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第一章「朝4時起き」になればこんなに成功する!

はじめに

この本は次の三人のために書きました。

  • ・夜型から朝型に切り替えたいけど方法がわからない人
  • ・朝型になるとどんないいことが降りかかってくるか知りたい人
  • ・朝型になるだけで成功も幸福も思いのままになることを知りたい人

「早起きは三文の得」……などというものではありません。早起きはとてつもなく大きなメリットがあります。

とくにビジネスパーソンたるもの、「朝型」でなければまず成功は手に入れられない、と覚悟しておいたほうがいいかもしれません。

何も脅迫しているわけではありません。

いままで三万人超の経営者、ビジネスパーソンと会ってきましたが、成功する人はすべてがすべて「朝型」です。

少し思い浮かべただけでも、ソフトバンクの孫正義さん、楽天グループの三木谷浩史さん、トヨタ自動車の豊田章男さんも早起きです。

角界では朝稽古は常識ですし、サッカーの本田圭佑さんや香川真司さんも早朝練習を欠かしたことがありません。

政界では、政治家の早朝勉強会はほとんど毎日です。

彼らを取材する新聞記者の「夜討ち朝駆け」はこれまた有名な話です。つまり、日本を代表するトップクラスはみな「朝型」なのです。

「この人たちは特別でわたしなんかムリムリ」と卑下することはありません。

「こんな朝の使い方だれができるの?」といったスーパーマンだけができそうな方法を紹介しようというわけではありません。

だれでもできる、楽しんでできる、思わずやってみたくなる。そんな朝の使い方をご紹介するつもりです。

わたしは「朝4時起き」に生活スタイルを変えてから二十年。仕事の効率も成果も遊びも段違いに良くなった、と思います。

そこで、早起きが楽しくなる方法をたくさん提案しました。

一つでもやってみようか、となれば、いままで知らず知らずのうちにスルーしてきた「朝時間」がガラリと変わるはずです。

時間の使い方を変えれば習慣が変わります。習慣が変われば結果が変わる、と思います。いつの間にか、運命も変わるのではないか、と思うのです。あなたの成功は「朝時間」にあるのです。

中島孝志

第一章「朝4時起き」になればこんなに成功する!

目次

□世界の経営トップはこんなに朝が早い!

朝の早いビジネスパーソンほどエリートです。わたしの友人にもたくさんいますが、とにかく朝が早い。

とくに欧米の経営トップには「朝4時起き」のわたしもビックリするような早起き人間(「スカイラーク」と呼ばれます)が多いのです。

どうも時間に関する哲学がわたしたちとは根本的に異なるようです。ずばり言えば、彼らは自分の時間をものすごく大切にします。

この「自分」という意味には「家族」も含まれます。

それに比べて、日本人は自分の時間を軽視しているとしか思えません。この「自分」という意味には同様に「家族」という意味も含まれています。ここに尽きる、と思うのです。

たとえば、海外出張で飛行機に乗っていた時のこと。

日本人はタダ酒を飲まなければ損だとばかりにしこたま飲んで、そのうち酔っ払って寝てしまうのに対して、欧米の経営トップは搭乗直前まで携帯電話で打ち合わせをして、シートに腰を下ろすやいなや、ノートパソコンで仕事をはじめます。

書類を読みふける人も少なくありません。同じビジネスパーソンでもあまりに対称的な光景だと思います。いつもお目にかかることだけに、強く印象に残っています。

「なぜそんなに仕事するんですか?」「家族との時間を大切にしてるんですよ。ここで処理できるものはさっさと片づけてしまえば、その分、家族と一緒に過ごせますから」なるほどなあ、と思いませんか?仕事はさっさと片づけて、家族と思いっきり楽しく過ごす。

これが彼らのスタイルなのです(それでいて離婚が多いのですから不思議です)。いずれにしても、やる時はやる、とことんやる、という集中力があるのです。

日本人はあくせく働きません。とくに人前であくせく働く姿は野暮だと考えています。では、いつあくせく働くのかと言えば、お尻に火がついた時です。

巷間言われているほど、わたしたちは勤勉ではないのかもしれません。

しかも能率は悪くてダラダラと、仲間とわいわいがやがやしているほうが、家族と一緒に過ごすよりも楽しいのかもしれません。

これだけの違いがあれば、それは朝時間の意識、使い方、活用法も大きく変わるはずです。

□ブレックファスト・ミーティングが常識

以前、ヨーロッパから某金融機関のトップがお忍びで来日したことがあります。名前を聞けばだれもが知っている人物です。

この経営者は在日中なんと朝から晩までフル回転でした。

わたしは知人の金融機関トップから頼まれて大手新聞社のデスクを同行しなければならなかったのですが、その時間がなんと朝六時。

これだけ早いと始発でも間に合わないのでタクシーで駆けつけましたが、到着すると、わたしたちは四番目の来客だったのです。

いったいどこの世界にこんなに朝早くからアポを入れる人間がいるのか、と驚くよりも呆れてしまいました。

「いつもそうですよ。このまま夜中までアポが途切れることはありません」まったく肉食育ちのDNAはすごいと感心したのですが、聞けば、ベジタリアンとのこと。

彼だけではなく、欧米のビジネスパーソンはたいてい朝が早いのです。とくにエリートは一〇〇%早起きです。

朝から顧客と商談をしているのです。これがお互いの常識なのです。

朝食をとりながら、モーニング・コーヒーを飲みながら商談するわけです。

これを「ブレックファスト・ミーティング」、「パワー・ブレックファスト」と言うのでしょう。

「パワーランチ」という言葉をご存じだ、と思います。ランチを一緒にとりながら、仕事や商談とか会議を進めるものです。多忙なビジネスパーソンの間で自然発生した仕事の進め方です。

どうせランチをとるなら仕事の話をしながら、というわけです。この朝食版なのです。

「明日の朝、ブレックファスト・ミーティング、どう?」「残念ですが、始発に乗っても間に合わないんで無理ですよ」片道一時間半では無理です。

通勤時間という事情もありますから簡単にはできません。しかし首都圏の億ションに住むエグゼクティブたちには当たり前の風景なのです。

たまには朝早く起きたり、前日から泊まり込んで、ホテルのコーヒー・ショップを覗いてみれば、テレビや新聞でしかお目にかからない世界の政財界の大物がコーヒーを飲んでいる姿に出くわすかもしれません。

□「朝型人間」ばかりがなぜ成功するのか

仕事柄、いままで三万人以上の経営者、ビジネスパーソンと会いましたが、全員と言っていいほど、成功している人は「朝型人間」です。

「毎朝一時間早起きして英語の勉強をした。会社から帰って寝るまでの一時間と決めていたらきっと続かなかった」これは楽天CEOの三木谷浩史さんです。

ハーバード・ビジネススクールの出身で、『成功の法則92ヶ条』(幻冬舎)という著書でも述べています。

サラリーマンたるもの、残業を命じられるかもしれませんし、同僚から酒の誘いもあるでしょう。

どんなに遅くなろうと毎朝、決まった時間に出勤しなければなりません。この時間を一時間早めるのは実はそんなに大変なことではありません。

わたしは朝4時起きになってから二十五年も経ちますが、もっと早く起きることだってできます。

欧米のエリートは朝4時起きで出社することなど珍しくもなんともありません。

彼が経営する楽天では、毎週月曜の午前八時、グループ社員を全員集めて朝会が開かれています。

全国のオフィス拠点に在籍する社員が朝会に参加できるよう、TV会議システムも用意されているそうです。

遅刻したら朝会が終わるまで入室禁止。全社員名札着用。整理整頓の徹底。しかも会議のあとは役員も新入社員も関係なく全員で掃除。

床に膝をつき、椅子の脚まで磨く徹底ぶり。これは社員数五人未満時代からの習慣だそうです。

部署ごとの朝会はメンバーが情報を共有化するためです。一日の始まりに今日の仕事のテーマを具体的に明確にするわけです。

「これがうまくできている部署は例外なく成功している」とのこと。同感です。

三十代で独立し、以来、十年間必死に走り抜き、ようやく株式公開にこぎつけた友人も、夜遅くまで飲んでいても必ず朝七時半にはオフィスで仕事をしています。

居酒屋で手帳を無くすこと十数回、めがねを無くすこと二十数回、ケータイを忘れること数えきれず。

社員からは呆れ果てられていますが、唯一、「おっ、なかなかやるな」と評価を高めるのがこの早起きなのです。経営トップとしての執念かもしれません。

□成功者の一日は早朝からはじまる!

いつも午後から重役出勤という経営トップならどうでしょうか?「早くあんな身分になりたいな」と考える人はあまりいないと思います。

「この会社、いつまでもつだろう?」と転職先を探し始めるに違いありません。今時、夜遅くまで遊んでいられる経営者はいません。

率先垂範。経営者は鏡でなければなりません。だれよりも知恵を出し、汗を出し、働かなければならない。そんな姿に共鳴して人はついてくるのです。

もちろん経営者ばかりではありません。

二十代三十代でも、成功する人、成果を上げている人はみな一様に朝が早いのです。

たとえば、営業マン。

わたしは本業が経営コンサルタントですが、顧問先を訪問するときはたいてい七時半には社長室にいます。

なぜこんなに早いかというと、その会社の経営トップが早いからです。ところが、わたしが到着する頃にはたいてい先客がいるのです。これがきまって営業マンです。

「じゃ、明日、契約書、届けますから、よろしくお願いします」自動車や生損保の営業マンや金融機関の人たちです。

いったい、彼らは何時から働いているのか不思議に思ったので聞いてみたことがあります。

「朝五時に来いと言われれば朝五時に来ますし、夜中の一時に来いと言われれば、その時間に伺います。すべてお客さん次第です」「フルコミッションなの?」「フルコミならもっと働きます。朝早く動けばそれだけ一日で先手を取れますからね」なるほど、これはよくわかります。

わたしも営業マンの経験が長いから実感できます。

わたしは二十六歳から三十三歳まで法人営業を担当していました。きついノルマ達成のために毎朝八~九時には先方のオフィスを訪問するようにしていたのです。

一日の訪問数を少しでも増やしたいから得意先の始業時間に合わせたわけです。

もし、いったん会社に出勤してコーヒーでも飲んでから、さあ得意先回りでもするか、というのでは、とてもノルマは達成できなかったでしょう。

営業マンにとって、朝、どれだけ早く動けるかがビジネスの成功あるいは失敗を決めてしまうものなのです。

□「朝型人間」のほうが仕事ができる!

それによく考えてもらいたいのですが、遅刻ぎりぎりで飛び込んでくる人間と、始業時間にはすでに仕事モードに入っている人間とでは、いったいどちらが戦力としてパワーがあるでしょうか?ぎりぎりまでゆっくりしていたからこれから頑張れる、と考える人はいないでしょう。

やっぱり、ばりばり仕事モード、という人がほとんどだと思います。

車ですらスタートの前にはエンジンをアイドリングさせたほうがスムーズにパワーが出ます。まして人間。機械以上に準備が必要だと思います。

「ボクは飲んだ翌朝、いつもより早く出社する人材を信用するね。ぎりぎり出勤など、信頼できないし、まして遅刻するくらいなら休んでもらったほうがよっぽどいい」という経営者は少なくないと思います。

精神が弛んでいる、やる気がない、という個人的な悪弊だけではなく、「良貨は悪貨を駆逐する」のたとえ通り、チームとか組織を蝕むことにつながっていきます。

たとえば、こんなケースが知人のアメリカの販売会社でありました。

営業マンの出社がどんどん遅くなるにしたがって、業績は下降線をたどっていったのです。出社が遅くなるに比例して帰りは遅くなりますから、トータルの労働時間にはなんら変化はありません。

しかし、「営業マンの出社が遅い」という事態を重く見た経営トップは乾坤一擲、こんな対策に乗り出したのです。

デジカメを用意して朝から職場を撮るのです。

八時、九時、十時、十一時、十二時というように一時間ごとに時間を区切って撮影し、その写真を社内掲示板に貼り出したのです。

こうなると、八時に出社している営業マンはだれか、九時はだれか、十時、十一時、十二時はだれかといったことが一目瞭然です。

これでいったいどうなったか?それまで出社が遅かった営業マンがどんどん朝早く出社するようになったのです。

それにしたがって業績は上向いていきました。出勤時間と業績には大きな正の相関関係があるのです。なぜでしょうか?

セールスという仕事は先手必勝です。朝が勝負なのです。朝、昼、晩、と全体で同じ時間だけ働けばいいものではありません。

朝どれだけ顧客と会ったか、どれだけプレゼンできたか、どれだ動いたかで業績が決まります。

ビジネスパーソンにとって、朝の失敗は午後には取り戻せますが、午後の失敗はその日のうちにカバーすることは難しいのです。

だから仕掛かりを早くすることがビジネスでは重要なのです。

□名物経営者が社風を変えた!

日本電産という一兆円企業があります。京都に本社をかまえ、創業者の永守重信さんはM&Aの仕掛け人としても注目されています。

新たに企業を買収して再建しようとしたところ、その従業員がまったく「朝型」ではなかったのです。

八時半という始業時間ぎりぎりに出勤。ロッカーで作業服に着替え、現場に出てくる時にはもう八時四十分。

それから工作機械にスイッチを入れると、寒い日などは十五分程度の慣らし運転が必要ですから、実質的に作業が始まるのは九時です。

この間、従業員たちはどうしているかといえば、煙草をのんびり喫っているのです。終業時間が近づくともっとひどいのです。定時の三十分前の四時半には機械を止めてしまうのです。

こんなことが常態化していたのです。業績が悪くなるはずです。

結局、実作業の前後で合計一時間のむだがあるわけです。

塵も積もれば山となる、です。

一日八時間就業のところ毎日一時間ずつ機械が動いていないのですから、生産性は少なくとも八分の一は低かったはずです。

つまり、通常の状態に変えただけでいますぐ八分の一は生産性が向上するはず。永守さん自身こんなことを話した、と言います。

「毎日出勤してくれ。出勤時間を十五分早めてくれ。着替える前に機械に電源を入れ、空き時間に掃除をしてくれ。五時まで作業をしてくれ。これだけやれば必ず黒字になる」もちろん、買収先の従業員は信じません。

そんな簡単に黒字になるならだれも苦労しないよ、と猛反発したそうです。

「騙されたと思ってやってくれ。

一年後に好転しなければ、早出分はわたしのポケットマネーで払うから」しかし今まで一度も払ったことはありません。

業績が好転しているからです。

□「朝型人間」になればこんなに得する!

朝は便利です。日本のみならず世界的にそうなのです。

たとえば、従来からホテルや喫茶店ではモーニング・サービスがありますし、料金自由化を契機にモーニング・フライト(航空会社の早朝割引)という制度もできました。

結婚披露宴でも早朝は大幅割引があります。

デフレ経済下を反映してか、スポーツクラブや語学教室もモーニング会員といった特別割引が盛んです。

朝の商談や打ち合わせ、会議はさっさと終わります。

アルコールが入らないから、「梯子」することもありませんし、なにより後がつかえていますから、さっさと話を進めないと滞ってしまいます。

結果、お互いに朝は意思決定が早くなるのです。大事な会議は始業前にしてしまうことも一理あります。

わたしの顧問先に不動産業を営んでいる会社があります。

株式公開を目前にしており、ここでは役員会議をほぼ毎日行っていますが、その時間は朝七時から八時半までなのです。

つまり、社員が出社する前に幹部は打ち合わせをしたり会議を行っているのです。

後がつかえているから、自然と時間通りに結論が出てきますし、なにより会議内容の密度が濃いと思います。

朝早くから会議をしているので少しでも生産性のあるものにしたい、という価値観を共有しているのです。

これに付随して思わぬメリットがもう一つあります。

翌朝も早いとなれば、前日の夜に無理することはありません。酒席も自然と控え、切りを早めます。

これは健康管理を考えるときには大切なことです。

早朝の電車は空いていますからラッシュ・アワーに遭遇することもありません。早朝会議はいいこと尽くめなのです。

「朝型」のメリットはたくさんありますが、整理すると次のような項目が浮かんできます。

  1. (1)仕事でも勉強でもスタートを早く切れる
  2. (2)アクシデントで中断しても、後で時間を取り戻しやすい
  3. (3)「朝いちばん」はアポが取りやすい
  4. (4)ラッシュ・アワーに遭遇しないで済む。
  5. (5)夜のつきあいはアルコールなど、コストが余計にかかる
  6. (6)早朝は何でも安い(逆に、夜は高い)
  7. (7)深酒や夜更かしなど、健康を害する機会が多い
  8. (8)テレビ番組でも、朝は勉強的な色彩が強い(夜は遊び、娯楽的である)
  9. (9)朝早く起きると一日が長い
  10. (10)朝は生産性が高い

「朝型」のメリットは時間がタップリあるということです。これがどれほど精神的にいいか、とくに時間の余裕は落ち着きを与えてくれます。

□「夜型人間」だからできること、できないこと

「朝型」のメリットはたくさんありますが、「夜型」はどうでしょうか?「夜型」のメリット(アドバンテージ)といえば、まず徹夜に強いことでしょう。

ぎりぎりのぎりぎりまで追い込まれている人にとってはメリットです。いざという時、徹夜で仕事をしなければなりません。

二十代の時、翌日提出する企画書ができず徹夜してしまったことは何回もあります。

法人営業をしていた時も、売上見込みがどうしても立たず、会社四季報を何度もチェックしながら対策を考えたこともあります。

「明日はプレゼンの本番」という時など朝まで何度もリハーサルを繰り返しました。

この時、朝は強いけど夜はからっきし弱い人はパワーが出ません。

午後九時を過ぎるとあくびで目がトロン。十時を過ぎると完全に頭も身体もすっかり止まってしまいます。

眠たくなったら冷水で顔を洗うか足に針を刺しながら仕事をすればいいのでしょうか?いや、そんなことはしません。

さっさと寝てしまうのです。いったん寝る。そして朝早く起きる。突発事故でも自分のリズムを崩さない。

「それで間に合うのか?」「寝過ごしたらどうする?」ご安心あれ。実は寝ながら考えるのです。

「どうすればノルマを達成できるか?」「ここにはあの話を入れたら面白くなるかも」という具合です。

何をすべきかということは寝ながらでも考えられます。実際の作業は起きてからすればいいのです。徹夜が得意なことなど自慢にはなりません。計画性の無さをさらけ出しているにすぎません。

□ヒトラーは夜型が原因で国を崩壊させた!

夜型でいつも思い出すのはアドルフ・ヒトラーです。ナチス・ドイツの総統ですね。

彼は睡眠薬を手放さなかったと言われていますが、そのシーンが『ノルマンディ上陸作戦』という英米合作人気映画にも描かれています。

アメリカを中心とする連合国軍側は起死回生の作戦として、フランスのノルマンディに軍隊を上陸させる作戦に出ます。

決行時刻は午前六時三十分。司令官はその後、トルーマンの後を継いで大統領に就任するアイゼンハワーです。

この作戦によって、それまで圧倒的に有利だったドイツ軍は決定的な敗北を喫し、その後、崩壊へと総崩れしていきます。

ヒトラーの大本営では午前五時三十分には、「フランスに連合軍が上陸する動きがある」という第一報を受け取っていました。

あなたならどうします?「すぐさま報告して判断を仰ぐ」これが正解です。ところが彼らはそうしなかったのです。

なぜでしょうか?帝国の崩壊へとつながるかもしれないのに、どうしてすぐに行動しなかったのでしょう?それは、ヒトラーが夜型だったからです。

側近たちは報告したくてもできなかったのです。

睡眠薬を飲んで、午前四時に愛人エヴァ・ブラウンとベッドに入ったばかりだったのです。睡眠薬で寝入った人を起こすことはできません。

友人の医師は乗り物全般に弱いのですが、海外の学会に出張するときは必ず睡眠薬を処方します。

その際、いつも覚悟を決めると言うのです。

「あとは運を天に任すしかない。何があっても効いている間は起きられないからね」ヒトラーも同様です。

側近たちもそのことはよく知っていたと思います。睡眠薬が切れる時間まで待っていたのです。映画でもこの場面はものすごく印象的です。

「一国の運命というのは、こんなにくだらないことで決められてしまうのか……」というセリフはいまだに覚えています。

結局、「連合軍上陸!」という重大情報がヒトラーに伝えられたのは、連合軍総指令部が侵攻作戦開始の公式コミュニケを発表したあと。

すなわち午前十時でした。時すでに遅く、これを知らされたヒトラーは錯乱して絶対に信じようとしなかった、と言います。

たしかに前夜のノルマンディは天候が悪くて、とても上陸できる状態ではなかったのです。この悪天候の瞬間を突いて敢行するように会議を導いたのがアイゼンハワーでした。

この作戦がヨーロッパの戦局に及ぼした影響は甚大で、敗北を宣言して、ナチス・ドイツの軍門にくだったビシー・フランス政権にとってかわり、シャルル・ド・ゴール率いる自由フランス政府が息を吹き返し、イギリスのチャーチル首相は快進撃を続けるのです。

歴史に「if」は禁物ですが、もしヒトラーが朝型ならば戦局はがらりと変わっていたはずです。たかが早起き、されど早起きなのです。

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