整理することのメリットは、誰もがある程度は認めているだろう。少なくとも、散らかっているのはあまりよくない状態である、というのは誰もが認識していることである。
もちろん、混沌こそが創造性や奔放さの源であると主張する人々がいることは承知しているし、そのような人々がいなくなることはないだろう。
だが、彼らでさえ、日常生活を振り返ってみれば、自分にとって意味のあることのほとんどについて、ある程度の秩序を確立しているものだ。
鍋やフライパンはキツチンかその近くにあるだろうし、歯ブラシは歯を磨く場所の周辺にあるだろう。
車のキーは、いくつかの限られた場所に置かれているはずだ。変化のスピードが速い現代においては、「気になるもの」が次々と押し寄せてくる。その量もどんどん増えてきている。
もはやそれらを頭の中だけで管理することは不可能で、なんらかの整理システムが必要である。
※自分の確立した外部システムで管理することが必要。
この整理システムを整備し、運用していかない限り、より重要な仕事に適切な注意を向けていくことができなくなってしまう。
※整理システムがないと重要な仕事に注力することができない。気になっていること(物理的・意識的)なことを思い出すなども判断能力を奪われる。また他の人と同じような考え方をしていないとうまく回せない。
電気で動く機械を見ればわかるように、システムが非効率的だとエネルギーは浪費されてしまう。電線や回路に不備があってどこかがショートしていれば、電流が最大効率で流れることはない。
ふと待ち時間が生じたときに、用事がある人たちにちょっと電話をかけられれば便利だろう。だが、そのときに電話をかける相手のリストがなかったり、電話番号がわからなければ、その時間を効率的に活用することはできない。
行動に必要なものがあらかじめ揃っていないせいで、その15分間を有効に活用する機会をムダにしてしまうのだ。
※整理されていることで、その瞬間に対応することができる。
外出するときに、次にとるべき行動のリストを持っていなければ、すきま時間を有効活用できる機会を逃す可能性が高くなる。
もちろん、場所や状況によっては、リス卜に書いておいたものよりも優先させるべきものがある場合もあるだろうが、あらかじめリストの整理をしておかないと、そのような選択すらできないのだ。
「整理」の本質を考える
「整理されている状態」とはどういう状態だろう。私が考えるに、整理されている状態とは、それぞれが意味しているものとそれが置かれている場所に違和感がない状態だ。
※この整理とは、5Sでいう整頓を意味している。それぞれのものが意味のある場所に格納されている状態。
仕事で使う資料が、オフィスで通常それらを置いている場所になければ、それは整理されていない。ゴミがゴミ箱以外の場所にあれば、整理ができているとは言えないだろう。誰かに電話をかけるというメモが電話ができない場所に貼つてあれば、やはり整理はできていない。
最小限の労力で整理を実現したいのであれば、自分にとって何らかの意味を持っているものを、すべて適切な場所に置いておく必要がある。
もちろん実際の「整理」の基準は人によって異なっている。他の人に自分の基準を押しつけることはできない。雑誌を捨てるかどうかの判断さえ、他人に任せるのは無理だろう。
逆に言えば、オフィスの隅に雑多なものが積み上がっていていかにも整理がされていないような状態であっても、彼にとっては「そのうち対処するが今は保留しておく」と判断したものかもしれない。
そうであればそれは「整理されている」状態ということになる。「きれいに整頓すること」と「整理すること」はしばしば同じ意味で使われる。だが、これらは必ずしも同じとは限らない。
身の回りがきれいに整頓されていても、しかるべきものがしかるべき場所にないことも多い。
同様に、まるできれいに整頓ができていないような状態でも、本人にとってはちゃんと意味のある場所に意味のあるものが置かれている状態のときもある。私のセミナーでは、このあたりを理解してもらうために次のようなエクササイズをよくやる。
会場に持ち込んだもの、とりわけ財布やシステム手帳、バッグや書類カバンを取り出してもらい、その中に、そこにずっと入れておくべきではないのに数時間以上入っているものがないか探してもらうのだ。もちろん、ほとんどの場合、そうしたものがいくつか出てくる。
古いレシートやチケット、切れたバッテリー、いろいろなことが書かれた紙切れなどだ(ちょっと信じられないものが入っているケースも珍しくない)。
イライラを増やす元になっていたものが、ここで少なくとも1つは明らかになったわけである。そんなとき、私はそのことを指摘し、それらが小さな声で「捨ててくれ―」とあなたに訴えていたものだと説明する。
このエクササイズをやると、このように本来別の場所にあるべきものが必ず何か見つかるのだ。
モノの意味と場所を一致させること自体はシンプルな行為だが、そのためには常にそれが何を意味しているのかを定期的に見直さないといけない。
※定期点検が必要。
物事の意味は、時が経つと変化してしまう。今日の新聞は、明日にはリサイクルごみになったり、焚き付けの材料になったりする。
したがって今日整理されている新聞は明日までにしかるべき場所に移動させなければ、ただ時間が経つたというだけで、整理されていないものになってしまう。
デスクの引き出しに入っているボールペンの替え芯は、ボールペンがあればそこに置いておく意味があるだろう。
だが、半年前にボールペンをなくしていれば、もはやシステムの機能を低下させるゴミでしかない。ちょっと神経質すぎやしないかと思う人もいるかもしれない。
確かに財布やデスクの引き出しがごちゃごちゃでも、人生や仕事に大きな支障が出ることはない。
つまるところ整理をどんなにきちんとやつたところで、状況の変化と共に必ず整理できていない部分が出てくるし、何事も常時完璧に管理しておくことは不可能だ。
ただ、わかっていただきたいのは、特定のカテゴリーのものをあらかじめ決めておいた場所に置いておけば、それだけワークフローがスムーズになって効率が改善される可能性も高まるということだ。
競技用のヨツトがきれいに片付いているのには理由がある。
優秀な選手はすべての船具や備品をきれいな状態に保ってきちんと整理しておくものだ。
海の上では他の場所と比べ、予想外のことが(しかもいちばん起こってはしくないときに)起こりやすいからである。
そのため、整理をしておかないと、大きな代償を払うことになりかねない。
私の書類カバンは、庭の物置小屋とは対照的に、常にすべてのものがあるべき場所に収まっている。そのような状態が保たれるように気を配っているからだ。
私の仕事は比較的移動が多く、飛行機で長時間すごしたり、空港で待ち時間がよく発生する。
私はそうしたときでもオフィスにいるときと同じように生産的な仕事をしたいと考えている。
そのため、私にとって移動デスクのような存在である書類カバンを、きっちり整理しておくことが欠かせないのだ。
※カバンの中も何を入れているか明確にしなければいけない。
前回の出張のときの領収書があちこちのポケットに紛れ込んでいたり、会議メモがフオルダの間に挟まつていたり、充電が必要な携帯電話のバッテリーが底に転がっていたら、わずかな時間とエネルギーのムダも許されない逼迫した状況のときに、スムーズに中のものを活用することができないだろう。
あるべき場所にあるものがそこになくて、必要なときにアクセスできなければ、それは整理が不十分だということだ。
※あるべき場所にあるべきものを格納しておく。
また、作った整理システムが必要以上に複雑で、必要なものを必要なときに参照できない場合も、やはり整理が不十分である。
整理の前に必ず意味を明らかにする
意味があいまいなものを整理しようとしても、うまくいかずにストレスばかりが溜まっていく。
当たり前のことだと思われるかもしれないが、ほとんどの人はこういう状態に陥っている。会議のメモなどはその典型だ。
私はクライアントが「この会議メモはどうしましょう」と言うのを何度も耳にしてきた。
そうしたときは「そのメモはあなたにとってどのような意味を持っていますか」と尋ねてみる。
すると、たいていは1つのメモに複数の意味があることが明らかになり、新しいプロジェクトや行動の見極めが必要になることもある。
あとで必要になったときに参照できるようにファイルしておかなければならない情報があったり、2週間後、他のタスクが終わつてから評価しなければならないデータが見つかったりもする。また、処分する必要のある、無意味なものが出てくることもある。
1件の会議メモにこれらがすべて含まれていた場合、整理しなければならないものは複数あるわけだ。
それらを、それぞれが意味するところに基づいて適切な場所に仕分けていかなければならない。
会議メモ自体は、そのままでは依然として「気になること」でしかない。メモをしただけでは、整理できたことにはならない。
収集は最初の大事なステップだが、それだけで管理ができたわけではない。
私はこれまで、会議の内容を記録したノートを引き出しや棚に大量に保管している人たちをたくさん見てきた。
そのように時系列に沿って出来事や情報を記録したものを、いつでも参照できる状態にしておくことにまったく意味がないと言うつもりはない。
だが、これらの会議の記録のほとんどは、いざというときの保険くらいの意味しかない。
これは本人がそれらの意味を明らかにし、しかるべき場所に整理することを怠っているため、万が一を考えてそのまま保管されているだけだからだ。
このようなシステムでは後々、トラブルが起こる可能性が高い。少なくとも、これらの情報はトビックやカテゴリーですぐに検索することができない。
記録された日時でアクセスするしかないので、お世辞にも便利とは言い難い。私がこれまで目にしてきたToDoリストや、整理のためのトレーや箱のほとんどについても、うまく整理できていないと感じるものが多かった。
意味がはっきりしないものを中途半端に並べたり分類したりしても、それは容れ物程度の役割しか果たしていないのだ。
次々と新しい整理ツールが出てきてはいるが、この点を考慮しないと本当の意味で生産性を高めることはできない。
便利そうだと思って購入したこうしたツール(見た日はスタイリッシュかもしれないが)をやたらと揃えたところで、うまく活用できなければ邪魔になるだけである。
日常レベルのことを管理する高度なシステム
整理のステップには、もう1つ興味深いことがある。
整理する対象が日常的なレベルのものであるほど、うまく管理するためのシステムは複雑でなければならないという事実だ。
※整頓する対象は、日常的なレベルで使用するものほど、1つ1つ決定していかなくてはならない。
後述するように、高いレベルでの「やるべきこと」を管理していくのは比較的単純な作業である。数自体が少ないし、新しいものが加わる頻度も低い。頻繁にレビューしたり参照したりする必要もない。
人生の大局的なプランや理想的なライフスタイルについては、いくつかのイメージや目標、アウトラインがあれば十分だろう。
だが、もっと下のレベルで関わっているすべてのプロジェクトや行動を細部にわたって管理していくのは、多くの場合、それほど簡単なことではない。
※抽象度が高いものは、見直しは少ないが、抽象度が低いものは見直しが多くなる。
一般的には、電話をかけるといったタスクや、買い物などの用事はあまりにも日常的な作業なので、整理システムも同じようにカジュアルで単純なもので事足りると思っている人が多いようだ。
だが、実際はその逆である。
行動レベルの「やるべきこと」は量が多くて変化のスピードも速く、カレンダーやTODoリストのように単純なツールでは対応しきれない。もちろん、それらが複雑すぎても実用的ではない。
けれども、それなりの複雑さを備えていないと、すべてのことを取り込んで、必要な部分に目を向けていくことができない。
GTDがしばしば「仕事のできる人が極めて日常的なことをさばいていくための高度なアプローチ」と呼ばれる理由も、そのあたりにある。
※GTDは整理・整頓システムであり、日常的なタスクを捌いてくためには、ある程度複雑で高度なシステムである必要である。それがGTDシステム。
整理のカテゴリー
本章の「整理」が前章の「見極め」と密接に関係していることは一目瞭然だろう。考えて意味を見極める作業と、出てきた結論を整理していく作業の間には本質的なつながりがある。
すでに見てきたように、「整理」するには、自分にとって何を意味するかを考えたうえで、それらをしかるべき場所に移動しなければならない。この原則は、個人にも組織にもあてはまる。
※個人だけでなく組織の運営でもGTDは必須。そしてその本質をちゃんと理解していることが重要。
自分にとって意味を持っている可能性のあるあらゆることをシステムに合わせて整理していくときに、まずはつきりさせないといけないのは、それらが「望むべき結果」「行動」「保留」「プロジェクトの参照情報」「参考資料」「ゴミ」のいずれに属するかだ。
望むべき結果
まずは「見極め」のステップであなたが明らかにした「望むべき結果」について整理していこう。これをどう整理していくかは、のちほど説明するさまざまなレベルで見渡していくといいだろう。
そうすることで生産性を一定の水準に保ちながらモチベーションを維持しつつ、望むべき方向に着実に前進していくことができるはずだ。
このセクションで紹介するのは、「望むべき結果」をさまざまなレベルにおいて分類していくのに便利な、典型的なサブカテゴリーだ。さらに細かく分けるかどうかはあなた次第だ。
例えば「プロジエクト」は、「プライベート」と「仕事」に分けたがる人が多いし、会社の目標と個人的な目標を区別したいと考える人もいる。
営業関係の人は、「○○クライアントのプロジェクト」という専用カテゴリーをよく作っている。
これは他のステップにも言えることだが、整理についてもバランスが大事で、どのあたりで妥協するかを見極める必要がある。カテゴリーは多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけない。
もちろん、パソコンを使っていて使いやすいツールがあれば、60件のプロジェクトをプライベートと仕事、精神的なものと物理的なもの、リソースを大量に消費するものとさっと片付けられるものなどにきつちり仕分けられるはずだ。
だが、仮にすべてのデータをスムーズに分類して把握できるシステムがあったとしても、新たなプロジエクトが現れるたびにどこにどう仕分けるかと考える作業は避けられない。
※見極めて整理するという作業が非常に重要。
そうなるとあまりに大量のカテゴリーがあった場合、システムに組み込むために必要な時間と労力がかかりすぎてしまうことになる。
では、「望むべき結果」のカテゴリーを具体的に見ていくことにしよう。
目的
人生や仕事の目的をきちんと明らかにした人は、自明であるものも含めて明文化し、定期的にレビューできるようにしておくと、いずれ役に立つ可能性が高くなる。
私はつい何にでも興味をもってしまうクセがあるが、もしあなたが私と同じタイプなら、基本的な方向性が書かれたものをいつでも確認できる状態にしておくと便利だ。
組織レベルの目的や方針についても、明文化してあれば同じようなメリットが得られる。とりわけ大きな変化や課題、好機に直面したときに役に立つだろう。目的を書いたものは、どこに置いておけばいいのだろう。結論から言うと、どこでもいい。
壁に貼ってもいいし、ノートに書いてもいいだろう。見たいときにいつでも見られるなら、どこでも問題はない。
価値観
企業の方針や価値観は、リストのかたちになっていることが多い。ふつうは壁にかけたプレートやポスター、ホームページなど、関係者や関心のある人がいつでも見られるところに掲げられている。
私たちの会社では自社サイトに載せているほか、幹部レベルの人が見られるデータベースにも「最高のパフオーマンスを発揮するために」として明記している。
行動の指針を示したシンプルな20項目強のリストだが、十分に目的を果たしている。個人レベルでも、抱負や信条を箇条書きにしておくといいだろう。
どのようなかたちでリストを維持するかは、書かれていることをどのように参照したいかで変わってくる。私は以前はインデツクスカードにそれらを書いて輪ゴムでまとめていた。
それを持ち歩いていつでも好きなときに見返していたが、今ではPCにリストを入れ、スマートフオンと同期させている。
構想
長期的な目標や夢は、どこにどのようなかたちで保持しておけばいいだろうか。これらについても、物理的なリストにしたり、パソコンの中に入れておけばいい。
視覚的に見渡せるようにしたい人はマインドマップを描いてもいいし、絵と文字のコラージュのようなものを作ってもいいだろう。
私はリストとマインドマップの両方を作っていて、PC上のソフトとリンクさせている。
目標とゴール
ここまで降りてくるとかなり現実的になってくるので、場合によつてはより具体的な内容に踏み込む必要も出てくる。
ただ、この高度(3000メートル)に10件以上のことがあつたとしても、比較的容易にリストや文書で管理していくことが可能だ。
個人的な目標がある人は、それを書いたものを今、どこに保管しているだろうか。会社におけるそれはどこを見ればわかるだろう。これらについては適宜参照できる状態になつていれば、おそらくそれで十分である。
注意を向けるべき分野
ここに分類されるのは、人生や仕事において「高い水準で維持されるべき」事柄である。このリストは、せいぜい「プライベート」と「仕事」の2つがあれば十分だ。人によつては1つのリストでもかまわないだろう。
あなたは、現在の仕事で任されていることのリストをどこに置いているだろうか。プライベートに関しても、定期的に確認しないといけない分野のリストがどこにあるか把握しているだろうか。
このレベル(高度2000メートル)で把握しておく必要があるのは、ふつうの人の場合、多くても20件程度だろう。
プロジエクト
ふつうの人は通常、30件から100件程度のプロジェクトを抱えている。ここで言うプロジエクトとは、1年以内に達成しなければならない、複数の行動ステップから成る事柄である。
85件のプロジェクトがあるという人も、1つのリストで管理することは可能だ。ただ、そこにはそれを達成するまでのプランや詳細情報、関連情報などを含めてはいけない。それらは別のカテゴリー(参照情報)に属するものだ。
このリストは、すべてのプロジェクトの一覧のようなものだと思ってもらいたい。このカテゴリーは少なくとも週1回はレビューすることになるので、1つのリストにしておくとやるべきことの全体像が見渡しやすくなる。停滞したり遅れたりしているプロジェクトにも気づきやすくなるだろう。
他の人に任せた事項
「望んでいる結果」の中には、他の人に任せて達成されるのを待っているものもあるだろう。このカテゴリーは、他の人に任せた行動を把握しておくのにとりわけ便利だ。
特に重要なものについてはリストを別に作ってもいいかもしれない。とりわけ、複数の大きなプロジェクトを別々のスタツフに任せていて、報告が上がってくるのを待ちているマネージャなどは、そうしたリストがあると便利だろう。
それらのプロジエクトに直接関わっていなくても、大まかな状況を把握しておきたいときにも役に立つはずだ。
行動
ようやく高度0メートルの地面に降りてきた。このカテゴリーでは、把握しておく必要のある物理的な行動を管理する。
「カレンダー」「できる状況のときに速やかに実行」「連絡待ち」の3つのサブカテゴリーがあり、それぞれがさらに複数のサブカテゴリーに分かれる。
このように細かく分けることで、人によっては大きくパフォーマンスが向上するはずだ。
ほとんどの人はこのレベルに150件を超える事柄を抱えているので、1つのToDoリストに入れておくよりは、より細かく分けたほうが管理しやすいだろう。「行動」のカテゴリーは、多くの人が悩みを抱えている部分である。
現代においては、把握しなくてはいけないことがたくさんあり、しかもものすごいペースで押し寄せてくる。ただ、ひとたび管理さえできてしまえば、順調に前進しているという大きな安心感が得られるようになる。
GTDを成功させるためのカギの1つは、人生において注意を向けるべきすべての行動をリストにしておくことである。
※全てのタスクをリストにしておくこと。しかも忘れないように外部システムに。
そこが、従来のToDoリストと大きく異なる点でもある。従来までのリストのように、1日にやるべきことだけを書いていたとしてもうまく機能しない。
そのような状態では、最新のものや目立つものにしか目が向かないだろう。時間があるときには、いちばんやるべきだと思うことを適当に選んでいても何の問題もない。
だが、私たちの世界は急速に変化しており、新たなことがとりとめもなく舞い込んでくる。そのため常に優先順位を見直さなければならないし、状況や時間、エネルギーが限られていることも多い。
重要なのはそのときに選択可能なすべての行動のリストがあらかじめ用意されていることだ。せっぱつまった状況のときに行動の選択肢から考えていたのでは高い生産性を発揮しているとは言えない。
そしてこのような行動リストを管理するには、それらをもれなく取り込んで機能させることができる、優れたシステムが絶対に必要だ。
気になることの意味を見極めるステップでは、すべてのプロジェクトや現在関わっていることについて次にとるべき行動を決めていく必要があった。
あまりにもたくさんの行動がリストに並んだのでたいへんだと思われた方もいるだろう。ここからは、そうして出てきた行動のリマインダーを効率的に分類していくためのサブカテゴリーを紹介していく。これらを利用すれば、必要なときに必要なものだけが目に入るようになる。
※行動のリマインダーしていくれるよいツールを見つける。
カレンダー
カレンダーは必要なことに注意を向けていくための最も基本的なツールである。ここには特定の日時にやるべき「次にとるべき行動」が書かれている。
他のタスクの大半は、ここに書かれていることをまず片付けたうえで調整していくことになる。
あなたも予定に関してはすでにカレンダーを使ちていると思うが、このツールにはほとんどの人が思っているよりもずつと大きなパワーが秘められている。カレンダーには、その日にやるべき「確定した」ことを書いておこう。
ほとんどはすでに決まっている出来事や情報で、それらに合わせて他のことが調整されていく。私が毎日真っ先に注意を向けるのはカレンダーで、ここからすべてが始まる。
カレンダーに書いておくと便利なことは「予定(特定の日時に行うこと)」「その日にやらなければならないこと」「その日に知っておくべき情報」の3つだ。
「予定」に属するのは、やることと時間が決まっていることだ。営業スタッフと午後3時30分に行う電話会議などがそれにあたる。
「その日にやらなければならないこと」はやることは決まっているが、時間が決まっていないものである。
例えば、宅配便の荷物が届いたか金曜日にクライアントに確認の電話を入れないといけない、といったものだ。
明日会議を開きたいので今日中にセツテイングを指示しておきたいが今はできないというときもカレンダーに書いておけばいいが、これも時間を決める必要がないのでこのカテゴリーに入る。
スケジュール管理ソフトなどの場合は、通常いちばん上にその日のイベントを書く場所があるので、そこにこのカテゴリーに属するリマインダーを入れておくといいだろう。
これらの2種類の行動―「予定」と「その日にやるべきToDo」は、毎朝最初にチェツクすべき事柄である。
それにより、他のことに費やす時間がどれだけあるかがはっきりする。
3つ目のカテゴリーは、「その日に知っておくべき(あるいは知っておきたい)情報」だ。
具体的には、その日に予定されている自分にとって意味のありそうな行事や、予定に関連した情報などである。
スケジュールソフトの場合は、その日の行事を書く場所にこれらの情報を書き込んでもいいし、予定に関連付けたメモのかたちにしてもいいだろう。
カレンダーには、この3種類しか書いてはいけない。
他のことを書いたり、書くべきことを書かなかったりすると、カレンダーが本来の機能を呆たしているという確信が持てなくなる。
例えば、その日に「できれば」やつてしまいたいことを含めてしまうと、スケジュールのどれが本当にやらなければならないもので、どれがそうでないのかをいちいち考えなければならない。
逆に3つのカテゴリーのうち、1つでも欠けてはいけない。そうなるとあなたの心はその不備をカバーしようとしつづけるからだ。
これらのルールを守り、カレンダーに書かれるべきことがきちんと書かれていれば、予定外の依頼や指示が舞い込んできても、何ができて何ができないかをその場で自信を持って判断できるようになる。
できる状況のときに速やかに実行
行動の大半は、やる日が決まっているものではなく、機会が訪れたときに速やかにやってしまいたいと考えているものだ。自分の裁量で使える時間があるときには、ここに書かれた行動リストから選んでやっていけばいい。この分野におけるカテゴリーは、状況別に分けておくと便利だ。
□電話
昨今は多くの人がこのリストを使っている。電話がかけられる状況のときにかけるべき相手をここに書いておこう。
ロパソコン
パソコンがないとできないことのリスト。メールや文書作成、ネット関連など。
□会社
会社にいないとできない行動がここに入る。ファイル整理や大型案件に関する書類の印刷、内容のチェツクなどだ。
□自宅
自宅やその周辺でやる必要がある行動がここに入る。電灯スイツチの修理、工具置き場の整理、リンゴの木の剪定など。
□どこでもできること
どこでもできる行動のリストがここに該当する。カバンに入れて持ち歩いている書類のチェツクなど。
□買い物・雑用
外出しているときに実行できる行動のリスト。クリーニングの受け取り、服の仕立て直し、新しいホッチキスの購入など。
□協議事項
特定の相手と話し合ったり、集団で協議する必要のあること。アシスタントとの協議、次の会議の議題、配偶者やパートナーと話し合いたいことなど。相手や会議ごとに複数のリストを作っている人が多い。
□読む/郭価
読まないといけないものは1つの場所にまとめておくとそれ自体がリマインダーになるし、時間があるとき(会議前やパソコンを再起動しているときなど)にさっと目を通すことができる。
連絡待ち
「行動」の3つ目のサブカテゴリーは、一見ささいながら、GTDの他の要素に負けないくらいストレスの軽減に役立っている重要なものだ。
ここには、自分以外の人や組織からの連絡を待っているものが分類される。
他の人に任せたプロジェクトのタスク、注文してまだ届いていないもの、誰かに貸したもの、上司やクライアントの返事を待っていることなどのリマインダーを置いておこう。
やるべきことの「次にとるべき行動」が、他の人に任せるべきものであることも多い。
その場合、あなたがやるべきなのは、誰に引き継いだかを把握し、バトンがいつ渡ったかを確認して、進捗状況を適宜チェックすることである。
カテゴリーのカスタマイズ
これまで何千人もの人々にこのような整理法を指導してきた経験から言うと、ここに紹介したようなカテゴリーをそのまま使えば成果は十分に上がる。
これは高校生でも、多様なプロジェクトを管理しているグローバル企業の幹部でも同じだ。
トップクラスの優秀な人々はもちろん、比較的シンプルなライフスタイルを送っている人でも、同様に恩恵を受けられることが証明されている。
ただ、意味するところに基づいてカテゴリーごとに分類するという原則が理解できている人なら、自分なりにアレンジしてもらってもかまわない。
1980年代前半に行動のリマインダーを状況別に整理することを思いつくまで、私はルーズリーフ式のシステム手帳を使うやり方を教えていた。
当時すでに、カレンダーに書いた以外の「次にとるべき行動」のリストを作って随時レビューすると便利なことに気づいていた。
やがて携帯電話が登場し、ちょっとした待ち時間に電話がかけられるようになると電話専用の補助的なリストを作り、他の「次にとるべき行動」と区別するようになった。
また、私の友人がGTDを取り入れてすぐに「ヨツト」に関する行動リストを作ることを思いついた。
彼は、やりたいことを整理するうちにメーン州でヨットに乗っているときしかできないことがあると気づいたのだ。
このような「気づき」がきつかけで、状況別に仕分けるという方法が誕生した。
1990年代にはパソコンを使ったリスト管理もできるようになり、行動を自分の好きなように分類することがさらに簡単になつた。これらのカテゴリー分けに絶対のルールはない。
管理すべきものの枠組みのうち、最も効率的でシステマチックなアプローチを反映したもの、というくらいに考えてはしい。
重要なのは、それぞれが自分にとって何を意味し、リマインダーをどこにどのようなかたちで置いておけばいいかをライフスタイルに合わせて考えることにある。
例えばうちの会社の技術責任者は、「何も考える気力がないとき」というカテゴリーを設けている。
彼は、頭がうまく働かないときでも何かをやつてそれなりの生産性を維持したいと思っていた。そこで、最小限の気力で実行できる手近なタスクをリストにしたのである。
思考力が落ちているときは、そこから行動を選んでいけばいいだけだ。頭が疲れているときは、簡単にできることを思い浮かべる気力すら湧かないことが多いので、実に理に適ったやり方と言っていい。
働く場所が2つある人は、「会社」を「オフィスA」と「オフィスB」といったリストに分けておくと便利かもしれない。
私と同じようによく飛行機に乗る人なら、「ネットにつながるとき」と「ネットにつなげられないとき」を別にしてもいい。
また、人によっては、いくつかのカテゴリーを合わせてしまったほうがいい場合もあるだろう。
特に、なじみのないカテゴリーが多くて混乱すると感じている人は試してみるといい。
例えば、自宅で仕事をしていてパソコンをほとんど持ち歩かない人なら、「自宅」「会社」「パソコン」を1つのリストにしてもいいだろう。
保留
頭に浮かんだりinlboxに入ってきたさまざまなことの中には、今はしなくてもいいものや、後で判断したいと思う行動やプロジェクト、アイデアなどもあるはずだ。
このようなものはとりあえず一定期間棚上げにしておいて、後日改めて検討するといい。この特別なカテゴリーは、さらに2つに分けることができる。
定期的にレビューしなければならないものと、特定の決まった日に思い出す必要があるものだ。この2つは、それぞれ異なるやり方で扱っていかなければならない。
定期的にレビューするもの
1つ目のカテゴリーは、定期的に再評価したいものだ。こちらはリストか容れ物に入れて必要に応じてレビューしていく。
例えば、近いうちにスペイン語の勉強を始めたい(ただし今週始めたいわけではない)という人は、そのアイデアをときどき見直しておきたいだろう。
「いつかやる/多分やる」のリストはこの手のリマインダーを入れておくのに理想的である。
そしてこのリストは、私が薦めている「週次レビュー」(見直す必要のあるすべてのリストを毎週レビューする習慣)を実践することで最大の効果を発揮する。
このリストには、さまざまなプロジエクトやトピックを入れておくことができる。私と同じように「長期的な夢」のサブカテゴリーを作れば、そこにかなりの量のものが入る人もいるかもしれない。
このカテゴリーに含まれるのは、例えば「死ぬ前にできたらいいこと」のリストなどだ。
「宇宙ステーションに行く」といった壮大な夢はもちろん、「熱気球に乗る」といったちょっとした願望(こちらは週末にやってみないかと誰かから誘われる可能性もある)のようなものを書いておくのもいいだろう。
より現実的なものとしては、プロジェクトリストに数週間入っていたが、状況が変化したのでしばらく保留しておきたいものなどがあるだろう。
ほとんどの人は、「いつかやる/多分やる」のリストにいくつかのサブカテゴリーを設けている。読んでみたい本、作ってみたい料理、行ってみたい場所、習ってみたいことなどだ。
使い勝手のいいリスト管理ツールを活用している人は、この種のリストで楽しみや可能性を広げていけるかもしれない。
私は、「次に○○に行ったとき」というリストを作って、特定の地域や都市を訪ねたときに立ち寄れそうな面白い場所を管理している。
他にも「執筆してみたいトビック」というカテゴリーも作つている。
ほとんどの人は、そこまでカテゴリー分けが必要なのかと思うかもしれない。
だが、私たちの社会が向かっている方向を考えると、さまざまな重みを持つタスクを分類して柔軟に管理していくためのシステムを持つことはますます重要になりつつある。
整備の行き届いたそのようなシステムがないと、どんどん複雑で曖味になっていく世界において状況をコントロールし、バランスを保つていくことは難しい。
そのためにも自分にあったカテゴリー分けに慣れ親しんでおく必要がある。
特定の日時に再検討したいもの
今行動する必要のないものの中には、将来の特定の日時に再検討したいものもある。このカテゴリーに属するものについては、通常のレビューとは別のツールが必要になってくる。
カレンダーや、特定の日に思い出させてくれる備忘録ファイルに情報を置いておく必要があるのだ。
あるいは、特定の日にリマインドしてくれるようにアシスタントに頼んでもいい。
何らかの行動を起こしたいと思っているものの中には、結論を出すまでに考える時間が必要で、とりあえず今はどこかに保管しておきたいと感じるものもある。
現状に照らしあわせて(あるいは直観的に)、今は条件が整っていない、十分理解できていない、判断する自信がないと感じるようなことだ。
このカテゴリーには、買うかどうか迷っている商品や、パートナー企業に、ある提案を持ちかけるべきかどうかの判断、メリットがあるかもしれないが判断するためのデータが不足している共同事業などが含まれる。
これらのプロジェクトは、いつ思い出したいかをはつきり決めておき、システムにトリガーを入れておくといいだろう。
私の場合、カタログを見ていて、気になるけれど本当に買うべきか迷うものが見つかったときには、備忘録ファイルに入れて2週間後にまた検討できるようにしておく。
それくらい経てば衝動買いの熱が冷めるからだ。
大きなチャンスが目の前に現れて、挑戦するべきか迷ったときも、再検討の日を決めてシステムにリマインダーを入れておく。それは2週間後かもしれないし、2カ月後かもしれない。
とにかく、決断すべきことのトリガーさえ置いておけば、それを必ず再検討することになるという安心感を持てるのだ。
しかるべきときに思い出すためにカレンダーを使うか、備忘録ファイルを使うか、アシスタントに頼むか、アシスタントと同様の役目を果たしてくれるアプリケーションを使うかは、自分がいちばん便利で使いやすいと思うものを選べばいい。
決めた日に確実に思い出せる自信があるなら、どんな方法でも問題はない。
プロジェクトの参照情報
プロジェクトやあるトビックなどに関して、行動したり考えたりするときに参考にしたい情報もあるだろう。そのような情報が大量にあるという人も少なくない。
プロジェクトの場合は、そのためのプランや詳細情報などがそれに当たる。
役に立つかもしれない関連情報―新聞や雑誌の記事、パンフレツト、関連サイトのリンクのほか、クライアントとやりとりした際の履歴や過去の文書などもあれば、ここに入れておこう。
このカテゴリーの情報は膨大な量になることもあるが、整理の境界は比較的はっきりしている。
テーマやトビック、プロジェクトごとに、ファイルやフオルダ、箱、ノートなどで管理し、チエツクしたいときにいつでもチェックできるようになっていればいい。
このカテゴリーで犯しやすいミスの1つに、本当は行動を起こすべきことなのに、意味を見極めることを怠って安易に参照情報のところに入れてしまう、というものがある。
行動を起こすべきタスクをファイルやフオルダで管理している人も多いが、それらを参照情報といっしょにしてしまうと、意味の違うものが混ざつてしまうことになる。
そうなると、それらについて瞬時にどうしたらいいか判断できなくなるため、いずれそれらにタッチしたくないという心理が働くようになってしまう。
参照情報はあくまで補助的な情報であり、行動のリマインダーを含めてはいけない。
プロジェクトについてはそれがちゃんと前に進んでいるかチェックするためにリマインダーをプロジェクトリストに入れ、プロジェクトに関わる行動は行動リストヘ、そしてその際に必要となる情報は参照情報へときちんと区別していこう。
これらをすべてしかるべき場所に収めてしまえば、整理システムが1つ上のレベルで稼働していると感じられるはずだ。
参照情報がワークフローの邪魔になることもなく、必要になったときだけさつとチエツクできるようになる。参照情報と参考資料には明確な境界線があることも覚えておくべきだ。
多くの場合は同じものだし、1つのファイリングシステムで管理可能ではある。
だが、プロジェクトの参照情報の場合は、定期的な評価が必要で、そのためのトリガー(すべてのプロジェクトの進捗状況をチェツクする週次レビューなど)が欠かせない。
今抱えているプロジェクトの参照ファイルは、参考資料よりも手の届きやすい目立つところにあったほうが便利なことが多い。
そしてプロジェクトが完了したり、優先度が低くなったとき、そのファイルを一般資料のキャビネットに戻すといいだろう。
参考資料
他のカテゴリーと比べ、収納するものが圧倒的に多いのが、「参考資料」である。
これらは行動を起こす必要はないが、将来役に立つかもしれないと判断したものだ。
個人や企業とのやりとりを記録したものや、特定のプロジェクトや周囲の環境に関する多種多様な情報まで、さまざまなものがここに入る。
特にそれについては行動を起こす必要はないが、参照できるようにしておくと役に立つかもしれないと思ったものは、ここにすべて置いておこう。
これらの資料は、必要なときにすぐに取り出せるようになっていればいい。このカテゴリーに関して起こりやすい問題は2つある。
1つは、行動を起こすべきものをいっしょに入れてしまうこと。
もう1つは、保管と取り出しがスムーズにできる合理的なシステムになっていないことだ。
解決のポイントは、前者については参考資料に関して必要な行動をすべて洗い出し、それらの行動の意味を見極めてしかるべき場所(行動リスト、プロジェクトリストなど)にリマインダーを置くこと、後者については資料の管理システムを定期的に見直し、改善していくことだ。
このカテゴリーは場合によっては、「一般資料」と「専門資料」に分けたほうがいいかもしれない(あまり神経質に分ける必要はないが)。
後者は仕事の内容に特化した情報で、契約関連、クライアント関連、経理関連のファイルのほか、料理のレシピなどがそれにあたる。
基本的にこれらの専門資料の意味は自明で、特に分類に困ることはないだろう。問題は、簡単に分類することができないような一般資料をどう扱うかである。
『はじめてのGTD』を書いた時点で、紙ベースで一般資料をファイリングするシステムが潜在的なボトルネックになっていることに私はすでに気づいていた(そもそもこのシステムがない人もいた)。
そこで、将来役に立つかもしれないさまざまな情報を簡単に仕分けて取り出せる状態を確立し、維持する方法について数ページを割いて説明した。
一般資料に属するのは例えば、携帯電話の説明書、気になっている商品のパンフレツト、名刺、また訪れるかもしれない外国の地図などだ。
この手の情報をきちんと整理して保管することに無意識に抵抗を感じている人は多いが、それを乗り越えられるかどうかが、成功するかどうかの分かれ日となる。
企業の幹部にこのやり方を指導しはじめた当初は、「あとでファイルする」の山を作るのも0Kということにしていた。
ただ、ずいぶん前からこのやり方は認めないようにしている。結局誰もあとでファイルする作業をしないからだ。
ファイルする必要があると判断しても、付箋紙に秘書へのメモを書いたり、ラベルを貼つて保管したりする数秒の作業が必要だとわかった時点で放置してしまいがちだ。
そうならないようにするコツは、ファイリングを60秒以内にできるように、多少なりとも楽しい作業にすることである。
ここはGTDで最も確実に恩恵が受けられる部分の1つなので、ファイリングのポイントについて改めて説明しておこう。
ごくシンプルで当たり前のことだが、これをやらないと、あらゆる情報や物理的資料や懸案事項がシステムの目詰まりをもたらす恐れが出てくる。
有用な情報を手早くファイルできる状態が確立されていないと、システムは確実におかしくなっていくのだ。
では、押さえておくべきポイントを箇条書きにしてみよう。
- A‐Zのインデックスがある1つのシステムに整理する。
- ラベルを使う。
- 新しいファイルを作って保管する作業が60秒以内にできる
- 引き出しに4分の3を超える量のファイルを詰め込まない。
- 楽しくファイリングができる使いやすいシステムにする。
- 少なくとも年に1度はファイルの大掃除をする。
集まる情報の範囲と量は膨大なものになる可能性があるが、それらを適切に整理しなければ、物理的、精神的な負担になっていくのは避けられない。
ゴミ
整理の最後のカテゴリーは、意味を明らかにする必要がないものだ。
自分に関係のないもの、必要のないもの、どうでもいいもの、無意味なもので、物理的、精神的なスペースを占有しているものがあれば、それらはすべてゴミである。さっさと処分してしまおう。
言うまでもないことだが、どれがゴミでどれがそうでないかを判断をしないと、コケやカビのようにどんどん物が溜まっていく。
忙しかったり、判断するのが面倒だという理由でゴミの選別をしないでいると、簡単にそのような状態に陥ってしまうだろう。
こうしたゴミを放置しておくと、物理的スペースや精神的スペースが浸食されていく。そうなるとあなたのシステムが効率よく働かなくなってしまう。
そのような状態になってしまったら、ゴミを捨てない限り機能が回復することはない。
ほとんどの人は、いざ人生と仕事の現状に向き合うと、周囲の空間や整理システムに放置しておいた無意味なものの多さを目の当たりにして、多少なりとも罪悪感や後悔の念を抱くものだ。
私も他の指導スタッフも、管理職のクライアントには、大型のゴミ箱を買ってオフィスのすぐ外に置いておくように少なくとも一度は薦めることになるのが通例だ。
きちんと機能する整理システムを作るには、まず大量の不要物を片付ける必要がある。また、保管した情報を定期的にレビューして適切に処理していくことも大事だ。
すでに述べたように、時が経つと物事の意味は変わってくる。自分にとって意味があるかもしれないと判断したメモを取っておきたいと思うことはよくあるはずだ。
そのときは、あとになればもっと重要になるかもしれないと思ったりもする。だが、翌週の半ばには、すでに古い情報になっていることも多い。
つまり、役に立つ可能性があると思って保管したデータは、定期的にレビューし、評価し直し、要らなくなったら捨てていかないといけないのだ。
賞味期限切れの不要な情報でシステムがあふれるようになってしまったら、システムを活用する気さえ起きなくなってくる。
これらは、今のあなたにとっては、絶対にやらなければならないことのようには感じられないかもしれない。
その辺にいくつか要らないものの山があったって別にかまわないだろうと思っている人もいるだろう。
けれども、意味するところに基づいて適切な場所に適切なものを置いておくというルールを破ってしまうと、状態はどんどんひどくなっていく。
そうなると何を収集して何を捨てるかを判断するのも面倒になってきてしまうのだ。
意識的に努力をしないと、整理ができていない状態はどんどん悪化していき、システムの機能はいちばん非効率な部分と同じレベルにまで落ちてしまう。
そしてあなたは、状況がうまくコントロールできなくなったことに気づくことになる。
これは特別なトラブルが起こったせいではなく、単に「気になること」が増えていった結果だ。
見極めと整理のステップを通じて意識的に状況を改善していかなければ、そのうち手がつけられなくなってしまうだろう。
「予防は最大の治療」と言われるように、あなたの整理システムの機能低下を防ぐには、ゴミを溜めないようにしていく必要がある。
常に整備されたきれいな芝生や床には、ガムの包み紙を捨てようとは思わないだろう。けれども、すでにいくつも包み紙が落ちていれば、もう1つくらいという気持ちになってしまう。
私たちの社会では創ることが重視される一方で、きれいにすることはあまり重視されていない印象がある。
宇宙は真空状態を嫌う。空いている空間があれば、その空間はほぼ確実に新たな物質で占有される運命にある。
そのことを決して忘れないことだ。
ロードマップで整理する
次に会議を行うとき、あるいは息子と話すときに、これらの「整理のカテゴリー」を紹介してみるといいだろう。
あるいは膨大なメールの処理について考えるときの参考にしてもらってもいい。整理が状況のコントロールにおいて大きな意味を持っているということが、あなたにもわかってくるはずだ。
※マニュアル化して一つ一つ高速に対応できるようになる。ひとつひとつのメールに魔ヒュアルを添付する。
誰かが資料として保管するべき情報を持ち込んできたとき、どのような点を考慮して、どこに保管すればよいだろうか。それらの情報には、プロジェクトにするべきことが含まれているだろうか。
※どこに保管して、どこに考慮して、どこに収納するか。
それらについてとるべき行動は何だろう。それらをシステムのどこに入れるべきか。今はとるべき行動がなくても、次の会議の前に検討すべきだろうか。
それは誰がどこで責任を負うべきものだろう。スムーズに実行していくためには、どこに整理するべきだろう。
これらのさまざまなことの意味を明らかにすることはもちろん重要である。けれども、判断の結果を仕分けてしかるべき場所に保管しておくことも同じくらい重要だ。
※まず意味をしっかり理解して整理する。
このステップを実践していくのに優れたツールが必要なことも明らかだ。ツールは個人と組織のそれぞれについて用意する必要がある。
それらは、リマインダーや整理するものを、カテゴリーの明確さを保ったまま安心して保管できるものでなければならない。
リスト、箱、トレー、フオルダなどは、いずれもそのような役目を果たすことができる。
さまざまなバリエーションや、実際の活用法については、19章であらためて紹介する。さて、整理ができたものは、当然ながら見直す必要が出てくる。
注意が向いたことを収集し、意味を見極めて整理しても、頭の外に追い出したそれらのことに適宜注意を向けていかなければ、せつかくやってきたことはほとんどムダになる。
※気になったことを収集し、意味を見極め、明確にし、システムに預けるまでが必要。そして定期的に注意を向けていくこと。
コメント