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第十章 新しい目標の刷り込みと、古い目標の修正(―×∨=RY

目を閉じて、リラックスしてください。そして、キツチンに新鮮なレモンを一個取りに行くところを想像してください。冷蔵庫に向かって歩き、ドアを開いて果物ケースを引き出します。その中の、固く黄色いレモンを手に取ります。

冷蔵庫のドアを開めて、レモンをカウンターに乗せます。レモンを前後に転がすと、しだいに柔らかくなってきます。刃物類の引き出しを開けてナイフを取り出し、みずみずしいレモンを半分に切ります。

片方を手に取り、ゆっくりと口に運びます。口に入れる前に、果汁の香りを楽しみます。そして、実際に味わってみます。

さあ、大きく一かじりしましよう。では、目を開けてください。

実際に国の中のレモンを味わいましたか? 舌の上で酸っぱさを感じることができましたか? しかし、実際にはレモンはありませんでした。

それを現実のように感じられたのは、レモンを見つけ、転がし、半分に切り、果汁がしたたるレモンにかじりつくところを鮮明に思い描いたからです。

すでに述べたように、ある出来事を経験し、それを潜在意識に記録するのに、実際にその出来事が起こる必要はありません。実際に起こっているかのように、リアルに想像するだけでよいのです。

鮮やかにイメージされたレモンにかじりつく経験は、それが実際に起こっていることであるかのように潜在意識に記録されます。潜在意識にはその違いがわからないからです。

すると、将来、頭の中で同じイメージを呼び起こすたびに、本物のレモンにかじりついているかのような生理的反応が得られます。

目次

刷り込みのプロセス(‥XV=R)

アファメーションという形で目標を書き出したら、今度はその刷り込みを行う必要があります。刷り込みのプロセスは次の公式で表すことができます。

I×V=R (想像力×臨場感=現実)

文字に書き表したアファメーションは、明快で鮮明なイメージを生み出し、それが正しい感情を呼び覚まし、新しい現実として潜在意識に刷り込まれます。

目標を適切な言葉に表し、臨場感のある鮮明なイメージを描き、その刷り込みのプロセスに成功するたびに、潜在意識はそれが今実際に起こっていることであるかのように想像された出来事を記録しますc刷り込みのプロセスは三つのステップから成ります。

  • (一)アファメーションの言葉を声に出して読み、頭の中にイメージを喚起する。
  • (二)言葉によって喚起されるイメージを視覚化する。
  • (三)イメージによってかき立てられた感情を実感し、それが今実際に起こっているかのように経験する。

アファメーションを書いたら、それを自分がしているところ、そう自分がなっているところを思い浮かべます。

新車を運転している自分の姿が目に浮かぶと、自分では気づかないうちに、その姿が非常に強く記憶に刷り込まれます。ただし、ハンドルの後ろにいる自分の姿が見えなければ、刷り込みは行われません。

テレビ用語の″主観的カメラアングル″はこの場合にもあてはまります。

適切に刷り込みを行うには、誰かではなく、″自分に″起こっていることとして、主観的カメラアングルから目標を視覚化しなければなりません。

ただテレビや映画を見ているだけでは、あるいは、ただ何かをしている人を見るだけでは、自分を変えることはできません。

たとえば、私は誰かが飛行機からパラシュート降下をするのを見ても、自分も飛び降りたいとは思いません。

私の中の現実に影響を与えるには、自分自身が飛行機から飛び降りているところを鮮明にイメージする必要があります。

口分の頭上でパラシュートが広がり、ロープが引かれる感触や強い風圧を感じ、ぶら下がっている自分の足が見え、上には雲があり、地面がどんどん近づいてくる― そのすべてを頭の中で経験するということです。

ただ飛行機から飛び降りるというアファメーションを書くだけで、その状況を経験しているところを視覚化しないまま言葉だけを読んでも、潜在意識には刷り込まれません。

目標とする状況にいる自分を視覚化するときの視点は、刷り込みプロセスには重要です。その出来事を実際に自分が経験しているように想像しなければなりません。

つまり、離れた場所から自分をのぞき込むアングルではなく、自分を中心において、内から外をながめる主観的なアングルでなければならないということです。

たとえば、あなたが実際に自分ならそうするだろうと思う形で、レモンにかじりついたところを想像したのなら、自分の背中や顔や、後ろにある冷蔵庫は見えないはずです。

鏡で自分を映してみないかぎり、レモンが口に入るところさえ見ないはずです。見えるのは、レモンを顔のほうに持ってくる手だけです。

主観的カメラアングルを使うと、自分が実際にその出来事に参加しているときに見えるものしか見えません。

★その状況にいる自分を思い描こう

スキーがもっとうまくなることを目標にしたとしましよう。

「新しいスキーで滑るのは簡単で、爽快な気分になる」というアファメーションを書いたら、目を開じて、実際に新しいスキーで滑っているところを頭の中で″経験″してみましよう。

実際に滑っているときには何が見えるでしょう? 斜面、周囲の景色、おそらくはほかのスキーヤー、それから自分の胸、腕、脚、スキーブーツ、スキー板の前半分が見えます。

顔にあたる風を感じ、木の香りをかぎ、自分の下で雪が砕かれる音を聞きながら、ポールを回るときの左右への重心の移動を感じながら斜面を滑り下りていきます。

言い換えれば、あなたは実際に滑っているかのように、スキーの運動感覚を経験しているのです。

「頭の中でイメージを視覚化するのも、それを″経験″するのも、うまくできなかったら?」と、心配になるかもしれません。

その場合は、粘り強く自分に語りかけてください。自分がどこにいるかを説明し、周囲の情景を詳細に描写し、自分はそこにいるのだと言い聞かせます。

「私は誰と一緒にいるだろう? 何をしているだろう? 何を感じているだろう?」と自分に問いかけてください。

それでもまだ明確なイメージを描くことがむずかしければ、十分にリラックスできていないせいかもしれません。緊張やストレスを感じていると、イメージはあいまいなものになります。

あるいは、言葉が漠然としすぎているのかもしれません。刷り込みのプロセスで最も重要なことは、言葉によって喚起される″感情を実感する″ことです。

自分の目標を詳細な描写で、実際に経験しているように書き表すことができれば、あなたは興奮を感じます。喜びを感じます。期待を感じます。愛を感じます。アファメーションが引き起こすスリルを感じます。

正しい言葉は「もう待ちきれない」という感情と期待感を引き出すのです。古い感情は効果がありません。正しい感情を刷り込まなければなりません。

そうしないと、五歳の子どもが幼稚園に最初に行く日に、「先生は怪物だよ」と言って心の準備をさせるかのように、誤った感情が記録され、日標達成を妨げることになるでしよう。

アファメーションの言葉は、「私は〜が大好きだ」「私は誇りを持って〜する」「私は心から〜」「私は〜が待ち遠しい」といった、ポジティブな感情を表す言葉でなければなりません。

刷り込みたいのは愛や誇りや熱意や期待であって、緊張や不安や恐怖心ではありません。

★過去の記憶を借りるテクニック

目標の刷り込みに必要な感情を引き出すには、過去の記憶からポジティブな感情を借りてくる「フリックバック」のテクニックを試すとよいでしょう。

この方法は恐れのフィードバックーー高所恐怖症、初対面の人と出会う緊張――が、新しい状況を試すことの障害となっているときには、とくに役立ちます。

新しい状況を認識したときに、潜在意識がどう働くか覚えていますか? あなたは、「前にもこれと同じようなことを経験したことがあるだろうか?」と連想づけます。

もしあれば、「ああ、そうだった」と思い、次には「この状況は私をどこに導く可能性が高いだろうか?」と評価します。

もし過去の経験が否定的なものであれば、「決して良いことではない」と考え、落ち葉をかき集めるのを避けるための何らかの方法を見つけ出します。

どうしたら、間違つたトイレに入った場合に備えて、あらかじめ自分を準備させておくことができるでしょうか。

私は頭の中で過去の勝利の状況に立ち戻り、そのときに潜在意識に記録したポジティブな感情を借りてきて、その同じ感情を現在の状況に重ね合わせます。

このテクニックを使うと、結果を運に任せることはなくなります。あなたはあらかじめ、意識的にそれをプログラムしておくのです。

過去のページをめくって、そのときの記憶を借りて戻ってくる。それを一〇回、二〇回、五〇回と続け、自分に最善の結果をもたらしてくれる過去の感情を見つけ出します。

この方法は、新しい社交イベント、新しい国への旅行、子どもに重要な話をするときなど、あらゆる新しい状況への事前準備として使えます。

過去から借りてきた感情を新しい状況に貼りつけ、前向きな期待感を生み出すのです。

「私は待ちきれない。彼らを吹き飛ばしてやる。簡単だ。もう終わったも同然、私の勝ちだ」もちろん、このテクニックには裏の側面があります。

私は過去に起こったすべてのネガティブな経験については言及しませんでした。感情的トラウマとなるような状況、失望、困惑、失敗、間違いなどです。

たいていの人がそうでしょうが、私も自分ではコントロールできないようなひどい出来事を経験してきました。

たとえば、コーチをしていたころ、私の目の前でまだ小さな少年が命を落としたことがありました。私はそれを彼の父親に知らせなければなりませんでした。

それは、私たちどちらにとっても耐えがたいことでした。ほかにも潜在意識に記録されたトラウマがあります。

ときには、トラウマ的な状況を予想して、「いやけっこう。もう十分に地獄は見た」と自分に言って、心ならずも選択肢を排除してしまうこともあります。

つまり、このテクニックは逆効果になることもあるということですc選択肢を排除する代わりに、失望、困惑、失敗、過ちの記憶を排除することを学びましょう。

打撃を受けたら、それを教訓として先へ進むのです。得られなかった仕事、うまくいかなかった恋愛、無残な失敗の経験はすべて記憶から締め出します。

そうしないと、自分でも気づかないうちに、否定的な感情を借りてきて新しい状況への心構えをしてしまいかねません。

高パフオーマンスの人たちのように、過去の成功だけを考えるように自分を訓練して、感情的な準備をコントロールする方法を学びましよう。

これはすべて、つねにベストな状態でいられるように準備をしておくことです。

私が大学の運動選手のコーチングをするときには、この「過去の記憶を借りてくる」テクニックを使って、チーム全体に勝利という結果に向けて準備をさせます。

この方法の利点は、来週、来月、来年に起こるどんな状況に対しても、意識的に感情を整えるツールとして使えることです。そうすれば、新しい状況に自信と落ち着きを持って臨むことができます。

そして、このテクニックをマスターすると、自分の愛する人たちにも同じことをするように手助けすることができます。

たとえば、あなたに子どもがいるなら、子どもたちにこの方法を教えてあげましょう。夜、子どもたちが眠る前に、ベッドに腰を下ろしてこうたずねます。

「今日は何が楽しかった?何をしたときに自分を誇らしく感じた?」それを話させることで、子どもたちはそのときの感情をもう一度味わうことができます。

それが終わったら、今度は「明日はどんな楽しいことをする?」とたずねてみましよう。こうすることで、子どもたちは明日が今日と同じくらい楽しい日になると無意識に確信します。

これが高パファーマンスの人たちの思考法です。

彼らにとっての不可欠の思考様式は、「私は自分の過去の業績に誇りを持ち、将来に大勝利を得られるという前向きな期待も持っている」というものです。

あなたも同じように子どもたちの思考法を訓練することができます。

毎日繰り返しているうちに、大人になったときに役立つ高パフォーマンスの思考様式を身につけることになるでしょう。

実際に大人になったときには、この前向きな期待感を持って、毎日をエネルギッシュに過ごしていくはずです。

前には考えていなかった場所にも飛び込む勇気を持ち、実際にそこに足を踏み入れたときには、「前にも来たことがある」という既視感を覚えます。

状況を完全に自分のものにしているということです。

毎日少し時間をとって、過去にうまくいったことを思い出し、その経験をもう一度追体験するようにすると、自尊心の倉庫を建てることもできます。

あなたがすべきことは、それが今また起こっているかのように、そのときのポジティブな感情をもう一度記録するということです。

感情をうまくコントロールして準備を整えるには、過去の成功だけを考えて、それを新しい状況に投影することです。

そうしないと、何が起こるでしようか?「私はその仕事を楽しみにしている― いや、考えただけでも気分が悪くなる。

スピーチをすることを楽しみにしている― いや、考えただけでも気分が悪くなる。

その面接に行くことを楽しみにしている― いや、考えただけでも気分が悪くなる。

その売り込みに行くのを楽しみにしている― いや、考えただけでも気分が悪くなる」。

そんな状況を引き起こしてはいけません。感情的に自分のベストでいられるように準備を整えるのです。正しい感情を新しい状況にいる自分に与え、いつでも自信を持ってその機会に臨めるようにします。

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