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正しい原因分析は精度の高い経営計画があってこそ

正しい原因分析は精度の高い経営計画があってこそ  ここまで、変動 P/ Lの仕組みやメリット、変動 P/ Lに組み替える理由などを、くわしく見てきました。  ここでは、変動 P/ Lの使い方、特に計画値との比べ方、さらに経営に活かす指標の読み取り方について解説します。  先にも説明しましたが、弊社では、「月次推移変動損益計算書」(月次推移変動 P/ L)というツールを使います。これは毎月の P/ Lの勘定科目を変動 P/ Lの形に組み替えて、会計年度の期首から当月まで毎月分を横に並べたものです。  月次推移変動 P/ Lには、毎月の「売上高」「変動費」「粗利益」「固定費」「経常利益」の数字が、期首から当月まで横に並んでいます。  これを見ることによって、利益や売上高、そして費用がどのように推移しているか、計画に比べてどういう状況になっているかが正しく把握できます。つまり、会社の営業活動による収益の状況とその変化の様子が、ひと目でわかるようになるというわけです。  このツールを使って、「経営計画書」の毎月の計画値と、月次推移変動 P/ Lから得られる実績値を照らし合わせながら、毎月の利益の増減を見ます。  ポイントは、当月と累計の「経常利益」の計画値と実績値を比較することです。「経常利益」の計画値と実績値が一致していれば、特段問題はないと考えられます。こうした場合は「変動費」「固定費」などにおかしな動きがないか、抜かりはないかを見ます。  もし、「経常利益」で計画値と実績値にズレがあるのであれば、原因を探して、何らかの対策を打ちます。  たとえば、なぜ売上高が思ったほど上がっていないのか、予想外の「固定費」がかかっているのか、などと分析して、問題があればただちに修正します。 ●経営計画書で重要なのは短期利益計画と販売計画  ただし、こうした分析をするためには、そもそもきちんとした「経営計画書」を年度はじめに作っておく必要があります。特に、精度の高い短期利益計画と販売計画が必須です。「経営計画書」の作成については、前著『経営計画は利益を最初に決めなさい!』(あさ出版)にくわしく書きましたが、簡単に概要だけ紹介しましょう。  そもそも中小企業では、ほとんどの社長が経営計画を作っていません。経営の舵取りをするうえで、これは論外です。たとえ経営計画を作っていても、それが杜撰なものなら実績値と照らし合わせる意味がありません。  経営計画は、社長がとことん真剣に考え、きちんと分析して作らなければならないものなのです。

 経営計画立案のはじめの一歩は、利益計画を作ることです。  会社を成長させ、社員に給与を配分するために必要な利益(経常利益)をまず計算算し、これに「固定費」を加算し、「粗利益」から「売上高」を逆算して、計画を作ります。  次に、その「売上高」を実現するためには既存の商品・サービスをどれだけ売ればいいのか、また、新規事業や新しい商品・サービスなどをどのように立ち上げるか、新規顧客を何件獲得するかなどを立案して、販売計画に落とし込んでおくのです。  もちろん、前年までの実績や過去の経緯なども踏まえます。  そのうえで、今の会社の状況、商品力、サービスの力、営業力、企画・開発の力、季節要因、会社を取り巻く市場の変化などを読み、ギリギリの精度で利益目標と売上目標を定めます。  さらに、それを月間計画に落とし込みます。安直に「去年の売上や利益に対して前年比 ○%増」とするやり方は愚の骨頂です。  なお、計画を作る際にも、変動 P/ Lが役に立ちます。  変動 P/ Lからは、「売上高」「変動費」「粗利益」「固定費」「経常利益」などがすぐにわかり、「粗利益率」や売上高に対する経常利益の比率(売上高経常利益率)などもすぐに計算できるからです。経営計画で目標とする経常利益が決まれば、そこから目標とすべき売上高がすぐに計算できるのです。  このように精緻な経営計画を作り、月次決算をして月次推移変動 P/ Lや月次 B/ S、月次 C/ Fを出していれば、毎月、計画と実績の照らし合わせができます。計画が未達成なら、何かがおかしいわけです。原因を突き止め、改善策を施さなくてはいけません。 ●月次推移変動 P/ Lから得られる指標  月次推移変動 P/ Lで毎月必ずチェックすべき基本指標は、「売上高」「変動費」「粗利益」「固定費」「経常利益」です。この基本指標はすぐに見つけることができます。弊社では、さらに月次 B/ Sの数字も使い、次ページにある指標もチェックします。  5つの基本指標と人件費からは、次の6つの重要な指標が計算できます。人件費は「固定費」の中で最も重要な経費で、変動 P/ Lから読み取ることができます。  ・粗利益率 =粗利益 ÷売上高・売上高経常利益率 =経常利益 ÷売上高・損益分岐点比率 =固定費 ÷粗利益・生産性 =粗利益 ÷固定費・労働生産性 =粗利益 ÷人件費・労働分配率 =人件費 ÷粗利益  これらは、月次推移変動 P/ Lから、電卓ですぐに計算できるのです(巻末資料 ①)。

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