社長のポリシーを入れようにも、入れようのないのが税金の計算である。しかも細かい。
だから本来、本項でとりあげる実証作業は経理に任せておいてよい仕事だ。
しかし社長が運営基本方針を出したとき、全く見当外れな税金計算をしておいて、利益は
これだけ出るはずだなどといって、「だから素人は困る」などというのもまずい話である。
そこで、実際は経理の担当に指示するにしても、社長として最低限これだけは知っておいて
いただきたい税金の計算法について、実証作業に入る前にあえて説明しておくことにしよう。
一つは、税金は当期の税引前利益に直接かかるわけではない、という点についてである。
先に第五章で、税金には経費として認められる事業税と、認められない地方税。法人税等の
二種類があると述べたが、当期の経費として認められるのは、実は当期の事業税ではなく、
前期の事業税なのである。
税務署は、当期の税引前利益のうち、当期に立てた事業税引当金は経費として認めてくれ
ない。つまり、当期の事業税引当金は課税の対象になる。いわゆる課税利益に含まれるわけ
である。課税利益に含まれるのだから、これは税引前利益に加算して考えなければならない。
一方、前期事業税は当期の経費として認められるのだから、これを当期税引前利益から差し
引く必要がある。したがって、当期の課税利益は、当期税引前利益に当期事業税引当金を足
し、そこから前期事業税引当金(実際には事業税支払額なので若千異なる)を引いた金額と
いうことになる。これが当期の課税利益である。このルールをまず頭に入れておいていただ
きたい。
あとは、この課税利益に対して、先にも述べたように事業税が約一三%、法人税・地方税
等の納税充当金が約五〇%になる、ということを最低限の知識としてもっているだけでいい。
厳密にいえば、事業税も地方税もその地方によって違うし、法人税も同族会社と非同族会社
とでは異なってくる。さらに同族も、同族の非同族と同族の同族に区別され、扱いが違って
くる。それに、社内留保の額によっても税金は変わってくるし、また接待費の超過額はすべ
て課税の対象になるなど、いろいろ細かい課税のルールがあり、経理サイドからいえば今あ
げた最低限の知識だけでは正確ということにはならないが、社長はそこまで知る必要はない。
。当期税引前利益に当期事業税引当金を足し、そこから前期事業税引当金を引いた金額
が課税利益である
。それに対する事業税が約一三%、地方税・法人税等の納税充当金が五〇%
というルールを知っているだけで、社長の税金計算の知識としては十分だろう。
(注) もう一つ、予定納税として前年度の納税額の半分を翌年の下期に納めるという税
金の納め方に関するルールがあるが、これについては後に「資金運用計画」を検討
するときに説明することにしたい。
コメント