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株主から冷たい視線を向けられる

 子どもが成長する過程で生じる成長痛という言葉があります。スタートアップにも急激に成長する過程で生じる「成長痛」があるのですが、もっと厄介な症状があります。  それは、「成長しない痛」です。  会社を立ち上げ、順調に成長し続ければ良いのですが、思うように成長し続けられる会社などほとんどありません。一時的にうまくいったとしても、中期的には、掲げた目標を達成できないケースのほうがむしろ多いでしょう。  スタートアップはチャレンジングな目標を掲げるので、目標達成が難しいのはステークホルダーもある程度織り込み済みです。また市場環境が悪化し、予想外の逆風が吹くこともあります。目標に少し達していない程度なら、ステークホルダーは納得してくれます。  しかし、少しどころか、「目標の半分にも達していない」という大幅な未達だと、さすがにそうはいきません。未達が当たり前になる「未達グセ」がついてしまうとさらに厄介です。「どうせお飾りの目標でしょ」と誰も本気で目指さなくなるのです。  そうなると、スタートアップはあっという間に「成長しない痛」に陥ってしまうのです。  目標に対して大幅な未達が続くと、そのスタートアップに向けられるステークホルダーの目がガラリと変わります。本当に驚くほど素早く手のひらを返します。  まず、自社株を保有している株主・投資家からは、当然「どうなっているんだ」「大丈夫なのか」とお叱りの言葉をいただきます。  まだ出資していない投資家からも厳しい目を向けられます。したがって、新たに資金調達しようとするときに売上が伸び悩んでいると、投資家から出資してもらえなくなるのです。  仕方なく、過去に調達したときよりも株価を下げて増資する、いわゆる「ダウンラウンド」をしますが、それをやると、既存の株主から猛反発を受けます。持っている株の価値が下がって、損をしてしまうからです。「では、同じ企業価値( =株価)で、追加出資をお願いします」と既存の株主に言っても、「いやいや、業績が伸びていないので出せません」と断られます。実際、この現象はさまざまなスタートアップで起きています(*)。  金融機関も同様です。新規の借り入れが難しくなるのはもちろん、借り入れ条件によっては、一括の返済などを求められるケースすらあるのです。*目標未達が続くと、社員も不安を覚えます。「夢と志を持って入社したけど、入る会社を間違えたかな……」とモチベーションが下がるだけでなく、最悪、退社する人も続出し、社員はさらに不安になるでしょう。こうして「成長しない痛」が悪循環を招くのです。

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