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社長が判断できないなら

 ただし、重要な判断を常に社長自身がその場で下すことが、現実的に難しいことも多い。  例として、クレーム対応を考えてみよう。顧客からクレームが入った際にどう対応するかの判断は、専門部署にとっても簡単なことではなく、また、判断が非常に分かれる部分でもある。  そして、おそらく多くの社長が、自分はなるべく前向きな仕事で力を発揮したいと考えている。クレーム対応に代表されるような、どちらかと言えば後ろ向きの業務に関わると、前向きな判断に迷いが生じることがあるからだ。  一方で、担当者としては上の指示を仰ぎたい。なぜならトラブルになると、会社全体に悪い影響が及ぶかもしれないからだ。それに、クレームは緊急事態だ。いかに短時間で対応するかが肝で、いたずらに判断を先延ばしにすると、クレーム自体が大きくなりかねない。  こうした場面で社長が判断を放棄すれば、会社にとって致命的な事態を引き起こすかもしれない。では、クレーム対応は、常に社長が判断を負うべき業務なのだろうか?  それとも、やはり担当者の判断で解決すべきだろうか?  実は、どちらを選んでもメリットが少なく、デメリットが大きい。ではどうすればいいかと言えば、事前に対応策を用意する、という選択肢がある。要するに、あらゆるクレームを想定して、それが実際に発生した場合にどう対応するかを、社長と担当者とで相談して決めておくのだ。  ここで重要なのは、その対応策を決めるプロセスでは、社長と担当者が共に議論し、検討することだ。それぞれの役割と立場からの意見を出し合うことで、決定された内容には、社長の判断も担当者の判断も含まれることになる。それが、クレーム対応における判断の基準となる。  言ってみれば、「先に判断しておく(判断の時間軸をずらす)」のだ。クレーム対応などの後ろ向きの判断は、あとから行うと費用対効果が悪いケースが多い。時間が経てば経つほどリスクが増えて、負担が大きくなる。また、トラブルというのは得てして重なりがちだ。だから、絶対に早めに判断して早めに解決したほうがいい。そこで、事が起きる前に事前に判断をしておく、ということが重要になる。  また、このやり方は、あらかじめ用意した基準によって判断を担当者に委任する、ということでもある。クレーム対応のようなネガティブな業務だけでなく、ポジティブな業務であっても、同じように事前に判断基準を作って、判断を委任することはできる(判断の委任については、あとで詳しく述べる)。

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