社長として社員への役割を果たすために、社員の生活向上を計画的に実現し
ていかなければならない。ところで高賃金。高処過の保証は、年々経営コスト
を確実に押し上げる要因となる面も併せ持っている。
社長は、社員の幸福と会社の業績向上の両方を、バランスよく達成させなけ
ればならないのである。
その決め手は長期的な人件費計画の立て方にある。
まず長期の人件費計画を、前章で検討した運営基本計画に基づいて五年先ま
で実証してみることだ。そのとき社長として大切なことは、「給料の世間水準」
からだけでなく、「人件費係数」という視点から、自社の発展と社員の幸福を
同時に考えていくことである。
社員の幸福と人件費計画
社員に大きい顔のできる給料を払えるか
運営基本計画のなかで、 一番ウエイトの高いものは「人件費」だ。これが狂うと計画はま
るまる狂ってくる。
ことに給料と賞与は、社員の生活が直接かかっているものだけに、社員の関心も一際高い
ものである。その生活向上を考えれば、毎年給料のベースアップをすることは、社長の当然
の責任である。また将来の事業を拡大していくには増員も考えなければならない。
そこで、まず人件費が社長の方針どおりにいくかどうかをチェックしてみなければならない。
先のD精機の例でいえば、社長は五年後に全付加価値の二五%を人件費に配分するとした
が、五年後、D精機の人件費は二五%、六億九八〇〇万円で本当に収まるのかどうか。その
実証をやってみないと、タダの数字のお遊びになってしまう。
ここで大事なことは、五年後に予定通り六億九八〇〇万円のワク内に収まったからといっ
て、「ああ俺の計画は正しいんだ」とは、決していえないということだ。
ワク内に単に収まったから妥当だ、という判断は、事務や経理部門のもので、社長の考え
方ではない。
収まったとしてもそのときの給与水準は、よその会社に比べてどうなのか。社長として社
員に大きい顔のできるような額を出せるのか、ということが検討されていなければ、とても
社長の長期計画とはいえないのである。
社長のつくる長期計画は、この六億九八〇〇万円の人件費で、
。日標の売上高を達成して、
。日標の付加価値をあげ、なおかつ、
・給与レベルが高いものでなければならない。
もらう方の社員の立場からは、「ウチの社長は、俺たちのことも十分に考えてくれるなあ」
「いい会社で働いているなあ」と満足してくれるような人件費計画をつくって、はじめて社
長の長期計画である。
そうでないと尊敬される社長にはなれない。この辺のところが大事なポイントである。
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