周りに振り回されるのではなく、自分がきちんと状況をコントロールしているという実感を得るための第一のステップは「収集」だ。このステップにおける基本は「今、何が確実なのか」を知ることだ。
ここでは、個人やグループが注意が向けていることを、意識的、客観的に集めていくことになる。また、この段階ではそれらを集めるだけで、どれに注意を向けるべきかはあとで考えよう。まずは、心に負荷をかけているものすべてを明らかにしてしまうことだ。
この最初のステップを行うだけで、すぐに生産性が改善されたという人も少なくない(人によっては驚くような効果を体感できるはずだ)。
あなたが関わっていることのすべてが、気が散る要因になったり、心理的なプレツシャーになったりしているわけではない。
そうでないものも無数にある。それらはきちんと管理できているものだ。
電灯がちゃんとつくとき、顧客窓口がきちんとした対応をしてくれているとき、子どもたちが学校で問題なくやつているとき、それらのことがあなたの意識に上ってくることはまずない。両親が不自由なく生活できているときや、心臓がきちんと動いているときも同様だ。
ところが、心のレーダーにそうではない何かが捕捉されると、それがきつかけでバランスが崩れる恐れが出てくる。
部屋が寒すぎる、喉が渇いた、姉から面倒なメールが届いた、新しく入れたフオントがうまく印刷されない、転職へのお誘いを受けた、といつたことだoこぅいったことはごく日常の中で起きうることで、ふだんは特に意識していなくてもそれなりに対処をしていける。
しかし何かがどうにもうまくいかなくて、放置されてしまったときに、それらはたいてい心の中に残りつづけ、意識の一部を占有してしまう。
少しでも心の中にモヤモヤするものがあれば、それに注意を向けて、どこかに書き出したり、何かに記録するという作業が必要になる。
紙にメモしてもいいし、ホヮイトボードに書いてもいい。ボイスレコーダーに吹き込んでもいいだろう(ただしその場合は、きちんとテキストに書き起こさない限り、意識の奥底にとどまりつづけるというデメリットがある)。
それらをリストに書き加えるか、メモに書いて書類受けに放り込んでおこう。どんなやり方でもかまわない。
とにかく頭の外に出して、すべてが簡単にレビューできる状態にしておくことだ。この収集のステップは、テームや組織単位で行うこともできる。
ただしその場合は、収集したデータを全員が共有できるかたちになっていないとならない。
収集すべきことを全員でどんどん挙げていき、誰かがそれをホワイトボードに書いたり、パソコンに打ち込んでいけばいいだろう。
心のお掃除
私は長年、この最初のステップのやり方を指導してきたが、最も基本的で漏れがないのは、私が「心のお掃除」と呼んでいる方法だ。
GTDのワークフローをマンツーマンで指導するとき、最初にやることは、気になることをすべて洗い出して収集することだ。
このプロセスは『はじめてのGTD』でも解説したが、やることは単純である。
人生や仕事において、何らかの理由で現状から変えたいと望んでいるものすべてを明らかにし、書類受けに放り込んだり、リストに書き出したりする作業だ。
私たちがクライアントとこのプロセスに取りかかるときは、単純に身の回りにあるものからチェックしていく。
デスクの上、下、中、周囲に何があるかを調べ、棚、キャビネット、引き出し、ファイル、クローゼツト、書類カバンの中身を見ていく。
さらに、壁、コルクボード、ホワイトボードなどもチェックする。備品、装飾品、資料、オフィス機器以外のものはすべて、見直していく必要があるものだ。
いずれもあなたの集中力を削ぐ原因になりうるものだからだ。
実際、隅に壊れたプリンタがあつたり、壁に取り替えるつもりの写真やポスターがかかつていたり、ガツトを直さないといけないラケットが隅にあつたりする。
もちろん、書類や雑誌や郵便物の山、あちこちに散乱したファイルやバインダーなども見つかる。いずれもその場所にずつとそのままあるべきものではない。
私たちは集めたものに関していちいち指図したりせず、クライアントにはただ「これは気になりますか」とだけ訊いて自分で判断させる。
もちろん初めのうちは「その場所で問題ありません」と言う人も多い。ただ、そう言っていた人も作業に慣れてくると、それに関して何かをやるつもりだったが具体的に何なのかわからないと認めるようになる。
これらの「済んでいないこと」は、すべて書類受けに入れてしまおう(ただ、ふつうは入りきらない量が出てくるので周囲にも置くことになる)。
それが済んだら、ここに集まっていないもので気になっていることが他にもありますか、とクライアントに尋ねると、必ず何かが見つかる。
心のメモリにしまい込んであつたことがいろいろ出てくるのだ。
浮かんできたことはそれぞれ別の紙に書いてもらい、同じように書類受けに入れてもらう。そのほうが、あとで「処理」をするときに便利だ。
1枚の紙にずらずらと項目が並んでいるよりも、1枚に1件のほうが集中して判断できる。ただし、どうしてもという場合は、リストでも同じことはできる。
この作業をやりやすいように、トリガーリストというチェックリストもよく使う。これはプライベートと仕事で気になりがちなことをリストにしたものだ。
誰の助けも借りずに心の中に広がる膨大な空間を探つてすべてを1度で見つけることはなかなか難しい。
思い出すきっかけになるリストがあれば、心の中をスキャンしやすくなる(実際にやってみたいという方は、付録1にトリガーリストを載せたので参考にしていただきたい)。
私たちが指導する場合、この収集のプロセスには数十分から数時間かかる。どれだけかかるかは、その人の状態によって大きく変わってくる。
一般に、高い地位にあるクライアントほど、また同じ部署に長くいるほど、多くのことが見つかる。また、抱えているプロジェクトが大きくてつかみどころのないものほど、気になることがたくさん出てくるようだ。
このように意識して定期的に「心のお掃除」をし、周囲にあるものすべてを見渡していかない限り、人生や仕事における「気になること」は、どこにいてもあなたの心のどこかでくすぶりつづけることになる。
不明瞭な「気になること」
この収集の作業をしていくと、「済んでいないこと」のうち比較的わかりやすいものだけでもかなりの量になる。
ただ、あなたの心には、一見わかりにくいもの、ふだんはあまり意識していない「気になること」が潜んでいることも多い。
そうしたことを見つけるには、6つのレベルのモデルをチェツクリスト代わりに使うといい。このモデルを用いると、やるべきことことを6つの異なるレベルから見渡すことができる。
ただ、これらは物理的なことに比べるとより観念的で、把握するのが難しい傾向にある。高いレベルで自分に課した約束は、なかなか明確にこれだと言いにくいこともあるだろう。
だが、これらのレベルであなたが注意を奪われていることに意識的に注意を向けられるようになれば、活力やひらめきが湧いてくるようになり、物事を直観的に判断していけるようになる。
実際のところ、それが不明瞭で把握しにくいことであればあるほど、あなたにとって重要なものであることも少なくないc
高度1000メートループロジエクト
プロジェクトの多くは自明のものだ。心のお掃除をしてしまった人は、その多くをすぐに見つけたことだろう。
車を買い替える、アシスタントを雇う、職場に新しいプリンタを入れる、芝刈り機を直すといつたことがこれにあたる。
ただ、ふつうの人は、「プロジエクト」は何かと考えたときに、すぐに浮かんでくるものよりずつと多くのことを心に抱え込んでいることがしばしばだ。これらについても見極めて意味を明らかにし、整理していくことがとても重要だ。
例えば、引っ越しのあと、まだ片付いていないものがあるという人は多いだろう。
このような人たちは、引っ越しを完了させることがプロジェクトとして残っており、それに注意が削がれているのにそれに気づいていないことも多い。
注意のアンテナに引っかかっているのにプロジェクトだと気づきにくい典型的な例としては、他にも次のようなことがある。。
次の休日にやること。
年老いてきた親の世話・子どもの夏休みの計画このレベルで最も見逃しやすいのは、あなたが「問題」だと思っていながらプロジエクトだとは認識していないことである。
あなたが親なら、息子の算数の成績が気になっているかもしれない。社員の間にいざこざがあって気にかかっている人もいるだろう。
ノートPCのバッテリーの持ちが気になってきたといった比較的軽微な問題もあれば、家族の誰かに重い病気が見つかったというような深刻なものもあるかもしれない。
しかし、これらを「プロジェクト」として認識し、それに対して適切に注意を向けていこうとしている人はなかなかいないものだ。
高度2000メートルーー注意を向けるべき分野や責任を負っている分野
このレベルにあることの大半は、心に引っかかっているものの、何が気になっているのかを見極めようとしてもすぐに答えが出てこないようなことだ。
例えば、今の仕事の内容を高いレベルから見渡してみれば、おそらくいくつかの「改善すべき分野」が頭に思い浮かぶことだろう。
あなたが責任を負っているそうした分野は通常、1つではなく、複数あるはずだ。それらの中に、十分に責任を果たせていないものはあるだろうか。
スタツフ育成がきちんとできているか、現在の部署の業務計画がスムーズに進んでいるかと自問してみるといいだろう。
我々がGTDのワークフローを指導するときは、それぞれのクライアントにやっている仕事の内容を見直してもらい、それらに関して気になったことを書き出してもらうようにしている。
最低でも2つか3つは、対処したり解決したりしなくてはならないものが見つかるものだ。
この作業を人生全体に広げれば、十分な水準(またはそれなりの水準)に保っていかなければならないと心のどこかで感じている、関心ある分野や責任を負っている分野が見つかるはずだ。
経済的なこと、健康、娯楽、人間関係、自己開発、自己表現、家、家族などだ。これらの分野の多くは、それなりにバランスが保てていることだろう。だが、中には気になっているものもいくつかあるはずだ。
例えばあなたは、ズボンがだんだんきつくなってきていて、このままではまずいと感じているかもしれない(健康、エネルギー)。退職金の運用状況が気がかりな人もいるだろう(経済)。
ピアノを習うにはどうすればいいか、ちゃんと調べたくなってきたという人もいるかもしれない(自己表現)。
2カ月後に姉が50歳の誕生日を迎えるなら、その準備も必要だろう(家族)。
目立たないかたちであなたの心に引っかかっているこれらのことを頭から追い出し、決まつたやり方で意味を明確にして整理するだけでも、それまでと比べてはるかに「状況をコントロールできている」と思えるようになる。
高度3000メートルーー目標やゴール
ここから上は、将来に目を向けることになる。今はまだ現実にはなっていないものの、いつかは向き合う必要のある「気になること」があなたにもあるだろう。
この高度では、近い将来、達成しなければならないことや達成しておきたいことに目を向ける。目標やプロジェクトなどがすでに定まっていて、組織の中で担当する人間もはつきりしているという人は、おそらくそれらが気になることはないはずだ。
だが、計画の一部にでも不備があって、何とかしなければならないと感じているならば、それはシステムに取り込んでなんとか対処していく必要がある。
計画や一連の達成目標が定まっている場合でも、それらを見直すと気になっている部分が明らかになることも少なくない。
数ヵ月ないし数年以内に実現する必要があるのに、何をすべきかをすぐに思い出せないようなことが、あなたにもあるのではないだろうか。
来年末までに合格しなければならない試験がある、来春の旅行のために資金を貯めないといけない、生まれてくる赤ちゃんのために寝室を確保しないといけないといったことだ。
このレベルで見つかることは、あなたがすでにやるべきだと認識していることばかりとは限らない。ふだんはいろいろなことに追われているせいでじっくり考えたこともないが、実現したいと強く願っていることなども含まれる。
そのようなことも、他の目立つものに隠れているだけで、あなたの心の一部を間違いなく占有している。また、人生において一定の目標を定めるべきだと感じている分野もあるだろう。
もっと豊かに暮らせるようになる、外国語を学ぶ、マラソンに挑戦するといったことだ。これらの目標がはっきり設定されていないと、そのことがあなたの意識のどこかでくすぶりつづけることになる。それらもすべて取り込まないといけないわけだ。
高度4000メートルー‐構想
この高度で見つけなくてはいけないのは長期的な成功のビジョンやイメージだ。
このレベルでは、はっきりそれとわかる大きな挑戦や解決すべき問題だけでなく、自分にとってまだ曖味なことも収集していく。
会社でリストラがあるかもしれないという危機感を抱いていて、解雇された場合のことを真剣に考える必要があると感じている人もいるかもしれない。
会社のルールが厳しすぎて能力を発揮できていないとか、自由で「クリエイティブ」な生き方をしたいのに十分にそうした環境が整っていないと感じている人もいるだろう。
高度5000メートルーー目的と価値観
ここでは人生そのものに関わる大きな事柄を眺めていこう。
もし、あなたの人生が順調で、自分の価値観から逸れずに生きていると感じているならば、このレベルで収集したり、新たに対応したりするべきことはない。これまでやってきたことを続けるだけでいいだろう。
だが、少しでも曖味なことや、なおざりにしていることがあるなら、意識全体を「水のように澄んだ心」にするのはむずかしい。
例えば、自分の才能を十分に活用できていないとあなたが感じているならば、それに対して何らかの行動をとらない限り、その不満に思う意識は心のどこかでくすぶりつづける。
価値観に合わないことが心に引っかかっているときも、それに対処しない限りあなたの頭がすっきりすることはない。
例えば、転職する人がよく挙げる原因の1つは上司とそりが合わないことだが、それは単に嫌いというよりも価値観が合わないためであることが多い(嫌いな人とも建設的に仕事をしていくことは可能だ)。こうしたことも意識的に収集していこう。
このように高いレベルで意識的かつ客観的に考えている人はあまり多くない。
しかし、このレベルで気づいていないものがデリケートで根深いものであるほど、「キャットフードを買う」といったタスクと同じようにシステムに取り込んで対応したときに、大きな威力を発揮する。
それらについても、望んでいる結果と必要な行動を見極め、整理して、実行していくことで、少しでも前に進めていくことができるからだ。
このような深いレベルのことに意識を向けて対処していくことには抵抗を感じるだろう。それよりも、こうした問題そのものに向き合わずに、とにかく答えだけが知りたいと願う人が多いように思える。
人生の目的は知りたいが、それがわかつていないという事実は認めたくないのだ。ただ、このような態度をとっていては問題は問題として残りつづける。
この問題を解決するポイントは、それを明らかな状態に近づけるために必要な、次の具体的な行動を見極めることだ。
そして他のタスクと同様にシステムに取り込み、望むべき結果に向けて前進しているかどうかを管理していくことだ。
どんな問題でも、それに対して何かをしようと思ったら、システムに取り込まないと心から追い出すことはできない。
「人生の目的を明らかにする」「会社の目的と価値観を再確認する」といった目標は、「メンターを探す」「組織構造を評価するために会場を借りて会議を行う」といったように、一連の行動を伴うプロジェクトに具体化していくべきなのだ。
ただ、誰もが絶対に人生の目的を知っておかなければならないということではないし、目的を持たなければダメだということでもない。そのようなことを考えたことがない人でも、頭がすっきりしていることもある。
ただしそれは、「それに関しては考えることはないし、気にもしていない」という判断が自分の中できちんとなされている場合だ。
しかし、このレベルで何か気になることがもしあなたにあるならば、紙に書いて書類受けに入れてしまおう。システムに組み込むことで大きな価値が生まれると信じることだ。
組み込んでしまった後に、やはり何もできないと判断してシステムから外すことはいつでもできる。やるべきことを外部の信頼できるシステムに集め、あとで対処できるようにするのはとても重要なことだ。
現在抱えていることを収集する方法は、他にもいくつかある。ここで紹介していこヽつ。
日記
日記も収集のステップを改善する有効な手段の1つだ。人生において中途半端になっていることや、エネルギーがきちんと振り向けられていないことの多くは、心の声に耳を傾けて冷静に自分を振り返ったときに浮かび上がってくるものだ。
私はかなり前から、2種類の日記をつけることを習慣にしている。1つは日々の営みにおけるさまざまなことを自由に記録するためのカジュアルな日記。もう1つは、より内省的なことを記録する日記だ。
最初は1つの日記でやっていたが、やがて2つあったほうがいいことに気づいた。
カジュアルな日記のほうは、帰宅後に妻に話をするのと同じような感じでその日に起きた出来事を綴っていく。たいていは、自分に起こつた良いことや、心に引っかかっている課題などだ。日記をつければ、話す相手がいなくてもそれらを振り返ることができる。
私はノートPCでカジュアルな日記を書いているが、書く内容と費すエネルギーを考えるとちょうどいい手軽さだと感じている。
一方、内省的な日記のほうは万年筆を使い、スタイリッシュな革張りの日記帳に書いている。
なぜかと訊かれても困るのだが、このほうがより深くレベルで思考できるし、自分を素直に見つめられる気がするからだ。
日記についてはいろいろな本が出ており、その癒しの効果についても指摘されている。多くの宗教では、純粋に観察することの重要性が説かれている。
起こっていることを可能な限り曇りのない日で客観的に認識することが、内なる自由を得る最初のステップだからだ。
日記や日誌は、他の手法ほど直接的に収集するわけではないものの、調子のいい状態が損なわれたときに元に戻る最初のステツプとして使える典型的な方法である。
ブレインストーミング
プロジェクトや対処すべき状況があるとわかっているのに頭の中で整理できていない場合は、ブレインストーミングで思考を整理するのがいい。
実のところ、私たちは日常的にブレインストーミングを行なつている。何かの目的に注意を向け、それについてさまざまなことを考える作業を繰り返しているのである。
ただ、ここではもう一歩進めて、自由に思い浮かべた考えを、日で見て確認できるように記録していこう。
ペーパーナプキンに書くだけでもこの作業はできるが、マインドマップを書いたり、専用のソフトを使うこともできる。
ホワイトボードやイーゼルパッドに書き出したり、ネットを利用してグループでリストを作ってもいい。ブレインストーミングは、特定のテーマに関する「心のお掃除」と考えるといいだろう。
その分野について考えたときに気になったことをすべて集めていくわけである。
例えば、結婚式の計画を立てなければならないときは、それに関して思いついたことを片っ端から書いていく。
会議の議題を決めなければならないなら、頭に浮かんできた関係のありそうなトビックをどんどん書いていくわけだ。
ブレインストーミングによって自分の考えを外部に記録していくと、心の中だけでやるのとは大きな違いが出てくる。
浮かんできた有用なアイデアを心の中にとどめておくと、意識の一部がそのことを記憶しつづけようとして、他の考えを吟味する能力が低下してしまう。そのアイデアを保持しておくために、エネルギーの一部が使われてしまうのだ。
一方、アイデアを何かに書いた場合は、あなたの潜在意識はそれを保持しておく必要がないと認識し、とらわれていた部分が解放されて自由に別のことを考えられるようになる。
何かについてベストなアイデアを出したいなら、できるだけ多くの可能性を思い浮かべることだ。
気まぐれな思いつきを置いておける場所が外部にあれば、あなたは自由に創造的思考を続けていくことができる。
いつでもどこでも、思いついたことの置き場所を用意し、自由にアイデアを記録する習慣を身につければ、他の方法では浮かんでこないような貴重なアイデアがたくさん浮かんでくるはずだ。
身の回りを片付ける
この「収集」のステップですぐに効果を出したいなら、その1つの方法は身の回りを片付けることである。
ある場所に溜まっているものがどれだけ自分の注意を妨げているかは、それらを片付けてみないとわからない。私はクライアントに「なにかモヤモヤしたときは引き出しを片付けてみましよう」と薦めている。
これは、車、ゴルフバッグ、クローゼツト、物置、デスクの引き出し、庭など、あらゆるものに当てはまる。
あなたはふだん、これらの場所が管理できていないということをあまり意識していないかもしれない。それでも、「管理できていない」という感覚はじわじわとあなたの心にしみこんでくる。
そして、それらの場所を片付けてしまえば、即座に「キャプテン&コマンダー」のエネルギーが流れ込んでくることになる(もちろんこれはその方法の1つにすぎない)。
「片付け」についての明確な基準はない(多くの人が基準を作ろうとして失敗に終わつている)。すべてが所定の場所に収まっているとあなたが思っていても、他の人には全然片付いていないように見えるかもしれない。
大事なことは、自分なりの基準を持っておいて、あるべき場所にないもの、ほこりが目立ちはじめたものなどが見つかったときに、それらに気づくことができる態勢を確立しておくことである。
すべてがすっきり見渡せているという環境が少しでも崩れると、それらには手をつけたくないという意識が芽生えてくる。
自動車のグローブボックスを開けたくない、デスクの引き出しを開けたくない、パソコンの古いファイルをチェツクする気にならない―‐そうした状態になるわけだ。
そして、これらの場所は、あなたが避けているがゆえにあなたの心のメモリの一部を消費しつづける。
このようなものが知らないうちに増えてしまう最大の原因は、最初は利用価値があったとしても、その後不要になったものをどんどん溜め込んでしまうからである。
用済みになったからといって、それらが自分で消えてなくなることはない。それらについて何の対処もしなければ、不要なものは増殖する一方なのだ。
あなたのデスクの引き出しは、ボールペンの替え芯を置いておくのにぴったりの場所だつたが、それはボールベンを持っていた2年前までの話だ。
あなたは意識のどこかで、替え芯を入れておく必要がないことに気づいており、処分しようと思ったこともある。だが、すぐにそのことを忘れてしまった。不快なので意識がシャットアウトしてしまったのだ。
一方、引き出しを片付けて替え芯を捨ててしまえば、とらわれていた意識の一部が解放され、誰かを昼食に誘おうといったことを思いつけるようになる。
グループでの収集
心の掃除やブレインストーミング、身の回りの片付けは、複数の人間で行うこともできる。
チームや部署、夫婦や家族など、2人以上の人が、お互いに関係のあることをコントロールしてバランスや秩序を保ちたいと考えているときにいつしょに「収集」をやれば、大きな効果が期待できる。
これに関しては、面白い発見があった。
私は妻と、お互いに関心を持っていることについてブレインストーミングと心のお掃除をよくやるのだが、その結果や終わったときの感覚が、別々にやつたときとはまるで異なるのだ。
どうやら「共同作業用の心のメモリ」のようなものがあるようで、そこに溜まっているものを「収集」してしまうと、そのメモリが解放されてよりいっそうの爽快な気分を全員が共有できるようである。
仕事に関することについても、プロジェクトチームや経営陣で全員の「気になること」を明らかにし、それらに対する認識を最新の状態にしておくことが大切だ。
また、その場では、個々人が気になっていることをすべて明らかにするようにしよう。そうでないとそれらが建設的なコミュニケーションの妨げになる。
重大な影響があると誰かが気づいているのにそれが共有されていないとベストのコミュニケーションを実現することはできない。
部内でのミーティングや家族会議では、最初に、心に引っかかっていることを全員が言ってしまうのがいい。
それらは必ずしも記録する必要はない(今すぐ、あるいはいつか対処する必要のありそうなことを誰かが指摘したときなどは記録したほうがいいこともある)。
これは私が長年チームや組織を指導してきてわかつたことだが、メンバーが気になっていることを明らかにしておく作業をせずに事を進めると、結局は無駄骨になることが多いのだ。
チームや組織単位で心のお掃除をするのは意外に楽しい作業だったりするし、同じことに従事している人たちでやるとはかどりやすい。
各人が持っている情報や関わつていることをすべて明らかにし、不要になったことを排除してしまうと精神的な解放感を得られるが、その感覚は複数の人間でいっしょにやるとさらに増幅されるようである。
子どもとガレージを片付けたり、妻とクローゼットを整理したり、上司やアシスタントとフアイルキャビネットを片付けて、爽快な気分になった経験があなたにもあるはずだ。
収集を習慣化する
「気になること」を収集し、自分にとって確かな事実(とくに何らかのかたちで思考に影響を及ぼしているもの)を明らかにすることは、一見単純そうだが、なかなかに奥の深いものだ。
どんなにささいに思えることであっても、あなたの集中力を削ぐ可能性のあるものを無視したり、心にとどめておくことを選んでいる人は、自己管理上、大きなリスクを負ちていることになる。
確かにはとんどの人は日々の生活でやるべきことをたくさん抱えており、それらに比べると、古い電子機器やボールペンの芯を捨てたりする作業は、いちばん最後にやるべきことだと感じられるかもしれない。
また、多少片付いていないものがあってもたいしたストレスにはならないとあなたは思うだろう。だが、実際にはそのようなささいなことを収集するだけでも気分はかなりすっきりする。このように整理にこだわることが、神経質に思えるかもしれない。
「細かすぎるマネージャ」のところで述べたように、あまりにもコントロールしすぎると、コントロールそのものが難しくなってくる場合がある。
確かにあまり神経質に何事も完璧に片付ける必要はない。特に整理にこだわるあまり、より重要な「済んでいないこと」の収集がおろそかにならないように注意しよう。すべてを収集し、意味を見極めて完璧に分類することは、現実問題としてまず無理である。
例えば、庭にある物置小屋は、まるでやりかけのことを吸い寄せる磁石のようだが、整理しないといけない場所として私が注意を向けはじめるのは、大事な道具や物が見つからなくなってストレスが一定のレベルに達したときだけだ。
収納場所はそれなりにきちんと決めてあり、庭でやるプロジェクトに集中できるくらいには片付いているものの、完全に整理が行き届いた状態になっていることはほとんどない。
机の引き出しも同様だ。中にはネット電話用のイヤホンやアダプター類、電気コードなどが放り込んである。
ビニール袋にラベルを貼って雑多なものをまとめることだけは覚えたが、机の中が現在最も使いやすい状態になっていることはまずない。私は別に、意識の一部を占有しているものを収集できていない人を批判しているわけではない。
そのように注意を奪ってしまうものが、私たちのエネルギーに影響を与えているという事実を知ってほしいだけだ。
そのメカニズムさえ知っておけば、複雑な現代社会をあなたが生き抜いていくときに大いに役立ってくれるはずだ。順風満帆の状態に戻るためにもっとも重要なステップが、この「収集」であることも少なくない。
やるべきことや、あなたにとつて価値があるかもしれないアイデアを集めるこの「収集」という作業は、GTDの最初の重要なステツプである。
このステップは人々がGTDを採用する最も大きな理由の1つで、中にはこれだけをやりたがる人もいる。
書いて記録するものの量を常に10%増やすようにしただけで、あなたの生活は確実に改善されるはずだ(ただし、書いたものをなくさないことが条件である)。
ある構成作家が、『はじめてのGTD』を読んで人生が変わったと言っていた。心の掃除を実践し、モチベーションが大きく高まつたからだという。
彼は1回の収集で、頭の中にある、やるはずのこと、やれること、やるべきこと、やるかもしれないことを徹底的に洗い出し、思いつくものをすべて集めてしまった。
終わったとき、彼は生まれて初めて、1度にできるのは1つだけで、すべてを同時にやる必要がないことに気づき、今すべきこと以外はやらなくていいと思えるようになったそうだ。
彼は収集以外のことはやっていないそうだが、それでも人生が変わったという(そのとき作ったリストもなくしてしまったそうだ)。
今は、事態が手に負えなくなってきてまずいと感じるたびに、腰を落ち着けて新しいリストを作るようにしているそうだが、そうすると、またすっきりした状態になるという。
予定外のことから身を守る
収集を習慣化したときの大きなメリットの1つは、予定外の事態に対応しやすくなることである。
セミナーに集まった人たちに、自分の生産性を妨げている要因は何かと尋ねると、「予定外にふりかかってくること」という答えが常に上位に来る。
注意を向けて集中する能力が生産性のカギであることを考えれば、予定外のことでそれが妨げられる事態が好ましくないことは当然だろう。
私の経験から言うと、企業などの組織にはたいていこの「中断病」が蔓延しており、それに「会議病」という、同じくらい致命的な病気が併発していることが多い。
ただ、GTDの手法を身につけると、これらの病気の影響を大幅に軽減することができる。予定外のことに振り回されてしまう大きな理由の1つは、収集がうまく機能していないことにある。
「メリッサがオフィスに入ってきて某プロジェクトの情報を教えてほしいと言ってきた」といった予定外の出来事にしょつちゆう悩まされている人も多いだろう。
そうした場合、その種のリクエストをさっとメモして、数時間後にチェックする予定の書類受けに放り込むことを習慣にしておこう。
そうでないと、その場で5分やЮ分を割いてメリッサのために情報をかき集めなければならないことになる。義務にせよ善意にせよ、いつかはそれをやらなければならないかもしれない。
けれども、今やるべきなのは別のことだとあなたにはわかつているので、その場でそうしたリクエストに中断されることは大きなストレスになるはずだ。
もちろん、メリッサの要求に対応するのが最善の場合もあるかもしれないが、ベンと紙と書類受けを使わない人には、他の選択肢がないという点が問題なのだ。
タスクが生じた時点でやってしまうのが生産的なケースもないわけではない。ただしそれは、そのタスクがそのときいちばんやるべきことであるか、2分以内でできる場合に限られる(第9章を参照)。
それ以外のことはあとでやつたほうが簡単なのだが、ほとんどの人はこの種のことを取り込んでいくための効率的なシステムを持っていない。そのため、そうした突発的なタスクに振り回されてしまうのだ。
ブックマークの効用
何かのタスクをしているときに進捗状況をメモしておく習慣を身につけると、どこまでやったかが明確になってたいへん便利である。現代の多忙な仕事環境においては、いくつものことを並行して進めなければならないことが多い。
そのため、それらを切り替えるときに中断箇所をメモして書類受けに入れておくと、あとでスムーズに再開できる。抱え込んだタスクの意味をはっきりさせて整理する時間がない場合ももちろんあるだろう。
そうしたときには、余裕があるときにそれらを思い出すための信頼できるトリガーがあると非常に便利だ。
例えば、電話で話しているときには、その内容をメモしておこう。電話を切ったときにその場でやるべきことがないなら、そのメモを書類受けに放り込むだけでいい。
一方、重要な内容が含まれているときは、メモをすぐに処理して次にとるべき行動や必要な参考情報をはっきりさせたいと思うだろう。
ところが実際には、午前中はスケジュールがびっしりでその時間すらとれないといったことも多い。
その場合も書類受けに放り込んでおけば、近いうちに思い出せるという安心感を持って別の作業に移れる(ただし、書類受けなどのinlboxを適宜処理する習慣が身についていないといけない。詳しくは次章で述べる)。
私は電話会議をしているときに、マインドマップのソフトを使ってメモすることが多い(マップはクライアントやトピツクごとに作るようにしている)。
会議が終わった時点で他にやらないといけないことがあれば、マップをプリントアウトして書類受けに放り込んでおく。
あとでチェツクしたときに、必要な行動があればそれを見極め、有用な情報があればどこかに記録して、マップをプロジェクト専用のフアイルに挟んでおく。
同時に進行していることは、このように「しるし(ブックマーク)」を付けておくとたいへん便利だ。
特定の人と会ったときや会議で話すトビックのリストを個別に作ってパソコンに保管してある場合は、それらをプリントアウトして、話しているときや会議中にそれらにメモすることもできる。
その後、書類受けに入れて処理に回せば、済んでいないことがすべて適切に管理されることになる。
高い効果を発揮する道具と習慣
気になることを頭の外で管理することに興味が湧いたなら、その原則のメリットを最大限に引き出すために適切な道具を用意し、効果的な手法を身につけるといいだろう。私たちはいつでもメモをするようには生まれついていないようだ。
多くの人にとって、気になることを頭の中に入れておくことが当たり前になっている。私たちの心は、自分が今考えていることは必要なときにいつでも思い出せると私たちに思い込ませている。
ところが、2分後に別のことを考えているときには、最初のことをすでに忘れてしまっているのだ。
完全に忘れてしまうのももちろんまずいが、十中八九、それは心のメモリに記録され、すでにあなたの集中力の足枷になりはじめている。
あなたの意識の高度な部分は、心に限界があることを知っている。管理に必要な道具をあなたに選ばせて使わせようとするのもその部分だ。
ツール類
やりかけのタスクを頭の中にとどめておきたくなければ、それらを取り込んで扱える優れたツールが必要なのは言うまでもない。
そのようなツールがあれば、あとでそれぞれの意味するところを明らかにして、判断の結果を整理できる。収集のツールは、整理に使うものとは別に用意することが多い。
誰々に電話をかける、頼まれた何々をやるといった行動のリマインダーは、簡単に参照できるかたちのリストに分類したほうがいいだろう。
だが、考えをすばやく収集するときにはいちいち分類作業はしたくないはずだ。手近にあって、そこに入れたことを忘れないものであれば、収集する容れ物は何でもいい。
書いたものやそれ自体がリマインダーになるもの(あとで読みたい雑誌などだ)を書類受けに入れてもいいし、ボイスレコーダーに録音してもいい。自分の留守電に残したり、自分自身にメールを送ることもできる。
紙とペンの威力
ハイテクツールはもちろん便利だが、紙とペンが最も使いやすいだろう。メモ帳や付箋紙、日記帳、封筒の裏などは頭の中をチリーつない状態に保つのに最適である。
アイデアは意外なときに意外なところで浮かんでくるので、なるべく気軽に持ち歩けるツールのほうが収集しやすい。
歳をとってくると、直接関係のない場所でアイデアが浮かんでくることが多くなる。これは老化というより、脳の機能が高まった結果だ。
例えばパンを買っているときに、会議で話したいことが浮かんできたりする。その逆に、会議の最中にパンを買わないといけないと気づくこともある。
バンを買うというタスクを実行したければ、会議中でもその思いつきを収集しておかなければならない。会議で検討したいトビックも、バン屋にいる間に収集しておいたほうがいい。
仕事に関しても、地位が上がってくるにつれて、仕事をしていないときにいいアイデアが浮かんでくるようになる。
やるべきことに追われているときには、クリエイティブな発想や画期的なアイデアはなかなか浮かんでこない。
そういうアイデアは、ビーチでくつろいでいるときや、ゴルフコースを回っているときに思いつくものだ。
収集ツールが手近なものであるほど、使う機会も増え、自由に考えたリアイデアを出したりできるようになる。私がこれまでで最も使えると感じたツールは2つある。
1つはメモ帳と小さなベンを収納できる財布で、免許証とクレジットカードを持ち歩いているときには自動的に収集可能な状態になっている。
もう1つはノートPCだ。前者で意味や価値のありそうなアイデアをもれなく収集し、後者を使ってそれらの考えを管理している。
私は、注意のアンテナに引っかかったことをすべて収集する自分専用のシステムを確立しており、何でも取り込む習慣が身についているので、外で頭がすっきりした状態を保つのに必要なのはメモ帳だけであることが多い。
他のシステムの情報を参照したくなったり、それらのシステムや中のものについて何かをやる必要が出てきたときには、とりあえずメモしておき、あとで可能なときに対処するようにしている。
電話のある場所など、何かを書き留めておきたくなる可能性がある空間(作業場や、車の中など)には、メモ帳とペンを用意しておくと何かと便利だ(もちろん運転中にメモするのはまずい)。
また、15分以上どこかにいるときはレポート用紙とペンを取り出すようにもしている。私の場合、手軽なツールがないせいで書き留めるのが少しでも面倒だと感じると、結局書かなくなってしまう。必要なときにきちんと収集できるように、できるだけ手軽に使えるツールを用意しよう。
ホワイトボード
ホワイトボードもたいへん便利だ。これとインクがたつぷり残ったマーカーがあれば、記録するツールがないときに比べてずらと多くのアイデアが浮かんでくる。
会議室にホワイトボードがあれば、ブレインストーミングやプランニングに役立つことは言うまでもない。
オフイスや自宅の書斎に置いておけば、頭の中の考えを(他の人がいる場合はその人の分も)書き出すことができる。
キッチンに小さめのボードを置いている人も少なくない。さらにデジヵメを組み合わせるテクニックもある。
情報を書き出したり考えを整理した後に、誰かがホワイトボードを撮影してグループの全員にメールで送れば記録が残るし、さらに検討の必要がある場合もそれを活用していくことができる。
現在は、パソコンやネットでホワイトボード代わりに使えるソフトもいろいろ出ている。これらは個人で使うこともできれば、ネットを介してグループで活用することもできる。
マインドマップのソフトも私が便利に使っているツールの1つだ。私はパソコンを使ってアイデアを出すのが好きなので、この種のアプリケーションを使っているが、おかげで生産性は飛躍的に高まった。
収集を成功させるポイント
心の中をクリアに保つには、適切なツールが必要なのももちろんだが、収集のプロセスを邪魔する要因を徹底的に取り除くことも大事だ。
収集を効果的に実践できれば、人生に役立つアイデアが見つかる可能性があることを、しっかり認識しておこう。
ここで、収集における注意点をいくつか挙げておく。
悪いアイデアはない
批判されたリバカにされたりすることを恐れて自分のアイデアを言わない人は多い。
あなたの組織にそのような批判的な空気があつて、トツプダウンでアイデアや情報の価値が決められてしまつたら、スタツフは伸びのびと力を発揮できないだろう。
個人の場合も、勝手な自己判断で済んでいないことや対処できていないことを収集対象から外してしまえば、頭が完全にすっきりしない状態が続くことになる。
管理できていないものに前向きに対処していくには、それが何であれ、まずその存在を認める必要がある。
収集しすぎることはない
あなたが考えていることは、あなたが考えている以上にたくさんある。すべてを目に見える場所に書き出して、心の″全容″を見極める行為は、ほとんどの人にとってはおそらく未体験のものだが、ひとたび達成してしまえば驚くような変化が起こってくる。
同じことを話すときもより突っ込んだ話ができるようになり、細部に目が向くようになって、創造的なアイデアが浮かんでくるようになる。
言葉の流れをさえぎらない
心を解き放ってあらゆる考えを書き出していくと、無限の可能性が開けてくる。
プロジェクトの関係者を一堂に集めて、心の中に抱えていることを全員に話してもらえば、驚くほど練り込まれたスキのないプランができあがるはずだ。
そのプランには、これまで考慮されていなかった重要な要素も盛り込まれていることだろう。
義務感を持たない
収集というステップは、日標や計画について決断することとは、まったく別の作業だという認識を持つ必要がある。
収集しているときには、いっさいの義務を感じることも、弁明をする必要もない。頭に浮かんできたことや気になっていることを自由に口にできる環境を整えることが大切だ。
「別の視点で考えると」を合い言葉にするといいだろう。あらゆる可能性をチェックするのに役立つはずだ。
収集を習慣づける
書く行為にはそれなりの意思とエネルギーが必要なので、習慣にしてしまうことが重要だ。人によっては、このような作業はレベルの低いものだ、というイメージを持っているケースもある。
幹部クラスの人は、メモなど部下がとるべきだという思い込みのせいで何かを思いついても放置してしまうことが多い。もちろん、あらゆることを書かなければならないわけではない。
心の声に耳を傾け、思いをめぐらせただけで何も書かずに終わる場合も多いだろう。
だが、将来意味を持ってくる可能性のあることを認識し、とりあえず紙に書いてあとで再び考える癖をつけておくと、生産性が大きく高まるということだけは知っておいたほうがいい。
「気になること」を頭に溜めこまない
すでに述べたように、あなたの心はアイデアを思いつくことはできても、それらを保持しておくのには向いていない。そうしたアイデアは外部に書き出してしまおう。
大切なのは、「気になること」を頭に溜めこまずに、それらについてどうするかにもっと注意を向けることだ。
ある男性からいただいたメールに、この原則に関して大いに参考になるエピソードが紹介されていたのでご紹介しよう。
このお父さんは小さな息子さんに部屋を片付ける習慣を身につけさせようとしていたのだが、なかなかうまくいかなかった。そこで、ある日、GTDセミナーで学んだことを応用してみようと思い立つた。
大きな箱を用意して子ども部屋の真ん中に置き、周りをぐるぐる回りながら片付いていないものを中に入れていく遊びをしてみたところ、散らばっているおもちゃや服の1つひとつに目が向くようになって、これもこれもと中に入れていくようになったそうだ。
「部屋を片付けなさい」という言葉にはさまざまな要素が含まれているため、息子さんにとっては手に負えないことになってしまっていた。
ところがタスクを分解して1つずつやるようにしたことで、それまでなかなか手をつけられずストレスの元になつていたことに、自然に、かつ積極的に取り組めるようになったのである。頭の中でタスクがごつちやになっていてはいけない。1つのことに集中できるような仕組みを作ってあげることが重要なのだ。
このアプローチは、3歳の子どもだけでなく、企業幹部のチームでも同じような効果が期待できる。
自分や他の人の注意が向いているものに目を向けてその存在を認め、取り込んで、外部のものとして具体化していく作業は、状況をコントロールしていくにあたつて最も重要なステップである。
この部分を意識して習慣化できた人は、ストレスを軽減しつつ、より高度で知的な思考ができるようになる。
私たちが今まで指導してきた人たちは、収集の効果を知ると、あらゆるものをメモするようになった。
ただ、残念ながら多くの人はそこで止まってしまい、リストや付箋紙、ノートや紙、パソコンのファイルなどがあちこちに溜まっていつてしまう。
状況のコントロールがうまくいつているという感覚を保ちつづけるには、次のステップ「見極め」を実践して、集めたものの意味を明らかにしていかなければならない。
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