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満を持してリリースするも……

 ここまで、「カネ」や「人」、「組織」についてお話ししてきましたので、ここからは「モノ」に視点を移しましょう。事業に関心のある読者の皆さんは、この章から読んでいただいても構いません。  多くの企業が創業初期から思わぬ苦戦を強いられるのが、「モノ」、いわゆる事業のマネジメントです。  特にスタートアップは、これまでにないプロダクト(商品やサービス)を掲げて、「 0 → 1の起業」をすることが大半です。  しかし、エッグフォワードも、私がかかわってきた多くの企業もそうですが、最初に考えたプロダクトが初期から順風満帆に売れ続けてうまくいったケースを、ほとんど見たことがありません(* 1)。  なぜうまくいかないのか、その原因を探っていくと、「スタートアップが陥りがちな罠」に行き着くことになります。  起業家が大きなリスクを負ってまで起業する理由には、「こういうサービスを世に出したい」「こういうプロダクトをユーザーに届けたい」といった強い想いがあるケースが多いです。すでに売れている他社のプロダクトと同じモノを市場に投入しても、意味がありません。  ところが、そういう想いがなまじ強いために、視野が狭くなっていく。プロダクトやサービスへの想いが強いほど、気づかない間にユーザー視点が抜け落ちていくのです。  その結果、ユーザー視点から生まれたマーケットインではなく、つくり手視点から生まれたプロダクトアウトになりがちなのです。  もちろん、起業家も最初からすべてがうまくいくと思っているわけではありませんが、良いプロダクトやサービスを世に出せば、すぐにリアクションがあるはずだと期待してしまうもの。ですが満を持してリリースしたものの、期待していたような反応がまったくない、そんなケースが非常に多いのです。  最初のプロダクトが売れない時期が長引くと、どの起業家も(表には出しませんが)相応にはショックを受けています。  あらゆる犠牲を払って開発したプロダクトやサービスなのに、反応が非常に芳しくないのですから当然です。  改善点が見つかるならまだ良いほうで、リアクションが薄かったり、「ちょっと難しいですね」というあいまいな表現で断られたりすることもしばしばです。毎日のように否定され続け、何の成果も得られず家に帰るのです。  ユーザーからすればサービスに興味・関心が薄いだけなのに、想いをもって創業した起業家のなかには人格否定され続けるような気持ちになって落ち込んでしまう方もいます(* 2)。 *1スタートアップや新規事業がうまくいく確率は良くて打率 1割、「 1 000に3つ」などと言われるのも、経験上うなずけます。 *2「売上はすべてを癒す」とは真逆で、売上があまりにも上がらないと、すべてが悪いように思えてきます。そのうち、組織内で「そもそもこのプロダクトはどうなんだ」「いや、もっと言うと、このビジョンが悪いのでは?」と根本的なことを指摘する人が出てきてギスギスした雰囲気が漂い始めます。

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