まえがき
毎日、整理・整頓・清掃にはげむ。
それはとても大切なことです。
しかし、職場は仕事をするところ。
仕事が最優先になり、どうしても整理・ 整頓。
清掃は、後回しになります。
できれば、もう少し手っとり早く、ラクに、 カンタンに、整頓や清掃ができないものでしょうか。
「改善」の「考え方」や「方法」を取り入れることで、それは可能です。
たとえば、 ◎「くろう」ではなく「くふう」でこなす。
◎「気をつけよう」ではなく、 「気をつけなくてもよいやり方」に改める。
◎たとえミスをしても、 「人を責める」のではなく「方法を攻める」 などです。
◇ これらの考え方に立って、「改善による5S」を解説したのが本書です。
つまり、 ●手っとり早くカンタンにできる 「整頓のくふう」「清掃のくふう」をおこなう。
そうすれば「仕事」をやりながらでも整理・整頓。
清掃をおこない、きれい な職場で、快適に働くことができます。
本書は、つぎの4本の柱から構成されています。
①「5S」についての基本事項 「5S」の中でも、実際に手を使つて、体を動かしておこなうのは、 「整理・整頓。
清掃」の「3S」です。
この3つが「5S」の基本です。
②5S活動のポイント 5Sは、「整理・整頓。
清掃」を「くり返す」ことで効果を発揮します。
5S活動とは、「くり返す」ための「しくみ」作りです。
③整理のコツ。
整頓のくふう。
清掃のくふう。
「改善」の考え方や方法を使って、「3つのS」をラクに、カンタンに、 できるようにします。
④5S活動事例 実際の「5S活動」の具体的事例を紹介しています。
◇ この中で、とくに③について多くのページを割きました。
すぐに役立つ具体 的な「くふう事例」を、イラストを使って多数、紹介しています。
序 〓早「5S」を始める前に知っておきたい基本知識「5 S の基本」
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾、の5つの言 葉を□―マ字で書いたとき、頭文字がすべて「S」 になるところから、「5S」と呼ばれていますD 整理 (Seiri) 整頓| (Seiton) ,青l尋| (Seisou) ,書言,潔| (Seiketsu) 躾(しつけ) (ShitSuke) この5つのSは、どれも、むずかしいことではあ りません。
専門知識など不要です。
熟練の必要も なしですし誰でもが子供のころからよく知つている、 カンタンなことばかりです。
しかし「知つている」「わかつている」だけでは役に 立ちません。
「5S」は、「できる」ようにならないと意味がないの です)
1 「わかる5S」から「できる5S」へ
知識だけではなく、実行を
「使つたら元に戻す」 「汚れたらキレイにする」 子供のころから耳にしている言葉で す。
しかし「知っている」「わかって いる」ことと「できる」こととは、ま た別です。
5Sは、「知識」があつても「理解」 していても、それが「できる」ように ならないと価値がないのです。
ところが現実を見てみると、けっこ う「できていない」ことが多いようで す。
「元に戻っていない」「要らないモ ノが置いてある」「散らかっている」 などなど。
そんなに、むずかしいこと ではないはずなのに。
「知っている」「わかっている」段階 から「できる」段階へと進んで「5S」 は、はじめて役に立ちます。
では、「できる」ようになるために は、どうすればよいのでしょうか。
忙しくても、「できる」くふうを
「知っている」「わかっている」 だけど忙しいから「できない」、と いうのは、よく耳にする言葉ですc 忙しいので、つい「おろそかになる」 「後回しになる」ということです。
しかし、忙しいからと言って「5S」 をおろそかにすると、さらに忙しくな ります。
それは、「5S」をしないこ とで、おこる忙しさです。
「不要なモノが片づいていない」「必 要なモノの置く場所がない。
とりあえ ず、このあたりに置いておく」「とり あえず置いた場所まで、取りに行く」 「必要なモノが見つからなくて、探し 回る」「ストックが切れて仕事が中断
した」「ゴミやホコリで作業がしにく い」などです。
本来の仕事で忙しいのではないので す。
「5S」ができていないために、 忙しい。
これは問題です。
◇ 忙しいときでも、「5S」ができる ようにしましょう。
掛け声や呼びかけ だけでなく、「忙しくても、5Sができる工夫」 をしましょう。
なるべく神経を使わないで、 「カンタンにできる整頓」 「ラクにできる清掃」 などの方法を考えましょう。
これが、 「わかっている」「知っている」から 「できる5S」への第一歩です。
2 5Sの基本は「3S」
5つの「S」の意味 「わかっている」「知つている」つもりでも、 案外「間違っていたり」「よく知らなかつた り」します。
職場のみんなが「5S」に関して、「共通の認 識」を持つことが大切です。
まず「5S」の 言葉の意味を理解しましょう。
「5つのS」を、それぞれ言葉で説明すると、 つぎの通りです。
○整理……雑多なモノの中から、要るモノ と要らないモノに分けて、要ら ないモノを処分する。
○整頓……整理のつぎの段階。
必要なモ ノがいつでも誰でも取り出せ て、使える状態にしておく。
○清掃……ゴミなし、∃ゴレなしの状態に すること。
○清潔……ゴミなし、ヨゴレなしの状態を 保つこと。
○躾(しつけ)…決められたことを正しく守る 習慣をつけること。
実際に、手を使って、 体を動かすのは「3S」
① 整理(∽Φ〓) ② 整頓(∽Φ〓o5) ∩) 津胴一婦押(∽Φ一∽oC) 5つのSの中・で、・実際一に手・を使ちて、 体を動かして、行動としておこなうも のは、この3つですc この「3つのS」が、「5Sの基本」と呼べるものです。
まず、「整理」です。
書類や資料の棚から、必要なモノと 不要なモノを選り分けて、不要なモノ は廃棄処分します。
あるいは、 一時、 倉庫に保管します。
使えなくなった道 具とまだ使える道具を選り分けて、使 えないモノは処分します。
こうして不要なモノを捨てた後に は、必要なモノだけが残ります。
つぎが、「整頓」です。
必要なモノは「置き場所」を決めて 「表示」をします。
「何が」「どこにあ る」のか全員が知っていれば、「探し 回る」ことがなくなります。
最後に、「清掃」です。
整理・整頓のできた職場の「掃除」 をします。
床に掃除機をかけたり、窓 ガラスを拭いたりです。
「5Sをおこなう」ということは、 整理、整頓、清掃、この「3 つのS」 をおこなうことですc
3 「3つのS」をくり返す
くり返してこそ効果がある
「5S」をおこなうということは、 「3 つのS」つまり「整理・整頓・清掃」 をくり返しおこなうことです。
ポイン トは「くり返す」ところにあります。
●整理をくり返す 不要なモノを捨てても、つぎからつ ぎに新しい仕事の書類や資料、材料や 部品などがやってきます。
終わった仕 事で不要なモノは、意識的に捨ててい かないと、新しいモノの置く場所がな くなってしまう。
また、不要なモノが あふれていては、その中から必要なモ ノを探すのにも苦労します。
●整頓をくり返す 「必要なモノの置き場所を決める」 使った後は元の場所に戻す。
戻さな いとどこにあるかわからずに、探し回 ることになります。
「使ったら戻す」 をくり返さないと効果がありません。
●清掃をくり返す 掃除をしても、掃除した後から汚れ が始まリホコリが溜まっていく。
くり 返さないと意味がありません。
●つまり清潔と習慣(躾) 整理・整頓・清掃をしっかり「くり 返す」ことで、自然と「清潔」な状態 になります。
「くり返す」ためには 「習慣」(躾)にすることです。
「先月は5Sを一生懸命しました」 「今月は、していません」 これでは元の状態に戻ってしまう。
くり返してこそ「5Sの効果」が発 揮されます。
5Sは、 「カンタンなことなのにできない」 「アタリマエのことがむずかしい」 と言われますが、正確に言えば、 「カンタンなことだが、くり返しおこ なうことが、できない」 「アタリマエのことを、くり返しおこ なうことが、むずかしい」のです。
「普段は出来ていても、忙しくなると 後回しになる。
おろそかになる。
その ため、よけいに忙しくなる。
そしてた まに思い出したように5Sをする。
し かし、いつの間にか、やらなくなる」 やつたりやらなかったり、これでは、 5Sの効果がありません。
効果のある 「5S」にするためには、毎日、毎週、 毎月、停滞することなく、くり返しお こなうことがポイントです。
5Sをおこなうということは 整理・整頓・清掃を くり返しおこなうこと。
「3つのS」をくり返すことで、 自然と「清潔」な 状態になる。
毎日、毎週、毎月 くり返してこそ 効果のある5Sとなる
「5Sの基本」まとめ
① 「わかる5S」から「できる5S」ヘ 5Sは、「矢□っている」「わかっている」だけでは、 役に立たない。
「忙しくても、忙しくなくても」 「できる」ようにならないと価値がない。
② 5Sの基本は「3S」 「5S」とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾のこと。
この中で、実際に手を使って、体を動かしておこ なうことは「整理・整頓・清掃」の「3つのS」。
③ 「3つのS」をくり返す 「整理・整頓・清掃」は、毎日、毎週、毎月、 くり返しておこなってこそ効果がある。
くり返すのをやめてしまうと、 「5S」をする前の状態に戻ってしまう。
● 「3つのS」をくり返すことで 自然と「清潔」な状態になる。
● 「くり返す」ために必要なのが 「習慣」(躾)である。
第1章 「5S活動」について
これからの章で、「5S」についてのことを、 お話ししていきますが、最初に「5S活動」に ついて考えていきます。
企業などが、「5S活動」を組織的に取り組むた めに必要なポイントは、つぎの3点です。
① ラクに「3S」ができる「くふう」 ② 客観的な共通基準をつくる ③ チェック機能
5S活動・3つのポイント
一5S活動」に必要なポイントは、 つぎの3点です。
① ラクに「3S」ができる「くふう」 ② 客観的な共通基準をつくる ③ チェック機能 ◇ この3点がうまく機能すると、「5 S活動」はスムースに運びます。
ラクに「3S」ができる「くふう」
「整理、整頓、清掃」 この3つは、くり返しおこなってこ そ効果があります。
くり返しおこなう ことが、メンドウな作業だったり神経を 使うようでは長続きしません。
掃除は、1週間でもサボルとホコリ が溜まります。
整理・整頓にしても、ちょっと気を抜くと、乱雑に置かれ、 その中に不要なモノが混じります。
ラクに、カンタンに済ませる「くふ う」をしましょう。
「サポリ」ではな く、やり方の「くふう」です。
使ったものをムリなく、元の場所に 戻す「くふう」。
ラクに掃除を済ませ る「くふう」などです。
客観的な共通基準をつくる
組織の中には、さまざまな人がいま す。
「一人ひとりが、ちがうからこそ、 面白い」そういう意見もあります。
たしかに、いろいろな個性が集まっ ているところに、集団の魅力があるの でしょう。
しかし、5S活動に関して 言えば、この意見がそのまま当てはまらないようです。
集団の中には、神経質な人もいれば、 ズボラな人もいます。
神経質な人は、 キッチリと掃除をします。
ズボラな人 は、いい加減に掃除をします。
それを 個性とは呼びません。
自分の部屋なら、整理・整頓も掃除 も自分のレベルで、自分ひとりが納得 すれば、それでよいでしょヽつ。
他人が、 どうこう言う筋合いのものではないは ずです。
しかし、会社や職場ではそうはいき ません。
集団が組織をつくって仕事を しているところです。
自分がよくても、 まわりに迷惑がかかるようでは困りま す。
一人ひとりの仕事がしやすいよう に、共通のルールや一定のレベルが必 要です。
●ラクに「3S」ができる「くふう」 整理・整頓・清掃は、くり返しおこなつてこそ 効果がある。
ラクに簡単にできる「くふう」をする。
●客観的な共通基準やルール 全員が一定のレベルを保つために、 整理・整頓や清掃のための共通のルールや 基準を定める。
●チエツク嗜幾1言ヒ(習慣化できているかチェックする) 整理・整頓・清掃は「くり返し」おこなわれ ているかどうか、チェックする必要がある。
◎守るべきことを「決める」 ◎決めたことを「守る」 ことです。
「決められたこと」は、誰もが納得 のいく公平なものでないと、「守る」 ことはむずかしい。
また、あいまいな ものではなく、「具体的」でハッキリ していないと、守りにくい。
それが、 「客観的な共通基準」です。
チェック機能
「整理←整頓←清掃」 この3 つのくり返しが回っているか どうか、「決めたことが守られている かどうか」チェックする必要がありま す。
チェックしないで放置しておくと、 少しずつ回らなくなり、いつの間にか 止まってしまう。
チェック機能は必要 です。
たんなる「呼びかけだけ」の5 S運動なら、「呼びかけ倒れ」に終 わってしまいます。
2 5S活動の「習慣化」について
「躾」とは「習慣化」のこと
「躾」を広く解釈すれば、社会生活 や教育にまで及びます。
しかし、「5 S活動」で「躾」と言えば「習慣化」 のことです。
つまり、 ◎使ったら元に戻す習慣をつける。
◎汚れていたらキレイにする習慣をつ ける。
などなど。
この「習慣化が定着」しないと、 「元に戻っていない」「汚れっ放し」と なって「5S」が崩れていきます。
習 慣化は、5S活動には不可欠です。
では、習慣化のためには何が必要で しょうか。
2つのアプローチ
ポイントは、2 つあります。
ひとつは、「方法」へのアプローチ。
ひとつは、「人」へのアプローチ。
◇ 方法へのアプローチは、「くふう」 です。
取り出しやすく、元に戻しやすいよ うに「くふう」をします。
またラクに できる掃除の方法を「くふう」します。
そうすれば、続けやすく、習慣化しや すい。
一方、人へのアプローチについて。
まず、「動機づけ」です。
仕事をする上で、「5S」が、いか に大事かを納得してもらいます。
もうひとつ大切なポイントがありま す。
それは「客観的な基準」です。
主観的な「きれい」ではなく 客観的な「きれい」を
5S活動では、けっこう「決め事」 が多い。
この「決め事」があいまいな 形ではなく、 ハッキリしていることが 大事です。
たとえば、こんな例があります。
会 社のトイレ掃除を社員の当番制にして いました。
Aさんが当番のときは、と てもキレイになって使うのも気持ちが よい。
ところが、Bさんが掃除をした 後は、ほんとうに掃除をしたのかと思 いたくなる程です。
これでは困ります。
個人の主観的な判断ではなく、たんに「キレイにしま しょう」ではなく、「ここまでキレイ にして下さい」というある程度の「客 観的な共通基準」が必要です。
職場の掃除にしても同じ。
「この機 械のこの部分の汚れは必ず取る」と いったように、掃除をした後は常に仕 上がりが同じになるようにします。
共用で使う道具などは、 *このモノは、ここに置く *棚の上には何も置かない といったように決めておきます。
「決め事」が具体的で明確になって いることが大切です。
「客観的な共通基準」
職場の中で「客観的な共通基準」が なかったり、あいまいであったりする と、どういう状態が「乱れている」の か「汚れている」のか、個人の主観に たよることになります。
そうなると指 摘も感覚的になり、 「しつけ」ではなく、 「おしつけ」になります。
こうなると反感も出てくる。
「習慣化」もむずかしい。
◇ 「客観的な基準」が明確にされてい ると、 「守られている」のか、 「外れている」のか、 誰が見てもわかります。
指摘もしやす い。
指摘された人も納得できます。
「習慣化」しやすいのです。
3 守るべきことを「決める」決めたことは「守る」
くり返すために必要なこと
「整理・整頓・清掃」は、くり返し てこそ効果があります。
くり返すためには、「くり返そう」 「くり返そう」、そう呼びかけるだけで は、くり返すことはできません。
くり返すために必要なことがありま す。
それは、職場の中で、 「守るべきことを、決める」 「決めたことは、守る」ことです。
守るべきことを「決める」
●置き場所を決める たとえば工場ならば、共有で使う道 具で、くり返し使うモノは、 「置き場所を決める」 ひんばんに使うモノは手近かに、そう でないモノは離れた場所に、その置き 場所を決めておきます。
決めた場所がすぐにわかるように、 明確に表示します。
「使った後は決め た場所に戻す」。
そうすると、その道 具を探し回ることがなくなります。
●通路を確保する 作業場では、作業するスペースと仕 掛り品や材料を運ぶ通路があります。
通路までモノがあふれ出すと通れなく なり、モノが運べなくなります。
そこ で、通路を確保するために、通路とな るべきスペースのところに緑のライン を引いておきます。
「このラインより内側にモノを置かな い」と決めるのです。
これをみんなが守らてくれると、通 路は確保されて、モノの移動がラクに できます。
このとき、より具体的に決めること です。
だいたいこの辺りが通路だから、 この辺りにはモノを置かないように。
これでは、わかりにくい。
「じゃあ、この辺なら置いても大丈夫 だろう」となってしまいます。
ラインを引いて、このラインより内 側には、モノを置かない。
というよう に、具体的に示したほうがわかりやす くて、守りやすいのです。
●高さを決める たとえば、収納の場合などは積み荷 を積み上げるときの、これ以上高く積 まないという「高さを決めて」おきま す。
低すぎるとスペースがもったいない。
高く積みすぎると荷崩れの恐れが あり、危険です。
ここまでなら大文夫という「高さを 決めます」。
その高さの壁のところに、 赤色のラインを引いておく。
どんなに 荷物が増えたとしても、そのラインよ りは高く積まないようにします。
する と荷崩れの心配がなくなります。
高さを決めて、赤いラインを描くと わかりやすくて、守りやすいのです。
●清掃するべき箇所を決める 1日の作業が終わって、使った機械 を掃除をします。
日付を印字するイン クの液は、すべてボトルに戻し、イン ク溜まりのケースは、機械から外して 洗浄水に漬けておく。
これをしないで、 そのままにしておくと、翌日、ケース の中のインクは固まってしまって、使 えない状態になります。
.機械を清掃するときは、必ずインク の始末をするように決めておきます。
それをみんなが守る。
すると翠日、機 械はすぐに使えるようになります。

「くり返す」とは 決めたことを「守る」こと
置き場所を決めて、使った後は、決 められた場所に戻す。
「使つた後は、戻す」 「再び使った後は、また戻す」 これを「くり返す」ことが「整頓」 を維持することになるのです。
使った機械の決められた箇所を、必 ず清掃します。
これを「くり返す」こ とが、「清掃」を維持することになり ます。
もちろん機械だけでなく、作業 場も事務所もそうです。
汚れたら、き れいにします。
くり返します。
整理にしても、定期的に要らないモ ノを意識的に捨てるようにします。
こ れも続けないと、不要なモノが溜まっ ていきます。
決めたことは守る。
これをくり返し、 続けることが、「5S」を維持するこ とに他ならないのです。
チェツク機能としての 職場バトロール
●決めたことは「守る」 決めたことを守らないと、たちまち 「5S」の効果がなくなります。
毎日、 毎週、毎月、続けることです。
守られているかどうか、つまり、 「くり返されている」 かどうかのチェック機能が必要になり ます。
多くの会社では、「職場パトロール」 などを実施して、各職場をチェックし て回っています。
整頓がくずれている。
掃除ができていない。
これは「くり返し」が「止まつてい る」ということです。
職場パトロール をして、そんな職場を見つけたら指摘 して指導します。
4 チェック機能(職場パトロール)
職場バトロール
5Sがうまく回っているかどうか、 定期的にチェックをする「チェック機 能」が必要です。
それぞれの職場で、 「整理←整頓←清掃」 このサイクルがうまく回っているの か、停止しているのか、停止しかけて いるのか。
5S活動をおこなっている 多くの会社では、「職場パトロール」 を組織して、定期的に各職場を回って チェックしています。
●メンバー構成 たとえば、「安全委員のメンバー」 が安全パトロールのときに「5S」も 見たり、あるいは「TPM (弓oご一 RoORLくo〓一Lユ8曽8)のメンバー」 が巡回のときに「5S」もチェックす るということも多いようです。
メンバーの中に社長が入れば、パト ロールの効果は格段に上がります。
「この職場は、乱れている、汚れてい る」 社長のひと言で、職場の人たちは、 整頓や清掃をはりきってやるでしよ う。
あるいは、工場長といった責任あ る立場の人がメンバーに加わることも よいでしょう。
●OJTの機会に メンバーの中に、5Sのベテランと 新人がコンビになるのもよいでしょ う。
一緒に現場を回ることが、そのま ま「5Sを学ぶ」OJTの絶好の機会 となります。
結果報告は、写真で具体的に
パトロールをした結果を、それぞれ の職場にフィードバックします。
パト ロールするのは、あら探しのためでは なく「良かったらホメル」ことが大事 です。
悪かったら「どこが良くなかっ た」のかを指摘します。
指摘の方法は「掃除ができていない」 「片づいていない」などの文章だけで は、抽象的で相手に伝わりにくい。
い ちばん良いのは写真に撮り、どこがど う悪いのか、写真を示して具体的に指 摘するのが良いでしょう。
いわば証拠 写真を見せるかたちになります。
このとき、指摘した箇所を「いつま でに直すのか」期限を切ることです。
期限を切らずに「いつまででも良い」 ということになると、「いつまでたつ ても、できない」ことになります。



みんなに見せる(さらす)
指摘した箇所が、期限を過ぎても直 されないことがあります。
指摘を受け た人は「たかが掃除」「たかが整頓」 と軽く受け取るためです。
パトロールのメンバーが一般社員で あつたりすると、その傾向があるよう です。
対策として「5Sのできていな い職場の写真」を、みんなの集まる社 員食堂のような場所に貼り出すことを している会社があります。
ちょつと荒治療ですが、効果はあり ます。
5Sができるまで、その写真は 外さない、貼られたままです。
◇ もちろん「5S」がしっかりできた 優良職場を「5S職場の見本」として 貼り出すのも良いでしょう。
その他のチェック機能
チェックの方法として、ほかにこの ようなやり方があります。
「A の職場を、B の人たちが見る」 「B の職場を、C の人たちが見る」 「C の職場を、A の人たちが見る」 というやり方ですc 自分たちの職場は毎日見ているの で、良いのか悪いのか、判断できなく ても、ヨソの職場は客観的に見ること ができます。
これなら、わざわざパトロール隊を 組織しなくても手軽に実施できます。

良かったら「ホメル」
チェックして、良かったら「ホメル」 ことです。
チェックするのは「アラ探 し」になりがちですが、チェックされ る側にしてみれば、欠点ばかり指摘さ れては、意欲もヤル気もなくします。
良かった点があれば「ホメル」こと を忘れないようにしましよう。
5 5Sも、安全も、TPMも、みんな一緒くたに活動
それぞれの活動が うまく噛み合って
たんに「5S活動」だけでなく、ほ かの活動も併せて取り組んでいる会社 があります。
たとえば、5S活動と安 全活動、またTPMなどにも取り組ん でいる会社もあります。
社員にしてみれば、5S活動も必要、 安全活動も必要、その上、TPMとか も言われたら、体がいくつあっても足 りない。
どれか1つにしてくれ、とい うことになるでしよう。
しかし実際には、これらの活動は、 それぞれ別々に活動するのではなく、 お互いがうまく噛み合って、推進され るべきものなのです。
複数の視点から見る
簡単な例を上げてみましょう。
たと えば工場の隅に、毅ボール箱が乱雑に 積み上げてあったとします。
「こんな積み方では荷崩れしやすい。
危険だ」と安全推進グループから安全 面の不手際として指摘がきます。
ところがさらに、この乱雑な段ボー ル箱の積み方に関して、5S推進委員 会からは、「整理・整頓ができていな い」と指摘されます。
そこで乱雑な積み方を改めて、スッ キリと積み直します。
安全推進グループから「荷崩れの心 配がなくなった」という返事。
5S委 員からは「きれいに整頓ができた」とVうコメント。
◇ 要するに、ひとつの「良くないおこ ない」に対して安全の立場からと、5 Sの立場からと、それぞれの立場から 指摘があり、是正することで、どちら に対してもOK、よくできた、となり ます。
つまり日々の作業を一方向から見る のではなく、複数の視点から見ていこ う、ということです。

6 「5Sタイム」について
勤務時間内に実施する
「5Sタイム」とは、「勤務時間内」 に仕事の手を休めて、整理や整頓、清 掃をすることです。
勤務時間外でおこなっては「5Sタ イム」とは呼びません。
たとえば、次のようなやり方で実施 している会社があります。
週末の金曜日、昼休みが終わった 「午後1時からの30 分間」を「5Sタ イム」に当てています。
昼休みが終わって仕事にかかる前 に、普段できない場所の掃除や、いつ もなら目をつむっている箇所の整理や 整頓をします。
「5Sタイム」のメリット

① 勤務時間内におこなうところが良 いのです。
「5Sは仕事とは別」とい う考えを変えることができます。
「5S」は仕事の一部です。
「5S」ができていない職場は、仕 事の効率も落ちます。
勤務中でも時間 を割いて「5S」をおこなえば、後の 仕事がはかどります。
② みんなが仕事をしているときに、 自分だけ掃除をしたり整頓をするのは 気が引けます。
しかし全員が仕事の手 を休めて、整理、整頓、清掃をおこな えば、堂々とできます。
・C 身の回りのちょっとした掃除や整 頓は、5分もあればできます。
しかし 棚の高いところや手の届かない箇所な どは、5分ではできません。
まとまっ た時間があればこそできます。
④ 仕事が終わってから、勤務時間外 で「5S」をおこなうことは、むずか しい。
仕事が終われば、早く帰りたい のが人情です。
ムリヤリ引き留めるこ ともできますが、それでは「5S運動」 は長続きしません。
◇ 「5Sタイム」は、「1週間」の中の 「30 分」です。
よほど忙しくない限り、 て 実施することは可能です。
もちろん つ 「1時間」でもかまいません。
出 「5S運動」を展開している会社は、 瀧 ぜひとも実施したいものです。
7 5S責任者を決める
忙 し く て も 「 5S」 を おこなうために
忙しくても「5S」をおこなうため に、「5S責任者」を決めておくとよ いでしょう。
とくに共用の場所などは 「5S責任者」を決めて、忙しいとき でも、忙しくなくても、掃除や整頓は 「5S責任者」が、責任を持って必ず おこなうようにします。
◇ 「やっても、良い」 「やらなくても、良い」 どちらでも良いとなつた場合、たい ていの人は、「やらない」ほうに流れ てしまいがちです。
とくに仕事が忙し いときの「掃除や整頓」などは、後回 しになったりします。
忙しいからといって、「5S」をお ろそかにしてよいはずはありません。
「5S」は忙しいときでも、今まで通 り続けることが大事です。
そのために も、「5S責任者」を決めておきます。
広い場所ならブロックに区切って、 ブロツクごとに責任者を決めてもよい でしょう。
また当番制にするのもひと つの方法です。
その場所の「5S責任者」は誰なの か、必ず、「名札」を取りつけます。
誰が責任者なのか、はっきりさせるた めです。
つぎのような事例もあります。

設備の掃除を当番制にする
【どヽヽふう一削】 仕事が終わった後、全員で掃除をし ます。
自分の身の回りは、それぞれ自 分でしますが、みんなで使う設備は、 やったりやらなかったりです。
これで は、ちゃんとしたメンテナンスができ ません。
【くふう後】 そこで、設備の掃除を曜日ごとの当 番制にしました。
掃除のマニュアルも 作りました。
2人1組で、当番の人はマニュアル に沿って設備の掃除をします。
これで設備のメンテナンスができる ようになりました。
また、掃除をする ことで、みんな設備に関してよく知る ようになり、カンタンな故障なら直せ るようになりました。
8 トップの理解
卜2フの理解は不可欠
「5S活動」では、トップの理解が 不可欠です。
たとえば、 「営業力をアップさせよう」 「新製品の売り上げを伸ばそう」 といったことなら社員も自然とチカラ が入ります。
しかし「整頓をしよう」「掃除をし よう」と呼びかけても、社員は自然と チカラが入る、という訳にはいきませ ん。
しかし、社長がひと言、 「5S活動を推進していこう」 と言えば、社員もはりきっておこなう ようになるでしよう。
トップの理解が不可欠です。
たとえば、社長が全社員の前で、ス ピーチをする機会があれば、ひと言 「5Sもガンバルように」と付け加え て下さいとお願いします。
このひと言が「ある」と「ない」と で、その後の「5S活動」の盛り上が りはちがってくるでしょう。
『社長、机の上を 片づけてください』
ある「5S担当者」に、こんなエピ ソードがあります。
◇ 「社長が率先垂範してくれなければ、 社員はついていきません。
早い話が、 社員にいくら5Sを呼びかけても、社 長の机の上が片づいていなければ、全社員にいくら呼びかけても、みんなは 動いてくれる訳がない。
そこで私は、まず社長にお願いしま した。
『社長、机の上を片づけてください』 と。
当時、社長の机の上は書類や資料の 山でした。
朝イチバンにきた社員は社 内の掃除をします。
社長の机も雑巾が けするのですが、空いているスペース はごくわずか、そのわずかな空間を雑 巾がけしていました。
気の利いた社員 なら、書類や資料を持ち上げて拭き掃 除をしてくれましたが。
要するにそういう状態でした。
これ では全社員に5S運動を説得しても社 員は納得してくれません。
私は社長に苦言を呈しました。
ところが苦言の後、社長は段ボール を持ってきて、自ら机の上を片づけ始 めたのです。
その日のうちに、机の上 はきれいに片づいてしまいました。
社長が行動に出ると、重役たちは何 も言わなくても、机の上を片づけ始め ました。
ある重役は、日曜日に会社ヘ きて徹底的に不要書類の処分と整頓を 実施したそうです。
いまでは、社長の机の上の拭き掃除 が大変ラクになったと社員は大喜びで す。
」
「5S活動」についてのまとめ
「5S活動」で必要なことは、つぎの3つです。
① ラクに「3S」ができる「くふう」 「整理・整頓・清掃」を、くり返し続けるために、 ラクに、カンタンにできる「<ふう」をします。
② 客観的な基準やルール 「守る」ことを、みんなで「決める」 「決めた」ことを、みんなで「守る」 みんなで決めた基準やルールを守って、 維持することが「5S」を<り返すことになります。
③ チェック機能 基準やルールが守られているか、 くり返されているか、チェック機能が必要です。
多くの企業では「職場パト□―ル」などを実施して、 チェックしています。
○「5S責任者」を決めることも大事です。
「5Sタイム」を設定している会社もあります。
○「5S活動」の活性化のためには、トップの理解は必要 です。
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