もしこれまでと同じ商品やサービス、マーケットのままで、将来も商売を続けるというの
であれば、競争のなかで利幅を増やすことは至難の業だ。まあ不可能に近いのではないか。
結局、長期にわたって利幅を減らさずに、利益率を高く維持しようとすれば、これまでよ
り利幅のとれる新しい商品を見つけるか、利幅がどんどん減少する商品を切るか、あるいは
少しでも高い値段で売れる新しいマーケットを開拓するしかないのだ。
そこで、これまで何度も強調してきたことであるが、「高付加価値を目指して将来の方向
づけをする」ことが大事になることは言うまでもない。時の流れを読んで良くなるものを増
やし、悪くなるものを除く、この当たり前のことが最も重要で、しかも難しい。
商品、サービス、マーケットの絶え間のない強化によって、次の主力となる事業や商品を
追加し、新たな成長マーケットヘ進出することは、事業のまさに原点だ。もちろん衰退業界
にあっては大胆なまでの業種転換も必要となることがある。高付加価値のとれるものを求め
て、あらゆるツテを使い、試行錯誤を重ね、何としてでも売上を伸ばす策を講じ、利幅を広
げる商品やマーケットを開拓しなければ、会社の将来はないのである。数字の操作ではどう
にもならないことなのだ。このことは、前章までにもいろいろな実例を挙げて説明したとお
りである。社長の最大の役割が会社の方向づけにあると強調したゆえんだ。
もちろん多くの読者にとって、このことは十分に心得ているはずであろう。しかし、そう
そう簡単にうまくいくことではない。利幅のとれるものが容易に見つかることを前提に、長
期計画を立てるわけにはいかないのだ。新たな方向づけが功を奏して大幅な利益率の改善を
実際に見るまでは、利幅すなわち粗利率は年々減っていくものと考えるべきである。もし予
想していたより早く利幅のとれる商品やマーケットが手に入れば、そのときに改めて、さら
にその分大きく儲かるような計画を立て直すべきである。それが現実的な考え方だ。
従来のままでは利幅が減っていくから、何としてでも利幅のとれる方向づけに知恵を絞り、
手を打って、同時に、これからは利幅は必ず減るものとして実現可能な計画を立てる。
それが社長としてのとるべき姿勢だ。
そうなると、総資本の回転率を上げることが、儲かる体質づくりの重要な実務の着眼点と
いうことになる。
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