「この興味深い本は、現代物質社会の支配的倫理――よく言えば実践主義、悪く言えば食い争いの弱肉強食主義―― に屈することなく、自分を成長させる方法を教えてくれる。お見事!」――ウオーレン・ベニス(南カリフォルニア大学マーシャル・スクール・オブ。ビジネス経営学教授)
本書への推薦コメント
「ルー・タイスが勝利のチームをつくる方法を伝授してくれました。視覚化とアファメーションのプロセスでチームが目標を共有することも、そのプロセスの一部です」― ‐南カリフォルニア大学フットボール部ヘツドコーチ ピート・キャロル
「家庭や職場で直面するあらゆる複雑な問題に取り組むための方法を、見事なまでに建設的に教えてくれる一冊。ルー・タイスは、まさにわれわれを理解と達成に導いてくれるツアーガイドです」―― コンセントラ・フィナンシャル(二〇〇四年度カナダベストマネジメント企業)社長兼CEO マーナ・ベントレー
「これまでにいろいろなコンセプトを耳にしてきましたが、ルーの基本理念は実にわかりやすく、毎日の生活にすぐに取り入れることができます。より豊かな生活を送る方法を私に教えてくれました」――全米不動産業者協会二〇〇六年度会長 トム・スティーブンス
「生活のあらゆる場面でのリーダーシップの開発方法を教えてくれる最高の本。五つのステップは生活のクオリティを高めるのに大いに役立つでしょう」― ―バーナード・レフキ元陸軍少将
「ルー・タイス氏が、貴重な調査結果を簡単に理解できるプログラムにまとめてくれました。当病院では、採用や研修の際にパシフィツク・インスティチュートのトレーエングを利用しています。従業員が個人としてもプロとしても潜在能力を生かせるように、大いに活用しています」― ‐ディケーター記念病院CEO ケン・スミスミア
一ルー。タイス氏とパシフィツク・インスティチュートの基本理念によって、ニューメキシヨ州運輸省の長官になるというモチベーションをつねに高く持つことができました。また、私の部下たちもこれを利用して、二十一世紀に向けて革新的で効率的な組織をつくることを目指しています」―― ニューメキシコ州運輸省長官 ロンダ。G ・フオート
一
ルー・タイス氏のコンセプトはインディアナ・ビジネス・カレツジの文化を大きく変え、すべての職員と学生の生活にも影響を及ぼしました。私たちは「変革を起こそう、 一歩ずつ」という新たな目標を掲げ、この五年間で全一二キャンパスの入学者数は三倍になりました。向上を目指しているすべての人、すべての組織に本書を勧めます。実にすばらしい!」――インデイアナ・ビジネス・カレツジ学長兼CEO ケン・コネスコ
「プライベートでも仕事でもあなたの生活の効率をあっという間に高める真実が、この本には隠されています」―― ワシントン大学スクール。オブ・ビジネス 経営組織学部長セシル・ベル博士
「私にとって、ルー・タイス氏の基本理念は、プライベートでも仕事でも実に有意義でした。自分の潜在能力を最大限に伸ばし、組織としても最高の成果を上げることができたのだから」――元刑務所統制局長官 キャサリン・M ・ホークソーヤー
「すぐに助けを求めている人にとっても、長期にわたる業績向上と人間関係の改善を求めている人にとっても、この本は珠玉の一冊」――ノートルダム大学バスケツトボールチームおよびフェニックス・サンズ元コーチ ジョン・マクラウド
「このコンセプトは、私の人生のコースを大きく転換させてくれました。組織の人たちにカリキュラムを提供したところ、劇的な効果が得られました。今ではつねに″大きな夢を持ち″、それを実現させています」――キャタピラー特殊産業部副社長 ドナルド・Goウェスタン
「ルー・タイス氏は、優秀な人材を育成し、勝利のチームをつくり、組織の成功を目指す方法、プロセス、そしてテクニックを教えてくれました。まさに必読の書」― ‐キャタピラー採掘・建設部副社長 ロツド・L 。バツセル
謝辞
本書は、 一九九五年の初版刊行以来、何千冊、何万冊が世界各地へと旅し、多くの人の手に渡ってきました。この興奮を覚えるプロジェクトが高く評価されたことを誇りに思うとともに、謙虚な気持ちにもなっています。 一〇年にわたって刊行が続けられてきたことは、きわめて大きな達成です。
どんな試みもそうですが、 一人の力だけで何かを成し遂げることはできません。本書は私たちが教えるカリキュラムの入門書となるものですが、まずは第一線で研究を続けている科学者や心理学者、とくに次に名前を挙げるみなさんにお礼を申し上げなければなりません。私たちの仕事は彼らの研究の上に成り立っていますc
・アルバート◆バンドゥラ博士(スタンフオード大学心理学教授)は、最近になって、二〇世紀の心理学に最も貢献した四人の一人に選ばれました。私の知識は彼の社会認知理論に負うところが大きく、私たちがパシフィック・インスティチュート(弓〓Φ句∞o5oF∽澤cけ)で教えていることの基礎となっています。
マーティン・セリグマン博士(ペンシルヴェニア大学心理学教授)は、多くの面で私の考え方に影響を与えてくださいました。中でも楽観主義と悲観主義についての博士の徹底した研究には目を見開かされました。
・ゲーリー・ラザム博士(トロント大学心理学教授)の目標設定に関する重要な研究は、私たちの教育法の核となるものです。
ウオーレン・ベニス博士(南カリフォルニア大学マーシャル・スクール・オブ・ビジネス経営学教授)の研究と論文も、私のリーダーシップについての理解に欠かせないものでした。
また、ケン・シェルトンには、この本の刊行に向けて、優れた教育的。組織的スキルを発揮してくれたことに感謝します。世界中の多くの友人や仲間、パシフイツク・インスティチュートの信頼できるスタッフたち、私たちの基幹プログラム「Fくの∽け38■●国x8〓8o0(自己実現への投資)」を通してともに努力してきた世界中の何百万もの友人たちにも感謝の意を表したいと思います。
彼らからのフィードバックと友情に、私たちの活動は大いに助けられてきました。ダイアンヘ。わが妻、同志、そして一生のビジネスパートナーである彼女にこの本を捧げます。彼女が与えてくれるインスピレーション、愛、支え、そして勇気あるフィードバックに、心から感謝しています。
監修者・苫米地英人 まえがきにかえて
◆伝説のコーチ、ルー・タイスとは?
あなたは、伝説のコーチのルー・タイスをご存じでしょうか?
★ 世界六〇カ国、一三言語で、延べ三三〇〇万人がルー・タイスのプログラムを受講
☆ NASA、米国国防総省(陸軍、空軍、海軍、海兵隊)を初めとした連邦政府諸機関が
公式に採用
★ 米国各州政府、全米の警察、刑務所、小学校や中学校、主な大学等が教育プログラム
に公式採用
★ 北京オリンピツクで八個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプスを指導
☆ タィガー・ウッズが父から学んでいた
★ フォーチュン五〇〇社の六二%が採用(※米国のフォーチュン誌が年一回発行する全米上位五〇〇社リスト。企業の総収入に基づきランキングされる)などのアメリカをはじめとした全世界で圧倒的な実績、信用性を持つプログラムの開発者であり、コーチングの祖とも言える人物です。ルー・タイスは現在七六歳。フツトボールコーチを引退後、コーチングを始めて、今年で四〇年になります。
私は機能脳科学者です。脳の専門家、またルー・タイスのプログラム監修メンバーとして、ルー・タイスと彼のプログラムを見てきました。
なぜ、彼のアプローチがこれほどまでに、アメリカ、そして全世界のトップレベルの人たちに利用され続けるのか?
それは、脳機能的に最も正しく、そして心理学的にも裏付けされた「唯一正しい方法論、唯一正しい成功法則」だからです。
これまで存在した多種多様な成功法則、教育法やコーチング、アドバイスというのは、決して機能脳科学的に正しくありません。
◆ ハーバードビジネススクールで裏付けられた「言葉の法則」
詳しい方法論は、本書を読んでいただくとして、ルー・タイスのプログラムの秀逸さは、ゴールセッティングとやりたいことをやる「姜留〓o」の思考を創り上げるところです。
拙著『まずは親を超えなさい!』(フオレスト出版)でも書きましたが、九九%の人間にとって、最大の洗脳者は「親」なのです。そして、親が無意識的に行った習慣・躾により、あなたの可能性は狭まってしまっています。
あなたは「〜ねばならない」「〜しなければいけない」と考えたことはないでしょうか?親から、「あれをやりなさい」「これをしなさい」「こっちのほうがいい」など、命令されて育った子どもは、「〜しなければならない」という意識が植えつけられます。
大人に成長したあとも、無意識にそれが信念となり、その信念によって人生が無意識に決定されます。
「〜ねばならない」という思考は、あなたの能力を引き下げる言葉です。あなたのセルフイメージ、自身の能力の自己評価を大きく傷つけ、潜在的能力の扉を、未来への可能性の扉を開じてしまうのです。
ルー・タイスのメソッドは、この親にプログラムされた思考から抜け出す、唯一正しいメソツドです。
近年、このルー・タイスのメソッドの正しさを証明する調査結果が出てきました。
ハーバードビジネススクールでの二〇七の企業に対する一〇年間の追跡調査が行われました。抑圧的。強制的なす●くo占o企業カルチャーと、自発的。やりたいことだけを行う〓●5
o企業カルチャーでは、純利益が七五〇倍違うというデータが出されたのです。ルー・タイスのメソッドは、この結果のように「〓望■o」な思考を確実につくり上げます。
このメソッドで重要になってくるのが、本書のタイトルにもなっている「アファメーション」なのです。
◆ 成功者があたりまえに使う「アファメーション」とは?
アファメーションはアメリカでは、圧倒的な実績があり、かなり使われている技術です。アメリカのビジネスシーン、とくに巨大企業の経営者などは、必ずといっていいほど、コーチがついており、アファメーションの技術を指導されているのです。
そもそもコーチングという言葉をつくったのもルー・タイスで、ルー・タイスこそがコーチングの元祖というべき存在なのです。
言葉にはある法則があります。そもそも、「人間は言葉を操ることができる」と思っている人が多いでしょう。
認識されたモノ・知識を言語化して、他者とのコミュニケーションを図れるようになったことが、人類が発達した最大要因とも言えます。しかし、あるとき逆転現象が起こります。
「言葉がその人間の人生を決定する」ということです。どういうことかと言うと、人間と言葉の主従関係が入れ替わってしまったのです。
人間は自己イメージに従って、行動をします。その自己イメージを決定しているのが、言葉なのです。どのような言葉を使い、どのような自己との対話をするかで、人生が変わっていきます。
そうなると普段から「どういつた言葉を使うか」「頭の中でどういう対話をするか」によって、その人の人生は自動的に決定していくのです。
それが「言葉の法則」です。もう一度言いますが、言葉には法則があるのです。その法則を知らない人は、「幸せになりたい」「成功したい」「仕事を大成功させて、大金を稼ぎ出したい」「周りの人間を幸せにしたい」「もっと、痩せて綺麗になって、愛される人間になりたい」と思っても、きっと成功するのはむずかしいでしょう。
なぜならこの法則は、無意識レベルで働くために、だめな言葉を使っている人の九九%は失敗するからです。法則そのものを知り、言葉の法則をうまく利用するための技術が「アファメーション」なのです。
本書で、言葉の法則とアファメーションを知ることこそが、成功のために絶対に必要なのです。
ステツプーでは、高パフォーマンスの基礎となる「ビジョン、使命、価値観、動機、モチベーション、態度」について学びます。
ステツプ2では、「一瞬で自分を変える『アファメーション』の法則〜新しい自己イメージの作り方〜」を学びます。このステップを通して、創造的潜在意識が選択肢と可能性を見い出す「セルフトーク」と「アファメーション」が身につけることができます。
ステツプ3では、「新しいゴールを脳にプログラミングする方法」について学んでいきます。自身を成長させるためには、ゴールが必ず必要になります。そのゴール設定方法、そのゴールを刷り込む技術を学ぶことができます。
ステツプ4では、「自身のエフイカシーを高めるアファメーション〜行動を起こし、方向を正す技術〜」について学びます。自己イメージがあなた自身の定義になります。それを変えられるのは「アファメーション」だけです。
ステツプ5では、「他人とチームを育てる『アファメーション』の法則」を学びます。他人を変えれば自分も変わります。自身を変える力があれば、他人、チームを動かすことができるようになるのです。
この本書で紹介している内容をすべて実行すれば、必ずあなたの人生は変えられるはずです。あなたの使う言葉が、あなたの人生を決定していることを心において、本書を読み進めてください。
監修者・苫米地英人
はじめに 可能性を引き出すアファメーション
この本の目的は、潜在能力を最大限に引き出すことによって、あなた自身、あるいは結婚生活、家族、会社、地域社会など、あなたを取り巻く世界全体をより良いものにする手助けをすることです。
私が知るかぎり、生活の質、またチームや会社のパフォーマンスを向上させる最良の方法は、セルフトーク(自己への語りかけ)の技術を高めることです。
「アファメーション」のプロセスを通して、自分自身や自分が属する組織を今いる場所からその潜在能力を最大限に活用できる場所へと導く方法を学びましよう。
もしかすると、あなたはすでに能力をフルに発揮しているかもしれません。あるいは学習効果が上がらず挫折を感じているかもしれません。
子育てに悩む親であったり、虐待を受けて方向性を失った子どもであつたりするかもしれません。失業状態が長く続き、人生をあきらめそうになっている人もいるでしよう。
みなさんがどんな人であれ、みなさんについて私がすでに知っていることがあります。それは、みなさんが生まれついての犠牲者や敗者ではないということです。
みなさんには大きな可能性があり、自分にとっても周囲の人たちにとってもより良い世界を築くことができるのです。
「より良い世界をつくりなさい」と神はおっしゃられた。私はこう答えた。「どのようにですか? この世界はかくも広大で、複雑きわまりない場所となりました。私はちっぱけで役に立たない人間です。私などにできることは何もありません」しかし、全知の神はこうおっしゃられた。「より良い自分をつくりなさい」 ― 作者不詳
私はこの本を読むみなさんに、こう自分に語りかけてほしいと思っています。
「私はもっと大きな人間になれる。もっと多くのことができる。もっと多くを手にすることができる。まずは自分のことから始めよう。自分に語りかけることで可能性を切り開こう」
もちろん、自分に語りかけることが唯一の方法というわけではありませんが、優れた方法であることは間違いありません。
ひとたびアファメーションのプロセスを理解すれば、「現在地」と「目的地」が明らかになり、自分の生活の中の「なぜ」と「どうしたら」に気づくはずです。
この本では、私自身と妻ダイアンの物語を一つの例として取り上げます。当然ながら、私たち夫婦だけがモデルというわけではありませんし、私たちがみなさんにとっての最善のモデルとはかぎりません。私が自分たち夫婦を例として紹介するのは、みなさんに次のように言ってほしくはないからです。
「まったく、彼らはすばらしすぎるよ。彼らのすることを見てごらん。はるか先を進んでいてとでも追いつけない。自分が彼らと同じことをしている姿なんて想像できない」
つまり、私たちの長年の奮闘の物語をみなさんと共有することで、みなさんに私たちを身近に感じてもらいたいと思ったのです。私たちのスタート地点を知れば、みなさんは私たちよりずっとましな場所からスタートできるとわかるでしょう。
私がこれまでの人生でしでかした愚かな失敗から、どのように立ち直り、どのように今の生活を手に入れたかを知れば、思わず笑いが込み上げ、自信を持って前進することができるでしよう。
機会社を立ち上げたとき、銀行の預金は一〇〇0ドル
私がシアトルのケネディ高校の教師を辞め、自分の会社を立ち上げたとき、銀行には千ドルの預金しかなく、養わなければならない子どもは九人もいました。ビジネスを軌道に乗せようとして、あちこちで無料のビデオ上映会を開きました。ある人に私のプレゼンテーションについて評価してもらい、どうしたらもっと改善できるか助言してもらったことがあります。その人はプレゼンテーションを見たあとで、こう言いました。一そのスーツ、どこで買ったんだい? くたびれた大学教授みたいに見えるよ」
実は、それは私が持っているいちばん上等なスーツでした。というより、唯一のスーツでした。
この話を聞いたダイアンは、すぐに新しい茶色のポリエステルのスーツを買ってきてくれました。火のついたマッチを落としでもすれば、すぐに溶けてしまうような素材です。
それからまもなく、ワシントン・アスレチッククラブの朝食会で、鈴々たる実業家たちを前にスピーチをする機会に恵まれました。私は新しいスーツを着て出かけましたが、もう何年も前から着ているスーツであるかのように装いました。
スピーチを終えると、その会の主催者であるジーン。ジヤレズが、私の″新しい″スーツを褒めてくれました。私は内心、「どうして新しいスーツだとわかったのだろう」と不思議に思いました。
そして数分後、中座してトイレに行き、手を洗い、髪をとかしているときに、ようやく気づいたのです。スーツの袖にまだサイズ表示のラベルと値札がついているではありませんか―
こうした間抜けな失敗は何度も経験してきました。その茶色いスーツが古くなってしまうと、ダイアンがサツカー生地のスーツを二着買ってきてくれました。
一着はストライプで、もう一着はチェック柄のものです。夏のある日、早朝の飛行機でアイダホ州のポイジーヘ行き、木・紙製品メーカーのポイジー・カスケイド社に、わが社の新しいビデオ訓練プログラムを紹介することになりました。私にとっては重要なプレゼンテーションでした。
このビデオの開発にはかなりの資金をつぎ込んでいたため、まだ若い会社を維持するために相当の売り上げを確保する必要があったからです。
私は絶対に契約を勝ち取ろうと、集中してプレゼンテーションに臨みました。しかし、先方が興味を示していないことは明らかでした。
プレゼンテーションが終わると、丁寧なお礼の言葉をもらっただけで、そのまま出口に送り出されました。
ボイジーの空港で、同僚のブライアン・ケイシーに、「どう思う、ブライアン? なぜうまくいかなかったのだろう?」とたずねてみました。「ねえ、ルー。今日、鏡で自分の姿を見たかい?」
私はその日はじめて、明け方のまだ暗い部屋の中で自分が身に着けたものに目を向けました。あのサッカー地のスーツのズボンに、別のスーツのジャケットを合わせていました。
これだけは言えます。干し草まみれの田合者に見える誰かがいたとしたら、それは間違いなく私です。ストライプとチェックの組み合わせで、とんでもない格好になっていました。ブライアンはこう付け加えました。
「可能性の実現について訴えようとしているのに、君のその姿じゃ説得力がないよ」ダイアンと私のスタートの状況を知れば、みなさんはこう言うでしょう。「ルー・タイスが袖に値札がついたままのスーツや、ひどいミスマッチのスーツの上下で軍や産業界や教育界、政府の指導者にまで影響を与えられるのなら、私だってこのプロセスを使えば、大きなことができる」この本を読むときには、つねに私たちのスタート地点を忘れずにいてください。
私たちに共感できたら、次にはみなさん自身の生活をより良いものにしていつてほしいと思います。「もっとできる、もっと先まで進める。すでにルー。タイスより有利な場所にいるのだから」と思って、励みにしていただければうれしく思います。
まずはスタート地点での私たちに共感してもらい、その次に、どうしたら新しいレベルヘと成長できるかを知っていただくのが本書の目的です。内なる闘志に火を灯し、これまで思い描いたことのない大きな目標を持つてください。それがあなたの人生に深みと意味を増すことになります。
ただし、それは、″あなた自身の″目標でなければなりません。私の仕事はその目標を引き出す手助けをすることです。私からみなさんに目標を与えることはありません。その代わりに、みなさんがこれからの人生の目標を見つけるお手伝いをしようと思います。
私の仕事は、みなさんの内なる導火線に火をつけ、みなさん自身、あるいはみなさんの職場やコミュニティに爆発的な成長を引き起こす手助けをすることです。
それと同時に、リーダーシップをとる立場にいながら、卑劣で、悪意に満ち、利己的で、人を巧みに操る人たちの正体を暴けるようになってほしいと思います。
みなさんはもっと優れた手本を周囲に示すことで、間違ったリーダーに追従するのをやめさせることができます。より良い職場環境、より良いリーダーシップを実現させるために、みなさん自身がその道を示すのです。
基本三原則
私の人生は、次の三つの基本原則に導かれています。自分を偽らないこと、進歩的であること、有効な行動をとること、がその三つです。
・(一)自分を偽らない(>二〓oヨこ自分を偽らないことです。
いつも自分に正直であり、 一緒にいる人によって態度を変えたりしないことです。
他人が自分に何を望んでいるかばかり考えていると、相手を操って、自分の欲しいものを相手から引き出そうとするようになってしまいます。勝っても負けても、自分は自分。それが偽りのない自分ということです。
私は誰かに拒絶されたり、自分の能力不足を感じたりしても、自分を別人のように偽ったりはしません。つねに自分でいなければならないのです。みなさんにもつねに自分自身でいてほしいと思います。
o(二)進歩的である(マ00ぉいい¨お)進歩的であることです。
自分を改善していくことを意味します。今の自分が十分に有能でなくても、十分なことができていなくても、それはかまいません。これから進歩し、成長していけばいいのです。
進歩的であることの意味は、 一日一日、より良い自分になっていくということです。「一日一日、より良い自分になっている」と肯定できることです。
この「アファメーション」(自分に対して肯定的な言葉で語りかけることを通し、潜在意識を変化させ、望む方向に自分を導くこと)こそが、私の教える学習プロセス全体の鍵となるものです。
それが「現在地」から「目的地」へと進む鍵なのです。現在地と目的地は変わりますが、プロセスが変わることはありません。
・(三)有効な行動をとる(m魂o2マo)有効な行動をとることです。
ただ差し迫った緊急のことだけをするのではなく、正しいこと、重要なことをするということです。
自分はどうしたらもっと有能な人間、より良い父親、より良いリーダー、より良い教師になれるのだろう? どうしたら成長できるのだろう? 有効であることは、「目的地」がどこであるかを知っていることを意味します。
私たちが有効な行動について話すときには、日標を設定し実現することについて話しています。それは、しっかりした思考を基に、最善と思われる現実を築くプロセスです。
アイディアを取り出して、実質的なものに変えるということです。
私はこのプロセスを三〇年前の、二十代のころに始めました。私はつねに″ここ〃から″向こう″へ行こうと努力してきました。まっすぐ進めたことはほとんどありませんでした。それでも、回り道をしたり、脇道に迷い込んだり、何度も失敗をすることを通して、物事が少し見えるようになりました。
私がみなさんに望むのは、この成長のための三つの原則を取り入れて、自分がどこに向かうのか、この訓練で得た情報を使って何をしたいのかを知ってもらうことです。
「なりたい自分になるために、これがどう役立ってくれるだろう?」「私にはどんな可能性があるだろう?」と、自分に問いかけてみてください。
前進することを妨げる可能性があるものについても考える必要があります。
なぜ自分はここにいるのか、自分の人生に何を望むのか、なぜそう望むのか、しっかりしたビジョンを持ってください。みなさんは個人的な成長、家族の成長、ビジネスの成長を望んでいるはずです。
しかし、もっと深く長期的な視点では、幸せ、豊かさ、社会への貢献、他者に対する説得力と影響力、そして愛を求めているはずです。
私たち誰もが、 一つの目標から次の目標へと前進することで成長していきたいと考えており、日標と目標のあいだで立ち往生することは望んでいません。
それぞれ求めるものは異なりますが、誰にでも共通することとして、世の中に貢献し、違いをもたらし、目標に定めたことをうまくやり遂げたいと思っています。
なぜ私たちはそれを望むのでしよう。
私たちは周囲の人たちに影響を与えたいと思っているのです。それが一緒に働く仲間であれ、家族であれ、親しい人であれ。自分の持つ能力を引き出して、それを役に立つものにしたいのです。
私は、自分の内面と思考プロセスを変えることで、家族や職場の人たちとの関係を改善できることに気づきました。
さらには、自分自身にほんのちよっとした変化を起こすだけで、世界をより良い場所にするために貢献できるくらい、驚くほど大きく成長できることもわかりました。
このプロセスは私が発明したものではありません。誰の発明によるものでもありません。
これは人間が持って生まれた本質の一部なのです。
みなさんもこのプロセスを試し、大きく育て、自分が望む場所へと導く道具にしてみたくはありませんか?
私は完全な人間ではありません。ダイアンは完璧に近い人間ですが、私は完璧に近づくことさえできません。私はまだ成長のプロセスの途中、行き詰まりを打破しようと努めるプロセスの途中にいます。
数年前に比べればずいぶん成長しましたが、それでも私のプロセスはまだ途中です。みなさんの成長のプロセスもまだ始まったばかりです。
「アファメーション(スマートトーク)」を使って、共に日標に向かって進みましょう。
プロローグ
五段階のプロセス
以前、ケンタツキー州のフオートキヤンベル基地へ行ったときのことです。
空港に着くと、私を基地まで運んでくれるプラックホーク・ヘリコプターの若いパイロットニ人に出迎えられました。夜間飛行だったにもかかわらず、彼らは上空一五〇フィート(約四五メートル)を時速二四〇キロで進みました。
私にとっては死ぬほど恐ろしい経験でしたが、彼らは特別なメガネをかけていたので、日中と同じように周囲を見渡すことができました。このメガネをかけていれば、夜間でもものすごいスピードで飛行できるのです。
この本で紹介する原則は、あなたにとっての特殊なメガネになるでしょう。使い方さえわかれば、人生観を一変させるものになります。
あなたが自ら築いた障害だけでなく、内に秘めた資質と無限の可能性を照らし出してくれるでしょう。日標の実現に向けて人生を大きなストライドで進むことを手助けしてくれるはずです。
この特殊メガネがあれば、ビジョンと現実、知覚と信念、高いパフォーマンスと成功を、新しい視点から見られるようになります。
あなたはこう言うかもしれません。
「ルー・タイスが話しているのは、″絵に描いた餅″にすぎない。ほかの誰かには可能かもしれないけれど、私にはとても無理だ」と。
そんなことはありません。
先入観を捨て、自分の可能性に気づき、選択肢に注意を怠らずにいれば、あなたにももちろん実現可能です。
「そんなことはありえない」「うまくいくはずがない」と早急に決めつけないでください。少しのあいだ、判断を保留してください。そうしないと、″現実的″になりすぎてしまいます。
この特殊メガネをかければ、日の前の現実を超越し、知覚を超越し、直線的な思考を超越し、現在の風潮と環境を超越する方法が見えてくるはずです。
この特殊メガネがあれば、あなたを現状にとどめている思い込みを変化させ、人生の目的地へと前進させてくれるでしょう。
もちろん、私にはみなさんが人生で直面する問題のすべてに答えを与えることはできませんが、みなさんの人生や職場環境を改善する五段階のプロセスを紹介しようと思います。
五つのステップは、この本の1〜Vのセクションに対応しています。最初にプロセスをはっきり理解していただきたいと思います。個人や組織の自然な成長のための五つのステップには相互関係があります。
まずはそれから説明しましょう。
やプロセスの核となる「アファメーション」この本で紹介するプロセスの中では、アファメーションという言葉は、持って生まれた潜在能力、思い描いている理想、望まれる結果を自分に信じ込ませ、効果的な目標設定を行うことを意味します。
頭の中にある理想や結果を、あなたの生活の中で実際に起こっていることであるかのように思い描きます。
このアファメーションの作業は五つのステップすべてに必要になります。
ポジティブに将来を見据える思考法を取り入れることで、ビジョンを生み出し、態度を変化させ、選択肢を見出し、機会をつかみ、コンフオートゾーン(自分が快適に感じられる領域)を広げ、より良いチームと組織を育てることに役立てます。
- ステツプ1 ビジョン、使命、価値観、動機、態度を明らかにする。
- ステツプ2 創造的な思考、ポジティブなセルフトークを取り入れる。
- ステツプ3 ターゲットを定義し、目標の刷り込みを行う。
- ステツプ4 行動を起こし、方向を正す。
- ステツプ5 人を育て、組織を改善する。

それぞれのパートは、本書の一〜五ステップの導入部の役割を果たします。
さて、この図の周りに二つの同心円を付け加えることで、五つのステップが家族、チーム、組織、社会のすべてに等しく応用できることがわかると思います。
より良い自分をつくることで、より良い世界を築く人物になれるのです。

私があなたに厳しい課題を与えるつもりであることを最初に知ってぉいてください。私が何を言おうとしているのかを解き明かすのに苦労することもあるでしよう。
しかし、 一度理解して自分のものにすれば、周囲の人にも伝えることができます。チームを築き、自分の夢を実現させることができるのです。
この本の内容は、読み進めるにつれて思考と行動に変化を与えられるように順序立てられています。
そのコンセプトを理解すると、本当はすでに明らかだつた何かの意味をはじめて知ったときの、「そうだったのか!」という驚きの発見を繰り返すことになります。
そして、この「そうだったのか!」をこれからの人生でたびたび味わうことになるでしよう。「ほら、あそこ― どうして今まで見えなかったんだろう」と、つねに自分に語りかけることになるでしよう。
私はこの本で紹介するコンセプトを高校生に教えることから始め、現在は政府や軍の高官、紛争で疲弊した外国の人たち、更正施設の職員と収容者、教育者と学生、工場労働者.農業従事者、運営管理者、労働者、運動選手、健康。
福祉・政治関連事業者など、広い範囲の人たちに教えています。
この本の原則は私自身にも、経済的、社会的、環境的、個人的に大きな変化をもたらしました。高い地位の人たちに影響を与え、最も差し迫った必要への解決策を生み出す手助けをすることができたからです。
私の会社では、奇跡という言葉を使って話をします。
「労組と経営側を協力させることができたら奇跡だ」「犯罪者の再犯率を引き下げることができたら奇跡だ」「人々を社会福祉への依存から脱却させられる賢明な方法を見つけられたら奇跡だ」「教育制度の質を改善できたら奇跡だ」といった具合です。
そして、私は自分にこう言い聞かせます。
「それこそ私たちが挑戦すべきことだ」この本の情報を使えば、あなたも自分の家族、社会、会社、チーム、組織に奇跡を起こすことができます。
奇跡は実際に起こります。それどころか、あなたが自分の力でそれを引き起こすことができるのです。
ヘンリック・イプセンの戯曲『ペール・ギュント』の主人公ギュントが、人生の終わりを迎え、潜在能力を有意義に使ったか浪費したかの″決算″をしている場面から引用してみましょう。
「われわれは思考だ。あんたは我々を形にしてくれるべきだったんだ。走ることのできる足を、われわれに与えてくれるべきだったんだ」
私たちが一生のあいだに持つすべての思考、アイディア、夢は、それに″足″を与えないかぎり、価値がありません。この本では、あなたがアイディアに形を与え、思考と夢に″足″を与える手助けをしたいと思います。
したがつて、これは行動のための本ということになります。目標に向かって継続的。長期的な行動をとり続けるように背中を押します。途中であきらめてほしくはありません。
一つのモデルを示し、プロセスを伝授します。何が原動力になるのか、どのように走り続けるのか、なぜ走り続けるべきなのかを教えます。他人と競争する必要はないのだと教えます。自分の職業で最も優れた一人になる必要はありません。
ただ、自分の理想、達成したい目標、自分と家族と社会に何を望むかを明らかにしてください。トップに立つ必要も、町でいちばんの金持ちになる必要もありません――それがあなたの目標でないかぎりは。
重要なのは、自分を取り巻く世界をより良い場所にすることです。重要なのは、自分と子どもたち、あるいは社会全体を幸福にする数々の出来事を生み出すことです。
刑務所で三〇年過ごしてきた自分を想像してみてください。三〇年経ったとき、誰かがやってきて、こう言います。
「ところで、君は刑務所にいる必要はなかったんだ。君は自分で自分を拘束したんだ。自分自身の判事と陪審員になることを選び、自分で不幸になる判決を下したのさ。一生を貧しく、平凡で、役に立たない人間として生きるという判決をね。独房の鍵はいつも君のポケットの中にあった。いつでもドアの鍵を開けて、自由になることができたのに」
真の意味で、それこそがこの本の役割です。つまり、私が言いたいのはこの言葉なのです。
「見てごらん、鍵は君のポケットの中にあるよ。君はただドアの鍵を開けて、自由になればいいんだ」
人生を変える「言葉の法則」〜ビジョン、使命、価値観、動機ゝ態度を明確にする〜

新しいスタートには不安がつきものですが、それはごく自然で、健全な反応です。
プロゴルファーのグレツグ・ノーマンは、帝王ジャック・エクラウスの書いた文章や本を読んで、ゴルフのプレー方法を学びました。
はじめてマスターズ。トーナメントに出場したとき、ノーマンは自分が師と仰ぐニクラウスと同じペアで回ることになりました。
一番ホールのティーショツトで、ノーマンは三〇〇ヤードを飛ばし、見事フェアウェイに乗せますc ニクラウスも同じほどの距離をたたき出しました。
フェアウェイを二人で歩いているときに、ニクラウスがたずねました。
「グレツグ、はじめてのマスターズでティーグラウンドに立った感想は? 興奮したかい? それとも緊張したかな? どうだった?」ノーマンは答えましたc「ジャック、もう死にそうだったよ。
ひざががくがく震えて、すごく緊張していた」すると、ニクラウスが言います。
「その感覚、たまらないだろう?」私自身もその感覚が― 新しいレベルでの新鮮なスタートの感覚が― ‐たまらなく好きです。
みなさんも、人生をより高いレベルで生きると決心したときには、同じようにその感覚を愛するようになるでしょう。
このステップの三つの章では、高パフォーマンスの基礎となるもの――ビジョン、使命、価値観、動機、態度――について学びます。
私たちは自分が何者なのか、今どこにいるのか、これからどこに向かうのかを知らなければなりません。
「現在地」、すなわち現在の状況を知って受け入れることは、「目的地」を想像して頭に刻み込むことと同じように重要です。
自分がどんな人間で、今どこにいるのかがわからなければ、現状に向き合う勇気がわきません。現状にとらわれ身動きができなくなるのです。
現在の状況は、パフォーマンス改善の道のりの〃ベースライン″というよりも、″ライフライン″となるもので、私たちの人生の物語、そしておそらくは、子どもたちや孫たち、従業員や同僚の人生の物語を支えるものとなります。
アイディアを具体化し、可能性を現実にするプロセスとは何でしょう? アイディアを具体化し、建物を建てたり、家庭を築いたり、パーティーを企画したり、会社を成長させたり、社会を改善するプロセスとは何でしょう?第一章では、ビジョンと使命について考えます。
夢見ることすべてを実現することはできないでしょうが、最初にビジョンを持たないかぎり、何かを達成することはめったにありません。そこで、理想という点から考えてみてください。
理想と現状を比べ、望むものを明確にし、自分がなりたい人物像のモデルを見つけ、望みどおりの結果を自分が手にする姿を思い描きます。
第二章では、動機と価値観について見ていきます。
自分の内面を探り、価値観を評価し、価値体系を確立し、動機を決定することが目的です。自分の価値観について、厳しく自分に問いかけてください。価値を置くものを重要なものから並べ、時間とエネルギーとお金を投資する優先順位を決めてください。使命をはっきりと認識することで、大きな差が生まれます。
第三章では、態度を正しいものにすることを学びます。
日標を設定しても、それを達成することを望まないかぎり、おそらく達成することはないでしょう。なぜそれを望むのかという強い理由をその目標に与えなければなりません。何らかのサイン、あるいは外部からの刺激を待っていては、おそらく自分を変えることはできません。どんなプロセスも成功を保証してはくれません。
しかし、ステップーを習得すると、アイディアから何かを築く可能性が高まります。このプロセスを理解し取り入れることで、自分の将来をコントロールできるようになります。より良い社会、より良い家庭、より良い会社を築くことができるのです。
第一章 「現在地」と「目的地」信じるという課題私はあなたが今いる場所(この瞬間の「現在地」)から、行こうとしている「目的地」へ向かうのに必要なすべてのものをお教えします。
あなたに「目的地」へと到達してほしいのです。そのためにはまず、信じるという課題を理解する必要があります。何を達成するかは、ほとんどの場合、何を信じるかによって決まります。信じることができれば、達成したも同然」と言ってもいいでしょう。
二〇年ほど前、私はシアトルのケネディ高校の教師で、アメリカン・フツトボール部のコーチを務めていました。
しかし、ヮシントン大学のある優れた客員教授から学んだことが、私の考え方、そして私の人生までを変えることになりました。
私が自分の最初の目標に設定したのは、自分が得た情報を使って、人々を助け、組織を改善する手助けをするということでした。
「つまり、システムを変えたいということですね?」というのが周囲の反応でした。
「そのとおりです」「コンサルタントとしての経験はどのくらいお持ちですか?」一まったくありません」「博士号を持っているとか、何かそれに代わる経験があるとか?」「いいえ」「実地調査はどこでやりましたか?」「どこでもやっていません」「それでは、どんな資格をお持ちなのですか?」「正直なところ、何もありません」こんな調子で何の資格も経験も持たない私が、なぜ自分にこの目標が達成できるなどと思ったのでしよう。
私にそう思わせたのは、今の状況は私の潜在能力を正確に反映したものではないという確信でした。あなたの現実は、あなたが内に持っているコンテナのサイズと形と同じです。
創造性、想像力、将来の可能性を現状の小さなコンテナに開じ込めてしまうと、思考が否定的なセルフトークに支配され、行動範囲は現在のコンフオートゾーンの中に限定されてしまいます。
あなたの〃現実″を現状のまま封じるのではなく成長させられるとしたら? あなたは、「そんなの簡単そうだ」と思うかもしれません。
ところが、実際には簡単ではありません。いくつかの原則をしっかり理解して取り入れることが必要です。簡単ではありませんが、これは可能なことです。そして、努力するだけの価値はあります。
★現在の現実は固定されてはいない
あなたは今この瞬間の自分も、現在の状況も超越して、日標を達成する方法を学ぶことができます。現状を否定すべきだと言っているのではありません。
現状を認識するのは、変化のプロセスの重要なステップです。しかし、現状に縛られてはいけません。宇宙が固定されていないように、世界も生物も固定されてはいません。みなさんも固定されてはいません。自分の将来をどのように選ぶか、どのように創造するか、どのように基礎を築くかを学ぶことができるのです。
現状が固定されたものだと信じれば、「こういうものなんだ」という誤った考えにとらわれてしまいます。
「いつもこうだった。これからも変わらない」と思ってしまいます。しかし、現在が永久に続くことはありません。
アイザツク・ニュートンを思い出してください。
ニュートンは、神は完全な世界を創造したけれども、たった一つ、「人間」だけは例外だったと考えていました。
人間は基本的に罪深い存在だとみなされていました。いつも善なるものを破壊しようとしてきたからです。その背景にはこんな考えがあります。
「もし神が完全な世界を創造したのなら、なぜ人間はあらゆる想像力と創造力を用いて、それを変えようとするのか。それでは物事を混乱させることになる」
みなさんの中にも、同じように感じている両親に育てられ、その影響を受けている方がいることでしょう。同じような考えの上司の下で働いているかもしれません。
すべては現状のままであるべきだという考えの教師― 「君たちのすばらしいアイディアは必要ない。新しいアイディアを持つことなど認めない」― のいる学校に通っている場合もあるで,しよう。
その二〇〇年後、哲学者で数学者のアルフレッド・ノース・ホワイトヘツドは、流動的でダイナミックな世界について語りました。
彼は、人間が神とともに創造する世界を思い描いていたのです。ホワイトヘッドにとって、創造とは人間の命と同じように進化するプロセスでした。どちらも固定化されることなく、立ち止まりもしません。
つねに動いています。みなさんが私と同じようにその考え方を共有したとすれば、「私はのんびりとくつろいで、神やら運命やら自然界やら権力者やらが、私の人生を導いてくれるのを待つことにするよ」と言う人たちをどう思うでしょうか。
彼らはどんな人生を送るのでしよう?「オーケー、もし私に能力がないなら、そうなる運命だったのさ。私が怠け者でも、あるいはこのひどい気性をコントロールできなくても、それは私の責任じゃない。借金まみれで、請求書の支払いができなくても、仕方がないさ」
自分の人生に責任を持たずにいられる、なんとすばらしい言い訳でしょう。自分自身を現状に固定し、決して変化させない、なんとシンプルな方法でしょう。高パフォーマンスの人たちは、ホワイトヘッド的な世界に生きています。
彼らにとっては、現状は一時的なものでしかありません。「人生はこういうもの」と言う代わりに、彼らは毎日、新しい現実を築いていきます。
何もせずに運命を呪ったり、誰かが変えてくれることを望んたり、宝くじに当たることを期待したりしません。彼らは、「自分の力で」変化を生み出していきます。
おそらくあなたは、自分が「持って生まれた」側か「持たずに生まれた」側か、そのどちらかだと信じるように洗脳されてしまっています。
「彼女は生まれながらのリーダーだ」「彼は負け犬として生まれついた」というように人が言うのを聞いたことがあるでしよう。
この考え方に従えば、みなさんは「必要な資質を持っているか」持っていないか、のどちらかでしかないということになります。
IQテストや適性検査を受けたあとで、「あなたの成績はあまりよくありません。平均レベルです」と言われたとしましょう。こうした指摘は信念に変わってしまいます。
これらのテストは、これまで学んできたことを測るものであって、これから何を学べるかを測るものではありません。こうした検査でわかるのは、「これまでのあなた」であって、「これからのあなた」の可能性ではありません。
テスト結果を自分についての〃真実″だと受け入れれば、自分はそういう人間なんだと信じて行動するようになります。その考えにしがみついているかぎり、同じ場所にとどまり、将来の可能性を制限されてしまいます。
また、他人が持つあなたについての先入観(あるいは、あなたの年齢、肌の色、民族的背景、職業について)が障害になることもあります。
もし私がリーダー、親、教師、コーチ、上司としての立場から、あなたには必要な資質が欠けていると判断すれば、あなたがなれるはずの人間になることを妨げる状況を生み出してしまいます。
かつてオリンピックに出場した高跳びの選手で、「背面跳び」を最初に跳んだディツク・フォスベリーという選手がいます。彼は国際大会で、バーを後ろ向きで跳び越えた最初の選手でした。
そのころ、陸上のコーチたちは子どもたちに「この選手の真似をしちゃだめだ。彼は変わり者だから」と言っていました。
しかし最近では、どの選手を見ても背面跳びです。一九五四年までは、誰もが一マイル(約一六〇〇メートル)を四分未満で走るのは不可能だと思っていました。ところが、ロジャー・バニスターがその壁を破りました。
その後の四年間に、四分の壁は四十回以上も破られました。なぜでしょう? ランナーたちが四分を切るのは可能だと知ったからです。
数年前には、全米大学体育協会(NCAA)の走り高跳びの全国大会の出場資格を得られる基準ラインは、六フィート一〇インチ(約二一〇センチ)でした。
ところが、基準を突破する選手があまりに多かったため、六フィート一一インチに引き上げられました。それでも同じ人数の選手が資格を得ました。
主催者側は「何人か減らさなければならない」と判断し、さらに資格基準を七フィートまで上げました。やはり同じ人数が突破しました。
信じることを変えれば、結果がついてくるのです。信じることを変えれば、人生をどう生きるかを変えることができます。
会社の経営方針も、家族の生活も。障害物を築いたのは、「あなた自身」です。何かをその状態に留めているのは、ただ自分がそれでいいと信じているからという場合は多いのです。
シェイクスピアはこう書きました。
「良いものも悪いものもない。人の考えでそれが決まる」
POINT
考え方を変えれば、行動も変わる。そして、人生の障壁は崩れ始める。
★「なぜ」と「何」を見極める。「どのように」は心配しなくていい
普通の人は、普通の方法で物事を行います。ルールに従い、列に並んで待ち、確立されたパターンで動き、マンネリ化の罠にはまっています。
ある日、私は普通では不十分だと決め、自分のビジョンを追求することにしました。
現状に目を向け、その現状とビジョンがどれだけ離れているかを考えれば、「私なんかが人に影響を与えられるわけがない」と思っていたかもしれません。
私には「どのようにすればいいか」がわかりませんでした。ただ、日標を達成するための道を切り開くことはできるとわかっていました。計算や計画だけで理想の状況に自分を持っていくことはできません。
目標を設定したとたん、「どうやつてそれをする?」「どうやったらそれができる?」と自間せずにはいられなくなります。そして、計画づくりを開始します。
でも、私のスタート地点からは、現在の私の状況に自分を導いてくれるような計画などまったくありませんでした。私には何か別のものが必要でした。
古い思考様式を捨て、現状を跳び越えるためには、意志の力が必要でした。現状を跳び越えるという考えは、みなさんには魔法のように思えるかもしれません。
マジシャンが驚くべきカードのトリックを披露するのを目にするとき、観客はそのプロセスではなく、結果を見ています。
マジシャンがカードを袖の中にすべり込ませるところは見ていません。「どのように」が見えないから、びつくりするのです。
私がまだ高校教師でコーチだつたころ、学校の運動プログラムのための資金集めが必要になったことがありました。
いくつかのアイディアを検討したあとで、二〇人の生徒を集めてボクシングのトーナメント大会を開くことにしました。
どうせ放っておいてもけんかをするのだから、いつそのことチケットを売ればいいじゃないかと思ったのです。
チケットはほぼ完売しましたが、大会の五日前になってもまだ、ボクシング用のリングとグローブとレフリーが調達できていませんでした。
周囲からは、「ルー、こんなばかげたアイディアは忘れて、お金を返したほうがいい」という声が出始めました。
でも、それももう無理でした。チケツト代の一部は広告費に使ってしまっていたからです。当時、私は夜間の社会人クラスを教えていました。クラスでこの問題について話すと、ある生徒がこう言いました。
「先生、私は軍隊にいたころ、ボクシングの選手だったんですよ」「そうなんですか」「それで、シアトルでボクシングクラブを経営している友人がいるんです」「本当に? でも、そのご友人がボクシングリングを見つけてきてくれるなんてことには、ならないですよね?」彼は私に友人の電話番号を教えてくれました。
その夜、十時ごろに帰宅し、早速電話をかけてみると、その男性は言いました。
「すみませんが、お役には立てそうもありません。ですが、友人のボクシングクラブの経営者は、リングの貸し出しもしていますよ」。その男性に電話すると、「ええ、五十ドルでお貸しできます」という答えが返ってきました。
「じやあ、お願いします。ただし、レフリーが見つからないかぎり、リングを持ってきていただいても意味がないのです」と、私は言いました。
「それなら、私がレフリーを務めましよう」「同じ料金で?」「ええ」「あの、実はリングとレフリーが手配できても、ボクシンググローブを手に入れられないと、試合ができません」すると、男性はこう聞いてきました。
「あなたは何をお持ちなんです?」「私が持っているものは、販売ずみのチケットとやる気十分の子どもたちです。ところで、もしヘッドギアと飲み物用のボトルとゴングをお持ちでしたら、それも持ってきていただいたほうがいいと思います」
私が目標を定めてチケットを売ったときには、どこでリングとレフリーを見つけたらいいのか、まったく当てがありませんでした。
多くの人が、ビジョンやゴールを設定するときには必要なリソース(資源)がどこにあるかを知っておこうとします。それが、彼らが人生でわずかなことしか成し遂げられない理由です。
将来なりたい自分に「どのようになるか」については、あまり心配しないでください。スタートしてしまえば、どのようにプロセスを考案し、創造していくかをおのずと学んでいくことになります。
あなたには内に秘めた創造力と直感力と力強さがあるのです。あなたは創造力豊かな天才です。
しかし、まずは古い思考様式から思い切って離れなければなりません。今の段階では、「なぜ」と「何」により注意を向けてほしいと思います。
それを正しく知ることができれば、「どのように」は自分で生み出すことができます。現状を超越するには、「どのように」に執着しているわけにはいきません。そうすると、ビジョンを狭めてしまいます。
もし今の時点でできることに基づいて考え、論理的、現実的に目標に到達する方法が思いつかないと、非現実的に思えるからという理由で将来の可能性を否定してしまいます。
「そんなのは絵に描いた餅だ」「いったいどこから客が来るというんだ?」「どこで資金を手に入れられる?」「誰が助けてくれる?」「私にはそんな資格はない。先に学位が必要だ」などと思ってしまいます。
自分が望むことをするのを妨げる理由なら、いくらでも正当な理由を思いつくことができます。
手が届かない目標だと自分に言い聞かせれば、より現実的で、より実現する可能性が高く、より快適に感じられる日標へと後退してしまうでしょう。
その目標でさえ達成するのに、何年もかかるかもしれません。そして、人生をより良くするための無限の潜在能力を使わずに終わってしまうのです。
★直線的思考に走らない
論理的で直線的な思考にとどまっていると、どこかのプランナーや世話役の意見を取り入れて、次の3ヶ月の計画を「現在の自分の能力と想像力に基づいて」決めてしまいます。そここそが古い思考様式です。
直接的思考、因果関係に基づく思考、方法論的思考はいずれも時代遅れです。
そうではなく自分の直感を信じ、最初は実行不可能で意味をなさないように思えるかもしれない目標と進んでいかなければなりません。
赤ん坊の歩みではなく、巨人の歩みで進むのです。
最初は、「どのように」については考えないでください。効率的で、直線的で、間違いのないコース取りかどうかを心配する必要はありません。進むうちに道は開けます。
たとえば、ダイアンと私がまだ最初の家に住んでいたある日、子どもたちと一緒に車でシアトルまでオレゴン海岸をドライブしました。
ダイアンも私も高校教師の職を辞めたばかりで、あまりお金がない時期でしたが、車の中で、子どもたちの理想の家には何が欲しいかを自由に考えさせました。
欲しいものリストには一七〇のものが書き込まれました。アイスクリーム・マシンから、ペットの鷲、沈められるごみ容器八犬が倒すたびに自分たちがごみを拾わなくてすむように)まで、バラエティに富んだ内容です。
ジュークボックス、スロットマシン、プール、自分だけの部屋などもありました。私たちはすべてのものを書き出し、実際にそれが家の中にあるところを想像しました。
当時はあまり豊かではありませんでしたが、それから何ヵ月も経たないうちに、私たちの家にはリストの中の六六のものがありました。
アイスクリーム・マシンも、ジュークボックスも、ビリヤード台も手に入れました。その時点でリストはしまい込みました。ダイアンが再びそのリストを見つけたのは、それから一〇年後のことです。
そして驚いたことに、私たち家族は一七〇の欲しいものすべてを手に入れていました。牧場を買ったことが大きな理由です。子どもたちは馬や牛やニワトリなど、町では持てないものを欲しがっていました。
牧場を買ったおかげで、いつの間にかリストに書かれていたものすべてをクリアしていたのです。頭の中ではっきりとプログラムが組まれていたので、つねに夢のリストに注意を向ける必要もなくなっていました。
望むものを頭の中で視覚化しておくことで、やがてはとても自然な形でそれを実現させることができます。私たち家族は何にでもなれ、何でもでき、人生に望むすべてのものを手に入れる、私はそう確信しています。
何を本当に望むのか、それを決めるだけの問題なのです。
実際に私たち家族は、本当に欲しいものを手に入れることのほうが、適当なもので妥協することよりも簡単だと思っています。
ほんの思いつきで欲しいと思うものに関しては、本当に欲しいものを追いかけるときほどエネルギーも意欲も投じず、興奮も得られないからです。
★最初に結果ありき
着実に成果を上げる高パフォーマンスの人になりたければ、最初にどんな結果を望むのかを定めなければなりません。
あなたは具体的に何を望んでいるのでしょう? どんな職業? どれくらいの収入? どんな社会? どんな家? どんな精神生活? どんな人間関係? 望む結果を頭の中に鮮明に描き出す必要があります。
そのビジョンが脳に刷り込まれると、創造性が刺激され、日標を達成するために役立つ情報を見つけ出せるようになります。
ビジョンは、「人類の役に立ちたい」といった漠然とした望みではなく、もっと明確なものではなければなりません。人類の役にたつ方法は無数にあります。何か特定のものにはっきりと狙いを定めてください。
普通の人は、ただ何かを欲しいと考えるだけです。自分の望みを特定のビジョンや使命に変えようとはしません。漠然とした願望は捨ててください。
自分の力で物事を可能にするのです。最終結果を頭の中で具体化し、「考えがひらめいた」と言えなければなりません。「考えがひらめいた」。それがすべてです。
「自分の家族がどうあってほしいか、考えがひらめいた。どれくらいの収入が欲しいか、考えがひらめいた。どんな家が欲しいか、考えがひらめいた。作りたいケーキがひらめいた。今度のパーティーをどんなふうにするか、考えがひらめいた」
アイディアか理想、ビジョンか使命。そのいずれかを持ってください。これはただ、想像力を建設的に使うというだけの問題です。すべてはあなたの頭の中、想像の世界にあるのです。頭の中に将来を建設することで、それが現実になっていきます。
たとえば、将来のディナー、映画、パーティーについて、アイディアがひらめいたとします。あるいは、これから送り出す製品、築いていく組織、次の体暇旅行を想像します。そう、簡単そのものです。
★秘密の庭を開放するポジティブな思考法
ここでみなさんには、頭の中で夢を描き、秘密の人生を自由に語る許可を与えましょう。みなさんにこの言葉を送ります。
「あなたが想像することは、現実世界で実現できる」これ以上、現実的になる必要はありません。実現可能性に縛られる必要はありません。夢を持ち続けてください。
あなたは自分の可能性に興奮を覚えると同時に、不安を感じるかもしれません。私も何度も同じ思いをしましたから、よくわかります。
課題や試練に直面するとどうしても不安になってしまいますが、それは「大丈夫だ、不安を感じるのは普通のことなんだ」と言っているのです.不安を感じるのはかまわないのです。
それは肯定的なサインです。「やめろ、引き返せ」という声に耳を傾ける必要はありません。覚えておいてください。
あなたがどんな人間で、どんな人生を送るかは、つねに変化します。今はまだ、望むことより望まないことのほうが多くわかっているかもしれません。
たとえば、貧乏になりたくない、病気になりたくない、愚かな人間になりたくない、ということはわかっていると思います。
でも、自分に別の質問を投げかけてみてください。
「私は何が欲しいのだろう。今の自分、自分のしていること、自分のいる状況が不満だとすれば、どうなることを望んでいるのだろう」。
それが将来の目標に意識を向けるポジティブな思考法です。
★理想という観点から考える
私たち一人ひとりが、理想を思い描きながら考え、行動しなければなりません。理想とは何でしょう。それは、今はみなさんの頭の中だけに存在するイメージであり、想像図であり、ビジョンです。
理想はシンプルで、複雑なものではありません。まず、現時点での物事の状況――生活、服装、仕事、健康、コミュニティ、世界情勢――を見てください。
つかの間、今の″現実″から自由になってください。そして、どうしたらそれが手に入れられるか、どうしたらそれができるか、それがどんな結果をもたらすかなどの心配をいっさい考えずに、理想を思い描いてください。
ただ、こうであればいいと思う状況を、美しいシンプルな絵にしてみてください。そしてその絵を頭の中にしまっておきます。日常生活の中で、現実に引き戻されることなく理想を維持するのは、たしかにむずかしいことです。
しかし、どれだけのお金を持っているか、自分がどれだけ有能か、今の自分がどれだけ力を持っているかという現実にとらわれてはいけません。
ある意味で、それは重要ではありません。まずは理想を頭にたたき込むのです。
理想という観点から考えることは、みなさんの多くにとっては新しい経験かもしれません。みなさんは現状にとらわれていて、そこから出ることができないからです。
つまり、自分自身でつくり出した心の中の牢獄にとらわれているのです。そして、現実にどっぶり浸かってしまうと、それについて「真実を知っている」と考えるようになります。
しかし、誰か外からやってきた人のほうが、理想についてもっとうまく考えることができます。その人がみなさんの生活の現実にとらわれていないからです。
私は現在、コンサルタント、コーチ、指導者、講演者、夫、父親、祖父、企業経営者という役割を担っていますが、その役割の中で、他人の生活や組織に部外者の立場で入り込むことが多くあります。
その人たちが経験しているすべてのことを自分も経験しているわけではありませんから、理想という点から考えることも、相手に理想という点から考えさせることも、その理想に到達するプロセスを提供することも、比較的簡単な作業です。私は彼らにこうアドバイスします。
「理想の世界を考えてください。たとえ今の自分はめちゃくちゃで、否定すべきことばかりだとしても」
それに対して、こう言い返す人もいます。
「あなたは私のことを知らないじゃありませんか。あなたはここに来て、現実とは無縁の夢物語を語っているだけです。なぜ理想を考えるのですか? 私の人生で理想的なものなど何もありません。なぜ失望のお膳立てをするのですか?」
私はこう答えます。
「私はただ、どんなことが可能か、少しだけでも考えてほしいのです。理想を思い描く作業をしてもらい、それを現実にすることができると信じられる勇気と自信を持ってほしいのです。
今、自分が望んでいるものをはっきりと意識してください。それが何であるかは問題ではありません。とにかく望みを具体化してください。その望みがこれから進む道を変えるのです。
自分が今、何を求めているかに集中し、なぜそれを求めるのかがわかれば、きっとそれを手に入れることができます」
そして、彼らにこう考えてもらいます。
「私は自分が欲しいものがわかっている。なぜそれが欲しいのかわかっている。私は役立つ情報を持っている人の話を聞き、それを取り入れて私にとって現実的な何かに変える」
あなたは何かを得ようと手を伸ばしています。一人の人間として成長したい、家族として成長したい、会社を成長させたいと思っています。今以上のものになりたいのです。何を変えたいのでしょう。それこそが、私が自分に問い続けている質問です。
「私は何になりたいのか。私は何をしたいのか」
それは大げさなことではなく、家族や会社の仲間や自分自身のためのちょっとした何かかもしれません。
私は自分の理想を追求するために、世界中を駆け回ってきました。スペインでは、『ドン・キホーテ』を書いた作家ミゲル・デ。セルバンテスの家を訪ねました。『ドン。キホーテ』のテーマの一つは、理想と現実の対立です。
私たちの夢や理想や探求は、なりたい自分になれるかもしれないという可能性を感じさせてくれます。しかし、探求に乗り出したキホーテのことを、狂人とみなす人たちもいました。
同じように、私たちも他人には正気を失っているように見えるかもしれません。そしてその認識が、彼らにとっては″現実″になるのです。
私たちの多くは「現実的なものの見方」をするように教えられてきました。友人たちはこう言うかもしれません。
「理想なんて忘れるよ。必ずしもみんなが賛同してくれるとはかぎらない。批判者や敵対者も現れるだろう。思い描くとおりに達成することなどできないよ」
もし、あなたに弱さがあれば、彼らが現実として確信している否定的な考えを受け入れてしまうかもしれません。
私は自分の生活の中にもっとポジティブな哲学を取り入れています。私のセルフトークは、最も力強いアファメーションの形をとります。
私はポジティブに自分に語りかけ、それによって周囲の人たちとの会話にも影響を与えようと思っています。それは、とてもむずかしいことです。
周囲のあらゆるネガティブな会話に引きずりこまれることなく、他人から現実を理解していない人として認識されることなく、周囲の人がよリポジティブになる手助けをするのは簡単なことではありません。
というのも、私が物事をポジティブな方向にひっくり返そうとするときに周囲から返ってくるのは、まさにそうした反応だったからです。
人は私のことをこう言います。「彼は夢の世界に住んでいる」「彼は現実をまったくわかっていない」。その指摘は正しくありません。私はしっかり理解しています。それでも彼らには、私は夢想家か理想主義者か、ドン・キホーテに見えるのです。
みなさんの探求は、みなさんの側からの何らかの働きかけを必要とします。誰かと理想を共有しようとしても、相手は賛同せず、こう言うかもしれません。
「この世の中に住む人も、この世の中で起こることも、これほど不公平で不平等なのに、なぜ努力する? なぜ信じる? なぜ希望や夢を持つ?」
私は自分の理想をあなたに押しつけることはできません。 一人ひとりが今いる場所をスタート地点として、自分の理想の場所を明らかにしなければなりません。人として成長するにつれ、あなたの目指す場所は、より大きく、より優れた、よりすばらしいものになるでしょう。
それが、「現在地」から「目的地」への旅の、自然のプロセスなのです。これから三年後、また別のスタート地点に立ったあなたは、こう言うかもしれません。
「今度はあそこに行きたい」
あなたは新しい「目的地」を決め、同じプロセスに従って進みます。目指しているのは、新しい結婚かもしれません。新しい家族、事業の拡大、新しい家、年収の増加、もっと健康な体かもしれません。
この本は、みなさんを「現在地」から「目的地」へと導くガイドブックにすぎません。
私はみなさんに刺激を与え、より大きな「目的地」を持ってほしいと思っています。この本で学ぶ原則と行動のプロセスを毎日の生活に生かして自分を成長させれば、今日のみなさんが考える「目的地」に比べ、 一〇年後のみなさんが考える「目的地」は、ずっと大きなものになっているはずです。
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