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第十章エンスージアズム(熱意)が人を、そしてあなたをも動かす

目次

エンスージアズム(熱意)の偉大な力

エンスージアズム(熱意)は、説得の道具として優れたものである。

エンスージアズムを込めて頼みごとをし、ここで提示するいくつかの心理的な要素を加味すればあなたの依頼に相手は抗しきれなくなる。

エンスージアズムが相手に働きかけるためには、あなたに、相手の役立ちたいという正直な願いが込もっていることが大切で、あなたが相手に期待する好意も、相手にとって利益となるものでなければならない。

職探しのうえでは、まったく知らない相手と理解し合うことがポイントになる。

未知の相手との急速な発展の可能性の一つひとつを念頭におきつつ、これから述べる職を得るための秘訣に従うようにするとよい。

仕事の選択においては、自分自身を表現できるようなものを選ぶように心がけること。

それが、富と心の平安への一つのステップなのである。

私が以前に書いた手紙を例に挙げよう。

これらの手紙は「エンスージアズム」に関する講義には格好の素材である。

エンスージアズムとは、人に、「行動」を起こすように刺激を与え、ヤル気を喚起させる心の状態のことをいう。

これはすべての感情の中で、最も伝染性が強いもので、この感情がうまく作用すれば、相手の賛同を得たり、相手の行動を促したりする場合に非常に効果的である。

さて、私が書いたそのままの手紙をお見せしよう。

手紙の文章は、多少時代遅れかもしれないが、本質的な内容については十分理解してもらえると思う。

同じ目的で書いた二通の手紙について、その背景をも述べたいと思う。

「親愛なる○○様私は目下『サービスの売り方』(〝HowtoSellYourService〟)という新しい本の原稿を完成させつつあります。

この本は数十万部売れる見込みがあり、購入した人は、個人サービスのマーケティングの方法中の最適なものとして、あなたからのメッセージを喜んで受け取ることでしょう。

したがいまして、ほんの少しでもお時間を割いてくださり、私の本の中に短いメッセージを入れていただけませんでしょうか?これは、私個人にとりましても大変助かりますが、この本の読者にも感謝されることと存じます。

ご配慮くだされば、幸甚に存じます。

○月○日敬具」「親愛なる○○様あなたのような成功者になれなかった数十万人の人々のために、激励のメッセージ、ないしはアドヴァイスの言葉をお送りいただけませんでしょうか?私は、『サービスの売り方』という本の原稿を間もなく完成させます。

この本の主要点は、提供したサービスは〝原因〟であって、給料は〝結果〟であること、後者は前者の脳力に応じて変わるというものです。

この本は、あなたのように、裸一貫から世界的な地位に昇られた方々のアドヴァイスの言葉なくしては、完成したとは申せません。

ですから、個人サービスを売る人々の心に留めておくべき最も大切なポイントについて、あなたのお考えをお書きくだされば、私はそのメッセージを、私の本を通して伝えたいと存じます。

そうすれば、世界中の、自分に最適な仕事を見つけようと非常な努力をしている熱心な人々にとって、この上なく有益なものとなりましょう。

多忙なお方だとは重々存じておりますが、短い手紙を秘書に口述筆記してくださるだけで、おそらく五〇万の人々に重要なメッセージを送ることができるでしょう。

金額に換算すれば、手紙に貼る二セント切手代の値段でしかなくとも、あなたのメッセージを読み、それを信じ、それに従って行動する多くの人々にとっては、成功と失敗の差の分だけの価値があるでしょう。

○月○日敬具」

二つの手紙で、私は同じことを述べたのだが……

、……二番目の手紙には、静かな、しかし確固としたエンスージアズムがあり、心から心への暗示の効果がある。

結果的に二番目の手紙はうまく目的を達した。

両方の手紙とも、世界的に成功して名をあげた八人から一〇人の人々のところに送られたものである。

ヘンリー・フォードやトマス・R・マーシャル(当時のアメリカ合衆国副大統領)などにである。

二番目の手紙は、最初の手紙の間違いに気づいたあとで書いたものだが、手紙を送った全員から返事をもらうことができた。

そして、その返事のいくつかは非常に内容の濃いもので、私の本に載せる貴重な資料として、私の期待以上のものであった。

さて最初の手紙も、まったく誠意がないというものではない。

しかしこの場合、エンスージアズムがうまく働いていると言えるだろうか?自分本位の依頼になっていないだろうか。

自分に対する好意があれば、人は依頼を受けてくれるものと期待するのは、ある程度もっともなことだ。

しかし実際には、相手が依頼を受けてくれるのは、好意を示すことによって、相手のほうにも利益があるときにかぎられるはずである。

たとえ話をしよう。

私が滑り止めのついた靴を通信販売で売っていたとする。

そこで、私は客に「この靴を十日間履いてみて、滑るかどうか試してみてほしい」という依頼の手紙を送るのである。

すると客は、私のリスクでその靴を試すことができる。

そうして十日間履いてみて、滑ることがなければ、客はリスクなしで素晴らしい靴を見つけたことになる。

客はどう思うだろう?本論に戻ろう。

一番目の手紙の最後の文章を見てほしい。

「ご配慮くだされば、幸甚に存じます」と書いてある。

この部分は、書き手が断られるのをなかば予想しているように、読み手に連想させてしまう。

さらにこの書き手は、忙しい人間がわざわざ手紙を書く理由については、ほとんど突っ込んで書いていない。

その本を買って読んだ読者は喜ぶかもしれないが、それは(相手を説得するにあたって)的を射ているとは言えず、手紙そのものの訴求力を高めるにいたっていない。

この手紙全体から思い出すのは、いつか私に『サタデー・イヴニング・ポスト』の購読を勧めたセールスパースンのことである。

彼は、その雑誌を一部取り出して、「私を助けると思って『ポスト』をとってくださいよ」と言ったものだ。

彼が私に訴えたのは、彼の都合、ただそれだけである。

私の都合については何ら考えていなかったのだ。

さて、二番目の手紙を見よう。

最初の文が疑問形になっていることに注目してほしい。

答えは一つの方向(=イエス)しかあり得ないような質問である。

しかも、この質問で手紙全体の趣旨がすぐわかるようになっている。

その次には、私自身と私の事柄について短く述べてはいるが、ほとんどは相手をおのずとうなずかせる説明で占められている。

私は相手の立場に立って、相手の言葉で話しているのである。

たとえ相手が、給与に関して、原因・結果の観点から考えたことがなくても、相手にとってポイントが明確で、肯定できる考え方と言えるはずである。

その次の段落は、お世辞が入っているとも言えるし、真実以外の何ものも入っていないとも言える。

私が手紙を書いた相手は、本当に裸一貫から世界的な地位まで昇りつめた人々なのである。

これを認めたうえで、私の依頼に沿うほうへと心理学上の旅の第一歩を踏み出せたのである。

次に依頼そのものの文章がくる。

私でも相手でもなく、第三者へのサービスという観点の中に、依頼の趣旨が含まれている。

最終段階は、二セントの切手代しかかからない依頼なら断ることができないだろう、という暗示を巧妙に隠している。

先方は、自分よりも幸福でない人々と比べて考えると、その依頼を断るわけにはいかないという気になる。

これは相手にとって、無碍にクズ籠に捨てられるような手紙ではあるまい。

もしそんなことをすれば、相手の良心は、何がしかの痛みを感じるはずである。

結局、手紙を受けた人は、自分のメッセージを読みそれを信じ、それに従う人々のために、依頼を引き受けざるを得ないのである。

こうして私は、貴重な返事を手にすることができた。

私が手紙を出した人々は、たった一つの例外を除いて自ら返事をくれたのだ。

例外とは、セオドア・ルーズベルトだった。

彼は秘書の署名で返事を送ってきた。

ジョン・ワナメーカーとフランク・A・バンダーリップの返事には、特に素晴らしいメッセージが書かれていた。

ウィリアム・ジェニングス・ブライアンとノースクリフ卿のは丁寧で立派な手紙だったし、そのほかの人々もそうだった。

そのうえ、全員の中でもともと私のことを知っていたのは四人だけだった。

大半の人は、私に義理のない人々なのである。

にもかかわらず彼らは、価値あるサービスを大勢の人に与えるのだと知って、自分が満足するために書いたのである。

これが一〇人の大したことのない人だったら、私の手紙は直ちにクズ籠に投げ込まれていたことだろう。

私が知っていた本当に立派な人は、ほかの人たちにサービスすることで有名な人だった。

彼らは、その評判どおりの行動を示したのである。

プラスアルファの力を生むエンスージアズムの秘密

あなたは別に、セールスパースンではないかもしれないが、いつだって自分自身を売っているという点では、同じようにエンスージアズムが重要である。

あなたは何かについて、誰かを説得しなければならないことなど、別にないと思うかもしれない。

しかし、そうではない。

自分自身の売り込みに成功するかどうかは、あなたの考えを正当に、きちんと理解してもらえるかどうかにかかっている。

そのことを明らかにしてみよう。

あなたは、何かについて、自分自身を説得する理由はないと思うかもしれない。

しかし、この深い潜在意識に「信念」をもたらし、あなたに人生の〝大いなる秘密〟の使い方を教えるのは、この自己説得というプロセスなのだ。

私が、エンスージアズムについて話すことからこの章を始めた理由もそこにある。

エンスージアズムは、説得の大いなる手段である。

そのエンスージアズムが他人に向けられていようと、自分自身に向けられていようと本質的には変わりはない。

エンスージアズムは、自動的に深層自己説得となることがよくある。

長年、私は書き物はほとんど夜にしていた。

当然のことだが、数時間書いていると疲れるのだ。

ある夜、一つの作品にかかっていると、体内にエンスージアズムがみなぎってきた。

目を上げて窓の外のマジソン・スクエアの夜景を見ていると、メトロポリタン保険会社のタワーが目に入った。

タワーには、不思議な、銀色がかった光が反射していた。

私は最初、それを月だと思った。

しかし、月がこんな奇妙な色に光るのはそれまでに見たこともない。

なんとそれは月ではなく、太陽だったのだ!私は一晩中執筆を続けたにも関わらず、エンスージアズムのお陰で時間経過を誤解するほどに疲れを感じなかったのである。

そればかりか、エンスージアズムにみなぎった私は、引き続き翌日も執筆を続けることができたのである。

その夜もやはりそうだった。

私はときおり、手を休めて軽い食事をとるだけだった。

そうして仕事が完成すると、いつものように疲れを感じた。

エンスージアズムは、心と身体のすべてにエネルギーを与える重要な力である。

どんな深層自己説得でも構わないから、エンスージアズムを、あなたの体内の一部に取り込んでしまうといいだろう。

エンスージアズムは伝染する

「エンスージアズムの伝染」について述べてみたい。

アイディアを「売る」ためのまるで魔法の力とも言えるものである。

聴衆の前で話をしたことのある人なら感じたことがあると思うが、こちらの言いたいことが、聴衆によく伝わっているのをひしひしと感じることがある。

まるで魔法にかけられたような感覚である。

自分のエンスージアズムがその部屋なり、ホールなりの人たち全員の心に伝わり、そのときに言ったことはすべて聴衆に吸収されていく。

まるでスポンジが水を吸うような感じである。

エンスージアズムは注意深く用いると、どんなセールスパースンにとっても欠かすことのできない武器となる。

それは、売り手と買い手の二つの心をラポール(=協調関係)に持ち込むからである。

セールスパースンが買い手に対して製品の必要性を感じさせ、その価値を評価し、生活を豊かに楽しくするために喜んで金を払うという気持ちを起こさせるような力を発揮するのだ。

それは、製品が買い手に何をしてくれるかを見せる一種のサービスである。

もちろん、あなたの話は重要である。

しかし、単なる言葉の組み合わせではだめだ。

言葉には、確信と信念と自信、つまり、これらを全部合わせた「エンスージアズム」がなくてはだめなのだ。

この点を明確にするために、これと反対の効果が筋書きの中に入ればどうなるかを見ていくことにしよう。

エンスージアズムは完全に積極的なものである。

そこで、否定的なものが伝えられたらどうなるだろうか。

例えば、あるとき、私は当時の新型の録音機を見るために、ディクタフォン・カンパニーのオフィスへ行ってみた。

旧モデルでさえ便利に見えたが、私の仕事にいかにこの機械が役立つかと説明するセールスパースンの隣にいた速記秘書が、彼の手紙を旧式の速記ノートからタイプしていた!何のための録音機だ。

もう少しというところで、私は意欲をそがれてしまった。

今度は、あなたが何かを売っているとしよう。

その製品を仮にウィジットと呼ぶことにする。

あなたは買ってくれそうな相手に、熱心に勧めるだろう。

例えば、近所のジョーンズ一家はこのウィジットを使っていかに喜んでいるかを説くだろう。

あなたの相手は、別の会社のウィジットのほうがいい製品だと思っていると、言うかもしれない。

そういうとき、あなたは別の会社のウィジットを「こきおろし」たいという気に駆られるはずだ。

しかし、私がトレーニングしたセールスパースンは、みんなこれが間違いであることを知っている。

なぜなら、相手に否定的な考えを起こさせてしまうからである。

ウィジットの話題全体に対して、不愉快な気持ちを相手に与えてしまう。

必要だし、ほしいし、買おうとなっていたムードが突然変わってしまい、むしろ放っておいてほしいというムードになるからだ。

心と心の接触は、一瞬にして失われてしまう。

物事は肯定的にとらえよう

ほかの人に話しかけたり、手紙を書いたりして、あなたの思う方向に説得したいと思うときには、どうしても覚えておいてほしい原則がある。

それは次のとおりである。

人が他人からの提案や示唆を受けて心に浮かぶ考えは、二つに大別できる。

つまり、肯定的なものと否定的なものである。

否定的な印象は、全部一緒になって、脳のメモリバンクの中に記憶され、肯定的な印象は別のメモリバンクに入れられる。

さて、あなたの言葉や表現の一つが別の人の心に届いて、それが否定的だと判断されたとしよう。

そうすると、否定的なメモリバンクが開いて、同じような種類の否定的な記憶をすっかり呼び起こしてしまいがちなのである。

まるで、たった一個のチェーンの輪を引っ張っただけなのに、ずるずるとほかの輪まで全部引きずってしまうようなものだ。

見知らぬ人が、あなたに小切手を現金化してほしいと言ってきたとしよう。

不渡り小切手を一度もつかまされた経験がなければ、あなたは不安を抱かずに、小切手を現金にして渡すかもしれない。

もし、過去に、不渡りをつかまされたことがあれば、その申し込みがあった途端、メモリバンクの中のすべての疑問や恐れが持ち出され、また騙されるのではないかという疑念が生まれるはずである。

こうして、ほんの些細な否定的な言葉も、否定的な考えも、また否定的に見えるようなちょっとしたことでも、大きな否定的ギアを動かすだけの十分な力を持ってしまう。

だからこそ、どんな種類の成功をするにも、あなたの肯定的考えが重要なのである、それはあなた自身の中にある、ほかの人に伝えるべき肯定的な考え方である。

エンスージアズムは、あなたの考え方が積極的になるのを自動的に保証してくれるものである。

なんと素晴らしい感情だろう。

ところで、それでは一言たりとも否定的な言葉を使ってはいけないのだろうか。

否定的な言葉を使わないでおくことが嘘をつくことになる、ということもあるかもしれない、私が言いたいのは、否定的な言葉は一般的な会話には入れないほうがよいということだけなのだ。

それよりはむしろ、肯定的なものに力を入れ、説得したい方向に話をするのがいい。

しかし、現実は現実である。

それが否定的であれば、そのまま受け止め、出口を教えてやればいいのだ!煙草のパッケージに印刷されている「健康のため、吸いすぎに注意しましょう」という文句が、あなたにどれほどのマイナスイメージを呼び起こすというのだ?この主張が正直なものでさえあれば、製品へのマイナスイメージを、むしろ補えることがわかるはずである。

無用な誹謗・中傷を避けて、積極的に製品の長所を売り込むことこそが大切なのである。

こうした事柄について最もわかりやすい説明は、いちばん単純なフレーズだろう。

古い宣伝文句だが、まだ強力に生きているのは、「頭痛?××アスピリンを飲んでください」というものである。

否定的な条件は認める。

肯定的な幸せは道をすぐに示す。

最終的に私の頭痛を追い払ってくれたのはアスピリンではなくて、心の平安だった。

だからここでは、アスピリンのメーカーの名は伏せよう。

しかし、この宣伝文の中にあるような、優れた否定から肯定への変換法を私は知らない。

そこで次の原則を銘記してほしい。

「何か具合の悪いことでも?こうすればよくなる」

良い売り方とは正直な売り方のこと

ここでいう売り方とは、アイディアを売り込み、その結果、それが実現されるように持っていくという意味である。

私は新しい継母が、私のアゴに手をかけて、きっぱりと「ナポレオン・ヒルは悪い子などではなく、賢い子です。

ただ、心を指導してやる必要があるだけです」と言ってくれたあの記念すべき瞬間を思い出す。

この優しい、熱意と誠実さのある言葉が、私の幼い心にこびりついていた間違った考えをすっかり溶かしてくれたのだ。

そのとき以来、私は自分を向上させる道を探せるようになった。

そして、それは見つかった。

良い売り方は、正直な売り方である。

誰も、信念と相容れないものは、考えや行動に表せないものである。

メッセージを聞き手に受け取ってもらえるように説得できるのは、人が心から話しているときだけだということを私は知っている。

一時、私は大企業や特定の政党と結びついていないことで有名だった。

そのお陰で、金銭的に非常においしい申し出を受けたことがある。

あるラテンアメリカの政府代表が、私に接触を求めてきたのである。

当時アメリカは、この政府を承認してはいなかった。

私にその国へ行って情勢を調べ、アメリカ政府に承認を勧める記事を書いてほしいと言ってきたのだ。

しかし私は、そのようなことについて熱意を持って書けないし、確信を持って書けないことがわかっていた。

その理由は簡単である。

私には動機がなかったのだ。

はっきりしない気持ちのままで書いて得る収入よりも、自分に対する正直な気持ちのほうが大切だったのである。

注意して次を読んでほしい。

もし、自分の良心を曲げてしまったら、良心は弱体化する。

間もなく良心は、あなたをガイドすることをやめ、あなたは心の平安に基づいた本当の富を得ることができなくなってしまうだろう。

私はあなたを、理知の力を使う賢い大人として、全面的に信用している。

こうした戒めや、エマースン、そのほかの偉大な思想家によって表現された同様の教訓は、単なる「金言」ではない。

それは、人生の大切な法則であり、確かな働きをなすものである。

自分の心からほかの人の心へ伝えるという、この大切な事柄にもう一つ教訓をつけ加えてみよう。

あなた自身が信じていないことは、口で言っても、書いても、また、どのような行動をしてみても、他人を動かすことはできない。

まさに、そのとおりである。

エンスージアズムがあっても成功しない人とは?

セールスパースンの訓練をしていると、いかにも「セールスパースン・タイプ」といえる人たちに出くわす。

こういう人たちは、まずなんといってもエンスージアズムが飛び抜けている。

話す言葉の一つひとつにパンチ力があるのだ。

動作の一つひとつが、それもただ座るという動作でさえも、身体の中の説得力のあるエネルギーの源から出てくるように見える。

私は、こういう人々の中から素晴らしい成功を収める人が出てくるのを見てきた。

そのほかの人々がうまくいかず、あきらめていくのも見てきた。

エマースンが言ったように、「私は聖ベルナールの知恵を学んだ。

〝私自身以外に私を損なう者はいない。

私が被る害毒は、私が自分の中に持っているものである。

私は、私自身の誤り以外では、本当の意味での被害者になり得ない〟」ということになる。

エンスージアズムがあるのに成功しなかった人がいるのは、なぜだろう。

それは彼らが、エンスージアズムのほかに何も持っていなかったからである。

エンスージアズムの本当の用い方を知らなかったために、彼らは成功できなかったのだ。

こういう人たちが、押し出しの強いパーソナリティで顧客を圧倒しては商品を売るのを、私は繰り返し見てきた。

彼らはオフィスに戻ってくると、その日に売った金額をよく自慢するものだ。

だが結局、注文のキャンセルが来たり、とても支払いできないような買い物を強要していたことなどがわかったりする。

そんなことは、そのセールスパースンが相手の言葉に耳を傾け、理解する労をいとわなければ、最初からわかっていたはずのことである。

商品やサービスの正直な売り手においては、顧客が最も関心を持っていることに、エンスージアズムを傾けなければならない。

あなたは、顧客の生活をよりよくするために、あなたの商品なりサービスなりを受けてもらいたいと、心から思っているだろうか。

セールスパースンの重要な注意事項を挙げてみよう。

・相手の質問に答えられるようにしておく。

・自分の商品やサービスの裏も表も知り尽くしておく。

・相手の必要に従って、その商品の利点や使い方を熟知しておく。

(エンスージアズムは知識の代わりをしてくれない)・約束したら、必ず時間どおりに着くこと。

顧客の時間を大切にすること。

(熱心に理由を説明しても、埋め合わせにならない)・サービスをすると約束したら、顧客が必ずサービスを受けられるようにする。

固定客ほど素晴らしい顧客はいない。

本書は、セールスパースン・コースのテキストではないので、二ページにもわたるリストを掲げるのは差し控える。

だが、原則はおわかりいただけたと思う。

エンスージアズムは、その後ろに親切心があってこそ機能するものなのである。

就職面接のときのエンスージアズムの向け方

どんな雇い主でも、自分の会社に熱心に応募してくる人間と話をしたいと思うものだ。

雇い主は、そうしたエンスージアズムがその人間の仕事に持ち込まれ、貴重な要素となることを知っている。

だが、例によって、エンスージアズム以外に見せるものがない人は、どこの世界でも必要とはされないものだ。

ある大手の出版社では、応募者のヤル気をテストするために、時計を見せることにしている。

時間どおりに仕事を始められない(=遅刻)理由をいっさい受け付けないと説明する。

これは口先だけの応募者には格好の冷却効果となったそうである。

エンスージアズムの裏に何かしっかりしたものがあると相手が感じとってくれれば、そのエンスージアズムは就職先を見つけたり、銀行の信用を得させたり、物を売ったりさせてくれる。

そうなると人事担当者や、銀行の係りの者は、正式の資格を示せとは言わなくなる。

方向のはっきり定まったエンスージアズムは、受けざるを得なくなるものだ。

そこで、就職の面接を受けるときのエンスージアズムの向け方について考えてみよう。

これは、仕事を得るという過程でのことだが、ほかの場合にも応用できることが多いということもわかってもらえると思う。

大事なのは、なぜその仕事に就きたいかという丁寧な理由書きを用意することだ。

そんな履歴書は要求されないかもしれないが、書くことによって、頭の中の考えを整理することができる。

ポイントは次のとおりである。

(経験を述べる)前の雇用者の名前とそこでの就業期間を言う。

新しい雇用者から見て、あなたに資格があると思ってもらえるような経験を述べるとよい。

(保証人の名を挙げる)保証人は慎重に選ぶ。

できれば、あなたを新しい雇用者の下で働けるように話してくれる人を選ぶ。

(やりたい仕事を述べる)大企業への就職を希望すると、どこか空いたポストを埋めるほうに重点がおかれるため、自分のやりたい仕事に就けない場合が出てくる。

特定の仕事に就けるよう、なぜその仕事をやりたいかという点についてエンスージアムを集中して述べるのがよい。

(その特定の仕事に対する自分の資格を述べる)自分のやりたい仕事に焦点を合わせると、空きがあればいいと思っていたポストを会社が見つけてくれることになるか、あなたを入れるために増員が行われることになる。

(就職希望先の仕事の内容をよく知っていることを示す)これは興味本位でやるのではなく、例えば、その「商売」に関してはマーケット、供給先、顧客などについて自分が何を知っているかを示す。

業界雑誌を一、二時間読めば、かなりのことがわかる。

(試用期間の仕事を申し出る)この申し出は、その仕事の必要性を満たす自信があることを明確にしなければならない。

機会を与えられれば、本採用になるという自信がある場合に、その機会を与えてくれるよう申し出る。

これであなたは面接に行く準備ができた。

仕事に就きたいというエンスージアズムを示す準備ができたのである。

それに加えて、ほかに何が見せられるかを考えてみよう。

・先方には、かなりの教育を受けた人間を雇うことになるのだ、ということをわかってもらう。

例えば、夜間コースを受けたことがあるならば、学校を卒業してもあなたが勉強をやめなかったことがわかってもらえるだろう。

・あなたは、世の中の経験を積んでいること、そして、経験から学んできたことを示すとよい。

・あなたは、自分の望むところをはっきり示すとよい。

これは、相手が望んでいるものを得る手助けとなる。

・あなたは、職に就くことを仕事の面として見るのと同時に、ビジネスとして見ることができることを示すとよい。

これは、あなたを昇進させるに足る人物として、印象付ける。

・あなたは、試用期間という条件で雇われるというリスクを負ってまでも、その仕事に就きたいことを示すとよい。

もちろん、自信を持つことだ。

さて、あなたが収入を得るためにその仕事に就きたいと思っていること、また、人生で、ほかの利益を深めるためにそう思っていることは、明白である。

こうした、あなた側の利益と、雇用側の利益が噛み合っていることを理解してもらえばいい。

あなたは、ほかの人間の得になるという観点から自分を売るのだ。

すでに述べたいくつかの点を振り返ってみると、それがつけ加えられるべきであることがわかると思う。

まず最初に示すのは、「私がいかに素晴らしい人間か見てください」ではなく、「あなたに提供できるものを、いかに私が多く持っているかを見てください」なのだ。

エンスージアズムというプラスの要素は、あなたの言葉を単なる言葉のレベルから引き上げ、あなたが相手にとってふさわしい人間であるという「信念」に変えてしまうのだ!「それはいいけれど」と、あなたは言うかもしれない。

「私の履歴は、書いてみたところで、口で言ったところで、大したものにはならないんです。

私は十代の最初のころにもう学校はやめてしまったし、夜間コースなんてものも受けずにギターばかり弾いていたんですよ……」このように考えるのは、自分の提供できるものが何もないという否定的な気持ちの鍵を自ら開けることにほかならない。

あきらめてしまわず、まず自分から肯定的に考え始めることが重要である。

自分にあると思えば、提供するものはたくさんあるのだ。

それを見せるのだ!例えば、特定の仕事に就職を希望したとしよう。

あなたは、その職を得るために必要な技能を持っていないかもしれない。

しかし、仕事に必要なものが何かを

見せることはできる。

あなたが、その仕事についてよく知っていることを示せばいい。

また、研修を行っている会社では、あなたがその研修に参加したがっていることや、場合によっては、勤務時間外の私的な時間にでも受けたがっていることを明確にするとよい。

その「仕事」に関して何かを知っているという事柄について検討してみよう。

業界雑誌を読むのに教育は必要ではない。

「専門用語」を話すことができると、相手は意外なほど感心する。

分別ある面接官なら、学校教育については多少割引して考えるものだ。

特別な学位を持っていることが要求される仕事は別として、ハイグレードな仕事の多くは、ハイグレードな教育を受けていない人が行っていることを、面接する側は知っている。

次に、試用期間を申し出て仕事をする事柄を取り上げてみよう。

面接する側の人が、あなたを試すよりよい機会を得ることができる。

それだけで話が決まるかもしれない。

それを書類で提出することだ!些細なことに思えるかもしれないが、服装に気を使うのは当然のことである。

清潔なシャツやアイロンのかかったスーツを着るとか、よく磨いた靴を履くとかいったことに気を使うのは、誰にでもできることである。

最も単純で、簡単なプラスイメージの植えつけ方なのだから、これをやらない手はない。

ただし、男性の服装というものは、男が内部から光っているときは目立たないものだ。

本質はあくまで中身なのである。

一歩、後ろへ下がって広い視野を持つ

、画家が絵を描いているところを見ると、ときどき後ろへ下がって自分の描いているものを全体から眺め渡そうとしている。

彼は広い視野をほしがっているのである。

私は、就職先の面接の受け方をかなり細かく述べてきたが、「広い視野」のことは言わないでおいたので、それについて言っておきたい。

一歩後ろに下がって、自分の就職について客観的に考えてみよう。

あなたは、なぜその仕事に就きたいのだろうか?こうしたことを考えるときに、きわめて重要な条件は広い視野である。

それは、画家が絵の具を使う前に構図のスケッチをするように、不可欠なものである。

すでに述べたように、あなたがその仕事を得たいのは、収入を得るためと、人生でほかの利益を深めたいためであることは、相手先も承知していることだ。

そこで、あなたは相手に尽くすことによって自分に尽くす。

それはよろしい。

では、その仕事は人生でのほかの利益を深めてくれるだろうか。

そのことは、しばらく前に話した「確固たる目標」と密接につながっていることを思い出していただきたい。

その仕事は、人生であなたの「確固たる目標」をどう深めてくれるだろうか。

まだある。

その仕事に、あなたは喜んで就くことができるだろうか。

効果的に仕事をこなし、達成し、成功するという自分自身の目標を、その仕事は満たしてくれるだろうか。

これは大切な質問である。

あまりにも多くの人が、意に沿わない仕事をしているのが現状である。

その人たちは、仕事を選んだ理由をいろいろ挙げるだろう。

収入のことを言うかもしれない。

その収入が可能にしてくれる贅沢な遊びのことを言うかもしれない。

だから正直に心が平安であるとは言いきれないでいるのだ。

それでは、正直に成功を指し示すことはできない。

勤務時間は短くなってきてはいるが、それでも仕事を持つ人は皆、人生の多くの部分を仕事にあてている。

もし、人生の大部分が、人間性を失わせるような不幸なものであったら、それは仕事以外の時間にも悪い影響を与えるはずだ。

いずれにせよ、なぜあなたの人生の一部を満たされないままにしておくのだろう?あなたの仕事は、それを全体的に見通して、それでよいかどうかを確かめてから飛び込めば、あなたを満足させる立派なものとなるに違いない。

就職活動で踏むべきステップ

▼どんな仕事をしたいのかはっきり決める

これは、それ自体かなり自己分析が必要である。

「主目的」があなたになければ、この点にしっかり注意を向けてほしい。

本書を読み直すといい。

あなたは、あなた自身の人生を生きるために仕事を選ぶのだ。

恐れを抱かずに生きるために、過去の扉を閉め、あらゆる富を得るために……これらをすべて、あなたの心の力で行い、そして、あなた自身の努力を通じて行うのである。

あなたは、「あなた」である、「あなた」を表現するような種類の仕事がある。

ちょうど、作家が自分の書くものの中に自分を表現し、職人が好きな手仕事の中に自分を表現するようなものだ。

アメリカのいい点は、市民が自由に選べる豊富な種類の職業がそろっていることである。

我々の経済社会では、自分のほしい仕事を探す手助けを、あらゆるものがやってくれる。

もし、思ったような仕事がなければ、自分で作り出せばいい。

▼自分が働きたい会社や人間を選ぶこれもまた選ぶ対象が多い。

社歴というのは、たいていは公表されている。

少し面倒でも調べてみるだけの価値はある。

各個人の経歴も公になっているものもあるし、いろいろな方法で判断できる。

特に、その人を知ることによって判断できる。

あなたが協力できる会社や個人を見つけるといい。

仕事と同時にチャンスも見つけるようにしよう。

もし一緒に働きたい人間が自分自身なら、同じように綿密に調べよう!▼あなたが提供しなくてはならないものは何か、を決めるこれは冷静な目で見ると、何もないかもしれない。

とすれば、用紙は白紙のままだ。

あなたは、そこを何かで埋めたいと思うだろう。

あるいは公平に自分を評価し、経験がそれを埋めてくれるまで、欠けたものを補う方法を求め、人に見せられるように努力するだろう。

その段階では、「仕事」のことは忘れるといい。

ほかの人間が自分に求めているものだけに集中して考えることだ。

何も技術がなくとも、誠意だけはあるはずだ。

すべてはそこから始まる。

『黄金律』を思い出そう。

▼仕事を与えてくれる人に、自分自身と自分の資格を差し出すこれは、先ほど述べた「一歩後ろへ下がって全体を眺める」と同じ意味である。

自分のやりたい仕事が何かを明白にし、それを得る準備をして、得ることである。

これらは別々の過程ではなく、すべてに対して客観的に、広い視野に立って行う必要がある。

あなたがエンスージアムに満ちていれば、さまざまな障害も乗り越えることができるはずである。

あなたは、自分に対してエンスージアムを持っているか?

、エンスージアムは、一つの心から別の心へ伝染するように流れていく。

だからこそ、私たちはエンスージアムが働いているのを、感じることができるのだ。

しかし、あなたは、自分自身に対してエンスージアムを持とうとしたことがあるだろうか?しかも、その裏に何かを持って――。

自分自身から一歩退いて考えてみると大変面白いし、勉強にもなる。

ちょうど、自分の身体の皮から抜け出した、自分という名を持つ人間を眺めるようなものだ。

あなたがその人物(=自分)に対してエンスージアズムを感じることができれば、結構!あなたのエンスージアズムが、単にその人物の持つ明らかな可能性、その人物の信念、その人物のヤル気に対してだけでも結構だ!その人物の魂に波長を合わせてやる。

その人物の資質を計ってみよう。

どのように力を発揮しているのかを見てやろう。

その人物が高く評価できる人間だと思ったら、声援を送ってやろう!逆にその人物が言い訳をしたら、ダメだと言って注意してやろう。

人生は、我々の生き方そのままにイメージを返してくれるものだと教えてやろう。

鏡に映るイメージは、鏡のせいではない。

その人物はわかってくれたか?その人物が自らの主人だということをわかってくれたか?結構!その人物に声援を送ってやってくれ!成功に説明は不要。

失敗は言い訳を許さない。

サクセス・エッセンス⑩

1エンスージアズムと行動エンスージアズムは、商品やサービスを売るときでも自分を売るときでも、賛同と行動に向けての起動力をもたらす。

エンスージアズムにあふれた手紙によって、偉大な人物が時間を割いて尽力してくれた。

が、同じ言葉でもエンスージアズムを込めなかったときには、成果はなかった。

できれば、自分でも相手でもない第三者のためであることを強調するとよい。

また、いかなる場合も尽力してくれる相手にとって利益があるとわかっていなければならない。

エンスージアズムがあれば、膨大な仕事も疲れを感じずにこなすことができる。

2否定的対肯定的心には、否定的な記憶と肯定的な記憶のメモリバンクがある。

否定的な考えや行動を与えると否定的なメモリバンクが開き、説得力を失うことがある。

だが、否定的なものでも、あとに肯定的な説明が続き、それが否定的な感情を追い払ってくれるものであれば効果的である。

良い売り方とは、正直な売り方のことである。

自分の良心を曲げれば良心は弱体化し、あなたをガイドすることをやめるため、心の平安は得られなくなる。

3エンスージアズムは集中して向けるエンスージアズムのある人でも失敗するのは、エンスージアズムの裏に十分なものがないからである。

正直で効果のある売り方は、顧客に援助するための知識を持ち、相手に役立ちたい強い願いが必要である。

就職先を探すプロセスは、そのほかの「自分を売り込む」ための良い例である。

自分が本当にその仕事に就きたいと思っていることと、その仕事をこなすための準備を進んでやる気持ち。

そして何よりも雇用側の利益を中心に考える必要がある。

4広い視野人生というものは、全体を客観的に見渡せる広い視野を持っていることが大いに役立つ。

それには、仕事を選ぶ前にその仕事を評価すること、そして、それを自分の主目的と関連付けることも含まれる。

人生の大部分は仕事に向けられるから、自分にふさわしい仕事に就けば、仕事の中で幸福でいることができるし、仕事を通じて自分を表現することができる。

また、自分自身についても、広い視野に立って眺めることができるから、自分という人間に対して、エンスージアズムが持てるかどうかを確かめてみるとよい。

注意を与える必要があるかどうか確かめ、心からの声援を送って勇気づけてやるのだ。

 

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