成熟社会でも生き残れる会社ってどんなものでしょうか。 経済が右肩上がりであったときは、無難にやっていればうまくいきました。でも成熟社会になると、みんなで一緒に上がっていくことはできません。居場所を確保できる会社と、求められなくなる会社で二極化します。 残る会社は、独自性を持つ会社なのでしょう。そつのない無難な会社よりも、独特な存在になることがロングライフを実現しやすいと考えます。 ただし、独自性といっても、誰の目にもわかりやすい基準で勝負するのはしんどいものがあります。規模、立地、単純な技術力……。上には上がいます。 それよりも私ならば、個性で独自性を創ろうとします。 ミュージシャンにたとえるなら、高音まで声が出るとか、速く楽器演奏ができるといったところで勝負するのではありません。持ち味や雰囲気で勝負する感じです。「何かあの人の歌はいい感じなんだよなぁ」と、好意を抱くときってありますよね。 会社を一人の人間とみなし、そこに個性を見つけて育みます。 会社の個性はどうやって見つけ、育てればいいのか。 私は「社長の個性を会社の個性にしてしまう方法」をおすすめします。このやり方には無理がありません。何より、小さな会社だからこそやりやすいという面もあります。 私が関わった、社長の個性を会社に移植したケースをご紹介しましょう。 コンサルティングをさせていただいていたある墓石店がありました。 昔より墓石は売りづらくなり、価格競争に巻き込まれていました。そんな経緯もあってか社長は目先の利益にとらわれがちです。 私はもっと根本的なところから構築していかなければいけないと考え、自社の仕事の定義や事業コンセプトから固める提案をしました。 事業コンセプトなんて言われても社長にはちんぷんかんぷんです。 それでも私はコンセプトづくりのヒントを探し続けました。 会議のとき社長が「いかに現代の供養が間違っているか」「お墓に対する姿勢が間違っているか」と熱弁をふるいはじめたときがありました。これはよくあることで、一緒に参加していた社員は「またはじまった」という顔をしています。でも、私は何かを感じていました。(社長って、お墓への思いが異常に強いし、供養や宗教にもめちゃくちゃ詳しいし……) 思わず口にしました。「お墓の先生をやればいいんじゃないですか?」 この一言が突破口になりました。お墓の先生になるという事業コンセプトが見つかり、ここからサービス展開や顧客との関係性が大きく変わっていきました。 もうひとつ、別の、販促物の作成などをしていた会社のケースです。 先代の父親が健康問題でリタイアし、息子が新社長として指揮をとりはじめました。事業は老朽化した感があり、ここ数年売上は減少。根本的に仕事を見直さなければいけない状況です。やりたいことや、目指したい方向性はないか、私は新社長に聞きました。 すると「これからはエコの時代だから、云々かんぬん……」と。私には、どうも当たり障りないことを言ってとり繕っているようにしか感じられませんでした。 それでも何とか切り口を見つけようと、質問を続けました。「では、今まで仕事をしていて、一番グッと来たときは?」と聞いたときです。 新社長の目がキラリと光りました。「チラシの発注があったのですが、普通だったら到底間に合わないものでした。でも、『何とかしようぜ!』と社内のみんなで力を合わせて大急ぎで制作し、新幹線の最終便に乗って私がチラシを東京から大阪まで運びました。 チラシを手渡したとき、お客様から『おたくら、ここまでやるの!?』とあきれられました。この一言を聞いたとき、心底うれしくなって、体に電気が走りました」(新社長は、けっこう変わっている人かも……) でも、それがいいのです。個性は武器です。「ここまでやる!?」を合言葉に、会社は再び走り出しました。 06 生き残る社長は、自分の個性を会社の個性にする
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