自社の在庫が多いか適正かというとき、「年商の何力月」とか「仕入高の何力月」という
見方をしている会社が多い。これは大きな間違いだと言いたい。
もし付加価値率がどんどん減っているような状況で、年商の何力月というような管理をし
ていると、そのうち黒字倒産ということになりかねないのだ。
経理や会計の解説書などに、在庫基準として「商品回転率」を挙げているが、これは年商
を基準にしていて、付加価値を基準としていないのは困ったものだ。付加価値率が減ると金
利への配分比率が増えるから、その分どこかの配分を削らなければならない。つまり付加価
値率が減ったら、在庫を減らし金利を減らすようにするのが社長としての考え方ではないだ
ろうか。すべて効率というものは付加価値中心に考えるのが正しい。したがって在庫回転率
は、次の式から求めるべきである。

さてモデル会社D精機の場合は、どうであろうか。
第17
表の「棚卸在庫」の欄を見ると、直前期六億三〇〇万円の在庫があった。この期の
付加価値(売上総利益)は、第1表(一二九頁)を見ていただければお分かりのように、
一一億八三〇〇万円であった。つまり月間付加価値は九九〇〇万円だから、六億三〇〇万円
の在庫は、付加価値に対して六。〇九カ月ということになるわけだ。
同じように計算していくと、直前三期は五・五カ月、直前二期は五・八カ月であったこと
が分かる。D精機の付加価値率は過去三年間減りつづけているにもかかわらず、在庫は増え
つづけ、回転率を落としている。無駄な在庫を増やし、その分余計な資金負担があるという
ことだ。社長がこの事実に気がつかないと、運転資金がいくらあっても足りないことになる。
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