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第三章 貿易の商慣習

目次

第三章 貿易の商慣習

  • 1.相手の値ごろ感を探りたい
  • 2.オファーの値段は受けたというビッド
  • 3.間違いのオファー
  • 4.有効期限切れ後のアクセプト
  • 5.最初のオファーをアクセプト
  • 6.契約の成立時点
  • 7.好条件のビッド
  • 8.値上げオファー
  • 9.売手市場
  • 10.契約書にサインしてないから

第三章 貿易の商慣習

「貿易の商慣習」は、貿易を行っている人に共通した「商談のスタイル」で、具体的には、「売主が買主に提示するオファー」、「買主が売主に提示するビッド」で、どちらも商売に必要な諸条件を「一括条件」(OnePackage)にして、相手に提示し、相手の諾否を問うものです。

オファーとビッドは、商談が続く限り、通常は、交互にやりとりされ、どちらかが相手の提示したオファーまたはビッドを、アクセプトした時点で、契約が成立します。

これが、ファームオファー、ファームビッドですが、これ以外にも、ファ-ムでない、オファー・ビッドなどがあります。

「貿易の商慣習」は、インコタームズと同様に、貿易を行うには欠かせないツールですから、「貿易の商慣習」に精通して使いこなせるようにしましょう。

1.相手の値ごろ感を探りたい(1)問題海外の企業から、メールで引き合いが来ました。

早速、値段を提示したいのですが、相手が、幾らぐらいで買うつもりなのか、相手の値ごろ感が、まったく分かりません。

いきなりファームオファーして、相手が受けてしまえば、安く売り過ぎたことになり、後悔するでしょう。

相手の値ごろ感を探ったうえで、オファーしたいのですが、どうすれば良いでしょうか?(2)ヒント「貿易の商慣習」では、売主が買主に提示するオファーと、買主が売主に提示するビッドの二つがあります。

オファー・ビッドは、ファームオファー・ファームビッドと、サブコンオファー・サブコンビッドに大別されます。

提示して相手がアクセプト(受諾)すると、契約が成立するのが、ファームオファー・ファームビッドです。

相手がアクセプト(受諾)しても、提示した側が、それを確認(Confirm)しなければ、契約成立とならないのが、サブコンオファー・サブコンビッドです。

相手がアクセプト(受諾)しても、提示した側は、契約成立とするか、あるいは不成立とするかのオプションを持っています。

通常、売主のオファー、買主のビッドを、相手方がアクセプトしない場合、買主はビッドを、売主はオファーを返します。

その場合でも、価格、単価、数量、包装、船積時期、決済条件などの取引に必要な条件を、一括条件(OnePackage)で、相手に提示します。

つまり、提示した側は、相手方に対して、一括条件を、アクセプトするのかしないのかの二者択一を迫るのです。

「問題」の「値ごろ感を探る」には、どの種類のオファーをすれば良いのかを、考えてみてください。

(貿易商談のスタイル)

*参考参照先:『海外展開の基本』-「「第Ⅲ部貿易の基礎知識」-「第2章貿易実務とは」-「4.契約までの貿易実務の概要」-「(3)貿易の商慣習」(POD版P252253)『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド(POD版P103104)(3)回答例サブコンでオファーした場合、相手がアクセプトしても、それを不確認(Unconfirm)とすることで、契約を流すことができます。

相手が、最初のサブコンオファーを、即アクセプトして、安く売り過ぎるリスクを、これによって回避することができます。

通常、サブコンオファーすると、買主はサブコンビッドを返してきます。

それを何回か繰り返すことによって、相手が考えている値ごろ感を把握することができるでしょう。

そして、お互いに、相手の値ごろ感が射程範囲内にあると見れば、サブコン条件付きのオファー、ビッドを、ファームオファー、ファームビッドに切り替えて、真剣勝負の商談に入るのです。

2.オファーの値段は受けたというビッド(1)問題日本のJ社は、香港H社に対して、次の内容のファームオファーを出しました。

品名;○○規格; △数量; 10M/T単価; CPT HongKong US$8,500 per M/T包装;、1カートン当たり20kg詰め(内包装。

kg にp.20フィートコンテナーに500ケース決済; 取り消し不能一覧払い信用状船積時期; 201X年XX月その他条件; 前契約と同じ。

有効期限;20XX年XX月XX日15:00(日本時間)。

H社から、有効期限内に、「価格はアクセプトしたので、その値段で数量を12MTにして欲しい!」という返事がメールで届きました。

さて、値段は、決まったと言えるのでしょうか? (2)ヒント オファーもビッドも、価格、単価、数量、包装、船積時期、決済条件などの取引に必要な条件を、一括条件(OnePackage)で、相手方に提示するものです。

一括条件ですから、その中の価格だけを取り出してアクセプトしても、それは一括条件としての提示条件全体をアクセプトしないという意味になります。

それでは、「価格はアクセプトしたので、その値段で数量を12MTにして欲しい!」という買主の返事は、「貿易の商慣習」の中で、どのように考えれば良いのでしょうか?*参考参照先:『海外展開の基本』-「第Ⅲ部貿易の基礎知識」-「第4章貿易実務とは」-「4.契約までの貿易実務の概要」-「(3)貿易の商慣習」(POD版P252253)『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「2.貿易の商慣習とは?(POD版P99101)

(3)回答例一括条件としてのファームオファーであったわけですから、「値段だけアクセプト」しても、値段が契約になったわけではありません。

数量を10M/Tから12M/Tに変更することを要求した時点で、元のオファーはアクセプトされず、数量だけを12M/Tとし、価格を含む他の条件はすべて元のオファーのとおりとして、ビッドしたものと解釈されます。

ですから、値段はアクセプトしたと言っても、その値段で確定したわけではありません。

売主は、異なる価格で、再オファーしても良いのです。

3.間違いのオファー(1)問題日本のJ社は、海外側にファームオファーをメールで出しましたが、価格の表示を間違えてしまい、ゼロ一つ少ない数字になっていました。

その価格が間違いであることは、この業界の人なら、誰の目にも明らかです。

しかし、相手からは、有効期限内に「貴オファーをアクセプトする」という返事が、メールできてしまいました。

一大事です!、さあ(2)ヒント間違いは誰にでもあることで、貿易ビジネスをしていると、このようなミスが起きることは、十分あり得ることです。

しかし、「貿易の商慣習」は、「商慣習」と言いながらも、世界の貿易に従事している人達が遵守しなければならない「厳しい掟」でもあるのです。

将棋や囲碁で、一手指した後、相手の差し手を見て、「アッ!」さっきのちょっと待っ、が許されるのであれば。

勝負の世界は成立、ファームオファー「ファーム」ファ、とは。

「」貿易の、「習」待った。

商慣習として、厳しい掟はあるのですが、こちらも、ビジネスの相手も、生身の人間同士です。

さて、貴方だったら、まず、どう行動を起こしますか?*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」-「②ファームオファー・ファームビッドの発効と取り消し」(POD版P107)(3)回答例アクセプトのメールを読んだら、真っ先に相手方に電話します。

そして、正直に「ファ-ムオファーの値段は、メールの打ち間違いだった」ことを伝えて、詫びましょう。

たいていの場合は、「ゼロが一つ少ないから、打ち間違えたのだと思いましたよ」と笑いながら、許してくれるでしょう。

しかし、相手が「いいや! 貴方のファームオファーに対して、私は、アクセプトすることをメールで回答し、有効期限内に、そのメールが貴方のところに届いているのですから、契約はすでに成立済みです。

契約書を作成して署名したうえで、お送りください」と言われたら、「万事休す!」です。

成立した契約のとおりに、義務を履行しなければなりません。

国内取引の場合、間違いが歴然としているのであれば、免責となるのが普通ですが、貿易取引の場合は、規律性の高い「貿易の商慣習」がありますから、明らかな間違いによる不手際は、免責されるのであれば、それは、相手方が間違いを了解してくれる場合に限定されます。

ファームオファー、ファームビッドを出す時は、念には念を入れてチェックしましょう。

4.有効期限切れ後のアクセプト(1)問題日本のJ社は、9月3日に、米国のA社に対して、9月6日午前10時(日本時間)まで有効のファームオファーを出しました。

A社から、9月6日午前11時(日本時間)を過ぎて、「アクセプト!」の返事がきました。

さて、貴方なら、どのように返事をしますか?(2)ヒントまず、確認しなければならないのは、オファーしたモノと同じで、且つ販売できるモノが、まだあるかどうかです。

売るモノが、現にあるかないかで、米国のA社に対する回答内容は変わってきます。

まだ販売可能なモノがある場合、次に考えることは、元のオファー価格で売りたいのか、あるいは売りたくないのかです。

価格が相場で変動するような商品であれば、相場次第では、元のオファー価格ではもう売りたくないこともあるでしょうし、あるいは逆に、元のオファー価格であれば、是非売りたいと考えることもあるでしょう。

そうしたいろいろなケースを想定して、A社への対応を考えるようにしてみては如何でしょうか?*参考参照先:『海外展開の基本』-「「第Ⅲ部貿易の基礎知識」-「第2章貿易実務とは」-「4.契約までの貿易実務の概要」-「(3)貿易の商慣習」(POD版P252253)『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」-「④ファームオファー・ファームビッドの失効」(POD版P109110)(3)回答例販売可能なモノが、すでにない場合は、「貴社のアクセプトのお返事が、オファーの有効期限が切れた後に、弊社に到着しましたので、残念ながら、契約成立となりませんでした。

現在、再オファーできる玉(販売可能な手持ちの貨物)がないので、ご了解のほどをお願い申し上げます」と伝えます。

もし、売るモノがまだあって、売りたいのですが、相場が上昇しているため、元のオファー価格では売りたくないのであれば、「アクセプトのご回答は、オファーの有効期限切れ後に到着したため、契約成立とならなかったこと」を伝え、さらに「元の価格で再オファーをしたいところですが、相場が上昇していることから、元の価格を維持することは困難なこと」を説明したうえで、「元のオファー価格よりも、〇%程度値上げした価格でお考えいただけるのであれば、X日以内に、ファームビッドをお願いしたい」と、返事をするのが良いでしょう。

値上げした価格でオファーすると、相手は気分の良いものではありません。

相手にファームビッドを求めるのであれば、気持ちのうえでの打撃を和らげること

ができますし、「X日以内に」と時間を区切ることで、実質的にオファーをしていることと同じになります。

もし、売るモノがまだあって、売りたいけれど、相場には変化がないか、あるいは下降気味なので、元のオファー価格で、是非、契約に応じたいのであれば、A社からのアクセプトの回答が、オファーの有効期限が過ぎてから着いたことに触れないで、「オファーをアクセプトいただき、ありがとうございます。

署名した契約書二部を郵送するので、二部とも署名のうえ、そのうちの一部を弊社に返送ください」と、伝えるのが、スマートな方法でしょう。

5.最初のオファーをアクセプト(1)問題日本のJ社は、米国のA社にファームオファーを提示しました。

これに対して、A社は、有効期限内に、オファー価格よりも安い価格で、ファームビッドしてきました。

J社は、相場が上がってきていることから、A社のビッドに対し、最初のオファー価格よりも高値のオファーを、A社に提示しました。

A社は、これに対し、「貴社の最初のオファーをアクセプトする!」と回答してきました。

さて、「最初のオファーをアクセプトする」ことは、「有り」なのでしょうか? J社の立場であれば、どのように対応するのが良いのでしょうか?(2)ヒント「貿易の商慣習」では、オファーやビッドは、有効期限が切れた時に失効します。

また、オファーやビッドに対して、相手方が、それぞれビッドやオファーを返した時点で、元のオファーやビッドは失効します。

この「問題」のケースですと、最初のオファーに対して、A社がビッドを返したことで、もともとのJ社のオファーは、失効していて、すでに存在していません。

その「すでに存在していないオファー」を「アクセプトした」とは、いったいどういうことなのでしょうか? 「貿易の商慣習」に沿って言えば、それは、A社がJ社の値上げした再オファーに対して、元のJ社の価格条件で、J社にビッドしてきたということになります。

さて、A社のビッドに対して、次は、J社として、「元の価格で売りたいのか、あるいは元の価格では売りたくないのか」です。

それによって、A社への返事は変わってくるでしょう。

*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」-「④ファームオファー・ファームビッドの失効」(POD版P109110)(3)回答例J社として、「元の価格で売りたい」のであれば、A社に対して「弊社の最初のオファー価格でビッドしていただき、ありがとうございます。

契約を確認しました」として、契約書送付の案内をすれば良いでしょう。

J社としては、相場が上昇しているので、元の価格で契約したくなければ、次のように返事をします:

「弊社の最初のオファーは、貴社がビッドを返した時点で失効していますので、最初のオファー価格での契約を確認することはできません。

弊社の再オファー価格の有効期限を、〇月X日15:00(日本時間)まで延長しますので、何卒ご検討のほどを宜しくお願い申し上げます。

6.契約の成立時点(1)問題日本のJ社は、9月4日に、米国A社に対して、9月6日10:00(日本時間)まで有効のファームオファーを、メールで提示しました。

A社から、9月6日10:01AM(日本時間)に、「オファーをアクセプトする!」というメールが着信しました。

メールの発信時間は、オファーの有効期限が切れる2分前の、9月6日09:58AM(日本時間)でした。

さて、契約は、成立したのでしょうか?(2)ヒント「」、、、、、、。

この「問題」は、より厳密に、「契約の成立時点」とは、アクセプトの回答を発した時なのか、または、アクセプトの回答が、相手側に届いた時なのかを問うものです。

*参考参照先:『海外展開の基本』-「「第Ⅲ部貿易の基礎知識」-「第2章貿易実務とは」-「4.契約までの貿易実務の概要」-「(3)貿易の商慣習」(POD版P252253)『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」(POD版P105)(3)回答例有効期限を明示したファームオファーやファームビッドに対して、相手方から有効期限内にアクセプトする旨の回答が、提示した側に到着すると、契約は、その時点で成立となります。

契約の成立は、回答が発出された時点でなく、到着した時点です。

より厳密に言えば、アクセプトの回答が、メールで行われた場合、オファー・ビッドを提示した本人が、それを見ていなくても、メールボックスに、そのメールが届いた時点で、契約は成立です。

郵送であれば、オファー・ビッドを提示した本人が所属する会社の郵便受けに、アクセプトを伝える郵便物が、投函された瞬間に、契約が成立します。

本人がそれを見たかどうかは、不問です。

7.好条件のビッド(1)問題米国のA社から、「1,188ケース(40フィートコンテナー1本分)を買いたい」という引き合いがきたので、9月6日10:00(日本時間)までの有効期限をつけて、ファームオファーしました。

これが決まれば、手持ちの玉(販売可能な手持ちの貨物)はもうありません。

ところが、オファーした直後に、米国のB社から、9月7日17:00(日本時間)までの有効期限で、1,188ケースのファームビッドがきました。

しかも値段は、A社にオファーした値段より、1割ほど高いではありませんか!さて、貴方が売手であれば、どう対応しますか?(2)ヒント有効期限付きのファームオファーやファームビッドは、その有効期限内は、一方的に取り消すことはできません。

相手が同意すれば、取り消すことはできますが、ファームオファーやファームビッドをしておきながら、相手先に対して、取り消しても良いかなどと尋ねること自体、信用に関わることです。

A社へのファームオファーを取り消すことは、事実上できないと考えるべきでしょう。

また、この「問題」では、A社にオファーしている玉以外に、オファー可能な玉はもうないとのことです。

B社からのビッドを受けてしまえば、その時点で、A社に対するオファーは、オファーの裏付けとなる玉がないのに、ファームオファーしているファームでない状態になってしまいます。

そうした状態にすることは、絶対に避けなければなりません。

こうした制約の中で、売手としては、B社に対して、どのように対応すれば良いかを、考えてみてください。

*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」-「①ファームオファー・ファームビッドでの有効期限」(POD版P106)(3)回答例A社に対するオファーを取り消すことができないのであれば、A社の返事を待つしかありません。

その間、B社に対しては、暫く時間がありますから、「ビッドしていただいたことに対する感謝」と、「ビッドの有効期限内に、ビッドに対する回答を必ずする」ことを伝えておきます。

そして、A社が、オファーをアクセプトすれば、B社に対して、「ビッドはアクセプトできない」と伝え、「次は、いつごろ商談に応じることができるようになるか」の見通しを付して、B社への回答とするのが良いでしょう。

A社が、オファーをアクセプトしないで、安値でビッドしてきた場合、A社に対しては、B社のビッド価格を上回る値段を呈示して、「7日15:00(日本時間)までに、この値段でビッドすれば、考慮可能」なことを伝えます。

A社が期限内にビッドできない場合、B社に対して、当日17:00までにB社に到着するように、「ビッドをアクセプトする」旨、回答して、契約を成立させます。

8.値上げオファー(1)問題米国のA社に、ファームオファーしたら、数日後、安値でのビッドが返ってきました。

しかし、当初オファーした時よりも、相場が1割ほど上がっているため、ビッドに対して、値上げして再オファーしたいところですが、相手は値下げを期待してビッドしてきたのに、元のオファーより高値で再オファーすれば、不愉快に思うのではないでしょうか!そう考えると、値上げオファーはしないほうが良いとも思うのですが、一方では、相場より安い値段では売りたくありません。

どうすれば良いのでしょうか?(2)ヒント貿易ビジネスでは、扱っている品目にもよりますが、確かにこのような場面もあります。

真っ先に考えなければならないのは、相手との「人間関係」です。

貿易は、値段等の取引条件さえ合えば、成立しそうな気がしますし、特にデジタル社会になってくると、そう考えがちですが、必ずしもそうとばかりは言えません。

取引関係を長い間、維持するには、商売の根底に「人と人との信頼関係」がなければ、取引は長続きするものではありません。

その点で言えば、この「問題」のように、商売人としてのドライな損得勘定と、相手との良好な人間関係の維持の板挟みになることは、正常なことです。

どちらに重きを置くかは、それぞれ判断が異なってくると思われますが、できる限り、穏便な形で両方が立つような方法は、あるのでしょうか?*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(2)ファームオファー・ファームビッド」-「④ファームオファー・ファームビッドの失効」(POD版P109110)(3)回答例この「問題」に対する絶対的な「正解」はないのかも知れませんし、幾つかの回答例があるのかも知れません。

相手の心証を害さないで、できるだけ今の相場に即した価格で売りたいのであれば、相手から返ってきた値下げのビッドに対して、いきなり値上げの再オファーで返すのでなく、とりあえず、ビッドに対しては、有効期限内に「アクセプトできない」旨の返事をするとともに、なぜアクセプトできないのかの理由を、現下の相場状況と当面の見通しも含めて、説得力のある形で、相手に説明してみては如何でしょうか。

ビッドに対する再オファーはしないで、状況説明の後、最新の状況を踏まえて、再ビッドするようにお願いすることで、いったん冷却期間を置くこともできます。

再ビッドがきたら、それを検討し、アクセプトできなければ、再オファーを提示して、再度本格的な商談の段階に進むことにすれば、比較的穏便な展開になるかも知れません。

時間的な制約もある中での商談ですから、必ずしも、このようには行かないかも知れませんが、ある意味では、ロジカルにきっぱりと割り切れない、人間関係という要素が絡む問題です。

その意味では、絶対的にこれが「正解」だという答えはないのかも知れませんし、幾つかの回答例が存在するかも知れません。

この「問題」が、一つの考える契機になればと思います。

いきなり、値上げオファーするよりも、インディケーションとしての価格を呈示して、そのレベルでのビッドを求めるほうが、穏便な方法であることを、覚えておきましょう。

9.売手市場(1)問題弊社の商品は、売手市場になっていて、海外からの引き合いが殺到しています。

ところが、商品の在庫数量は、限られていて、すべての引き合いに応じながら、個別に商談を進めて行く余裕は、人的にも時間的にもありません。

そうであっても、できるだけ、高値で、効率的に売り抜きたいのですが、何か良い方法はあるでしょうか?(2)ヒントこういう機会に恵まれることは滅多にないのですが、長い間商売をしていると、こういう時も、稀ですが、ない訳ではありません。

この「問題」に対する正解は、幾つか考えられます。

一つ目は、今までに築いてきた取引関係を考慮することによって、今後の関係強化に生かす方向で考える方法。

二つ目は、引き合いを寄せてくれた人達に、実質的な「入札」をお願いする方法。

三つ目は、自分が売りたいと考える値段で、一斉オファーする方法。

ただし、玉が足りないのに「空オファー」するのは許されません。

以上の三つの方法が、ヒントです。

*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「3.オファービッド」-「(3)先売り御免(OfferSubjecttoPriorSale)のオファー」(POD版P110111)(3)回答例「(2)ヒント」に記載した一つ目の方法は、今までに築いてきた取引関係を考慮することによって、今後の関係強化に生かす方向で考える方法でした。

従来取引関係にあった顧客をベースとして、今後関係を強化したいと考える重点顧客をリストアップし、その優先順位をつけたうえで、引き合いに対するオファーを、優先順位に従って提示していくことで、売り切る方法です。

この方法は、将来の取引関係強化を念頭に置いた、戦略的な販売方法と言えるでしょう。

二つ目の方法は、引き合いを寄せてくれた人達に、実質的な「入札」をお願いする方法でした。

具体的には、引き合いを寄せてくれた人達に、あるいは上記一つ目の方法と組み合わせて、優先順位の順番に従って、例えば上位20番目までの引き合い先に対して、「ファムビッド」をするように依頼します。

ビッド価格はマチマチになると思いますが、射程範囲内のビッド価格を出してきたところに対して、オファーをして、更なる商談を仕掛ければ良いのです。

三つ目は、引き合いを寄せてくれた人達に、あるいは上記一つ目の方法と組み合わせて、優先順位の順番に従って、例えば上位20番目までの引き合い先に対して、自分が売りたいと考える値段で、一斉オファーする方法です。

「貿易の商慣習」のオファー・ビッドの方法の中に、「先売り御免オファー」(OfferSubjecttoPriorSale)という方法があります。

これは、「先に売り切れてしまっても、売主は免責です(御免なさい!)」を前提条件として、ファームオファーする方法です。

通常のファームオファーだと、相手がアクセプトした段階で、契約が成立しますが、「先売り御免オファー」では、玉の裏付けがなくなった状態で、アクセプトの返事がきても、「先売り御免」で、契約は成立とせず、売主は御免を決め込むことができます。

この方法であれば、玉不足なのに「空オファー」したと、責められることはありません。

長い間、貿易をしていても、売主側が圧倒的に優位に立つ好環境は、滅多にないものですが、仮に、このような時がくれば、「先売り御免オファー」の方法があることを、思い起こしていただければと思います。

10.契約書にサインしてないから(1)問題日本のJ社は、マレーシアM社との商談で、J社の再々オファーをM社がアクセプトして、契約が成立しました。

ところが、翌日、M社は「契約書はまだ作っていないし、サインもしていないから、契約は正式には成立していない」、「昨日のオファーアクセプトを取り消す!」と言ってきました。

長い間、貿易をしていると、新規に貿易に参入してくる業者は絶えずいるわけで、そうした人達は、「貿易の商慣習」といった、貿易の基本的な素養さえ、身につけていないことがあります。

このようなことは、現実に起こり得ますから、このような事態に直面した時に、どのように対処すべきか、知っておく必要があります。

貴方が、J社の立場なら、M社に対して、どのように対応しますか?(2)ヒント世界を相手に商売するのが貿易ですが、商売の世界は、それぞれ専門の領域ごとに分かれていますから、意外と「それぞれの世間は狭い」ものです。

たいていの場合、同業他社のことは知っていますし、面識のある者同士のことも少なくないでしょう。

M社には、厳しく抗議するのは当然ですが、それだけでは、相手が逃げ切る可能性があります。

二度とこうしたことを起こせないように、「狭い業界」であることを利用する方法を考えましょう。

*参考参照先:『営業マンのための貿易実務』-「第四章貿易の商慣習」-「5.貿易の商慣習の規範性」(POD版P115116)(3)回答例M社に対しては、当然のことですが、次のように、電話とメールで猛抗議をします:「貿易では、契約書に署名した時に契約が成立するのではなく、『貿易の商慣習』に従って、オファー・ビッドを行い、それを提示された側が、アクセプトの回答をして、その回答が提示した側に到達した時に、契約が成立します。

契約

が成立したその後で、契約書を作成して、当事者双方が契約書にサインします。

これが『貿易の商慣習』で、現在では、『ウィーン売買条約』(国際物品売買契約に関わる国際連合条約)にも、明記されています。

貿易を行う者は、誰でも、この程度のことは知っています。

しかし、貴方は、『貿易の商慣習』に従わず、契約が成立しているにも関わらず、契約書に署名していないことを理由に、契約を否定しておられます。

貴方には、速やかに、貿易の基本に立ち戻るようにお願いします。

本件契約は、すでに昨日成立していますから、お送りする契約書にサインして、一部を返送してください。

なお、どうしても、契約したことを認めないのであれば、御社の社長に、書状で、貴方と御社に対する厳重なクレームを提起し、同時に、弊社が知っている限りの日本を始めとする同業他社に、貴方と御社が『貿易の商慣習』に反した行為をされ、その後も不誠実な態度を改めようとしていないことを、広くこの業界に喧伝して、貴方と御社との商談に際しては、十分に注意をするように、通知させていただきます。

悪しからず!」この方法の効果は、覿面です。

もちろん、こうした企業との取引は、リスクが高いですから、以後、当社とは「出入禁止」とします。

結果的には、今回の契約はなかったことにすることも、止むを得ないでしょう。

不信感を抱いての契約履行は、精神上も宜しくありません。

 

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