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第五章 心理的盲点を克服する

  • あなたはすべての答えを聞いていますか?
  • それとも自分が聞きたいことだけを聞いていますか?
  • すべての可能性を見ていますか?
  • それとも見るように条件づけされたものだけを見ていますか?

おそらくあなたは、あるがままのものを見るのではなく、見るように条件づけされたものを見ていると思います。

たとえば次の英文を一度読んでください。読みながら、文の中にいくつ「F」の文字があるか数えてください。

「一Z 一い工m口「F m∽ > ”m ↓工m 刀mい⊂rH O 「くm> 刃∽ O 「∽(一日ZH一「一∩ い↓⊂ 口く∩O つS”一Z mワgヽ一月工「工mmXつm”一mZ(m O 「フヽ>Zくくm> 刀∽・(完成したフアイルは、長年の科学的研究と経験が結びついた結果です)いくつのFが見えましたか? この文には六つのFがあります。

信じられない? もう一度注意深く見てください。今度は見つかりましたか?。一度目にはなぜすべてのFを見つけることができなかったのでしょう。

私たちは長年、英語の文章を発音に即して読んできました。

″of″という単語は、「オフ」ではなく「オヴ」と発音されます。一度「オヴ」として覚え込まれると、″of″の中のFが盲点になります。

それをしないように努力してください。文章を読み慣れている人ほど、見逃す可能性が高くなります。音にとらわれすぎて「F」を意識から遮断してしまうのです。

ところが、グラフィック・デザイナー、多言語を話す人、楽譜を見てすぐ演奏できる人、校閲を仕事にしている人たちなら、簡単に見つけられるかもしれません。

目次

★カーペットの穴

あるとき、私が出張から家に戻ると、ダイアンが客と一緒にリビングルームの暖炉の前に座っていました。

そこに加わって一緒にワインを飲んでいるうちに、私の留守中に誰かがカーペットを焦がして穴を開けたことに気づきました。

電話で話したとき、ダイアンはそのことにまったく触れませんでした。そして今、彼女は何もなかったかのように客と一緒にワインを飲んでいるのです。私は腹が立ちました。

でも、客の前でばかな行動はとりたくなかったので、ダイアンに「ちょっと廊下で話せるかい?」とささやきました。客の耳に入らないところで、「あのカーペット、いったいどうしたんだ?」と問いただします。

「電話をくれたときに、話さなかった?」仮にそうだったとしても、どんな違いがあったでしょう。たとえ電話で穴のことを聞いていたとしても、飛行機に乗っている私に何ができたでしょう。

何もできません。頭の中で穴の開いたカーペットを想像し、実際に見たときのショックに備えるだけです。ダイアンは事の経緯を説明しました。

「前にうちで働いていたボブ。オルソンが、暖炉の掃除をしてくれていたの。底の部分を掃除するために、夜のあいだにたまった灰をプラスチックのバケツに入れてカーペットの上に置いたんだけど、まだ燃えがらが熱くて、バケツに穴が開いて、カーペットにまで穴ができてしまったのよ」

私が何か言う前に、彼女は続けました。

「修理店に電話したら、明日来てくれるそうよ」ダイアンはなぜそのことを言ったのでしょう? 解決策をすでに講じたことを私に知らせるためです。

しかし、私はごまかされませんでした。彼女にもそれがわかっていました。

それで、すぐに廊下を離れ、小さなオリエンタル風ラグを持って戻ると、それをカーペットの穴の上にかぶせました。

つまり、意見は無用、問題は解決ずみというわけです。カーペットの穴が見えなければ、そこに問題があることを忘れてしまう傾向があります。実際に、 一週間もするとオリエンタル風ラグに慣れて、穴のことを考えなくなります。

それが、スコトーマ(盲点)と呼ばれるものです。スコトーマは認識力に影響を与えます。

次のイラストを見てください。

描かれているのはおばあさんでしょうか、若い女性でしょうか? 答えはどちらも正解です。このイラストにはおばあさんと若い女性の両方が描かれています。

しかし、どちらか一方だけを見ると、もう一方に対してスコトーマが生まれます。おばあさんに焦点を合わせると、若い女性が見えなくなります。

若い女性に焦点を合わせると、おばあさんが見えなくなります。あなたには両方が見えますか?両方を見るのがむずかしいのは、同時に頭の中に対立する二つの考えや″絵″を維持するのがむずかしいからです。

最初におばあさんを見ると、「見つけた。おばあさんだ」と思います。それがあなたの信念になります。あなたにとっての〃真実″になるということです。

誰かが、「違う、若い女性だ」と言うと、「何を言ってるんだ。おばあさんじゃないか」と言い返すでしょう。私たちは伝統に縛られることもあります。

「ずつとこの方法でやってきた。別の方法があるなら、もっと早く気づいていたはずだろう?」。本当にそうでしょうか。答えはノーです。

反射的に一つの答えを選び、他の選択肢に心を閉ざしてしまうことが多いのです。

★ピグマリオン効果

頭の中に自分の望む状況を思い描き、それを頭の中にとどめておくことができたら、あなたがその状況下で他者に対してとる行動は、彼らから期待する行動を引き出します。これが「ピグマリオン効果」と呼ばれるものです。

ピグマリオンはギリシャ神話の登場人物で、実在はしません。

彼は優れた彫刻家で、あるとき彼が制作した女性の像はあまりに美しく、まるで生きているかのようだったため、彼はその像に恋をして結婚したいとまで思うようになりました。

そこへ愛の女神がやってきて、像の心臓を矢で射て本物の女性に変えたのでした。

ピグマリオン効果とは、私たちが特定のイメージを持って他者を扱うと、彼らはそのイメージ通りに振る舞うようになるということです。

この効果に基づいた映画に、『マイ・フエア・レデイ』があります。

イライザ・ドゥーリトルとヒギンズ教授を覚えていますか? ヒギンズ教授は、自分には監督者、コーチ、教師としての優れた才能があると信じていたので、ロンドンの通りで見つけた卑しい花売りの娘を連れてきて、話し方やマナーや見かけを磨き、高貴な女性として通るかどうか賭けをしました。

彼はその計画を実行し、そして賭けに勝ちました。しかし、イライザは友人にこう言います。

「私はヒギンズ教授にとっては永遠に花売りの娘よ。彼は私のことを花売りの娘として見ているもの。でも、あなたにとっては、私はいつもレデイだわ。あなたはいつも私のことをレデイとして扱ってくれるから」ヒギンズ教授は出会ったころのイライザのイメージを捨てることができませんでした。

あなたも周囲の人に対して、ときどき同じことをしていませんか? その人の一つのイメージに固執し、彼らが変化し成長することを認めようとしないことがあります。

自分自身に対してもそうしているかもしれません。あなたは自分の過去の間違いすべてを知っています。自分のだめなところ、恐れていること、欠点を知っています。

うまくいかなかったことばかりを基にして自己イメージをつくり上げ、それを克服して上のレベルに上がろうとしていません。

真実に自分が信じることと矛盾する側面があるとき、それを見ないように自分の視野を遮ってはいませんか? たとえば何かを探していて、なくしたのだと自分に言い聞かせることはありませんか? 「なくした」と言ったとたん、潜在意識がその物を見えなくします。

潜在意識は真実を発見することより、自分が信じていることが正しいのだと証明することのほうに力を注ぎます。そう信じる自分は愚かではないと証明するためです。

自分自身に「鍵をなくした」と言ったとしたら、何をすると自分をばかに見せるでしよう? 鍵を見つけることです! 潜在意識は「鍵をなくしたんだね?」と確認し、鍵に対してスコトーマを築きます。

鍵はすぐ手の届くところにあるのに、あなたにはそれが見えません。すると誰かがやってきて言います。

「ここにあるじやないか。すぐ目の前にあったのに―」cあなたは言い返しますc「誰が動かしたんだ?。一分前にはなかったのに」私たちが持つ現状の現実のイメージは、部分的な絵でしかありません。

私たちの知覚能力には限界があります。

たとえば、私たちは赤と紫のあいだにある色しか見えません。

赤外線、紫外線の光があったとしても、特殊なメガネや望遠鏡で視覚を強化しないかぎりそれが存在することを否定しがちです。惑星の細部を見たければ、望遠鏡が必要です。人間の体の内部を見たければ、レントゲンが必要です。生きている細胞をのぞき込みたければ、顕微鏡が必要です。

これ以外にも、私たちには見えていないものがたくさんあります。私たちは五〇ヘルツの低音から一万九五〇〇ヘルツの高音までの音域を聞き取ることができます。

あなたは犬笛を吹いたことがありますか?

あなたには何の音も聞こえませんが、犬は二万四〇〇〇ヘルツの音まで聞くことができるので反応します。人間よりはるかに聴覚が優れているのです。

コウモリは八万ヘルツ、ネズミイルカはさらに高音域の音を感知します。私たちの環境には、私たちがその存在さえ知らない音があるのです。

人間の臭覚も、身の安全と食料探しを臭覚に頼っている動物と比べれば、ずっと制限されています。臭覚の世界記録を持つのはオスのカイコガで、メスの臭いを一・五キロ先からでも嗅ぎ分けることができるそうです。

しかも、そのメスのカイコガが放出する、臭気を発生する化学物質の量は、わずか〇・○〇一ミリグラムでしかありません。知覚能力がかぎられているため、私たちは自分たちが生きている物理的世界の現実をすべて把握することはできません。

発見すべきものをまだすべて発見しておらず、知覚すべきものすべてを知覚することができません。したがって、″明らか″であることを判断基準にすることはできないということです。

明らかだと思うことは、私たちが自分に見ることを許したほんの小さな部分にすぎないかもしれません。

★一つの考えに縛られると、ほかの選択肢を締め出す

私たちは実際に目にするものを真実として受け取りがちですが、何かをまっすぐ見つめているにもかかわらず、それを見ていないことがあります。

習慣や条件づけされた思考から離れられず、可能性を考えることで見えてくるはずの他の選択肢を締め出してしまいます。

習慣や条件づけがじゃまをして、自分が望む人生に焦点を合わせることができなくなってしまうのです。可能性を考える人は、つねに物事を行う別の選択肢や新しい方法を探します。

一つの方法がうまくいかなければ別の方法を試し、成功するまであきらめません。こう自分に問いかけてください。

「私は解決法ではなく問題ばかりを考えてしまっていないだろうか? すぐ目の前にある解決策が見えるだろうか? それとも、『できるわけがない』と考え、盲点を築いてしまっているだろうか?」心理的盲点について話すとき、私は「スコトーマ」という言葉を使います。

これは目が見えないことを意味するギリシャ語です。

誰かが「わからない」とか「それは私には意味をなさない」と不平をこぼすとき、その人はスコトーマを持っています。

スコトーマとは、周囲の環境に対して感覚を遮断している状態です。視覚だけではなく、あらゆる知覚に影響を与えます。

誰かと話しているときに、相手が言っていることを聞いていないことがあると思います。

パーティーを楽しむあまり、外の火事の煙の臭いに気づかないかもしれません。食べ物の中に入っている、嫌いなものの味を感じないかもしれません。

ボクシングをしていて、鼻を骨折するようなパンチを浴びても何も感じないかもしれません。

スコトーマがあると、見たいものだけを見させ、間きたいものだけを聞かせ、考えたいことだけを考えさせます。

「彼らは勝てないよ。勝てるわけがない」「彼女はデートなんてしてくれないよ。絶対に」「わが社をあの会社に売ることはできない。これまで買収されたことなどないんだから」など、こうした選択肢の排除の例はどこにでも見られます。

一つの意見、信念、態度に縛られると、自分の信じることと矛盾するものに対してスコトーマを築きます。ものを見るときに先入観にとらわれ、何をするにも習慣にとらわれます。スコトーマは変化や柔軟な思考や創造性を阻害します。

これらのものは、私たちに情報を選別して集めさせるからです。

あなたが絵におばあさんを見るとき、若い女性を見えなくしています。スコトーマは友情を壊し、結婚を失敗させ、国家を戦争に導きます。

それぞれの側が、「君はいったいどうしたんだ? 目が見えないのか?」と考えています。率直に言えば、答えはイエスです。誰もが盲点を持っています。

スコトーマを理解すると、人生のより多くの選択肢と機会が見えるようになります。

これをビジネス、子どもたち、パートナー、クライアント、友人、仕事、そして自分自身に対する見方に取り入れていきましよう。一つのことに縛られると、ほかのことを締め出します。

あなたはこれまでの人生で何にとらわれてきたでしょうか。

「私には勝てない」「これは売れない」「彼女はよくない」「彼は大丈夫だ」「それはうまくいかない」「これはうまいく」という考えにとらわれてこなかったでしょうか。

こうした結論にしがみつくことによって、自分で自分の感覚を操っていることに注意してください。

たくさんの選択肢に囲まれているのに、自らそれを見えなくしてしまっています。

★新しい選択肢を見つけなさいケネディ高校のコーチをしていたころ、もう四年も指導を続けてきたのだから、選手たちのことはよくわかっていると思い込んでいました。

そして、彼らの能力についての自分の考えに固執してしまいました。そのために、私は愚かでものの見えない人間になりました。

自分が″真実″だと思うことにしがみつくあまり、選手たちをはっきりと見ることができませんでした。自尊心の欠如のために、選手たちの言葉に耳を貸すこともしませんでした。

「選手に何をすべきか聞くなんて、人にどう思われるだろう? 私がすべてを知っているべきなのだ」。

私はすべてを知ってはいませんでした。

しかし、自尊心の低さのために、恥ずかしくて助けを求められなかったのです。あなたも同じかもしれません。

新しい選択肢の存在に気づくと、「どうしてもっと前にこれが見えなかったのだろう」と困惑してしまいます。自分に盲点があることには気づかないことが多いのです。

私たちは日常を近眼に近い状態で過ごし、家族を育て、会社を経営し、自分の仕事をしています。周囲にあるすべての選択肢を見ることはありません。

スコトーマは私たちが解決策を見つけるのを阻むだけでなく、問題を見ることも阻みます。「すぐ目の前にあるだろう!」「いいや、ないよ。どこだい?」「ほら、そこだよ!」「本当だ。でも前にはなかった。誰が動かしたんだ?」というように。

子どもや妻(夫)と議論していて、こう言ったことはありませんか?「そんなの、わかりきっているだろう― なぜ否定できるんだ? 君は頑固でけんか腰だ」あなたは若い女性を見ていて、相手はおばあさんだけを見ています。相手はあなたの頭がおかしいと思い、あなたは彼らがばかじゃないかと思います。

しかし、スコトーマは建設的に利用することもできます。

注意をそらす外的要素に対してスコトーマを築くと、日の前にある課題に集中することができます。あなたは目標達成に照準を合わせます。

もっとお金を稼ぐこと、結婚生活を成功させること、スピーチをすること、プレツシヤーのかかる中でパスを投げること、何でもかまいません。

ところが、 一つの目的に注意を集中するこの能力自体が弱点になりかねません。

自分の意見が強すぎるがために(勝利をつかむためにはその強さが必要なのですが)、他の選択肢が見えないこともあるのです。

つまり、余計なものと一緒に、より良い選択肢まで排除してしまうおそれがあるということです。

私たちは成功している人を見ると、つい「彼らはラッキーだ。状況が彼らに有利に働いたんだ」と言ってしまいます。

彼らは幸運なのでしょうか? 人より物事がよく見えているのではないでしょうか? 物事の異なる側面が見えているのではないでしょうか? 異なるものの見方が、突然多くの可能性を開くことがあります。

高パフォーマンスの人たちが普通の人と異なるのは、彼らのスコトーマが普通の人より少ないからです。彼らは目標にものすごく集中しますが、疑いや分析を忘れることはありません。

すべての真実が見えているわけではないことを知っているので、より多くの真実を求めて、リスクを創造性発揮の機会と解釈します。

日にする真実の量が増えるほど、彼らの運気は高まります。偶然や知性や幸運というよりも、彼らの考え方が大きく関係しているのです。

あなたもこれらの原則を取り入れると、より柔軟な心で広い選択肢に目を向けられるようになります。

今わからないことがあれば、それに対してスコトーマを築いていると思ったら、「どうか私に見せてください」と言いましよう。

これらのスキルを学ボと、人生の道筋が開けてきます。周囲を見回すたびに、以前は見えなかった選択肢が見えるようになります。

「なんてばかだったんだろう。ほら、あそこに別の方法があったのに」

★スコトーマ退治

私たちは心を開き、こう信じる続ける必要があります。

「答えはそこにある。今はまだ見えていないだけだ。でも、すぐに見えるようになる」そして、自分についても周囲の人についても、そう信じなければなりません。

もし私があなたに能力が欠けていると思い込めば、あなたが成功するのはむずかしくなります。

私はあなたがすることすべてにスコトーマを築き、自分の信念を貫くことが愚かに見えないようにします。

あなたは自己改善に努力することはできますが、もし私があなたには生まれながらに能力が欠けていると信じていれば、あなたの成功する姿が想像できません。

あなたは自分を含むすべての人のためにスコトーマ退治をしなければなりません。今は見えていないものを、どうしたら見ることができるかを学ぶのです。

どうしたらあなたや子どもたちにとって、より価値ある人生になるでしょう? ネガティブな刷り込みに抵抗することを学ばなければなりません。

つねにこう思い出すのです。

「答えはそこにある。今はまだ見えていないだけだ。でも、すぐに見えるようになる」と。

物事がうまく運ぶように努力している領域で、自分を固定観念から解き放ってください。このアプローチをとれば、すばらしい宝探しの旅が待っています。

「手段や方法はきっと見つかる。このまま進んで解決策を見つけよう」自分に大きな質問を投げかけてください。

「私は自分に対してどんな固定観念を持っているだろう。どんな習慣、信念、真実にとらわれているだろう」と。いったん自分にラベルを貼ると、見つかるはずの他の選択肢にスコトーマを築いてしまいます。心を開き、柔軟になれば、選択肢と代替案が見つかります。

平均的な人と高パフォーマンスの人(つねに運を切り開いているように見える人)の唯一の違いは、高パフォーマンスの人は異なる考え方をするため、もっと多くのものが見えているということです。

考え方を変えると、人としてのありようが変わります。頭の中で成長のプロセスが始動し、思考が蓄積されて信念を築きます。

ただし、自分の能力や可能性について間違った信念や疑わしい信念が蓄積されると、それがそのまま行動に現れてしまいます。

ずっと以前のことですが、犯罪歴のある人たちのコーチングをしたことがありました。その中の一人、エメットという男性は、長い刑期を終えて出所したばかりでした。六十歳前後で、もとは大酒飲みの泥棒です。

私の教えを受けたエメットは、「これからはまじめに生きる」と決めました。彼は椅子の張り替えの仕事を選びました。その職を経験したことはありませんでしたが、刑務所で技術を学んだのです。

しかし、問題がありました。仕事をするにはミシンが必要だったのですが、買うには何百ドルもかかります。エメットは五六ドルしか持っていませんでした。すぐに、「俺にはできない」とあきらめてしまいました。

私が「どうしてそれがわかる?」とたずねると、「ドンがそう言ったんだ」と彼は言います。ドンはエメットと同じワラワラの刑務所に十三年もいた受刑者でした。刑務所内では力を持つ仕切り屋で、知ったかぶりでもありました。

ドンはエメットに、「前科者にはクレジツトカードがつくれない」と教えていました。エメットにとっては、それが〃真実″だったのです。

私は「とにかく試してみたらどうだい?」と背中を押し、彼はその助言に従いました。そして、なんとかクレジツトでミシンを手に入れることができました。

次のセッションにやってきたエメットは、「店に入って五六ドルを前金に渡したら、店の主人がクレジツト払いでミシンを渡してくれたんだ!」と、自分のサクセスストーリーを語りました。

「俺が前科者かどうか、たずねさえしなかった!」。

彼がミシンを手に入れられたのは、古い思い込みに目標を妨害させなかったからです

★どうしたら見える?

黒い部分に集中して、この複雑なパズルをよく見てください。すぐにわかるのは、矢印です。次に簡単なのは上下の歯が折れているクシです。

クシがどれかわかりましたか? 頭に羽根を載せたインディアンの勇者の頭部のシルエットも見えますか? 煙突のあるログハウスはどうでしょう? 最もむずかしいのは一F」の文字です。

わかりますか? 「L」の文字はどうでしょう? 「Y」は?この中に「FLY」という単語は見えますか?言語は認知力、信念、行動に影響を与えます。

もし誰かに「君がその職を手に入れるには五年かかる」とか、「『FLY』という単語はいちばん見つけるのがむずかしい」と言われ、その言葉を信じてしまえば、潜在意識が「そうだ、間違いない」と言い、その信念のままに行動してしまうからです。

ところで、「FLY」の文字を見つけることができましたか?次のようにすれば見つけやすくなるでしようか?

今度はすぐに目に飛び込んでくるはずです。

あなたはきちんとそれを見ていたのに、見えなかっただけなのです。

その理由の一つは、最初のイラストが黒地に白い文字だったために、私たちの多くがそれに対してスコトーマを築いてしまっていたからです。

盲点が生まれるのは、世の中をどう見るかについての考えを刷り込まれて育った結果です。あなたは自地に書かれた黒い文字を読むように刷り込まれてきました。

黒地に自の文字を見ても、文字が見えないのです。

「FLY」を見つけにくくするもう一つの理由は、私が自い文字ではなく黒い図形に集中させたからです。

「クシがある、矢がある、勇者の頭がある」と私が言ったために、あなたは見つけるべきもの― クシ、矢、勇者の頭― ‐を探しました。

そして、本当にそこにある唯一のもの―― 「FLY」の文字――を見失ったのです。第三の理由は、私が「FLY」を見つけるのはむずかしいと言ったからです。

それを受け入れると、あなたの潜在意識が「わかった。見つけるのをむずかしくしよう」と言い、あなたは「これはむずかしいんだ」と自分に言い間かせます。

むずかしくなることを期待しているので、実際にむずかしくなるというわけです。誰が「FLY」を見つけるのをじゃましたのでしよう? あなた自身です。

あなたはこう言うかもしれません。

「私はどこかおかしいんだ。見つけられない。私はばかなんだ」。いいえ、あなたの固定観念が見るべきものを見せなかったにすぎません。

同じようなことはつねに起こります。

注意していないと潜在意識につねに誤った考えを刷り込んでしまいます。

「私には能力が足りない。私にはそれができない。その能力がないからだ」。

しかし、それは知性や能力の問題ではありmせん。条件付けの問題です。

私はこの「FLY」の謎解き問題を、飛行機の中で手にした雑誌の中に見つけました。子ども向けのページにです。

恥ずかしながら、私は「FLY」を見つけられず、答えのページを見なければなりませんでした。

あまりに自分が情けなくなり、ページを破り取ったほどです。家に戻るとリビングルームにダイアンがいました。私は急いで駆け寄り、そのページを見せて言いました。

「ダイアン、この中に何が見えるか言ってみて」。

私は彼女を驚かせるのが待ちきれませんでした。ところが、彼女はすぐに答えました。「F 」Y」なんてことだ! 頭が爆発しそうになりました。

とてもじゃないが、自分が裏の答えを見るまでわからなかったなんて言えません。

「どうしてそんなにすぐにわかったの?」と聞くと、彼女は、「美術のクラスで、最初にスペースの部分を見て、次に文字を見るように教わったのよ」と言いました。

つまり、ダイアンは「FLY」の文字がすぐに飛び出てくるような見方を刷り込まれ、私はと言えば、矢と歯の折れたクシばかりを見ていたのです。

あなたの将来の共同経営者、従業員、監督、コーチ、教師の中にも、同じことがあてはまる人たちがいるでしょう。彼らにはそれが「FLY」と言っているのだとわかります。彼らがあなたより頭脳明晰だからではありません。

彼らの思考パターンがその状況にマッチしたというだけのことです。

ダイアンがすぐに「FLY」を見つけたとき、私は自分がばかに思えても不思議ではありませんでした。しかし、私は愚かではありませんでした。

「FLY」が見えない主な理由は、私たちが目だけでものを見ているわけではないからです。私たちは心も使って見ています。

私たちが新しいビジネスや資源を見つけられないのもそのためです。つまり、視覚が「FLY」を遮断したのと同じ理由で、日標達成を手助けしてくれるかもしれない情報を遮断してしまいます。

新しい仕事、新しい顧客、新しい資金にまっすぐ目を向けているのに、過去の条件づけが今日にしているものとマッチしていなければ、「方法がない。それはここにはない」「全部探してみたが、お金はない」「百回は見たが、『FLY』はない」と結論づけてしまうでしよう。

一生を通じてあなたが出会う多くの人たちが、あなたがなぜ準備ができていないか、準備を整えるには何をしなければならないかをあなたに言ってきます。

彼らの言うことを信じれば、「FLY」を見るべきときに、歯の抜けたクシを見るのと同じことになります。注意していないと、いつの間にかスコトーマがあなたの成功を妨害しています。

★成長を阻む妨害物

今の自分をもっと成長させようと決意したとき、あなたは自分の成長を阻む障壁にぶつかります。往々にして、その壁は外の環境にあるのではありません。あなたの内面、あなたの考え方、あなたが自分自身と世の中をどう見ているかが障壁になるのです。

信念体系が潜在能力を引き出すのをじゃますることがあります。私たちは本当の真実ではなく、私たちが信じる真実に従って行動します。私たちの自己イメージは、自分の信じる自己像にふさわしい行動をさせます。

それが私たちに良いことかどうかは関係ありません。考え方を変えれば、行動も変わるのです。

★九つの点

何があなたの足を引っ張っているのかを理解するために、このパズルに挑戦してみてください。鉛筆を使って、九つの点を四本の直線で結びます。紙から鉛筆を離したり、同じ線の上を重複して結んだりしてはいけません。

できましたか? 簡単そうに見えますよね。でも、実際には簡単ではありません。答えが見つからなくても、がっかりする必要はありません。

数週間前にこのパズルを私に渡した人は、答えを見つけるまで二週間の猶予を与えてくれました。それでも私には解けませんでしたcもっと時間をかけても同じでした。

真剣に取り組んでみても無駄でした。

なぜこれほどむずかしいのでしょう? 問題は私たちの考え方にありますc多くの人がこのパズルを解けないのは、九つの点という制約の中で考えることによって問題を解決しようとしているからです。

パズルを解くには、点の外側まで探検しなければなりませんcあなたは、「線をクロスさせていいとは言わなかった」と文句を言うかもしれません。

そのとおりです。しかし、私はクロスさせてはいけないとも言いませんでした。そう考えたのはあなたです。

あるいは、「点の外側まではみ出していいとは言わなかった」と主張する人もいるかもしれません。

しかし、私ははみ出してはいけないとは言いませんでした。あなたがそう考えたのです。あなたは存在しない制約を自分に課しました。私たち全員がそれをしています。

「私はこの仕事をやめられない。ほかにはできることがない」「私は年をとりすぎている」「私は若すぎる」「私の人種では無理だ」「私の性別では無理だ」「私は背が高すぎる」「私は背が低すぎる」「絶対に無理だ」この限定思考が、あなたが九つの点の中にとらわれていたのと同じように、あなたの行動を押しとどめます。

あなたの考え方がつねにあなたの選択肢をブロックしています。ビジネスについても、将来のキャリアについても、資金繰りについても、能力についても。あなたの限定思考がいつも顔を出します。

妻と車に乗っているときに、「テイラー家に寄ってみましょうよ」と言われ、「だめだよ。きっと家にはいないだろう」と言ってしまうかもしれません。

友人に「その仕事に応募してみたら?」と勧められて、「僕を雇うことはないだろう。求められている人材じゃないから」と言ってしまうかもしれません。

あるいは、仕事仲間が「このクライアントに電話してみよう」と提案しても、「無駄だよ。彼らがわれわれの製品を買うことは絶対にない」と答えてしまうかもしれません。

私たちは考え方によって自分に制約を課しています。自分を殻を破った考え方をすることを学ばなければならないのです。

★「地球は平ら」の思考法

コロンブスの時代、多くの人が地球は平らだと信じていました。それがわかっていたので、あまり遠くまで航海しようとしませんでした。災難が待ちうけていると知っていたからです。途中で勇気を失い、方向転換して戻ってきました。

しかし、彼らにとって、戻ってくることは勇気を失うことではありませんでした。彼らは、「これ以上進んだら、地球の端から落ちてしまう」と思っていたからです。

そこヘコロンブスが登場します。彼は地球には端などないという正気とは思えない考えを持ちていました。人々はこう思いました。

「なぜこの狂人が、正気な人と同じように通りを歩くことを認められているのだろう?」。

つまり、コロンブスが直面した問題は、単に彼が信じていたことだけではなく、「どうしたらほかの誰かに信じてもらい、それを証明する資金を出してもらえるか」でもありました。

あなたの会社や家族の中でも同じことが起こります。

「私はこのアプローチがうまくいくとわかっている。ほかの人たちをどうしたら説得できるだろう?」もし私がコロンブスで、あなたの銀行に融資を依頼しに行き、あなたの前に設計図を置いたら、あなたは何と言うでしょう? 「これはまた、ずいぶん大きな船ですね。この平らな地球上で、これを何のために使おうというのです?」。

私は答えます。

「そのお言葉を聞いて残念です。私は地球が丸いという推測について耳にしました。船で行ってそれを証明したいのです」。

あなたは私が頭のおかしい人間であるかのように見て、言うでしょう。コロンブスの時代、多くの人が地球は平らだと信じていました。それがわかっていたので、あまり遠くまで航海しようとしませんでした。

災難が待ちうけていると知っていたからです。途中で勇気を失い、方向転換して戻ってきました。

しかし、彼らにとって、戻ってくることは勇気を失うことではありませんでした。

彼らは、「これ以上進んだら、地球の端から落ちてしまう」と思っていたからです。そこヘコロンブスが登場します。

彼は地球には端などないという正気とは思えない考えを持ちていました。

人々はこう思いました。

「なぜこの狂人が、正気な人と同じように通りを歩くことを認められているのだろう?」。

つまり、コロンブスが直面した問題は、単に彼が信じていたことだけではなく、「どうしたらほかの誰かに信じてもらい、それを証明する資金を出してもらえるか」でもありました。

あなたの会社や家族の中でも同じことが起こります。

「私はこのアプローチがうまくいくとわかっている。

ほかの人たちをどうしたら説得できるだろう?」もし私がコロンブスで、あなたの銀行に融資を依頼しに行き、あなたの前に設計図を置いたら、あなたは何と言うでしょう? 「これはまた、ずいぶん大きな船ですね。

この平らな地球上で、これを何のために使おうというのです?」。

私は答えます。

「そのお言葉を聞いて残念です。私は地球が丸いという推測について耳にしました。船で行ってそれを証明したいのです」。

あなたは私が頭のおかしい人間であるかのように見て、言うでしょう。

「私どもでは、資金をお貸しすることはできません」さて、私が成功を収めるためには、「ばかな連中だ」と考えて、ただ立ち去るわけにはいきません。

人々がそれぞれの考えを持っていることを認め、意図的に頑強な態度をとっているのではないと認めなければなりません。

彼らはただ見えないのです。そのために私を狂人だと思っているのです。

したがって、私が勝つためには、彼らにも見えるように手助けするしかありません。敗者のモットーというのがあります。

それは「一度日でうまくいかなかったら、何度も、何度も挑戦しろ」ではありません。

「一度日でうまくいかなかったら、さっさと誰かに責任を負わせろ。私の責任ではない。一緒にやってきた連中だ。私は地球が丸いと知っている。なぜ彼らにはわからないんだ?」というものです。

しかし、彼らがわからないのは、うまく彼らにそれを示すことができなかったからです。

資金を手に入れたコロンブスは、次の問題にぶつかりました。

それは乗組員の確保です。

あなたは家族や会社を率いるうえで何か問題を抱えていますか? コロンプスは、地球は平らだと信じる乗組員に、その端まで一緒に航海することを説得しなければならなかったのです!あなたも私も、現代社会で同じ課題に直面しています。

周囲にいるのは頭の中に平らな地球を抱えている人たちばかりです。

たとえば、あなたは自分の子どもの賢さに気づき、将来有望だと思うかもしれませんが、問題は「どうしたらこの子に自分の可能性をわからせることができるか」です。

あなたはその問題を克服しなければなりません。

それをするには、地球は丸いかもしれないという考えを受け入れる意思を持つ必要があります。そして、自分でそれを確かめるために航海に乗り出さなければなりません。

自分の期待と信念を変えれば、行動を変えることができます。信念がそうさせるのです。覚えておいてください。

コロンブスが地球は丸いと強く信じるまで、地球は実質的に平らに等しいものでした。

それでは現在、その平らな地球はどこにあるのでしょう?今のあなたの職場での行動、家族に対する行動、恋人に対する行動をコントロールしている信念をじっくり考え直してみてください。

行動を変えるには考え方を変える必要があります。選択肢を考える人、クリエイティブに考える人、可能性を考える人にならなければなりません。

平らな地球の思考法から解放されなければなりません。

こう自分に問いかけてください。

「私が固持している態度、習慣、スキル、信念で、もう役に立たなくなっているものはどれだろう?」成長し、自分を変えるためには、最終的には自分の内に持つ平らな地球の″真実″を克服しなければなりません。

人生の中で九つの点に遭遇したら、「無理だ、できない」と言う代わりに、「線をクロスさせたら? 点の外側にはみ出したら?」と考えてみてください。

コロンブスのように、あらゆる「もし仮に― ―」の探検者になることができます。それが成功への道筋です。

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