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社長の基本④社長の交渉力―金融機関との上手なつき合い方

目次

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 資金に余裕があってもなくても 借入金融機関をもつ。

成功する経営者になるための条件は? 私の答えは、「必要なときに、必要なだけの資金をちゃんと借入できる」ことです。 第3章でも書きましたが、大事なことなので繰り返します。自己資金がふんだんにあ る。だから、利子のつくお金を借りなくても経営は維持できる……。あえていわせてい ただけば、これは前時代的な経営です。 現代の経営はむしろ積極的に金融機関とのパイプをつくり、資金繰りを円滑にし、ま た、事業の拡大。発展を目指すときの融資を得ていくべきでしょう。 一寸先はどうなるかは誰にもわかりません。無借金経営で順調に進んできていたとしても、取引先が倒産するというようなことが起これば納入先を失い、次の納入先を確保 するまでは収益源を失ってしまいます。 売掛金がこげっいて、キャッシュフロー不足におちいる可能性だってあります。 こうしたとき、初めて金融機関からお金を借りようとしても、そう簡単にことは運び ません。これまで無借金でやってきた優良企業なのだから、どの金融機関でもすぐに融 資してくれるだろうと考えているなら、あまりにも金融機関について知らなすぎるとい えます。 金融機関は財務内容がいいからということよりも、これまでの融資実績、そのときの 返済実績をもとに、次の融資を検討するところなのです。つまり、銀行は融資実績のな い企業には原則としてお金を貸しません。もちろん、どんなことにも初めの一歩はある ものですが、取引開始にはそれなりの手順と時間が必要です。 取引先の倒産、あるいは大地震など自然災害で突然営業ができなくなつた。そうした とき、当面のつなぎ資金を緊急で借りたいという必要性が起こります。無借金経営だと 懇意の金融機関がないので、相談する先がありません。 こういう場合に備えるためにも、ふだんから適正規模の融資を受けて金融機関との関係を保っているほうが、融通をきかせてくれる可能性が高いのです。 取引にあたっては、銀行もまた1企業であり、金融業務を通じて収益をあげ、生き残っ ていかなければならない宿命をもっていることを忘れてはいけません。 金融機関はお金を貸すのが商売。こちらはお金を借り、その資金でビジネスを展開す る。そしてその間の金利をきちんと支払い、約束の期限までにきれいに返済する……。 これが正しい関係です。この関係をきちんと守っているかぎり、金融機関と企業の関係 はお互いに同等の取引先同士という関係です。 金融機関側が上から目線で企業を見るのはもちろん、企業側がへりくだり、下手に出 るのも間違っています。いうまでもなく、こちらはお金を借りて、金利を払ってやって いるんだと思い、大きい態度をとるのはさらに間違った態度です。 あくまでも対等な取引先という態度で誠実に取引し、いざというときに親身になって くれる金融機関をもつことは、中小企業経営の生命線の1つだと、私は考えています。 ▼無借金経営はただの無知。 金融機関から適正なお金を借りているのがよい経営。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 身の丈に合った金融機関と取引している。

「取引銀行は〇●銀行」 年商が1億円に届くかどうかという規模の企業なのに、メインバンクに大手都市銀行 を選ぶ経営者がいます。大手銀行と取引があると誇示したいのかもしれませんが、実質 的にはこの選択はあまリプラスをもたらすとは考えられません。 金融機関取引の実情をよく知っている人間の目には、「見栄っばりな経営者だな」と 映り、かえって逆効果になる場合だってあるでしよう。 一口に金融機関といつても、組織やその成り立ちなどによつて違いがあります。 信用金庫は、地域の人が利用者・会員となつて地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、営業地域は一定の地域に限定されており、利益第一主義では なく、会員すなわち地域社会の利益が優先されます。 信用組合は信用金庫と同じ協同組織の金融機関ですが、預金の受け入れや運用が原則 として組合員に限定されています。信用金庫は組合員が優先されますが、限定はされて いません。 銀行は信金・信組と異なり、株式会社です。したがって、あくまでも株主の利益を優 先して経営されています。 銀行はさらに都市銀行、地方銀行に分かれます。 都市銀行は東京や大阪など大都市に本店があり、県庁所在地などに支店をおき、全国 展開しています。かつて日本には多くの銀行が乱立していましたが、バブル経済期に過 剰投資などによって急速に体力を失っていきました。また、不透明な経営実態なども明 らかになり、こうした事態を考慮した政府は1996年、金融制度改革を打ち出します。 その後、さまざまな経緯で金融再編成が進められ、現在では都市銀行は三菱東京UFJ 銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のいわゆる3大メガバンクとりそな銀行の計4行に集 約されています。地方銀行は第一地方銀行と第二地方銀行の2つに分かれます。 第一地方銀行は全国都道府県の大都市に本店をおく銀行で、地元地域の企業や住民を 対象に、地方金融の担い手として活動しています。 第二地方銀行はほとんどが相互銀行から転換した銀行で、たとえば東京スター銀行、 神奈川銀行、京葉銀行などがあります。 取引先として、自社の企業規模と金融機関のイメージを見ると、 。信用組合……年商数百万〜年商5億円程度 ・信用金庫……年商数千万〜年商10 億円程度 。地方銀行……年商数千万〜年商30 億円程度 ・都市銀行……年商30 億円〜 という感じになるでしようか。 中小企業が取引する金融機関としておすすめなのは、その地域を基盤にしている信用 組合・信用金庫です。 地域の商圏、商店街などに精通しているうえ、地元の商店会長などとも親しいので、 地域に溶け込むための人脈づくりに力を貸してくれるなど、融資以外にも協力してもらえる可能性も期待できます。 その地域を主要テリトリーにしている地方銀行も取引先候補として有力です。 いずれにしても、自社の企業規模に合った適正な金融機関を選び、よい関係性を築い ていくことが大事です。 ▼金融機関は企業規模に見合ったところを選び、 見栄や体裁で選ばない。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 3行以上の金融機関と借入取引する。

「借入先は何行ですか?」 そう尋ねると、「うちはまだそこまで大きくないので、○○銀行1行に絞っています」 と答える相談者はかなりおられます。 1行とだけつき合っているほうが、銀行に対して誠実だと思い込んでいるのでしょう。 前にもふれましたが、あなたの会社にとつて、銀行も取引先の1つです。たとえば原 料を仕入れるときなど、たいていは2、3社に声をかけ、相見積もりをとるはずです。 銀行についても同じです。1行だけに話をもちかけるのではなく、2、3の金融機関 にアプローチして、計画中のプロジェクトについて資金に協力してもらえるかどうか、

もちかけるべきです。いまは、どこの銀行も貸付先を求めています。それなりの手順を 踏んでいれば、門前払いということはないはずです。 都市銀行の地方支店のなかには、都心に本社を構える全国規模の大手企業の、その都 市にある支社や地方工場などをカバーすることを主目的に支店を出店しているケースも あります。こうした場合、工場閉鎖などが起こると、支店も閉鎖される恐れがあります。 また、大手銀行は転勤によりその地方で勤務している人が多く、その土地の出身者が 多いわけではないことも要チェック。何年かすると任地が変わり、せっかく育ててきた 人間関係がご破算になってしまうことがあることも考慮に入れておく必要があります。 一方、地域の金融機関の将来有望な若手行員であれば、しだいに昇格していき、いま では重要ポストについて融資の決定に大きな力をもつようになつている、そんなケース もよくあります。 1行取引のリスクの1つに、合併問題があります。現在、特に地方銀行に、再編成の 大きな動きが始まつています。もともと地方銀行は各地域に特化する態勢であったはず が、現在は64 行を数えるのが実情です(金融庁・平成29 年4月現在)。

しかも、地域産業の低迷もあり、融資は伸びていきません。しかし、地銀は地方経済 を支えてきた歴史があり、その存在が揺らぐとただでさえ疲弊する地方経済がますます 弱っていってしまいます。 そこで金融庁は地銀の合併を進めて経営基盤を強化していき、地域経済を支えるとい う地銀の機能を活性化しようと考えているわけです。 信組・信金はク狭域高密着″を掲げて地銀以上に地域に密着し、1軒ごとに小まめに 訪間を繰り返すなど、独自の活動を展開していますが、ここにも再編成の波はひたひた と押し寄せてきています。 合併することになったとき、取引銀行が吸収される側になるとその銀行は力を失い、 以前のように融資してくれない可能性があることも知っておくことが、経営者として大 切です。 借り入れたい資金額にもよりますが、私ならば、信用組合と信用金庫、地方銀行、都 市銀行という3タイプの金融機関に話をもちかけます。 それぞれからのリアクションを見ることで、経営者自身も金融機関とのつき合い方を学ぶことができるうえ、競合相手が存在することを知れば、金融機関のほうも緊張感を もって貸付計画を練りあげるでしよう。 こうした関係づくりを進めるうちに、しだいにメインバンクとサブバンクという住み 分けができてくるものです。 また、いうまでもないことですが、借入先銀行に入金口座をつくらないこと。経営者 個人の金融資産の預け入れ銀行ももちろん別の銀行にすること。万一、経営状態が悪化 し、返済が滞るようなことになった場合、入金をすべて把握されて運転資金にも困るよ うになる可能性を防ぐためです。 そんなこと、常識じゃないか、といいたいところですが、実際は多くの経営者がそれ すらわからず、1つの銀行に何もかも集約しています。あなたの会社は大丈夫ですか? ▼経営者個人の口座も含めて、取引金融機関は複数もつ。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 金融機関の融資力を示す 預貸率について知っている。

取引する金融機関は、ある意味で、あなたの会社の運命を握る存在になるといっても 過言でないほど、企業経営には重要な意味をもっています。 それはわかっている、しかし、金融機関はどこも表通りに立派な支店を構えていて、 外見だけではどこがいいのか選べない、と悩んでいる方もいるでしよう。 取引金融機関を選ぶ場合、 一般的な選択基準は、「有名銀行だから」「会社の近くにあ るから」というあたりでしょうか。 金融機関のク借入実績クを示す数値に「預貸率」があります。

金融機関の一番の収益源は、顧客から集めた預金を貸し出し、金利の差で利益を得る ことです。したがって、預金残高のより多くを貸し出しに回している金融機関のほうが 収益力は高いことになります。 「預貸率」は集めた預金のうち、どのくらいを貸し出しているかを示す数字です。預金 残高が1兆円あり、そのすべてを貸し出しに回していれば、預貸率は100%です。 とはいえ、100%貸し出しに回してしまうと、預金を引き出しにきた顧客に対応で きなくなるので、理屈のうえでは、預貸率は100%以下、80 %とか90 %というあたり がいいわけです。 しかし、昨今は消費者の将来不安から預金は増え、 一方、設備投資の冷え込みなどか ら貸し出し需要は伸び悩み、預貸率は100%を大きく下回っているのが実情です。 現在、全国の銀行114行の預貸率は平均で66 ・47 % (東京商エリサーチ 2017年3 月期決算)で、ここ数年、預貸率は年々低下傾向にあります。金あまり時代で設備投資 資金需要などが落ち込み、金融機関はどこも預貸率を高めなければならないと懸命に なつています。 これは借り手から見れば、融資を拡大する大きなチャンスだといえます。

各金融機関の預貸率などの数字はネット検索で簡単に調べられます。 預貸率はまた、その金融機関が貸し出しに積極的であるかどうかを示す目安にもなり ます。貸し出しに積極的な金融機関は預貸率が高くなり、反対に貸し出しに慎重な金融 機関は預貸率が低くなるわけです。 私は、預貸率が60 %を切る金融機関は融資に積極的ではないと思っています。 こうした金融機関と取引しても将来性はないので、私は最初からおつき合いしないよ うにしてきました。 ちなみに残りの預金残高は債券や株式で運用して利益を得るようにしています。各金 融機関がより効率のいい運用に奔る傾向が強まったこともあって政府は貸し出し需要を より盛んにするように促し、最近はようやく貸し出しを増やす傾向が見られます。 いずれにしても、これからは経営者自身がさまざまなデータを把握して、自社に最も ふさわしい金融機関を自ら選別する能力が求められている、といえるでしょう。 金融機関の選定で会社の将来も変わることを知っておいてほしいものです。 ▼データを集め、信用できる金融機関を自分自身で腰師朧暖瞑

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 金融機関への情報提供の仕方を 心得てじる。

仕事をスムーズに進められるかどうか。それはひとえにコミュニケーションカにか かっているといつても過言ではないでしょう。金融機関との取引も例外ではありません。 たとえば、″手ぶら″ではいかないこと。といつても、もちろん、菓子折りをもつていけ、 ということではありません。 新規取引の場合はもちろんのこと、追加融資の依頼などの場合も、金融機関がほしい のは、あなたの会社の経営実態を示すデータです。 金融機関は取引にあたつて、必ず、直近3年分の決算書の提出を求めます。それがそ ろっていなければ融資の検討さえしてもらえません。ところが、それさえ持参していない。もっとひどい場合には、決算書を1度も見ていない、基本的な数字も理解していな い経営者もいるのにはびつくりします。 銀行に限らず私のところに来るときも同じです。 私のところに来る方は、どこかに行き詰まりか、漠然とした不安を感じて来られます。 不安なら何が不安か、行き詰まっているなら、どこがどのように行き詰まっているのか。 そこをひも解いていき、対応策を考えていく。それが私の役割です。 コミュニケーションカというと、担当者とどう話すか、どんな言葉づかいをするかと いうようなことを連想するかもしれませんが―データ提供、とりわけ数字を示すことは コミュニケーションの大きな要素の1つだということを忘れないでください。 私も相談を受けると「ここ数年の決算書を見せていただけますか」とお願いします。 すると、「決算書ですね。はい、もちろん、用意してきました」と二つ返事で決算書 を差し出す方もいます。なかなか用意がいいな、と感心しかけると、肝心な書類が抜け ている場合や試算表だけ持ってくる方が少なくないのです。 経営者として知っておかなければならない数字や確認しておきたい情報がないと正しい判断を下せません。 経営者の最大の使命は、会社を倒産させないことです。企業は赤字になったからといっ て、すぐにつぶれるわけではありません。キャッシュフローがうまくいかなくなる。つ まり、支払いに回すお金が尽きたとき、会社は倒産するのです。 この1年は赤字だったとしても、そこからどうやって黒字に転換させていくのか、ま ず1年先そして3年先まで見据えて資金繰り表をつくって、キャッシュフローが枯渇し ないようにチェツクしていく、これは経営者の最大の仕事です。 景気は変動するのが常ですから、ビジネスがうまくいっているときにお金をためてお き、景気が下降し、ビジネスがうまく回転しなくなつたときに備える。これを内部留保 といいます。 内部留保は企業の純利益から税金、配当金、役員賞与などを引いた残り。会計上は「利 益準備金」といった名目で、貸借対照表にも計上しなければならない決まりです。 余談ですが、日本企業の内部留保金は2016年度でなんと406兆2348億円に 達しています(2017年9月1日 財務省発表)。これだけ儲かっているのに、設備投資や社員の賃金アップには回さない。実感なき好況の原因はこうしたところにあるわけです。 融資の話が一歩進んだ段階になると、金融機関はさらに、事業計画書、資金繰り表、 借入金一覧表などの提出を求めます。こうした書類から、その企業の借入金が多すぎな いか、返済が重すぎないか、というようなことを見ていき、そのうえで、「まだ、貸し ても大文夫か」を判断するわけです。 場合によつては、他の金融機関からの融資を自分の金融機関の融資に借り換えること を提案できるか、他行で融資や追加融資を断られてこちらに来たのではないか、という ような可能性をさまざまチェックし、新規の融資先とするかどうかを判断していきます。 融資を依頼するプロジェクトについては、借入返済計画書と事業計画書を用意してお きましょう。事業計画書は、なぜお金が必要なのかを論理的に説明するものであるとと もに、夢のあるストーリー性をもつものでないとダメです。 借入返済計画書には、いつ、いくらくらいの融資を見込んでほしいということを書き、 さらに向こう3〜5年の損益計画も書き添えます。こうした資料をきちんと整え、「自分の会社は融資を受けても返済がしっかりできる 企業だ」とアピールするわけです。 ここまできちんと情報を整理してある経営者なら金融機関側も高く評価し、融資が得 られる可能性は高くなるはずです。 金融機関は3月に本決算、9月に半期決算を行います。この両月は決算時の数字を上 げるために支店も営業マンも、融資を拡大したいと営業活動にいっそう力を入れます。 新規融資や追加融資を依頼するなら、決算前の2月、8月に融資を申し込んでおくと、 ふだんより融資が受けやすくなることが期待できます。 決算書と一緒に夢のある事業計画書を銀行に提出した経営者は、予定していた2倍の 融資が実現しました。プレゼンの仕方でこんなに違うものかとビックリした。こんなケー スもあるのです。 ▼必要なデータをそろえて出向くと、融資の可能性は数倍以上高まる。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 金融機関には、明るじビジョンを語る。

取引開始にあたつて、あるいは追加融資を依頼する場合にも、金融機関は細かなこと まであれこれ質問し、実際の数字などのデータ提供を求めます。決算書や事業計画書な ども納得がいかないところがあれば、容赦なく鋭い突っ込みを入れてくるでしょう。 問題はこのときの経営者の受け答え方です。決算書の数字をねつ造することは許され ません。でも、数字をどう解釈するか、そこから次の事業計画へとどう導いていくか。 数字の解釈は、実は経営者の意思しだいです。 水が半分になったとき、もう半分しかないという人と、まだ半分残っていると答える 人がいるように、答え方しだいで印象は180度変えられます。金融機関との受け答え にもこれと同じ発想が必要です。

暗い見通しを聞いて融資に前向きになる金融機関はありえません。そこで、表現を工 夫して、できるだけ明るいビジョンを描いてみせるのです。 明るい表情や勢いを感じさせる話し方など、金融機関とのプレゼンでは、演技賞もの のトーク、アクションが必要です。 かすかな光でも絶対にものにしてみせるという強い意志と熱意で語ることで銀行が動 き、融資の可能性がプラスに転じる。そうした例も数々経験してきました。 また、できるだけ誠実であろうとして、銀行に何もかも正直に話すことが一番だと思 い込んでいる経営者も少なくないようです。しかし、マイナス情報まで開示する必要は ありません。金融機関の担当者はあなたの会社のほかにも担当している企業がいくつも あり、それぞれの案件を通すにも稟議書を書き、会議にかけて……と多忙をきわめてい るのです。そうした相手に、この会社はうまくいっているんだな、明るい展望があるの だな、融資しても大文夫だなと思わせることができるかどうか。 そのカギはすべて、経営者の言動にあるといっても過言ではありません。金融機関に プレゼンをするときには、自信をもち、希望に燃えて事業内容や将来計画を語りましよう。

21世紀最高の経営の天才といわれるイーロン・マスクは、やりたいと思うことは、も うほとんど完成していると語って莫大な資金を集め、結果的にはイメージに描いたビジ ネスをどんどん推し進めています。このような感じです。 「なるほど―・】」の社長はすばらしい」「ぜひ、この社長が率いる企業に融資して、事業 の発展を見届けたい」。そう、思ってもらえるかどうか。最後はそこですべてが決まります。 金融機関は基本的には、事業データを見て判断しますが、それ以上に見ているのは社 長の言葉であり、行動です。 私は銀行員の前でウソをついたことはありません。でも、プレゼンしたことのうち、 実現できなかったことはたくさんありました。そのくらい最大級、最大限の可能性を自 信満々で語ったのです。 140億円の融資を引き出すことに成功した理由は、真摯なブレない経営姿勢と銀行 からの信用力、銀行が支援したくなるようなプレゼンカだったと思っています。 ▼銀行に必要以上のことは話さない。これも上手な銀行対策の秘訣。 第

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は プロパー融資と保証協会付融資の違いを 理解してじる。

具体的に融資の話に進んでいったとき、金融機関がもち出す融資には、プロパー融資 と保証協会付融資の2種があります。 「とにかく、お金を借りられた」と喜ぶ前に、2種の違いをちゃんと理解し、金融機関 側がもち出す条件などを慎重に検討しないと、あとで泣きを見る羽目になります。 プロパー融資とは、金融機関と融資先の間だけで行う融資のことです。返済されなかっ た場合のリスクはすべて金融機関が負います。もちろん、金融機関は担保を取るなどし てリスクヘッジを行います。

現在では、プロパー融資はかなり少ないのが実情です。バブル経済の崩壊期、多くの 融資が担保割れし、その結果、銀行の倒産が起こり、金融不安が日本経済の足元を揺る がせました。その後、金融庁が設立され、貸付しているお金について、厳しくチェック するようになったことなどから、現在では各金融機関とも、よリリスクの少ない保証協 会付融資を勧めるようになっています。 保証協会付融資は、信用保証協会の保証をつけて行う融資で、貸したお金が返済され なかつた場合は、信用保証協会が借入金の全部、または大部分を金融機関に支払います。 保証協会付融資は「中小企業支援を目的に」と謳つており、信用保証協会が保証をす ることによって、中小企業の融資が受けやすくなるというイメージがあります。 しかし、信用保証協会が行う「保証」はあくまでも、金融機関がリスクを負わないた めの保証であることに気づいてください。しかも、借り手は信用保証協会に対する保証 料を支払う必要があります。 金融機関にとってはノーリスクで融資できるところから、保証協会付融資を勧めてき ます。特にリスク回避のために中小企業に対してどんどん貸付をします。

しかし、金融機関が勧めたからといつて、安易に保証協会付融資に乗ってはいけませ ん。後にふれるように、返済できなくなり、負債の処理をしなければならなくなったと きに、保証協会付融資では復活の道がふさがれることがあるからです。 近年、リスクのない保証協会付融資が増える傾向が目立つことから、金融庁は金融機 関評価の要素としてプロパー融資を積極的にしているかどうかを取り入れました。そう したことから、今後はプロパー融資が拡大していく可能性があります。問題は銀行員の 企業を見る目利き力の低下です。 プロパー融資をしてもらいやすくするためにも、経営者は金融機関との信頼関係を強 化していく努力を欠かさないようにしましょう。特に中小企業では、それが企業存続の 決め手になるといっても過言ではありません。 ▼融資には2種類ある。 借り手に有利なのはプロパー融資。

会 社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 自社の返済能力を知っている。

返済能力は経営者がしっかり押さえておくべきこと。それゆえ、経営者の借入金に関 する最大の関心事は、どのくらいまでなら借入しても大文夫だろうか、ということで ヽしよヽつ。 債務償還年数、つまり、借入金の完済まであと何年かかるかを見た場合、5〜7年未 満なら「健全範囲」、 10 年を超えると「要注意」レベルです。どんなに長くても、 15 年 で返済できる会社の力をもつことが必要です。 毎年、そうムリなく返していける返済額の目安は、「年間減価償却金額+税引後利益」 です。 金融機関に融資の相談をもちかける前に、自分の会社の返済能力についてしつかり把握しておくこと。これは常識以前の話だといいたいところですが、実際はほとんどの経 営者がこれを怠っています。 実際、私の講演会で「自社の返済能力を知っている人は手をあげてください」と声を かけたところ、手をあげたのは1 0分の1程度。これが実情です。 仮にも融資を受けて事業展開をしていこうとする経営者が、これらのことを把握して いないようでは、金融機関もその経営者の話に耳を傾ける気持ちにはなりにくいでしよ う。事業計画を考えるときには、常に、返済能力と並行して考える姿勢を身につけるよ うにしてください。 ▼自社の返済能力の目安をしっかりおさえておく。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 安易にリスケしな観

返済がスムーズに進んでいれば、金融機関と信頼関係はどんどん高まり、融資の拡大 も図れ、事業は順調に発展軌道を進んでいきます。 しかし、どんな事業にもアップダウンはあるもの。もし、支払いが厳しくなってきた ら、税金、社会保険料、銀行借入、買掛金、などの順に支払いを遅らせていき、その間 になんとか打開の道を拓くように動く。これが破たんを先送りするための順番です。 私は、すぐれた経営者とは、どんなときもあきらめない人だと考えています。 そこでまず、金融機関に返済期間の見直しを願い出て、苦しい時期をしのいでいこう とする。これがリスケです。 リスヶとはり・スヶジューリング、予定の見直しのこと。金融機関との交渉ごとでいえば、融資の返済計画を見直すことをいいます。たとえば5年で完済予定だったものを 10年にリスケしてもらえば、単純計算では年間返済額は半分になる計算になります。 そうしたことから、会社や経営者の将来を考えない銀行や経営コンサルタントなどは、 安易にリスケをすすめることがあるようです。 しかし、金融機関と戦い抜いてきた私は、リスケは最も慎重を要することだと考えて います。 リスケをすると、元金の返済を減額するので返済額が減り、たしかに当面は楽になり ます。そこで、苦しくなるとついリスケに頼りたくなってしまうのですが、リスケには 企業にとって大きなリスクも伴うことを知っておかなければなりません。 まず、リスケをしている間は新たな融資は受けられません。さらに、当然の話ですが、 金融機関が会社を見る目が大きく変わり、リスケを申し出たときから、そう遠くない将 来、不良債権(破たん企業)候補として見られるようになってしまいます。 具体的にはリスケ後6か月、1年ぐらいで、自宅を担保にしてほしいとか、保証協会 融資の保証料を引きあげるなど、金融機関はさまざまな条件を付加してきます。こうして少しずつ金融機関に攻め込まれていき、リスケをしたばかりに急ピッチで追 い詰められていくケースはけっして少なくないのです。 実際、リスケから抜け出し、正常債権に戻る企業は、リスケをしている中小企業約 50万社のうちほとんどありません。 リスケ後のこうした事態も十分考えに入れて、明るくかつ確実性の高い経営改善計画 を立てて実行していくなど、戦略的なリスケをしなければ、リスケをするメリットは乏 しいことをしっかり胸に刻み、リスケの交渉にあたるようにしましよう。 リスケをするなら将来の再生の準備も考えたリスケ方法を取らない限り、将来の明る い兆しが見えないなか、ただお金を回しているだけになります。 ▼リスケのメリット、デメリットを天秤にかける。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は サービサーヘの対処の仕方を心得ている

金融機関への返済が滞り、返済交渉もうまくいかず、ある日、金融機関から「サービ サーに債権を譲渡する」という連絡が入ったとしましよう。 「サービサー(債権回収会社)」という言葉を聞いただけで驚き、萎縮してしまう経営 者も多いようです。しかし、サービサーは反社会的勢力が回収を行い、トラブルを起こ すことを防止する目的で創設されたもので、設立には法務大臣の許可が必要であり、恐 れる必要がある組織ではありません。 この処理を行うと債権はどう処理されるのでしょうか。 サービサーは金融機関から相当に安い額で不良債権を買い取ります。紙面上の解釈で はサービサーは債務者から、不良債権の買い取り金額を上回る金額を回収すれば利益が

出るわけです。 一般的には、債権額の5〜15 %ぐらいがその金額の目安だといわれています。仮に 1億円の債権であった場合、「500万円から1500万円払えばチャラにしてあげる よ」ということになります。5%か15%か、かなりの幅がありますが、これは債務者の 余力を見て、回収目標や回収額を変えるためです。いうまでもないことですが、サービ サーがいくらで債権を買い取ったかは極秘事項で、債務者は知ることはできません。 債権がサービサーに売却されたことを知ると、経営者はすっかり気落ちしてしまいま す。しかし、いまさら気落ちしても仕方ありません。金融機関への返済は滞り、債権も サービサーに譲渡されてしまった段階では、もう失うものは何もない状態にもっていく のが一番正しい処理方法です。 もう開き直って、再起に向けて、最善の策を講じていくほかに選択肢はありません。 法的には経営者はサービサーに対して、全額返済する義務はあるのですが、サービサー にも経営効率がありますから、できるだけ早く、取れるだけ取って手じまいしようと考 えるのが普通です。

それを逆手にとって、収入はない、財産もない、会社はあってもお金は入つてこない というボロボロの状況なのだと多少の演技も加えて伝えるのです。するとサービサーは、 このままでは相手は自己破産するかもしれない、いまのうちに取れるだけ取ったほうが 得策だと考え、安い金額で一括処理しようという方法を選ぶ可能性が出てきます。 140億円の負債から脱却する過程で、私もサービサーとのこうした交渉を何度も経 験しました。私はかなり巧みに不良債権処理を進められたと自負していますが、その陰 には、まさに演技賞ものの演技力をフルに発揮するという一幕もあったのです。 前に融資を受けるとき、保証協会付融資に頼りきるのは危険だといいましたが、それ はサービサー処理に関係しています。信用保証協会は信用保証協会サービサーに債権を 移すだけで民間のサービサーに債権を売却しないのです。 保証協会のサービサーは法的処理をしないかぎり債権を圧縮せず、債権者に少額返済 を延々と続けさせます。結果的に、その経営者は一生、再起の機会を得られぬままに終 わる……そんなケースが少なくないことを知っておきましよう。 また、最近ではサービサーの質が低下し、常識外の債権処理費を提示してくることが 多く、債権がサービサーに移った後もなかなか処理できないことが増えています。もともと、サービサーはバブル経済の破たん時に、経営に行き詰まった企業に再生の 機会を与えること、たとえわずかでも損金を回収することという2つの機能を担い、ま た、債権の回収にあたり、反社会的な勢力の関与などを防止するためにつくられた制度 です。同時に、金融機関が自行で債権処理をすると税務上損金として認められないため、 サービサーに売却するという、やむを得ない処理法でもあったのです。 しかし、最近のサービサーは回収のみに頭がいってしまい、企業に再生のチャンスを 与えるという本来の機能をまったく理解していないように思えます。 法制度を変えて、銀行自体が不良債権を処理しても損金として認められるようになれ ば、企業再生はもっとスムーズにいくはずです。中小企業の将来性のためにも、国はで きるだけ早く、制度の見直しを行ってほしいと願うばかりです。 ▼演技も加えてサービサーとの交渉を巧みに進め、 再生のチヤンスをつかむ。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 銀行に振り回されなL

金融機関から融資を受けると、金融機関は返済を滞りなくしてもらうためにさまざま な提案をもちかけてきます。 ここで注意しなければならないのは、金融機関は金融のプロではあるけれど、けつし て経営のプロではない。これをしっかり認識していなければならないことです。 銀行員、特に都市銀行の行員は一流大学を出たエリートが多く、地方の中小企業経営 者の目にはいかにも優秀に映り、彼らのいうことは「きっとすぐれたプランなのだろ う―」と思い込んでしまいがちです。 しかし、彼らは実際のビジネス経験があるわけではないし、まして、取引先の業界の実態をこと細かに知っているわけでもありません。また、机の上で練ったビジネスプラ ンがいかにもろいものであるか、現実に通用しないことがいかに多いかは、毎日、ビジ ネスの現場で戦っている経営者が一番よく知っているはずです。 金融機関との交渉にあたっては、実際のビジネスに関しては日々経営にあたっている 自分が一番よくわかっている! という自負と自信をもって臨むべきです。 万一、取引先が経営破たんに追い込まれれば、金融機関は損失を計上することになり ますし、担当者は大きな失点を食らいます。日本の社会、特に金融業界は敗者復活戦が むずかしい世界です。何よりも失点を恐れるのもよくわかります。 そうした裏事情もあるのでしょう。銀行が提案する改善案はほとんどの場合、不採算 部分は早急に切るとかリストラ案など、マイナス方向の″改善策″です。 運動会の綱引きを思い出してください。 一歩でも引かれてしまうとあとはズルズルと あっけなく負けてしまう。経営もそれに似て、いったんマイナス方向の改善案を飲むと、 ほぼ100%、あとは後退あるのみ。お先真っ暗の道をたどることになります。 金融機関のいいなりになる前に、どんなことでもいい、前に進む方法はないか、経営者を中心に、社員全員で知恵と汗をしばれるだけしばってみる根性が必要でしょう。 経営が順調に進み、滞りなく返済も進んでいる。こういう状態なら金融機関は何もいっ てこない、わけではありません。 何度も述べてきたように、金融機関はお金を貸すことが商売です。顧客から預金を集 めることも大事な仕事ですが、それはあくまでも貸付のための資金調達の手段であるこ とを忘れてはいけません。 お金を貸すことが主ビジネスです。したがって、この取引先は景気がいい、まだまだ 貸し付ける余地があると判断すれば、あれこれと新規の融資話をもちかけてきます。そ れらがすべて悪いとか、突っぱねるべきだというゎけではぁりませんが、金融機関発の 話はだいたい金融機関に都合がよい話である、と思っていたほうが間違いないでしよう。 それらの話をいちいち真に受けないこと。金融機関に振り回されるのではなく、経営 の主権はあくまでも経営者にあることを頭にしっかり入れておくことです。 ▼金融機関からの提案はほとんどが金融機関や担当者の都合。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 金融機関にすぐに返事をしなL

金融機関と経営者の関係はあくまでもイーブン、対等です。 お金を借りているから、あるいは借入を申し込んでいるからといつて、こちらがおど おどする理由は何ひとつありません。 融資を受けてビジネスができるのですから、たしかにありがたいことです。でも、そ の対価として金利を支払うのですし、担保を差し出すなどの条件を課せられることもあ ります。借り手は金融機関にとつて収益源、ク顧客″であるともいえるのです。 ところが、経営者のなかには、金融機関から何かいわれると二つ返事で応じてしまう 人が多いのです。何かを提案されると、その場で、「はい、それで結構です。どうぞ、 よろしくお計らいください」などと返事をしてしまいます。

どんな交渉ごとでも、即答は、そこで相手の提案をそのまま全面的に受け入れたとい うことにほかなりません。 どんなに好条件の話のようでも、「結構なお話をいただき、ありがとうございます。 いつたんもち帰らせていただき、幹部社員たちを交えて検討させてください」といって、 その場で返事をすることを避ける。これも対金融機関交渉術のポイントの1つです。 実際にもち帰り、冷静になってよく吟味・検討してみると、こちらの思いを汲み取っ た策のように見えて、その実は、銀行側がけっして損をすることがない契約条件だった、 と気がつくこともあります。 「特別な条件なので、いますぐお返事をいただかないと……」などといわれても、「1 日だけ時間をください」などとねばれるだけねばりましょう。 経営者はあなたなのです。最終的に決めるのもあなたです。自社の将来を左右するこ とに即答するのはあまりに早計です。できるだけ時間を引き延ばし、まわりにも相談し て、最終決断を下すようにしましょう。 ▼金融機関との交渉はねばりが必要。特に即答は絶対避ける。

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 人間的な魅力とつながりが大事。

人が生きていくことは、結局は、人間性、そして人間関係に行きつくのだ。これが数々 の辛酸をなめ、140億円の負債と戦ってきた私の実感です。 金融機関とのつき合いも例外ではありません。 お金の貸し借りについてはあくまでもビジネスレベルで進んでいきますが、ときには 酒を酌み交わすなどで、金融機関の方とも心が通じ合う関係になったこともあります。 こういう関係性は、やはりとても大事だと思います。 時代環境が厳しいこともあり、いまは金融機関の社員もノルマを背負っていて、融資 にしてもリスケにしても稟議をあげ、裁可されなければ動けません。それでも、「社長 の人柄には惚れていますから、全力を尽くして支援させていただきます」などといって

もらうとうれしいものでした。 いうまでもなく、いくら個人的に親しくても、組織人の1人である金融機関の社員に は、できることとできないことがあります。それでも、その枠のなかで人としての誠意 を見せてくれることもありました。 一例をあげれば、サービサーを使うという提案のときに、支店長自らが私の会社に出 向いてこられ、「どういう形になっても、当行は貴社の再建に協力しますから……」と いつてきてくれたなど。こうした場合には、経営再建への意欲がいっそうかき立てられ、 勇気を得たものです。 214 経営者の日ごろの言動も、金融機関とのつき合いに大きく関係してきます。 金融機関に融資を申し込む場合には、金融機関側も融資先の企業や経営者について調 べます。企業の経営状態はもとより、経営者の人間性についてもかなり詳しく調べるよ ヽつです。 たとえば、地域の商工会議所やJC (青年会議所)、ライオンズクラブやロータリー クラブなどや地域の祭礼、商店街のイベントなどにも積極的に参加しているかどうか。

こうしたことも、案外バカにならないポイントになります。地元にどのような貢献をし て、信用がどの程度あるかを確認していきます。 こうした活動とお金の貸し借りに何の関係があるのだろう、と疑間に思う方もいるか もしれません。しかし、地域で企業経営をする場合は、日ごろの経営者の言動から、地 域のビジネス界に根を下ろしている姿勢があるかを判断したりするわけです。そして、 それが意外なくらい大きな意味をもつものです。 「あの会社は、あの経営者は、この地域の経済の発展に欠かせない存在だ」という印象 をもってもらえるかどうか。 地域経済と積極的にかかわろうとする姿勢は、地域の金融機関からも好印象をもって もらえ、その後の取引にも有形無形のメリットをもたらすことも期待できるのです。 中小企業の経営は、つまるところ、経営者の意思と行動にかかつています。 ▼企業経営、金融機関とのつき合いは社長の人間性がカギ。

あとがきにかえて

倒産もせず、自己破産もせずに140億円の負債を完済するまでの8年間、よくも悪 くも、金融機関とはとことんつき合いました。 一口に金融機関といっても、あくまでも数字本位で押しまくってくるところもあれば、 基本はもちろん数字が大事なのですが、そこに、こちらの苦しさをおもんばかってくれ る心が伝わつてくるところもあり、かなりの温度差を感じたものでした。 私は大学生のころから父の会社の仕事を手伝い、特に金融機関担当を任されていまし た。それに続く140億円もの負債処理……。こうした経験を通じて、私は「金融機関 とのつき合い方、特に中小企業は金融機関とどうつき合っていけばいいか」については、 かなりよくわかっているほうだと思っています。 しかも、私の場合は私自身が心と体がボロボロになるようなつらい体験を経て得た知

識です。こういっては何ですが、オフィスに座って本やスクールで学んだ知識を振り回 している経営コンサルタントとはまるで違うと自負しています。 金融機関とのつき合い方についてはまだまだ語り足りないことだらけです。紙数の関 係もあり、本書では書ききれませんでしたが、『会社と家族を守って借金を返す法』『あ なたの会社のお金の残し方、回し方』(共にフオレスト出版)など拙著をお読みいただけば、 金融機関とのつき合い方をさらに詳しく知っていただけると思います。 日本には約580万社の企業があります(総務省統計局「経済センサス基礎調査」平成26年)。 ……正確には577万9072社、そのほとんどが中小企業だといわれます。従業員数 から見ると約30 %が大企業、残り70%が中小企業です。 日本の経済はかなりの部分、中小企業で成り立っているし、日本人の暮らしも中小企 業に大きく依っているといえるでしよう。 その中小企業が元気でなければ、日本の将来はない……。 ところが、日本の法制度は中小企業に不利なものが多いのです。加えて、中小企業の 経営者の多くは、仕事の腕はいいのですが、経営に関する知識やスキルはまだまだです。特に、金融機関とのやりとりに関して、あまりにも無防備。 借金を返済し終わった後、私が事業の再建ではなく、経営アドバイザーの道を志した のは、私の経験を中小企業経営のために役立て、日本の中小企業をもっと元気に復活さ せたい、その一助となれれば、という一念からでした。 そのために、これからも、できるかぎり、中小企業の経営者の力になっていきたいと 決意しています。 最後に中小企業を活性化させるために必要な制度改正を提示します。1日も早くこれ らが実現されることを願っています。

この制度を変えないと中小企業は活性化しない 【其の一】信用保証協会制度 ◎プロパー融資と違い、不良債権をサービサー処理できないから。 ◎信用保証協会制度を頼る融資制度により、金融機関の目利き力が低下する ため。 ※ 196 ページ参照 【其の二】破産制度 ◎約Ю年人生の失敗者扱いにされ、自虐観におちいらせ復活を阻むため。 ◎アメリカのように再出発をするための制度に変えるべき。 ※ 22 ページ参照 【其の三】サービサー制度 ◎本来は再生支援のための制度が、二次破たんを起こす危険が増すように なったため。◎直接銀行が債務カットできれば、債務者の負担も減るから。 ※2 04 ページ参照 【其の四】保証人制度 ◎第三者の保証人は基本的に認めないという曖昧な金融庁の通達で、実際は 立場の弱い債務者は融資を受けるために第三者の保証人を差し出している ため。 ◎はっきり代表取締役だけしか保証人になれないと法制化するべき。 借りたお金を返済するのは当然です。しかし自然災害や取引先の倒産、国際情勢、急 激な為替相場や制度改革、不可抗力などで大きなダメージを受けることもあります。そ のときに対応できるだけの体力のない中小企業は倒産に追い込まれます。 日本は借り手責任が非常に重いのです。アメリカのようにリセットさせて才能ある経 営者が再チャレンジできる社会のほうが、少子高齢化の日本では大きな経済効果を生む はずです。1度失敗すると2度と再起を許さない、いまの制度は間違っています。ぜひ再チャレ ンジが可能な社会(夢と希望のもてる社会)に変えていきたいと考えています。 最後に、私からプレゼントがあります。 本書を最後までお読みくださった方のなかで私の個別相談を受けたいという方に、60 分無料個別相談をプレゼントいたします。 次のページに詳細を掲載しておきました。

1000人を超す経営者と真剣に向き合ってきた経験か ら、私は「成功する経営者」と「失敗する経営者」はどこが 違うか、がはっきりわかるようになりました。 なかには経営者として知っていなければいけない、ごく基本的なことさえわ かっていない方が少なくないのです。 そこで、本書では、事業を成功させたいなら、経営者としてこれだけは心得て いなければいけないということを52項目にまとめて、成功する経営者になるた めの原理原則をわかりやすく説明しました。 「成功する会社は成功するようにやっているからだ」 これは経営の神様。松下幸之助翁の言葉です。 成功のための原理原則は基本的に、シンプルです。ですから、なかには、 「こんなことくらいわかっていますよ」といいたい方もいるでしょう。 でも、「知っている」「わかっている」ことと、「実行している」ことは天と地ほど 違います。「わかっちゃいる」けど実行していない、実行できないという経営者 は驚くほど多いのです。 私が、本書で目指しているのは、 「知らなかった」ことを「知っている」ことに、 「知っている」ことを「実行している」ことに変える、ことです。 成功への道はそこから始まります。 一 「まえがき」より

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