MENU

第九章 目標の書き出しとアファメーション

目的志向の重要性は理解できたと思います。これで、成長と変化のための目標設定のしかたを学ぶ準備ができました。

さっそく、設定した目標をアファメーションによって潜在意識に鮮明なイメージとして取り込み、将来の目標を現在の現実にする方法を見ていきましよう。

高校教師を辞めたとき、私は現在のように考え生活する自分を想像することができませんでした。当時の私のコンフオートゾーンからは遠く離れたものだったはずですから。

もうおわかりだと思いますが、私は貧しい家庭で育ちました。一二歳のときに父を亡くしてからは、家計を助けるために働かなければなりませんでした。

新間を売り、ただ食べていくためだけにあらゆる種類の雑用仕事をしました。教師を辞めて自分のビジネスを立ち上げるころまで、私の将来のビジョンはとても狭いものでした。

それどころか、当時の私に想像できることは、生きていくために必要なだけのお金を稼ぐことぐらいだったのです。

すでに述べたように、ダイアンと私には、千ドルの銀行預金と、支払いの必要な請求書と、養うべき九人の子どもと、参加者七人(そのほとんどが親類)のセミナーがあるだけでした。

私はこう思いました。

「教師をしていたころの三倍だけ稼ぐことができれば、ビジネスも家族も何とかやっていける」

しかし、より大きな目標を設定し、その実現を信じるようにしてからは、つねに自分のコンフォートゾーンを押し広げ、私にとって″現実的″なことの範囲を広げられるようになりました。

アファメーションとは、単純に言えば、成長と変化のための設計図です。

イメージを文字に書き表し、すでに起こっていることであるかのように潜在意識に刷り込みを行うこのプロセスは、望まれる変化に向かうための効果的な方法になります。

その手順を説明しましよう。

)一.どこを変えるかを考える目標を定める

前に、どのように、またどれくらい成長し変わりたいかを考えます。すでに得意としている部分をもっとよくしたいと思っているかもしれません。

何か新しいことに挑戦したいと思っているかもしれません。自分の性格の一部や習慣を変えたい、何かに対する古臭い考え方を変えたいと思っているかもしれません。

自己イメージ、自尊心、自信を自然に高め、新しい自分になりたいと思っているかもしれません。経済状況を改善したいのかもしれません。

記憶力、集中力、スタミナを高めたいのかもしれません。教育、政治、宗教について鋭い意見を持ちたいと思っているかもしれませんc定期的に運動し、もっと本を読み、家庭菜園をつくりたいのかもしれません。

子どもたちにもっと愛情を示したいのかもしれません。いずれにしも、最初のステップは、どの部分を変化させ成長させたいのかを考えることです。

▼二.目標を書き出す

なぜアファメーションという形で目標を書き出すことが必要なのでしょう? 第一に、日標を忘れないためです。第二に、日標を偶然や幸運の領域から切り離すためです。

受け身的に望んだり、期待したり、変わるふりをして実際には状況任せにしたりするのではなく、文字という形で日標を宣言し肯定することで、自分にとってそうあるべき状況を意図的に変えようとする気持ちが生まれます。

第二に、文字にすることで、必死に努力したり痛みに耐えたりするストレスなしで、容易かつ安全に日標を達成することができるからです。目標を文字に表すと、結果のイメージが鮮明に頭に描かれます。

そのイメージは、それが喚起する感情とともに、それがすでに達成されたことであるかのように目標を潜在意識に刷り込みます。潜在意識には、本物と鮮明なイメージの違いがわかりません。

たとえば、家を建てるという目標を立てたとしましょう。場所と基本的な間取りを決めたら、頭の中で最終結果、すなわち完成した家のイメージを視覚化します。

それを何度も繰り返すと、新しい家の鮮明なイメージが期待感とともに潜在意識に刷り込まれ、玄関から家の中に入れそうなくらいリアルな映像になります。

あなたはその家で暮らす喜びを想像し、「この新しい家に引っ越すのが待ちきれない」と思うでしょう。その時点ではまだ内なるイメージを変えただけなのに、すでに引っ越したような気分になります。

そして、実際にはまだ新しい家を手にしていないと認識したとき、それを建てるために必要なエネルギーとモチベーションが生み出されます。

ところで、このプロセスには、感情―― 「待ちきれない」という期待― が不可欠です。期待感がなければ、目標は決して実現することのない中途半端な目的で終わります。

目標を文字に表し、鮮明なイメージにすることが、目標達成へのプロセスを始動させます。ただ単純に望むこと、期待すること、変えるふりをすることは、妖精が現れてあなたを王子か王女に変えてくれるのを待つようなものです。

妖精などやってきません。あなたの望む変化もやってきません― ‐あなたが意識的に目標を書き出し、とことん追求しないかぎり。

〉三.それぞれの目標を短いアファメーションの言葉にまとめる

文字にしたアファメーションは、将来に物事がどうあるべきかについての目標です。

「私の人生はこうなるべきだ」「私の家族はこうなるべきだ」「私はこう見えるべきだ」アファメーションは、新しい〃こうあるべき″状況をイメージすることで、現実を広げていくための方法です。

向上させたいところがいくつもあると、怖じ気づいてしまうかもしれません。すると、でたらめに目標設定をして、あとは運任せにしてしまいかねません。

定期的に新しい目標設定をするように自分を仕向ける方法の一つは、それをはっきりした短い言葉に書き表すことです。

二文から成る目標宣言(一段落とか一ページでは長すぎます)なら、視覚化も容易で、潜在意識に強く刷り込みを行うことができるでしよう。

個々の目標、あるいは一つの目標のそれぞれの側面を、簡潔に、明確に、具体的に書き表すことが大切です。一つの目標につき、一つの短い文に制限する必要はありません。

目標の中には複雑なものもあるからです。

自分の人生の一つの領域に複雑な変化を起こそうとしているときなら、いくつかの短いアファメーションが必要になるかもしれません。

それぞれが特定の質や性格をカバーするものです。

たとえば、人間関係全般の改善を目標に設定したとしましょう。その場合、「私は出会うすべての人に対して理解ある親切な人間になる。すべての人に敬意と思いやりを持って接する」といった、大まかなアファメーションにすることもできます。

人間関係をさらに分類して特定の目標を設定したいのなら、それぞれについての細かい描写を付け加えることもできます。

たとえば、「母に対して思いやりを持ち、忍耐強くなる」「弟に優しくする」「娘の話を注意深く、関心を持って聞く。とくに娘が自分のことを話しているときはそうする」のように。あるいは、自分のゴルフの成績を上げたいと思っているとしましょう。

その場合は、ホールごとの目標、ラウンド全体の目標、プレツシヤーヘの対処についての目標をアファメーションにして書き表すことができます。

自分がどんな親になりたいか、その目標を短い言葉に書き表すとしたら、あなたはどう表現するでしょう? 

親としての全般的な態度をカバーする目標と、息子との関係改善についての目標、娘との関係についての目標、彼らの教育についての目標、家庭で与えたい感情的サポートについての目標など、それぞれについてアファメーションが必要かもしれません。

全体目標のそれぞれの側面を一文か二文に定義して書き表しておくと、それぞれが別個に明確にイメージされるため、刷り込みプロセスの助けになるでしよう。

POINT

変化を起こすのは書くという行為ではない。感情を喚起する視覚化と刷り込みのプロセスが変化を起こす。

▼四。実際に経験している

自分をイメージする目標を書き出すときには、自分がすること、手に入れるもの、そうあるべき自分の姿を、それが実際に今起こっていると感じられるような臨場感のあるイメージを喚起してください。

私たちが何かを鮮明にイメージし、長く頭の中にとどめておくと、それが潜在意識レベルでは現実になります。

ですから、自分の目標を鮮明なイメージにして、それを新しい現実として潜在意識に信じさせるようにしましよう。

臨場感のあるイメージを喚起すると、あなたの頭の中はシミュレーターに変わります。強烈なイメージができるため、実際に自分がそれを経験しているように感じることができるのです。

そうなったときにはじめて、潜在意識は想像上の出来事や目標を、それが実際に起こったことであるかのように記録します。

適切に書き表されたアファメーションは、臨場感あるイメージを生み出し、正しい感情を呼び起こします。

それがやがてはあなたの信念体系に新しい現実として刷り込まれ、ちょうど運転席からの映像を流す車のCMのように効果を上げます。

あなたは運転している気分を経験し、「これは私の車だ。私の所有物だ」と記憶するのです。

たとえば、自分がバンジージヤンプをしている姿をビデオに撮っておいた人がいます。

あなたはそのビデオを一〇〇回でも見ることができますが(その人がジヤンプするところを百回観察するわけです)、あなた自身がジヤンプしていることを想像しないかぎりは、自分でも経験してみたいとは思いません。

誰かが会社の経営方針の手本を示したり、自分の生き方を話したりするのを聞いても、それが自分に起こっていることのように感じられなければ、何も得るものがありません。

どれだけ自分を成長させられるかは、自分がしたいこと、なりたいもの、手に入れたいものに対して、その状況を経験している自分をどれだけリアルに想像できるかで決まります。

ただ目に浮かべるだけでなく、ポジティブな感情を持ってそれを想像できなければなりません。

自分がバンジージヤンプを飛んでいる姿を想像することを自分に強いれば、恐怖で満たされます。

その恐怖を感じるために、実際にジヤンプを経験する必要はありません。ただ想像するだけでよいのです。あなたはネガティブな感情を記録してしまったからです。

すると、それが現実になったとき、保存されていた感情が表に出て、あなたを回避行動に走らせます。なぜそれをやるべきではないかの理由を見つけ出すのです。

つまり、達成できるだけの潜在能力を持っているビジョンや目標をポジティブに追求するか、ネガティブに避けようとするかは、何を視覚化するかだけでなく、視覚化したものにどんな感情を持つかで決まります。

臨場感あるイメージは、″自分″を中心にしたものでなければなりません。

自分自身の目標を視覚化するときには、誰かがそれを達成するところではなく、自分自身が達成するところを思い描きます。

あなたは自分の子どもに、「ほかの子がどうしているかよく見なさい。どうしてみんなと同じようにできないの?」と言ったことはありませんか?子どもがみんなと同じようにできない理由の一つは、「〃みんな″がどう行動しているかは見えるよ。でも、″自分″がそうしているところは見えない」ということかもしれません。

車のCMが、″誰か″が運転している姿を見せたとしたらどうでしょう? 「これは″私の″車だ」と感じる代わりに、「″彼らの″新しい車だ」と感じるはずです。

そうすると、あなたには新しい車を買おうというモチベーションが生まれません。イメージが自分を中心にした、自分が経験しているところを思い描いたものであるべきなのはそのためです。

もしどんなイメージでも効果があるのなら、私たちは誰かを観察するだけで、すぐにその人のようになれるということです。しかし、実際にそうなることはありません。

アファメーションによって喚起されたイメージは、「これは″私に″起こっていることだ」と潜在意識に訴えかける強い感情を持たせます。

″自分が″何かをしている姿、何かを持っている姿、なりたい自分になっている姿を想像できないかぎり、現在の現実のイメージに影響を与えることはできないのです。

▼五.細かい部分を描写する

目標設定のアファメーションは、潜在意識が具体的に目標を記憶できるように、詳細なイメージを伝えるものでなければなりません。

たとえば、朝、早起きすることを目標にすることもできますが、それでは目標があまりに漠然としています。ちょっとした細かい描写を付け加えるだけで、それを改善することができます。

「午前六時に起きると、活力とやる気がみなぎり、仕事に行くことが楽しみで仕方のない気分になっている」

目標は明確で、具体的でなければなりません。

「私は良い人間だ」では、視覚化するのがむずかしくなります。「私は決断力あるリーダーだ」でも、まだ具体性が足りません。自分がどうなることを選ぶのか、そうなるためにどんな方法を選ぶのかを、ピンポイントで表現します。

個人の場合もグループの場合も、正確に定義された標的を持つことが目標設定には不可欠です。

会社が「良い一年」を迎えられることを目標にすることがあるかもしれません。しかし、「良い」だけでは、それが何を意味するのかわかりません。目標があいまいだと、それに対するフィードバックが得られません。

フィードバツクが得られないと、標的から外れても脳内システムがそれに気づきません。フィードバックがないと緊張が生じることはなくなりますが、日標を達成しようというモチベーションを得ることもできません。

コーチが「今年は基礎を築く年になる」と言ったり、誰かが上司に、「今年の業績はどうなると思いますか?」とたずねたときに、上司は「よくなるだろう」とだけ答えたりします。これらの発言が意味するのは、「私にプレツシヤーを与えるな」ということです。

それは、運動をしたくない人が、「ちょっとジョギングをする」と言うのと同じです。「ちょつと」とはどれくらいでしょう? たった一五メートルかもしれません。

望むことを具体的に(正確な距離、新規ビジネスの正確な件数や量、正確な収入、正確な仕事)表現することが不可欠です。

そうすることで、潜在意識があなたに目標達成の責任を負わせ、フィードバックを与え、自分が信じる自分になれるような行動をとらせます。

効果的な目標設定とは、何が重要かを意識的に決定することを意味します。自分にとって何が重要かを決めたとたん、あなたに運が味方するようになります。

あなたの意識が積極的に関連情報を選別するようになります。イメージの視覚化が明確でないと、入ってくる情報も少なくなります。

たとえば、子どもたちへのクリスマスのプレゼントに″何か″を買いにいっても、おそらくは何も見つかりません。

″何か″を視覚化することはできません。しかし、車輪着脱式の二四インチのオフロードバイクを探しにいくのなら、すぐに見つかります。

▼六。ポジティブなイメージを使う

効果的な目標設定の秘訣は、自分の目標を前向きで肯定的な言葉に表すことです。何を望まないかではなく、何を望むかをつねに書くようにしましょう。それは、潜在意識を否定的な考えから、強制的。制限的モチベーションから、地獄の炎から遠ざけるためのプロセスです。

目標宣言の中のイメージは、あなたが自分のものにしたいと望むポジティブなイメージでなければなりません。

イライラした経験を視覚化する代わりに、自分が忍耐強く行動する明確な状況を視覚化してください。短く噛んだつめを視覚化する代わりに、長くエレガントなつめを視覚化してください。

「プレツシヤーがかかつたときにボールを落としたくない」と書く代わりに、「プレッシャーがかかったときに、いつもパスをキャッチする」と書きましよう。

あなたが、「私はひどく怒りっぽい」と思っていたとしましょう。それはあなた自身の問題です。そこで、「怒りっぽくなかったとしたら、どんな感じだろう?」と自分に問いかけてみます。

そして、「冷静で、穏やかで、プレツシヤーの中でも落ち着きを保てる」「オフィスで危機が起こったときにも、つねに冷静で、穏やかで、落ち着きを保てる」などと答えます。

簡単なことです。

あるいは、あなたの問題が、「お金がない」ことだったとしましょう。その問題を肯定してしまうと、何が起こるでしょう? あなたの潜在意識はその現実を確認し―― 「オーケー、もしそれが望みなら」― ‐あなたを貧乏な状態にとどめます。

しかし、「数年間、幸せに暮らせるだけのお金があったらどうだろう」と自問してみれば、問題(「お金がない」)を肯定する代わりに、「お金がどんどん入ってくる」という解決策を肯定することになります。

「姉とはうまくやっていけない」という問題をネガティブに確認することと、「私が思いやりを持って接することで、私たちは親友になれる」という解決策のポジティブな肯定とでは、大きな違いがあります。

たとえどのように目標を達成すべきか、その方法はまったく思い浮かばなくても、自分が望まないことのネガティブなイメージではなく、自分が望むことのポジティブなイメージを喚起することが重要です。

自分の望むポジティブなイメージをつくり出し、現在の状況を目にすることで、二つのイメージの食い違いを正そうというモチベーションが生まれますc)

七.現実的な目標を設定する

″現実″的とは何でしょう? 自分が目標を達成している姿を鮮明に思い浮かべ、頭の中で経験することができるのなら、それはあなたにとって現実的ということになります。そうでなければ、少しだけ自分のビジョンを後退させる必要があります。

もしあなたが五〇歳で二〇キロ太りすぎなら、二〇歳のころのやせていた自分を現実的にイメージすることはできません。

目標を鮮明に、正しい感情で、実際に経験しているようにイメージすることができないと、潜在意識はそれが現実ではないと気づき、目標が刷り込まれることはありません。

どのくらい先の将来まで、あなたは望むものを手に入れた自分をイメージすることができるでしょうか? ただ何かになりたいと言うだけで、イメージを変えることはできません。

億万長者としての自分を現実的にイメージできなければ、何も起こりません。

億万長者はどのように考え、どのように行動するでしよう?

  • ・彼らの家はどんな内装が施されているでしよう?
  • ・彼らは何を買うでしょう?
  • ・どこで食べるでしよう?
  • ・友人にはどんな人がいるでしょう?
  • ・あなたは億万長者の自分をイメージすることができますか?

私にはできません。私には彼らが何をし、どのように生活しているかがわかりません。しかし、収入が現在の三倍になったときの自分ならイメージすることができます。

多くの人がそうでしようが、そのくらいのお金を使っている自分なら、今すぐにイメージすることができるはずです。

その状況にある自分を想像できるような目標にすることが必要ですが、あまりに近すぎるところに目標を置くと、モチベーションとエネルギーと意欲を失います。

そう、今のところ、五割の実現可能性くらいに思える目標がいいでしょう。少し成長した時点であらためて、どれだけ遠くの将来まで自分の姿をイメージできるかを考えてみます。

現実的な目標を設定するというのは、あなたを成長させない目標を立てるということではありません。一度に少しずつの成長という意味です。

将来を視覚化するときに現実的になるというのは、矛盾しているように思うかもしれません。でも、覚えておいてください。

変化を誘発するのに必要な内なる緊張を生み出すのは、二つのイメージのあいだの食い違いです。現状とビジョンの差が、「私は問題を抱えている!」とあなたの意識に働きかけるのです。

問題は、望んでいる仕事のビジョンと、現在ついている仕事のあいだの違いかもしれません。望む収入のビジョンと、現在の収入との差かもしれません。

あなたが望む家族との接し方のビジョンと、現状との違いかもしれません。食い違いはあなたの頭の中に不協和を生み出し、それが目標を達成する意欲をかき立てます。

しかし、その同じ不快な緊張のために、自分を向上させる目標を設定できないこともあります。

自分に正直になってください。あなたは何か新しいことを夢見て、それを考えただけでみじめな思いをしたことはありますか? それがイメージと現実との対立という問題です。

しかし、忘れないでください。問題から逃げてはいけません。あなたは問題を必要としているのです。それがあなたから最善のものを引き出すのです。あなたに必要なことは、頭の中で現状の痛みよりも強いビジョンを思い描くことです。

アファメーションと視覚化、日標の適切な刷り込みを通してそれができれば、最終的には目標を達成することができます。問題から目をそらしてしまうと、変わっていく自分自身を現実的にイメージすることができません。

▼八.一人称現在形で目標を書き表す

すべての目標は、自分を中心にして書いてください。「私は優しく思いやりのある母親だ」「私は決断力のある父親だ」「私はすべての人を公平に扱う」「私は会社の中のリーダーだ」というふうに。

利己的に聞こえるかもしれませんが、自己イメージを変えるには必要なことです。誰か他人を変えることを目標にすることはできません。

自分を変えることを目標にするしかないのです。私が目標として宣言できるのは、私自身の変化だけで、あなたの変化ではありません。自分の目標を潜在意識に刷り込みたいのなら、現在形でアファメーションを言葉にする必要があります。

すでに自分がそういう人間であるかのように、「私は新任のマネジャーだ」「私はフレンドリーで外向的だ」と書いてください。たとえまだ古い家に住んでいても、すでに新しい家に住んでいると宣言します。

プレーする前からすでにその試合に勝利したように、たとえ銀行に二〇ドルの預金しかなくても、休暇旅行に出かけるのに十分なお金があるかのように宣言します。

実際はそうではなくても、すでに達成されているように目標を書くのです。正しいイメージと感情を喚起すれば、潜在意識はあなたを信じます。これは自分に嘘をつくこととは違います。ただ、自分の持つ現実のイメージを変えているだけのことです。

目標をアファメーションの言葉にすること自体は、道徳的でも非道徳的でもありません。道徳を超越しているか、中立的かのどちらかです。それは、変化のための正しいイメージをつくり出すための道具にすぎません。

 一人称現在形を使うことで、意図的に矛盾を生み出し、二つのイメージを重ね合わせたいという衝動を引き起こすのです。

自分の可能性を肯定しても、変化のための原動力を生み出すことはありません。「なれる」「なろうと思う」「なりたい」と考えるときには、同時に、「でも今はそうではない」と考えています。

「親切な人になれる」と宣言するときには、「親切な人にはなれるが、現在の私はろくでなしだ」と記録しています。

わかりますか? 「金持ちにはなれるが、今は貧乏だ」「勇敢になりたいが、今の私は臆病だ」。すべて同じです。自分の能力や可能性を肯定しても、現状を変えることはありません。

「私は愛情豊かな父親だ」「私は勝利をつかむアスリートだ」「私は行動的なリーダーだ」というように、達成している状況を宣言しなければなりません。

現在形で宣言しないと、望む最終結果を手にするための意欲をかき立てることができません。「なぜ変われないのだろう?」と悩んで終わるだけです。

現在形を使わないと、現在にいながら過去の状況を宣言するという罠にはまるかもしれません。

「これはひどい」と不満をこぼし、セルフトークで「状況は最悪だ。卑劣な人間ばかりだし、価値観も何もない」と認めるとしたら?

これが現在を表現する言葉だとしたら、あなたの明日はどう見えるでしよう?多くの変化を拒んでいるものは何でしょう?多くの人が頭の中で現在の状況、あるいは過去の状況を繰り返し再生しています。

  • あなたの周囲の人たち― ‐家族、友人、会社の同僚― ‐はどうでしょう?
  • 彼らは何を話し、何を考えているでしょう?
  • 歴史でしょうか、未来でしょうか?

高パフォーマンスの人たちはすでに達成されたことであるかのように、未来を考えます。「お金を稼いでいる」「試合に勝っている」「家が建っている」。彼らは物事が起こる前に、自分の将来をつくっていきます。

POINT

未来を決めるのは今。だからすべての目標は現在形で表すこと。そうしないと明日が昨日のように見える。

▼九.比較をしない

自分を誰かと比べることでのみ成長できると感じているとしたら、つねに相手のことを自分より優れているか劣っているかという観点から考えるようになります。その人が自分より優れていると感じれば、自分の肩にずっしりとした重しを加えるようなものです。

「私は彼ほどハンサムではない」「私は彼女ほど美人ではない」「彼のほうが優れた打者だ」「彼女のほうが優れた医者だ」。

これは制限的モチベーションです。

「私は自分自身の成長のためにこの目標を設定することを選ぶ」と感じる代わりに、あなたはいつも、誰かより優れていなければならないと感じます。

あるいは、誰かが自分より劣っていると感じると、自分の望むものを手に入れることではなく、誰かの持っているものが自分より少ないと確認することで不協和から解放されます。

誰かと比較するのは、「私は彼らの目標を達成しよう。彼らより優れていればいいだけだ」と言っているのと同じです。これは、ネガティブで効果のない目標設定です。

他人と比較することでは自分を成長させることはできません。

なぜ誰かより優れていることを望み、その必要まで感じるのでしょう?あなたにはあなただけのビジョン、恐怖、コンフオートゾーン、態度、日標、夢、願望、才能、試練があり、他人はそれを知りません。

成長と変化を必要とするのがあなたなら、誰かと比較しても意味はありません。誰かに勝つというだけの理由ではなく、もっと重要な理由のために成長することを選ばなければなりません。

健全な競争が意味を持つ場所もたしかにあります。たとえば、私は大学やプロの運動選手と仕事をすることがよくあります。

個人やチームの目標を達成するためには、つまり勝利をつかむためには、敵より強くなろうとする競争意識が必要になります。

これは、家族や友人や同僚と競い合うこととは異なります。

スポーツチームを勝利に向けてまとめるという仕事の本質として、他のチームとの競争は必要ですが、家族のメンバーと競い合うことは不調和と不満しか生み出しません。友人と競い合うことは、友情を壊すことに終わるかもしれません。

会社の同僚と競い合うことは、利己的な態度と習慣を生み出し、それは会社全体の目標にとって逆効果になるかもしれません。どこかの会社で最も優秀な営業担当が、業界全体の基準から見て優れているとはかぎりません。

つまり、たとえあなたがその人物より優れていたとしても、全体から見ればまだ平凡な成績でしかないかもしれません。

しかし、もしあなたの目標が可能なかぎり最高の営業担当になることではなく、ただその会社でトップ成績の営業担当を追い抜くということなら、その会社で一番になることで満足してしまうでしょう。

その目標設定の危険は、自分ではベストだと思いながら、実際には凡庸なまま終わってしまうことです。あなたが誰かについて称賛していることは、あなた自身の目標に、健全でポジティブな形で取り込むことができます。

称賛している人を観察し、彼らの真似をするように努力するのです。

「彼女の家族との接し方はすばらしいと思う」「彼らの経営方針はすばらしい」「私もあの性格を取り入れたい」「あの態度はいいと思う」「私が好きなのは――」と、自分に語りかけることができます。これは、自分と誰かを比較することとは違います。

ただ、好ましいと思える部分を観察し、それを自分自身の信念体系に取り入れるために目標にするのです。

▼十.意志を貫く

文字で表現したアファメーションは、力強い意思による支えがなければ、信念体系を変えるだけのパワーを持ちません。

純粋な気持ちから誰かを褒めるときのように、内面にダイナミックな変化を生み出すのは、アファメーションの言葉の中に含まれる純粋な意図と強い意志です。意志の空っぽな言葉は価値のないただの文字にすぎません。

専門家の言葉を信じてそれを人生の糧とするように、自分に語りかける言葉の中にできるかぎりの信頼を込めれば、イメージが変化するまでアファメーションを繰り返す必要はなくなります。

本当にこのプロセスを自分のものにすることができれば、結婚式での「誓います」の言葉のように、たった一度のアファメーションでも変化を起こすのに十分になります。

アファメーションによって、あなたは言葉の大きな力に気づくことになるでしょう。目標を設定するときに、無意識に自分をごまかしていることがあることにも気づくはずです。

それは、日標に真剣に取り組もうとはしていないからです。

成長して変わりたいなら、自分に対しても他人に対しても、不用意に言葉を使うことを改めなければなりません。言葉はただの″種″です。自分を内から変えようという強い意思を持って、種を育てなければなりません。

人によっては、たびたびアファメーションを繰り返して、自分を説得しなければならないこともあるでしょう。

「終わった、成し遂げた」と信じる意思を持つ前に、自分の価値観を築くために視覚化し、肯定する人もいるでしょう。

すぐに「それは私のものだ」と信じるに十分なほど自信を持てる人もいるでしょう。すべては、あなたの言葉が自分や周囲の人にとってどれだけ効果を持つかの問題です。

▼十一。最初は目標を秘密にしておく

個人的な目標を設定するときには、それを自分だけの秘密にします。家族やチームメイトや同僚とは、いくつかの目標を共有したいと思うかもしれません。

もしそうなら、目標を達成するのを手助けしてくれる人とだけ共有してください。あなたの足を引っ張るような人とは目標を共有しないことです。

誰がそれに該当するかは、あなたにしかわかりません。

目標を人に話すと、「口にしたからには、もうやるしかない」と、後戻りできない気分になることがあります。そうした制限的モチベーションは必要ありません。

すべての目標はやりたいこと、好きなこと、自分が選ぶことを基本にすべきです。そうしないと、それを達成することを強要されているように感じます。もう一つの落とし穴は、日標を達成するうえでの柔軟性を失うおそれがあることでしよう。

子どもたちに、新しい家に引っ越すと話したときのこと(まだ家を見つける前のことです)を、私はよく覚えています。

私たちは古い家を売り、引っ越しの準備をしていました。娘のナンシーは当時まだ小学校二年生でしたから、引っ越しで友だちと離れることを嫌がるだろうと思っていました。

そこで、買う家を見つけるまでは近所の家を借りるから、それまでは今の学校にいられるよ、と言って説得しました。

彼女の反応を今でも忘れることができません。ナンシーは、「嫌よ― 私、逃げ出すわ」と言ったのです。

「逃げ出す? 学校の友だちは、君のことが大好きだよ」「私、あの学校にはいられない―」「どうして?」と聞くと、こう答えました。

「みんなに引っ越すって言っちゃったんだもの。だから、さよならパーティーを開いてくれたのよ。もう戻れない!」

わかりますか?いったん目標を共有すると、タイミングという点で柔軟性を失ってしまうのです。目標を自分だけのものにしておけば柔軟性が生まれ、タイミングを自分でコントロールすることができます。

さらに、目標を共有した人たちが、応援してくれるとはかぎりません。たとえば、妻や夫に対してもっと忍耐強くなるという目標を設定して、それを本人に告げたとしましよう。

あなたが一時的に後戻りすると、すかさず、「ほら、全然変わっていない。もっと忍耐強くなるはずだったでしょう?」と言われます。

すると、あなたの態度は、「そうだ、たしかにそう言った。でも、毎回こんなことを言われちゃたまらない」に変わるかもしれません。

こうした言葉に苛立ちたくはないはずです。

彼らに悪気はないのですが、あなたが彼らのコンフオートゾーンを変えようとしているため、自分たちの安全のために闘おうとするのです。目標を秘密にしておいたほうがよいのはそのためです。変化に自ら語らせましよう。

▼十二.目標を人生の使命と調和させる

あなたはこう自分に問いかける必要があります。

「会社の拡張、キャリアの向上、ビジネス促進のすべての目標をどうしたらうまく結びつけることができるだろう?私の目標は公平さ、正義、倫理的価値観に基づいているだろうか?」全体像をつかむように努力してください。

自分がどんな人間になりたいかも含め、頭の中で達成したい人生目標を視覚化します。重要な要素を過小に、あるいは過大に評価していないでしょうか?ビジネスなど一つの領域での目標だけを設定すると、すぐにバランスを失います。

バランスのよい人生を送るには、人生の主たる要素すべてをカバーする目標にしなければなりません。

自分の人生を、丸い車輪として考えてみてください。一つの領域だけに目標を置くと、すぐに丸い形が崩れてしまいます。そうすれば、車輪はやがて転がらなくなってしまうでしょう。

バランスとは、自分自身と自分の人生に大切な人たちに利益をもたらすそれぞれの領域(仕事、精神、家族、健康、社会生活、コミュニティなど)を調和させるということです。鉄の棒には多くの使い道がありますが、鉄の分子はあらゆる方向に向かいます。

電流を通すと分子は一直線に並び、それまでの強さを維持したまま、新しい力を加えます。つまり、鉄が磁石になります。

私たちは異なる方向性の目標をいくつか同時に達成することができますが、すべての目標が自分の個人的ビジョンと人生の使命にうまく合致していると、少ない努力で多くを成し遂げることができます。

目標がうまく配列されていると、すさまじいパワーを生み出すことができます。調和の欠如はエネルギーの分散を引き起こします。

個人的目標は家族、チーム、会社の目標とも矛盾しないものであるべきです。スマートな目標とは、バランスがとれ、調和し、明確で、焦点が定まり、具体的で、建設的なものです。

目的をはっきり視覚化するほど、行動を促す力が生まれます。スマートな目標は、測定可能で、実現可能で、きちんと計画され、関連性があり、文字にされています。

目標を書き表しアファメーションのプロセスを取り入れることで、正確さが増します。意識への刷り込みは力を与えます。

文字にしたアファメーションは魔法ではありません。変化のための意識的で意図的なプロセスの一つのステップです。

目標の刷り込みがうまくいくかどうかが違いを生みます。次の章では、アファメーションと目標の刷り込みについて、さらに深く見ていきましようc

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次