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第七章シーン別の活用方法

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第七章シーン別の活用方法

今までは「上司による、部下へのフィードバック」を中心に解説しました。

最終章では、その他のシーンでの活用も解説します。

原則的な考え方は変わりませんが、相手が「部下」「上司」「顧客」「友人」だと、それぞれの関係性が異なります。

そうした関係性に配慮したポイントを紹介していきます。

71【対上司】

「ボスマネジメント」と呼ばれ、「部下から上司に、望ましい行動に変化を促す」ためのフィードバックになります。

「そんな事が出来るの?」と思うかもしれませんが、「上司」はあくまで組織の役割なので、望ましくない行動があれば、改善を促す(または役割を退いてもらう)ことは組織運営上必要な行為です。

「組織にとって適切な役割を遂行してもらうために話し合う」という観点では、上司による部下面談(第四章)と構造や考え方は同じです。

ボスマネジメントのポイントは下記になります。

■上司のメリット(Winや役割)を考えるフィードバックを行う前に、上司は「何が実現すると嬉しいのか」「組織から何を期待されているのか」を考えます。

部下からのフィードバックが、その実現に近づく内容であれば、聴く耳を持つ上司は少なくありません。

「部門の業績を達成するために、こういう行動を取って欲しい」「部下がコア業務に集中するために、こういう指示は控えて欲しい」「こういう言動はモチベーションを落とすので、言い方を変えて欲しい」など※単に「あれは困る」「こうして欲しい」という部下の不満や要望だけを伝えても、上司や組織にメリットが無いと上司も変わりません。

部下の観点から見た代替案および代替案のメリットを用意して臨みましょう。

■感謝している点は感謝を伝える上司は、部下以上に「ポジティブなフィードバックを受けていない」可能性があります。

特に経営者と部下の板挟みになっている中間管理職は、部下から「褒められること」「感謝されること」は大きな喜び(快感)です。

上司も人間なので、褒められた行動は再現する可能性が高くなります。

※心にもないゴマをする、という意味ではなく「助かっている点、繰り返して欲しい行動は、そのことを伝える」だけです。

■辞めて欲しいことは、その都度で冷静に指摘するTVや映画では、不満を溜めに溜めて辞表を叩きつけながら爆発させるような演出がありますが、感情的なフィードバックは実際の効果は低いです。

※感情を爆発させた本人が、周囲から「扱いにくい人」と思われることも多い。

何か不満がある際は、過度に溜めこまず「こういう行動は、こういう理由で困る。

次からこうして欲しい」と落ち着いてフィードバックしましょう。

※冷静な指摘でも改善が見られない上司であれば、経営者や関連窓口への相談など、必要な手順を講じても良いと思います。

72【対顧客】

過度なクレーマーの動画やニュースも増え、昔に比べて「お客様は神様です」と無条件になんでも許す空気は減ってきました。

それでも「お客様の要望は100%対応すべき」「理不尽な要求でも対応しないといけない」という考えをもって苦労している人は多くいます。

顧客に対して、厳しい指摘をする際のポイントを記載します。

■カスタマーマイオピア(顧客近視眼)の罠を避ける「顧客の言うことは常に正しい」「お客様の要望には必ず対応すべき」という視野狭窄状態になると、落ち着いた判断やフィードバックが出来なくなります。

真面目な営業ほど、「お客様の言われた通りに対応する」ことに疑念を抱かず、過剰な要求にも反論できない場合があります。

当然ですが、お客様の情報や判断基準が常に正しいわけではありません。

対価を頂く以上はプロとしての矜持を持ち、「プロとして、正しい情報や提案を行う」「場合によっては、お客様の間違いを指摘する」「費用が高くなっても、ベストな提案を行う」姿勢は必要になりますし、その姿勢が信頼感に繋がる場合もあります。

■NoDeals(取引しない)という選択肢を持つ世界的な名著『7つの習慣(フランクリン・コヴィー・ジャパン)』の「WinWinorNoDeals(WinWinの関係が築けない場合、取引しないことで合意する)」というフレームワークは、健全なフィードバックを行う際に有効です。

「WinWin」を目指すのがビジネスの基本ですが、「WinLose」や「LoseLose」の関係性が続く場合は、取引をしない選択肢も持ちましょう。

顧客にとって最善と思われる提案やフィードバックをしても受け入れられない場合は、今後も良好な関係構築が難しい場合が多いです。

ビジネスは「顧客が選ぶだけでなく、顧客を選ぶ対等な活動」だと考えると、正々堂々と意見を伝えられるようになります。

■相手を見てフィードバックするか決めるこちらをビジネスパートナーとして信頼してくれるお客様なら、耳に痛いネガティブフィードバックが、逆に信頼を高めることもあります。

一方、単に調達手段としてしか見ておらず価格以外に興味を示さないお客様に、どんな熱を込めたフィードバックも無駄(むしろトラブルの原因としてマイナス)になる可能性が高いです。

「人を見て法を説く」「無駄な相手には黙って去る」姿勢も必要です。

73【対友人】

「部下」「上司」「顧客」のようにビジネスで繋がった契約関係ではないだけに、フィードバックする難しさがあります。

■相手に求められたら行う友人関係は特に情緒で繋がっている関係のため、受け手が望まないタイミングでのネガティブフィードバックは、大概揉めます。

少し気になるが自分に被害が及ばないことなら「求めよ、さらば与えられん」というスタンスで、「相手から相談された」「相手が求めている」状態にならない限り、静観することも有効です。

※ビジネスシーンの場合、フィードバックしないと組織や顧客に損失が発生する可能性があるため、相手のタイミングを待てない場合が多いです。

また、フィードバックをする前に「相手の気持ちや言い分を、最大限傾聴する」という姿勢はビジネスシーン以上に重要です。

※口では「アドバイスを求めている」と言いながら、雰囲気や表情が「ただ話を聴いて同調して欲しい」という場合もあります。

■関係が断絶や変化することも覚悟する友人関係は、ビジネスの契約と違い「論理」「成果」ではなく「感情」「居心地の良さ」が大きなウェイトを占める場合が多いです。

ネガティブフィードバックを受けて楽しいと思う人は極めて少ないので、ビジネスシーン以上に感情や関係がこじれる可能性は当然あります。

こじれた際にビジネスライクな関係でない分、修復が難しい場合があります。

「それでも、お互いのために言った方が良い」「相手に必要だから、嫌われても伝えてあげたい」「これ以上、今の状態が続くと自分が困る」と判断したら、絶縁も覚悟したうえで伝える方が、毅然とした対応ができます。

「この人は本気だ」と伝わればフィードバックを真剣に受け止める確率も上がります。

本気で伝えたフィードバックが通用しない相手なら、「距離を置く」「接触頻度を減らす」「関係を解消する」などの対応が望ましい場合もあります。

■長期的に判断するビジネスの関係は契約期間(定年など)やルール(就業規則など)が存在しますが、私的な関係は(原則として)期間やルールが存在しません。

「短期的には我慢できるが、中長期で考えると困る」「将来を見越して、今のうちに軌道修正が必要」「我慢や譲歩し続けると、自分の経済的・精神的ダメージが大きい」という場合、なるべく早いタイミングでフィードバックする方が、「改善できる可能性」「改善した場合の効果」「関係解消のし易さ」も大きくなります。

望まない状態や関係を長く続けると、自分自身の心身に悪影響を及ぼします。

一方で「3ヶ月後にはこの状況は無くなる」「この時期を過ぎれば問題ない」など、問題が長期化しないものであれば「フィードバックしない」ことも賢い選択肢です。

「将来も踏まえて、フィードバックをしたいのか・したくないのか」を自分の意志で決めることを推奨します。

手順書ここまで読み進めていただきありがとうございます。

こちらは抜け漏れなくネガティブフィードバックを実行するための手順書です。

こちらをしっかりと活用し効果のあるフィードバックを実現してください。

カッコ内は関連している章です。

再度参照しつつ手順を進めることを推奨いたします。

手順書ここまで読み進めていただきありがとうございます。

こちらは抜け漏れなくネガティブフィードバックを実行するための手順書です。

こちらをしっかりと活用し効果のあるフィードバックを実現してください。

カッコ内は関連している章です。

再度参照しつつ手順を進めることを推奨いたします。

手順書②理解編・マインドセットについてマインドセットチェック(メモ欄)1【嫌われることを覚悟する】を理解できているか?(五章)2【期待するが期待しない】を理解できているか?(五章)3【真剣に職務に取り組む】を理解できているか?(五章)4【自分で決める】を理解できているか?(五章)

手順書③理解編・スキルについてスキルチェック(メモ欄)1【合意を得る】を理解できているか?(六章)2【不協和を創る】を理解できているか?(六章)3【話すより聴く(傾聴)】スキルを理解できているか?(六章)4【行動と事実について話すスキルを理解できているか?(六章)5【諦める(明らかに見極める)】スキルを理解できているか?(六章)

手順書④面談準備編準備チェック(メモ欄)1気持ちや感情は冷静か?(二章)2何を伝え、どうなって欲しいか明確か?(四章)3本人に考えてもらうことを整理できているか?(四章)4場所は適切か?できれば声が漏れない会議室5行動と事実の情報は揃っているか?性格面や抽象的な指摘ではなく(四章)6必要な書類は用意できているか?過去の評価記録、改善計画書、合意書など7合意を得るイメージはできているか?ある程度の柔軟性は必要(六章)8改善期間と確認プロセスは想定しているか?(六章)9改善できなかった場合の処遇は想定しているか?(六章)

手順書⑤面談実施編実施チェック(メモ欄)1上司との1on1(出来れば、短時間でも週1回以上)(四章)2メンターによるフォロー面談(四章)3同僚同士の報告会やグループミーティング(四章)4人事やキャリアコンサルタントによるカウンセリング(四章)5コミュニティ(リアルでもオンラインでも)での相互支援(四章)6社内イントラやSNSでの定期報告(四章)7システムを利用した可視化(四章)※全ての方法を実行する必要はありません。

適切な方法を選択ください。

※定点観測で効果的なのは「人による確認とフィードバック」です。

手順書ファイルのダウンロード本書の手順書は実際の現場で使えるように印刷用のPDFをご用意しております。

ダウンロードURLhttps://mangabito.biz/?page_id=13543パスワードeasytoFB手順書がダウンロードできない場合はこちらのメールアドレスに御連絡ください。

support@mangabito.jp

あとがき「相手の耳に痛いことを伝える」ネガティブフィードバックは、勇気や覚悟が必要な行為です。

•伝えたかった真意が伝わらない。

•行動も意識も変わらない。

•相手に嫌われる、煙たがられる。

•意見が合わず、感情的な対立を招く。

こんなことも、当然起こり得ます。

一方で、こんなことも起こります。

•真意が伝わり、感謝される。

•行動や意識が望ましい方向に変わる。

•今まで以上に、相手と深い信頼関係ができる。

•意見は合わなかったが、お互いの気持ちを理解する。

「思い邪なし」で、心から相手のため組織のためを願ったフィードバックは、相手や周囲は案外受け止めてくれるものです。

「全員に嫌われない関係」より「心ある人達との深い信頼関係」の方が、大きな財産になります。

私自身、必要と感じた時には公私とも厳しいフィードバックをしてきました。

その結果、疎遠になった方もいますし陰口を間接的に耳にしたこともあります。

一方で、意外なところで感謝してくれる方もいますし、今まで以上に深く付き合えるようになったお客様や同僚や上司も増えました。

全体で考えると「本音で思ったことは、伝えて良かった」と実感しています。

あなたの勇気ある一歩が、周りの世界を少しでも善くすることを願っています。

参考文献『嫌われる勇気(岸見一郎著・ダイヤモンド社)』『7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー著・フランクリン・コヴィー・ジャパン社)』

著者紹介難波猛(ナンバタケシ)マンパワーグループ株式会社シニアコンサルタント早稲田大学卒業。

株式会社PHP研究所、株式会社太陽企画を経て2007年より現職。

人事コンサルタント、研修講師、コンサルタントとして、日系・外資系企業を問わず2,000名以上のキャリア開発施策、人員施策プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修、プロジェクトマネジメント等を100社以上担当。

専門領域は、中高年のキャリア開発・活性化/雇用調整/ローパフォーマー対応等。

■著書•「働かないおじさん」は、なぜ「働けない」のか?ローパフォーマーの行動変容を促す3つのポイント•『雇用調整の考え方と進め方』「リストラされにくい人」になる5つのポイント

出版社メッセージ読了いただき誠にありがとうございました。

本書は【MB動き出せる本シリーズ】の書籍です。

豊富な実務経験、心理学、脳科学、マーケティング、コーチング、最新科学研究などをベースに、読みながら動き出せる書籍設計を追求しているシリーズです。

手始めに本書を徹底的に活用ください。

皆さまのお役に立てることを願っております。

「動き出せる本」新刊情報こちらからhttps://mangabito.biz本書に関してご意見、ご感想等ございましたら是非こちらにご連絡ください。

support@mangabito.jp作家募集「動き出せる本」を執筆いただける作家様を募集しております。

entry@mangabito.jp人生と仕事を進化させよう株式会社まんがびと

 

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