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第四章どう行うのか?

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第四章どう行うのか?

前章で、「出来ない理由」「やらない目的」「やらないとどうなるのか?」を検討しました。

•そのうえで、最終的に「フィードバックする」と“自分の意思で”選択します。

「組織のために向き合おう」「部下のために伝えてあげたい」「伝えないと自分が納得できない」など、目的意識をもって臨みましょう。

※やらされ感で行うネガティブフィードバックは、効果がないだけでなく、その態度が伝わり、相手との信頼関係が毀損するリスクがあります。

「耳に痛いこともフィードバックする」と決めたら、コミュニケーションプラン(伝えるための戦略・戦術)を立てます。

ポジティブなフィードバックは、賞賛の気持ちを素直に表現するだけでも一定の効果があります。

一方、ネガティブなフィードバックは準備を怠ると「ただ相手のモチベーションを下げ行動は変わらない」「感情的に対立して喧嘩腰になる」「お互いが責任転嫁して泥沼化する」など、百害あって一利なしの状態になる危険性があります。

•本章以降では、具体的なフィードバック面談の構造・マインドセット・スキルセットを解説します。

※シチュエーションは、期待通りの成果が創出できない部下に対する上司からのフィードバックを想定しています。

  • 「年度末の評価フィードバック」
  • 「年度初めの目標設定」
  • 「期中の進捗確認」
  • 「1on1」
  • 「キャリア面談」
  • 「辞令通知(異動・出向・昇降格)」

など、上司部下で仕事の成果や目標に関して話し合う機会は多いと思います。

■改善が必要な際のフィードバックに関する構造は下記の通りです。

  1. 面談の「趣旨を伝える」
  2. 部下の「自己評価を聴く」
  3. 上司の「期待・評価を伝える」
  4. 評価のギャップをお互いが「認識・受容する」
  5. 改善に向け「意思の有無を確認する」
  6. 改善計画を部下が立て「合意する」
  7. 改善されなかった場合の「可能性に言及する」
  8. 改善に向け「プロセスを構造化する」

次章では、現場で起こりがちな失敗(ダメな例)も交えて解説していきます。

8ステップの構造とダメな例(例:部下へのフィードバック面談)

1.面談の「趣旨を伝える」

大前提として面談者側がゴールイメージを持っておく必要があります。「フィードバックを通じて、どういう問題(ギャップ)を解決したいのか」「どういう行動を改善して欲しいのか」など。

そのうえで、面談の趣旨(例:半期の活動や業績レビュー/今後のキャリアを話し合う/来期の目標設定等)を、予め伝えて部下に心構えをしてもらいます。

■ダメな例:「今日は厳しいことを言ってやろう!」と上司が勝手に決めて「◯◯君、ちょっといいか?」と本人を唐突に呼び出し、相手の心の準備が整わない状態で一方的にマイナス面を指摘する。

上司としては、相手に防御や言い訳をされたくない心理かもしれませんが、不意打ちだと「改善に向けた合意」「事前の内省」が得られません。

2.部下の「自己評価を聴く」

面談の趣旨に即して、まずは部下の評価や意見を聴きます。上司は極力予断を交えず、真剣に【傾聴(耳と心を傾けて聴く)】します。

先に上司の評価や意見を伝えてしまうと、部下にバイアスがかかってしまい、本音が引き出しにくくなります。

■ダメな例:最初から上司の結論ありきで、本人の話に興味を持たない/遮る/論破する姿勢を示すと、部下は「言っても無駄だ」と心を閉ざし、本音や本質的な問題点が分からなくなります。

特に頭が良く忙しい上司ほど、結論を急いで食い気味に部下の意見へ反論や否定をしがちです。「虫がいい」「言い訳だ」と感じる意見でも、一度は最後まで聴ききりましょう。

3.上司の「期待・評価を伝える」

本人の自己評価を確認したら、上司側の期待と評価を伝えます。期待を下回っている場合は、変にオブラートに包まず真摯にフィードバックを行います。その際は、「具体的な事実や言動」に基づいたフィードバックを心がけましょう。

■ダメな例:抽象的なフィードバック(主体性が無い、協調性が低い、など性格面のみで具体性に欠ける指摘)は、部下もどうすればよいか分かりません。

また、葛藤を避けた回りくどい言い方だと、「結局、何が言いたいのか?」が伝わらず、部下は「要はこのままで良いのか」と改善しなくなります。

4.評価のギャップをお互いが「認識・受容する」

評価に関しては、下記4つのパターンがあり得ます。

A「上司の評価が高い」×「部下の自己評価も高い」ギャップなしB「上司の評価が高い」×「部下の自己評価は低い」ギャップありC「上司の評価が低い」×「部下の自己評価は高い」ギャップありD「上司の評価が低い」×「部下の自己評価も低い」ギャップなし•フィードバックが一番難航するのは圧倒的にCパターンです。

この場合は「ギャップが生じている事実と理由」を認め、双方が納得できるまで話し合う必要があります。

いきなり部下の自己評価を否定しても効果が無いので、「なぜそう評価したのか?」「なぜ上司との評価にギャップがあるのか?」を本人に考えてもらい、話してもらうことが有効です。

※面倒で難しい作業ですが、ここを避けて表面的な改善策を立てても何の意味もありません。

•B(部下の自己評価が低い)の場合は「自己評価が低い理由」を確認します。

「目指しているものが上司の期待より高い」なら実現を応援し、「自分に自信がない」なら不安を一緒に払拭します。

•D(上司も部下の評価も低い)の場合は「どうすれば改善できるか一緒に考えよう」と合意が得やすく、問題は具体策だけです。

■ダメな例:「こんな数字じゃ困る」「どう挽回するつもりだ」など、ギャップを責めるような態度は相手の態度を硬化させるだけで意味がありません。

一方、「その通りだ」「あなたも頑張っているよね」など、部下の自己評価に引っ張られて迎合してしまうと、その後のフィードバックが論理矛盾を生じます。

落ち着いて、ギャップが生じている事実に向き合いましょう。

5.改善に向け「意思の有無を確認する」

ネガティブフィードバックが改善効果を発揮するには、1点条件があります。「本人が、改善や変化したいと思うこと」です。

『馬を水辺に連れていけるが、飲みたくない馬に水を飲ませることはできない』(Youcantakeahorsetothewater,butyoucan’tmakehimdrink)「変わりたくない」「改善する必要性が分からない」という状態の部下に、どれだけ熱心にフィードバックをしても、上司がパワハラのリスクを抱えるだけです。

「上司の私は改善や変化を期待しているが、あなたにその意思はあるか?」と問いかけて、自分の意思で選択してもらう必要があります。

その際には、単なる「Yes/No」のクローズクエスチョンではなく、部下自身の言葉で語ってもらうオープンクエスチョンをすることが重要です。

「変わりたくない」「改善の意欲が見られない」場合は、後述する「改善されなかった場合に起こりえる可能性」を伝え、理解してもらいます。

■ダメな例:上司が長々と説教・説得し、最後に「分かったか?」とクロージングする。部下は「Yes」以外の選択肢がない上に、「どう分かったのか?」が不明です。フィードバック面談では、上司がつい饒舌で一方的になりがちです。感覚的には、6割は部下の言葉で話をさせましょう。

6.改善計画を部下が立て「合意する」

改善する・しないの選択後は、改善計画を部下自身に立案してもらいます。

内発的動機づけを高めるには、「自分で決められる」という【自律性】と、「環境や状態を自分でコントロールできる」という【有能感】が重要と言われています(心理学者:エドワード・L・デシ)。

内容以前の問題で、上司が設定した計画だと「自分が決めた」「コントロールした」というプロセスが無いため、内発的動機づけがされません。

部下が立てた計画を基に、上司がアドバイスとブラッシュアップを行います。

また、自分で計画を立てることで「自分が立てた計画は実行したい(実行しないと気持ち悪い)」という【一貫性の法則】も期待できます。

■ダメな例:上司が全部計画を決めてしまうと、部下は「失敗しても、上司が決めたことだから自分に責任はない」「上司の無能を証明するために失敗させたい」という心理が働きます。

計画を修正する場合も、上司が最終決定するのではなく本人に決めさせる・選ばせる・書かせるというプロセスを加えることが重要です。

7.改善されなかった場合の「可能性に言及する」

5「意思の有無を確認する」と連動しますが「改善しない場合、どうなるのか?」を伝えるのも重要なフィードバックです。

※日本企業および上司の多くは、特にここが苦手(または無い)です。

会社組織に所属する以上、期待される行動や貢献が出来ない状態が続けば、組織運営に支障が出ます。その状態を解消するために、本人の変化が難しい場合は、処遇を変更する必要があります。

※処遇変更には「役割の変更(配置転換・異動)」「賃金の変更(降格・降給)」「所属の変更(出向・転籍)」「雇用の解約(退職勧奨・解雇)」などがあります。

こういう話をすると「部下が可哀そう」「反発されそう」という意見が出ることもありますが、ギャップが出ている状況で放置され続ける/叱責され続ける方がもっと可哀そうです。また、その状態を放置すると周囲(同僚や顧客)の負荷や反発も強くなります。

•処遇の変更に関しては、事後報告ではなく、事前に可能性を言及しておきましょう。変更を望まないのであれば、本気の改善が必要な旨を理解してもらいます。

■ダメな例:「改善しない場合」の変更が何もないフィードバックは、本人が健全な危機意識を持ちません。

特に成績不振者へのネガティブフィードバックの場合、「改善して昇格・昇給しよう」というアプローチに興味を示さないケースが多いです。

人間は、手に入る可能性より、失う可能性に対して真剣になる傾向があります【プロスペクト理論】。

無理に不利益変更をしましょう、という意味ではなく「提供できる行動や貢献に見合った処遇にする」という信賞必罰の姿勢が会社の本気度を伝え規律を守ることになります。

8.改善に向け「プロセスを構造化する」

ギャップを認識し、改善への合意が得られたら、改善行動が習慣化するための「プロセスの構造化」を行います。

本人にとってネガティブフィードバックで指摘された内容は、「今まで出来ていなかったこと」「今後も出来れば避けたいこと」の可能性が高いです。その場では「分かりました。頑張ります」と決意しても、なし崩しに終わるケースも多いです。

•それを防ぐために行動計画を「定点観測する仕組み」を作ります。

「定点観測する仕組み」は、アプリやクラウドシステムへの入力や可視化も有効ですが、機械だけのフォローは、本人も飽きやすいです。一番効果的なのは「人による確認とフィードバック」です。

■人による確認方法としては下記があり得ます。

「上司との1on1(出来れば、短時間でも週1回以上)」「メンターによるフォロー面談」「同僚同士の報告会やグループミーティング」「人事やキャリアコンサルタントによるカウンセリング」「コミュニティ(リアルでもオンラインでも)での相互支援」「社内イントラやSNSでの定期報告」「出来ていたら賞賛される」・「出来ていなかったら指摘される」というフィードバックが続くと、実行が習慣化されていきます。

■ダメな例:「本人が言ったのだから、当然やるだろう」と放置すると、「やってもやらなくても同じ」という状態になり、行動が止まります。

また、「思いついたら確認」より「最初から、確認の仕方・タイミングを決める(構造化する)」方が本人も意識するようになります。

 

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