけで、不安とストレスが大きく軽減したのです。つまり、「どうしていいかわからない」状態において、最もストレスが強くなる。
対処法、解決法を調べて「何とかなる」(コントロール可能)とわかっただけで、状況は全く改善していなくても、ストレスの大部分はなくなるということです。
言語情報が不安を消し去ってくれる 解決法を知るだけでストレスや不安が軽減される。もう1つ、科学的根拠を示しておきましょう。
不安というのは、脳の「扁桃体」という部分と関連しているということが脳科学の研究でわかっています。
「扁桃体の興奮」 =「不安」という図式です。
うつ病とは、ストレスに長期にわたってさらされたために、「扁桃体の興奮」のスイッチが持続的にオンになって戻らなくなってしまった状態だと考えられています。ですから、うつ病の患者さんは、常に不安で、何でも悪いほうに考えてしまいがちです。
逆にいうと、「扁桃体の興奮」を鎮めれば、不安を減らせるということです。
脳機能イメージングを使った研究によると、「言語情報」が脳内に入ってくると、扁桃体の興奮が抑制され、それにともないネガティブな感情は静まり、気分も改善され、決断能力が高まることが観察されました。
子供がケガをしたときに「痛いの痛いの飛んでいけ ー」とおまじないをかけると実際に痛みが軽減するのは、暗示効果もあるでしょうが、「言語情報の流入による不安の除去」の結果でもあるのです。
医者からただ「この薬を飲んでください」と言われても不安なままですが、きちんと薬の説明をされるとそうした不安は軽減します。
「情報」は、人間の不安を和らげてくれるのです。「脳への言語情報の流入」というのは、「話す」「聞く」「読む」などさまざまなパターンがあります。
その中でも人に相談する、人から情報を得るのが最も効果的なのですが、「話す」「聞く」には相手が必要です。しかし、「読む」のに相手は必要ありません。
本 1冊分のお金があれば、誰にでも、自分 1人で、すぐに実行可能です。心配事があれば、その対処法について書かれた本を 1冊買ってきて読めばいい。
「言語情報」によって不安は軽減し、「解決法を知る」ことでストレスも軽減するのです。本を上手に利用すれば、不安やストレスのかなりの部分を減らし、そしてコントロールできるようになります。
6分間の読書でストレスが 3分の 2以上軽減する読書には、ストレスや不安を解消する効果がある。では、実際に読書をした人を対象にした研究ではどういう結果が出ているのでしょう。
イギリスのサセックス大学でのストレス解消についての研究では、読書、音楽視聴、 1杯のコーヒー、テレビゲーム、散歩、それぞれのストレス解消効果を、心拍数などをもとに検証しました。
その結果、読書は 68%、音楽視聴は 61%、コーヒーは 54%、散歩は 42%、テレビゲームは 21%のストレス軽減効果が見られ、読書が最も高いストレス解消効果が得られるということがわかりました。
また、静かなところで読書を行えば、わずか 6分間でストレス解消効果が得られ、即効性があることもわかったのです。
つまり、静かな場所で 6分間読書をすれば、ストレスを 3分の 2以上軽減できるということになります。
【読書によって得られること 5】 ■頭が良くなる〜「読書脳活性化理論」読書をすると頭が良くなる! 私は元来、頭が良いとはいえない人間でした。
少なくとも高校、大学くらいまでは。
高校の同級生たちは、今私がこうして 10冊以上も本を出していることや、講演活動をしていることを知ると、みんな驚きます。
ただ、大学卒業時と今を比べると、圧倒的に頭が良くなっている自負があります。
思考力、分析力、集中力、文章力、発想力、問題解決能力など、比べものにならないほど進化しています。
その理由は、月に 30冊の読書と、毎日文章を書くことを、 30年以上継続してきたからです。
文章を書き続けるためにはインプットが必要ですから、「文章を書く」ことと「読書」は表裏一体となっています。
読書と文章を書くことの訓練を続けてきたことによって、他の人にはできないような発想で新しい切り口の本を書くことができるようになりました。
特に、 2007年に常勤の勤務医をやめて作家として独立してから、さまざまな能力が飛躍的にアップしています。
それも自由な時間が増えたおかげで、「読書によるインプット量」と「文章を書くアウトプット量」が飛躍的に増加したからに他なりません。
「頭が良くなる」といっても、それは「知識」が増えただけでしょう? と多くの人は誤解します。
しかし、読書は私たちを「物知り」にしてくれるだけではありません。
読書によって「地頭が良くなる」「知能が高くなる」「脳が活性化し、脳のパフォーマンスが高まる」ということは、多くの脳科学研究が示しています。
人間の脳は一生成長し続ける「頭の良さ」は生まれつき決まっている。
あるいは、脳の神経は、せいぜい 20歳くらいまでしか成長しない、 20歳をすぎたら脳細胞は死ぬだけ、と思っている人は多いかもしれません。
しかしこれは、現在では間違いであることが証明されています。
30年前、私が医学部の学生だったときは授業でそう習いましたが、脳科学研究の進歩で、脳細胞は 20歳をすぎても分裂、成長し、さらにそれは一生続くということがわかりました。
特に、神経細胞が枝を伸ばして、他の神経細胞とネットワークを構築するという「脳のネットワーク構築」は、一生にわたって行われます。
脳のトレーニングによってネットワーク構築を活性化することもできますし、一方で脳を使わなければ、鈍化し、記憶力も低下し、認知症へと一直線です。
人間の能力は生まれたときに決まっている、というのは大間違い。
あなたが 30歳でも、 40歳でも、 50歳でも、今から伸ばすことができます。
人間の能力は、脳を鍛えることによって、一生伸ばし続けることができるのです。
では、人間の能力を伸ばすために何をすればいいのか? それは、「運動」と「読書」です。
「運動」すると頭が良くなる。
これはとても重要なことなので詳しく述べたいところですが、本書の内容とはズレてしまいます。
それについて知りたい人は、運動と脳についての研究をまとめた決定版ともいえる『脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方』(ジョン J.レイティ、エリック・ヘイガーマン著、野中香方子訳、 NHK出版)をお読みください。
この本を読むと猛烈に運動がしたくなります。
ここでは、「読書」が頭を良くするというデータを示します。
苫米地英人氏は『 15歳若返る脳の磨きかた』(フォレスト出版)の中で、「 I Qの高さというのは、じつは読んだ本の数にほぼ正比例しています」「たくさん本を読めば読むほど( IQが)高くなる」「読書は I Qを高める一番の手段」と断言しています。
その他、読書が知能や脳に与える影響について研究されたデータの要約を箇条書きで紹介します。
・ IQを左右する要因として、遺伝の次に大きいのは読書量だ。
何を読んだかではなく、どれだけの量を読んだかがカギとなる。
(読書量が I Qに影響を与える)アメリカアイオワ州立大学の研究 ・高齢になってからの読書は精神的退化を 32%遅らせ、逆に頭を全然使っていないと精神的退化が 48%加速する。
(読書による脳の老化防止効果)アメリカラッシュ大学の研究 ・読書やパズルなど日頃から頭を使った趣味を持つ人はアルツハイマー病にかかるリスクが低い。
(読書の認知症予防効果)アメリカケースウェスタンリザーブ大学の研究 ・文章を読んでいるときに、前頭前野、頭頂葉、側頭葉、後頭葉のさまざまな場所が、両側ともに活性化する。
また、音読をするとさらにこれらは活性化する。
(読書が脳を活性化する) 東北大学川島隆太教授の研究 ・地頭の発達のカギとなり、集中力を発揮するときにも使われる脳の前頭葉の前側にある DLPFC(前頭前皮質背外側部)という部位が、読書に集中している状態で活発化する。
(読書が集中力を鍛える)茂木健一郎 ・文学作品を読むと、人の表情からその心情を読みとる能力が向上する。
(読書の共感力アップ効果)アメリカニュースクール大学の研究 さまざまな研究によって、読書が「記憶力」「思考力」「集中力」「情報処理能力」「共感力」「コミュニケーション能力」「創造力」などを鍛えてくれることが判明しているということです。
あるいは、最近では社会的な成功は、 IQではなく、 E Q(心の知能指数)や SQ(社会性の知能指数)に相関するという意見もあります。
E Qや SQでは「
では「共感力」が非常に重要な意味を持ちます。
この「共感力」は読書、特に小説を読むことで鍛えられるのです。
私たちは、情報や知識のほとんどを「言語」から得ています。
学校の授業を、言葉も教科書(文字)も使わずに行うことは不可能でしょう。
つまり、「言語能力」(言語を処理し、理解する能力)が高い人は、より効率的に情報や知識をインプットできるわけです。
読書によって、情報や知識が増えるだけでなく、「言語能力」自体も磨かれるので、結果として本を読むことで「頭が良くなる」ことは間違いないでしょう。
【読書によって得られること 6】 ■人生における変化〜「運命の 1冊理論」読書はあなたの人生をも変えてくれる あなたは今の生活、今の仕事、今の収入に満足していますか? おそらく、ほとんどの人は満足していないと思います。
「もっと収入が欲しい」「自分にはもっとやりたいことがある」「今のような生活から脱出したい」と多くの人は思いながらも、特に目立った努力や行動もせずに、なんとなく毎日を過ごしてしまっているのではないでしょうか。
どうせ何をしても成功するはずがない、という無気力状態に陥っている。
しかし、何もしなければ、現状が変わるはずがありません。
もしあなたが今の生活、今の仕事、今の収入を変えたいと心から思うのなら、「読書」をお勧めします。
なぜならば、本にはこの世の中のほとんどの問題の解決法が書かれているからです。
将来に絶望するのではなく、もっと多面的な見方を身につけることができれば、自分の未来に無限の選択肢と可能性が広がっていることがわかります。
自分が「変わる」。
自分を「変える」。
自分の未来を「変えたい」と思うなら、とりあえずすべきことは読書です。
自分の頭でいくら状況を打開する方法を考えても、限界があります。
しかし、「本」を読めば何千、何万人もの先人の知恵を借用できるのです。
自分 1人で解決できない問題も、乗り越えられない壁も、先人の知恵を借りれば簡単に乗り越えられる。
現状を変えることは、そう難しいことではないのです。
何かを「変えたい」と思ったら、まず本を読むことをお勧めします。
「樺沢さんは、なぜ精神科医になったのですか?」「樺沢さんは、なぜ精神科医になったのですか?」よくされる質問の1つです。
私が医学部に入学した当初は、「内科医」になるつもりで、「精神科」という選択肢は微塵も考えていませんでした。
しかし、実際に医学を勉強し、内科や外科などで臨床実習するうちに、ある違和感を持つようになったのです。
どこの科、どこの病院でも「カンファレンス」(症例検討会)が開かれます。
研修医や若手医師が患者さんの病状をプレゼンテーションして、ベテラン医師や教授がそれに質問や助言をするというものです。
そのカンファレンスで発表されるのは、検査データの羅列です。
血液データの数値、レントゲン写真や C T、 MRI写真の結果……。
そこには、患者さんの「個性」や「人間性」は一切存在しません。
患者さんの「希望」も「意志」も存在しません。
医者は、ただ「病気」と「データ」に向かっているだけで、「病気に苦しんでいる人」と向き合っているようには見えませんでした。
もちろん全ての医師がそうであるはずはありませんし、大学病院だから余計にそうした傾向が強かったというのもあるのでしょう。
けれど、「私がやりたかったのは、こんな医療ではない!」と「人間不在」の医療現場に強いショックを受けたのです。
そんな矢先、精神科の臨床実習の順番が回ってきました。
精神科のカウンセリングでは、 30分から 1時間かけて、患者さんとじっくり向き合い、徹底的に話をします。
人と人の関わりが濃いのです。
「精神科では、人とここまで真剣に向き合うのか」と感動しました。
しかし、もともと「内科医」になろうと思っていたので、「精神科医」になるか「内科医」になるかで揺れ動きます。
当時は、所属したい医局を自分で決めて、卒業後にその医局に所属するというシステムだったのですが、どの医局に入るのかは、 6年目の夏休み明けくらいまでに決めるのが通例でした。
私の人生を変えた「運命の 1冊」 そして、まさに進路を決めなければいけない、医学部 6年目の夏。
たまたま書店に行くと、角川文庫フェアが開催されていました。
文庫がズラーッと並ぶ中、気になる 1冊の本を発見したのです。
夢野久作の『ドグラ・マグラ』(角川書店)。
そのとき既に映画化されていて、映画版が非常におもしろかったので、「一度、原作を読みたいな」と以前から思っていた本でした。
「ああ、『ドグラ・マグラ』があった!」と思い、すぐに購入して読み始めました。
九州帝国大学の精神病棟に入院している記憶喪失の主人公。
その主人公が、自分は何者なのかを探るという、まさに人間の精神を主題とした物語。
主人公と担当の精神科医との対話が、物語の軸となります。
そこには、精神病患者の心理が描かれるとともに、精神科医はどのようにカウンセリングするのかという雰囲気も生々しく描かれていました。
一方で、その物語は支離滅裂であり、読んでいて頭が混乱してきます。
わけがわからなくなると同時に、想像を超える結末に驚愕します。
『ドグラ・マグラ』は、奇妙奇天烈な小説です。
日本三大奇書の中の 1冊とされ、この本を読むと「必ず一度は精神に異常を来たす」といわれます。
それは言いすぎだとしても「精神世界」の奥深さと不思議さを実感させる小説であることは間違いありません。
『ドグラ・マグラ』を読んで私は思いました。
「精神医学という学問は、なんて奥深いんだ。
これから自分が一生をかけて取り組んでいくテーマは、これしかない!」 手塚治虫の『ブラック・ジャック』を読んで外科医になったドクターは私の友人にもいますが、『ドグラ・マグラ』を読んで精神科医になった人には、今まで出会ったことはありません(笑)。
このタイミングで『ドグラ・マグラ』と出会わなければ、私は精神科医にならなかったかもしれません。
作家にもならず、おそらく今頃、北海道の田舎の病院で内科の勤務医をしていたでしょう。
『ドグラ・マグラ』は私にとっての「運命の 1冊」となりました。
「本」というのは、このように人生に大きな影響を及ぼします。
運命を大きく「変える」ビッグチャンスを与えてくれるのです。
あなたにとっての「運命の 1冊」を探そう あなたにとっての「運命の 1冊」は、ありますか? 私のように 1冊の本が、自分の進むべき道、将来の夢や目標に大きな影響を与えることはよくあります。
人間は自分の経験、体験からしか物事を判断できません。
日本人の約半数である「本を読まない人」は、乏しい自分の経験だけで物事を判断していくしかありません。
それでは「井の中の蛙」状態に陥ってしまうでしょう。
自分の経験・体験からしか判断できない人は、今、自分が走っているレールをそのまま走り続けるしかないのです。
自分がいる井戸の外側の情報が全くないのに、その井戸から出ていこう、というアイデアが浮かぶはずはありません。
本には他人の経験・体験がたくさん書かれています。
自分が一生かかっても体験できない、何千、何万という生き方、生き様を本から学ぶことができます。
そこに、自分にピッタリと合った自分の天職、自分の生き甲斐、ワクワクする自分の夢などを見出す可能性は、非常に大きいのです。
あなたも「運命の 1冊」と出会うことができれば、自分の人生を大きく変えることができます。
選択肢は多いほうがいい〜「二択より四択理論」 先日、居酒屋の隣のテーブルで、就活中の大学生 4人組が、互いの就職活動の状況について話していました。
なかなか内定がもらえず、苦しい状況の様子。
いろいろ話した結果、 A男が言いました。
「やっぱり、なんだかんだ言っても、将来的に年収 1000万円は欲しいよね」。
それに対して、すかさず B子は言いました。
「それって、商社かマスコミにでも就職しないと無理だよ」「そうだよなあ、やっぱ年収 1000万円は無理か」と残念そうな表情を見せる A男。
あなたは、「年収 1000万円になる方法」を何個言えますか? A男と B子にとって、「年収 1000万円になる方法」は、「商社やマスコミなどの一流企業に就職すること」しか思いつかなかったようです。
けれども、「年収 1000万円になる方法」は、世の中にたくさんあると思います。
起業する。
副業をする。
会社の中で部長や役員に昇進する。
資格を取得して転職する。
資本金をコツコツためて、フランチャイズ店を経営する。
ローンで不動産を購入して、家賃収入を得る。
株や F Xへの投資を少額からスタートする。
インターネットビジネスを始める。
個人輸入ビジネスをする。
本を書いて印税収入を得る。
お金持ちと結婚して玉の輿にのる。
宝くじを当てて、当選金を運用する……。
「年収 1000万円になる方法」を 10個思いつく人と、1つしか思いつかない人では、将来的に「年収 1000万円になる」確率が高いのはどちらでしょう? A男や B子のように、「一流企業に就職すること」しか思いつかなければ、そこに就職できなかった時点で、「年収 1000万円になる人生」をあきらめざるを得ません。
しかし、「起業して、それが成功すると年収 1000万円以上稼ぐことができる」ということを知った上で「将来の起業」という可能性を考慮するのなら、就職活動も変わってくるのではないでしょうか? 「給料が高い会社」ではなく、「将来の起業に役立つ経験ができる会社」も選択肢に入ってくるし、「小さいからこそいろいろな経験が積める中小企業」という選択肢も出てくるでしょう。
人間というのは、思いつかないことを実行することはできません。
可能性すら思いつかないのに、それに向けて努力することは不可能なのです。
ですから、「年収 1000万円」になりたければ、「年収 1000万円」になる方法をいくつも知っていなくてはいけない。
選択肢は多いほうが、実現確率は間違いなく高まる。
自分の人生の可能性に広がりが出るのです。
そして、「年収 1000万円」になる方法が書かれた本は、書店に行けば何百冊も並んでいます。
本気で「年収 1000万円」になりたいのなら、そうしたさまざまな本の中から自分に合った「運命の 1冊」を選択して、コツコツと勉強し、努力していけばいいのです。
選択肢がなければ何をしていいかわからず、努力することすらできないのです。
本をたくさん読めば、将来の選択肢を広げることができます。
自分では2つしか思いつかない選択肢も、本を読めば4つに増やすことができます。
可能性の少ない未来、無限の可能性が広がる未来。
あなたは、どちらを生きたいですか?お金と成功も読書で手に入る「お金が欲しい」「収入を増やしたい」「もっと給料の高い会社に行きたい」と願う人はたくさんいますが、ではお金を稼ぐために何か努力をしているのかというと、自信を持って答えられる人は少ないのではないでしょうか。
何もしないでお金が空から降ってくる、ということはあり得ません。
でも、「お金が欲しい」と思っても、ほとんどの人は何をしていいかわからないのです。
お金というのは、その人が行う労働の価値に見合った額が支払われます。
つまり、自分が今と同じ人間でいる限り、収入が飛躍的に増えることはあり得ないのです。
逆に、「高い収入を得られるような人間」に成長すれば、収入は増えます。
知識、経験、ビジネススキル、コミュニケーション能力、人間力、外見、資格……。
いろいろな側面があると思いますが、本を読んで努力することでこれらの能力が高まり、自分に磨きがかかる。
読書による自己成長によって、自分の価値が高まることは、間違いありません。
読書量と収入は比例する 本を読むのは嫌いだとしても、読書をすれば収入が増えるとするならば、俄然、読書に対するモチベーションは上がりませんか? 実際に、読書量と年収は、比例するのです。
読書量について多くの調査がなされていますが、ほとんどの調査で、年収の高い人は読書量も多いという結果が出ています。
例えば、 2009年の日本経済新聞社産業地域研究所の月額書籍購入費の調査(全国の 20〜 60代の男女 1000人を対象)。
20〜 30代の年齢層を見ると、年収 800万円以上の人の月額書籍購入費は、 2910円。
2006年次の調査と比較して 19%増になっています。
年収 400〜 800万円未満の人たちは、 2557円で 23%増。
400万円未満の人たちは、 1914円で 24%減、という数字が出ています。
年収が高いほど本の月額購入費が多く、年収が低いほど月額購入費が少ない。
読書量と年収は比例するのです。
そして、さらに最近になってその傾向は強まっています。
本嫌いの人がこのデータを知ると、必ず言います。
「お金に余裕があるんだから、本をたくさん買えるのは当然だろう。
本をたくさん読んだから収入が増える、という因果関係は説明されていない」 読書好きの会社の社長や、読書好きの高収入のサラリーマンに会う機会があれば、「いつから読書していますか?」と聞いてみてください。
「若い頃から」「学生の頃から」あるいは、「子供の頃から」と答えるはずです。
つまり、今収入が高い人は、お金がない頃や、成功する前から読書を習慣にしているのです。
読書は「習慣」です。
読書習慣のない人が、お金持ちになったから急に本を読み出すということは、まずあり得ない話です。
成功している経営者の共通点とは?
私の友人の経営コンサルタント、野田宜成さん。
彼は今までに 9000人以上の経営者と会い、 500社以上の企業にコンサルタントとして携わってきたそうです。
その野田さんに、「成功している経営者の共通点は何ですか?」と尋ねたところ、興味深い答えが返ってきました。
成功している経営者のほとんどが、「読書家」である、というのです。
では、成功している経営者で、本を読まない人はいないのかというと、当然そういう人もいるそうです。
しかし、本を読まない経営者で、 10年、 20年と継続的に結果を出す例は極めて稀なのだそうです。
つまり、本を読まない経営者は、結果を出せたとしても「一発屋」で終わる可能性が高い。
連戦連勝は難しいのだと。
繰り返しになりますが、 1人の人間ができる経験、試行錯誤には限界があります。
1人の人間が 1年でできる試行錯誤の量は、限られているのです。
しかし、本には、他人の失敗の経験や試行錯誤の跡が記されています。
それを参考にするだけで、明らかに間違った道には進まないで済むのです。
他人の経験を活かすことで、時間の無駄を減らして、最短距離で成功への道を歩むことができるのです。
本を読まない人は「我流」です。
その「我流」がたまたまうまくいくこともあるでしょうが、毎回、毎回「我流」が通じるほど、世の中は甘くありません。
私たちの「時間」には限りがあります。
他人の「経験」が満載された「本」を上手に活用することで、「 5年」「 10年」という回り道をショートカットできるとしたら、 1500円の本を 100冊買ったとしても、安い買い物だと思います。
ビジネスで、そして社会的に成功したければ、そして高い収入を得たければ、「読書」するしかないと思います。
【読書によって得られること 7】 ■成長〜「自己成長加速理論」「自己成長」と「行動の変化」が最終目的 読書の最終的な目的は何でしょう?「仕事力のアップ」「頭が良くなること」「収入アップや社会的成功」など、読書によって得られるものをいろいろ説明してきましたが、一言でいうと「自己成長」です。
心理カウンセリングは、クライアント(来談者)の「自己成長」と「行動の変化」を目的としています。
治療者が、クライアントの話をじっくり聞くと、クライアントは満足し、喜びます。
しかし、クライアントの「行動」が変わらなければ、現実は変わらない。
昨日と同じことをまた繰り返すだけです。
「行動」という外界に対するアクションを変えない限り、内面的な変化だけで、現実は変わりません。
この考え方は、そのまま「読書」にも当てはまります。
本を読んでも、その内容を実行しない人がほとんど。
本を読んだだけで満足してしまう、という人が多いのです。
「知的好奇心を満たす」というのも読書の目的の1つではありますが、それが最終ゴールになっては、 100冊読んでも、現実は全く変わらないということになってしまいます。
「自己成長」が促進され、「考え方」だけではなく、実際に自分の「行動」が変化し、自分をとりまく現実が少しでも良くなるような読書をすべきなのです。
そういう読書をしていけば、読書すればするほどに確実に自己成長し、幸せになることができるはずです。
「自己成長」と「行動の変化」を引き起こす読書術とは、どのようなものなのか。
それをこれから本書で説明していきますが、その大前提が「記憶に残る」ということです。
読んで 1ヶ月たったら内容をほとんど忘れてしまうような読書。
1週間前に読んだ本なのに、人に内容を説明できないような読み方では、「自己成長」することは不可能です。
「読んだら忘れない読書術」を身につけて、自己成長を加速させ、あなたの現実を変えていただくのが、本書の目的です。
【読書によって得られること 8】 ■喜び〜「読書エンタメ理論」結局、楽しければいいじゃないか!「なぜ樺沢さんは、そんなに読書するのですか?」と質問されることがあります。
「自己成長のため!」と答えるとカッコ良いかもしれません。
確かに、「自己成長のため」の読書が私の最終目的ではあるのですが、日々の読書で本を開くたびに「自己成長するぞ!」と意気込んで読むことは、まずありません。
私がこれほどたくさん読書する理由は、「楽しいから」です。
これがまず基本です。
本を読んでいる瞬間は、楽しい! ただそれだけ。
だから、本を読んだら、また次の本を読みたくなる。
結果として、楽しいから 1ヶ月で 30冊、知らず知らずのうちに読んでいる。
そして、知らず知らずのうちに、自己成長しているのです。
「なぜ、あなたは、読書しないのですか?」と逆に質問したいくらいです。
ビジネス書を読めば、自分が飛躍するヒントが得られる。
実用書を読めば、疑問や謎が瞬時に解決する。
小説を読めば、異世界に旅立つこともできる。
1冊、たった 1500円です。
電車の中でも、カフェでも、ベッドの上でも、どこでも場所を問わずに楽しめる。
1年間、毎日でも楽しめる。
時間と場所を選ばず、楽しいだけではなく自己成長にもつながり、こんなにも安価な娯楽が、他にあるでしょうか? 私は、「映画」が大好きで、映画評論家としての仕事もしていますが、映画は劇場でしか見ないので、見る「時間」と「場所」が制限されてしまいます。
いつでも、どこでも楽しめる娯楽ではありません。
読書は私にとっては、「毎日の娯楽」であり、「最高の娯楽」です。
本を読むとワクワクして、楽しくてしようがない。
この「ワクワク」して「楽しい」瞬間に、記憶を強化する脳内物質ドーパミンが出ています。
つまり、本を娯楽にして、楽しみながら読むだけでドーパミンが分泌されて、記憶に残るということです。
楽しむ読書でなければ自己成長は得られない ここまで「自己成長するために本を読もう」と書いてきたのに、「楽しむために本を読もう」というのは、矛盾しているじゃないか! と指摘する人もいるかも
かもしれません。
しかし、本を読む動機は、「楽しいから」であって、「自己成長のため」であってはいけないのです。
「自己成長のため」「仕事に役立てるため」を読書の目的にすると、やがて苦しくなってきます。
なぜならば、「自己成長する」「仕事で活かせる」(昇進する、給料が増えるなど)という結果は、本を読んで 1、 2ヶ月で出るものではないから。
それを目的にしてしまうと、「こんなに本を読んでいるのに、ちっとも結果が出ない」と、モチベーションが低下して、いつのまにか「本を読まない人」に逆戻りしてしまうのです。
「自己成長のため」「仕事に役立てるため」が前面に出ると、イヤイヤする読書につながってしまいます。
「仕事のために、今週中に読まないといけない」「資料作成のために、明日までに目を通さないといけない」「レポート提出に必要だから、どうしても読まないといけない」「夏休みの読書感想文の宿題だから、読まないといけない」。
このように、「仕事のため」に読んだり、「やらされ感」の中で読書をしたりすると、絶対にドーパミンは出ません。
逆にストレスになり、せっかく読んでも記憶に残らないし、身につくこともないのです。
本を読む理由は、「楽しい」から。
ただ楽しみながら読むだけで、記憶にも残り、学びも大きく、自己成長につながる。
「自己成長」を目的にしないほうが、結果として猛烈な自己成長につながるのです。
「読書嫌い」だった私が、大の「読書好き」に変わった瞬間 本を楽しく読もう! そうはいっても、読書嫌いな人は多いものです。
実は私も、あなたと同じように読書が大嫌いでした。
今でこそ、私は月に 30冊読む大の読書好きです。
また、本を執筆する作家でもありますので、子供の頃から読書好きで国語の成績も良かっただろうと思う人も多いのですが、そうではありません。
小学校、中学校、高校と、私の一番苦手な教科は、「国語」でした。
全教科で「国語」が一番苦手。
「一体、どうやって文章を書けばいいんだ?」「国語なんか大嫌いだ」と思ったものです。
結局今考えると、小学校、中学校の頃は、ほとんど本を読まなかったので、「国語」が苦手だったというのは、実に当然のことだったのです。
そんな読書嫌いの私が、なぜ今のような読書好きになったのか? それは、忘れもしない高校 1年の夏。
友人から、「滅茶苦茶おもしろい、ヒロイック・ファンタジーがあるから読んでみなよ」と、なかば強引に 5冊の本を貸し付けられました。
当時の私は、映画大好き少年。
本を読む暇があれば、映画でも見ていたい。
だから、本などほとんど読まなかったのです。
しかし、その「ヒロイック・ファンタジー」という言葉に魅了されました。
スペース・ファンタジーと呼ばれた映画「スター・ウォーズ」の大ファンであり、 SF映画や特撮映画、ファンタジー映画が大好きだった私はその言葉に、強く魅了されました。
「まあ騙されたと思って読んでみるか」と思いながら第 1巻を読んでいきます。
状況説明と人物説明が延々と続いて、いまいち話にのれませんが、最後の 10ページの展開で急におもしろくなってきました。
そして、第 2巻に進むと物語が加速していきます。
第 3巻に進むと、読むのが止まりません。
「何だ、このおもしろさは!」第 1巻の世界観の説明、人物説明がここに来て伏線になっていたことが見えてきました。
おもしろすぎる! 第 4巻、 5巻と進むにつれて、物語のスケールが爆発的に拡大し、おもしろさも炸裂していくのです。
5巻目を読み終わり、私は思いました。
小説って、こんなにおもしろいんだ……。
この 5冊の本とは、栗本薫の『グイン・サーガ』(早川書房)です。
最初の 5冊が「辺境編」というまとまったシークエンスになっており、それをまとめて貸してくれたのです。
記憶喪失の豹頭の仮面の戦士。
敵国の追手に命を狙われ逃走する美しき双子の王子と王女。
そして、お調子者の謎の傭兵。
出自も身分もバラバラな 4人が、運命の糸に導かれるように一堂に会し繰り広げられる壮大な冒険物語。
夏休みということもあり、ずっと本を読み続けていました。
1週間で 5冊を読了していたのです。
5巻目を読み終わった私は友人に電話しました。
「早く、次を貸してよ」。
『グイン・サーガ』第 5巻を読み終えたその日から、私の「本」に対する印象は、 180度変わりました。
まずは、栗本薫の過去の小説を何冊か読み、当時流行っていた菊地秀行、夢枕獏といった日本のホラーやファンタジー小説に興味の対象を広げ、ロバート・ E・ハワード、フィリップ・ K・ディック、 H・ P・ラヴクラフトなど、海外の SF、ファンタジー、ホラー小説を読み漁りました。
高校時代は、片道 1時間、往復で 2時間かけて通学していたので、通学時間を読書時間にして、たくさんの本を読みました。
2日で 1冊は読んでいました。
スキマ時間を使った読書習慣は、この頃、身についたものです。
大の「読書嫌い」だった私が、大の「読書好き」に変わった瞬間。
それは、小説『グイン・サーガ』と出会った瞬間でした。
考えてみると、私は映画少年で、スケールの大きなフィクションが大好きだったのです。
しかし、「こんなにおもしろい本があるのか」という体験をしていなかったせいで、自分は「国語が苦手だ」と思い込んでしまっていたのです。
私が今作家をやっているのは、本が好きだから。
本が大好きだから、自分でも本を書きたいから。
その元をたどると、『グイン・サーガ』と出会った、私が「本好き」になった高校 1年の夏の体験にさかのぼるのです。
結局、自分の大好きな 1冊を見つける。
その「運命の 1冊」との出会いによって、読書嫌いが、読書好きに変わる。
本を全く読まなかった自分が、読書が楽しくてしようがない人間へと変わった。
その瞬間に無限の可能性の扉も、同時に開かれたのでしょう。
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