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生き残る社長は従業員の操作を断念し、潰れる社長はやる気を出させようとする。

「従業員にやる気を出させたい」  経営者であれば、こう思ったことが一度や二度はあるでしょう。この項では「従業員のやる気」について考えてみたいと思います。  そもそもどうして社長は、従業員にやる気を出させたがるのでしょうか。  従業員にやる気があれば仕事で優れた成果を出し、ひいては業績が上がる、という思考パターンなのだと思います。  では他人のやる気って、私たちが出させることができるのでしょうか。  こんな問いを自分に立ててみたら、答えに窮してしまいました。私なんて自分自身のやる気すらろくに操作ができません。ましてや、他人のやる気なんて……。  おそらく、やる気というものは直接操作はできません。「ここのツボを押したらやる気が出る」みたいにはいかないのです。  そうです。やる気というのは、結果です。  原因は別のところにあって、その結果がやる気として現れるのです。  やる気そのものは操ることができないとなれば、社長にできることは、まず従業員のやる気を奪うものをとり除くことではないでしょうか。  ここで、従業員にやる気を出させようとする社長の問題があぶり出されます。  相手にやる気を出させようとする姿勢には、「相手を自分の思いどおりに操作したい」という思惑があります。  ところが、操作されてうれしい人はいません。操作されてやる気が出る人もいません。  従業員にやる気という結果を出させるためには、社長のあなたが、人を操作しようとするマインドを手放す必要があります。  たとえば、スタミナドリンクを飲ませてテンションを無理に上げるようなやり方で、いっときだけやる気を出させることができるのかもしれません。  でも、そんなのは長続きしません。無理がない形をつくりましょう。  仕事の環境を整備し、従業員のやる気が出てくるのを待つことが王道です。  従業員がやる気を発揮することを妨げているものを見つけては除去したり、メンタルコンディションを整える仕組みをつくったり、といった方向性です。  やる気を引き出す仕組みづくりとして、成果報酬を考える社長は多いところです。  実際のところは、検討だけして「やっぱり、やめておこう」という結論になりがちです。社風や仕事のやり方が、成果報酬と合っていない場合が多いためです。  成果報酬に合う会社は、自分の成績を上げることにギラギラした社風で、個人の仕事の成果がわかりやすい場合だと思います。「給料さえ上げれば従業員はやる気を出す」と考える社長がいらっしゃいますが、この考え方は危険です。  給料は低いと不満になり、やる気を奪う原因となります。だからといって、給料が高ければ、従業員は満足してやる気を出すわけでもありません。  さすがに給料を上げた直後の従業員の満足度は上昇するでしょう。しかし人間は、すぐに慣れてしまう生き物です。お金で買ったやる気は長続きしません。  このあたりは心理学の世界では証明されているはずです。  最後に人事評価制度についても触れておきます。  公平性が失われることは、やる気を阻害する原因になってしまいます。そこで「わが社にも全従業員が納得する公平な評価制度が必要だ」と考える社長はあとを絶ちません。  ところが専門家を雇って策定したものの……「全然使いものにならない」や「面倒くさ過ぎる」という失敗におわったケースが腐るほどありました。  そもそも、人間を公平に評価することができるでしょうか。私には不可能だとしか思えません。不可能を追求したら、底なし沼にはまります。 34  生き残る社長は、従業員のやる気を奪うものを除去する

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