特別償却 VS税額控除 事業規模を拡大する上で欠かすことができないのが、設備投資です。 定期的な設備投資は、生産効率の向上や売上の拡大など、事業拡大の起爆剤として一役買うケースも珍しくありません。ただ、設備投資は資金的に大きな負担が伴うというデメリットも存在します。そのため、国は税制優遇措置として「特別償却」や「税額控除」などを設け、中小企業に積極的な設備投資を促しているのです。 この特別償却と税額控除はうまく利用すると大きな節税効果を期待できますが、両者の違いを把握していなければ、十分にその効果を享受できない可能性もあります。どのような違いがあるのかしっかりと理解しておきましょう。 ここでは、中小企業投資促進税制を例として解説していきます。 まず、特別償却について。特別償却とは、通常の減価償却費に加えて別途で経費が追加計上できる制度です。 たとえば、ある会社が耐用年数 8年(償却率 0・ 250)の 1000万円の機械を購入したとしましょう。通常であれば 1000万円 × 0・ 250 = 250万円を減価償却として、費用計上することができます。しかし、特別償却が利用できる場合は、これに加えてさらに償却費を加算することができるのです。 中小企業投資促進税制の場合、通常の減価償却に加えて基準取得価額の 30%を追加で償却できるため、 1000万円 × 30% = 300万円を費用として追加計上可能です。初年度で 250万円 + 300万円 = 550万円を一気に費用計上できるのです。 一方の税額控除は、法人税等から直接、一定の金額を差し引くことができる制度です。中小企業投資促進税制の場合、基準取得価額の 7%が税額控除の対象になるため、たとえば 1000万円の機械を購入した場合であれば 1000万円 × 7% = 70万円、これをまるまる法人税から直接差し引くことが可能となります(ただし、上限が法人税額の 20%までという制限があるため、 70万円をまるまる控除するのであれば、納税すべき法人税額が 350万円以上必要です)。特別償却と税額控除、どっちがお得? では、どちらが得になるのかという話ですが、私がクライアントに提案する際は基本的には税額控除をおすすめしています。 というのも、税額控除は税金から直接差し引くことができるため、節税対策として非常にダイレクトに効果を発揮するから。特別償却はあくまでも減価償却の前倒しなので、耐用年数までで考えると、トータルの償却費は変わりません(購入時の事業年度の法人所得を減らしたい場合には有効です)。 ただし、利益が低く法人税が少ない会社であれば、特別償却のほうがいい場合もあります。たとえば利益が 20万円の会社だと、先ほどの 1000万円の機械を購入すると、特別償却を使うと 300万円を利益から差し引くことができるため、 280万円の赤字になります。その場合、赤字なので法人税はゼロです。 一方で税額控除を選択すると、 20万円の利益ですから法人税は 40%乗じて約 8万円、税額控除は法人税額の 20%が上限ですから 8万円 × 20% = 1・ 6万円しか控除ができない計算になります。つまり納税すべき法人税額が 8万円- 1・ 6万円 = 6・ 4万円となり、特別償却のほうが結果的に節税効果が生まれるという計算になります。 もちろん、赤字にしたくない場合は税額控除のほうがいいですが、税金を払うのが嫌ですという会社の場合は、特別償却のほうがメリットが大きいでしょう。
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