自身のエフィカシーを高めるアファメーション〜能力を引き上げ、行動を起こし、方向を正す技術〜

これまで見てきた″心理戦術″はいずれも強力な武器ですが、遅かれ早かれ、実際の行動に移らなければなりません。このセクションでは、頭と心の準備ができ次第、すぐに行動に移るべき理由を説明していきます。
第十一章では、行動を起こすことを中心に述べていきます。
今こそが行動すべきとき。完璧になるまで待つことはありません。小さな一歩を踏み出して、成長への原動力にしましょう。
機会を見つけ、それをつかみながら、同時に変化に抵抗しようとする力に打ち勝ち、怠け心を退けつつ進みましよう。
第十二章では、どうすればエフィカシー(自己効力感)を高め、コンフオートゾーンを広げられるのかを説明します。
ここで用いるツールは、あなたに″ふさわしい場所″についての考えを変えるための建設的な想像力です。
あなたは古いものでは満足できなくなり、世間のしがらみから逃れ、自分の成長を阻むものを排除し、機会が見つかる道を選んで進みます。
第十三章では、習慣化した思考や行動パターンを修正することを目指します。
自分にはできるとわかれば、もうほとんど勝利したも同然ですが、とはいえ、まだ克服すべき悪習慣は残っています。
回避的行動、恐怖心、正当化、気遅れといった望ましくない習慣を取り除くには、被害者意識から自由になって強い回復力を育てることです。
第十四章では、フィードバックの受け取り方、軌道修正のしかたを学んでいきます。
的確なフィードバックを得ることと、ただそれを受け取ることは違います。
否定的なフィードバックは緊張と不安のもと。
それでも、正しい連想力を身につければ、なじみのない状況での緊張や不安に対処できるようになりますc第十五章では、現状を打破し、コンフオートゾーンを広げることについて学びます。
自分のコンフオートゾーンから離れ、違和感を覚えると、元の場所、なじみのあるコンフォートゾーンヘと戻ろうとしがちです。
しかし、自分にとって「何が十分か」についての考え方を変えることで、より高いレベルで自分を制御できるようになります。
新しい状況のイメージに意識をなじませると、比較的たやすく前進することができます。
「あなたを導くアドバイザー」がそろっていれば、軌道から外れることはありません。
★行動を生み出す「スマートウォーク」とは?
行動を起こすこと。それこそ、自分と他者に対するリーダーシップのすべてです。あなたは自分の人生にすばらしいことを起こす能力を向上させる必要があります。
私はそれを「スマートウォーク」と名づけました。スマートなセルフトークの行動バージョンです。
一日中座って、達人の手腕を眺めるばかりでは、自分のパフォーマンスを改善することにはなりません。今いるところから腰を動かし、達人がしていることを自分も試してみようと思ったときに、はじめて成長できるのです。
十分な実力がつくまでスタートを待つことはありません。今いるところから出発して、向上していけばいいのです。
この章では、行動を起こすというステップを七つのスマートな行為に分けて、それらを習慣にできるようにしていきます。
〉一。自分のパフォーマンスを模擬体験する
数年前のこと、私はホノルル空港から満席のDCIЮ型機に乗り込みました。
飛行機が滑走路上で徐々にスピードを上げ、離陸まであとわずかというとき、突然、パーンという音が聞こえました。
左側の車輪がパンクしたのです。
機長は、機首を下げたまま機体を左に向け、滑走路を削るように三〇〇メートルあまり進んで、海に落ちる直前で止まりました。
乗客は安堵のため息をもらしました。機長から落ち着いた声でアナウンスがありました。
「皆様にご案内します。タイヤがパンクしたもようです」パンクだって? もう少しで死ぬところだったんだぞ!これほどの緊張にさらされて、機長はなぜそんなに冷静で落ち着いていられたのでしょう。
そのうえ、彼はきちんと仕事をしました。
運がよかったのでしょうか? 沈着冷静な人間に生まれついたのでしょうか? いいえ、もちろん、そのどちらでもありません。
習慣です。想定される非常事態に直面しても立て直せるよう、何度も徹底的にシミュレーションを行ってきたため、考えなくても対処できたのです。彼はただ、訓練で身につけたとおりに反応しただけでした。
パイロットはフライトシミュレーターで訓練します。実物大のコックピットの模型で本物の計器を使い、地上を離れることなく″飛ぶ″のです。
彼らはいくつもの「こうなったら、こうする」を学びます。状況を鮮明にイメージし、何度も練習を繰り返してごく自然に反応できるようになるのです。
しかし、パイロットが練習しているのは事故に遭うことではなく、状況を立て直すことです。
十分に訓練を積んで正しいイメージができれば、緊急事態が発生しても自分を信じて対処することができます。
危険を察知すると、シミュレーターで身につけた習慣が始動し、機首を下げて飛行機を滑走路上にとどめるわけです。
このように「想定される結果に対して計画的に準備をする」ことが、高パフォーマンスにつながります。
実際に取り掛かる前に、頭の中(シミュレーター)で何百回も目標を達成しておきます。
そのイメージを視覚化して潜在意識に習慣として組み入れておけば――ビジネスで起こる変化を予測したり、新しく建てる家を想像したり、想定される危機を予測したり― たとえば実際にタイヤが突然パンクしても、コントロールを保つことができます。
私たちの仕事でも同じことができます。私の場合、講演の前には必ず頭の中で予行演習をします。聞く人のことを考え、彼らの称賛できる要素を探します。
そうすると、聞く人に好意を持てるようになり、講演が待ち遠しくなります。前もって心の準備をし、ポジティブな気持ちで物事を想定すれば、どんな状況にも対処できます。
心の準備をしてポジティブな期待感を持って状況に臨めば、自然に成功するものですc将来をポジティブに見通すことこそ、影響力を持つ成功者が習慣としていることです。
彼らは結果を建設的なものとしてとらえています。頭の中で何度も繰り返したことを、実行に移して現実に変えています。
▼二。今すぐに始める。
好機を待っていてはいけないパイロットがフライトシミュレーターを使った訓練の際に、非常事態に対して手順を言葉で確認するだけで終わりにはしないように、あなたもアファメーションを口にするだけではいけません。
十分にリハーサルをしたら実行に移しましよう。時機到来まで待つことはありません。
どんなときも、今その瞬間が行動を起こすべきときなのですから。自分の能力が十分に発達するのを待っていてはいけません。今のレベルで行動を起こしましょう。そうしないと、いつまで経っても実行に移せません。
どのようなレベルにいても、どのような場所で仕事をしていても、あなたは社会の中で、家庭の中で、何らかのことをしています。
今直面している課題に逃げることなく立ち向かうことができれば、次にもっと困難な問題が起きたときにも対応できるでしよう。
私自身、二〇年前には今しているようなことをする準備はできていませんでした。現在の私と同じレベルになるまで待ちていたとしたら、スタートを切ることはできなかったでしょう。
当時の精一杯の力でとにかくスタートしましたが、それからは毎日向上していく必要がありました。
正直に言えば、今だって将来しようと思っていることを始めるにはまだ準備ができていないと感じます。これは、内面は成長させていく継続的なプロセスです。
日々の生活の中で態度や習慣、欠点を変えていき、とにかく行動を起こすことが、将来への準備につながるのです。
しっかり力がついて準備ができてから行動を起こそうと考えるのは間違いです。
今ここで行動開始するからこそ、進みながら向上していけるのです。大丈夫だと思えるところまで待つことはありません。あなたは日ごとに進歩しています。
強い意思と意欲を持って、行動を起こしてください。「実行を伴わない計画は自分に対する不正」です。自分に不正をはたらく人はたくさんいます。
自己啓発の講座に参加しては、「よし、あの講座に行ってきた」と満足し、文字を追っただけなのに「この本を読んだ」などと考えるわけです。
なんという時間の浪費でしょう。知識を持つだけでは不十分です。
大学には、知識は持っているものの、何年かけても少しも変わらない人があふれています。彼らはこれまでコミュニティの改善に貢献したことなどほとんどありません。
自分にできると思ってすらいません。どうやって行動を起こせばいいのかわからないのです。自分のしたいことに知識を応用すれば、物事を引き起こす力が増します。
知識を応用すれば、日々もっとよくなる方法が見つかります。大きな夢を持っていても、それを行動に移さないなら、成長することはありません。
アドバイスの言葉として、一つだけ言っておきましよう。大胆な野望に飛び込む前に、一呼吸おいて自分をその野望と一体化させよう。
何年も前のことですが、私は人に与えることで、人から受け取ることと同じくらい幸せになれると気づきました。
ダイアンと私には子どもがいなかったので、養子を迎えることにしました。その子がボニーです。生後ニカ月のボニーがわが家へ来た日、私はただボニーを抱っこしてリビングルームを踊り回っていました。
ボニーはそれほど大きな幸福を与えてくれたのです。彼女には何かを与えようという意図などなかったにもかかわらず。
養子縁組の担当者は私たちを与しやすいカップルだと思ったのか、ほかに三人の子どもを紹介してきました。
これで一気に四人の子持ちです。五歳と六歳と七歳の子どもだったので、いたずら盛りでした。私たちはコンフオートゾーンの外へ追い出されてしまいました。
通常は赤ちやんが新しい家に慣れるまで九カ月ほどかけるのですが、私たちは九日で手元に引き取りました。想像してみてください。
ドアの一つを針金でくくりつけているような、おんぼろのランブラーに家族を乗せて街を走っているところを。子どもたちはギャーギャー騒ぎ立ててけんかをするので、私たちは怒ってばかりでした。
それでも家に着いて、子どもたちが「パパの家だ、パパの家だ」と言うのを聞くと、この上ない気持ちになったものです。
子どもたちが来る前に乗うていたMG (*イギリスのスポーツカー・ブランド)やサンダーバードを運転していたときには、味わったことのない気持ちです。
ですから、重要な目標を立てるときには、そのイメージに自分をなじませる時間をとってください。次のステージに立つ自分の姿を想像し、コンフオートゾーンを徐々に調整していくのです。
▼三.有言実行
物事を実現させる力はどうしたら得られるのでしよう? 口にしたことをやり通すことによって、強さが生まれます。
あなたの周りにこんな人はいないでしようか。
「良い一日を」と言いながら、そういう気持ちのない人。「お会いできてうれしいです」と言いながら、関心を示さない人。
「また、ご一緒しましょう」と言いながら、一度も電話をかけてこない人c言葉の送り手であり受け手であるあなたが力を与えないかぎり、言葉自体には力がありません。
その人が何かをすると言えば、必ずそのとおりになると信じられる人がいます。同時に、何かが起きると誰かが言うのを聞いて、疑わしく感じることもあります。
同じことを言っても、その言葉を信用できるかどうかは、誰がそれを言うかによって変わります。
オーストラリアにいる私のビジネスパートナーのデニス・ホーガン(*著名ワイナリー「ルーウィン・エステート」のオーナーとして知られる)は、数々のベンチヤービジネスを切り回しており、彼の手にかかれば何でも成功するように思えます。
デニスとビジネスを始めたとき、彼が私たちのためにやってくれると言ったことは必ず守るとわかっていたので、安心して任せておくことができました。
デニスを訪ねたオーストラリアから帰国して、私はスタッフに言いました。
「デニスとの約束は、どんな犠牲を払っても必ず守ろう。彼が私たちの期待に応えてくれるように、私たちも彼の期待に応えなければならない」
あるとき、デニスに二十ドルの小包を決まった日までに送る約束をしましたが、郵送するのをすっかり忘れていました。デニスから到着予定の二日前に電話があって気づいたのです。
オーストラリアは一日進んでいるので、郵送では間に合いません。
有効なビザを持っていたのがダイアンだけだったので、彼女に四〇〇〇ドルをかけて飛行機で飛んでもらいました。
しかも、三度も同じことをやってしまったのです。四〇〇〇ドルは大金です。いつもそんなふうに仕事をしているとは思われたくありません。
でも、私にとってはそこまでしてでも約束を守ることが重要でした。私の言葉には力があります。
みんなをがっかりさせたくありません。事業が傾くことを望みません。
「私は約束したことを必ず守る。信頼を裏切ることはない」が私のアファメーションです。
ですから、するつもりのないことを口にすることはありません。言葉にするときには、必ずそれを実行しようと思っています。
私はしっかりしているときもあれば、そうではないときもあります。昔、ダイアンと将来の計画を練っていたときのことです。
「目標設定のことは、しばらく忘れたほうがいいと思う」とダイアンが言うので、いぶかしく思って彼女を見ました。
「もう少し健康管理に気をつけて体重を落とさないかぎり、将来したいことなんて忘れたほうがいいと思うわ」私は即座に返事をしました。
「わかった。もう言い訳はしないよ」。
六週間で一四キロほど減量したのはそのときです。
それまで十五年か二十年のあいだ、私は何度もやせるという言葉を回にしてきましたが、何の成果も得られませんでした。
するつもりのないことを言ってはいけません。そうすれば、パワーを失うだけに終わってしまいます。
言ったことが守れないと、物事を引き起こす力も創造力もなくなります。
結婚式で「誓います」と言い、その言葉を守ろうとすれば、それが力になって困難を乗り越えることができます。
アファメーションが効果を上げない、周囲で何も良いことが起こらないという場合は、その言葉はあなたにとって適切なものではなかったのかもしれません。
理想的なのは、たとえば「たばこをやめる」と一度だけ宣言して、それを実行することでしょう。何でもいいので一度だけ強い気持ちで宣言し、それを実行しているところを想像してください。
しかし、たいていの場合、私たちの言葉はそれほど強くはありません。一度きりのアファメーションがうまくいかないのはそのためです。
それでも、アファメーションのプロセスを通して、言葉を自分の期待するもの、信じるものと一体化させることはできます。言葉が自分にとって効果があれば、そこから力が生まれます。
〉四。機会を見つけ、逃さない
機会をとらえるには、まずそれが見えなければなりません。新しく意味のあることをイメージして、自分の周囲にたくさん転がっている機会に心を開きましょう。
見えないものは、つかまえられません。
眼力が鍛えられるにつれ、機会が訪れたときにとらえようという気持ちになります。機会を見つけてとらえると、人は成長します。
機会はいたるところにあります。自分でつくり出すこともできます。
しっかりしたビジョンと目標を持つと、明白な機会が目に入り、それをとらえられるようになります。ビジョンや日標が明確になると、多くの機会が向こうから飛び込んできます。
そうしたわかりやすい機会には、あえて注意しておく必要はありません。すぐ目の前にあるのですから。と言うより、機会のほうから肩をたたいてくることだってあるのです。
私たちパシフィツク・インスティチュート(弓すの「”o5のF∽」日けの)は、組織の使命として、機会を見極める能力について次のように定めています。
「すべての人は天賦の可能性を開花させる権利を持っています。私たちの指導を応用すれば、それぞれが自分の能力を認識して、成長と自由と優秀さを選択できるようになります。正当かつ適切な手段を用いてこの指導を提供していくことが私たちの使命です」
このメッセージは、私たちに必要なものは新たな機会を求める日とそれをとらえる手だと伝えています。
たとえば、私がときおり講演やセミナーの依頼を引き受けるのは、それが私たちの使命を達成するための機会につながることを知っているからです。
)五。前進するには失敗も必要
完璧にならなければと思うせいで身動きがとれなくなっている人がたくさんいます。失敗が怖いのです。
上司は「ミスしないように」と言いますが、これでは職場の空気が凍り、部下は動けなくなってしまいます。
「恥はかきたくない。ばかにされたくない。失敗は嫌だ。待ったほうがいい。安全が一番だ」。
私に何とかしてゴルフをさせようとする人が現れると、こう返事をすることにしています。
「どんなものかがわかるまで、やってみるのは待とうと思うんだ」もちろん冗談ですが、自分の潜在能力を使うには、態度を変える必要があるという例です。
応用のきかない指導はほとんど役に立ちません。
あなたは今いるところから目指す場所に向かって、小さくても確実に一歩一歩進まなければなりません。こうした小さな一歩の積み重ねによって、能力やエフィカシー(自己効力感)が高まるのです。何度も追体験して反復するほど効果が上がります。
あなたの内面は強くなり、前進しようという決意を持ち、あなたの目的や計画はさらに大きく深くなります。
私を含めた大勢が失敗の山の上に成功を築いてきたのです。マーク・トウェインが言うように、学校が教育に干渉するがままにさせてはいけません。
失敗こそが苦難から学ぶ学校です。
)六.正しい行動を体に覚えこませる
習慣とは、とくに意識しなくても自然に流れ出てくる行為をいいます。習慣になっていれば、いくつかの行為を苦もなく同時にすることができます。運転しながら話したり、食事をしながら呼吸したりといった具合です。
どうやって呼吸するか、どうやって食べ物を消化するか、どうやって車を運転するかなどをいちいち考えなければならないとしたら、逆に自然に行動することがむずかしくなるでしょう。
高校教師をしていたころ、私は自動車の教習を担当していました。おかげで髪がずいぶん薄くなりました。
オートマチック車でさえ、ハンドルの十時と二時の位置を握りしめて固まっている生徒によくお目にかかったものです。
次の段階のマニュアル車になると、今度はクラッチを使わなくてはなりません。足をそれぞれクラッチとアクセルに乗せなければなりません。最初はエンストを起こしてばかりでした。
しかし、二週間ほどの永遠とも思われる繰り返し練習を終えると、緊張で固まっていた生徒が時速六〇キロの区間を時速一〇〇キロ超で走るようになります。
しかも片手ハンドルで、空いている手をガールフレンドの肩に回し、ラジオを聞きながらバックミラーでハイウェイ・パトロールをチェックして、おまけに道行く女の子にも目を走らせています。
ほんの二週間前には駐車場から車を出すのもおぼつかなかったのに、どうしてこれほどまでになれたのでしょうか。
運転を潜在意識下に組み込んだのです。そうなれば、意識しなくても自然な動きが流れ出てくるのです。習慣の良いところは、行為が自然に流れ出るようになることです。
しかし、周りの状況の変化が早すぎて、設定したパターンでは行きたいところへ到達できなくなる可能性があります。
プログラムを変えないかぎり、ずっと同じ習慣が流れ出てきます。あなたのところで仕事をしている人を見てみましょう。
朝起きて、朝食や身支度をすませ、車に乗って会社に着き、エレベーターで正しい階に上がります。ところが、実際には一一時になるまで目を覚ましていません。
日課がうまく習慣になっているので、意識せずに毎朝の手順をこなすことができるのです。
しかし、するべきことが変わるとか、仕事の内容が変わるといったことで、いつもの行動パターンが崩されると、信じられないほどの混乱に陥ります。
決まったやり方で日課をこなす人の多くは変化を好みません。変化が起きると、精神的にも肉体的にも怠けていることができなくなるからです。習慣の中にはアップデートが必要なものもあります。
変化と成長を期待するなら、習慣を″今〃に通じるものにしておかなければなりません。
結婚生活の変化に合わせて、成長する子どもの変化に合わせて。
ビジネスの変化に合わせて、自身の欲求の変化に合わせて、私たちは習慣を変える必要があります。イメージの視覚化、アファメーション、日標設定を利用して、新しい反応の刷り込みを行うのです。
そうすれば、実際に変化に対応するときがやってきたときには、意識しなくても反応することができます。
)七。自分を偽らず、責任を引き受ける
シアトルのハイライン高校で教師をしていたころ、私は経営陣にとって厄介者でした。必ずしも正しいわけでもないのに、いつも自分の考えを主張し、校長や他の教員と意見が対立しても意に介しませんでした。
全員を前にして「この件に関しては、みなさんが間違っています」などとよく言ったものです。それは、教職の世界で未来を失う行為だったかもしれません。
それでも、私には他者におもねるよりも自分に正直であることが大切でした。今でも自分の会社のスタッフにこう言われることがあります。
「ルー、あなたは私たちのことなどどうでもいいと思っているような行動をとりますよね。入ってきたと思ったら、私たちがカッとなるようなことを言ったりして」
「怒らせようとは思っていないんだが、君たちがカッとなると言うなら、それはそれで仕方がない。腹を立てているときに、会社でいい人を装うつもりはないよ。私がそうするのを見たいかい?
私は自分に正直でありたい。たとえそれで友人としての君を、あるいはビジネスパートナーとしての君を失うことになってもね」
コーチング指導や講演をするとき、私は聞いてくれる人に対して誠実でありたいと思っています。
私のあり方と話していることとのあいだに矛盾がないようにしたいのです。意識して自分に正直になったり責任を負ったりすることはできません。
潜在意識下の自己イメージをくつがえすために意思の力を利用することはできません。現実のあなたと意思がせめぎ合うことになります。意思の力を利用するのは逆効果です。
誰しも自分の意思に逆らって、強要されたり無理強いされたりしたいとは思いません。
なぜ、意思の力や「しなければ」の強制的モチベーションを手放すことができないのでしょう? それは、あなたのしていることの大部分があなた自身の考えによるのではないからです。
つまり、「したい」「選ぶ」「好む」「大好きだ」という気持ちから発したものではないということです。
自分に対して責任を負えないかぎり、自分に正直にはなれません。「しなければ」の気持ちで動いているかぎり、責任感は育ちません。
「そんなことなら、私がやる」とは言わずに「できれば私はやりたくない。もっと能力のある人がいるだろう」と言ってはいないでしょうか?
自状すると、私もそんなふうに考えていましたから、あなたもそうだろうと思うのです。
「できれば私はやりたくない。これまでどこで失敗し、どんなミスを起こしてきたか全部わかっている。私に何をすべきか教えてくれる、誰か優れた人がいるはずだ」
そうかもしれませんが、このように考えてみたらどうでしょうか。
自分で自分の内面を探り、自分の将来を設計し、自分にふさわしい道を見つけ、人生から本当に得たいものを追い求めるのだと。
もうずいぶん昔のことかもしれませんが、子どものころには達成感を覚えた経験があるはずです。
はじめて一人で隣の家へ行ったときのこと、 一人でバスに乗って学校へ行ったときのこと、 一人で街へ出かけたときのことを覚えていますか? もし、自分で責任を持ち、自分で行動を起こさなければ、人生から得られなかったものがあります。
それは何でしょうか? 力です自分以外の人や周りの物事が動くのを待っていては、体は大きくなっても中身は子どものままです。
私は三十六歳になってようやくネクタイをきちんと結べるようになりました。いつもダイアンがやってくれていたからです。私たちは十六歳から付き合い始め、十八歳で結婚しました。
いつもダイアンが結んでくれたので、自分でできるようになろうとはしませんでした。ダイアンがいないときには、ネクタイを首に巻きつけて、中途半端な結び方をしていました。まったくばかげた話です。
それだけではありません。子どものころは、母が私のために肉を食べやすく切り分けてくれていたのですが、成人してからも同じことをしてもらっていました。
三十歳を超えても、母が夕食にやってくると肉を一口大に切ってくれるので、私は自分で肉を切る必要はありませんでした。
「母さん、自分でできるよ」「いいのよ。ほかの兄弟にもしてあげているんだから」母は善意でやっていたことですが、大人になってからも子ども扱いするのは、良い影響を与えません。
あなたは母親に家へ来てもらって肉を切ってもらいたいですか? 自分でやりたいですよね。でも、母親が強引であれば、母親のしたいようにさせてしまうかもしれません。
しかしそれは、自分の将来に責任を持つのを放棄することにほかなりません。何を望むかを決めるのはとても重要なことです。こう自分に言い聞かせなければなりません。
「母が私に何を望むかではない、上司が私に何を望むかではない。重要なのは周りの人が言うことではない。私自身が何を望むかだ」ダイアンと私がやろうとしているのは、まさにこのことです。
私たちは自分が何を望むかを選択し、決定します。そして、自分の決定から生じた結果に対する責任をとろうとします。これが自分に対して責任を負うということです。
中には責任を伴わない権力を求める人、説明責任を伴わない責任なら引き受けるという人もいます。
「昇進の件、お受けしたいです」「もちろん、責任も引き受けてくれるね」「いえ、責任が伴うのはちょっと……」「君が欲しいのはリスクなしで受け取れる報酬だ。残念ながら、そんなうまい話はない。リスクを負えば、損失が出る可能性がある。損失が出たらどうなるフ・家を売ってでも負債を返さなければならないかもしれない」「そんなことはしたくありません」「心から昇進したいわけではないんだな」自分がしたいと思うことをしましょう。
ただし、自分の選択や決断から生じた結果に対する責任を引き受けてください。人生とはそういうものです。
それでも、自由な意思を持てるのは、すばらしいことだと思いませんか? 鳥や犬や牛に生まれて、本能だけで生きるよりもずっといいとは思いませんか? 選択を迷うのはすばらしいことです。
未熟者と熟練者の違いは、物事の処理のしかたです。未熟者が処理するのはつねに未知の予期しない事柄であるのに対し、熟練者は事前に状況を把握して備えています。
まずはシミユレーターで、次いで実地で訓練し、成功するために必要な新しい習慣をプログラムに組み込んで備えています。
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