MENU

社長としてのバランスシートニつの押さえどころ

自社の体質。体力を知ることなく長期計画をつくっても意味がない。

前章までに、わたしは「長期計画は企業の実態、現状を把握することから始まる」と述べ

た。企業の現在の体質が、良い状態なのか悪い状態なのか、問題点はどこにあるのかなどを

知ることが、長期計画作成の第一の基本なのだ。

ところが、多くの社長はこの肝心の実態を正確にとらえていない。

たとえば、周囲を少し見回してみただけでも、将来の経営を非常に難しくするような資金

の調達を不用意にしている会社が意外に多いのが目につく。社長に方針がないために必要以

上の在庫を抱えて、事業の収益力を大きくマイナスさせているのに気づいていないとか、資

金が固定化されすぎて、万一のときにどうなるのか心配になるバランスシートにお目にかか

るのは珍しくない。こういう経営体質は絶対に直していかなければならないのだが、肝心の

社長が気づいていないのでは何をかいわんやということになる。目先の利益を増やすことよ

りもはるかに大事なことだ。

そこで社長として、過去のバランスシートから次の二つのポイントだけは、ぜひとも確実

に押さえておいていただきたい。

一つは、前にもふれたとおり、わが社は儲かる体質なのか、儲からない体質なのか、その

要因は何か、「わが社の収益をあげる実力」を社長として正確に知ることである。

もう一つは、万一のときにどの程度の抵抗力があるか、わずかの不渡りをくらってもおか

しくなるような虚弱体質なのか、ちょっとのことでは動じない体質なのか、「わが社の安全性」

についても、その実態を社長として正確に押さえておかなければならない。

この収益性と安全性の二つのポイントが、将来の計画策定の前提となるのだ。

もちろん、会社の体質は、いま述べたようにそう簡単に直るものではない。ある程度の時

間も必要だろう。だが、直した体質は、それ以後の会社の確実な発展のベースになっていく。

そのためには、バランスシートを先の二つのポイントからよくしていかなければならないの

である。

繰り返していう。将来は過去の延長上にある。現在は過去の鑑だ。それが軌道修正を加え

られつつ将来へと引き継がれていく。現在のマイナスは直ちに明日プラスに転化できない。

それは必ずどこかに無理が出る。車は急激に曲がれないし、急ハンドルは事故のもとだ。長

い歴史の中でつくられてきたマイナスは、 一定の時間をかけて修正していくしかないのであ

る。社長として最も大切な仕事のひとつは、将来に向けて計画的に企業の収益性と安全性の

二つの体質を具体的に改善していくことだ。バランスシートは、その根拠となる重要なツー

ルなのである。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次