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第四章 社員を大切にする会社に不況なし

目次

お得意先より社員のほうが大事

わが社は創業以来、順調に業績を伸ばし、ローコスト経営によって二%以上という業界で日本一の利益率を堅持しています。

それを後押ししてくれているのが社員で、社員の頑張りなしにはとても実現できるものではありません。

わが家の床の間には、「願う、社員の幸福」と大書した掛け軸が掛かっており、毎朝、お隣に聞こえるぐらいの大声で十二回唱和してから、摂津流通センターに出かけます。

毎日十二回唱えるのは、忘れないようにするためです。

どんなに優秀な人でも、次から次へと用事ができて仕事に忙しく追われていると、過去のことを忘れてしまいがちです。

「忙」と「忘」という字は、どちらも「心を亡くす」と書きます。心を亡くさないために、私は毎朝十二回、「願う、社員の幸福」と大声で唱えているのです。

流通センターに到着すると、中に入る前に、入り口のところで「ありがとうございます」を三回唱えます。私の出社時刻は午前六時。

定時の二時間半も前だというのに、すでに何人かの社員が働いており、その姿を目にするたびに、「こんなに朝早くから頑張ってくれている。何としてもこの人たちを幸せにしてあげないといけない」とさらに強い気持ちになります。

経営者がいちばん大事にしなければならないのは、仕入れ先でも、お得意先でもなく、働いてくれている社員です。

私は、取引先が社員のことで文句をいってきたときも、絶対に社員を怒りません。本人が悪かったならもちろん注意はしますが、たいてい悪いのは取引先です。

無茶をいってくる取引先から社員を守ることこそ、経営者の役目だと私は心得ています。相手が大のお得意先でも同じです。

わが社に優秀な社員が育てば、お得意先にも仕入れ先にもよりよい貢献ができると思います。

ですから、「お得意先を取るか、社員を取るか」といわれたら、私は躊躇なく社員のほうを取ります。社員が幸せになってくれたら、会社はおのずとよくなります。そういう会社が増えれば、日本の国もよくなります。

「日本に対する一番の社会貢献は、自分の会社の社員を幸せにすることだ」といっても決して過言ではないのです。

日本の会社はかつて終身雇用制を旨とし、社員をリストラするというのはよくよくのことでした。

ところが、グローバリズムの影響で、日本型雇用形態は古いとされ、いまは少しでも景気が悪くなると、リストラが当たり前になりました。

まず派遣社員、契約社員など非正規雇用者から切られ、それでも業績が回復しない場合は、正規雇用者が対象になります。

平成二十年末からの派遣社員切り捨て騒動はまさにその典型例ですが、それでは社員は幸せになりません。会社もよくならないし、日本の国もよくなりません。

リストラをするのなら、経営を悪化させた経営者が真っ先に対象になるべきです。

少なくとも私は、「業績が悪くなったら、必ず私を一番最初にリストラする」と社員の前で宣言し、また、その覚悟もしています。

年金をもらえる年齢なので、リストラされても妻と二人で食べていくぶんには何も困りません。

もっとも、そこまで追い込まれる前に、私としては、リストラ以外の方法で経営を立て直す道を選びます。

業績が悪化しだしたなら、午前六時の出社を三十分早めて五時半にし、それでも好転しない場合は、さらに五時出勤にする。

経営者が先頭に立って一日二十四時間フルに働き、知恵を絞れば、必ずや業績は改善されると私は信じています。

いいお手本があります。

私が尊敬してやまない松下幸之助さんの話です。

昭和四年、いまと同じような世界同時不況が起こり、日本でも工場閉鎖や賃金の削減、社員の解雇が相次ぎ、松下電器も在庫の山を抱えて危機に瀕しました。

「もはや乗り切るには人員整理しかない」と進言した幹部に対して、当時病床にあった松下さんは、こう指示されたそうです。

「工場は半日稼働にして生産を半減するが、従業員は一人も解雇しない。給与も全額支給する。そのかわり、店員は休日を返上して在庫品の販売に全力を挙げてもらいたい」「会社の将来の発展に社員は不可欠である」

という強い経営信念を持っておられたからで、それを聞いた社員が奮い立たないはずがありません。一致団結して販売に精を出し、二カ月で在庫を一掃。

その後は、フル生産をしても追いつかないほど活況を呈したといいます。

松下さんは「経営者としていくらでもやる方法がある」とおっしゃっていますが、私もまったく同感です。

「社員を不幸にしない先にこそ、会社の光明がある」。これは永遠に変わらない経営の真理だと認識しています。

菓子業における個人所得日本一を目指す

経営者は、いかにしていまいる社員の能力およびエネルギーを最大限に引き出すかを常に考えなくてはいけません。

私は、社員が頑張って利益を上げてくれたときに、その頑張りをきちんと評価して少しでも報いることが、経営者の務めであると思っています。

頑張った成果をお金なり、物といった報奨で還元していく。

そうすれば、こちらの誠意や感謝が伝わり、社員は「もっと頑張ろう」とやりがいを持って働いてくれるようになります。

わが社には、「これでもか」というくらいのたくさんの報奨制度がありますが、そのうちの一つに、業界一の個人所得を目指すという目標があります。

吉寿屋は、笑顔、会社の美しさ、挨拶などさまざま面で日本で一流を目指していますが、「一流」を目指す以上は、社員の待遇も一流でなくてはなりません。では、何をもって一流といえるのか。

私は、業界において日本一の所得であれば一流といえるのではないかと考え、平成十七年は、年間優秀社員に所得三千万円、年間優秀パート社員(吉寿屋では「準社員」と呼ぶ)に所得一千万円を支給しました。

正社員はわかるが、なぜ準社員に一千万円も出すのかと、不思議に思うかもしれません。

わが社の場合、約三百名の社員のうち、七割近くが準社員で、残りが正社員とアルバイトです。また、男女の比率で見ると、女性が八〇%を占めています。

言い換えれば、女性社員と準社員を戦力化できないことには、わが社の発展はありえないわけで、そのためには、正社員と準社員、男性と女性に関係なく、一生懸命に働いた人、一生懸命に努力した人には平等に報いることが大切なのです。

正社員の場合は勤続十年以上、準社員は勤続七年以上で週四十時間以上勤務の人を対象に、取締役会において次の八つを基準に選考しました。

  • 会社に対して貢献のあった人
  • 余人にないナンバーワンがたくさんある人
  • お客様やお得意先、仕入れ先との約束を守る人
  • 報連相(報告・連絡・相談)が、きちんとした言葉づかいと大きな声、笑顔で実践できる人
  • 一年間で五件以上の新規提案をした人
  • 過去一年間、無遅刻・無欠勤の人
  • 三年間、免許停止処分を受けていない人
  • 会社の「三大目標」に対する工夫で結果のよかった人

要は真面目に働いてさえいれば、誰もが三千万円プレーヤー、一千万円プレーヤーになれるチャンスがあるわけです。

この制度を一年限定にした理由は、「来年は私が……」と、全社員に夢を持って働いてもらいたいからです。

一年後には元の収入に戻りますが、年収で三千万円や一千万円をもらった実感は大きな励みになるでしょう。

ちなみに、初年度の該当者は年収一千万円の男性社員と、年収三百万円の女性準社員でした。単純に計算すれば、年間で二千七百万円の人件費が増える勘定になります。

その他の賞金を合わせると総額四千五百万円です。それによって個人の所得税は増える半面、法人税が減るために、税務署へは「今年度はこういう事情で申し訳ありません」と前もって断りを入れておきました。

ところが、その一年が終わってみると、前年よりも利益が出て、税金を多く払う結果になったのです。私は予想外の効果にびっくりしましたが、このほかの報奨制度でも同じような経験をしてきました。

そのいくつかをご紹介しましょう。

「奥様賞与および母親賞与」と海外旅行

六月の決算で利益が対前年比一〇五%以上であれば、「奥様賞与および母親賞与」や世界一周旅行などを社員に報奨として出します。

「奥様賞与および母親賞与」は、年間優秀社員に対して、妻帯者の場合は奥さんに、独身の場合はお母さんに特別賞与を渡すものです。

しかも、「会長賞」「社長賞」「専務賞」「常務賞」「支店長賞」の五つの賞があり、それぞれの役職者が賞の対象社員を選んで表彰します。

売上が対前年比一〇五・六%、経常利益が対前年比一一三・一%伸びた平成二十年六月の実績では、会長賞として百万円一名、五十万円一名、社長賞も同じで、専務賞、常務賞、支店長賞がそれぞれ一人五十万円ずつ。

そのほか、三十万円二名、二十万円五名、十万円十名、十万円以下二十五名の合計四十九名、金額にして総計八百二十八万円を支給しました。

世界一周旅行へは、男性二名が出発しました。そのメンバーはジャンケンで決めます。正社員、準社員にはみなチャンスがあるわけで、「私も行ってみたい」と張りきって働いてくれます。

六月決算後の七月、八月、九月、十月の四カ月で、前年比一〇五%の売上を達成した場合は、アルバイトを除く全社員で海外旅行へ行くことにしています。

平成二十一年は香港のディズニーランドへ出かける予定で、二十年十二月までに入社した人は正社員、準社員の区別なく行きます。

なぜ香港のディズニーランドかといえば、慰安旅行はどこへ行きたいかというアンケートを取ったところ、一位が海外で、二位がディズニーランドでした。

では、二つを一度に実現しようと思い、香港のディズニーランドへ旅行することに決めたのです。

ベンツまたはレクサスを営業車として支給

いまは、平成十九年七月一日から平成二十一年六月三十日までの二年間で、売上ナンバーワン、前年対比ナンバーワンの営業社員には、それぞれ高級車のベンツまたはレクサスを営業車として支給する社内キャンペーンを展開中です。

サラリーマンの身では、ベンツやレクサスといった高級車に乗るチャンスは滅多にありません。

頑張れば、それが実現するというのであれば、夢を持って営業活動に取り組んでくれるでしょう。

ただ、売上ナンバーワンだけであれば、だいたいメンバーが決まってしまい、全員のモチベーションが上がりません。

前年対比ナンバーワンを入れることで、売上の少ない社員でも頑張り次第では達成できるため、全員がやる気を持って仕事に取り組めます。

プロ野球を真似てビールかけ大会

私は、どういう理由で、どういうものを社員にプレゼントしようかと考えるのが楽しみで仕方ありません。

思いつくのはたいてい明け方で、閃いたらすぐすぐに枕元のメモ用紙に書き留めておきます。プロ野球の優勝チームがやる胴上げとビールかけをやろうと思いついたのも、やはり明け方でした。

平成十五年の創業四十周年事業を終えたあと、次の四十五周年目には何をやろうかと考えていたある朝、ふと浮かんだのが、「会社で胴上げとビールかけをやってはどうだろうか」というアイデアです。

弟の社長に相談すると、「それは面白い」と賛成してくれました。

ただ、やる以上は、プロ野球チームの優勝のように何か目標を決めて、それを達成した祝勝会としてやらないと盛り上がりません。

そこで、四十五周年目の平成二十年六月の決算で、業界で「個人所得日本一」「売上百二十億円」「経常利益三億七千五百万円」という三大目標を達成できたらやろうと決めて、朝礼の場で社員に発表しました。

目標は紙に書いて張り出さないと実現しません。

社員とともに、三大目標と、胴上げおよびビールかけの様子を絵に描いたポスターを作成し、各職場の目につくところに張り出しました。

「目標を達成して胴上げとビールかけをやろう」を合言葉に、社員はそのポスターを見つつ五年間仕事に励んだのですが、平成二十年六月の決算では、残念ながら売上で三億円、経常利益で一億円ほど目標に届きませんでした。

目標を達成できなかったのですから、ビールかけを中止してもよかったのですが、がっかりする社員の顔を見て、私は考えを変えました。

ほかの行事を取りやめにして、残念会というかたちでビールかけをやることにしたのです。

当日は、みんなカッパを着込んだり、帽子をかぶったり、ゴーグルをはめるなど重装備をして、京都支店の駐車場でビールかけを楽しみました。

用意した百本のビールはあっという間になくなり、私も何本となくビールを頭から浴びせられたのですが、想像以上に面白いものでした。

プロ野球の選手たちが熱中する気持ちが多少なりともわかった気がします。

「会長、ぜひまたやりましょう」という社員の期待に応じて、五十周年には五百人規模でやろうかと思案中です。

金の延べ棒をアミダくじで

北京オリンピックをテレビで観ながら、五十周年記念事業に何がよいかと考えていたときです。

優勝した選手が表彰台で誇らしげに金メダルを胸にかけてもらっている姿に感動を覚え、「わが社でも、優秀な人に金メダルを渡したら喜んでもらえるだろう」と思い、百貨店に金メダルをつくってほしいと頼みました。

すると、「金メダルをつくるのには、百八十グラムの金がいります」という返事です。平成二十年の夏頃はグラム二千八百円でしたから、金だけで五十万四千円になります。

それ以外に、金型代や加工代などがかかり、合計で百六十万円になるという話でした。

それぐらいの金額は問題ないのですが、売るとなったら、金の部分の五十万四千円の値打ちしかありません。

ちょっとムダな費用が多いと思い、金メダルの代わりに金の延べ棒を社員にプレゼントする方針に切り替えました。

純度九九・九九%の一キログラムの〝純金の延べ棒〟で、平成二十一年六月末決算から十年間で、毎年一名ずつに渡す予定ですが、私の頭を悩ませたのは、その該当者をどういう方法で選ぶかです。

アルバイトを除き、正社員、準社員を合わせると、社員数は二百五十名近くにのぼります。当初はその年の最優秀社員にと考えていましたが、それでは最初から諦めてしまう人が出てきます。

いろいろ思案した末に、勤続五年以上の社員と準社員全員を集め、大アミダくじ大会をやって一名を選ぶことにしました。

アミダくじなら、ジャンケンの弱い人、成績がいまいちの人、男性・女性に関係なく、誰にももらえるチャンスがあります。

役員会でこの話をしたら、「金庫を買わないといかんな」「旅行に行くときには持っていかないと」などと心配しだしたので、「君ら、当たってから考えや」と私がいったら、大爆笑になりました。

話題だけでこれだけ盛り上がるのですから、大会当日の盛り上がりはもっとすごいでしょう。賑やかなお祭りごとが大好きな私としては、社員と一緒に楽しめたらいうことはありません。

当選した人は、ぜひとも家宝にしてもらえたらと願っています。お金に困ったときには、もちろん売ってもらってもかまいません。

この原稿を書いている平成二十年十一月末の相場は、一グラム二千六百六十円です。一キログラムに換算すると、二百六十六万円。

ドルが不安定なだけに、もっと高騰する可能性もあります。

また、初回は勤続五年未満で参加できない人でも、あるいは、この五年間に入社してくる新人でも、十年先まで実施する予定のため、金の延べ棒を手にできるチャンスがあります。

そう思うと、楽しく働いてくれるでしょう。

おいしいものを家族にプレゼント 所得が増えるのも確かにうれしいけれども、「こんなおいしいものを食べた」「こんなところへ行った」という経験も喜んでもらえるのではないか。

そう思って、各地の高級名産品を社員の家庭に送ったり、家族連れで高級料理店に招待したりもしています。

平成二十年の例では、一月は好きな店で中華料理を堪能する神戸中華街の食べ歩き、二月は瀬戸みかん、三月は熊本すいか、四月は宮崎マンゴー、五月は選べる商品、六月は優秀社員表彰と「奥様賞与および母親賞与」、七月はカステラ、八月は松茸をプレゼントしました。

ほかにも、早朝出勤のお礼として、朝の六時半までに会社に出てきた六十三名に、名古屋コーチンよりおいしいといわれる「阿波尾鶏」の鶏肉を贈呈し、またあるときは、成績のよかった小売店の店長十人を、京都嵐山の高級料亭「吉兆」でご馳走したこともあります。

「吉兆」では一人十数万円、合計で百二十万円ほどかかり、税理士の先生が「これは経費で落ちません」と渋い顔をしたので、私はやんわりとお願いしました。

「ほかに経費を使っていないのだから、落としてもらわないと困ります」。

すると、先生は「まあ、確かにこれほど社員にお金を使っている会社を見たことがない」と納得し、「社内交際費」で落としてくれました。

社内交際費をあまりにたくさん使うので、税務署も苦笑しています。

会社設立五十周年には、世界五十カ国へ五十名をプレゼント旅行 平成二十五年には、創業五十周年が巡ってきます。

私は例によって記念行事のプランをあれこれ考えているうちに、以下のようなことを思いつきました。まず、「世界どこでも五十カ国 ~好きな国への旅行企画」です。

これは、五十周年にちなんで、五十名の社員に、世界中の行きたい国へ旅行してもらおうというプランです。

該当者を誰にするかは、やはり長く働いてくれている社員に報いるのが基本であるため、わかりやすく入社順とし、半日勤務の準社員の場合、二年で一年として計算することにしています。

勤続二十年以上の社員は七日間、十年から二十年までの人は五日間の休暇を提供し、一人分の旅行費用は会社が出しますが、予算の範囲内であれば、夫婦で出かけてもかまいません。

いつものように模造紙に書いて張り出すとともに、私の机の上に地球儀を置いて、「さて、どこへ行きたいというだろうか」といまから楽しみにしています。

「世界どこでも五十カ国」に惜しくも届かなかった次の入社順の五十名の社員には、「日本どこでも五十カ所」、つまり、北は北海道から、南は沖縄まで、日本の好きなところへ行ってもらう計画です。

一泊二日を予定しており、ゆっくり骨休みができるように有名どころの温泉地やリゾート地をリストアップしています。

上記二つの旅行をあわせると表彰者は百名となり、全社員の約三分の一。

残りの二百名の社員には、 USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)と大阪ヒルトンホテルでの夕食会を楽しんでもらう計画を立てています。

ほかに、五百名規模のビールかけ大会を京都支店で大々的にやるほか、京都支店の敷地内に物故社員の供養塔を建てる予定もあります。

先に紹介した金の延べ棒のプレゼントも五十周年の記念事業です。

仕入れ先、お得意先に対しても、五十名を海外旅行に招待させていただくほか、名産品を三年間で五回以上贈る計画もしています。

企業は三十年が一つのハードルとされる中で、半世紀を無事に迎えられるのは、私や弟の力というより、社員と仕入れ先、お得意先のおかげです。

利益の一部を還元してご恩に報いることは、当然のことといえます。

知り合いなどは、「そんなに社員らに気前よくプレゼントして大丈夫か」と心配しますが、面白いもので、社員がそのぶん頑張ってくれるため、売上と利益が増えて、かかったコスト以上に儲かるものです。

すると、またプレゼントを出し、また利益が増える……というように、経営がよいほうによいほうに循環して、会社の業績はどんどん伸びていくのです。

後から出すより、先に出す

社員に利益を還元していくうえで心がけていることがいくつかあります。

  • 先に渡す。
  • 公平に渡す。
  • たくさん渡す。
  • 会社のお金で渡す。
  • 渡したら、その場で忘れる。

順に説明していくことにしましょう。

周りの経営者はよくいいます。

「あなたのところは利益があるからできるのだ」と。そして、「利益が出たら、わが社も何%かを社員に還元するのだが……」と。しかし、それは違います。

社員を幸せにしたいという思いが強いか弱いかが重要で、私は強いから、たとえ儲かっていなくても出します。

思いの弱い人は、自分の会社が儲かったら出すかといえば、決して出しません。儲かったら、自分の懐を増やすほうを考えます。

「鶏が先か、卵が先か」ではないですが、赤字が出てしまったら、「君ら、これで辛抱しておいてくれ」とタオル一本を渡すだけでも、社員は納得がいきます。

来年は何とか百万円でも多く儲けてタオル二本にしよう、翌々年は二百万円儲けてバスタオルにしよう、という気持ちを持ってくれれば、その数字は絶対に達成できるでしょう。

一本のタオルが二百円として、千人の社員がいたら計二十万円。赤字でも二十万円ぐらいなら使えるはずで、タオル一本で社員のモチベーションが上がるなら安いものです。

景気の悪化で売上が下がって社員にタオル一本の報酬も出せないような会社は、世の中の景気がよくなったからといって、業績が上がるはずがありません。

景気というのは十年のうち八年間悪くて、よいのはわずか二年だけです。その二年の間に、景気の悪い八年間のマイナスをカバーできるはずがなく、景気と企業の業績とはあまり関係ないのです。

誰もがもらえるチャンスをつくる

の「公平に渡す」ですが、報奨制度で大事なことは、誰もが賞をもらえるチャンスを与えることです。

東京大学合格のように、一部の人間しか達成できないような難関な賞であれば、その他大勢の社員は最初から無理だと諦めて、挑戦しようとしません。

むしろ、社内がギスギスしてしまう危険さえあります。

そのため、成績優秀な社員を対象にした報奨ばかりではなく、朝礼のあとに全員参加によるジャンケン大会やアミダくじで賞品をプレゼントするのをはじめ、勤続年数による表彰、本人や家族の誕生日、子どもの進学、家の新築など、いろいろな名目を設けて、社員全員に喜んでもらえる制度を考えていかなくてはいけません。

たとえば、平成二十一年のお年玉プレゼントには、二十六インチの液晶テレビ(定価十二万五千円)を七台用意しました。

これをジャンケン大会を開いて勝ち抜いた人にプレゼントしたのです。

香港旅行や年間優秀社員を五十名近く表彰するのも、全社的な盛り上げを図るためで、努力をすれば全員が手の届くレベルの報奨を多様に設けておくと、それが目標になり、やりがいが生まれます。

私の願いは、社員全員に経営に参加してもらうことです。そうはいっても、リターンが公平でなかったら、「私らには関係がない」「どっちでもいいです」とシラける人が出てくるでしょう。

ひょっとしたら自分にも当たるかもわからないという楽しみがないと、全員にとっていい会社とはいえないと思うのです。

プレゼントはボリュームが大事

の「たくさん渡す」については、決してケチったりしないことです。金額もそうですが、量もたくさん渡します。

回数も大事で、年に一回十万円を渡すのであれば、五回に分けて二万円ずつ渡すほうが効果的です。

大砲をドカーンと一発撃つよりは、毎月、これでもかこれでもかとピストルをバンバン撃つ。そうすれば社員の記憶に残るために、みんなよく働いてくれ、利益も勝手に上がります。

平成二十年の夏には、「夏休みプレゼント」として、社員の子どもさん(〇歳から大学四年生まで)の二百六名の全員に、メッセージを添えて「じゃがりこ」十二個入りのケースをプレゼントしました。

一家に一箱ではなく、一人に一箱です。そうしないと、兄弟の多い家庭では、年上のほうが独り占めして、年下には行き渡りません。みんなが平等にもらえるように、全員にプレゼントするほうが喜んでもらえます。

また、朝のジャンケン大会の賞品には毎回、キャンディー袋が十袋詰まっているケースを十箱出します。

すると、勝ち抜いた独身の社員が「これだけのキャンディーをもらっても食べきれないので、一箱だけでけっこうです」と、九ケースを返そうとしたことがありました。

私は「そうじゃないよ」と説明しました。

「君には兄弟もいれば、親もいるだろう。隣近所の人たちもいるだろう。持って帰ってそういう人たちに分けたら、そこで会話が始まる。そのために、わざわざ十ケースも渡しているのだから、持って帰りなさい」 そういうと、本人は「よくわかりました」と納得して持って帰りました。

隣近所に分けたかどうかは聞き漏らしましたが、もらった人はたいてい、「これだけのキャンディーをどうしたのか」と聞きます。

「会社の朝のジャンケン大会に勝ってもらった」といえば、その人は「いまどきそんな会社ないよ」と吉寿屋に関心を抱いてくれ、「そういう会社なら、自分の子どもも働かせよう」と思ってくれるかもしれません。

このように、キャンディー十ケースが話題になり、人と人とのつながりが広がり、会話が弾めば、私としては大満足です。そのために、ボリュームは大事なのです。

もうひとつ、例を挙げましょう。

吉寿屋では、社員の子どもの入学祝いを、幼稚園に始まって、小学校、中学校、高校、大学まで五回にわたって支給します。

義務教育の間は、公立の学校に行っているかぎり、授業料は基本的にいらないので、文房具などの物をプレゼントし、高校生以上になると、正社員の子弟には高校生・専門学校生 =月額一万円、大学生 =月額二万円、準社員の子弟にはその半額を授業料の補助として支給しています。

ある社員の家庭では、一番の上の子が幼稚園や小学校に入るときに百貨店の包装紙に包まれた祝い品をもらうのを見ていた下の子が、こういったそうです。

「お父さん、僕が学校行くまで、会社辞めんといてな」。

そういう意図で渡しているわけではないのですが、社員が子どもにせがまれて長く勤めてくれるという思わぬ効果もありました。

マイホームを購入した社員には、上限百万円の祝い金を支給します。

家を買ったときには、家そのものの費用以外に、登記費用や引っ越し費用、家具やカーテン代などの諸費用が必要です。

学費もそうですが、お金のいる大変なときに援助をする。それも、たくさん出すのが私の流儀です。必要なときには、たくさんもらったほうがありがたいですし、誰でもうれしいからです。

会社のお金ですることに値打ちがある

の「会社のお金で渡す」については異論もあるようです。

経営者によっては、「社員へのプレゼントは自分のポケットマネーですべきだ」と考える人もいるかもしれませんが、私は反対です。個人のお金では大きなことができず、長続きもしません。

無理して個人で出すと、「プレゼントしてやっている」という恩着せがましい気持ちになることもありますし、社員も経営者に気を使うようになります。

自分たちが一生懸命に働いて稼いだお金を会社から還元してもらえてこそ、社員の喜びは大きくなるのです。

社員が頑張ってくれて、現状より売上が一%伸び、粗利が一千七百万円増えたとしましょう。損益分岐点を超えているため、経費はせいぜい七百万円で、一千万円が純利益です。

その一千万円を社員に還元したとしても、原資は会社が出すお金ではありません。社員が頑張って稼いだお金です。

ふつうなら内部留保に回そうと考えがちですが、社員が儲けたお金を還元するだけと思えば、気軽に出せます。

あるとき、臨時ボーナスで最高の五百万円をもらった社員が、「ありがとうございます。明日から頑張ります」とお礼をいいにきたので、笑って答えました。

「お礼なんていう必要はない。君が儲けたお金を君に返しているだけだから」と。

その社員は満足そうな顔をしていましたが、私にすれば、何もしていないのにお礼をいってもらえるのですから、いちばんいい役です。

このように、会社の経費を使って報奨を出すほうが、社員にすれば、自分たちが儲けたお金のリターンであると受け止められます。

遠慮もいりません。「頑張って次ももらおう」「もっと利益を上げて、高価なものをもらおう」と、仕事への強いモチベーションになり、好循環をつくり出すエネルギーになるわけです。

最後の 「渡したら、その場で忘れる」については、私がストレスを溜めないように考えついた結論です。

もしも覚えていたら、顔を合わせたのに何もお礼をいわない社員がいると、「何と失礼なやつだ」と腹が立ち、次からは出せなくなってしまいます。

忘れることで、長くプレゼントを続けることができるのです。むしろ、これまでの頑張りに対して私がお礼をいうべきでしょう。

ところで、社員みなさんが儲けたお金を私が使って報奨しているのに、礼状をたくさんいただきます。

本人はもとより、奥さんや子どもさん、お母さんなどから直筆の礼状が届き、恐縮するとともに、それだけ喜んでもらえたのなら、次は何をプレゼントしようかと新しいプランを考えるのが楽しみになります。

会社の業績を社員にオープンにする

中小企業の経営で大事なことは、業績を社員に必ず発表することです。それも、年一回の決算の数字だけでなく、月次決算を社員に報告するようにしています。

上場している大企業の場合は、半期ごとの業績が新聞紙上などで公開され、誰の目にも触れますが、中小企業の場合、業績がベールに包まれており、自社がどれだけ売り上げているのか、利益がいくらなのかといった数字は、社員には把握できません。

「そうした経営上の数字は、社長や経営幹部だけが知っておればよい」という考えの経営者もいますが、社員に業績の数字を知らせないと、なかには、「うちの会社は大丈夫だろうか」と不安に思う人が出てきます。

誰か一人でも不安な気持ちを持てば、何かをきっかけにして、その不安感が一気に職場内に伝播し、社員の士気の低下につながってしまいます。

わが社では、月に一回の役員会議や店長会議の席で、前月の売上高、利益などを報告し、月次決算書などの資料を渡して、疑問があればきちんと説明します。

役員や店長には、それぞれの職場へ戻り、あらためて部下や社員に経営数字を伝えてもらうようにしています。

それとともに、もうひとつ、わが社ならではのシステムがあります。

月一回の役員会議は、本社で朝の六時から八時半までの二時間半おこなうのですが、その席に、九人の役員に加えて、全社員を代表して正社員一名にも参加してもらいます。

その代表者はいつも同じ人ではなく、毎回交代してもらい、年間で十二名の正社員に役員会議の席に座ってもらうわけです。

正社員はもとより準社員も、いったい役員会議でどういう話をしているのか、興味があるはずです。

場合によっては、自分たちだけでうまいことをやっているのではないかと勘ぐる人もいないとはいえません。

そこで、全社員を代表して一人の正社員に出席してもらえば、話の内容や雰囲気などを職場の人たちに伝えてもらうことができます。

月次決算の内容もみんなに話してもらえるでしょう。

「役員たちはこういうことを話しているのか」「会社もちゃんと利益が出ているのだな」とわかってもらえれば、みんなも安心し、会社に対する信頼が増します。

業績がさらに上がることはいうまでもありません。

また、毎年十月には、社内報『一流』の号外を出し、前期(前年七月一日からその年の六月三十日まで)の決算報告書というかたちで、売上と経常利益の数字、ならびにそれぞれの対前年比を掲載します。

通常、社内へは売上 ○ ○ ○億円などと概算で公表している会社が多い中で、わが社はどちらも一円の単位まで明記しています。信憑性のある数字を社員に知ってもらいたいためです。

かつて社員数が二十五人くらいの同族会社の専務さんと話をしたところ、「売上も利益も教えてもらっていない」といわれ、「ナンバー2である専務が、会社の売上や利益の数字を知らないとは……」と一瞬信じられませんでした。

その専務さんは同族でなかったからでしょうが、「吉寿屋さんがうらやましい。なぜ、わが社も公表してくれないのか」と嘆いておられました。

経営数字を社内にオープンにするのを躊躇する会社はまだまだ多いようです。

社員を「さん」づけで呼ぶ

最近は上司・部下に関係なく、「さん」で呼ぶ会社が増えてきたといいます。それまで、男性の部下を「おい、 ○ ○」と呼び捨てにしていたのを、「 ○ ○さん」ときちんと丁寧に呼ぶように変わってきたのです。

私は、自分の親でもない人間から「おい」呼ばわりされたり、呼び捨てにされるのは不愉快であろうと思い、創業五年目の昭和四十四年頃に、自分から「さん」づけで呼ぶように変えました。

すると、職場の雰囲気が和やかになり、仕事の能率もずいぶんアップしました。

いまでは、部下が上司を呼ぶときは役職名で呼ぶときもありますが、部下に対しては、男性でも女性でも「 ○ ○さん」と呼ぶのが社内では当たり前になっています。もっとも、最初は照れくささもあって、なかなか浸透しにくかったことは事実です。

そこで私は、カレンダーの裏に一人ひとりの名前を列記し、「さん」づけ呼称ができた人には ○、できなかった人には ×、四 ~六割できた人には △を付けて、ひと月ごとに貼り出したところ、半年ぐらいで全員が「さん」づけで呼べるようになりました。

一年もすればすっかり定着し、いまや〝吉寿屋の伝統〟といえるほどに根づいています。もう二十年ほど前です。

ある大手メーカーの担当者が、わが社が「さん」づけで呼んでいることに感動し、会社へ帰って自分も実行したそうです。

それまでは部下を「おい」とか「 ○ ○」、よくて「 ○ ○くん」と呼んでいたのが、「 ○ ○さん」と呼んだら、「部下の返事がすぐによくなった」とうれしそうに話してくれました。

やはり、部下も「さん」づけで呼んでもらえることがうれしかったのでしょう。私は、これはいいことだと思って、即、実行に移したその方は偉い人だと感心しました。

よいと思う人はたくさんいても、すぐに実行できる人はそうそういません。彼は私の見込んだとおり、若くして役員になりました。

社員に仕事を任せ、責任はトップが取る

「仕事は、社員に任せないとできない」と頭ではわかっていても、部下に任せきれない経営者を見かけます。「君に任せるよ」といいつつも、気になって仕方ないのでしょう。

任せたはずの社員に対して、あれこれ口を挟み、結局は自分がリードしてしまうと、「任された」と思って張り切っていた社員は、「何だ!」と心の中で不満に思い、二度と自分から積極的に仕事をしなくなります。

任せることで、人は育ちます。一つの業界で長く生き、日々の業績に追われている経営者の目からすれば、社員のやることは頼りなげに見えて当然ですが、任せた以上は、片目をつぶって見ておく。

ときには、失敗もします。私も何度も経験しましたが、それを心配していたのでは、いつまで経っても任せられません。失敗も経験のうちと捉え、万一のときは経営トップが責任を取ればよいだけの話です。

だいいち、多くの中小企業では、社員には責任を取らせるだけの所得と権限を渡していないのですから、社員としても責任を取れるはずがありません。あるとき、こんなことがありました。

営業社員に「このお菓子は百円で売るように」と指示し、お得意先との交渉を任せたところ、お得意先から強く要望されて、九十七円で売る契約をしてきました。

わが社としてはその商品を九十円で仕入れており、百円で売ってやっと一 ~二%の利益が出るわけで、三円の値引きをしたら、売れば売るほど赤字になってしまいます。

だからといって、値引きした営業社員の責任を追及しても仕方ないのです。

なぜなら、会社の経営数字については発表していますが、営業社員一人ひとりがそれを細かく分析し、個別の商品について、これだけの経費がかかっているから、儲けるにはこの値段でこれだけの量を売らないといけない、とまでは考えていません。

もしもそういう社員がいたら、独立して自分で商売をやっているでしょう。中小企業では、そのような細かい分析は経営者がやるべき仕事です。

社員にそのレベルまで求めるのは難しいし、求めたところで、いくらの価格でどれだけ売ればいいのかと悩んでしまいます。

そのあたりは経営者がきちんと計算し、いくらでどれだけ売れば、いくらの利益が出ると指示したうえで任せれば、大きな失敗をすることはありません。

人はほめて育てる

私は、社員を怒ることは滅多にありません。どの社員にも、奥さんや子ども、親など家族がいます。もしも社員の肉親が私に大声で怒鳴られている社員の姿を見たら、どれだけ悲しむでしょう。

それを想像しただけで私は怒ることができません。怒るのではなしに、「こうしたらいいのと違うか」とアドバイスをしつつ諭す。

そういう話し方をすれば、家族が見ていたとしても悲しまずにすみますし、本人も納得しながら聞いてくれます。

失敗を犯したときは、本人はそのことを十分に認識して、心の中で「失敗したなあ。次はちゃんとやろう」と反省しているものです。

そのとき、わざわざ失敗を取り上げて、「ああだ」「こうだ」と怒られたら、「次は失敗を取り戻そう」と前向きになっている気持ちがしぼんでしまうに違いありません。

孫の運動会を見に行ったとき、四人で走ってビリだった子どもを、「なんて足が遅いの!お母さん、恥ずかしい」と叱っている母親がいました。

かわいそうに、子どもはシュンとしてうつむき、泣きべそをかいています。そうではなく、「あなたも速かったけれど、ほかのみんなもすごく速かったわね。ほかの子がいなかったら、一番になれているわよ」とほめてあげたら、子どもはどんなに喜ぶことでしょう。

私は朝早く倉庫に入って女性社員を見かけると、「今日は美しいね」と声をかけます。「美しいね」とほめられて、怒る女性はまずいません。

男性でも、どんなに自分では「ぶさいくだ」と思っていても、「ハンサムだね」とか「男前」とかいわれたら、頬の筋肉が緩むのではないでしょうか。

私が「今日は美しいね」というと、笑いながら「今日も、でしょ」と切り返してくるなど、朝から気分よく仕事がスタートします。

ほめるのが人を育てるコツで、怒っていては、人は育ちません。ほめてやる気を出してもらえば、失敗などすぐに取り戻せます。だから、怒ったら損です。

改善提案は八割がた実行する

「KAIZEN」が世界共通語になっているように、日本では改善活動が活発で、それを可能にしているのが社員からの改善提案制度です。

ただ、トヨタのような超一流の企業であれば、自発的に改善提案がたくさん出てくるでしょうが、中小企業の悩みは、掛け声をかけても、思うほどに提案の数が出てこないことです。

それも無理はありません。

もともと中小企業は少ない人数で仕事をしていて忙しいうえに、提案してもなかなか採用してもらえないためです。

しかし、一般に社員から出てくる提案は、日常のこまかな改善案が多いので、大きな予算を必要としないものなら、ハードルを下げてどんどん採用していけば、社員のモチベーションも上がるはずです。

わが社では、社員が提案を出せば、一件につき二百円を支払うだけでなく、「とりあえずやってみる」のが原則です。

そして、すぐれた結果を出した提案には、二万円 ~五万円の報奨金を出します。

最近では、壁面に道具をぶら下げていたのを、専用の収納箱をこしらえて納めた提案や、昼食後に歯磨きする人のためのスペースを設けるという提案などが実行されました。

わが社の大きな特徴は、小売り、配送(流通)センター、事務、営業など各部門で個別に提案制度があり、部門での提案に関しては、実行するかしないかを部門の責任者の判断に任せています。

現場のことはその現場で働いている人が一番よく知っている以上、私はいっさい口を挟みません。もし他部門でも共有できる内容であれば、責任者同士が話し合って広げていけばよいのです。

細かい申請数までは把握していませんが、部門ごとに大半の提案を実行するために、それなりのお金がいります。

それに必要な資金は、日々大量に出る段ボールを売ったお金をプールしておき、そこから好きなように使ってよいことにしています。

気兼ねなく使えるお金なので、各部門長もそれだけ実行しやすいのでしょう。知らない間に、いろいろなところで改善が進んでいます。

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