自身の嗅覚やアンテナによって、自分の判断を見直し、柔軟に速やかに変えていく。これも社長に求められる、とても大事な能力です。 朝は X案でいくと言っていたのに、夕方になったらやっぱり Y案でいくと言い始め、たちまち業務がふり出しに戻る……。そんな社長の朝令暮改に苦しめられたことのある人は少なくないでしょう。 そんな人でも、自分が社長になったら、朝令暮改をするようになるものです。下手をすると、〝朝令朝改〟することも……。 もっとも、私は、社長の朝令暮改は悪いことではない、と考えています。 朝に「現状のまま進める」と指示を出したとしても、昼に入ってきた新しい情報によって、「やはり変えたほうがいい」と判断することは経営において時には必要だからです。 一方で、社員からは朝令暮改と勘違いされているケースもあります。 たとえば、社長は「 Aをきちんと行なった後に、 Bをしよう」と考えているのに、社員には、「朝の時点では Aをやるぞと言っていた社長が、夕方には Bをやると言い出したぞ」と捉えられているのです。 こういったことが起きるのにも、構造的な理由があります。 社長と社員の間で前提となる情報に差があるにもかかわらず、社長は一から十まで全部を説明することなく結論だけを伝えると、社員は飛躍した結論だけを耳にして、両者の間で誤解が生まれてしまうのです。 これを防ぐには、きちんと情報共有をするしかないのですが、アップデートされる内容を含めすべての情報を社員に説明することはなかなか難しい。 そこで必要になるのが、社長の「翻訳機能」を担う存在です。信頼するキーマンに情報伝達役を担ってもらうのです。 社長は少なくともキーマンには、自分が今どういった背景で何を考えて、結論が変わったのかを伝えるようにして、トップのそばにいるキーマンは、発言の背景やプロセスを理解して言語化し、社員に行動してもらえるように伝えていくわけです。 キーマンが社長の翻訳機能としての役割を果たせれば、少なくとも社員から「社長は朝令暮改だ」と揶揄されることは少なくなるはずです。
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