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状況のコントロール 人生と仕事を活用していく方法

いかに状況をコントロールしていくべきかという問題について、ロン・テイラーという架空の人物を例にとって考えてみよう。

ある日、彼の郵便受けに市役所からの手紙が入っていた。

ずいぶん前から消息がわからなかった大伯母が亡くなり、唯一存命している親戚の自分に小さな土地と施設を遺産として残したという。

その土地にある最大の資産はグレイシーズガーデンという施設で、今でもそのまま残つているらしい。その施設をどうするかについて相談したいので、連絡が欲しいとのことだった。

ロンは突然自分の財産となった遺産を自分の目で確かめるため、小さな町を訪れた。

レンタカーを借り、地図を片手に走りながら、ときどき地元の人に道を聞き、町外れのグレイシーズガーデンにどうにかたどりついた。ロンは驚いた。

そこは園芸店と、苗や種を作るための小さな生産設備がいっしょになった施設で、造園も請け負っているようだつた。

けれども人の姿が見えず、何週間も営業していないようだ。伸び放題になったり枯れたりしている鉢植えの植物があちこちにある。

もらつた鍵で南京錠を開けて事務所に入ると、ドアの裏に郵便物の山ができていた。狭い室内には書類が散乱し、肥料や種、園芸の道具や機械のたぐいが乱雑に置かれている。

目の前にあるのは、まさに状況がコントロールできていない事業だった。

このような状況に対しては、どのように対処すればいいだろうか。

これまで見てきたように状況をコントロールするための5つのステツプー‐「収集」「見極め」「整理」「見直し」「取り組み」を実際に当てはめてみることにしよう。

目次

グレイシーズガーデンをコントロールする

まずはロン自身がこの事業をどうしたいかを考えるのが筋だと思うかもしない。もちろん考えてもかまわないし、実際さまざまな可能性が頭に浮かんでくるはずだ。

ただ、真っ先にやるべきタスクは、状況をコントロールすることである。

事業自体がどのようなもので、どういう状態にあるのかがわからなければ、事業をどうするかという判断をきちんと下すことはできない。

そこでロンは長めの休暇をとり、腕まくりをしてこのタスクに取りかかることにした。

収集

ロンはまず、この施設の周りをひと回りして、どこまでが彼の土地で、どんなものが置かれているかを確認した。

次に、小さな事務所に置いてあった古い机の上を片付けて、書類受けを置き、レポート用紙とペンを探してきて、本格的なチェツクを開始した。

気になったことをすべて書き出し、意味のありそうな書類やメモ、そこにあるさまざまなものを書類受けといくつかの空箱に入れていった。

同時に、ゴミの置き場所も確保し、使い道のなさそうな物や壊れている物を放り込んでいった。室内がある程度片付いたら、今度は資産の内容をより細かくチェックしていった。

財産や設備、活用できそうなものを調べ、フアイルの中身、事業内容、台帳、過去と現在の顧客、納入業者、銀行、会計士、弁護士、従業員などについても見ていった。

それが終わると、このステップの最後にして最もデリケートな作業に移った。

グレイシーズガーデンについて明らかになったことに関して「今、確かなこと」を徹底的に洗い出す作業である。

零細事業であることを踏まえて市場を評価し、競争相手、知名度、地元経済、環境などの要因について考えた。

見極め

次に、それらのものについて、それがどういう意味を持つかを明らかにしていつた。そこにあるもののうち、保有しつづけたほうがよいものはどれか。

資産リストの中に活用できそうなものはあるか。保管しておいたほうがよいファイルはどれか。使える消耗品はあるだろうか。

ここで彼は、いくつかの事柄に関して「望んでいる結果」を考えてみた。これに関してより高いレベルからみると、どういうことがわかってくるだろうか。

事業をこれからどうしていくかを合理的に判断するために、情報を集めて見通しを定めるには、何をすればいいだろう。

所有しつづけるにしろ売却するにしろ、短期的なプロジェクトがいくつか出てくるはずで、それらを見極めなければならない。

次にそれらの「望んでいる結果」や「プロジエクト」のすべてについて、ロンは次にとるべき行動を考えていった(財産評価の専門家に電話をかける、ホームセンターで買ってくる物をはっきりさせる、などなど)。

整理

次にロンは整理に取りかかつた。プロジエクトリストと行動リストを作成し、資料のファイルを整理し、さまざまなプロジェクトのフオルダを作成した。

過去の従業員(中にはまだこの事業に関わっている人もいるかもしれない)に連絡を取りたいと考えて、簡単な組織図を書き、会う予定を立てた。

見直し

これからしばらくの間は、新たに明らかになったことや完了したこと、これからやらなければいけないことなどについて、週に何度も見直さないといけないことになるだろう。

友人やコンサルタント、弁護士、会計士、自治体関係者などに相談する必要が出てくる可能性も高く、その予定も組まなければならない。

取り組み

ロンは朝から晩まで、電話をかけたり、メモを取ったり、書類を書いたり、調べ物や買い物をしたり、人に会ったり、必要な用事をこなしたり、それまでのステップをやり直したりして過ごした。

自分自身をコントロールする

ここでは突然舞い込んできた、引き継がなくてはいけない小さな事業の例を出したが、これは私たちのもとにときどき舞い込んでくる事柄の典型的な例でもある(突然思いがけないものがやってくるものだ)。

それは良いことの場合もあれば、悪いことの場合もある(両方のケースもあるだろう)。

自分にとって最終的にポジティブなものになるにせよ、ネガティブなものになるにせよ、その経験はあなたにとってまったく新しいものであり、一時的に注意を向ける必要がある。ただロンの場合、すでに多くのプロジェクトを抱えていたので、この予期せぬプロジェクトのおかげで他の仕事や生活に支障が出はじめた。

そこでグレイシーズガーデンの問題をある程度落ち着かせたあとに、この突然の出来事に巻き込まれたために遅れが出ているさまざまなプロジェクトについて、再び状況をコントロールしていく必要があると感じた。

ロンは、長めの週末を利用して、会社や家に関しても同じ作業をやり、身の回りの状況を改善することにした。

収集

ロンは2時間ほどかけて、大伯母の遺産に対応していた間に溜まった未処理のものをかき集めた。

ボイスメールと留守電を空にし、メモを書類受けに入れ、ガーデンで収集したさまざまなものが詰まったカバンの中身もすべてそこに放り込んだ。

心の掃除をするために新たに紙の束を用意し、2週間ほどバタバタしていた間に生じた「済んでいないこと」について考え、収集していった。

見極め

ロンは次に、書類受けの中の物やメモの1つひとつについて、プロジエクトやとるべき行動を明らかにしていつた。

自分にとって意味のないものや、あとで役に立つかもしれないもの、情報として価値があるものなども判別していった。

整理

次にロンは把握しておく必要のあるものの仕分けに移った(必要に応じて整理システムの片付けと更新も行なった)。

グレイシーズガーデンに関するすべての行動を、人生と仕事に関して明らかにした行動といっしょにし、意味を見極め、仕分けを行なった。

また、自分の整理システムが新たなプロジェクトによって目詰まりを起こしていないかも確認した。

見直し

ロンはてきぱきとやるべき行動を片付けていったが、数時間ごとに手を休め、他にも「気になっていること」がないか確認するのを忘れなかった。

また同時に新たなプロジェクトも発生したので、週の終わりには再び2時間をかけてすべてのプロジェクト、行動、スケジュールを見直した。

すべての項目を更新し、優先順位が低くなったものを格下げして、新たに出てきた「やるべきこと」を明らかにしていつた。

取り組み

これらのすべてが、ロンの日々の行動に反映されていった。

GTDの本質

これは少々単純化された例だが、ここには個人が(あるいは組織が)状況をコントロールしていくために必要な一連の行動が示されている。

これらの行動ステップを実践すれば、たいていは自然と物事が良い方向に向かっていくはずだ。

あくまで架空の例だし、実際にはもっといろいろな問題が出てくるはずだが、ここに書かれている手順は、私が何千時間もの指導を通して、多くの人々の生活や仕事に導入して効果をあげてきたことである。

GTDは結局のところ、ほとんどの人が生産性を保つためにやっていることをより洗練された形式でやっているだけなのだ。

決して大袈裟なものではなく、誰もが知っている、直感的で確実に効果が上がるやり方だ。

この5つのステップは、バランスや秩序が保たれていると感じられる状態を維持するために私たちがやっているプロセスに他ならない。

ただし、問題となっている状況がはっきりしないときや、自然に物事が良い状態に戻っていかないときに、意識的にこの行動をとれる人は多くはない。

本書を読みすすめてきたあなたはすでに、人生や仕事において状況をコントロールしていく方法を知っている。

あなたがやるべきことは、この手法を必要に応じて、意識的かつシステマチツクに導入していくことである。

そうしたステップを経ることであなたの生産性はより高いレベルに引き上げられるだろう。

自分や会社や家族に関して、現在心に引っかかっているもの、まだはっきりと向き合えていないものはないだろうか。

抱えているプロジェクト、抱えている状況、現在の人間関係に関して、気になっていることをリストにする必要があるだろうか。

また、それらの問題のうち、実際にとるべき行動がはっきりしていないものがあるだろうか。適切な頻度でやるべきことをきちんと見直せているだろうか。

前向きにアイデアを出していかなければならない事柄に関して、十分な時間を割いて考えているだろうか。

状況のコントロールができていないと感じるときは、これらのいずれかに問題がある可能性が高い。

日々の生活や仕事においてGTDを実践していく方法については、もうおわかりいただけただろう。

だが、私たちが抱えていることの多くは極めて複雑で、気を抜けばすぐに不安定な状態に逆戻りしてしまう。

仕事で新たな仕事が舞い込んできたり、対処できないほどのメールが押し寄せたりすれば、我々は簡単にコントロールを失う。

安定して仕事ができているという自信は簡単に消滅し、元の状態に戻るのに意識的な努力が必要になってくる。

収集、見極め、整理、見直し、取り組みという5つのステツプによって状況をコントロールしていく方法は決して難しいことではない。

その対象が次の休暇であっても、経営会議であっても同じである。

ただ、このプロセスをどのタイミングで、どのように活用していくべきかを知り、後手に回ることなく主体的に行動していくのはなかなか難しい。

それがいつでもできるようになれば、あなたの前には大きな可能性が開けてくるはずだ。

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