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生き残る社長は新しいものに慎重で、潰れる社長は最新を追いかける。

事業主になった当初、私は、ずっと一見さん相手の商売をしていました。  利益率が高く、新規の案件はいくらでも獲得できました。そのため「顧客を組織化して、育てていく」といった取り組みを軽視して過ごしていました。  とても後悔しています。  もし、ちゃんと顧客情報を管理し、関係性のメンテナンスを続けていたら、今頃すごい顧客リストができていただろうな、と思うわけです。  小さな会社の場合は、やっぱりリピーター重視であるべきです。  京都の「一見さんお断り」の料亭のようなイメージが理想です。リピートしてくれるお客さんを大切にして、それで手堅く、長く続けることこそ美しい商売のモデルだと感じます。  小さな会社こそ、既存顧客に手間をかけるべきなのでしょう。  手間を嫌い、惜しんではいけません。  インターネットやデジタル技術が普及し、「既存顧客にかける手間を減らすべきだ」という論調に傾いている気がします。しかし、小さな会社だからこそ、その手間を許容するほうがよいと思うし、そこに勝機がある予感がします。大手が苦手とする世界です。  卸業を営んでいたある会社は、各地に営業所を作り、人材を配置していました。  特別に儲かっていたというレベルではなかったのですが、手堅く、ほどほどにやっていた感じです。  先代が亡くなり、その子どもが社長を継ぐことになりました。高卒だった前社長に対し、新社長は大学院まで進んで M B Aまでとっていると聞いたことがあります。  その彼が、自分の代になってすぐ経営の効率化に全精力を注ぐようになりました。無駄をとことん排除しようとしたのです。  新社長は、営業所の存在にも疑問を持ちました。「この時代に、わざわざ場所を作って、人件費をかけてまで人を置いておく必要があるのか。御用聞きのような営業スタイルもいらないのではないか」  各地の営業所の廃止を決断しました。  営業所の廃止により、経費が削られ、利益は大きく増えました。新社長の狙いどおりでした。  しかし、時間がたつにつれて、負の影響が現れてきました。客離れが目につくようになりました。会社が顧客のニーズを把握できていないことを露呈する場面も増えました。  営業所の廃止が失敗だったと判断するには、まだ早いのかもしれません。しかし、私としては悪手を打ってしまったような気がしています。  このあたりの判断は、実際難しいところで、やってみなければわからなかったし、いいチャレンジになった可能性もありました。  ただ、顧客に対する手間やコストはできるだけ許容してあげるのがロングライフ戦略です。よほどでない限りこの部分にメスを入れることは、見送るのがセオリーでしょう。  そういう意味では、新社長はことを急ぎ、慎重さを欠いてしまったと言えそうです。  かつて、下請けをしていた息の長い社長に質問したことがあります。「下請け業は嫌じゃないですか。発注元ってわがまま言うし、エラそうだし。そんな奴らにいいように使われるのって腹が立ちそうです」「まあ、嫌な奴らだよ(笑)  会社がデカいからって、自分がエラいと勘違いしてるヤツもいるからなぁ。  でも、頭下げて、とことん尽くしてあげればいいんだよ。  ウチはチャンスさえあれば、発注元の社員の仕事を何でも代わりにやってあげるようにしているの。そしたらどうなると思う?  あいつらは骨抜きにされてて、ウチがいないと仕事がまわらなくなるだろ(笑)」  思わず膝を打ちました。小さな存在でも生き残る術が、このしたたかさと老練さですよ。  みなが顧客に手間をかけたがらない今、あえて密接な関係に迫っていく逆張りの姿勢は、おいしい商売につながるかもしれません。 08  生き残る社長は、顧客に手間をかけてあげる

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