創業初期の頃は特に、社長に近い経営視点を持つ「社長の右腕」として幹部社員を採用できると理想的です(*)。 会社が大事にしている価値基準を社長だけが体現していて他の幹部社員の行動に表れていなければ、必ず廃れていきます。そうならないためには、社長はもちろん、幹部社員もその価値基準に沿った言動を心がけることです。他の社員はその姿を必ず見ています。 時にはエキセントリックな社長の言葉を会社視点で翻訳し、「なぜそこまでやらなければいけないのかがわからない」という社員の不満を汲み取って、その意味合いをわかりやすく話せる。こういう人が社内にいると、スタートアップでも経営が安定し、目標に向かって突き進むことができます。 実際には、社員から不満が出たときに、率先して社長のやり方を否定する幹部社員は少なくありません。「たしかに、あそこまではできないよね」「無茶振りが多いよね」など、社員の不満に乗っかるわけですね。 しかし、そういうことを幹部社員が言っていると、次第に「社長対その他の社員」の対立構造が出来上がっていきます。 母親が子どもに対して、「うちのお父さんは本当ダメだからね、仕事もできないし、給料も安いし」とか、「なんでこんなお父さんと結婚したのかしら」と毎日吹き込むと、子どもはだんだんとお父さんが嫌いになりますが、これと同じ構造が、幹部社員と一般社員に関してもあるのです。 コアな人材がそれをやりだすと、あっという間に組織は崩れていきます。 人間には所属意識や生存欲求が備わっており、無意識のうちに自分のポジションやシマをつくろうとするものです。このような幹部社員が人としてダメなのかというとそんなことはなく、「会社の業績が思わしくない責任を、幹部である自分が負いたくない」から、その責任の矛先を社長に向けるしかなくなるのです。 そう考えると、幹部社員を採用するときは、一般社員以上に、会社の存在意義や価値基準に本当に共感してもらえているかをすり合わせることが重要になります。*パナソニックの松下幸之助氏と高橋荒太郎氏、ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏、ホンダの本田宗一郎氏と藤沢武夫氏などは、創業者と優秀な「右腕」の関係としてよく知られていますね。
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