付カロ価値配分目標計画からスタートした長期計画作成は、おかねの面から実
現性をチェックする「運転資金計画」をもって実証作業を一通り終えることに
なる。
次に、一連の実証作業によって発見された計画案のズレを修正し、運営基本
計画の最終案をまとめる。その資金の運用計画から財務計画をまとめると、長
期計画が完成することになる。
ところで、運営基本計画は年度ごとの「目標とする損益計算書」であり、財
務計画は年度ごとの「日標とするバランスシート」なのである。
つまり社長は、長期計画の実践を通して、自らの野望と役割意識を運営基本
計画に反映させることによって、望ましい損益計算書とバランスシートを手に
入れることができるのだ。五年先、一〇年先まで繁栄できる長期計画とは、こ
のようなものでなければならない。
社長としての運転資金計画の立て方
社長は資金繰りに四つの方針を出せ
いよいよ「おかね」の面から、運営基本計画の実現性を検討する段階に入る。
言うまでもないことだが、資本主義の世の中では、すべての事業活動が「おかね」を通じ
てバランスシートに集約されてくる。内容の良い健全なバランスシートは、良い経営の結果
であり、問題のある不健全なバランスシートは、悪い経営の結果なのである。本書の第二章
で説明したように、「おかね」の使い方にも社長の明確なポリシーがないと、バランスシー
トがいつの間にか不健全なものになっていても、社長がいつまでもそれに気づかないという
ことになる。
そこで「わが社のバランスシートは将来どうあるべきか」を想定して、「運営基本計画」
について長期にわたる「資金の効率的な運用」と、短期の「効率的な運転資金」の二つの面
から、その実現性を大きく見ていくことが必要だ。
まず運転資金である。多くの創業社長にとって、運転資金の資金繰りは、いやおうなしの
実務であったはずである。創業当初はだれでも乏しい資金のやり繰りに追われる毎日だ。仕
入れ代金の支払いはできるだけ待ってもらい、売ったものの回収は現金支払いとなるように
頼み込み、わずかの預金で融資を受け、見様見真似、必死の資金繰りをやって、なんとか商
売を大きくしてきた、そんな体験を残らずおもちのはずである。ところが、商売や事業が大
きくなってくると、このような創業社長でも、まして、二代目社長ならなおさら「勘定合っ
て銭足らず」という実に単純な理屈が、社長の視野に入らなくなってしまうことがある。
どんどん仕入れたが思うようにさばけず、在庫の山を築き、ソロバンを入れてみると、必
要な「おかね」がいつの間にか不要な「もの」に変わっていて、資金に詰まってくる、とい
うような例は決して珍しくない。あるいは物を売っても回収にルーズで、しかし仕入れたも
のにはしっかり律義に支払う。このせちがらい世の中に、そんなおうような会社があるかと
いえば、実は地方の名門企業といわれているところに案外多いものである。このような会社
も資金繰りに余計なおかねを借りて、余計な金利を払って収益体質を悪くしているのに気が
ついていない。これでは三年先、五年先の繁栄どころではない。ザルで水をすくっているよ
うなものだ。
そこで社長は、長期計画の運転資金が効率よく回るように、次の四つに社長の方針をはっ
きりと打ち出すべきである。
①わが社の売掛債権の適正回収率
②わが社の適正在庫
③わが社の手元現金の適正額
④わが社の買掛債務の適正支払率
の四つである。
以下、順を追ってそのポイントを説明していこう。
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